JP2001316657A - 車体パネルのクリンチング部用接着剤及びそれを用いたクリンチング部の接着方法 - Google Patents

車体パネルのクリンチング部用接着剤及びそれを用いたクリンチング部の接着方法

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JP2001316657A
JP2001316657A JP2000135592A JP2000135592A JP2001316657A JP 2001316657 A JP2001316657 A JP 2001316657A JP 2000135592 A JP2000135592 A JP 2000135592A JP 2000135592 A JP2000135592 A JP 2000135592A JP 2001316657 A JP2001316657 A JP 2001316657A
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Keizo Sasai
圭 三 佐々井
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異種金属製のパネル同士を組み合わせてクリ
ンチング部を形成するときに、両パネルを電気的に絶縁
して電食の発生を防止できる車体パネルのクリンチング
部用接着剤を提供する。 【解決手段】 クリンチング部10をプレス成形するプ
レス圧力が負荷されたときにアウタパネル11とインナ
パネル12との間に形成しようとする隙間tに等しい外
形寸法を有する非導電性の多数の第1の粒子14と、こ
れらの第1の粒子14の粒径よりも大きな粒径を有する
非導電性の多数の第2の粒子15とを、アウタパネル1
1とインナパネル12とを接着する非導電性の接着剤組
成物16中に分散させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車のエ
ンジンフードや、ドアおよびトランクリッド等の車体パ
ネルのクリンチング部に用いる接着剤および接着方法に
関し、より詳しくは、自動車の車体重量を軽量化するた
めにアルミ板や鋼鈑等の異種金属パネルを組み合わせる
場合に、クリンチング部に電食が生じることを確実に防
止できるように改良された接着剤および接着方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車のエンジンフードやドアお
よびトランクリッド等の車体パネルは、鋼鈑をプレス成
形したアウタパネルやインナパネルおよび補強部材等を
組み合わせて相互に固着した構造となっているが、アウ
タパネル及びインナパネルの外周部はクリンチングによ
って固着されている。
【0003】このクリンチングによって固着した部分の
構造を概説すると、図6に示した自動車のドア1の下端
部は、図7に示したように、鋼鈑をプレス成形したアウ
タパネル2およびインナパネル3から構成されている。
そして、アウタパネル2は、その外周部2aがインナパ
ネル3の周縁3aに沿って折り曲げられ、外周部2aと
本体部分2bとによってインナパネル3の外周部3bを
挟持するクリンチング部を形成している。さらに、アウ
タパネル2とインナパネル3との間には接着剤4が介在
し、両者を堅固に接着して固着している。なお、符号5
で示すものは、アウタパネル2とインナパネル3との間
の隙間に水が入り込むことを防止するためのシーラであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで近年、自動車
の車体重量を軽減するために、例えばエンジンフードや
ドアのアウタパネルをアルミ板からプレス成形する事例
が増えている。
【0005】この場合、上述したクリンチング部におい
ては、アルミ板製のアウタパネル2と鋼鈑製のインナパ
ネル3とが互いに接触するため、異種金属間の電位差に
起因する電食が生じてしまう。このため従来は、クリン
チング部で互いに対向するアルミ板製のアウタパネル2
と鋼鈑製のインナパネル3との間に接着剤4を充分に充
填し、両者を電気的に絶縁する方法を取っていた。
【0006】しかしながら、接着剤4は軟らかいため、
クリンチング部をプレス成形するときに、アルミ板製の
アウタパネル2と鋼鈑製のインナパネル3との間の隙間
から接着剤4が外部にはみ出し、両者を電気的に絶縁で
きない場合があった。
【0007】そこで、本発明の目的は、上述した従来技
術が有する問題点を解消し、異種金属製のパネル同士を
組み合わせてクリンチング部を形成するときに、両者を
電気的に絶縁して電食の発生を防止できる車体パネルの
クリンチング部用接着剤、およびそれを用いたパネルク
リンチング部の接着方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する本
発明の車体パネルのクリンチング部用接着剤は、インナ
パネルの周縁に沿って折り返したアウタパネルの外周部
と前記アウタパネルの本体部分とにより前記インナパネ
ルの外周部を挟持するクリンチング部において前記アウ
タパネルと前記インナパネルとの接着に用いる接着剤で
あって、前記クリンチング部をプレス成形するプレス圧
力が負荷されたときに前記アウタパネルと前記インナパ
ネルとの間に形成する隙間に略等しい外形寸法を有する
非導電性の第1の粒子と、この第1の粒子の粒径よりも
大きな粒径を有する非導電性の第2の粒子とを、前記隙
間中に介在して前記インナパネルと前記アウタパネルと
を接着する非導電性の接着剤組成物中に分散させた、こ
とを特徴とするものである。
【0009】すなわち、本発明に係る車体パネルのクリ
ンチング部用接着剤をアウタパネルとインナパネルとの
間に介在させた状態でクリンチング部をプレス成形する
と、第2の粒子の粒径が第1の粒子のそれより大きいた
め、プレス成形の際に負荷されるプレス圧力の大半を第
2の粒子が受け持つことになる。これにより、第1の粒
子がプレス圧力を受けて完全につぶれることを防止でき
るから、アウタパネルとインナパネルとの間に、プレス
圧力を受けたときの第1の粒子の外形寸法に等しい隙間
を確保することができる。そして、この隙間内に介在す
る接着剤組成物によって、アウタパネルとインナパネル
とを確実に接着して固定することができる。このとき、
第1の粒子と第2の粒子および接着剤組成物のいずれも
が非導電性であり、かつアウタパネルとインナパネルと
が直接接触することがないから、アウタパネルおよびイ
ンナパネルは電気的に絶縁され、したがって両者の間に
電食が生じることを確実に防止することができる。
【0010】好ましくは、第1の粒子を、プレス圧力が
負荷されたときに弾性変形するように形成する。これに
より、パネルクリンチング部をプレス成形する際に生じ
るアウタパネル外周部のスプリングバックに第1の粒子
が追従し、アウタパネルとインナパネルとの間に確実に
隙間を確保することができる。
【0011】好ましくは、第1の粒子を、アウタパネル
およびインナパネルよりも低い硬度を有するように形成
する。これにより、パネルクリンチング部をプレス成形
する際に、第1の粒子がアウタパネルおよびインナパネ
ルの表面に食い込み、アウタパネルとインナパネルとの
間に隙間を形成できなくなることを確実に防止すること
ができる。
【0012】これに対して、第2の粒子を、アウタパネ
ルおよびインナパネルよりも高い硬度を有するように形
成する。これにより、パネルクリンチング部をプレス成
形する際に、第2の粒子がアウタパネルおよびインナパ
ネルの両方の表面に食い込むので、接着剤組成物がパネ
ルクリンチング部を確実に接着して固定するまでの間、
アウタパネルおよびインナパネルが互いに位置ずれする
ことを確実に防止することができる。
【0013】また、第2の粒子を、所定の値を超えたプ
レス圧力が負荷されたときに、第1の粒子の外形寸法よ
りも小さい外形寸法まで弾性変形するばね定数を有する
ように形成することができる。すなわち、パネルクリン
チング部をプレス成形する際には、パネルクリンチング
部の形状を凍結するために、折り返したアウタパネル外
周部を充分に押圧してインナパネル外周部に対しオーバ
ーストロークさせる必要がある。このとき、アウタパネ
ル外周部の周縁はインナパネル外周部の表面に極めて接
近し若しくは接触するが、この様なアウタパネル外周部
の周縁の変位を第2の粒子が妨げたのでは具合が悪い。
しかしながら、第2の粒子は、所定の値を超えたプレス
圧力が負荷されたときに第1の粒子の外形寸法よりも小
さい外形寸法まで弾性変形できるから、アウタパネル外
周部の周縁の変位を妨げることがなく、パネルクリンチ
ング部の形状凍結性を高めることができるから、接着剤
組成物がパネルクリンチング部を確実に接着して固定す
るまでの間、アウタパネルおよびインナパネルが互いに
位置ずれすることを確実に防止することができる。な
お、第2の粒子の粒径が第1の粒子の粒径よりも大きい
ので、パネルクリンチング部に負荷されるプレス圧力の
大半を第2の粒子が受け持つことには変わりがなく、第
1の粒子がプレス圧力を受けて完全につぶれることを防
止して、アウタパネルとインナパネルとの間にプレス圧
力を受けたときの第1の粒子の外形寸法に等しい隙間を
確保することができる。
【0014】また、第2の粒子を、所定の値を超えたプ
レス圧力が負荷されたときに破砕するように形成するこ
とができる。すなわち、パネルクリンチング部の形状を
凍結するために、折り返したアウタパネル外周部をイン
ナパネル外周部に対してオーバーストロークさせると、
アウタパネル外周部の周縁はインナパネル外周部の表面
に極めて接近し若しくは接触する。これにより、アウタ
パネル外周部の周縁と接触する第2の粒子には、過大な
プレス圧力が作用する。このとき、第2の粒子は、所定
の値を超えたプレス圧力が負荷されると破砕するので、
アウタパネル外周部の周縁の変位を妨げることがなく、
パネルクリンチング部の形状凍結性を高めることができ
る。
【0015】また、第1の粒子および第2の粒子は、耐
熱性の高分子材料から製造することができる。すなわ
ち、自動車の車体パネルの電着塗装塗膜の焼き付け乾燥
を行う際に、パネルクリンチング部を接着し固定する接
着剤組成物も加熱されて硬化する。このとき、第1の粒
子および第2の粒子を耐熱性の樹脂材料から製造するの
で、接着剤組成物が加熱されて硬化するまでの間、アウ
タパネルとインナパネルとの間の隙間を確実に保持する
ことができる。また、第1の粒子と第2の粒子とが溶融
して接着剤組成物を変質させることもない。そして、第
1の粒子および第2の粒子を高分子材料から製造すれ
ば、そのばね定数や圧縮強度等を最適に設定することが
できる。
【0016】さらに、本発明に係るパネルクリンチング
部の接着方法は、車体パネルのクリンチング部用接着剤
を用いて前記パネルクリンチング部を接着する方法であ
って、車体パネルのクリンチング部用接着剤を、アウタ
パネルとインナパネルとが互いに対向する部分の全域に
わたってアウタパネルとインナパネルとの間に介在させ
ることを特徴とするものである。すなわち、本発明に係
る車体パネルのクリンチング部用接着剤を、アウタパネ
ルとインナパネルとが互いに対向する部分の全域にわた
って介在させるので、この接着剤に含まれる第1の粒子
および第2の粒子の作用により、アウタパネルとインナ
パネルとの間に隙間を確保して、両者を電気的に完全に
絶縁することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車体パネルの
クリンチング部用接着剤およびそれを用いた接着方法の
各実施形態について、図1乃至図5を参照して詳細に説
明する。ここで、図1は本発明に係る第1実施形態の車
体パネルのクリンチング部用接着剤を用いてパネルクリ
ンチング部をプレス成形したときの状態を模式的に示す
断面図、図2は本発明に係る第2実施形態の車体パネル
のクリンチング部用接着剤を用いてパネルクリンチング
部をプレス成形している状態を模式的に示す断面図、図
3乃至図5は本発明に係る一実施形態のパネルクリンチ
ング部の接着方法の第1乃至第3段階をそれぞれ模式的
に示すクリンチング部の断面図である。
【0018】第1実施形態 図1に示したパネルクリンチング部10は、図6に示し
た自動車のドア1の外周部を構成するもので、アルミ板
製のアウタパネル11の外周部11aを鋼板製のインナ
パネル12の周縁12aに沿って折り曲げることによ
り、アウタパネル11の外周部11aと本体部分11b
とによってインナパネル12の外周部12bを挟持した
ものである。そして、このパネルクリンチング部10に
おいては、アウタパネル11とインナパネル12とを接
着して固定するためにクリンチング部用接着剤13を用
いる。
【0019】このクリンチング部用接着剤13は、多数
の第1の粒子14および多数の第2の粒子15を、それ
ぞれ所定の体積比で接着剤組成物16中に分散させたも
のである。
【0020】第1の粒子14は、ガラス繊維入りポリア
ミド等の非導電性で耐熱性の樹脂材料から製造した、単
品状態で約0.2〜0.4ミリメートルの直径を有する
球状の粒子で、アウタパネル12のプレス成形に用いる
アルミ板の硬度よりも低い硬度を有している。また、パ
ネルクリンチング部10をプレス成形する際のプレス圧
力が負荷されたときに、少なくとも約0.1〜0.25
ミリメートルの外形寸法tを維持できるように、そのば
ね定数および圧縮強度が設定されている。さらに、この
第1の粒子14は、自動車の車体パネルに施した電着塗
装塗膜の焼き付け乾燥を行う際の約140℃〜200℃
で約15〜20分間という温度条件において、その形状
を保持できる程度の耐熱性を有している。
【0021】第2の粒子15は、ガラスやセラミック等
の非導電性の硬質無機材料から製造した、単品状態で約
0.5〜1.0ミリメートルの直径を有する球状の粒子
で、インナパネル11のプレス成形に用いた鋼鈑の硬度
よりも高い硬度を有している。同時に、パネルクリンチ
ング部10をプレス成形する際のプレス圧力が負荷され
たときに破壊しないように、その圧縮強度が設定されて
いる。さらに、この第2の粒子15は、自動車の車体パ
ネルに施した電着塗装塗膜の焼き付け乾燥を行う際の約
140℃〜200℃で約15〜20分間という温度条件
において、その形状を保持できる程度の耐熱性を有して
いる。
【0022】接着剤組成物16は、従来、車体パネルの
クリンチング部の接着に用いているエポキシ樹脂、ポリ
エステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用い
ることができるが、コロイダルシリカ、コロイダル炭酸
カルシウム等の増粘剤を添加することにより従来用いて
いる接着剤よりも高い粘度を有するように調整され、パ
ネルクリンチング部10から容易に流出しないように設
定されている。
【0023】本第1実施形態のクリンチング部用接着剤
13を用いてパネルクリンチング部10を接着する際に
は、まず最初に、図2に示したように、アウタパネル1
1の外周部(クリンチングフランジ)11aおよび本体
部分11bの内側表面で、インナパネル12の外周部1
2aと対向することになる部分にクリンチング部用接着
剤13を予め塗布しておく。
【0024】次いで、図3に示したように、アウタパネ
ル11にインナパネル12を組み付けた後、インナパネ
ル12の外周部12aの外側表面でアウタパネル11の
外周部11aと対向することになる部分に、さらにクリ
ンチング部用接着剤13を塗布する。
【0025】その後、図4に示したようにアウタパネル
11の外周部11aをプレス成形によって折り曲げて、
アウタパネル11の外周部11aと本体部分11bとに
よって、インナパネル12の外周部12bを挟持する。
これにより、本第1実施形態の車体パネルのクリンチン
グ部用接着剤13を、アウタパネル11とインナパネル
12とが互いに対向する部分の全域にわたって、アウタ
パネル11とインナパネル12との間に介在させること
ができる。
【0026】このとき、図1に示したように、第2の粒
子15の粒径が第1の粒子14の粒径より大きいため、
プレス成形の際に負荷されるプレス圧力の大半を第2の
粒子15が受け持つことになる。これにより、第1の粒
子14がプレス圧力を受けて完全につぶれることを防止
できるから、アウタパネル11とインナパネル12との
間に、プレス圧力を受けたときの第1の粒子14の外形
寸法に等しい隙間tを確保することができる。
【0027】また、第2の粒子15の硬度は、アウタパ
ネル11およびインナパネル12の硬度よりも高い。こ
れにより、第2の粒子15は、図1に模式的に示したよ
うにアウタパネル11およびインナパネル12の表面に
食い込むので、接着剤組成物16が後工程において加熱
されて硬化し、パネルクリンチング部10においてアウ
タパネル11とインナパネル12とを確実に接着し固定
するまでの間、アウタパネル11およびインナパネル1
2が互いに位置ずれすることを確実に防止することがで
きる。
【0028】そして、この状態を保ちつつ自動車の車体
パネル全体を電着塗装塗膜の焼き付け乾燥工程に移動さ
せると、パネルクリンチング部10を接着し固定する接
着剤組成物16もまた加熱されて硬化する。このとき、
第1の粒子14は耐熱性の樹脂材料から製造されている
ので、アウタパネル11とインナパネル12との間の隙
間を確実に保持することができる。また、第1の粒子1
4が溶融して接着剤組成物16を変質させることもな
い。
【0029】電着塗装塗膜の焼き付け乾燥工程における
加熱により、接着剤組成物16が硬化してアウタパネル
11とインナパネル12との接着が完了すると、アウタ
パネル11およびインナパネル12は互いに直接接触し
ない状態で固定される。また、第1の粒子14と第2の
粒子15および硬化した接着剤組成物16のいずれもが
非導電性である。これにより、アウタパネル11および
インナパネル12は電気的に絶縁されるから、両者の間
に電食が生じることを確実に防止することができる。
【0030】第2実施形態 次に、図5を参照し、第2実施形態の車体パネルのクリ
ンチング部用接着剤20の構成およびその作用効果につ
いて説明する。
【0031】上述した第1実施形態の車体パネルのクリ
ンチング部用接着剤13においては、第2の粒子15を
ガラス、セラミック等の硬質無機材料から製造した。こ
れに対して、本第2実施形態の車体パネルのクリンチン
グ部用接着剤20においては、第1の粒子21ばかりで
なく第2の粒子22もまた、ガラス繊維入りポリアミド
等の非導電性で耐熱性の樹脂材料から製造する。
【0032】すなわち、第1の粒子21は、ガラス繊維
入りポリアミド等の非導電性で耐熱性の樹脂材料から製
造した、単品状態で約0.2〜0.4ミリメートルの直
径を有する球状の粒子で、アウタパネル11のプレス成
形に用いるアルミ板の硬度よりも低い硬度を有してい
る。また、パネルクリンチング部10をプレス成形する
際のプレス圧力が負荷されたときに、少なくとも約0.
1〜0.25ミリメートルの外形寸法tを維持できるよ
うに、そのばね定数および圧縮強度が設定されている。
さらに、この第1の粒子14は、自動車の車体パネルに
施した電着塗装塗膜の焼き付け乾燥を行う際の約140
℃〜200℃で約15〜20分間という温度条件におい
て、その形状を保持できる程度の耐熱性を有している。
【0033】第2の粒子22は、ガラス繊維入りポリア
ミド等の非導電性で耐熱性の樹脂材料から製造した、単
品状態で約0.5〜1.0ミリメートルの直径を有する
球状の粒子である。また、パネルクリンチング部10を
プレス成形する際に所定の値を超えたプレス圧力が負荷
されると、第1の粒子21の外形寸法よりも小さい外形
寸法まで弾性変形できるように、そのばね定数が設定さ
れている。さらに、この第2の粒子15は、自動車の車
体パネルに施した電着塗装塗膜の焼き付け乾燥を行う際
の約140℃〜200℃で約15〜20分間という温度
条件において、その形状を保持できる程度の耐熱性を有
している。
【0034】一方、パネルクリンチング部10をプレス
成形する際には、パネルクリンチング部10の形状を凍
結するために、折り曲げたアウタパネル外周部11aを
充分に押圧し、図5に示したようにインナパネル外周部
12bに対してオーバーストロークさせる必要がある。
このとき、アウタパネル外周部11aの周縁11cはイ
ンナパネル外周部12bの表面に極めて接近し若しくは
接触するが、この様なアウタパネル外周部11aの周縁
11cの変位を第2の粒子22が妨げたのでは具合が悪
い。
【0035】しかしながら、本第2実施形態のおける第
2の粒子22は、所定の値を超えたプレス圧力が負荷さ
れると、図5に示したように第1の粒子21の外形寸法
よりも小さい外形寸法まで弾性変形するから、アウタパ
ネル外周部11aの周縁1cの変位を妨げることがな
い。これにより、折り曲げたアウタパネル外周部11a
を充分に押圧することにより、インナパネル外周部12
bに対してオーバーストロークさせ、パネルクリンチン
グ部10の形状を確実に凍結することができる。
【0036】パネルクリンチング部10のプレス成形完
了後にプレス圧力を取り除くと、アウタパネル外周部1
1aはスプリングバックする。すると、弾性変形してい
た第1の粒子21および第2の粒子22は、共にスプリ
ングバックしたアウタパネル外周部11aに追従するの
で、図1に示したようにアウタパネル11とインナパネ
ル12との間に隙間tを形成することができる。
【0037】したがって、本第2実施形態の車体パネル
のクリンチング部用接着剤20によれば、アウタパネル
11およびインナパネル12の間に電食が生じることを
確実に防止することができるばかりでなく、パネルクリ
ンチング部10におけるアウタパネル外周部11aの形
状凍結性を向上させ、接着剤組成物23が後工程で加熱
され硬化するまでの間、アウタパネル11とインナパネ
ル12との位置ずれを確実に防止することができる。
【0038】以上、本発明に係る車体パネルのクリンチ
ング部用接着剤及びそれを用いた接着方法の各実施形態
ついて詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態に
よって限定されるものではなく、種々の変更が可能であ
ることは言うまでもない。例えば、上述した第2実施形
態においては、所定の値を超えたプレス圧力が負荷され
ると、第2の粒子22は第1の粒子21の外形寸法より
も小さい外形寸法まで弾性変形するようにしている。こ
れに対して、所定の値を超えたプレス圧力が負荷される
と第2の粒子が破砕するようにし、アウタパネル外周部
11aの周縁11cの変位を妨げることがないようにす
ることもできる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の車体パネルのクリンチング部用接着剤は、クリンチン
グ部をプレス成形するプレス圧力が負荷されたときにア
ウタパネルとインナパネルとの間に形成しようとする隙
間に等しい外形寸法を有する非導電性の多数の第1の粒
子と、この第1の粒子の粒径よりも大きな粒径を有する
非導電性の多数の第2の粒子とを、アウタパネルとイン
ナパネルとを接着する非導電性の接着剤組成物中に分散
させたものである。これにより、この接着剤をアウタパ
ネルとインナパネルとの間に介在させた状態でクリンチ
ング部をプレス成形すると、プレス圧力を受けたときの
第1の粒子の外形寸法に等しい隙間をアウタパネルとイ
ンナパネルとの間に確保することができる。そして、第
1の粒子と第2の粒子および接着剤組成物のいずれもが
非導電性であり、かつアウタパネルとインナパネルとが
直接接触することがないから、アウタパネルおよびイン
ナパネルは電気的に絶縁される。したがって、本発明の
車体パネルのクリンチング部用接着剤及びそれを用いた
接着方法によれば、異種金属製のパネル同士を組み合わ
せてクリンチング部を形成するときに、両パネルを電気
的に絶縁して電食の発生を確実に防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の車体パネルのクリ
ンチング部用接着剤を用いてパネルクリンチング部をプ
レス成形したときの状態を模式的に示す断面図。
【図2】本発明に係る第2実施形態の車体パネルのクリ
ンチング部用接着剤を用いてパネルクリンチング部をプ
レス成形している状態を模式的に示す断面図。
【図3】本発明に係る一実施形態のパネルクリンチング
部の接着方法の第1段階を模式的に示すクリンチング部
の断面図。
【図4】本発明に係る一実施形態のパネルクリンチング
部の接着方法の第2段階を模式的に示すクリンチング部
の断面図。
【図5】本発明に係る一実施形態のパネルクリンチング
部の接着方法の第3段階を模式的に示すクリンチング部
の断面図。
【図6】自動車のドアを示す斜視図。
【図7】図6中に示したA−破断線に沿った縦断面図。
【符号の説明】
1 自動車のドア 2 アウタパネル 2a 外周部 2b 本体部分 3 インナパネル 3a インナパネルの周縁 3b インナパネルの外周部 4 従来の接着剤 5 シーラ 10 パネルクリンチング部 11 アウタパネル 11a 外周部 11b 本体部分 12 インナパネル 12a 周縁 12b 外周部 13 本発明に係る第1実施形態のクリンチング部用接
着剤 14 第1の粒子 15 第2の粒子 16 接着剤組成物 20 本発明に係る第2実施形態のクリンチング部用接
着剤 21 第1の粒子 22 第2の粒子 23 接着剤組成物

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インナパネルの周縁に沿って折り返したア
    ウタパネルの外周部と前記アウタパネルの本体部分とに
    より前記インナパネルの外周部を挟持するクリンチング
    部において前記アウタパネルと前記インナパネルとの接
    着に用いる接着剤であって、 前記クリンチング部をプレス成形するプレス圧力が負荷
    されたときに、前記アウタパネルと前記インナパネルと
    の間に形成する隙間に略等しい外形寸法を有する非導電
    性の第1の粒子と、 この第1の粒子の粒径よりも大きな粒径を有する非導電
    性の第2の粒子とを、前記隙間中に介在して前記インナ
    パネルと前記アウタパネルとを接着する非導電性の接着
    剤組成物中に分散させた、ことを特徴とする車体パネル
    のクリンチング部用接着剤。
  2. 【請求項2】前記第1の粒子は、前記プレス圧力が負荷
    されたときに弾性変形することを特徴とする請求項1に
    記載の車体パネルのクリンチング部用接着剤。
  3. 【請求項3】前記第1の粒子は、前記アウタパネルおよ
    び前記インナパネルよりも低い硬度を有することを特徴
    とする請求項1または2に記載の車体パネルのクリンチ
    ング部用接着剤。
  4. 【請求項4】前記第2の粒子は、前記アウタパネルおよ
    び前記インナパネルよりも高い硬度を有することを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車体パネルの
    クリンチング部用接着剤。
  5. 【請求項5】前記第2の粒子は、所定の値を超えた前記
    プレス圧力が負荷されたときに、前記第1の粒子の外形
    寸法よりも小さい外形寸法まで弾性変形するばね定数を
    有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記
    載の車体パネルのクリンチング部用接着剤。
  6. 【請求項6】前記第2の粒子は、前記プレス圧力が所定
    の値を超えたときに破砕する強度を有することを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれかに記載の車体パネルのク
    リンチング部用接着剤。
  7. 【請求項7】前記第1の粒子および前記第2の粒子は、
    耐熱性の樹脂材料から製造されることを特徴とする請求
    項1乃至6のいずれかに記載の車体パネルのクリンチン
    グ部用接着剤。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7のいずれかに記載の車体パ
    ネルのクリンチング部用接着剤を用いて前記パネルクリ
    ンチング部にける前記アウタパネルと前記インナパネル
    とを接着する方法であって、 前記車体パネルのクリンチング部用接着剤を、前記アウ
    タパネルと前記インナパネルとが互いに対向する部分の
    全域にわたって前記アウタパネルと前記インナパネルと
    の間に介在させることを特徴とするパネルクリンチング
    部の接着方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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