JP2001316761A - 微小張り出し性に優れた薄鋼板 - Google Patents

微小張り出し性に優れた薄鋼板

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JP2001316761A
JP2001316761A JP2000132615A JP2000132615A JP2001316761A JP 2001316761 A JP2001316761 A JP 2001316761A JP 2000132615 A JP2000132615 A JP 2000132615A JP 2000132615 A JP2000132615 A JP 2000132615A JP 2001316761 A JP2001316761 A JP 2001316761A
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JP2000132615A
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Hideki Matsuda
英樹 松田
Shigeki Nomura
茂樹 野村
Takashi Kimura
貴司 木村
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小張り出し性に優れた薄鋼板とその安価、
かつ簡便な製造方法を提供する。 【解決手段】 鋼板表面から板厚方向0.2mmまでの
鋼板表層部に存在する、ASTM−E45のA法でD系
に分類される介在物を、円相当直径15μm以下で、面
積率0.05%以下に規制することで微小張り出し性の
改善を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小張り出し成形
において鋼板表面に割れの発生しにくい成形性に優れた
薄鋼板ならびにその製造方法に関する。本発明にかかる
薄鋼板の用途は、自動車、家電、建材など多岐に渡る。
特にプレス成形において曲率の小さい張り出し部を有す
る自動車のホイールディスクや自動車部材用として好適
である。
【0002】
【従来の技術】近年、プレス成形に供される素材として
の薄鋼板に要求される成形性はますます厳しくなってき
ている。とりわけ自動車の分野において、規制の動向が
注目されている低燃費化や排ガス削減のためには車体重
量を軽量化することが効果的であることから、構造や部
品形状の適正化を成し得るためにより厳しい成形に供す
ることのできる鋼板への要望が強い。
【0003】プレス成形における代表的な成形様式とし
て張り出し成形があり、従来、張り出し性を改善する技
術としては、(i) 鋼板の伸びを向上させる技術、(ii)集
合組織を適正化する技術などがある。
【0004】例えば、特開昭62−139849号公報
では、Bを添加すると共にB/NおよびMn/Sそれぞ
れの重量比を規定することにより軟質で高延性の鋼板と
して、プレス加工性の向上を図っている。また、残留オ
ーステナイトの変態誘起塑性効果による伸びの向上によ
り、張り出し性に優れた鋼板を得る技術として、特開昭
63−4017号公報や特開平1−79345号公報の
開示する発明がある。
【0005】一方、特開平10−287950号公報で
は、板面に平行な{100}に対する{111}の面強
度の比を板厚方向の平均値で1.0以下にすることで張
り出し性が改善することを開示している。
【0006】しかし、これらの技術はいずれも鋼板の母
相の変形能のみに注目したものであり、たとえ鋼板の母
相自体において高い張り出し性を有していても、実際の
プレス成形においては、張り出し部において介在物に起
因した表面割れが発生することがあり、鋼板自体が破断
せずとも表面割れ欠陥として製品歩留まりを悪化させる
ため問題となっていた。特に曲率の小さい微小な張り出
し成形部を有する部品では、張り出しを受ける鋼板表層
部の減肉率が大きいため表面割れの欠陥発生率が高く、
これまでの技術では不十分であった。
【0007】このような中で、特許第3024509号
公報および特許第3027912号公報では耐微小張り
出し割れ性に優れた熱延鋼板の製造方法に関する発明が
提案されている。これらの発明は、組成を規定した低融
点フラックスとスラグ改質材を添加し、かつ取鍋精錬に
おいて不活性ガスを吹き込むか、もしくは真空脱ガス装
置において溶鋼を還流することを特徴としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法によれ
ば、確かに、介在物量の削減を図ることができ、介在物
を起因とした張り出し成形時の表面割れは減少する傾向
にある。
【0009】しかし、本発明者らが研究を重ねた結果、
これらの発明においては介在物の分布状態と微小張り出
し割れ発生の関係が詳細には明らかとなっていないた
め、必要以上に介在物の清浄化を図らねばならず、その
ために組成に制約をつけたフラックスを添加した上で、
取鍋精錬における不活性ガスの吹き込みまたは真空脱ガ
ス装置における溶鋼還流をせざるを得なかった。
【0010】また逆に、これらの発明に従って実施した
場合でも、取鍋精錬における不活性ガスの吹き込み時間
または真空脱ガス装置における溶鋼還流時間が短いと、
微小張り出し割れの起因となる介在物が鋼中に残る場合
があることが分かった。
【0011】前述のように、介在物が原因となって起こ
る微小張り出し割れについて、それを抑制するような介
在物の分布状態について考慮された技術は現在までのと
ころ無く、プレス成形に供される鋼板としては従来の技
術では不十分と言わざるを得ないのが実状であった。
【0012】ここに、本発明の目的は、すでに述べたよ
うな今日的要請に答えることができる微小張り出し性に
優れた薄鋼板とその安価、かつ簡便な製造方法を提供す
ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、まず、介
在物の分布状態と微小張り出し割れ発生の関係を明らか
にすることを着想し、研究を続けたところ、微小張り出
し成形時に発生する鋼板表面の小さな割れは、その観察
から、割れ深さが鋼板のごく表層部に限られ、その起点
には介在物が存在しそれがASTM−E45のA法でD
系介在物に分類される介在物に対応していることを突き
止めた。
【0014】その後、鋭意研究を重ねた結果、鋼板表面
近傍のD系介在物の径および面積率と微小張り出し割れ
の間に良い相関が見られることを見出し、D系介在物の
分布状態を規制することで良好な耐微小張り出し割れ性
を得ることができるとの新知見を得るに至り、本発明を
完成させた。
【0015】よって本発明の要旨は、鋼板表面から板厚
方向0.2mmまでの鋼板表層部に存在する、ASTM
−E45のA法でD系に分類される介在物を、円相当直
径15μm以下で、面積率0.05%以下に規制するこ
とを特徴とする、微小張り出し性に優れた薄鋼板であ
る。
【0016】上記の鋼板において、鋼成分として、質量
%で、C:0.01〜0.20%、Mn:0.05〜
2.0%、S:0.010%以下を含有してもよい。さ
らにSi:2%以下を含有するものであってもよい。
【0017】鋼成分としては、質量%で、Ti、Nb、
Vの1種または2種以上を合計量で0.20%以下含有
したものであってもよい。さらに、P:0.10%以
下、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:
1.0%以下、B:0.005%以下を少なくとも1種
含有していてもよい。
【0018】本発明の好適態様によれば、前記の微小張
り出し性に優れた鋼板を製造するに当たっては、好まし
くは上述のような鋼組成の溶鋼に3分間以上のバブリン
グ処理または5分間以上のRH処理のいずれか一方また
は両方を実施したのちに、連続鋳造してもよい。
【0019】さらに本発明の好適態様によれば、熱間圧
延を行うに際して、直送圧延または980℃以上のスラ
ブ再加熱、さらに必要に応じて仕上圧延前に980℃以
上の温度へ再加熱をしてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の構成要件とその作
用について詳細に説明する。本発明において最も重要な
のはD系介在物の規制であり、前述のように微小張り出
し時に発生する鋼板表面の小さな割れは、鋼板表層のD
系介在物の径および面積率に相関が見られた。なお、本
明細書において径とは、特に説明のない限り円相当直径
のことである。
【0021】介在物を評価する箇所は、表面割れの発生
形態から鋼板表層部において評価することが重要であ
り、本発明で整理した鋼板表面から板厚方向に0.2m
mまでの領域での介在物観察結果と微小張り出し割れの
発生が良好な相関を示した。
【0022】これは、表面割れの発生形態が、介在物と
母相の境界で発生した微小な亀裂が、張り出しによる鋼
板の減肉と相伴って鋼板表面にまで達したものが表面割
れとして観察されると考えられるため、減肉によっても
表面にまで現れないような鋼板内部の介在物の存在は微
小張り出し割れと関係がほとんど無いためである。
【0023】本発明では、鋼板表面から板厚方向に0.
2mmまでの鋼板表層部において存在する、D系介在物
の円相当直径を15μm以下に規定する。これより大き
いD系介在物が存在する場合は、面積率に関わらず割れ
の発生率が極めて高い。
【0024】また、D系介在物の面積率を0.05%以
下に規定する。これより多いと微小張り出し割れの発生
する率が極めて高くなる。本発明においては、D系介在
物のうち大きさがASTM−E45のA法で定めるThin
シリーズの大きさに満たない2μm未満の径ものは面積
率のうちに入れない。かように小さいサイズの介在物は
微小張り出し割れの起点とならないと見られ無視しても
差し支えない。
【0025】微小張り出し割れに対してD系介在物のみ
が強く影響し、A系、B系、C系の介在物が余り影響し
ない理由は必ずしも定かではないが、鋼板が張り出し変
形を受けて鋼板表層部が伸びて減肉したとき、圧延方向
に伸びた形状であるA系、B系、C系の各介在物よりも
球状のD系介在物の方が、母相と介在物の界面に歪みが
蓄積しやすく亀裂が発生しやすいためと推測する。
【0026】ただし、A系、B系、C系の介在物といえ
ども板厚方向に顕著に大きい場合は割れの起点となる可
能性があるため、いずれの介在物も板厚方向の厚みが1
5μm以下であることが望ましい。
【0027】序いでながら、従来にあっても介在物それ
自体の低減法が提案されているが、実際問題として完全
に介在物を除くことはできないばかりか、いわゆる清浄
鋼の製造コストは高いものであった。この点、本発明に
あっては、介在物、特にD系介在物だけを規定すればよ
く、しかもその許容上限を規定していることから、実際
の操業上も3〜5分程度の処理で十分であり、製造効率
の改善、製造コストの低下には大きなものがある。
【0028】本発明において、D系介在物の最大円相当
直径および面積率の下限は特に規定しないが、製造コス
トとの関連を考慮すれば、それぞれ2μm 、0.0001%程
度である。
【0029】ここで、本発明の好適態様で鋼組成を上述
のように規定した理由についてさらに述べる。Cは鋼板
の高強度化を目的に添加されるが、Cが多過ぎると鋼板
が硬質になって張り出し性自体が劣化する。よって、C
を含有する場合は、上限を0.20%以下とする。0.
01%未満では脱炭のために、介在物量削減に必要なR
H処理時間よりかなり長く処理時間を延長しなければな
らず、コスト的に不利である。
【0030】よって、本発明では、下限を0.01%に
定めた。Si、Mnも鋼板の高強度化を目的に添加され
るが、いずれも2.0%を超えると鋼板が硬質になって
張り出し性が劣化するため、上限を2.0%とする。な
お、Mnについては、熱間圧延時の脆性を防止するた
め、0.05%以上を添加する。
【0031】Sは一般にA系介在物としてのMnSを形
成するが、MnSはD系介在物を核として析出する場合
があり、その場合、微小張り出し割れに悪影響する介在
物の径が大きくなって割れが発生しやすくなる。よっ
て、Sは0.010%以下としてMnSが析出しにくい
状態とする。
【0032】本発明においては、さらに、Ti、Nb、
V、P、Cu、Ni、Cr、Bを少なくとも1種含むこ
とができる。Ti、Nb、Vはいずれも析出強化元素と
して鋼板の高強度化に有効であるが、多過ぎると硬質に
なって張り出し性が劣化するため、これらの1種または
2種以上を合計量で0.20%以下とすることが必要で
ある。
【0033】P、Cu、Niは所望により耐食性の改善
を図るため、もしくは鋼板の高強度化を目的に少なくと
も1種添加してもよい。これらの元素も、多過ぎると張
り出し性の劣化をもたらすため、Pについては0.10
%以下、Cuについては0.5%以下、Niについては
0.5%以下とする。
【0034】さらに、Crは鋼板の高強度化を目的に、
Bは溶接性改善などを目的に添加してもよいが、これら
も多過ぎると延性が低下して張り出し性の劣化をもたら
す。よって、Crは1.0%以下、Bは0.005%以
下の範囲で添加する。
【0035】なお、Alは脱酸を目的に添加することが
できるが、多量の添加はコスト上昇を招くため1%以内
におさえることが好ましい。また、N、Snは不可避的
不純物として混入する場合があるが、Nについては0.
01%以下、Snについては0.01%以下であれば本
発明の効果は何ら損なわれることはない。
【0036】次に、本発明にかかる製造方法について詳
細を述べる。まず、微小張り出し性の優れた介在物分布
状態、すなわち鋼板表面から板厚方向0.2mmまでに
おいてD系介在物を最大径15μm以下、面積率0.0
5%以下とするのに必要な製造条件を検討するため以下
の実験を行った。
【0037】転炉からの溶鋼を取鍋において表1にそれ
ぞれ示す条件でバブリング処理(不活性ガスによる攪拌
処理。以下、BL処理と記す)およびRH真空脱ガス処
理(以下RH処理という) を行い、次いで連続鋳造を行
うことで表2の鋼成分を持つ連続鋳造スラブとなした。
【0038】その後、1185℃の加熱を経て、仕上温
度830℃、巻取温度520℃で熱間圧延を行い、3.
2mm厚の熱延鋼板となした。本例における鋼板の表面
から板厚方向0.2mmまでの鋼板表層におけるD系介
在物の最大径の処理時間による推移を図1に、またD系
介在物面積率の処理時間による推移を図2にそれぞれグ
ラフで示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】 図1、図2より分かるように、BL処理において、鋼板
表面から板厚方向0.2mmまでの領域に存在するD系
介在物を最大径15μm以下、面積率0.05%以下に
制限するには、処理時間が3分以上、またRH処理にお
いては5分以上必要であった。
【0041】BL処理では、不活性ガスにより溶鋼とス
ラグを撹拌するため、溶鋼中の介在物は凝集肥大して浮
上しスラグ内に吸収され、または、直接溶鋼内に巻き込
まれたスラグと反応してスラグ内に吸収される。一方、
RH処理では不活性ガスにより溶鋼のみ撹拌するため、
溶鋼中の介在物は凝集肥大して浮上し、スラグ内に吸収
される。
【0042】そのため、BL処理では処理初期の介在物
の低減効果が高いが、溶鋼内に巻き込まれたスラグがD
系介在物となるため、処理時間を延長しても、D系介在
物の最大径および面積率はある一定値から横ばいとな
る。一方、RH処理では処理初期での介在物の低減効果
は小さいが、スラグを溶鋼内に巻き込まないため、処理
時間を延長すればそれだけ、介在物の低減効果は大きく
なる。
【0043】以上のような理由により、本発明では、B
L処理は3分間以上、RH処理は5分間以上処理するの
が好ましい。この際、BL処理またはRH処理のいずれ
か一方の処理を行えば十分であるが、両方の処理を行っ
ても何ら差し支え無い。
【0044】次に、撹拌ガス流量を変えた調査を行なっ
たが、表1に示される値よりも大きい場合は、鋼板表面
から板厚方向0.2mmまでにおいてD系介在物を最大
径15μm以下、面積率0.05%以下とするのに必要
な処理時間は、BL処理は3分間以上、RH処理は5分
間以上と変化が無かった。一方、表1に示される値より
も攪拌ガス流量が小さい場合には、鋼板表面から板厚方
向0.2mmまでの領域におけるD系介在物が最大径1
5μm以下、面積率0.05%以下という条件を外れる
場合があった。
【0045】従って、BL処理における撹拌ガス流量は
0.25Nm3/hr/ 溶鋼-t以上、またRH処理における撹
拌ガス流量は、0.20Nm3/hr/ 溶鋼-t以上とすること
が好ましい。
【0046】処理雰囲気および真空度については、BL
処理は大気圧下のみで試験したが、RH処理では、10
torr以下、50torr以下、150torr以
下、200torr以下の4条件で試験を行なった。
【0047】10torr以下、50torr以下の場
合は、鋼板表面から板厚方向0.2mmまでにおけるD
系介在物を最大径15μm以下、面積率0.05%以下
という条件を満足するRH処理の処理時間は、5分以上
で変わりなかった。
【0048】一方、200torr以下の場合は、鋼板
表面から板厚方向0.2mmまでの領域においてD系介
在物が最大径15μm以下、面積率0.05%以下とい
う条件を外れる場合があった。従って、RH処理におけ
る真空度は少なくとも150torr以下で処理を行な
うことが好ましい。
【0049】このように介在物の規制処理を行った後、
例えば連続鋳造によりスラブとし、これに熱間圧延、さ
らに必要により冷間圧延を行い、次いで焼鈍を行う。熱
間圧延するに際しては、直送圧延を行うかまたは980
℃以上でスラブを再加熱することが好ましい。これは、
連続鋳造後スラブが冷却される間に、微小張り出し割れ
の起点になるD系介在物を核として、MnSが析出する
ことがあり、このために介在物の大きさがより大きくな
って悪影響を及ぼしているものと推測される。よって、
直送圧延によりMnSの析出を抑制するか、もしくは、
スラブ再加熱によりMnSを再固溶させて無害化するこ
とが有効である。
【0050】スラブを再加熱する場合、その温度が98
0℃以上であれば耐微小張り出し割れ性が良好である。
さらに必要に応じて仕上圧延前に980℃以上の温度へ
再加熱をすれば、粗圧延の間にD系介在物の周りに析出
したMnSを再固溶させることができ、なお効果的であ
る。
【0051】仕上圧延前に再加熱する場合は、均質な特
性を得るために粗圧延材、つまり粗バーの板内温度のば
らつきが140℃以内になるように均一に加熱すること
が望ましい。例えば、誘導加熱装置、輻射加熱炉、直火
加熱炉などにより均一加熱を行うことができる。
【0052】本発明においては、熱間圧延の後、スキン
パス圧下、酸洗、冷間圧延、焼鈍のいずれかまたはそれ
らの組み合わせを実施してもよい。これらの熱延鋼板、
冷延鋼板にさらに、例えば溶融亜鉛めっき、あるいは溶
融亜鉛合金化めっきをほどこしても本発明の持つ効果は
何ら損なわれることは無い。
【0053】次に実施例によって本発明の作用効果をさ
らに具体的に説明する。
【0054】
【実施例】表3に示す化学成分の鋼を、表4の各条件に
より溶製、連続鋳造を行いスラブとなし、次いでそのま
ま熱間圧延を行った。仕上圧延前に再加熱する実験にお
いては実験室的に熱間圧延を行った。
【0055】一部のものはさらに酸洗、冷間圧延、めっ
き処理などを施して鋼板を得た。そして、その鋼板の板
厚断面を光学顕微鏡で観察して、鋼板表面から板厚方向
0.2mmまでにおいて、視野中の2μm以上の全ての
D系介在物の円相当直径を測定した。観察は1試験片あ
たり60視野について行った。さらにその測定結果から
D系介在物の面積率を計算した。
【0056】微小張り出し割れ試験は、10R球頭ポン
チにより張り出し成形を行い、発生した表面割れの個数
が試験片100個中、2以下であれば良、3以上であれ
ば不良とした。それらの結果についてもあわせて表4に
示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】 表4に示す通り、D系介在物の最大径が本発明の規定す
る範囲を外れる場合は表面割れの発生率が高い。面積率
が本発明の規定する範囲を超える場合についても表面割
れの発生率が高くなっている。
【0059】さらに、成分が本発明範囲を超えたもの
は、硬質となったために張り出し時に鋼板自体が破断し
ている。熱間圧延時に直送圧延または980℃以上にス
ラブ再加熱したものは表面割れの発生率が低く、さらに
仕上圧延前に980℃以上の温度へ再加熱しているもの
は特に良好である。
【0060】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明によれ
ば、D系介在物の許容上限を規定することで、製造コス
トを上昇させることなく、微小張り出し性に優れた薄鋼
板を容易に得ることができ、特に今日のように製造コス
トの低減が叫ばれている状況下では、本発明は産業上大
きな寄与をなすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板表面から板厚方向0.2mmまでにおける
D系介在物最大径と処理時間の関係を示すグラフであ
る。
【図2】鋼板表面から板厚方向0.2mmまでにおける
D系介在物面積率と処理時間の関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 貴司 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 Fターム(参考) 4K037 EA02 EA04 EA05 EA11 EA13 EA15 EA16 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA32 EB06 FA01 FA02 FA03 FA05 FB10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面から板厚方向0.2mmまでの
    鋼板表層部に存在する、ASTM−E45のA法でD系
    に分類される介在物を、円相当直径15μm以下で、面
    積率0.05%以下に規制したことを特徴とする、微小
    張り出し性に優れた薄鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼成分として、質量%で、C:0.01
    〜0.20 %、、Mn:0.05〜2.0%、S:0.0
    10 %以下を含有する、請求項1に記載の薄鋼板。
  3. 【請求項3】 鋼成分として、さらに、質量%で、S
    i:2.0 %以下を含有する、請求項2記載の薄鋼板。
  4. 【請求項4】 鋼成分として、さらに、質量%で、T
    i、Nb、Vの1種または2種以上を合計量で0.20
    %以下を含有する、請求項2または3記載の薄鋼板。
  5. 【請求項5】 鋼成分として、さらに、質量%で、P:
    0.10 %以下、Cu:0.5%以下、およびNi:
    0.5%以下の1種または2種以上を含有する請求項2
    ないし4のいずれかに記載の薄鋼板。
  6. 【請求項6】 鋼成分として、さらに、質量%で、C
    r:1.0%以下を含有する請求項2ないし5のいずれ
    かに記載の薄鋼板。
  7. 【請求項7】 鋼成分として、さらに、質量%で、B:
    0.005%以下を含有する請求項2ないし6のいずれ
    かに記載の薄鋼板。
  8. 【請求項8】 溶鋼に、3分間以上のバブリング処理ま
    たは5分間以上のRH処理のいずれか一方または両方を
    実施したのちに、連続鋳造をすることにより、鋼板表面
    から板厚方向0.2mmまでの鋼板表層部に存在する、
    ASTM−E45のA法でD系に分類される介在物を、
    円相当直径15μm以下で、面積率0.05%以下に規
    制することを特徴とする、微小張り出し性に優れた薄鋼
    板の製造方法。
  9. 【請求項9】前記溶鋼の鋼成分が、質量%で、C:0.
    01〜0.20%、Mn:0.05〜2.0%、S:
    0.010%以下を含有し、所望により、Si:2%以
    下、および/または、Ti、Nb、Vの1種または2種
    以上合計量で0.20%以下、および/または、P:
    0.10%以下、Cu:0.1%以下、Ni:0.1%
    以下、Cr:1.0%以下、そしてB:0.005%以
    下の少なくとも1種を含有する、請求項8記載の薄鋼板
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記連続鋳造により得られたスラブに熱
    間圧延を行うに際して、直送圧延または980℃以上の
    スラブ再加熱、さらに必要に応じて仕上圧延前に980
    ℃以上の温度へ再加熱をすることを特徴とする、請求項
    8または9記載の薄鋼板の製造方法。
JP2000132615A 2000-05-01 2000-05-01 微小張り出し性に優れた薄鋼板 Pending JP2001316761A (ja)

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