JP2001315317A - インクジェット記録装置、該装置の記録方法、記録ヘッド保持機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置のサイズがコンパクトで様々な記録モー
ドでの記録が容易に行え、かつ高速記録を可能とする。 【解決手段】 記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒
体の搬送方向に配列されたノズル列を有するインクジェ
ット記録ヘッドを複数搭載するキャリッジと、キャリッ
ジを搬送方向Ａと略直交する方向Ｂに移動させる走査手
段とを備えたインクジェット記録装置において、キャリ
ッジに、インクの色やノズル間隔等が異なる複数のイン
クジェット記録ヘッド１９０を搬送方向Ａに配列した状
態で着脱可能に保持するヘッドホルダ１４０を設け、指
定された記録モードに応じて、複数のインクジェット記
録ヘッドから使用する記録ヘッドを選択して記録を行う
ように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
装置、該装置の記録方法および記録ヘッド保持機構に関
し、特に、記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体の
搬送方向に配列されたノズル列を有するインクジェット
記録ヘッドを複数搭載するキャリッジと、キャリッジを
搬送方向と略直交する方向に移動させる走査手段とを備
えたインクジェット記録装置、該装置の記録方法および
記録ヘッド保持機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えばワードプロセッサ、パーソナルコ
ンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置とし
て、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等
シート状の記録媒体に記録を行う記録装置が広く使用さ
れている。

【０００３】記録方式としては様々な方式が知られてい
るが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、カ
ラー化が容易である、静粛性に富む、等の理由でインク
ジェット方式が近年特に注目されており、又その構成と
しては所望される記録情報に応じてインクを吐出する記
録ヘッドを装着すると共に用紙等の記録媒体の送り方向
と直角な方向に往復走査しながら記録を行なうシリアル
記録方式が安価で小型化が容易などの点から一般的に広
く用いられている。

【０００４】近年、インクジェット記録装置は小型化、
低価格化のみならず、カラー記録化、高階調化、高画質
化への要求が高まってきている。

【０００５】一般的なインクジェット記録装置は、液滴
を吐出するオリフィス、オリフィスに連通するノズル、
ノズル部に設けられた液滴を吐出するためのエネルギー
発生体と、各ノズルにインクを供給するための共通液
室、一定量のインクを貯蔵するためのインクタンク、お
よびエネルギー発生体を駆動するための電気信号端子等
が一体的に構成されているインクジェット記録ヘッドを
持ち、このインクジェット記録ヘッドを装置本体（プリ
ンタ）部のキャリッジ上にあるホルダに装着して固定す
ることでインクジェット記録ヘッドと本体とが電気的か
つ機械的に接続され、画像情報に応じたインク等の液滴
が所定位置に吐出され、記録画像の形成が行われるよう
に構成されている。

【０００６】特に最近は、記録画像の高画質化に対する
要求が強く、このための解決手段として、たとえば特開
平１０−１７５３１８号公報に記載されているように、
いくつかの色に対して濃度の異なる（濃淡）複数種類の
インクを対応するノズルから吐出して記録を行い、画像
の階調度を上げて高画質化を達成するものが知られてい
る。

【０００７】図８は、濃度の異なるインクを使用するイ
ンクジェット記録ヘッドの外観を示す図である。図示さ
れているようにインクジェット記録ヘッド８０は、イン
クを貯蔵するタンクとして、濃いマゼンタ（Ｍ２）およ
び淡いマゼンタ（Ｍ１）のインクをそれぞれ貯蔵するイ
ンクタンク８１および８２、濃いシアン（Ｃ２）および
淡いシアン（Ｃ１）のインクをそれぞれ貯蔵するインク
タンク８３および８４、さらに、イエロー（Ｙ）に対し
ては１種類のインクを貯蔵するインクタンク８５を備
え、それぞれのインクに対応したノズルにインクを供給
するように構成されている。

【０００８】図７は、図８のインクジェット記録ヘッド
８０の吐出口面に設けられるオリフィスプレート（吐出
口形成部材）を示す図である。図示されているように、
オリフィスプレート７０には、それぞれのインクに対応
して、５つの吐出口列が設けられており、これら５つの
各吐出口列はノズルの配列方向に対して直交する方向に
並んでいる。すなわち、インクジェット記録ヘッドの主
走査方向（紙送り方向に対して直交する方向）にノズル
列が並んでいる。

【０００９】また、従来のインクジェット記録ヘッドの
構成として、図７および図８に示したオリフィスプレー
トを一体化しノズル列を並べる構成以外に、使用するイ
ンクの種類それぞれに対して個々の独立した記録ヘッド
を設け、これらの記録ヘッドを主走査方向に並べる構成
も知られている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような複数のインクを用いる記録ヘッドを一体的に構成
する場合には、オリフィスプレートが１つであるので、
一旦ノズル配列が決定されるとノズル径の大きさや、ピ
ッチ、ノズルの数などを変更することができない。これ
は記録可能なモードが限定されることを意味する。

【００１１】一方、それぞれのインクに対して個別に記
録ヘッドを設ける場合には、異なる記録モードで記録を
する際に、ユーザが記録ヘッドを交換する必要が生じ、
操作が繁雑になる。この場合はまた、多くの記録ヘッド
を用意しなければならないため、結果的にコストが高く
なる。

【００１２】また両方に共通した問題として、使用する
インクやノズルピッチの種類を多くすると、多くのノズ
ル列が主走査方向に並べられることとなるので、記録ヘ
ッド全体が主走査方向に幅広くなり、記録装置の主走査
方向に対する幅が広がり、使用可能な記録紙の幅に対し
て装置の外形寸法が大きくなるという問題がある。加え
て、記録ヘッドが主走査方向に大きくなると、走査速度
を上げることが困難となるので、記録速度の低下を招く
虞がある。

【００１３】本発明は、以上のような状況に鑑みてなさ
れたものであり、記録ヘッドの交換などのユーザの操作
なしに様々な記録モードでの記録が容易に行え、サイズ
がコンパクトで高速記録の可能なインクジェット記録装
置を提供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出し
て記録を行うインクジェット記録装置であって、記録媒
体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送方向に配
列されたノズル列を有するインクジェット記録ヘッドを
複数搭載するキャリッジと、前記キャリッジを前記搬送
方向と略直交する方向に移動させる走査手段とを備え、
前記キャリッジが、前記複数のインクジェット記録ヘッ
ドを前記搬送方向に配列した状態で着脱可能に保持する
保持手段を有する。

【００１５】また、上記目的を達成する本発明のインク
ジェット記録装置の記録方法は、記録媒体を搬送する搬
送手段と、前記記録媒体の搬送方向に配列されたノズル
列を有するインクジェット記録ヘッドを複数搭載するキ
ャリッジと、前記キャリッジを前記搬送方向と略直交す
る方向に移動させる走査手段とを備えたインクジェット
記録装置の記録方法であって、前記キャリッジに、前記
複数のインクジェット記録ヘッドを前記搬送方向に配列
した状態で着脱可能に保持し、指定された記録モードに
応じて、前記複数のインクジェット記録ヘッドから使用
する記録ヘッドを選択して記録を行う。

【００１６】更に、上記目的は、記録媒体を搬送する搬
送手段と、前記記録媒体の搬送方向に配列されたノズル
列を有するインクジェット記録ヘッドを複数搭載するキ
ャリッジと、前記キャリッジを前記搬送方向と略直交す
る方向に移動させる走査手段とを備えたインクジェット
記録装置の記録ヘッド保持機構であって、複数のインク
ジェット記録ヘッドを前記搬送方向に配列した状態で着
脱可能に保持し、前記キャリッジに一体的に取り付ける
ように構成されている、本発明の記録ヘッド保持機構に
よっても達成される。

【００１７】すなわち、記録媒体を搬送する搬送手段
と、記録媒体の搬送方向に配列されたノズル列を有する
インクジェット記録ヘッドを複数搭載するキャリッジ
と、キャリッジを搬送方向と略直交する方向に移動させ
る走査手段とを備えたインクジェット記録装置におい
て、キャリッジに、複数のインクジェット記録ヘッドを
搬送方向に配列した状態で着脱可能に保持し、指定され
た記録モードに応じて、複数のインクジェット記録ヘッ
ドから使用する記録ヘッドを選択して記録を行うように
構成する。

【００１８】これにより、様々な記録モードでの記録が
容易に行え、かつ記録装置の走査方向の大きさが使用可
能な記録紙の幅に対してそれほど大きくならず、高速記
録が可能となる。

【００１９】 〔発明の詳細な説明〕以下添付図面を参照して本発明の
好適な実施形態について詳細に説明する。

【００２０】なお、以下に説明する実施形態では、イン
クジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを
例に挙げ説明する。

【００２１】本明細書において、「記録」（「プリン
ト」という場合もある）とは、文字、図形等有意の情報
を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人
間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否
かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等
を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものと
する。

【００２２】また、「記録媒体」とは、一般的な記録装
置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック
・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮
革等、インクを受容可能なものも表すものとする。

【００２３】さらに、「インク」（「液体」と言う場合
もある）とは、上記「記録（プリント）」の定義と同様
広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されるこ
とによって、画像、模様、パターン等の形成または記録
媒体の加工、或いはインクの処理（例えば記録媒体に付
与されるインク中の色剤の凝固または不溶化）に供され
得る液体を表すものとする。

【００２４】［第１の実施形態］図１は、本発明に係わ
るインクジェット記録装置の第１の実施形態の構成を示
す外観透視図である。図１において１１５は記録に用い
られる記録紙などの記録媒体であり、本実施形態では、
ロール紙形状で装置に供給される。これは、記録仕様に
よって、あらかじめ所定の形状に切断されたカット紙で
あってもよい。

【００２５】１６０、１２０、１３０は、記録媒体１１
５を搬送するローラーである。また１０５はロール紙を
所定の寸法に切断するための切断ユニット部であり、１
５０は排出された記録媒体を取り出すための排出口であ
る。

【００２６】１９０は本実施形態でのインクジェット記
録ヘッドであり、これらは同一のヘッドホルダ１４０に
装着され、所定位置に配列保持されている。

【００２７】このヘッドホルダ１４０は、１８０のキャ
リッジレールを介して保持され画像形成のための駆動タ
イミングを受けた駆動モータ（不図示）などの駆動系に
よってレールに沿った方向（主走査方向）に往復移動す
る。

【００２８】本実施形態において４つのインクジェット
記録ヘッド１９０の配列方向は、記録媒体の搬送方向と
同じである。すなわち、ヘッドホルダ１４０上に紙送り
方向（副走査方向）に配列され装着されている。

【００２９】１１０は搬送のための駆動信号、インクジ
ェット記録ヘッド１９０へのインク吐出信号ならびに各
処理動作を実施するための電気回路基板である。

【００３０】次に、上述した装置の記録制御を実行する
ための制御構成について説明する。図９はインクジェッ
トプリンタＩＪＲＡの制御回路の構成を示すブロック図
である。制御回路を示す同図において、１７００は記録
信号を入力するインターフェース、１７０１はＭＰＵ、
１７０２はＭＰＵ１７０１が実行する制御プログラムを
格納するＲＯＭ、１７０３は各種データ（上記記録信号
やヘッドに供給される記録データ等）を保存しておくＤ
ＲＡＭである。１７０４は記録ヘッド１９０に対する記
録データの供給制御を行うゲートアレイ（Ｇ．Ａ．）で
あり、インターフェース１７００、ＭＰＵ１７０１、Ｒ
ＡＭ１７０３間のデータ転送制御も行う。１７１０は記
録ヘッド１９０を搬送するためのキャリアモータ、１７
０９は記録紙搬送のための搬送モータである。１７０５
は記録ヘッドを駆動するヘッドドライバ、１７０６，１
７０７はそれぞれ搬送モータ１７０９、キャリアモータ
１７１０を駆動するためのモータドライバである。

【００３１】上記制御構成の動作を説明すると、インタ
ーフェース１７００に記録信号が入るとゲートアレイ１
７０４とＭＰＵ１７０１との間で記録信号がプリント用
の記録データに変換される。そして、モータドライバ１
７０６、１７０７が駆動されると共に、ヘッドドライバ
１７０５に送られた記録データに従って記録ヘッドが駆
動され、記録が行われる。

【００３２】ここでは、ＭＰＵ１７０１が実行する制御
プログラムをＲＯＭ１７０２に格納するものとしたが、
ＥＥＰＲＯＭ等の消去／書き込みが可能な記憶媒体を更
に追加して、インクジェットプリンタＩＪＲＡと接続さ
れたホストコンピュータから制御プログラムを変更でき
るように構成することもできる。

【００３３】図２は図１のインクジェット記録ヘッドの
周辺を示す内部拡大斜視図である。ヘッドホルダ１４０
上に、複数個（本実施形態では４個）のインクジェット
記録ヘッド１９０が配列され保持されており、配列方向
は記録媒体１１５と同じく、キャリッジ移動の副走査方
向である。各インクジェット記録ヘッドには、記録デー
タに対応した吐出信号が、本体の電気回路基板からフレ
キ配線板２５０を介して送られ、インクの吐出がなされ
る。

【００３４】インクジェット記録ヘッドの吐出方向下面
には、各インクジェット記録ヘッド１９０のインク吐出
面を保護するための保護キャップ２１１が具備されてお
り、これらは保持部材２１０の移動により、適宜、イン
ク吐出面を保護し、さらに吸引ポンプに連通する保護キ
ャップ内の吸引穴（不図示）から所定量のインクを吸引
してインク吐出を回復させる回復機能も有している。

【００３５】図３は、本発明に係わるインクジェット記
録装置のインクジェット記録ヘッドの装着に関する説明
図である。

【００３６】図示されたようにヘッドホルダ１４０はキ
ャリッジレール１８０に保持されており、このヘッドホ
ルダの各インクジェット記録ヘッド装着面には、各イン
クジェット記録ヘッドのインク吐出部を記録媒体側へ開
放させるための窓（四角穴）３８０を有しており、さら
にインクジェット記録ヘッドを所定位置に位置決め固定
するための穴３５０が設けられている。

【００３７】３２０は各インクジェット記録ヘッドを装
着保持するためのロック機構をもったロック部材であ
り、インクジェット記録ヘッドの装着時には、インクジ
ェット記録ヘッド１９０に設けられた位置決め爪１９２
との嵌合により、固定がなされる。

【００３８】装着時には、インクジェット記録ヘッドに
ある電気接合面の基板部（不図示）とヘッドホルダ１４
０上に設けられた電気接合面の基板３１０との接続がな
され、記録データに対応した吐出信号が、本体の電気回
路基板からフレキ配線板２５０を介して送られ、インク
の吐出がなされる。

【００３９】これらのヘッドホルダ上にある窓３８０、
電気接合面の基板３１０、ロック部材３２０は、同一の
方式、形状を有しており、様々な種類のインクジェット
記録ヘッドをそれぞれ選択的に装着することが、可能で
ある。

【００４０】ここで更に詳細に、本発明に係わるインク
ジェット記録装置のインクジェット記録ヘッドについ
て、図４Ａおよび図４Ｂを参照して説明する。

【００４１】本発明に係わるインクジェット記録ヘッド
の外観斜視図である図４Ａにおいて、４１０は吐出され
るインクを貯蔵するインクタンクであり、４６０はイン
クタンク４１０の保持と、インクをインク流路へと導く
ための供給路を有する流路部材であり、天板４２０のイ
ンク供給口（不図示）と連通している。天板４２０は複
数（本図では２列）のノズルを有するノズル列４８０を
有している。ノズルの数、ピッチは、吐出するインクの
種類および記録モードに応じて、設定することが可能で
ある。

【００４２】例えば、本実施形態では、ブラックインク
吐出用のインクジェット記録ヘッドとしては６００ｄｐ
ｉのノズルピッチで、ノズル数３００個のノズル列２つ
を有し、カラーインク吐出用のインクジェット記録ヘッ
ドとしては、６００ｄｐｉのノズルピッチで、ノズル数
３００個のノズル列２つを有し、第二列目のノズル列か
らは第一列目のノズル列から吐出されるインクよりも濃
度の薄いインクを吐出するように設定している。

【００４３】このような各インクジェット記録ヘッドの
ノズル配列の詳細については、後述する。

【００４４】４５０は電気結合面の基板部であり、ヘッ
ドホルダ１４０上に設けられた電気接合面の基板３１０
との接続がなされ、記録データに対応した吐出信号が、
本体の電気回路基板からフレキ配線板２５０を介して送
られ、インクの吐出がなされる。

【００４５】また４３０は、これら電気結合面の基板部
４５０、エネルギー発生体（不図示）などを、天板４２
０に確実に固定するためのバネ部材である。

【００４６】図４Ｂは、インクジェット記録ヘッドの分
解斜視図である。図中、４１０は吐出されるインクを貯
蔵するインクタンクであり、本実施形態においては、高
速記録を実現するために、同一吐出面内に二つのノズル
列を平行に並べた構成としている。したがって、インク
タンク４１０の内部を、さらに二つの貯蔵室４１１およ
び４１２に分離することにより、２つのノズル列に供給
するインクを異なる種類とすることが可能である。

【００４７】このため流路部材４６０は、インクタンク
４１０の保持と、２種類のインクをそれぞれ対応するノ
ズル列のインク流路へと導くための供給路を有する構成
となっており、設けられた連通穴４６１および４６２を
通じて、インクが天板４２０のインク供給口４２１およ
び４２２とそれぞれ連通している。

【００４８】この流路部材４６０と天板４２０との中間
部材として、ゴムなどの弾性材料で形成されたシール部
材４８０が介在する。これにより各インクは、シール部
材に設けられた穴４８１および４８２を通じて、漏れる
ことなく、より確実に対応するインク流路に導かれるこ
とになる。

【００４９】天板４２０の側面には、電気結合面の基板
部４５０と、これに電気的に接続されているエネルギー
発生体４５５が、バネ部材４３０によって天板の流路面
に固定されている。

【００５０】さらに４９０は、流路部材４６０やシール
部材４８０を、天板に設けられた穴を通して流路部材４
６０に一体固定するための固定ビスである。

【００５１】次に本実施形態におけるインクジェット記
録ヘッドの構成を、吐出面からみた図５を参照して説明
する。

【００５２】図５に示すように、２つのキャリッジレー
ル１８０に沿って移動するヘッドホルダ１４０上に４つ
のインクジェット記録ヘッド１９０が、キャリッジ移動
方向（Ｂ）に対して直交する方向、すなわち副走査方向
（Ａ）に配列されている。また、各インクジェット記録
ヘッド１９０のノズル列も、副走査方向に沿って延びて
いる。

【００５３】本実施形態のインクジェット記録ヘッドの
ノズル構成は、ブラック（Ｂｋ）インク吐出用として第
１のインクジェット記録ヘッドの２つのノズル列５１お
よび５２を使用し、シアン（Ｃ）インクおよび淡シアン
（ＬＣ）インク吐出用として第２のインクジェット記録
ヘッドのノズル列５３および５４をそれぞれ使用し、マ
ゼンタ（Ｍ）インクおよび淡マゼンタ（ＬＭ）インク吐
出用として第３のインクジェット記録ヘッドのノズル列
５５および５６をそれぞれ使用し、イエロー（Ｙ）イン
クおよび淡イエロー（ＬＹ）インク吐出用として第４の
インクジェット記録ヘッドのノズル列５７および５８を
それぞれ使用する。

【００５４】このようなノズル構成とすることにより、
ブラックインクについてはノズル数を２倍とすることで
高速な記録が可能となり、カラーインクについては濃度
の異なる２種類のインクを使用して、階調度の高い高画
質なカラー記録画像が得られる。

【００５５】さらに、この構成によれば、キャリッジの
主走査方向の大きさが記録可能な記録紙の幅に対して大
きくならないため、キャリッジの移動時間によるロスが
生じず、小型で高速なインクジェット記録装置とするこ
とが可能となる。

【００５６】また、モノクロ記録を行う際には、上記第
２から第４のインクジェット記録ヘッドを、いずれもブ
ラックインク吐出用のインクジェット記録ヘッドと交換
してヘッドホルダ１４０に装着することにより、記録装
置本体の仕様を変更することなく、より高速で高画質な
モノクロ記録が実現できる。

【００５７】［第２の実施形態］次に本発明の第２の実
施形態について説明する。第２の実施形態の構成は概ね
上記第１の実施形態と同様であり、以下の説明では第１
の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。

【００５８】図６は、第二の実施形態でのインクジェッ
ト記録ヘッドの構成を吐出面からみた図である。図示さ
れたように第１の実施形態と同様に、２つのキャリッジ
レール１８０に沿って移動するヘッドホルダ１４０上に
４つのインクジェット記録ヘッド１９０が、キャリッジ
移動方向（Ｂ）に対して直交する方向、すなわち副走査
方向（Ａ）に配列されている。また、各インクジェット
記録ヘッド１９０のノズル列も、副走査方向に沿って延
びている。

【００５９】第２の実施形態でのインクジェット記録ヘ
ッドの構成は、記録密度６００（ｄｐｉ）での記録を行
うために、ブラック（Ｂｋ）インク吐出用およびシアン
（Ｃ）インク吐出用として第１のインクジェット記録ヘ
ッドのノズル列６１および６２をそれぞれ使用し、マゼ
ンタ（Ｍ）インク吐出用およびイエロー（Ｙ）インク吐
出用としてノズルピッチ６００（ｄｐｉ）の第２のイン
クジェット記録ヘッドのノズル列６３および６４をそれ
ぞれ使用する。

【００６０】また、記録密度３００（ｄｐｉ）での記録
を行うために、ブラック（Ｂｋ）インク吐出用およびシ
アン（Ｃ）インク吐出用として第３のインクジェット記
録ヘッドのノズル列６５および６６をそれぞれ使用し、
マゼンタ（Ｍ）インク吐出用およびイエロー（Ｙ）イン
ク吐出用としてノズルピッチ３００（ｄｐｉ）の第４の
インクジェット記録ヘッドのノズル列６７および６８を
それぞれ使用する。

【００６１】このようなノズル構成とすることにより、
記録装置本体を変更することなく、２つの異なる記録密
度でのカラー記録が行える。

【００６２】さらに、この構成によれば、キャリッジの
主走査方向の大きさが記録可能な記録紙の幅に対して大
きくならないため、キャリッジの移動時間によるロスが
生じず、小型で高速なインクジェット記録装置とするこ
とが可能となる。

【００６３】また、モノクロ記録を行う際には、上記第
１および第２のインクジェット記録ヘッドを、いずれも
ノズルピッチ６００（ｄｐｉ）のブラックインク吐出用
のインクジェット記録ヘッドと交換し、第３および第４
のインクジェット記録ヘッドを、いずれもノズルピッチ
３００（ｄｐｉ）のブラックインク吐出用のインクジェ
ット記録ヘッドと交換することにより、記録装置本体の
仕様を変更することなく、２つの記録密度でのモノクロ
記録が実現できる。

【００６４】［他の実施形態］以上の実施形態は、特に
インクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせ
るために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発
生する手段（例えば電気熱変換体やレーザ光等）を備
え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起さ
せる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化
が達成できる。

【００６５】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書、同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも１つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に１対１で対応した液体
（インク）内の気泡を形成できるので有効である。

【００６６】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体（インク）を吐出させて、少なくとも１つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に
優れた液体（インク）の吐出が達成でき、より好まし
い。

【００６７】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第４４６３３５９号明細書、同第４３４５２６２号
明細書に記載されているようなものが適している。な
お、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許
第４３１３１２４号明細書に記載されている条件を採用
すると、さらに優れた記録を行うことができる。

【００６８】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成（直線状液流路または直角液流路）の
他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第４５５８３３３号明細書、米国特許第
４４５９６００号明細書に記載された構成も本発明に含
まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対し
て、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構
成を開示する特開昭５９−１２３６７０号公報や熱エネ
ルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構
成を開示する特開昭５９−１３８４６１号公報に基づい
た構成としても良い。

【００６９】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満た
す構成や、一体的に形成された１個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよい。

【００７０】加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘ
ッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリ
ッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着さ
れることで、装置本体との電気的な接続や装置本体から
のインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの
記録ヘッドを用いてもよい。

【００７１】また、以上説明した記録装置の構成に、記
録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加する
ことは記録動作を一層安定にできるので好ましいもので
ある。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対して
のキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは
吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子
あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などが
ある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを
備えることも安定した記録を行うために有効である。

【００７２】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってで
も良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフ
ルカラーの少なくとも１つを備えた装置とすることもで
きる。

【００７３】以上説明した実施の形態においては、イン
クが液体であることを前提として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化も
しくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジ
ェット方式ではインク自体を３０°Ｃ以上７０°Ｃ以下
の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範
囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、
使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであれば
よい。

【００７４】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、
またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し
加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれに
しても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイ
ンクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒
体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。

【００７５】このような場合インクは、特開昭５４−５
６８４７号公報あるいは特開昭６０−７１２６０号公報
に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に
液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換
体に対して対向するような形態としてもよい。本発明に
おいては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。

【００７６】なお、本発明は、複数の機器（例えばホス
トコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリン
タなど）から構成されるシステムに適用しても、一つの
機器からなる装置（例えば、複写機、ファクシミリ装置
など）に適用してもよい。

【００７７】また、本発明の目的は、前述した実施形態
の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記
録した記憶媒体（または記録媒体）を、システムあるい
は装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュ
ータ（またはCPUやMPU）が記憶媒体に格納されたプログ
ラムコードを読み出し実行することによっても、達成さ
れることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読
み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の
機能を実現することになり、そのプログラムコードを記
憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、
コンピュータが読み出したプログラムコードを実行する
ことにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけ
でなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピ
ュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)
などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理に
よって前述した実施形態の機能が実現される場合も含ま
れることは言うまでもない。

【００７８】さらに、記憶媒体から読み出されたプログ
ラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カー
ドやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わ
るメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示
に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備
わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、そ
の処理によって前述した実施形態の機能が実現される場
合も含まれることは言うまでもない。

【００７９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、様
々な記録モードでの記録が容易に行え、かつ記録装置の
走査方向の大きさが使用可能な記録紙の幅に対してそれ
ほど大きくならず、高速記録が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるインクジェット記録装置の外観
斜視図である。

【図２】図１のインクジェット記録ヘッド周辺を示す内
部拡大斜視図である。

【図３】図１のインクジェット記録ヘッドの装着に関す
る説明図である。

【図４Ａ】図１のインクジェット記録ヘッドの外観斜視
図である。

【図４Ｂ】図１のインクジェット記録ヘッドの分解斜視
図である。

【図５】第１の実施形態のインクジェット記録ヘッドの
構成を吐出面からみた図である。

【図６】第２の実施形態のインクジェット記録ヘッドの
構成を吐出面からみた図である。

【図７】従来のインクジェット記録ヘッドを吐出面から
観た図である。

【図８】従来のインクジェット記録ヘッドの外観図であ
る。

【図９】図１のインクジェット記録装置の制御構成を示
すブロック図である。

【符号の説明】

１００ インクジェット記録装置 １４０ ヘッドホルダ １８０ キャリッジレール １９０ インクジェット記録ヘッド ２１１ 保護キャップ ２５０ フレキ配線板 ４１０ インクタンク ４２０ 天板 ４６０ 流路部材 ４８０ ノズル列 ５１〜５８、６１〜６８ ノズル列

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクを吐出して記録を行うインクジェ
   ット記録装置であって、 記録媒体を搬送する搬送手段と、 前記記録媒体の搬送方向に配列されたノズル列を有する
   インクジェット記録ヘッドを複数搭載するキャリッジ
   と、 前記キャリッジを前記搬送方向と略直交する方向に移動
   させる走査手段とを備え、 前記キャリッジが、前記複数のインクジェット記録ヘッ
   ドを前記搬送方向に配列した状態で着脱可能に保持する
   保持手段を有することを特徴とするインクジェット記録
   装置。
2. 【請求項２】 前記インクジェット記録装置は、複数の
   記録モードでの記録が可能であり、 指定された記録モードに応じて、前記複数のインクジェ
   ット記録ヘッドから使用する記録ヘッドを選択する記録
   ヘッド選択手段を更に備えることを特徴とする請求項１
   に記載のインクジェット記録装置。
3. 【請求項３】 前記複数のインクジェット記録ヘッド
   は、異なる色のインクを吐出するインクジェット記録ヘ
   ッドを含むことを特徴とする請求項１または２に記載の
   インクジェット記録装置。
4. 【請求項４】 前記複数のインクジェット記録ヘッド
   は、異なる濃度のインクを吐出するインクジェット記録
   ヘッドを含むことを特徴とする請求項１から３のいずれ
   かに記載のインクジェット記録装置。
5. 【請求項５】 前記複数のインクジェット記録ヘッド
   は、ノズル間隔の異なるインクジェット記録ヘッドを含
   むことを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載の
   インクジェット記録装置。
6. 【請求項６】 前記複数のインクジェット記録ヘッド
   は、ノズル数の異なるインクジェット記録ヘッドを含む
   ことを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載のイ
   ンクジェット記録装置。
7. 【請求項７】 前記複数のインクジェット記録ヘッド
   は、前記ノズル列を複数有するインクジェット記録ヘッ
   ドを含むことを特徴とする請求項１から６のいずれかに
   記載のインクジェット記録装置。
8. 【請求項８】 前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利用
   してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与
   える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体
   を備えていることを特徴とする請求項１から７のいずれ
   かに記載のインクジェット記録装置。
9. 【請求項９】 記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記
   録媒体の搬送方向に配列されたノズル列を有するインク
   ジェット記録ヘッドを複数搭載するキャリッジと、前記
   キャリッジを前記搬送方向と略直交する方向に移動させ
   る走査手段とを備えたインクジェット記録装置の記録方
   法であって、 前記キャリッジに、前記複数のインクジェット記録ヘッ
   ドを前記搬送方向に配列した状態で着脱可能に保持し、 指定された記録モードに応じて、前記複数のインクジェ
   ット記録ヘッドから使用する記録ヘッドを選択して記録
   を行うことを特徴とするインクジェット記録装置の記録
   方法。
10. 【請求項１０】 記録媒体を搬送する搬送手段と、前記
    記録媒体の搬送方向に配列されたノズル列を有するイン
    クジェット記録ヘッドを複数搭載するキャリッジと、前
    記キャリッジを前記搬送方向と略直交する方向に移動さ
    せる走査手段とを備えたインクジェット記録装置の記録
    ヘッド保持機構であって、 複数のインクジェット記録ヘッドを前記搬送方向に配列
    した状態で着脱可能に保持し、前記キャリッジに一体的
    に取り付けるように構成されていることを特徴とする記
    録ヘッド保持機構。