JP2001315342A - インクジェットヘッド、アクチュエータとマニホールドとの接着方法 - Google Patents

インクジェットヘッド、アクチュエータとマニホールドとの接着方法

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JP2001315342A
JP2001315342A JP2000138343A JP2000138343A JP2001315342A JP 2001315342 A JP2001315342 A JP 2001315342A JP 2000138343 A JP2000138343 A JP 2000138343A JP 2000138343 A JP2000138343 A JP 2000138343A JP 2001315342 A JP2001315342 A JP 2001315342A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクチュエータとマニホールドとの接着につ
いて、チャンネルを接着剤で塞ぐ危険を排除し、接着剤
の使用量を減じたインクジェットヘッドの提供。 【解決手段】 インクへ与える圧力変化を発生させる印
字チャンネルを並列したアクチュエータと、前記アクチ
ュエータに接着して各印字チャンネルへのインクを分配
する共通インク室を形成するマニホールドを備え、各チ
ャンネルで圧力変化を発生させて各チャンネルに対応す
るノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに
おいて、前記共通インク室の室外側に設けられていて前
記マニホールドと前記アクチュエータとの接触面から前
記マニホールドの該接触面以外の面まで連通する第一の
溝部と、前記接触面に沿って前記第一の溝部まで連通す
る第二の溝部を設けたことを特徴とするインクジェット
ヘッド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数のチャンネ
ルを並列したインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】複数のチャンネルを並列したインクジェ
ットヘッドでは、各チャンネルで圧電素子や発熱素子の
作用により圧力変化を発生させて該チャンネル毎に設け
たノズルからインクを吐出する。
【0003】例えば、せん断モードで動作するインクジ
ェットヘッドは、セラミックの一種であるPZTに平行
な溝部を掘削して複数のチャンネルを成形したアクチュ
エータと呼ぶセラミック部材を備え、チャンネルを互い
に隔てる隔壁部分に圧電性セラミックを配置して、圧電
性セラミックのせん断変形によって発生した圧力変化に
よりチャンネル内のインクを加圧してノズルから吐出す
る。
【0004】斯様なインクジェットヘッドでは、マニホ
ールドを設けてインクを各チャンネルに分配し、各チャ
ンネルからのインクの吐出の有無を制御して画像を形成
する。前述のマニホールドとしては樹脂を成形した部材
を、チャンネルを配置したセラミックの部材に直接接着
することが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】通常の接着では、接着
しようとする2物体の一方あるいは両方の接着面に接着
剤を塗布し、しかる後に接着面を張り合わせて接着を行
う。
【0006】しかしながらマニホールドとアクチュエー
タとを接着する場合には、接着面からはみ出した接着剤
がチャンネルを塞いでしまう危険がある。接着剤で塞が
れたチャンネルではインクの吐出が阻害される危険性が
あり、これによりインクジェットヘッドの生産歩留まり
が低下するとの問題がある。
【0007】また、多量の接着剤を用いてマニホールド
全体を封止してアクチュエータに接着する場合がある。
【0008】しかしながら多量の接着剤を用いてしまう
と、接着剤の物性に応じて滴状に接着剤が固化し、マニ
ホールドを覆う接着剤が、例えば外装部材を取り付ける
際の邪魔になるなどの問題がある。また大量の接着剤を
用いることは接着剤の無駄となる。
【0009】そこで本発明は、アクチュエータとマニホ
ールドとの接着について、チャンネルを接着剤で塞ぐ危
険を排除し、接着剤の使用量を減じたインクジェットヘ
ッド、及びアクチュエータとマニホールドとの接着方法
の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は請求項1
に記載のインクジェットヘッドによって解決できる。即
ち、請求項1に記載のインクジェットヘッドは、インク
へ与える圧力変化を発生させる印字チャンネルを並列し
たアクチュエータと、前記アクチュエータに接着して各
印字チャンネルへのインクを分配する共通インク室を形
成するマニホールドを備え、各チャンネルで圧力変化を
発生させて各チャンネルに対応するノズルからインクを
吐出するインクジェットヘッドにおいて、前記共通イン
ク室の室外側に設けられていて前記マニホールドと前記
アクチュエータとの接触面から前記マニホールドの該接
触面以外の面まで連通する第一の溝部と、前記接触面に
沿って前記第一の溝部まで連通する第二の溝部を設けた
ことを特徴とする。
【0011】請求項1に記載のインクジェットヘッドに
よれば、はみ出した接着剤がチャンネルを塞いでしまう
危険を防止して、インクジェットヘッドの生産歩留まり
を向上させることが可能となるし、また、接着剤の使用
量を減じて接着剤の無駄を省くことが可能となった。
【0012】本発明の課題は請求項11に記載のアクチ
ュエータとマニホールドとの接着方法によって解決でき
る。即ち、請求項11に記載のアクチュエータとマニホ
ールドとの接着方法は、インクへ与える圧力変化を発生
させる印字チャンネルを並列したアクチュエータと、前
記アクチュエータに接着して各印字チャンネルへのイン
クを分配する共通インク室を形成するマニホールドを備
え、各チャンネルで圧力変化を発生させて各チャンネル
に対応するノズルからインクを吐出するインクジェット
ヘッドのアクチュエータとマニホールドとの接着方法に
おいて、前記共通インク室の室外側に設けられていて前
記マニホールドと前記アクチュエータとの接触面から前
記マニホールドの該接触面以外の面まで連通する第一の
溝部に注入した接着剤が、前記第一の溝部から前記アク
チュエータの表面に沿って前記第一の溝部中の空気を室
外側へ逃がす第二の溝部でメニスカスを形成するように
前記注入を行うことを特徴とする。
【0013】請求項11に記載のアクチュエータとマニ
ホールドとの接着方法によれば、はみ出した接着剤がチ
ャンネルを塞いでしまう危険を防止して、インクジェッ
トヘッドの生産歩留まりを向上させることが可能となる
し、また、接着剤の使用量を減じて接着剤の無駄を省く
ことが可能となった。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェットヘッドに
関する実施の形態について、図1から図3を参照しなが
ら説明する。図1はインクジェットヘッド1の構成を示
す断面図、図2はインクジェットヘッド1を3つの部分
に分解した斜視図、図3はインクジェットヘッド1の斜
視図である。
【0015】図1において、アクチュエータ20は、印
字用のノズルを有する印字チャンネル(以下単にチャン
ネルと呼ぶ)23を並列した圧電性セラミックを主体と
して構成される。第一マニホールド40と第二マニホー
ルド70はアクチュエータ20に接着されてそれぞれ共
通インク室41、共通インク室71を形成する樹脂部材
である。
【0016】アクチュエータ20は、長尺状の非圧電性
セラミック基板上に、分極方向が相反する圧電性セラミ
ック層を設けてなるセラミック部材でインクに与える圧
力変化を与える部材である。
【0017】アクチュエータ20にはダイヤモンドブレ
ード等により切削加工された複数のチャンネル23が形
成されている。個々のチャンネル23は、直線状の細長
い溝形状に切削されて、削り残した圧電性セラミックが
各チャンネル23の隔壁25(図2で後述する)となっ
ている。チャンネル23の深さは図中で右にいくにつれ
て徐々に浅くなって、ついには消滅する。チャンネル2
3の内面の一部には金属電極(不図示)が形成されてい
る。
【0018】非圧電性セラミック基板として、アルミ
ナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、シリコン、窒化シ
リコン、シリコンカーバイド、石英の少なくとも1つか
ら選ばれることが好ましく、チャンネル23の隔壁25
をせん断変形させても分極した圧電性セラミックを確実
に支持することができる。
【0019】圧電性セラミックとして、PZT、PLZ
T等のセラミックで、主にPbOx、ZrOx、TiO
xの混合微結晶体に、ソフト化剤又はハード化剤として
知られる微量の金属酸化物、例えばNb、Zn、Mg、
Sn、Ni、La、Cr等の酸化物を含むものが好まし
い。
【0020】PZTは、チタン酸ジルコン酸鉛であり、
充填密度が大きく、圧電性定数が大きく、加工性が良い
ので好ましい。PZTは、焼成後、温度を下げると、急
に結晶構造が変化して、原子がズレ、片側がプラス、反
対側がマイナスという双極子の形の、細かい結晶の集ま
りになる。こうした自発分極は方向がランダムで、極性
を互いに打ち消しあっているので、更に分極処理が必要
となる。
【0021】分極処理は、PZTの薄板を電極で挟み、
シリコン油中に漬けて、10〜35kv/cm程度の高
電界を掛けて、分極する。分極したPZTに分極方向に
直角に電圧を掛けると、側壁が圧電滑り効果により、斜
め方向に、くの宇形に、せん断変形して、インク室の容
積が膨張する。
【0022】金属電極の材料としては、金、銀、アルミ
ニウム、パラジウム、ニッケル、タンタル、チタンを用
いることができ、特に、電気的特性、加工性の点から、
金、アルミニウムが良く、メッキ、蒸着、スパッタで形
成される。
【0023】アクチュエータ20の図中左端には、ノズ
ルプレート26が接着される。ノズルプレート26は各
チャンネル23の位置に対応するノズル24が設けられ
ていて、PET等のポリアルキレンテレフタレート、ポ
リイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、
ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、酢酸セルロ
ース等のプラスチックスによって形成されている。
【0024】図1はチャンネル23の長手方向を通る断
面で示してあるため、チャンネル23の配列の様子が分
からないので、一旦図2を用いてチャンネル23の配列
について説明する。
【0025】図2ではチャンネル23の一部が示されて
いる。個々のチャンネル23は、直線状の細長い溝形状
に切削されて、隔壁25を備えている。この隔壁25が
せん断変形することでチャンネル23の圧力変化が発生
する。また、複数のチャンネル23の配列方向はその長
手方向Yと直行する向きに平行移動した方向であり、各
チャンネル23は互いに等間隔に配列されている。
【0026】本実施の形態では1列あたり256個のチ
ャンネル23を形成した列を、上下2列形成している
が、煩雑になるので図1には上側の4つだけを示し、そ
の他は同形状であるので図示省略した。また、ノズル2
4についても上側の4つと下側の4つだけを示し、その
他は同形状であるので図示省略した。
【0027】個々のチャンネル23は図1に示したよう
にノズル24に至る位置まで構成されているが、図2で
はアクチュエータ20の表面に露出した部位のうちで図
2の視点で見通せるものだけを示し、内部に隠蔽された
部位や、下側のノズル24に対応するチャンネル23の
露出した部位は省略してある。
【0028】再び図1を用いて説明する。アクチュエー
タ20の図中右端には、各チャンネル23に対応する信
号線を纏めた信号線28がエポキシ系接着剤等によって
接着されており、金属電極と導通する。
【0029】各チャンネル23の隔壁25は信号線28
を経てインクジェットプリンタ本体(不図示)から供給
される駆動信号によりせん断変形し、応力を受けたチャ
ンネル23内のインクがノズル24から吐出する。ノズ
ル24から吐出したインクはチャンネル23の長手方向
Y(図2参照)に向かって飛翔して紙などの記録材に着
弾する。
【0030】第一マニホールド40は、アクチュエータ
20を取り付けて直方体形状の共通インク室41を形成
する樹脂部材であり、第一マニホールド40は共通イン
ク室41の6面のうちの5面を構成し、一方アクチュエ
ータ20は共通インク室41の残りの1面を構成する。
【0031】インク流路42は、第一マニホールド40
に形成した貫通路であり、インクを共通インク室41の
室内側に供給する。インク流路42はインクジェットプ
リンタ本体(不図示)に備えるインクタンクからインク
を供給する流路であり、図1の右方、図示した範囲外に
て、パイプ状の樹脂部材や可撓性のチューブ等によりイ
ンクタンク(不図示)へと接続される。
【0032】インク流路42と共通インク室41との境
界部分にはフィルター50が配置されている。フィルタ
ー50はメッシュ状の金属製部材を第一マニホールド4
0に溶着してあり、メッシュはノズル24の開口部直径
の1/3程度の異物を確実に除去するサイズとしてあ
る。従って、インク流路のフィルター50を配置した位
置よりも上流側で混入しもしくは製造時から残留してい
た異物が、インクの流れに乗って共通インク室41へ侵
入することを防止する。
【0033】前述の通り、各チャンネル23は次第に浅
くなる部位を備えているが、当該部位は共通インク室4
1の室内側に露出している。従って共通インク室41に
蓄えられたインクは当該部位より各チャンネル23に分
配される。
【0034】共通インク室41に蓄えられているインク
は、各チャンネル23のせん断変形に応じて、各チャン
ネル23内に流入したり、各チャンネル23から共通イ
ンク室41に逆流したりする。
【0035】アクチュエータ20と第一マニホールド4
0は接着により固定されている。以下の説明では、アク
チュエータ20と第一マニホールド40とが接触する面
で接着するのでこの面を接着面と呼び、接着面の縁を接
着線と呼ぶ。
【0036】接着剤注入溝60は本発明の第一の溝部の
一例であり、接着剤が充填される部位として第一マニホ
ールド40に設けられた溝であり、第一マニホールド4
0の本体ブロック40aの外周に注入溝外枠部40bを
所定幅で設けた際に形成される本体ブロック40aと注
入溝外枠部40bとの隙間である。注入溝外枠部40b
は後述するように注入溝支持部40c(図2、3参照)
により支持されている。
【0037】接着剤注入溝60における前記所定幅は固
定でなく、図1ではアクチュエータ20から遠い上部が
広幅部62、アクチュエータ20に近い下部が狭幅部6
3となっている。広幅部62は接着剤注入用針N(以下
ニードルとも呼ぶ)の挿入可能な幅が保たれており、狭
幅部63はニードルNの挿入が不可能なように幅が狭く
なっている。なお、ニードルNについては後述する。
【0038】図1に示す接着面からの垂直方向距離を溝
の深さ(図中で上下方向)といい、接着剤注入溝60の
図中左右の間隔を溝の幅といい、図1では示せないチャ
ンネル23の配列方向距離を溝の長さという。
【0039】ニードルNのサイズにもよるが、広幅部6
2は0.8〜1.5mm程度、狭幅部63は0.1mm
〜0.8mm程度との幅なる。
【0040】エア抜き64は本発明の第二の溝部の一例
であり、注入された接着剤により押しやられる空気を接
着剤注入溝60から逃がすためのエア抜きである。エア
抜き64は、注入溝外枠部40bとアクチュエータ20
との間隔が0.01mmから0.2mmとなるように注
入溝外枠部40bを浮かして固定することで、注入溝外
枠部40bとアクチュエータ20との隙間として構成さ
れる。
【0041】斯様なエア抜き64を設けることで、接着
剤注入溝60の上部を占める広幅部62に注入された接
着剤が重力により次第に狭幅部63へ至り、更に狭幅部
63中を下って、ついには接着面に至るにつれて、接着
剤注入溝60中の空気が押し出されて前述の接着線にて
良好な接着を可能とする。
【0042】注入量目印66は、接着剤注入溝60に設
けた見切り線であり、ニードルNをリリースするタイミ
ングを接着作業者が判断するための目安である。注入量
目印66は、彫刻、塗装、樹脂形成時に設ける段差等い
ずれでも良く、本実施の形態では本体ブロック40a側
に設けたが、注入溝外枠部40b側に設けても良い。
【0043】注入溝外枠部40bを本体ブロック40a
の外周に設けているので、接着剤注入溝60は、共通イ
ンク室41の壁面を構成する樹脂部材における室外側に
形成されることとなる。従って、万が一接着剤がエア抜
き64から漏れ出すほど注入されても、共通インク室4
1の室内側に侵入することはない。
【0044】以上説明したように、アクチュエータ20
と第一マニホールド40とを接着すると、共通インク室
41が形成されるので、インク流路42から供給された
インクが各チャンネル23へ分配される。また、インク
流路42とノズル24以外は密閉されるから、インク漏
れを防止できる。
【0045】斯様に構成したインクジェットヘッド1
は、信号線28から所望の画像に対応する駆動信号を供
給するとノズル24からインクを吐出し、消費した分量
のインクを共通インク室41から各チャンネル23に供
給するから、連続した吐出が可能となる。
【0046】図1に示した断面では、略上下対象の形状
となっていて、第一マニホールド40の周りと第二マニ
ホールド70の周りの構成は同様であるから、説明は省
略する。
【0047】次に図2と図3を用いて、アクチュエータ
20、第一マニホールド40、第二マニホールド70を
接着する手順について説明する。
【0048】まず図中で下から順に、第二マニホールド
70、アクチュエータ20、第一マニホールド40を配
置してある。これらを重ね合わせることでアクチュエー
タ20と第一マニホールド40とについては、アクチュ
エータ20の垂直面A1と第一マニホールド40の垂直
面Bが合わさり、アクチュエータ20の水平面C1と第
一マニホールド40の水平面Dが合わさる。また、アク
チュエータ20と第二マニホールド70とについては、
アクチュエータ20の垂直面A2と第二マニホールド7
0の垂直面Eが合わさり、アクチュエータ20の水平面
C2と第二マニホールド70の水平面Fが合わさり、図
3に示す状態となる。
【0049】第一マニホールド40と第二マニホールド
70とにはそれぞれ誤組防止用突起43、73を設け、
アクチュエータ20には天地に誤組防止用溝27a、2
7bが設けてあるので、アクチュエータ20の天地を逆
に組み立てる問題を防止できる。
【0050】重ね合わせる前は、アクチュエータ20で
各チャンネル23の一部(前述の徐々に浅くなる部位)
が露出しているが、第一マニホールド40及び第二マニ
ホールド70と重ね合わせると共通インク室41の室内
側に密閉される。
【0051】第二マニホールド70、アクチュエータ2
0、第一マニホールド40を重ね合わせると、次に接着
剤注入溝60へ接着剤を注入する。以下に、突端から接
着剤を吐出する管状のニードルNを用いて接着剤の注入
を行う例を図4を用いて説明する。図4は接着剤注入溝
60への接着剤の注入から接着の完了までを説明する模
式図である。
【0052】接着剤注入溝60にニードルNをインサー
トして、図4(A)の如く接着剤の吐出をさせる。ニー
ドルNから吐出された接着剤は、広幅部62に充満しつ
つ、自重により徐々に狭幅部63への流下を開始する。
狭幅部63を流下する接着剤は狭幅部63に充満するの
で、図4(B)の如く流下する接着剤(矢印K)により
押し出された狭幅部63の空気は、エア抜き64から逃
げる(矢印L)。
【0053】図4(C)の如く流下する接着剤はエア抜
き64に至ると、ここから流れ出ようとするが、エア抜
き64の部位においては、接着剤が注入溝外枠部40b
及びアクチュエータ20を壁面として所定の接触角をな
すメニスカスMを形成する。従って、接着剤はエア抜き
64から無制限に流れ出ることはない。なお、エア抜き
64の間隔Hは0.01ミリメートルから0.2ミリメ
ートルの範囲とする。間隔Hはアクチュエータ20と注
入溝外枠部40bとの最短距離による間隔であり、接着
剤の物性により選択される。
【0054】エア抜き64まで流下した接着剤は、アク
チュエータ20と第一マニホールド40との接着線Pを
封止して、アクチュエータ20と第一マニホールド40
とを互いに固定する。
【0055】以上は、接着剤注入溝60における着目し
た断面についての説明であるが、図2、図3に示すよう
に接着剤注入溝60は第一マニホールド40の全周にわ
たって構成してあり、接着剤注入溝60に沿ってニード
ルNを移動させて、第一マニホールド40の全周にわた
って接着剤を注入する。従って、アクチュエータ20と
第一マニホールド40とを全周にわたって封止して固定
することが可能となる。また、ニードルNのリリースが
一回ですむ。
【0056】この場合、ニードルNの移動速度は広幅部
62に充満した接着剤の液面が注入量目印66に到達す
るように調整する。
【0057】狭幅部63と広幅部62の容積比は、広幅
部62が狭幅部63の数倍の容積を備えるように構成し
てあるので、狭幅部63に接着剤が充満していれば流下
した接着剤により、確実に狭幅部63を接着剤で充満せ
しめた上でアクチュエータ20と第一マニホールド40
とを互いに固定することが可能となる。
【0058】また、第一マニホールド40は共通インク
室41の室内側の面と室外側の面とを備えていて、共通
インク室41の室内、室外を遮断している。そして、注
入溝外枠部40bを第一マニホールド40の外枠として
設けて、接着剤注入溝60は室外側に形成されている。
通常の接着方法だと第一マニホールド40とアクチュエ
ータ20との接着面に接着剤を塗布して後に両者を張り
合わせるために共通インク室内部にはみ出した接着剤が
例えばチャンネル23を塞いでしまい、インクの吐出が
不能となる不良が発生する可能性があるが、本実施の形
態では、接着剤注入溝60に注入された接着剤は室外側
だけに充満し、共通インク室41の室内側には侵入しな
いから、接着剤がチャンネル23を塞いでしまうとの不
良を回避できる。
【0059】また、接着剤注入溝60の長手方向(矢印
X)と、チャンネル23の配列方向とを一致させてあ
り、接着剤注入溝60をアクチュエータ20との接触面
の当該長手方向全幅にわたって設けてあるので、接触面
のほとんど全てを確実に接着できる。
【0060】また、エア抜き64の位置で接着剤による
メニスカスMが形成されておれば、狭幅部63に接着剤
が充満し、接触線の部位でアクチュエータ20と第一マ
ニホールド40とが良好に固定されていると判断できる
ので、接着作業時にはエア抜き64を外観から確認でき
るようにしておくことが望ましい。
【0061】接着剤注入溝60を長手方向の全幅にわた
って設ける場合には、エア抜き64も同様に全幅にわた
って設けることが良く、更に本実施の形態の如く、接着
剤注入溝60を第一マニホールド40、第二マニホール
ド70の全周にわたって設ける場合には、エア抜き64
も同様に全幅にわたって設けることが良い。このように
すれば接着線の部位に形成されたメニスカスMが、接着
剤注入溝60及びエア抜き64の全幅又は全周にとぎれ
なく形成されていることを目視確認して、良好に固定さ
れていることが判断できる。
【0062】エア抜き64を設けない場合には、接着剤
注入溝60内部に充満していた空気は逃げられないので
気泡などが形成されやすく、接着強度が管理できないと
の問題があるが、エア抜き64を設けることでこの問題
を解決できる。
【0063】また、広幅部62と狭幅部63の幅を変え
てあるので、ニードルNは広幅部62にはインサート可
能であるが、狭幅部63へはインサートできない形状と
なっている。従ってニードルNとアクチュエータ20と
が接触することがないから、前述のニードルNの移動に
よってニードルNの先端がアクチュエータ20と接触し
これを削ってしまうという事故の発生を防止できる。
【0064】接着剤の流下により狭幅部63に接着剤を
充満させるので、アクチュエータ20と第一マニホール
ド40との接着剤が固化してから図3に示す状態のイン
クジェットヘッドの天地を逆転させて、アクチュエータ
20と第二マニホールド70との接着作業(接着剤の注
入)を行う。
【0065】本実施の形態によれば、接着剤の注入量は
接着剤注入溝60の容積に依存し、第一マニホールド4
0、第二マニホールド70の全体を覆い尽くす場合と比
較すれば遙かに少量の接着剤によって、アクチュエータ
20、第一マニホールド40、第二マニホールド70を
確実に接着することが可能となる。また、接着剤は接着
剤注入溝60の内部、更に詳しくは注入量目印66から
形成されたメニスカスMの間で固化するので、アクチュ
エータ20、第一マニホールド40、第二マニホールド
70を組んで構成されたインクジェットヘッドに、更に
外装部材を設ける際の邪魔にならない。
【0066】次に接着剤注入溝60のマニホールド側板
の位置でのエア抜きの構造について図3を用いて説明す
る。
【0067】第一マニホールド40の全周にエア抜き6
4を設けてあるが、第二マニホールド70に設けたマニ
ホールド側板74、75の位置では、空気は次のような
経路を経て逃げる。アクチュエータ20は、第二マニホ
ールド70と一体になるマニホールド側板74、75の
間に嵌入されるので、アクチュエータ20とマニホール
ド側板74、75との間にはわずかにクリアランス76
が設けてある。マニホールド側板で隠されるエア抜き6
4a(点線で示した)はこのクリアランス76に連通し
ているので、空気は狭幅部63からクリアランス76を
通過して逃げる。斯様にエア抜き64をクリアランス7
6に連通すれば、直接エア抜き64が直接開口していな
くとも気泡などによる接着強度が管理できないとの問題
が解決できる。
【0068】なお、数ミリメートルの範囲ならエア抜き
64を形成せずにとも、空気が逃げるので、例えばクリ
アランス76から空気が逃げない構成とし、狭幅部63
の空気が長手方向に回り込んでエア抜き64から逃げる
構成を採用することも可能である。
【0069】本実施の形態では注入溝外枠部40bをア
クチュエータ20から浮かして本発明の第二の溝部の一
例であるエア抜き64を構成したので、アクチュエータ
20を薄く構成できるが、アクチュエータ20を厚くし
ても良い場合には、注入溝外枠部40bとアクチュエー
タ20との接触部位でアクチュエータ20を切削してエ
ア抜き64を構成しても良い。
【0070】また、エア抜き64はアクチュエータ20
に沿って直接開口せずに、U字状又はJ字状にターンす
る構成としても良い。
【0071】また、アクチュエータ20と第一マニホー
ルド40、第二マニホールド70との接触線が湾曲した
り、蛇行したり、ひらがなの「く」の字状に屈曲してい
る場合など、接触線が非直線形状ならば、接着剤注入溝
60を接触線に沿わせた形状にしても良い。
【0072】
【発明の効果】請求項1に記載のインクジェットヘッド
によれば、はみ出した接着剤がチャンネルを塞いでしま
う危険を防止して、インクジェットヘッドの生産歩留ま
りを向上させることが可能となるし、また、接着剤の使
用量を減じて接着剤の無駄を省くことが可能となった。
【0073】請求項11に記載のアクチュエータとマニ
ホールドとの接着方法によれば、はみ出した接着剤がチ
ャンネルを塞いでしまう危険を防止して、インクジェッ
トヘッドの生産歩留まりを向上させることが可能となる
し、また、接着剤の使用量を減じて接着剤の無駄を省く
ことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットヘッドの構成を示す断面図であ
る。
【図2】インクジェットヘッドを3つの部分に分解した
斜視図である。
【図3】インクジェットヘッドの斜視図である。
【図4】接着剤注入溝への接着剤の注入から接着の完了
までを説明する模式図である。
【符号の説明】
20 アクチュエータ 23 チャンネル 24 ノズル 40 第一マニホールド 40a 本体ブロック 40b 注入溝外枠部 41 共通インク室 60 接着剤注入溝 62 広幅部 63 狭幅部 64 エア抜き 70 第二マニホールド M メニスカス

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクへ与える圧力変化を発生させる印
    字チャンネルを並列したアクチュエータと、前記アクチ
    ュエータに接着して各印字チャンネルへのインクを分配
    する共通インク室を形成するマニホールドを備え、各チ
    ャンネルで圧力変化を発生させて各チャンネルに対応す
    るノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに
    おいて、前記共通インク室の室外側に設けられていて前
    記マニホールドと前記アクチュエータとの接触面から前
    記マニホールドの該接触面以外の面まで連通する第一の
    溝部と、前記接触面に沿って前記第一の溝部まで連通す
    る第二の溝部を設けたことを特徴とするインクジェット
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記第一の溝部に注入した接着剤により
    前記アクチュエータと前記マニホールドとが接着されて
    いることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット
    ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記第二の溝部は前記第一の溝部中の空
    気を逃がすエア抜きであることを特徴とする請求項1又
    は2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記第一の溝部の長手方向は印字チャン
    ネルを並列した方向と一致し、前記第一の溝部は前記接
    触面の前記長手方向全幅にわたって構成されることを特
    徴とする請求項1、2又は3に記載のインクジェットヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 前記第一の溝部の長手方向全幅にわたっ
    て形成される第二の溝部を備えることを特徴とする請求
    項4に記載のインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記第一の溝部は前記接触面の全周にわ
    たって構成されることを特徴とする請求項1、2又は3
    に記載のインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 前記第二の溝部は前記第一の溝部の全周
    にわたって形成されることを特徴とする請求項6に記載
    のインクジェットヘッド。
  8. 【請求項8】 前記第一の溝部は接着剤注入用針が進入
    可能な広幅部と前記注入用針が進入不可能な狭幅部とを
    備え、前記広幅部よりも前記狭幅部が前記アクチュエー
    タに近く配置されていることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6又は7に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  9. 【請求項9】 前記広幅部には、前記狭幅部に充満する
    とともに前記第二の溝部でメニスカスを形成する分量を
    注入された接着剤表面に対応する位置に目印を設けるこ
    とを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  10. 【請求項10】 前記アクチュエータからの前記第二の
    溝部の間隔は0.01ミリメートルから0.2ミリメー
    トルの範囲であることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8又は9に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  11. 【請求項11】 インクへ与える圧力変化を発生させる
    印字チャンネルを並列したアクチュエータと、前記アク
    チュエータに接着して各印字チャンネルへのインクを分
    配する共通インク室を形成するマニホールドを備え、各
    チャンネルで圧力変化を発生させて各チャンネルに対応
    するノズルからインクを吐出するインクジェットヘッド
    のアクチュエータとマニホールドとの接着方法におい
    て、前記共通インク室の室外側に設けられていて前記マ
    ニホールドと前記アクチュエータとの接触面から前記マ
    ニホールドの該接触面以外の面まで連通する第一の溝部
    に注入した接着剤が、前記第一の溝部から前記アクチュ
    エータの表面に沿って前記第一の溝部中の空気を室外側
    へ逃がす第二の溝部でメニスカスを形成するように前記
    注入を行うことを特徴とするアクチュエータとマニホー
    ルドとの接着方法。
  12. 【請求項12】 前記第一の溝部は接着剤注入用針が進
    入可能な広幅部と前記注入用針が進入不可能な狭幅部と
    を備え、前記広幅部よりも前記狭幅部が前記アクチュエ
    ータに近く配置されていて、前記広幅部に進入せしめた
    前記注入用針により接着剤を前記第一の溝部に注入する
    ことを特徴とする請求項11に記載のアクチュエータと
    マニホールドとの接着方法。
  13. 【請求項13】 前記狭幅部に充満するとともに前記第
    二の溝部でメニスカスを形成する分量を注入された接着
    剤表面に対応する位置を示す目印まで前記接着剤を注入
    することを特徴とする請求項12に記載のアクチュエー
    タとマニホールドとの接着方法。
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WO2004098871A1 (ja) * 2003-05-07 2004-11-18 Idemitsu Unitech Co., Ltd. 不織布積層体、不織布積層体の製造方法及び不織布積層体を用いた袋
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