JP5362256B2 - 反射防止膜を備えた光学部品及びレーザー光伝送方法 - Google Patents

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Description

本発明は、反射防止膜を備えた光学部品、特に反射防止膜を備えた高出力レーザー用光学素子や、それを用いたレーザー光伝送方法に関する。
光学部品の光透過率を高めるために光入射面あるいは光出射面を被覆するように反射防止膜を設けることが行われている。
反射防止膜を単一層の膜として構成する場合、フレネルの式から導かれる次の式を満たすことが必要である。
=N・N
ここで、N、N及びNは、それぞれ、膜の屈折率、膜が設けられる基板の屈折率、及び媒質の屈折率である。基板が石英ガラス(屈折率:約1.45)及び媒質が空気(屈折率:約1.00)の場合、N=1.20であれば上記式を満たすが、一般に、反射防止膜として用いられる材料はMgF(屈折率:約1.36)、SiO(屈折率:約1.44)、Al(屈折率:約1.60)、Ta(屈折率:約2.10)、TiO(屈折率:約2.20)等である。従って、通常、反射防止膜を単一層からなる膜として構成することができない。
特許文献1には、SiOからなる表面側層と、Al、ZrO、HfO、Ta、TiOの中から選ばれる一種からなる中間層と、SiOからなる素子側層とからなる3層構造の反射防止膜が記載されている。
特許文献2には、反射防止膜が2〜6層の薄膜積層体であり、その中に1層以上YAG(YAl12:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)を主成分とする層を含むことが記載されている。
特開平4−38885号公報 特開2004−287274号公報
宇宙、航空、エレクトロニクス等をはじめとする様々な産業分野において、レーザー加工等に用いる高出力レーザーの性能向上の要求が高まっている。中でも、反射率が低く、しかも、優れたレーザー耐性を有する反射防止膜を備えたレーザー素子が強く求められている。
レーザー耐性の高い材料としてはSiOやAlが広く用いられているが、SiOの薄膜とAlの薄膜とを積層して反射防止膜を構成し、その反射率を0.25%以下に設計する場合、この反射防止膜は4層構造となる。
ところで、多層構造の反射防止膜において、薄膜と薄膜との界面を光が通過する際にレーザー耐性が低下するという問題がある。そして、反射防止膜を構成する層数が多いほどこの問題は顕著に現れる。そのため、高出力レーザーに対する優れたレーザー耐性を得る観点からは、反射防止膜を構成する薄膜の層数は少ないことが好ましい。
本発明の目的は、反射率が0.25%以下であって光透過性がよく、しかも、優れたレーザー耐性を有する反射防止膜を備えた光学部品を提供することである。
本発明の光学部品は、
光学部品本体の光入射面及び/又は光出射面を被覆するように反射防止膜が設けられたものであって、
上記反射防止膜は、光学部品本体側の高屈折率層と該高屈折率層の外側の低屈折率層とが積層されてなる2層構造を有し、
上記高屈折率層はTa、HfO、Nb、又はZrOで形成され、かつ、上記低屈折率層はSiOで形成され
上記高屈折率層は上記低屈折率層よりも光学的膜厚が小さく、
上記高屈折率層の厚さが30〜70nm、及び上記低屈折率層の厚さが230〜255nmであることを特徴とする。
上記光学部品本体は、高出力レーザー用光学素子本体であってもよい。
本発明のレーザー光伝送方法は、高出力レーザー用光学素子本体の光入射面及び/又は光出射面を被覆するように反射防止膜が設けられた高出力レーザー用光学素子にレーザー光を伝送するレーザー光伝送方法であって、
上記反射防止膜は、光学部品本体側の高屈折率層と該高屈折率層の外側の低屈折率層とが積層されてなる2層構造を有し、
上記高屈折率層はTa 、HfO 、Nb 、又はZrO で形成され、且つ、上記低屈折率層はSiO で形成され、
上記高屈折率層は上記低屈折率層よりも光学的膜厚が小さく、
上記高屈折率層の厚さが30〜70nm、及び上記低屈折率層の厚さが230〜255nmであり、
上記伝送するレーザー光は、波長が1020〜1130nmであることを特徴とする。
本発明の光学部品によれば、光学素子本体の光入射面及び/又は光出射面を被覆するように設けられた反射防止膜は光学部品本体側の高屈折率層と該高屈折率層の外側の低屈折率層とが積層されてなる2層構造を有するので、光入射面及び/又は光出射面において優れたレーザー耐性が得られる。また、反射防止膜の高屈折率層がTa、HfO、Nb、又はZrOで形成され、かつ、低屈折率層がSiOで形成されているので、反射率が0.25%以下の良好な光透過性を実現することができる。
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、光学部品Pの断面を示す。
この光学部品Pは、光学部品本体10と、その光入射面及び/又は光出射面を被覆するように設けられた反射防止膜11とからなる。反射防止膜11は、光学部品Pの光透過率を高めるために設けられる。
光学部品本体10は、例えば、ファラデー回転子、ガラスレーザーやYAGレーザー等の固体レーザー素子、COレーザーやエキシマレーザー等の気体レーザー素子、半導体レーザー素子、波長変換素子、カメラレンズ、眼鏡レンズ等の光学部品の本体である。
光学部品本体10の光入射面及び/又は光出射面のうち、反射防止膜11が設けられる部分は、例えば、石英ガラス、サファイアガラス等で構成され、例えば屈折率が1.45〜1.77である。そして、反射防止膜11が設けられる部分は、例えば、平面や曲面である。この部分は、予め、スパッタやイオンクリーニング等の方法でエッチング等の処理を行っていてもよい。エッチングを行った場合の表面粗さは、例えば5〜10Årmsである。反射防止膜11が設けられる部分は、例えば、面積が0.008〜8000mmである。
反射防止膜11は、光学部品本体10側の高屈折率層12と、その高屈折率層12の外側の低屈折率層13と、が積層されてなる2層構造を有する。
高屈折率層12を構成する材料は、Ta、HfO、Nb、またはZrOである。高屈折率層12は、例えば、屈折率が1.8〜2.2である。
高屈折率層12は、膜厚d1が30〜70nmである。そして、高屈折率層12は、例えば、光学的膜厚D1が0.25〜0.50である。ここで、光学的膜厚Dは、膜厚dに対してnd=λ/4が成り立つときの光学的膜厚Dを1として表した値である(以下同様)。
低屈折率層13は、高屈折率層12を構成する材料よりも屈折率の低い材料で構成されている。低屈折率層13を構成する材料はSiOである。低屈折率層13は、例えば、屈折率が1.44〜1.47である。低屈折率層13の屈折率は、高屈折率層12の屈折率との差が0.3以上であることが好ましい。
低屈折率層13は、膜厚d2が230〜255nmである。そして、低屈折率層13は、例えば、光学的膜厚D2が1.25〜1.40である。高屈折率層12の光学的膜厚D1は、低屈折率層13の光学的膜厚D2よりも小さい。低屈折率層13を構成するSiOはレーザー耐性が高いので、低屈折率層13が肉厚であれば反射防止膜11全体としても高いレーザー耐性を示す。
以上の構成の反射防止膜11を有する光学部品Pは、反射率が0.25%以下となる、優れた光透過性を示す。しかも、反射防止膜11が2層構造を有するので、レーザー耐性にも優れている。
そして、以上のように構成した反射防止膜11は、ファラデー回転子、ガラスレーザーやYAGレーザー等の固体レーザー素子、COレーザーやエキシマレーザー等の気体レーザー素子、半導体レーザー素子、波長変換素子、カメラレンズ、眼鏡レンズ等の光学部品本体10の入射端面や出射端面、光ファイバの両端面に設けられる。この反射防止膜11は、優れたレーザー耐性を有するので、特に、ファラデー回転子、ガラスレーザーやYAGレーザー等の固体レーザー素子、COレーザーやエキシマレーザー等の気体レーザー素子、波長変換素子等の高出力レーザー用光学素子に設けた場合に効果が顕著となる。
図2は、反射防止膜11を設けた光学部品Pの例として、レーザーガイド20のレーザー光入射端側部分の構成を示す。レーザー光出射端側部分も、入射端側部分と略同一の構成である。
このレーザーガイド20は、レーザーガイド光ファイバ心線21aをチューブ21bに挿通したガイド本体部21と、ガイド本体部21の両端部をそれぞれ覆うように取り付けられたコネクタ22と、で構成されている。
コネクタ22は、コネクタ本体22aとその接続端側部分に被せるように設けられたキャップ部材22bとで構成されている。コネクタ本体22aは、内部の接続端側の部分にサファイアチップ23を備え、そのサファイアチップ23の接続端側端面には高反射膜23aが設けられている。
レーザーガイド光ファイバ心線21aは、その先端部分で被覆層が所定長剥がされ、レーザーガイド光ファイバが剥き出しとなっている。そして、コネクタ本体22aにチューブ21bから突出したレーザーガイド光ファイバ心線21aが収容されていると共に樹脂で埋設固定され、さらに、サファイアチップ23にレーザーガイド光ファイバ心線21aの被覆層が剥がされた部分が内嵌保持されている。
キャップ部材22bは、底部に、例えば石英製又はサファイア製の保護ガラス24を備えている。そして、例えばレーザーガイドの入射端側部分では、保護ガラス24を介してレーザーガイド光ファイバ心線21aのコアにレーザー光が入射するようになっている。
このような構成のレーザーガイド20において、保護ガラス24の両面、つまり、光入射面及び光出射面、並びに、レーザーガイド光ファイバ心線21aの光入射面(ファイバ端面)に、各表面を被覆するように反射防止膜11が設けられている。そのため、レーザーガイド20の光入射面及び光出射面において、高い光透過率を得ることができる。しかも、本発明の反射防止膜11は2層構造であるから、レーザーガイド20の光入射面及び光出射面、並びに、レーザーガイド光ファイバ心線21aの光入射面(ファイバ端面)において優れたレーザー耐性を示す。
以下、光学部品本体10に反射防止膜11を設ける方法について説明する。
この反射防止膜11を構成する高屈折率層12及び低屈折率層13のそれぞれは、例えば、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、スパッタ蒸着法、イオンプレーティング蒸着法、ゾルゲル法等の従来の方法を用いて成膜することができる。ここでは、イオンアシスト蒸着法について詳述する。
図3は、反射防止膜蒸着装置30を示す。反射防止膜蒸着装置30は、例えば、イオンアシスト蒸着法によって光学部品本体10上に反射防止膜を設けるのに用いられる装置である。この反射防止膜蒸着装置30は、処理槽31、処理槽31内に各々設けられた、基板載置ドーム32、ルツボ33、電子銃34、イオン銃35、酸素ガス供給器36、アルゴン供給器及びアルゴン供給管(図示せず)、モニター37、処理槽31内を減圧するための真空ポンプ、処理槽31上に設けられた光源、反射鏡、及び検出器等で構成されている。
この反射防止膜蒸着装置30を用いて光学部品本体10上に反射防止膜を設ける場合、まず、基板載置ドーム32に、表面に所定のマスキング処理やエッチング処理等を施した光学部品本体10を装着する。また、ルツボ33上に、高屈折率層12の材料である蒸着源38(TaやZnO等)を載置する。そして、ルツボ33で蒸着源38を加熱しつつ、真空ポンプで処理槽31内を減圧する。
次いで、電子銃34で蒸着源38の表面に電子を供給し、蒸着源38を溶融・気化する。この蒸着源38の蒸気は、酸素ガス、酸素イオン及びアルゴンイオンの供給下で光学部品本体10の表面に蒸着され、高屈折率層12の薄膜が形成される。
続いて、高屈折率層12が形成された光学部品本体10を基板載置ドーム32に装着した状態で、ルツボ33上には低屈折率層13の材料である蒸着源38(SiO)を載置し、高屈折率層12と同様にして低屈折率層13の薄膜を形成する。
なお、蒸着中は、光源を点灯させ、モニター37や検出器等で、蒸着膜厚の制御を行う。
このようにして、光学部品本体10上に反射防止膜11が設けられる。この反射防止膜11は、2層構造を有するので、3層以上の薄膜からなる反射防止膜よりも少ない工程で製造することができる。
ガラス基板上に設けた反射防止膜について行った試験評価1及び2について説明する。なお、ガラス基板は本発明おける光学基板本体に相当する。
(試験評価1)
以下の反射防止膜1〜8を作製した。ここで、反射防止膜1,3,5及び7は、本願実施形態に係る構成の実施例を示す。また、反射防止膜2,4,6及び8は、本願実施形態の要件を満足しない参考実施例を示す。それぞれの構成は、表1にも示す。
なお、反射防止膜の各膜厚を設計するにあたり、以下の理論に基づいて計算を行った。
<膜厚設計理論>
光学薄膜の特性行列Mは、数1で表される。
Figure 0005362256
ここで、上記数式において、δは、波長λ、屈折率n及び膜厚dに対しδ=(2π/λ)・nd)で定まる値である。
このとき、2つの光学薄膜の境界面a、bでの電界Eと磁界Hとの関係、及び、エネルギー反射率Rは、それぞれ、数2及び数3で表される。
Figure 0005362256
Figure 0005362256
ここで、上記数式において、nは基板の屈折率である。
2層構造の反射防止膜については、全体の特性行列を各層の特性行列M及びMの積として表せるので、
Figure 0005362256
となる新たな特性行列Mについてλ=1064nmにおけるエネルギー反射率R=0となるように各パラメーターを計算することにより、反射防止膜を設計することができる。
<反射防止膜1>
Taからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層とを備えた反射防止膜を、石英ガラス基板上に設けた。
石英ガラス基板としては、屈折率1.45、反射防止膜を設ける面の表面積約710mm2、及び、厚さ1.0mmのものを使用した。
まず、イオンアシスト蒸着法によってTaからなる高屈折率層を形成した。形成された高屈折率層は、屈折率が2.05、膜厚d1=46.53nm、及び光学的膜厚D1=0.353であった。
次に、同じくイオンアシスト蒸着法により、高屈折率層を形成した基板上にSiOからなる低屈折率層を形成した。形成された低屈折率層は、屈折率が1.44、膜厚d2=244.13nm、及び光学的膜厚D2=1.315であった。
こうして作製された2層構造の反射防止膜を反射防止膜1とした。
<反射防止膜2>
反射防止膜1と同様にして、Taからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層とを備えた反射防止膜を設け、反射防止膜2とした。この反射防止膜2は、1064nmの波長において、高屈折率層の屈折率が2.05、膜厚d1=216.10nm、及び光学的膜厚D1=1.641であり、低屈折率層の屈折率が1.44、膜厚d2=128.46nm、及び光学的膜厚D2=0.692であった。
<反射防止膜3>
反射防止膜1と同様にして、ZrOからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層とを備えた反射防止膜を設け、反射防止膜3とした。この反射防止膜3は、1064nmの波長において、高屈折率層の屈折率が1.95、膜厚d1=53.06nm、及び光学的膜厚D1=0.390であり、低屈折率層の屈折率が1.44、膜厚d2=240.98nm、及び光学的膜厚D2=1.298であった。
<反射防止膜4>
反射防止膜1と同様にして、ZrOからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層とを備えた反射防止膜を設け、反射防止膜4とした。この反射防止膜4は、1064nmの波長において、高屈折率層の屈折率が1.95、膜厚d1=217.76nm、及び光学的膜厚D1=1.600であり、低屈折率層の屈折率が1.44、膜厚d2=131.21nm、及び光学的膜厚D2=0.707であった。
<反射防止膜5>
反射防止膜1と同様にして、HfOからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層とを備えた反射防止膜を設け、反射防止膜5とした。この反射防止膜5は、1064nmの波長において、高屈折率層の屈折率が1.86、膜厚d1=68.86nm、及び光学的膜厚D1=0.481であり、低屈折率層の屈折率が1.44、膜厚d2=232.85nm、及び光学的膜厚D2=1.254であった。
<反射防止膜6>
反射防止膜1と同様にして、HfOからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層とを備えた反射防止膜を設け、反射防止膜6とした。この反射防止膜6は、1064nmの波長において、高屈折率層の屈折率が1.86、膜厚d1=217.05nm、及び光学的膜厚D1=1.517であり、低屈折率層の屈折率が1.44、膜厚d2=138.72nm、及び光学的膜厚D2=0.747であった。
<反射防止膜7>
反射防止膜1と同様にして、Nbからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層とを備えた反射防止膜を設け、反射防止膜7とした。この反射防止膜7は、1064nmの波長において、高屈折率層の屈折率が2.24、膜厚d1=31.46nm、及び光学的膜厚D1=0.265であり、低屈折率層の屈折率が1.44、膜厚d2=250.84nm、及び光学的膜厚D2=1.351であった。
<反射防止膜8>
反射防止膜1と同様にして、Nbからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層とを備えた反射防止膜を設け、反射防止膜8とした。この反射防止膜8は、1064nmの波長において、高屈折率層の屈折率が2.24、膜厚d1=206.38nm、及び光学的膜厚D1=1.736であり、低屈折率層の屈折率が1.44、膜厚d2=120.43nm、及び光学的膜厚D2=0.649であった。
ガラス基板上に設けた反射防止膜1〜8のそれぞれについて、400〜1800nmの波長範囲における反射率を測定した。具体的には、光源と検出器とを備えた測定器を用いて、光源から出た光がそのまま検出器で検出されたときの光強度を100%として、各反射防止膜を備えたガラス基板に光を入射し、そのガラス基板を透過した光の強度を測定することにより反射率を得た。このとき、スキャンスピードは300nm/min、近赤外及び可視・紫外領域におけるスリット幅は、自動制御及び4.00nm、並びに、サンプリング間隔は1.00nmの設定の下で測定した。
図4〜7は、これらの結果を表したグラフである。これらのグラフより、各反射防止膜の反射率が0.25%以下である波長帯域を調べた。これを表1に示す。
Figure 0005362256
(試験評価2)
試験評価1における反射防止膜1及び2を用いて、それぞれのレーザー損傷しきい値を測定した。
図8は、レーザー損傷しきい値の測定装置80を示す。この測定装置80は、Nd:YAGレーザー照射部81(波長:1064nm、パルス幅:10ns)、プリズム82、1/2λ板83、ポラライザー84、バイプラナー85、反射鏡86、石英ガラス87、集光レンズ88(焦点距離:100mm)、CCDカメラ89、及びオシロスコープ(図示せず)等で構成されている。
この測定装置80を用いて、反射防止膜1及び2について、1−on−1法により、1ショットで損傷を受けるレーザーの損傷しきい値を求めた。具体的には、この測定装置80の集光レンズの105mm前方にサンプルとしての反射防止膜1及び2を備えたガラス基板を設置し、それぞれに、Nd:YAGレーザー照射部81から異なる大きさのフルエンスを有するレーザー光を照射させた。照射毎にバイプラナー85で観測した値をオシロスコープで読み取った。また、薄膜状の損傷の有無については、プラズマ発光とCCDカメラ89によって判定した。そして、損傷が起こった最小のフルエンスを損傷しきい値と定義した。
表2は、レーザー損傷しきい値の測定試験における薄膜損傷の有無の観測結果を示す。
Figure 0005362256
(試験評価の考察)
図4〜7によれば、反射防止膜1〜8では、1064nmの波長における反射率は全て0.1%以下である。従って、上記構成の2層構造体の反射防止膜により、反射率の低い反射防止膜が得られることが分かる。
表1によれば、高屈折率層の光学的膜厚D1が低屈折率層の光学的膜厚D2より小さい反射防止膜1、3、5及び7は、参考実施例である反射防止膜2、4、6及び8と比較して、反射率が0.25%である低反射率の波長帯域が大きいことが分かる。
また、表2によれば、反射防止膜1のレーザ光の照射密度の損傷しきい値は40.7J/cmであり、反射防止膜2のレーザ光の照射密度の損傷しきい値は34.2J/cmであることから、反射防止膜1及び2は、レーザー耐性の優れた反射防止膜であることが分かる。
また、レーザー損傷しきい値の測定結果によれば、高屈折率層の光学的膜厚D1が低屈折率層の光学的膜厚D2より小さい反射防止膜1は、参考実施例である反射防止膜2と比較して、約1.2倍のレーザー耐性を有する。従って、高屈折率層の光学的膜厚D1を低屈折率層の光学的膜厚D2より小さくすることにより、より優れたレーザー耐性が得られることが分かる。
以上説明したように、本発明は光学部品本体の光入射面及び/又は光出射面を被覆するように反射防止膜が設けられた光学部品について有用である。
光学部品の断面図である。 本発明の反射防止膜を設けたレーザーガイドの入射端側における構成を示す図である。 反射防止膜蒸着装置の構成を示す図である。 反射防止膜1(実線)及び2(破線)の波長と反射率との関係を示すグラフである。 反射防止膜3(実線)及び4(破線)の波長と反射率との関係を示すグラフである。 反射防止膜5(実線)及び6(破線)の波長と反射率との関係を示すグラフである。 反射防止膜7(実線)及び8(破線)の波長と反射率との関係を示すグラフである。 レーザー損傷しきい値の測定装置を示す概略図である。
P 光学部品
10 光学部品本体
11 反射防止膜
12 高屈折率層
13 低屈折率層

Claims (3)

  1. 光学部品本体の光入射面及び/又は光出射面を被覆するように反射防止膜が設けられた光学部品であって、
    上記反射防止膜は、光学部品本体側の高屈折率層と該高屈折率層の外側の低屈折率層とが積層されてなる2層構造を有し、
    上記高屈折率層はTa、HfO、Nb、又はZrOで形成され、かつ、上記低屈折率層はSiOで形成され
    上記高屈折率層は上記低屈折率層よりも光学的膜厚が小さく、
    上記高屈折率層の厚さが30〜70nm、及び上記低屈折率層の厚さが230〜255nmであることを特徴とする光学部品。
  2. 請求項に記載された光学部品において、
    上記光学部品本体が高出力レーザー用光学素子本体であることを特徴とする光学部品。
  3. 高出力レーザー用光学素子本体の光入射面及び/又は光出射面を被覆するように反射防止膜が設けられた高出力レーザー用光学素子にレーザー光を伝送するレーザー光伝送方法であって、
    上記反射防止膜は、光学部品本体側の高屈折率層と該高屈折率層の外側の低屈折率層とが積層されてなる2層構造を有し、
    上記高屈折率層はTa 、HfO 、Nb 、又はZrO で形成され、且つ、上記低屈折率層はSiO で形成され、
    上記高屈折率層は上記低屈折率層よりも光学的膜厚が小さく、
    上記高屈折率層の厚さが30〜70nm、及び上記低屈折率層の厚さが230〜255nmであり、
    上記伝送するレーザー光は、波長が1020〜1130nmであることを特徴とするレーザー光伝送方法。
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