JP2001316610A - 水性分散液フッ素樹脂塗料、および、これを用いたフッ素樹脂被覆物の製造方法 - Google Patents

水性分散液フッ素樹脂塗料、および、これを用いたフッ素樹脂被覆物の製造方法

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JP2001316610A
JP2001316610A JP2000137925A JP2000137925A JP2001316610A JP 2001316610 A JP2001316610 A JP 2001316610A JP 2000137925 A JP2000137925 A JP 2000137925A JP 2000137925 A JP2000137925 A JP 2000137925A JP 2001316610 A JP2001316610 A JP 2001316610A
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JP
Japan
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fluororesin
polyester
aqueous dispersion
finish
layer
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JP2000137925A
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English (en)
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Katsuya Yamada
克弥 山田
Soji Nishikawa
宗司 西川
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Sumitomo Electric Fine Polymer Inc
Original Assignee
Sumitomo Electric Fine Polymer Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属基材そのものの質感を保持し、しかも耐
久性のある透明性のフッ素樹脂被覆物を得て、情報通信
機器や、家庭電気製品の筐体等の外面に利用する。ま
た、そのような外観を有すると同時にコーティング後に
曲げ、フ゜レス成形、絞り、打ち抜き、張り出し等の塑性加
工を施すこともできる被覆物を得る。 【解決手段】 分子鎖中にカルボキシル基や硫酸基等の
アニオン性の官能基や水酸基、オキシエチレン基等のノ
ニオン性親水基を有するポリエステル微粒子を高分子界
面活性剤として用いて、低融点フッ素樹脂の水性分散液
を得、これを基材に塗布焼き付けする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話、パソコ
ン、モバイル等の情報通信機や、デジタルカメラ、家庭
用ケ゛ーム機器、ジャー炊飯器外装等の家庭電気製品の筐体
用として適した水性分散液フッ素樹脂塗料組成物、およ
び、これを用いたフッ素樹脂被覆物の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】フッ素樹脂は優れた非粘着性を有するが
故に、逆にアルミやSUS等へフッ素樹脂を被覆しようと
すると、これら金属基材との接着が難しい。そのため、
平板で被覆物を作製後にプレス成形や曲げ加工等の後加
工を行っても塗膜を保持でき、所望の塗膜特性を維持で
きるレベルまでの接着力を得るためには前処理が不可欠
であり、そのための検討が種々行われてきた。たとえ
ば、アルミ合金等の化学的あるいは電気化学的エッチン
グを施した後にフッ素樹脂を被覆してアンカー効果等の
物理的接着処理で接着する方法。また、ブラスト等の物
理的粗面化により接着界面の面積を大きくした上、必要
に応じて陽極酸化層や他の金属の酸化物層などの接着処
理層を形成し、その後フッ素樹脂にポリアミドイミドや
ポリエーテルスルホン等の接着成分をブレンドしたプラ
イマーを接着下地処理として、あるいは1コート剤とし
てコーティングする方法等である。これらの処理は煩雑
で、信頼性を得るための工程管理も複雑になり、工業的
にその製品コストを押し上げることになっている。しか
も、金属基材そのものの質感や金属特有の光沢や鏡面等
の質感、ヘアライン仕上げ、エンホ゛ス仕上げ、模様仕上げ等のそ
の金属独自の質感を活かした二次加工外観は、エッチン
グやプライマーの配合によって失われやすいため、これ
らの技術を持ってしても、例えばSUSの光沢外観を活か
した、しかも耐久性のある透明性のフッ素樹脂被覆物は
これまで実質的には得られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、金属基材そのものの質感や金属特有の光沢や鏡面等
の質感、ヘアライン仕上げ、エンホ゛ス仕上げ、模様仕上げ等のそ
の金属独自の質感を活かした二次加工外観等を活かせる
コーティング、例えばSUSの光沢外観を活かした、しか
も耐久性のある透明性のフッ素樹脂被覆物を得て、携帯
電話、パソコン、モバイル等の情報通信機器や、デジタ
ルカメラ、家庭用ケ゛ーム機器、ジャー炊飯器外装等の家庭
電気製品の筐体、ジャー炊飯器内釜、電子ジャー内釜、
オートベーカリー内釜、鍋、釜等の厨房機器の外面に利
用しようとするものである。また、そのような外観を有
すると同時にコーティング後に曲げ、フ゜レス成形、絞り、
打ち抜き、張り出し等の塑性加工を施すこともできる被
覆物を得ようとするものである。また、さらに、別の目
的としては、本発明の接着技術と、従来のエッチング他
の粗面化や陽極酸化処理等の表面処理、プライマー接着
処理とを組み合わせることによって、より高度な後加工
に耐え、かつ、より耐久性に優れた被覆物を得ようとす
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、分子鎖中にカ
ルボキシル基や硫酸基等のアニオン性の官能基や水酸
基、オキシエチレン基等のノニオン性親水基を有するポ
リエステル微粒子を高分子界面活性剤として用いること
により、水分散型の低融点フッ素樹脂分散液を得、これ
を基材に塗布焼き付けすることにより、基材そのものの
質感を活かしたフッ素樹脂被覆物を得ることを特徴とす
る。また、界面活性剤として用いるポリエステルを金属
との接着成分としても活用し、金属鏡面にも適用可能な
1コートタイプの水系PCM(フ゜レコートメタル)クリア塗料と
することも特徴とする。なお、本発明の特徴は、更に具
体的には、以下のように列記できる。 (1) フッ素樹脂粒子とポリエステル粒子を重量比で
5:95〜99:1含んでなり、固形分量が10〜70
重量%の水性分散液からなることを特徴とする水性分散
液フッ素樹脂塗料組成物。 (2) フッ素樹脂がフッ素化アルキレンとエチレンの
共重合体であることを特徴とする(1)に記載の水性分
散液フッ素樹脂塗料組成物。 (3) フッ素化アルキレンがテトラフルオロエチレン
であることを特徴とする(2)に記載の水性分散液フッ
素樹脂塗料組成物。 (4) フッ素樹脂粒子の平均粒径が1nm以上30μ
m以下であることを特徴とする(1)に記載の水性分散
液フッ素樹脂塗料組成物。 (5) ポリエステル粒子がアニオン性もしくはノニオ
ン性の官能基を有する共重合ポリエステルの粒子である
ことを特徴とする(1)に記載の水性分散液フッ素樹脂
塗料組成物。 (6) ポリエステル粒子の平均粒径が1nm以上1μ
m以下であることを特徴とする(1)に記載の水性分散
液フッ素樹脂塗料組成物。 (7) 水性分散液中の有機溶剤組成が、溶媒全体の0
〜40重量%であることを特徴とする(1)に記載の水
性分散液フッ素樹脂塗料組成物。 (8) 水性分散液中に、ポリエステルの架橋剤を含ん
でなることを特徴とする(1)に記載の水性分散液フッ
素樹脂塗料組成物。 (9) ポリエステルの架橋剤が、メラミン、イソシア
ネート、ポリオール、エポキシから選ばれる1種もしく
は2種以上の混合物であることを特徴とする(8)に記
載の水性分散液フッ素樹脂塗料組成物。 (10) ポリエステルの架橋剤が、ポリエステル10
0重量部に対して2〜45重量部配合されてなることを
特徴とする請求項8記載の水性分散液フッ素樹脂塗料組
成物。 (11) 水性分散液中に、全樹脂成分100重量部に
対して無機顔料、有機顔料、染料のいずれかもしくはそ
の混合物を1重量部以上100重量部以下含んでなるこ
とを特徴とする(1)に記載の水性分散液フッ素樹脂塗
料組成物。 (12) フッ素樹脂とポリエステルが5:95〜9
9:1の重量比で配合されてなる水性分散液フッ素樹脂
組成物を、金属基材上に、直接もしくはポリエステル層
を介して少なくとも1層、塗布焼き付けすることを特徴
とするフッ素樹脂被覆物の製造方法。 (13) 金属基材上、被覆層間もしくは最外面上に目
盛、模様、文字等を表す印刷層を設け、該印刷層の色を
下の層と異なるものとし、印刷層の上方の層は該印刷層
が目視判別できるように無色かもしくは少なくとも透明
性の着色とし、上下の層と接着性を有する樹脂と着色剤
により構成することを特徴とする(12)に記載のフッ
素樹脂被覆物の製造方法。 (14) フッ素樹脂とポリエステルとが配合されてな
る水性分散液フッ素樹脂組成物を少なくとも2層以上被
覆し、金属基材に近い層ほど層中のポリエステルの配合
比率が高い傾斜構造とすることを特徴とする(12)に
記載のフッ素樹脂被覆物の製造方法。 (15) 金属基材が、鉄、ステンレス、チタン、チタン合金、ニッケ
ル、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マク゛ネシウム、マク゛ネシウム
合金のいずれかであることを特徴とする(12)に記載
のフッ素樹脂被覆物の製造方法。 (16) 金属基材に、表面仕上げ形状として光沢仕上
げ、鏡面仕上げ、ヘアライン仕上げ、エンホ゛ス仕上げ、模様仕上
げのいずれかをなし、フッ素樹脂被覆物の層を無色もし
くは少なくとも基材の仕上げ状態が判別できる程度の透
明なものとすることを特徴とする(12)に記載のフッ
素樹脂被覆物の製造方法。 (17) 金属基材表面に、フ゛ラスト、機械研磨もしくはス
ハ゜ッタリンク゛による物理的粗面化、化学的もしくは電気化学
的エッチングによる化学的粗面化のいずれかにより、微
細な凹凸を付与せしめることを特徴とする(12)記載
のフッ素樹脂被覆物の製造方法。 (18) 金属基材が、その表面に、表面仕上げ形状と
して光沢仕上げ、鏡面仕上げ、ヘアライン仕上げ、エンホ゛ス仕上
げ、模様仕上げのいずれかをなした後あるいは、フ゛ラス
ト、機械研磨もしくはスハ゜ッタリンク゛による物理的粗面化、化
学的もしくは電気化学的エッチングによる化学的粗面化
のいずれかにより微細な凹凸が付与した後、その金属自
身の陽極酸化皮膜もしくは別の金属の酸化物の層を形成
することを特徴とする(12)に記載のフッ素樹脂被覆
物の製造方法。 (19) 金属基材上に、フッ素樹脂とポリエステルが
5:95〜99:1の重量比で配合されてなる水性分散
液フッ素樹脂組成物を直接もしくはポリエステル層を介
して少なくとも1層、塗布焼き付けして、平板状のフッ
素樹脂被覆物を予め作製した後、曲げ、フ゜レス成形、絞
り、打ち抜き、張り出し等の塑性加工を施すことを特徴
とするフッ素樹脂被覆物の製造方法。 (20) 金属基材上、被覆層間もしくは最外面上に目
盛、模様、文字等を表す印刷層を設け、該印刷層の色を
下の層と異なるものとし、印刷層の上方の層は該印刷層
が目視判別できるように無色かもしくは少なくとも透明
性の着色とし、上下の層と接着性を有する樹脂と着色剤
からなる平板状のフッ素樹脂被覆物を、予め該印刷が後
の組成加工後に所望の位置にくるように位置を決めて作
製した後、曲げ、フ゜レス成形、絞り、打ち抜き、張り出し
等の塑性加工を施すことを特徴とする(19)に記載の
フッ素樹脂被覆物の製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明に用いるフッ素樹脂として
は、製膜温度がポリエステルの熱分解温度以下のフッ素
樹脂であれば利用可能であるが、結晶融点が300℃以
下のものが好ましい。代表的なものとしては、FEP、PCT
FE、ETFE、PVdF等が挙げられる。結晶融点が200℃以
下の低融点のPVdF等を代表とするフッ素化アルキレンと
エチレンの共重合体、中でもテトラフルオロエチレンとエチレンの
共重合体等は、塗膜形成時の加熱による基材の金属表面
の酸化着色(いわゆるテンパーカラー)を生じさせずに
フッ素樹脂被覆させる上で、特に好ましい。本発明で
は、これらフッ素樹脂を粒子形態で用いる。その平均粒
径は、1nm以上、30μm以下が好ましい。粒子径が
大きすぎると、平滑な塗膜形成が難しくなる。
【0006】本発明に用いるポリエステルとしては、市
販されているポリエステルを任意に用いることが出来る
が、その分子鎖中にカルボキシル基や硫酸基等のアニオ
ン性の官能基や水酸基、オキシエチレン基等のノニオン
性親水基を有する共重合ポリエステルが好ましい。 ポ
リエステルも粒子形態で用いる。粒子径は、1nm以
上、1μm以下が好ましい。水中に分散させ、高分子界
面活性剤としての機能を発揮させることができる。この
ポリエステルの代表例としては、例えば、東洋紡(株)
製のバイロナール、ユニチカ(株)製のエリーテルKZA
シリーズ等が挙げられる。
【0007】前記のポリエステルを高分子界面活性剤と
して使用し、低融点フッ素樹脂の水分散化を行い、水性
分散液塗料組成物とすることが本発明の大きな特徴であ
る。従来、低融点のフッ素樹脂を用いた塗料としては、
有機溶剤溶液のものが通常使用されていた。そのため、
塗膜形成設備に防爆構造が必要であり、また、溶剤によ
る環境問題対策も必要であり、設備コストが高くなると
いう問題があった。水性分散液にすればこの問題点は解
決されるのだが、水性分散化するには、粒子の分散性を
維持するため界面活性剤を加える必要があり、フッ素樹
脂粒子を水に良好に分散させ得る界面活性剤の熱分解揮
散温度は200〜250℃であり、結晶融点が200〜
250℃以下の低融点フッ素樹脂に用いると塗膜形成温
度の方が低いため、製膜工程で界面活性剤を熱分解揮散
により除去出来ないという問題があった。また、界面活
性剤を無理に除去しようとして、高温に加熱すると、基
材の金属が酸化変色するという問題もある。後に分解除
去する必要のないポリエステルを高分子界面活性剤とし
て使用し、低融点フッ素樹脂の水性分散化を行い、水性
分散液塗料組成物とすることによりこれらの問題を一気
に解決することができたわけである。しかも、ポリエス
テルを基材の金属との接着成分として積極的に活用する
こともできる。フッ素樹脂とポリエステルとをブレンド
した塗料としては、粉体塗料も知られているが、粉体塗
料よりも、本発明の水性分散液塗料の方が、水分を蒸発
揮散させるときに働く、樹脂粒子相互の凝集力が強く、
緻密な塗膜が得られるので好ましい。また、ポリエステ
ルのみの水性分散液塗料と比べると、本発明の水性分散
液フッ素樹脂塗料は、できあがった塗膜の防汚性が優れ
ている。
【0008】水分散塗料中のフッ素樹脂とポリエステル
の重量比は、製品の要求特性に応じて任意に決めればよ
いが、フッ素樹脂の防汚性等の添加効果が発現する濃度
としてフッ素樹脂5重量%以上が好ましく、ポリエステ
ルの高分子界面活性剤としての機能を発現する濃度とし
てポリエステル1重量%以上が好ましい。即ちフッ素樹
脂とポリエステルの重量比は5:95〜99:1が好ま
しい。さらに、フッ素樹脂の防汚性等の添加効果が明確
に発現する濃度としてフッ素樹脂10重量%以上がより
好ましく、ポリエステルの金属への接着剤としての機能
を充分に発現する濃度としてポリエステル5重量%以上
が好ましい。即ちフッ素樹脂とポリエステルの重量比は
10:90〜95:5がより好ましい。
【0009】水性分散液塗料中の固形分量は、通常の一
般的な水性分散液の固形分濃度であればよく、10〜7
0重量%が適正である。尚、塗料中には水に加えてブチ
ルセロソルブやイソプロパノール、有機アミン等の有機
溶媒を併用しても良い。これらはポリエステル水性分散
液製品に予め配合されているグレードについてはそのま
ま使用しても良いし、更に同種もしくは異種の有機溶媒
を添加しても良い。しかし、主溶媒になるほどに有機溶
媒を添加することは好ましくなく、水と有機溶媒を加え
た全分散媒中の濃度として、有機溶媒は、40重量%以
下であることが好ましい。
【0010】ポリエステルに対しては架橋剤を配合して
も良い。むしろ、架橋剤を併用配合してポリエステルを
架橋することにより、金属基材との接着性、製膜性、塗
膜強度、硬度、耐傷性、耐熱性等を向上させることが出
来て好ましい。但し、架橋が過度になると、可撓性の低
下、プレス成形性の低下等の悪影響も引き起こすため、
目的性能に応じその架橋剤の種類の選定、量の設定を適
正に行う必要がある。架橋剤は、熱溶融性の汎用ポリマ
ーに通常用いられるものであれば任意に使用できるが、
代表的にはメラミン、イソシアネート、ポリオール、エ
ポキシ等が挙げられ、これらを1種もしくは2種以上の
混合物として用いることができる。その選択は上述のよ
うに目的性能に応じて行う。架橋剤の量も上述の通り目
的性能に応じて設定され、架橋剤の種類によっても適正
量が異なるが、ポリエステル100重量部に対して2〜
45重量部添加することが好ましい。
【0011】本発明の塗料、塗膜は、無色透明にして金
属基材そのものの質感を活かす被覆として好適に用いら
れるが、本発明によれば、そればかりでなく塗膜特性や
加工性も向上させられることから、着色剤によって着色
しても何等その価値を失うものではなく、要求に応じて
任意の着色をすればよい。本発明で用いる着色剤として
は、低融点のフッ素樹脂を用いることで選択の範囲が広
がり、フッ素樹脂に良く適用される無機顔料はもちろん
のこと、有機顔料、染料を用いることができる。これら
はフッ素樹脂やポリエステルの製膜温度を踏まえて、耐
熱性を考えて適宜選択される。その範囲で任意の着色剤
を、意匠の目的に応じて任意に単独あるいは混合物とし
て用いる。配合量も目的特性に応じて適宜設定される
が、全樹脂成分100重量部に対して1〜100重量部
の範囲で配合するのが好ましい。
【0012】被覆物製造の態様として、製造コスト上は
単層に被覆するのが最も有利である。しかしながら、よ
り加工性や表面の防汚性に優れた被覆物を得るために、
ポリエステル層を接着層としてその上に1層もしくは2
層以上のフッ素樹脂とポリエステルの混合物を被覆して
も良い。多層の被覆物として、金属基材に近い層ほど層
中のポリエステル比率を大きくすることもできる。この
方が基材との接着性やプレス等の後加工性や表面の防汚
性に優れたものを得やすく好ましい。
【0013】また、意匠性に重点を置いた態様として、
印刷層を設けることができる。印刷層は上下の層と接着
性を有する樹脂と着色剤からなる。樹脂としては、ポリ
エステルをベースにしてもフッ素樹脂とポリエステルの
混合物をベースにしても良い。印刷層を設ける場所は、
金属基材上、被覆層間もしくは最外面上のいずれでも良
く、性能やコストを勘案して適宜設定する。印刷層の目
的が、主として目盛、模様、文字等を表すためである場
合は、該印刷層の色が下の層と異なり、印刷層の上方の
層は該印刷層が目視判別できるように無色かもしくは少
なくとも透明性の着色であることが必要である。
【0014】抗菌やスリップ防止等の機能を付与するこ
とを目的として、目的に応じて添加剤を加えた層を設け
ることができる。その層に、着色剤は必須ではないが、
上下の層と接着性の観点から少なくともポリエステルも
しくはこれと接着性を有するポリマーをベースにするこ
とが好ましい。
【0015】本発明に用いる基材は金属、セラミック、
ガラス、耐熱フ゜ラスチック等から任意に選ぶことができる
が、本発明の適用分野に、より合致させる観点からは、
金属基材が最も効果的に適用される。金属の種類は特に
限定されないが、本発明の適用分野で良く用いられるも
のとして、鉄、ステンレス、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合
金、アルミニウム、アルミニウム合金、マク゛ネシウム、マク゛ネシウム合金が挙げ
られ、好ましい。金属基材の素材そのものとしての質感
を外観に有効に活かすために、現在行われている各種の
金属表面の仕上げ加工を任意に選択できるが、代表的な
表面仕上げ形状として光沢仕上げ、鏡面仕上げ、ヘアライン
仕上げ、エンホ゛ス仕上げ、模様仕上げが挙げられる。これ
らの仕上げ面に被覆する場合は、フッ素樹脂被覆物の層
が無色もしくは少なくとも基材の仕上げ状態が判別でき
る程度の透明性を有することが好ましい。
【0016】被覆物に、後から曲げ、フ゜レス成形、絞り、
打ち抜き、張り出し等の塑性加工を施す場合で特に厳し
い加工を行うときは、より強固な基材との接着力を得な
がら、加工性を保持するのが好ましく、その場合は金属
基材表面を、フ゛ラスト、機械研磨もしくはスハ゜ッタリンク゛による
物理的粗面化、化学的もしくは電気化学的エッチングに
よる化学的粗面化のいずれかを行うことにより微細な凹
凸が付与しておくのがより好ましい。
【0017】また、この他に接着力や基材そのものの耐
食性等を向上させる方法として、金属基材表面に、表面
仕上げ形状として光沢仕上げ、鏡面仕上げ、ヘアライン仕上
げ、エンホ゛ス仕上げ、模様仕上げのいずれかがなされた後
あるいは、フ゛ラスト、機械研磨もしくはスハ゜ッタリンク゛による物
理的粗面化、化学的もしくは電気化学的エッチングによ
る化学的粗面化のいずれかにより微細な凹凸が付与され
た後、その金属自身の陽極酸化皮膜もしくは別の金属の
酸化物の層を形成するのも好ましい。
【0018】本発明によれば、平板状のフッ素樹脂被覆
物を予め作製した後、曲げ、フ゜レス成形、絞り、打ち抜
き、張り出し等の塑性加工を施して良好な成型物を得る
ことが可能である。また、金属基材上、被覆層間もしく
は最外面上に目盛、模様、文字等を表す印刷層を形成
し、該印刷層の色を下の層と異なるようにし、印刷層の
上方の層は該印刷層が目視判別できるように無色かもし
くは少なくとも透明性の着色とし、印刷層の樹脂成分を
上下の層と接着性を有する樹脂にして、予め該印刷が後
の組成加工後に所望の位置にくるように位置を決めて平
板状のフッ素樹脂被覆物を作製した後、曲げ、フ゜レス成
形、絞り、打ち抜き、張り出し等の塑性加工を施すこと
により、目盛、模様、文字等を有する成型物を得ること
ができる。
【0019】
【実施例】ユニチカ(株)製の共重合ポリエステル(KZ
A5023、固形分30wt%)(A)400gと、テトラフルオロエチレ
ンとエチレンのランダム共重合体(結晶融点120℃)
の重合上がりの水性分散液(固形分30wt%)(B)6
00gとを混合した。通常、(B)だけでは1〜2日で
沈殿凝集するところ、(A)と(B)との混合液は30
日間放置しても安定に分散が保たれ、凝集沈殿しなかっ
た。ポリエステルが高分子界面活性剤として有効に機能
している結果と思われる。この混合分散液に、ポリエス
テルの架橋剤として三井サイテック(株)製メラミン樹
脂(サイメル325、固形分80wt%、イソフ゛タノール溶液)40
gを加え、更に着色マイカ(メルクジャパン社製、イリ
オジン235)15.8gを加え、表面張力低下剤とし
てダイキン工業(株)製フッ素系界面活性剤(DS40
1)10gを加えて、ホモジナイザーで良く攪拌し、塗
料とした。鏡面仕上げした板厚0.5mmのSUS430材
サークル(φ420mm)に上記塗料をスピンコートし、
180℃で10分間焼き付けて、膜厚24μmの塗膜を
得た。光沢と透明感のあるク゛リーンの塗膜で、SUSのテンパ
ーカラーの着色もなく、SUSの鏡面光沢が透視でき、良
好な外観の被覆物であった。表面の鉛筆硬度は3H。5m
mのエリクセン張り出し部の碁盤目クロスカット100マスをセロテー
プ(登録商標)で剥離試験した結果、60回で剥離無し
(残存率100/100)。折り曲げ試験3Tで剥離、白化やサ゛ラ
ツキ等の異常なしと、良好な機械特性を示し、家電機器等
の筐体に成形する際の曲げ加工に充分耐えうる被覆物と
判定された。
【0020】
【発明の効果】以上に述べた通り、分子鎖中にカルボキ
シル基や硫酸基等のアニオン性の官能基や水酸基、オキ
シエチレン基等のノニオン性親水基を有するポリエステ
ル微粒子を高分子界面活性剤として用いることにより、
安定に分散が保たれる低融点フッ素樹脂の水性分散液を
得ることができ、これを基材に塗布焼き付けすることに
より、金属基材そのものの質感を保持し、しかも耐久性
のある透明性のフッ素樹脂被覆物を得て、情報通信機器
や、家庭電気製品の筐体等の外面に利用することがで
き、また、そのような外観を有すると同時にコーティン
グ後に曲げ、フ゜レス成形、絞り、打ち抜き、張り出し等の
塑性加工を施すこともできる被覆物を得ることができ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 BB02X BB02Z BB04X BB04Z BB06X BB06Z BB29Z CA02 DA06 DB01 DC18 DC38 EA10 EB16 EB35 EB56 EB57 4J038 CD091 CD092 CD121 CD122 DB002 DD001 DD002 DG111 DG112 DG191 DG192 JB18 JB36 KA03 MA08 MA10 MA14 NA01 NA12 PA07 PA19 PC02 PC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂粒子とポリエステル粒子を重
    量比で5:95〜99:1含んでなり、固形分量が10
    〜70重量%の水性分散液からなることを特徴とする水
    性分散液フッ素樹脂塗料組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステル粒子がアニオン性もしくは
    ノニオン性の官能基を有する共重合ポリエステルの粒子
    であることを特徴とする請求項1記載の水性分散液フッ
    素樹脂塗料組成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステル粒子の平均粒径が1nm以
    上1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の水
    性分散液フッ素樹脂塗料組成物。
  4. 【請求項4】 水性分散液中に、ポリエステルの架橋剤
    を含んでなることを特徴とする請求項1記載の水性分散
    液フッ素樹脂塗料組成物。
  5. 【請求項5】 フッ素樹脂とポリエステルが5:95〜
    99:1の重量比で配合されてなる水性分散液フッ素樹
    脂組成物を、金属基材上に、直接もしくはポリエステル
    層を介して少なくとも1層、塗布焼き付けすることを特
    徴とするフッ素樹脂被覆物の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属基材上、被覆層間もしくは最外面上
    に目盛、模様、文字等を表す印刷層を設け、該印刷層の
    色を下の層と異なるものとし、印刷層の上方の層は該印
    刷層が目視判別できるように無色かもしくは少なくとも
    透明性の着色とし、上下の層と接着性を有する樹脂と着
    色剤により構成することを特徴とする請求項5記載のフ
    ッ素樹脂被覆物の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属基材表面に、フ゛ラスト、機械研磨もし
    くはスハ゜ッタリンク゛による物理的粗面化、化学的もしくは電
    気化学的エッチングによる化学的粗面化のいずれかによ
    り、微細な凹凸を付与せしめることを特徴とする請求項
    5記載のフッ素樹脂被覆物の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属基材が、その表面に、表面仕上げ形
    状として光沢仕上げ、鏡面仕上げ、ヘアライン仕上げ、エンホ゛ス
    仕上げ、模様仕上げのいずれかをなした後あるいは、フ゛
    ラスト、機械研磨もしくはスハ゜ッタリンク゛による物理的粗面化、
    化学的もしくは電気化学的エッチングによる化学的粗面
    化のいずれかにより微細な凹凸が付与した後、その金属
    自身の陽極酸化皮膜もしくは別の金属の酸化物の層を形
    成することを特徴とする請求項5記載のフッ素樹脂被覆
    物の製造方法。
  9. 【請求項9】 金属基材上に、フッ素樹脂とポリエステ
    ルが5:95〜99:1の重量比で配合されてなる水性
    分散液フッ素樹脂組成物を直接もしくはポリエステル層
    を介して少なくとも1層、塗布焼き付けして、平板状の
    フッ素樹脂被覆物を予め作製した後、曲げ、フ゜レス成形、
    絞り、打ち抜き、張り出し等の塑性加工を施すことを特
    徴とするフッ素樹脂被覆物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008086681A1 (en) * 2007-01-08 2008-07-24 Lattice Power (Jiangxi) Corporation Method for fabricating metal substrates with high-quality surfaces
CN104356788A (zh) * 2014-11-20 2015-02-18 深圳市广田环保涂料有限公司 一种橘纹效果氟碳漆及其制备方法和使用方法

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