JP2001316326A - アクリル酸の製造方法 - Google Patents

アクリル酸の製造方法

Info

Publication number
JP2001316326A
JP2001316326A JP2000134344A JP2000134344A JP2001316326A JP 2001316326 A JP2001316326 A JP 2001316326A JP 2000134344 A JP2000134344 A JP 2000134344A JP 2000134344 A JP2000134344 A JP 2000134344A JP 2001316326 A JP2001316326 A JP 2001316326A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic acid
ppm
distillation
maleic
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000134344A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4601120B2 (ja
Inventor
Takashi Nakagawa
貴史 中川
Hiromune Tashiro
裕統 田代
Koji Tomita
幸次 富田
Ikuya Nagao
郁也 長尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Petrochemical Co Ltd filed Critical Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority to JP2000134344A priority Critical patent/JP4601120B2/ja
Priority to TW90110032A priority patent/TWI242550B/zh
Priority to PCT/JP2001/003648 priority patent/WO2001085665A1/ja
Publication of JP2001316326A publication Critical patent/JP2001316326A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4601120B2 publication Critical patent/JP4601120B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/42Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C51/43Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation
    • C07C51/44Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation by distillation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/16Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by oxidation
    • C07C51/21Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by oxidation with molecular oxygen
    • C07C51/25Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by oxidation with molecular oxygen of unsaturated compounds containing no six-membered aromatic ring
    • C07C51/252Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by oxidation with molecular oxygen of unsaturated compounds containing no six-membered aromatic ring of propene, butenes, acrolein or methacrolein
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/42Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C51/50Use of additives, e.g. for stabilisation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 接触気相酸化法で得られた粗アクリル酸か
ら、アルデヒド類、ケトン類、マレイン酸類などの不純
物を十分に除去しつつ、スラッジの生成も抑制して、経
済的に高純度アクリル酸を製造する方法の提供。 【解決手段】 接触気相酸化によって得られたアクリル
酸含有酸化生成液を共沸脱水処理して得られた粗アクリ
ル酸を、該粗アクリル酸中のマレイン酸および無水マレ
イン酸の総濃度を2,000ppm以下とし、ヒドラジ
ン類化合物の共存下で蒸留することを特徴とするアクリ
ル酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル酸の製造
方法に関し、さらに詳しくは、接触気相酸化により得ら
れた粗アクリル酸を精製することにより高純度のアクリ
ル酸を経済的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル酸は、反応性に富む化合物であ
り、各種重合体用モノマーや各種重合性エステルの原料
として使用されている重要な化合物である。このアクリ
ル酸は、固体酸化触媒の存在下、プロピレン及び/又は
アクロレインを気相状態で分子状酸素により酸化する方
法、すなわち、接触気相酸化により工業的に製造されて
いる。このアクリル酸の接触気相酸化による製造方法で
は、反応が水蒸気存在下に実施されるために、通常酸化
生成物はアクリル酸含有酸化生成液(水溶液)の状態で
得られる。
【0003】このアクリル酸含有酸化生成液は、アクリ
ル酸の他に、アクリル酸との分離が困難なフルフラー
ル、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、マレイン
酸、無水マレイン酸、酢酸などのカルボン酸類を多く含
有している。このアクリル酸含有水溶液から、アクリル
酸を回収するには、生成液を脱水処理したのち、蒸留に
よる精製手段を用いてアクリル酸を得る方法が一般的で
ある。
【0004】ここで、前記の酸化生成液の脱水処理方法
としては、一般にケトン、酢酸エステルなどの溶剤を用
いた溶剤抽出方法とトルエン、メチルイソブチルケトン
などの水と共沸する溶剤を用いた共沸脱水方法がよく知
られている。この溶剤抽出方法を採用すると、マレイン
酸類は容易に除去されるものの、コストの点で実用的で
なく、経済的な観点から共沸脱水方法が有利であり工業
的に優れている。
【0005】アクリル酸は、近年高吸収性樹脂や高分子
凝集剤など多くの分野で用いられているが、その重合性
が重要になってきており、粗アクリル酸に含まれるアル
デヒドなどの不純物が大きな問題となっている。したが
って、これらの不純物を除去精製する必要があり、多く
の方法が提案されている。
【0006】たとえば、特公昭58−37290号公報
には、粗製アクリル酸の脱水工程において、アクリル酸
と同程度の揮発性を有するアルデヒドやケトン類に水加
ヒドラジンを反応させて、縮合物であるヒドラジンやア
ジンに変換して分離除去する方法が提案されている。し
かしこの精製方法はアルデヒド類の除去効率が十分でな
い問題点がある。
【0007】また、特開平7−228548号公報に
は、粗製アクリル酸にヒドラジン化合物とジチオカルバ
ミン酸銅を添加して100℃以下の温度で蒸留する方法
が提案されている。この方法の採用により、粗製アクリ
ル酸の精製工程での蒸留塔へのアクリル酸の重合による
生成付着を抑制しつつ、アルデヒド類などの不純物の分
離除去により精製しようとするものであるが、不純物除
去の点、すなわちアクリル酸の品質の点からは前記特許
と同様な問題点がある。
【0008】他のアクリル酸の製造方法としては、アク
リル酸連続製造方法の最終蒸留カラムに、25〜100
℃の温度で、粗アクリル酸と特定のアミン類を粗アクリ
ル酸中のアルデヒド及びマレイン酸及び無水マレイン酸
の全モル数を基準として0.1〜2.0のモル比の最少
有効レベルを含む供給流を供給し、最終蒸留カラムの上
部に、前記基準として0.01〜1.0のモル比の他の
特定のアミン類を供給するアクリル酸の製造方法(特開
平7−330659号公報、特開平9−124546号
公報)がある。
【0009】さらに、共沸脱水処理した粗アクリル酸に
ヒドラシン類などの脱アルデヒド剤と脂肪族アミン、複
素環式アミン、芳香族モノアミンの少なくとも一種のア
ミン類を添加して蒸留精製するアクリル酸の製造方法
(特開平9−208514号公報)、粗アクリル酸をヒ
ドラジン及びアンモニアの共存下で蒸留する高純度のア
クリル酸の製造方法(特開平10−87552号公
報)、共沸脱水処理前にアクリル酸含有水溶液を蒸発処
理する方法で製品化塔における重合付着物を軽減する方
法〔不純物の除去のためにはアミン類、ヒドラジン類な
どを用いることには変わらない〕(特開平11−217
350号公報)が提案されている。
【0010】これらのアクリル酸の製造方法は、いずれ
にしても粗アクリル酸に含まれる不純物としての、アル
デヒド類、マレイン酸、無水マレイン酸をヒドラジン
類、アミン類、アンモニアなどを添加することにより、
反応生成物として除去しようとするものである。しかし
ながら、これらアクリル酸の製造方法では、ヒドラジン
類などによる脱アルデヒド反応がマレイン酸類により阻
害される問題点が知られている。
【0011】このため、マレイン酸類をアミンなどのケ
ミカルで除去することにより、アルデヒドとヒドラジン
類の反応性を確保する方法が取られている。しかしなが
ら、マレイン酸類あるいはその反応生成物の残存など脱
アルデヒドの効率は十分でなく、脱アルデヒド剤の過剰
の使用が必要となるとともに、精製度にも限界がある。
また、これらの方法では、添加剤の反応生成物がスラッ
ジを形成することとなり、長期連続運転性においても問
題が有る場合がある。さらに、これらの方法では、結果
的に製品アクリル酸中の水分上昇を招くという問題点が
ある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、接触気相酸
化法で得られた粗アクリル酸から、高純度アクリル酸を
製造する方法であって、アルデヒド類、ケトン類、マレ
イン酸類などの不純物を十分に除去することができ、ス
ラッジの生成が抑制され、長期連続運転が可能な経済性
にすぐれた方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、アクリル
酸の製造における前記問題点である、脱アルデヒド剤、
アミンなどの添加剤と添加量、スラッジの生成、精製ア
クリル酸中に残存する不純物量の関係などについて鋭意
検討を重ねた結果、粗アクリル酸から、マレイン酸類を
特定レベルまで除去した場合に、アクリル酸の蒸留精製
での添加剤の使用量を大幅に低減でき、スラツジの生成
も少なく、しかも著しく純度が向上することを見いだし
た。本発明は、これらの知見をもとになされたものであ
る。
【0014】すなわち、本発明は、 (1) 接触気相酸化によって得られたアクリル酸含有
酸化生成液を共沸脱水処理して得られた粗アクリル酸
を、該粗アクリル酸中のマレイン酸および無水マレイン
酸の総濃度を2,000ppm以下とし、ヒドラジン類
の共存下で蒸留することを特徴とするアクリル酸の製造
方法。 (2) マレイン酸および無水マレイン酸の総濃度が5
00〜1,000ppmである(1)記載のアクリル酸
の製造方法。 (3) ヒドラジン類化合物が、下記一般式(1)で示
される化合物あるいはその水和物である(1)または
(2)記載のアクリル酸の製造方法。
【0015】
【化2】
【0016】〔式中、R1 、R2 は、それぞれ水素原
子、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、置換基を
有するフェニル基または脂環式炭化水素基を示す。〕 (4) 蒸留時のヒドラジン類の添加を蒸留塔の前段階
および/または蒸留塔中で行う請求項1〜3のいずれか
に記載のアクリル酸の製造方法を要旨とするものであ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明における接触気相酸化によって得られる粗
アクリル酸は、プロピレ及び/又はアクロレインの接触
気相酸化によって得られたアクリル酸含有酸化生成液を
共沸脱水処理してなる粗アクリル酸が用いられる。この
アクリル酸含有生成液は、プロピレンの一段酸化法によ
って得られた反応生成液であってもよく、二段酸化法に
よつて得られた生成液でもよい。これらのアクリル酸含
有生成液は、反応に水蒸気を用いるために、アクリル酸
水溶液の状態で得られる。
【0018】このアクリル酸含有酸化生成液の組成は、
酸化方法の形式、酸化反応条件などにより異なる。しか
し、一般的には、各成分の含有量が、アクリル酸50〜
80質量%、水20〜50質量%、マレイン酸0.3〜
2質量%、フルフラール100〜500ppm、ベンズ
アルデヒド100〜500ppm程度である。本発明で
は、まず、経済的な脱水手段である、共沸脱水処理方法
によりアクリル酸含有酸化生成液から水分を除去するこ
とにより粗アクリル酸を得る。
【0019】この共沸脱水処理方法としては、特に制限
はなくアクリル酸の製造方法において公知の方法を採用
することができる。たとえば、共沸剤としては、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、メチルイソ
ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジイソブチレンま
たはこれらの混合物を用い、約10〜25kPa程度の
減圧下で共沸脱水処理を行う。
【0020】この共沸脱水処理によって、共沸脱水塔の
塔底液中の水分濃度は1,000ppm以下となる。ま
た、共沸脱水塔の塔頂からは、水、酢酸、共沸剤、低沸
点アルデヒド類が除去される。水と共沸剤は相互に溶解
しないことが望ましく、留出液は系外へ導き、油相は還
流液として共沸塔へもどされ循環使用される。この共沸
脱水処理により、塔底より粗アクリル酸が得られる。さ
らに、必要に応じて酢酸等の軽質成分を除去してもよ
い。
【0021】ついで、この粗アクリル酸は、重質成分分
離処理、たとえば重質成分分離塔に導き、通常の蒸留手
段によつて留出液を得る。この留出液中には、水、酢
酸、共沸剤、アルデヒドなどの低沸点物である不純物を
含有する粗アクリル酸が得られる。また、塔底液は、マ
レイン酸、無水マレイン酸などのマレイン酸類の濃度の
高いアクリル酸となり、適宜系外に導き除去する。
【0022】ここで、重質成分分離塔での蒸留条件は、
粗アクリル酸中のマレイン酸および無水マレイン酸の総
濃度が2,000ppm以下、好ましくは1,500p
pm以下、より好ましくは1,000ppmとなるよう
に設定される。本発明のアクリル酸の製造方法では、こ
の重質成分分離塔でのマレイン酸類の濃度を低くするこ
とが好ましいが、後記の実施例より明らかなように、5
00〜1,000ppm程度にすることにより、次の蒸
留工程において高純度のアクリル酸を製造できることが
明らかとなった。
【0023】すなわち、高純度アクリル酸の製造方法に
おいて、マレイン酸類の含有が問題点として存在し、こ
れはケミカルによる方法が一般的であった。しかし、本
発明者らの検討により、驚くべきことに、あるレベルで
の物理的除去と言う簡便手段によって問題点が解消でき
ることが明らかになったものである。したがって、マレ
イン酸類を限りなくゼロにするような、莫大な経費を要
する蒸留塔、蒸留条件の採用は必要なく、経済的に行う
ことができることが本発明の大きな特徴である。
【0024】この重質成分の分離、除去のための蒸留分
離は、特に制限されるものではないが、通常、圧力5〜
15kPa、塔底温度60〜90℃程度の条件で行われ
る。次に、マレイン酸類の濃度が低下した粗アクリル酸
は、最終精製処理である蒸留塔で処理される。この蒸留
処理をヒドラジン類の存在下に行うものである。本発明
で重要なことは、(イ)この蒸留塔へ供給される粗アク
リル酸中のマレイン酸類の濃度が2,000ppm以下
であること。(ロ)この条件の粗アクリル酸に対して、
ヒドラジン類を添加することである。
【0025】ここで、マレイン酸類濃度の低下した粗ア
クリル酸へヒドラジン類を添加する条件としては特に制
限はなく、蒸留塔の前段階および/または蒸留塔中へ行
うことができる。たとえば、粗アクリル酸と予め混合し
た後蒸留塔へ供給する、供給口で同時に供給する、別々
に供給する方法が採用できる。ここで予め混合して供給
するためには、攪拌機やポンプ循環ラインを有する供給
粗アクリル酸タンクを用いる方法や供給ラインにスタテ
ックミキサーやラインミキサーを設ける方法が採用でき
る。
【0026】添加されるヒドラジン類としては、特に制
限はないが、下記の一般式(1)で示される化合物ある
いはその水和物を好ましく例示できる。
【0027】
【化3】
【0028】〔式中、R1 、R2 はそれぞれ水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、置換基を有す
るフェニル基または脂環式炭化水素基を示す。〕 ヒドラジン類の具体例としては、ヒドラジン、フェニル
ヒドラジン、トリルヒドラジン、α,α−メチルフエニ
ルヒドラジン、α,α−ジフエニルヒドラジン、β−ナ
フチルヒドラジンなど、あるいはこれらの水和物を例示
できる。なお、これらのヒドラジン類あるいはその水和
物は複数用いることもできる。
【0029】ヒドラジン類の添加量は、蒸留塔に供給さ
れる粗アクリル酸に含まれる不純物の濃度によって適宜
選定できる。具体的には、不純物のアルデヒド類に対し
て、1〜8倍、好ましくは3〜5倍〔各モル当量〕であ
る。
【0030】この粗アクリル酸の蒸留手段としては特に
制限はなく、各種蒸留塔が用いられ、その蒸留条件の一
例としては、圧力5〜10kPa程度、塔底の液温60
〜90℃程度の条件が採用される。この蒸留の塔頂留出
液としての高純度のアクリル酸は、供給される粗アクリ
ル酸の60〜90容量%程度の範囲で得られる。この精
製アクリル酸は、フルフラール、ペンズアルデヒド、マ
レイン酸などの不純物を精製条件の選定により1ppm
以下にすることが可能となる。
【0031】本発明のアクリル酸の製造方法は、共沸脱
水処理、重質成分分離処理、蒸留処理などの工程でなさ
れる。これらの工程、設備、処理条件などは、処理手
段、装置サイズ、粗アクリル酸の組成、回収率、精製ア
クリル酸の目的とする純度などにより異なり、本願発明
で特定した以外については、適宜決められる。また、ア
クリル酸は、重合し易い化合物であるので、蒸留などの
条件は、極力低圧、低温の条件を採用することが好まし
い。
【0032】また、本発明のアクリル酸の製造方法に於
ける蒸留操作は、回分蒸留とすることもできるが、連続
蒸留とすることが、工業的、生産性の点から好ましい。
また、アクリル酸の重合を防止するために、必要によ
り、重合防止剤として公知の化合物である、ハイドロキ
ノン、メトキシフェノール、ハイドロキノンモノメチル
エーテルなどのフェノール類、フェノチアジン、ジフェ
ニルアミンなどのアミン類、ジブチルジチオカルバミン
酸銅などの銅塩、酢酸マンガンなどのマンガン塩、ニト
ロ化合物、ニトロソ化合物などを添加することができ
る。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によりさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら
限定されるものではない。なお、アクリル酸中の不純物
の定量は、ガスクロマトグラフィ法を用いた。
【0034】実施例1 (1)共沸脱水処理 プロピレンの一段接触気相酸化により得られたアクリル
酸含有酸化生成液を、充填剤が充填された小型蒸留装置
(共沸脱水装置)〔径:2.6mm、長さ:600m
m〕に、35ml/時間の速度で、かつ共沸溶剤として
トルエンを135ml/時間の速度で連続的に供給し、
塔頂における圧力:17.5kPa、温度:85℃の条
件で共沸脱水処理を行い粗アクリル酸を得た。この、
粗アクリル酸中には、フルフラール:470ppm、
ベンズアルデヒド:450ppm、マレイン酸類:1
1,000ppmが含まれていた。
【0035】(2)重質成分分離蒸留 上記(1)で得られた、粗アクリル酸を、充填剤が充
填された小型蒸留装置(重質成分分離塔)〔径:2.6
mm、長さ:600mm〕に、30ml/時間の速度で
連続的に供給し、塔頂における圧力:5.3kPa、温
度:65℃、塔底圧力:10.0kPa、塔底温度:8
2℃の条件で蒸留し、留出液としての粗アクリル酸を
得た。この、粗アクリル酸中には、フルフラール:2
30ppm、ベンズアルデヒド:60ppm、マレイン
酸類:880ppmが含まれていた。すなわち、マレイ
ン酸類含有量が2,000ppm以下になるように除去
されていた。
【0036】(3)アクリル酸の蒸留処理 上記(2)で得られた、粗アクリル酸と共にヒドラジ
ン1水和物:590ppm〔アルデヒド類(フルフラー
ルとベンズアルデヒドの和)に対して4倍モル当量)を
添加して、充填剤が充填された小型蒸留装置(アクリル
酸蒸留塔)〔径:2.6mm、長さ:600mm〕に、
30ml/時間の速度で連続的に供給し、塔頂における
圧力:5.3kPa、温度:65℃、塔底圧力:10.
0kPa、塔底温度:79℃の条件で蒸留し、塔頂留出
液として供給液に対して、75容量%の量の精製された
高純度のアクリル酸を得た。
【0037】得られた高純度アクリル酸中のフルフラー
ル、ベンズアルデヒド、マレイン酸類は全て1ppm以
下、水分は570ppmであった。なお、蒸留塔塔底液
中のフルフラールは10ppm、ベンズアルデヒドは1
5ppm、マレイン酸類は50ppmであった。また、
この際蒸留塔塔底での析出物は認められなかった。
【0038】実施例2 実施例1において、ヒドラジン水和物を予め粗アクリル
酸と5分間混合した後、アクリル酸蒸留塔に連続的に
供給した以外は、実施例1と同様にして、塔頂留出液と
して精製された高純度のアクリル酸を得た。得られた高
純度アクリル酸中のフルフラール、ベンズアルデヒド、
マレイン酸類は全て1ppm以下、水分は590ppm
であった。なお、蒸留塔塔底液中のフルフラールは7p
pm、ベンズアルデヒドは11ppm、マレイン酸類は
43ppmであった。また、この際蒸留塔塔底での析出
物は認められなかった。
【0039】比較例1 実施例1の(1)で得られたマレイン酸類を11,00
0ppm含む粗アクリル酸と共にヒドラジン1水和
物:1,830ppm〔アルデヒド類に対して4倍モル
当量〕を添加して、アクリル酸蒸留塔に連続的に供給し
た以外は実施例1と同様にして、塔頂留出液として精製
されたアクリル酸を得た。得られた精製アクリル酸中の
フルフラールは8ppm、ベンズアルデヒドは1pp
m、マレイン酸類は15ppm、水分は1,750pp
mであった。なお、蒸留塔塔底液中のフルフラールは1
50ppm、ベンズアルデヒドは240ppm、マレイ
ン酸類は31,000ppmであった。また、この際蒸
留塔塔底では多量の析出物が認められた。
【0040】比較例2 実施例1の(1)で得られたマレイン酸類を11,00
0ppm含む粗アクリル酸と共にヒドラジン1水和
物:2,740ppm〔ヒドラジン類に対して6倍モル
当量〕を添加して、アクリル酸蒸留塔に連続的に供給し
た以外は実施例1と同様にして、塔頂留出液として精製
アクリル酸を得た。得られた精製アクリル酸中のフルフ
ラールは5ppm、ベンズアルデヒドは1ppm、マレ
イン酸類は10ppm、水分は2,630ppmであっ
た。なお、蒸留塔塔底液中のフルフラールは110pp
m、ベンズアルデヒドは180ppm、マレイン酸類は
23,000ppmであった。また、この際蒸留塔塔底
では比較例1よりも多量の析出物が認められた。
【0041】比較例3 実施例1の(2)での蒸留条件を変更し、フルフラー
ル:290ppm、ベンズアルデヒド:130ppm、
マレイン酸類:2,500ppmを含む粗アクリル酸
を得た。これにヒドラジン1水和物:850ppm〔ヒ
ドラジン類に対して4倍モル当量〕を添加して、アクリ
ル酸蒸留塔に連続的に供給した以外は実施例1と同様に
して、塔頂留出液として精製アクリル酸を得た。得られ
た精製アクリル酸中のフルフラールは2ppm、ベンズ
アルデヒドは1ppm、マレイン酸類は4ppm、水分
は810ppmであった。なお、蒸留塔塔底液中のフル
フラールは40ppm、ベンズアルデヒドは30pp
m、マレイン酸類は4,500ppmであった。また、
この際蒸留塔塔底では析出物が認められた。
【0042】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、プロピレン
及び/又はアクロレインの接触気相酸化により得られる
粗アクリル酸から高純度のアクリル酸を、蒸留精製時の
スラッジの発生を抑制して、経済的に有利に製造するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC46 AD11 AD12 AD40 BC13 BE30 BS10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接触気相酸化によって得られたアクリル
    酸含有酸化生成液を共沸脱水処理して得られた粗アクリ
    ル酸を、該粗アクリル酸中のマレイン酸および無水マレ
    イン酸の総濃度を2,000ppm以下とし、ヒドラジ
    ン類の共存下で蒸留することを特徴とするアクリル酸の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 マレイン酸および無水マレイン酸の総濃
    度が500〜1,000ppmである請求項1記載のア
    クリル酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 ヒドラジン類が、下記一般式(1)で示
    される化合物あるいはその水和物である請求項1または
    2記載のアクリル酸の製造方法。 【化1】 〔式中、R1 、R2 は、それぞれ水素原子、炭素数1〜
    3のアルキル基、フェニル基、置換基を有するフェニル
    基または脂環式炭化水素基を示す。〕
  4. 【請求項4】 蒸留時のヒドラジン類の添加を蒸留塔の
    前段階および/または蒸留塔中で行う請求項1〜3のい
    ずれかに記載のアクリル酸の製造方法。
JP2000134344A 2000-05-08 2000-05-08 アクリル酸の製造方法 Expired - Lifetime JP4601120B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000134344A JP4601120B2 (ja) 2000-05-08 2000-05-08 アクリル酸の製造方法
TW90110032A TWI242550B (en) 2000-05-08 2001-04-26 Method for producing acrylic acid
PCT/JP2001/003648 WO2001085665A1 (fr) 2000-05-08 2001-04-26 Procede de production d'acide acrylique

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000134344A JP4601120B2 (ja) 2000-05-08 2000-05-08 アクリル酸の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001316326A true JP2001316326A (ja) 2001-11-13
JP4601120B2 JP4601120B2 (ja) 2010-12-22

Family

ID=18642642

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000134344A Expired - Lifetime JP4601120B2 (ja) 2000-05-08 2000-05-08 アクリル酸の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP4601120B2 (ja)
TW (1) TWI242550B (ja)
WO (1) WO2001085665A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003020311A (ja) * 2001-05-01 2003-01-24 Nippon Shokubai Co Ltd アクリル酸(塩)重合体、その製造方法およびその用途
JP2011231133A (ja) * 2003-11-26 2011-11-17 Rohm & Haas Co 水分含量が低減された(メタ)アクリル酸の製造プロセス
JP2012501299A (ja) * 2008-07-22 2012-01-19 アルケマ フランス グリセロールからバイオ資源のプロピオン酸を製造する方法
JP2012502893A (ja) * 2008-09-16 2012-02-02 アルケマ フランス グリセリンから生物起源のポリマーグレートのアクリル酸を製造する方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5571386A (en) * 1994-05-31 1996-11-05 Rohm And Haas Company Process for grade acrylic acid
JPH09208515A (ja) * 1996-02-07 1997-08-12 Idemitsu Petrochem Co Ltd アクリル酸の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003020311A (ja) * 2001-05-01 2003-01-24 Nippon Shokubai Co Ltd アクリル酸(塩)重合体、その製造方法およびその用途
JP2011231133A (ja) * 2003-11-26 2011-11-17 Rohm & Haas Co 水分含量が低減された(メタ)アクリル酸の製造プロセス
JP2012501299A (ja) * 2008-07-22 2012-01-19 アルケマ フランス グリセロールからバイオ資源のプロピオン酸を製造する方法
JP2012502893A (ja) * 2008-09-16 2012-02-02 アルケマ フランス グリセリンから生物起源のポリマーグレートのアクリル酸を製造する方法
JP2014205670A (ja) * 2008-09-16 2014-10-30 アルケマ フランス グリセリンから生物起源のポリマーグレートのアクリル酸を製造する方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2001085665A1 (fr) 2001-11-15
JP4601120B2 (ja) 2010-12-22
TWI242550B (en) 2005-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6465934B2 (ja) メタノールのカルボニル化工程のストリームからの過マンガン酸還元性化合物の除去
JP5078606B2 (ja) メタノールのカルボニル化工程のストリームからの過マンガン酸還元性化合物の除去
JP3682092B2 (ja) 純粋グレードのアクリル酸の製造方法
KR20000049277A (ko) 카보닐화 공정 스트림으로부터 과망간산염 환원 화합물 및 알킬요오다이드를 제거하는 방법
US4518462A (en) Distillation process for purifying methyl methacrylate
JP2004091432A (ja) アクリル酸製造プロセスにおける重合防止方法
JP4361995B2 (ja) アクリル酸の精製方法
EP0976702A1 (en) Method for inhibiting polymerization of a vinyl compound
JP4601120B2 (ja) アクリル酸の製造方法
JP7016366B2 (ja) (メタ)アクリル酸の精製方法におけるポリマーの析出防止方法
JP4942878B2 (ja) (メタ)アクリル酸エステルの精製方法
JPH1017524A (ja) (メタ)アクリル酸の精製法
US20050187405A1 (en) Process for producing purified (meth)acrylic acid
JPH1087552A (ja) 高純度アクリル酸の製造方法
JPH0217151A (ja) メタクリル酸メチルの安定化方法
JP2003206257A (ja) (メタ)アクリル酸の製造方法
AU2011205162A1 (en) Removal of permanganate reducing compounds from methanol carbonylation process stream

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20041216

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100112

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100907

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100928

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131008

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4601120

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

EXPY Cancellation because of completion of term