JP2001316224A - 水中固化性皮膜組成物、それを用いた美爪料および美爪方法 - Google Patents

水中固化性皮膜組成物、それを用いた美爪料および美爪方法

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JP2001316224A
JP2001316224A JP2001057344A JP2001057344A JP2001316224A JP 2001316224 A JP2001316224 A JP 2001316224A JP 2001057344 A JP2001057344 A JP 2001057344A JP 2001057344 A JP2001057344 A JP 2001057344A JP 2001316224 A JP2001316224 A JP 2001316224A
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ether
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solvent
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JP2001057344A
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Katsuyuki Kaneko
勝之 金子
Ryota Yamazaki
亮太 山崎
Suehito Yabu
季仁 薮
Isamu Kaneda
勇 金田
Toshio Hariki
利男 梁木
Yoshikazu Soyama
美和 曽山
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Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は塗膜固化を短時間に行い得る
とともに、美爪料としての使用性にも問題を生じない水
中固化性皮膜組成物を提供することにある。 【解決手段】 非水溶性皮膜基剤と、前記非水溶性皮膜
基剤を溶解し、且つ水と相溶性のある溶剤と、を含み、
前記溶剤がアセトン、メチルエチルケトン、またはそれ
らの混合液を溶剤中50重量%以上含み、且つアセト
ン、メチルエチルケトン、またはそれらの混合液と相溶
性がありその沸点が100℃以上の化合物を溶剤中15
重量%以上含む組成物であり、該組成物塗膜を水中に浸
した場合に、該塗膜中の残存溶剤及び浸入水による混合
液中で前記非水溶性皮膜基剤が析出することを特徴とす
る水中固化性皮膜組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水中固化性皮膜組成
物およびそれを用いた美爪料、美爪方法特に水中で短時
間に塗膜を固化させる組成物の溶剤の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】ネールエナメル、ネールエナメルベース
コート、ネールエナメルオーバーコートなどに代表され
る皮膜組成物は、一般にニトロセルロースなどの非水溶
性皮膜基剤を酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンなどの
有機溶剤中に溶解して構成される。そして、このような
皮膜組成物のうち美爪料には、所定の色調や光沢が適正
に得られることは無論、 爪に塗りやすい適度な粘度があること、 塗布した後はできる限り速やかに乾燥し、均一な皮膜
を形成すること、 皮膜が爪によく密着し、はがれにくいこと 等が要求される。
【0003】このうち、すみやかな乾燥性と均一な皮膜
形成性は、特に密接に関係しており、あまりに乾燥が速
すぎると塗布する作業の間に粘度が上がり、あるいは固
化してしまうため、均一な皮膜形成が困難となる一方、
乾燥が遅すぎれば使用性に影響が出てしまい、通常は3
ないし8分間で乾燥皮膜を形成するように調整してい
る。しかしながら、前記乾燥時間に関してはより一層短
くすることが要望されていた。
【0004】そこで従来においても、美爪料中の溶媒を
揮発ではなく、濃度勾配による放出により除去する方法
も考慮されている。例えば特開昭47−43348号公
報には、美爪料を塗布した後にその塗布部位を水中に浸
漬し、塗膜中の溶媒を水中に放出させることにより塗膜
固化を早くする技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この水
中固化性美爪料にあっては、水中浸漬により白化した不
均一な膜が形成されやすく、また塗布時の筆跡が塗膜に
残り、塗りムラを生じるなど、美爪料として求められる
機能を十分に満足するものではなかった。本発明は前記
従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は
塗膜固化を短時間に行い得るとともに、美爪料等として
の使用性にも問題を生じない水中固化性皮膜組成物、そ
れを用いた美爪料および美爪方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、溶剤として特定
のケトン系溶媒及び沸点が100℃以上の溶媒の混合系
を用いることにより、均一な皮膜形成、短時間の塗膜固
化を行い得ることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち本発明にかかる水中固化性皮膜組成物は、
非水溶性皮膜基剤と、前記非水溶性皮膜基剤を溶解し、
且つ水と相溶性のある溶剤と、を含み、前記溶剤がアセ
トン、メチルエチルケトン、またはそれらの混合液を溶
剤中50重量%以上含み、且つアセトン、メチルエチル
ケトン、またはそれらの混合液と相溶性がありその沸点
が100℃以上の化合物を溶剤中15重量%以上含む組
成物であり、該組成物塗膜を水中に浸した場合に、該塗
膜中の残存溶剤及び浸入水による混合液中で前記非水溶
性皮膜基剤が析出することを特徴とする。
【0007】また、本発明にかかる水中固化性皮膜組成
物において、前記沸点が100℃以上の化合物は下記式
(I)〜(III)で表される化合物であることが好適で
ある。
【化4】 (なお、前記式Iにおいて、R,RはC=1〜18
のアルキル基を示す。)
【化5】 (なお、前記式IIにおいて、R,RはC=1〜18
のアルキル基またはアシル基を示し、R,RはHま
たはC=1〜18のアルキル基を示し、m,nはそれぞ
れ1〜20の整数を示す。)
【化6】 (なお、前記式IIIにおいて、Rはアシル基またはC
=3〜18のアルキル基を示す。)
【0008】また、前記式(I)の化合物は、3-ペン
タノン、2-ペンタノン、2-メチル-3-ペンタノン、3
-ヘキサノン、2-ヘキサノン、3-メチル-2-ペンタノ
ン、4-メチル-2-ペンタノンから選択される一種また
は二種以上であることが好適である。
【0009】また、前記式(II)の化合物は、エチレン
グリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプ
ロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテ
ル、エチレングリコールジペンチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール
ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエ
ーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリ
エチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレング
リコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジ
プロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエ
ーテルから選択される一種または二種以上であることが
好適である。
【0010】また、前記式(III)の化合物は、エチレ
ングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチ
ルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル
から選択される一種または二種以上であることが好適で
ある。
【0011】また、本発明にかかる水中固化性美爪料
は、水中でその塗膜の固化をおこなうことを特徴とす
る。また、本発明にかかる両用型美爪料は、爪に塗布し
た際に、空気中では3〜10分間で乾燥して皮膜を形成
し、水中では2分間以下浸漬することにより皮膜を形成
することを特徴とする。
【0012】また、本発明にかかる美爪方法は、前記美
爪料を塗布した後、該塗布部を水中に浸漬し、塗膜を固
化させることを特徴とする。また、前記美爪方法におい
て、水中への浸漬時間が2分以下で塗膜を固化させるこ
とが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。図1には本発明の水中固化性皮膜組成
物の使用状態と皮膜の形成機構が示されている。同図に
示すように、本発明にかかる水中固化性皮膜組成物は無
論空気中においても乾燥するが、爪に組成物を塗布した
状態(図1(A))で、水に浸漬することにより塗膜固
化を著しく早くすることができる(図1(B),
(C))。これは、該組成物の塗膜を水中に浸漬するこ
とにより、該塗膜中の溶剤が水中に急激に吸い出され、
塗膜の乾燥に寄与するとともに、塗膜中に分配された水
により塗膜中の溶剤組成に変化を生じ、皮膜成分の析出
を助長するためと考えられる。
【0014】すなわち、図2には本発明にかかる水中固
化性皮膜組成物により形成した塗膜を水中に浸漬した場
合の、ガスクロマトグラフによる塗膜内組成の変化が示
されている。同図より明らかなように、塗膜内の溶剤は
水中に急激に放出されるが、一方塗膜内への水の浸入も
認められる。そして、例えば水浸漬時間2分間以下を想
定するならば、この時間内に水と溶剤の混合液中で皮膜
形成剤が析出することが要請される。一方、水中で皮膜
形成剤を析出させると、溶媒の種類によっては皮膜の白
化が生じ、組成物を美爪料として用いた場合には事実上
美爪効果を喪失してしまう。そこで本発明者らは溶媒と
してアセトン、メチルエチルケトンを見出したのであ
る。
【0015】本発明の美爪料は爪に塗布後、水または温
水に浸すことで膜成分が析出し、爪上で皮膜を形成す
る。その際の乾燥時間は塗布後2分以内程度である。な
お、本発明にかかる美爪料を塗布した場合、水への浸漬
前に10秒〜30秒ほど気中で予備乾燥を行うことが好
適である。また、本発明の美爪料を爪に塗布し、空気中
に放置した場合にも、水に浸漬した場合よりは長時間を
要するが、通常の美爪料と同様に乾燥し、皮膜を形成す
ることができる。
【0016】さらに、本発明の水中固化性皮膜組成物に
は、通常用いられる皮膜形成剤、樹脂類、可塑剤、有機
変性粘土鉱物、顔料、増粘剤、香料、保湿剤、油分、薬
剤、水溶性成分などを本発明の目的の範囲内で適宜配合
することができる。前記皮膜形成剤としては、例えばニ
トロセルロース1/2秒、ニトロセルロース1/4秒、
ニトロセルロース1/8秒、ニトロセルロース1/16
秒などが例示される。
【0017】また、樹脂としては、例えばアルキッド系
樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、シュークロース系樹脂、スルホンア
ミド系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ
系樹脂、エポキシ系樹脂などが例示される。また、可塑
剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフ
タレート、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリ
ブチル、クエン酸アセチルトリエチル、カンファー等が
例示される。
【0018】また、配合可能な顔料その他の粉体として
は、タルク、カオリン、絹雲母、白雲母、合成雲母、金
雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライ
ト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、ケイ
酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウ
ム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチ
ウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパ
タイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミックスパウダ
ーなどの無機粉末、ナイロンパウダー、ポリエチレンパ
ウダー、ベンゾグアナミンパウダー、四弗化エチレンパ
ウダー、スチレンジビニルベンゼンコポリマーパウダ
ー、ジスチレンベンゼンピンホールポリマーパウダー、
微結晶セルロースなどの有機粉体、酸化チタン、酸化亜
鉛などの無機白色系顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン
酸鉄などの無機赤色系顔料、γ−酸化鉄などの無機褐色
系顔料、黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料、黒酸化
鉄、カーボンブラックなどの無機黒色系顔料、マンゴバ
イオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色系顔
料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルトなど
の無機緑色系顔料、群青、紺青などの無機青色系顔料、
酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、オキシ塩化
ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、魚鱗箔、着色
酸化チタンコーテッド雲母などのパール顔料、ベントン
等の粘土鉱物、アルミニウムパウダー、カッパーパウダ
ーなどの金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、
赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色22
6号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙
色204号、黄色205号、黄色401号及び青色40
4号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色10
6号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤
色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色
202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等のジ
ルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキなどの
有機顔料、クロロフィル、ベータカロチンなどの天然色
素、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カル
シウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化
アルミニウム、シリカ、水酸化鉄、二酸化チタン、低次
酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化マン
ガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、チタン酸鉄、チタ
ン酸コバルト等が例示され、一種または二種以上が選択
される。また、増粘剤としては、ベントン27、ベント
ン38等の有機変性粘土鉱物、アクリル系高分子、多糖
類、カルボキシビニルポリマー等の高分子化合物を配合
することができる。
【0019】また、本発明にかかる水中固化性皮膜組成
物の水による塗膜固化性を応用することが可能な用途と
しては塗料、カーワックス、薄膜形成法等が例示され、
さらに美爪料以外の他の化粧料へも応用可能である。化
粧料への応用例としては、ボディーペイント、パック、
パップ剤、ネールアートペン等が挙げられる。
【0020】以下、実施形態に基づき本発明を詳細に説
明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではな
い。また、以下の実施形態で用いる配合量は重量%で示
す。また、ニトロセルロースについてはいずれも30%
イソプロピルアルコール溶液を用いている。
【0021】[評価方法]実施形態の説明に先立ち、そ
の評価方法について説明する。乾燥時間 各試料を爪へ塗布(1度塗り)し、水に適当な時間浸し
た後、形成された皮膜に指先で触れ、指紋がつくか否か
を観察した。そして、塗布直後から指紋がつかなくなる
までの水に浸す時間を下記の基準にて評価した。 ○:〜2分間 △:2〜5分間 ×:5分間〜
【0022】塗布のしやすさ 各試料を10mlの筆つきガラス瓶に充填し、爪への塗り
やすさについて下記基準により総合評価した。 ○:良好(きれいに滑らかに塗れる) △:やや不良(やや塗りにくい) ×:不良(塗りにくい)
【0023】皮膜の均一性 各試料を爪へ塗布(一度塗り)し、水に適当な時間浸し
た後、爪上に形成された皮膜を下記基準により総合評価
した。 ○:良好(きれいで滑らかな皮膜) △:やや不良(やや曇った皮膜) ×:不良(白化した皮膜)
【0024】美しい仕上がり 女性パネルの爪に試料を塗布し、塗布部を水につけて乾
燥させ皮膜を形成した後、その仕上がりを目視で下記基
準により総合評価した。 ◎:筆跡やかすれが見られずすべての爪がきれいに仕上
がる。 ○:筆跡やかすれがほとんど見られずほぼすべての爪が
きれいに仕上がる。 △:筆跡やかすれが見られる指がある。 ×:ほとんどの指できれいに仕上がっていない。
【0025】[溶剤の選択]まず、本発明者らは各種溶
剤による水中での皮膜形成能について検討を行った。そ
の結果を次の表1に示す。
【表1】 成分 試験例1 2 3 4 5 ニトロセルロース 15.0 15.0 15.0 15.0 15.0 アセトン 85.0 メチルエチルケトン 85.0エチレンク゛リコールモノエチルエーテル 85.0 42.5 酢酸ブチル 85.0変性アルコール 42.5 乾燥時間 ○ ○ ○ × ○皮膜の均一さ ○ ○ × − ×
【0026】上記表1より明らかなように、溶剤として
アセトン、メチルエチルケトンを用いた場合には、水中
での乾燥が短時間に行われ、しかも白化などを生じるこ
となく皮膜の均一性にも優れている。
【0027】しかしながら、美爪料に汎用される酢酸ブ
チルを主溶媒として用いたものは、水中での乾燥が行わ
れず、またエチレングリコールモノエチルエーテル及び
変性アルコールを用いた従来技術にあっては確かに水中
での乾燥は行われるものの、皮膜の一部に白化が認めら
れ、皮膜の均一性に欠けるという欠点があった。次に、
本発明者らはアセトンに他の一般的溶媒を混合した系に
ついて検討を行った。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】 成分 試験例 6 7 8 9 10 ニトロセルロース 15.0 15.0 15.0 15.0 15.0 アセトン 85.0 59.5 42.5 25.5 0酢酸ブチル 0 25.5 42.5 59.5 85.0 アセトン/(酢酸ブチル+アセトン) 100% 70 50 30 0 乾燥時間 ○ ○ ○ △ ×皮膜の均一さ ○ ○ ○ × −
【0029】上記表2より、アセトンに対し、一般的溶
媒である酢酸ブチルを混合していったところ、50%程
度までは十分に良好な皮膜特性が維持されたが、酢酸ブ
チルが50%を大きく超えると皮膜の均一性などの特性
が著しく悪化する傾向にある。さらに本発明者らはアセ
トン、メチルエチルケトンに、他の溶媒を混合した系に
ついて検討を行った。その評価結果を次の表3及び表4
に示す。
【0030】
【表3】試験例 11 12 13 14 15 16 17 ニトロセルロース 20 20 20 20 20 20 20 アセトン 80 48 48 48 48 48 48 3-メチル-2-フ゛タノン(沸点:94-95℃) − 32 − − − − − 2-ヘ゜ンタノン(沸点:100-110℃) − − 32 − − − − 4-メチル-2-ヘ゜ンタノン(沸点:117-118℃) − − − 32 − − − 2-ヘキサノン(沸点:127℃) − − − − 32 − − DEGDEE(沸点:188℃) − − − − − 32 −EGMBE(沸点:171-172℃) − − − − − − 3 アセトン/溶剤総量(重量%) 100 60 60 60 60 60 60 乾燥時間 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 皮膜の均一さ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 塗布のしやすさ △ ○〜△ ○ ○ ○ ○ ○美しい仕上がり △ ○〜△ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ DEGDEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル EGMBE:エチレングリコールモノブチルエーテル
【0031】上記表3より明らかなように、アセトンに
揮発性の低い高沸点の溶媒(沸点100℃以上)を混合
した場合には良好な乾燥時間、白化しない均一な皮膜が
得られ、塗布がしやすく美しい仕上がりが得られる。一
方、アセトン単独あるいは揮発性の比較的高い(沸点1
00℃以下)溶媒を混合した場合にはアセトンの揮発が
速く塗布がし辛くなり、筆跡やかすれが皮膜表面に残り
仕上がりの美しさが不充分であった。
【0032】
【表4】試験例 18 19 20 21 22 23 24 ニトロセルロース 20 20 20 20 20 20 20 メチルエチルケトン 80 48 48 48 48 48 48 3-メチル-2-フ゛タノン(沸点:94-95℃) − 32 − − − − − 2-ヘ゜ンタノン(沸点:100-110℃) − − 32 − − − − 4-メチル-2-ヘ゜ンタノン(沸点:117-118℃) − − − 32 − − − 2-ヘキサノン(沸点:127℃) − − − − 32 − − DEGDEE(沸点:188℃) − − − − − 32 −EGMBE(沸点:171-172℃) − − − − − − 3 メチルエチルケトン/溶剤総量(重量%)100 60 60 60 60 60 6 乾燥時間 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 皮膜の均一さ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 塗布のしやすさ ○〜△ ○ ○ ○ ○ ○ ○美しい仕上がり ○〜△ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ DEGDEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル EGMBE:エチレングリコールモノブチルエーテル
【0033】上記表4より明らかなように、メチルエチ
ルケトンに揮発性の低い高沸点の溶媒(沸点100℃以
上)を混合した場合には良好な乾燥時間、白化しない均
一な皮膜が得られ、塗布がしやすく美しい仕上がりが得
られる。一方、メチルエチルケトン単独あるいは揮発性
の比較的高い(沸点100℃以下)溶媒を混合した場合
にはメチルエチルケトンの揮発が速くやや塗布がし辛く
なり、筆跡やかすれが皮膜表面に残り仕上がりの美しさ
がやや不充分であった。次に本発明者らは沸点が100
℃以上の溶媒の配合量と塗布のしやすさ、美しい仕上が
りとの関係について検討を行った。その結果を表5およ
び表6に示す。
【0034】
【表5】試験例 25 26 27 28 ニトロセルロース 20 20 20 20 アセトン 72 68 64 48 4-メチル-2-ヘ゜ンタノン(4M2PN) 8 12 16 32 4M2PN/溶剤総量(重量%) 10 15 20 40 塗布のしやすさ △ ○ ○ ○ 美しい仕上がり ○ ◎ ◎ ◎ 乾燥時間 ○ ○ ○ ○ 皮膜の均一さ ○ ○ ○ ○
【0035】上記表5より明らかなように、アセトンを
含む溶剤中に沸点100℃以上の溶媒(4−メチル−2
−ペンタノン:沸点117−118℃)を溶剤あたり1
5重量%以上混合した場合には良好な乾燥時間、皮膜の
均一性と共に充分な塗布のしやすさ、美しい仕上がりが
得られる。一方、4−メチル−2−ペンタノンの配合量
が15重量%に満たない場合には塗布のしやすさ、美し
い仕上がりが不充分であった。
【0036】
【表6】試験例 29 30 31 32 ニトロセルロース 20 20 20 20 メチルエチルケトン 72 68 64 48 2−ヘキサノン 8 12 16 32 2-ヘキサノン/溶剤総量(重量%) 10 15 20 40 塗布のしやすさ ○〜△ ○ ○ ○ 美しい仕上がり ○ ◎ ◎ ◎ 乾燥時間 ○ ○ ○ ○ 皮膜の均一さ ○ ○ ○ ○
【0037】上記表6より明らかなように、メチルエチ
ルケトンを含む溶剤中に沸点100℃以上の溶媒(2−
ヘキサノン:沸点127℃)を溶剤あたり15重量%以
上混合した場合には良好な乾燥時間、皮膜の均一性と共
に充分な塗布のしやすさ、美しい仕上がりが得られる。
一方、2−ヘキサノンの配合量が15重量%に満たない
場合には塗布のしやすさ、美しい仕上がりが不充分であ
った。次に本発明者らは沸点100℃以上の前記式(I
I)、(III)で表される化合物を配合した溶剤を用いて
さらに各皮膜特性を評価した。その結果を表7〜9に示
す。
【0038】
【表7】試験例 33 34 35 36 ニトロセルロース 15.0 15.0 15.0 15.0 スルホンアミド樹脂 7.0 7.0 7.0 7.0 クエン酸エステル 4.0 4.0 4.0 4.0 アセトン 50.0 50.0 40.0 50.0 MEK - - 17.5 - DEGDEE 20.0 - 12.5 - TEGDME - 20.0 - - DEGDBE - - - 20.0 着色剤 4.0 4.0 4.0 4.0 乾燥時間 ○ ○ ○ ○ 塗布のしやすさ ○ ○ ○ ○ 皮膜の均一性 ○ ○ ○ ○ 美しい仕上がり ◎ ◎ ◎ ◎ MEK:メチルエチルケトン DEGDEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル TEGDME:トリエチレングリコールジメチルエーテル DEGDBE:ジエチレングリコールジブチルエーテル
【0039】
【表8】試験例 37 38 39 40 41 42 ニトロセルロース 20 20 20 20 20 20 ショ糖エステル樹脂 8 8 8 8 8 8 クエン酸エステル 8 8 8 8 8 8 DEGDEE 7.5 7.5 7.5 7.5 15 11.3 MEK 22.5 30 33.75 11.25 22.5 22.5 EGMBE 15 15 15 15 15 15 アセトン 15 7.5 3.75 26.25 7.5 11.3着色剤 4 4 4 4 4 4 乾燥時間 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 塗布のしやすさ ○ ○ ○ ○ ○ ○皮膜の均一性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ DEGDEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル MEK:メチルエチルケトン EGMBE:エチレングリコールモノブチルエーテル
【0040】
【表9】試験例 43 44 45 46 47 48 ニトロセルロース 20 20 20 20 20 20 ショ糖エステル樹脂 8 8 8 8 8 8 クエン酸エステル 8 8 8 8 8 8 DEGDEE 7.5 15 11.3 − − − MEK 33.75 15 33.8 33.8 22.5 11.3 EGMBE 15 15 15 15 15 15 アセトン 3.75 15 − 11.3 22.5 33.8着色剤 4 4 4 4 4 4 乾燥時間 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 塗布のしやすさ ○ ○ ○ ○ ○ ○皮膜の均一性 ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0041】沸点100℃以上の前記式(II)、(II
I)の化合物を配合した上記各試料はいずれも優れた各
特性を有していた。
【0042】
【実施例】以下、本発明のより具体的な実施例について
説明する。以下に本発明の水中固化性皮膜組成物を美爪
料として用いた場合の配合例を示す。配合例1 ニトロセルロース 20.0重量% ショ糖エステル樹脂 8.0 クエン酸エステル 8.0 ジエチレングリコールジエチルエーテル 10.0 アセトン 5.0 メチルエチルケトン 45.0 着色剤 4.0
【0043】配合例2 ニトロセルロース 20.0 ショ糖エステル樹脂 8.0 クエン酸エステル 8.0 ジエチレングリコールジエチルエーテル 15.0 アセトン 45.0 着色剤 4.0
【0044】配合例3 ニトロセルロース 20.0 ショ糖エステル樹脂 8.0 クエン酸エステル 8.0 ジエチレングリコールジエチルエーテル 10.0 アセトン 35.0 メチルエチルケトン 15.0 着色剤 4.0
【0045】配合例4 ニトロセルロース 20.0 ショ糖エステル樹脂 8.0 クエン酸エステル 8.0 ジエチレングリコールジエチルエーテル 15.0 アセトン 15.0 メチルエチルケトン 30.0 着色剤 4.0
【0046】配合例5 ニトロセルロース 20.0 ショ糖エステル樹脂 8.0 クエン酸エステル 8.0 エチレングリコールジエチルエーテル 10.0 アセトン 5.0 メチルエチルケトン 42.5 着色剤 4.0 増粘剤 1.5 紫外線吸収剤 1.0
【0047】以上の各配合例にかかる美爪料は、いずれ
も前記した各皮膜特性に優れるものであった。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかる水中
固化性皮膜組成物によれば、アセトン、メチルエチルケ
トンに対しそれらと相溶性のある沸点が100℃以上の
溶媒を配合することにより、良好な水中での皮膜固化
性、優れた皮膜均一性その他の各特性を満足させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水中固化性皮膜組成物の使用状態と皮
膜の形成機構の説明図である。
【図2】本発明にかかる水中固化性皮膜組成物により形
成した塗膜を水中に浸漬した場合の、ガスクロマトグラ
フによる塗膜内組成の変化の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 薮 季仁 神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横 浜)内 (72)発明者 金田 勇 神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横 浜)内 (72)発明者 梁木 利男 神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横 浜)内 (72)発明者 曽山 美和 神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横 浜)内 Fターム(参考) 4C083 AB051 AC171 AC172 AC181 AC182 AC211 AC212 AC372 AD041 AD222 AD262 BB36 CC28 DD23 EE03 EE07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非水溶性皮膜基剤と、 前記非水溶性皮膜基剤を溶解し、且つ水と相溶性のある
    溶剤と、を含み、 前記溶剤がアセトン、メチルエチルケトン、またはそれ
    らの混合液を溶剤中50重量%以上含み、且つアセト
    ン、メチルエチルケトン、またはそれらの混合液と相溶
    性がありその沸点が100℃以上の化合物を溶剤中15
    重量%以上含む組成物であり、 該組成物塗膜を水中に浸した場合に、該塗膜中の残存溶
    剤及び浸入水による混合液中で前記非水溶性皮膜基剤が
    析出することを特徴とする水中固化性皮膜組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の組成物において、前記
    沸点が100℃以上の化合物は下記式(I)、(II)、
    (III)で表される化合物であることを特徴とする水中
    固化性皮膜組成物。 【化1】 (なお、前記式Iにおいて、R,RはC=1〜18
    のアルキル基を示す。) 【化2】 (なお、前記式IIにおいて、R,RはC=1〜18
    のアルキル基またはアシル基を示し、R,RはHま
    たはC=1〜18のアルキル基を示し、m,nはそれぞ
    れ1〜20の整数を示す。) 【化3】 (なお、前記式IIIにおいて、Rはアシル基またはC
    =3〜18のアルキル基を示す。)
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の組成物において、前記
    式(I)の化合物は3-ペンタノン、2-ペンタノン、2
    -メチル-3-ペンタノン、3-ヘキサノン、2-ヘキサノ
    ン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノ
    ンから選択される一種または二種以上であることを特徴
    とする水中固化性皮膜組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の組成物におい
    て、前記式(II)の化合物は、エチレングリコールジエ
    チルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテ
    ル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレング
    リコールジペンチルエーテル、ジエチレングリコールジ
    メチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテ
    ル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチ
    レングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコ
    ールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチ
    ルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテ
    ル、トリエチレングリコールジブチルエーテルから選択
    される一種または二種以上であることを特徴とする水中
    固化性皮膜組成物。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれかに記載の組成物
    において、前記式(III)の化合物は、エチレングリコ
    ールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブ
    チルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテ
    ル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルから選択
    される一種または二種以上であることを特徴とする水中
    固化性皮膜組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物
    よりなり、水中でその塗膜の固化をおこなう水中固化性
    美爪料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の組成物
    よりなり、爪に塗布した際に、空気中では3〜10分間
    で乾燥して皮膜を形成し、水中では2分間以下浸漬する
    ことにより皮膜を形成する両用型美爪料。
  8. 【請求項8】 請求項6または7に記載の美爪料を塗布
    した後、該塗布部を水中に浸漬し、塗膜を固化させるこ
    とを特徴とする美爪方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法において、水中へ
    の浸漬時間が2分以下で塗膜を固化させることを特徴と
    する美爪方法。
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