JP2001312977A

JP2001312977A - カラー陰極線管

Info

Publication number: JP2001312977A
Application number: JP2000129981A
Authority: JP
Inventors: Naohisa Takano; 猶久高野; Takeshi Sugiyama; 健杉山
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 2000-04-28
Filing date: 2000-04-28
Publication date: 2001-11-09

Abstract

(57)【要約】【課題】簡略な構成にて熱膨張時におけるシャドウマ
スクの特に菱形状の変形を抑制し、色純度劣化を効果的
に防止可能なカラー陰極線管を提供する。【解決手段】略矩形状のパネル内面に設けられた蛍光
体スクリーンと対向する略矩形状のシャドウマスク７を
有し、このシャドウマスク７が多数の電子ビーム通過孔
が形成された有効面と、その周辺部に形成されたマスク
スカート部１６とを備えるマスク本体と、マスクスカー
ト部１６の外周に固着された略矩形枠状のマスクスレー
ム８と、マスクフレーム８の長辺及び短辺に一端側が固
着され、パネルの長辺及び短辺に設けた支持ピンに他端
側が係止されてマスクフレーム８及びマスク本体を支持
する弾性支持体とを有するカラー陰極線管において、シ
ャドウマスク７とマスクフレーム８との各対角部Ｃ１乃
至Ｃ４の固着部の中に、マスクスカート部１６における
マスクスカート端からの高さが他の固着部と異なるもの
を備えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、色純度の劣化防止
を図ったカラー陰極線管に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】カラー陰極線管は、内面に蛍光面が形成
されたパネルと、このパネルに連接するファンネルから
なる外囲器を有し、パネルの内面に形成された蛍光面
は、赤、緑、青にそれぞれ発光する複数の蛍光体層を備
えている。

【０００３】また、前記ファンネルのネック部には、発
光色に対応した複数の電子ビームを放出する電子銃が配
置され、複数の電子ビームにより蛍光体層を励起するよ
うにしている。

【０００４】さらに、電子銃と蛍光面の間のパネルの内
側には色選別機能を有するシャドウマスクが配置され、
電子銃から放出された電子ビームを整形して特定の色の
蛍光体層にビームスポットを照射している。

【０００５】このシャドウマスクは、その周辺のマスク
スカート部が内側になるようマスクフレームによって固
着支持され、さらにマスクフレームに弾性支持体を取り
付けてなるシャドウマスク構体の形でパネルの内壁に設
けられたスタッドピンに係止されている。

【０００６】さらに、ファンネルの外側には電子ビーム
を偏向する磁界を発生する偏向ヨークが装着されてい
る。

【０００７】このようなカラー陰極線管のうち、コンピ
ュータディスプレイのようなモニター用として利用され
るカラー陰極線管の場合、シャドウマスクの材質として
は従来から使用されている鉄材に代えてアンバーのよう
な低熱膨張係数の材料を用いている。

【０００８】前記構造のカラー陰極線管を動作させた場
合、電子銃より放出された電子ビームの約８０％はシャ
ドウマスクによって遮断吸収され、電子ビームの運動エ
ネルギーは熱エネルギーに変換されてシャドウマスクを
支持するマスクフレーム及び弾性支持体をも加熱する。

【０００９】特に、カラー陰極線管を高輝度で使用した
場合、アンバーのような低熱膨張係数の材質からなるシ
ャドウマスクについては熱変形を比較的小さく抑えるこ
とができるが、マスクフレームや弾性支持体の熱膨張は
大きく、シャドウマスクにより整形された電子ビームス
ポットと蛍光面の所定の蛍光体層との相対的位置関係
（ランディング）にずれが生じ、色純度劣化が発生す
る。

【００１０】一般的にマスクフレームの熱膨張による色
純度劣化は、マスクフレームの外形が拡大することによ
ってシャドウマスクが画面外方向に引っ張られるように
なり、電子ビームスポットが画面外周方向に移動する変
化によって生じる。

【００１１】また、矩形枠状のマスクフレームの各辺部
には弾性支持体を設けており、弾性支持体が作用して生
じる色純度劣化も電子ビームスポットが画面回転方向や
菱形方向に移動する変化となる。

【００１２】これは、マスクフレームと弾性支持体の熱
膨張係数の相違や、マスクフレームが熱膨張して外形が
拡大したときに、帯状構造の弾性支持体が圧縮されて受
ける力により発生する。

【００１３】前記マスクフレームと弾性支持体の熱膨張
による色純度劣化のうち、マスクフレームの熱膨張によ
ってビームスポットが画面外周方向に移動する色純度劣
化は、使用される高輝度状態を想定してカラー陰極線管
の出荷調整の段階で電子ビームを予め画面内周方向に調
整することで、色純度劣化を抑えることが可能である。

【００１４】また、高輝度時の弾性支持体の作用による
回転方向の色純度劣化は、特開平１０−３３４８２１号
公報や特開平１１−２０４０５０号公報で示されるよう
にシャドウマスクとマスクフレームの溶接時に長辺、短
辺上の溶接位置を管軸を通る水平軸、垂直軸の軸上から
回転方向にずらすことで抑制可能であるが、これでは菱
形方向の色純度劣化は抑制できない。

【００１５】菱形方向の色純度劣化の対策としては、特
開平１１−２３８４７３号公報に開示されたものがあ
る。これは、弾性支持体のマスクフレームの長辺、短辺
に対する押圧力を、マスクフレームの長辺、短辺の面積
と板厚との積に比に対応するように設定し、これにより
シャドウマスクの変形を均一化しようとする発明であ
る。しかし、このような構造とすることはマスクフレー
ムの長辺と、短辺とで板厚を異ならせる必要があり、実
現は容易ではない。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のカラー陰極線では、特に高輝度使用時において熱膨張
した弾性支持体が作用して生じるシャドウマスクの変形
により、電子ビームスポットが菱形方向に移動して色純
度劣化を生じさせるという問題に対する対策が十分に講
じられていない。

【００１７】そこで本発明は、簡略な構成にて熱膨張時
におけるシャドウマスクの特に菱形状の変形を抑制する
ことができ、色純度劣化を効果的に防止することができ
るカラー陰極線管を提供するものである。

【００１８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
略矩形状のパネル内面に設けられた蛍光体スクリーンと
対向する略矩形状のシャドウマスクを有し、このシャド
ウマスクが多数の電子ビーム通過孔が形成された有効面
と、その周辺部に形成されたマスクスカート部とを備え
るマスク本体と、このマスク本体のマスクスカート部の
外周に固着された略矩形枠状のマスクフレームと、前記
マスクフレームの長辺及び短辺に一端側が固着され、前
記パネルの長辺及び短辺に設けた支持ピンに他端側が係
止されて前記マスクフレーム及びマスク本体を支持する
複数の弾性支持体とを有するカラー陰極線管において、
前記シャドウマスクとマスクフレームとの各対角部の固
着部の中に、前記マスクスカート部におけるマスクスカ
ート端からの高さが他の固着部と異なるものを備えたこ
とを特徴とするものである。

【００１９】請求項１記載の発明のように、前記各対角
部の固着位置のマスクスカート端からの高さを均一とせ
ず、他の固着部と異なる高さの固着部を備えることによ
って、マスクフレームが熱膨張したときに、これに固着
されたシャドウマスクが引っ張られて変形する量を変え
ることができる。

【００２０】すなわち、シャドウマスクとマスクフレー
ムを固着する際に、各対角部の固着位置の高さをそれぞ
れ調節することによって、シャドウマスクの変形量を調
整し、高輝度使用時において生じる電子ビームスポット
の位置が菱形方向に変形することを抑制して、これによ
り各対角部の簡略な固着構造のみで蛍光体スクリーンで
の色純度劣化を防止することができる。

【００２１】請求項２記載の発明は、略矩形状のパネル
内面に設けられた蛍光体スクリーンと対向する略矩形状
のシャドウマスクを有し、このシャドウマスクが多数の
電子ビーム通過孔が形成された有効面と、その周辺部に
形成されたマスクスカート部とを備えるマスク本体と、
このマスク本体のマスクスカート部の外周に固着された
略矩形枠状のマスクフレームと、前記マスクフレームの
長辺及び短辺に一端側が固着され、前記パネルの長辺及
び短辺に設けた支持ピンに他端側が係止されて前記マス
クフレーム及びマスク本体を支持する複数の弾性支持体
とを有するカラー陰極線管において、前記シャドウマス
クとマスクフレームとの対角部における固着位置の前記
マスクスカート部におけるマスクスカート端からの高さ
を異ならせ、各対角部に対して前記各弾性支持体、マス
クフレームの辺部を経て作用する熱膨張による不均一な
変形力を、前記各固着位置のマスクスカート端からの高
さの相違に応じたシャドウマスクの各対角部の変形量の
差により均一化してシャドウマスクの有効面の菱形状の
変形を抑制するようにしたことを特徴とするカラー陰極
線管。

【００２２】請求項２記載の発明のように、前記各対角
部の固着位置のマスクスカート端からの高さを均一とせ
ず異ならせることにより、マスクフレームの辺部を経て
作用する熱膨張による不均一な変形力を、前記各固着位
置のマスクスカート端からの高さの相違に応じたシャド
ウマスクの各対角部の変形量の差により均一化してシャ
ドウマスクの有効面の菱形状の変形を抑制することがで
き、これにより各対角部の簡略な固着構造のみで蛍光体
スクリーンでの色純度劣化を防止することができる。

【００２３】請求項３記載の発明は、請求項１又は２記
載のカラー陰極線管において、前記シャドウマスクとマ
スクフレームとの対角部の固着位置で少なくとも１つの
対角部と残余の対角部とでマスクスカート端からの高さ
が異なるように固着したことを特徴とするものである。

【００２４】請求項３記載の発明によれば、少なくとも
１つの対角部と残余の対角部とでマスクスカート端から
の固着位置の高さが異なるものであるから、少なくとも
１つの対角部部分で生じるシャドウマスクの変形を抑制
し、この対角部部分に相当する蛍光体スクリーンでの色
純度劣化を防止することができる。

【００２５】請求項４記載の発明は、請求項１又は２記
載のカラー陰極線管において、前記シャドウマスクとマ
スクフレームとの対角部の各固着位置におけるマスクス
カート端からの高さが、シャドウマスクの対角線で結ば
れる一方の対角部２箇所と、他方の対角部２箇所とで異
なることを特徴とするものである。

【００２６】請求項４記載の発明によれば、シャドウマ
スクの対角線で結ばれる一方の対角部２箇所と、他方の
対角部２箇所とで各固着位置におけるマスクスカート端
からの高さを異ならせたものであるから、シャドウマス
クの有効面の菱形状の変形を抑制することができ、これ
により、蛍光体スクリーンでの色純度劣化を防止するこ
とができる。

【００２７】請求項５記載の発明は、請求項１乃至４の
いずれかに記載のカラー陰極線管において、前記複数の
弾性支持体のマスクフレームへの固着部が、カラー陰極
線管の管軸通る水平軸と垂直軸とに対し同一方向にずれ
て固着されており、長辺側の弾性支持体の固着部から離
れた対角部のシャドウマスクとマスクフレームとの固着
位置をマスクスカート端から高くし、長辺側の弾性支持
体の固着部から近い対角部のシャドウマスクとマスクフ
レームとの固着位置をマスクスカート端から低くしてい
ることを特徴とするものである。

【００２８】請求項５記載の発明によれば、前記複数の
弾性支持体のマスクフレームへの固着部のずれに対応し
て、長辺側の弾性支持体の固着部から離れた熱膨張によ
る変形が小さい対角部のシャドウマスクとマスクフレー
ムとの固着位置をマスクスカート端から高くし、長辺側
の弾性支持体の固着部から近い熱膨張による変形が大き
い対角部のシャドウマスクとマスクフレームとの固着位
置をマスクスカート端から低くしているので、長辺側の
弾性支持体の固着部から離れた対角部において生じるシ
ャドウマスクの変形を大きく、長辺側の弾性支持体の固
着部に近い対角部において生じるシャドウマスクの変形
を小さくすることができ、シャドウマスク全体としての
変形を均一化させて、これにより、蛍光体スクリーンで
の色純度劣化を防止することができる。

【００２９】請求項６記載の発明は、請求項１乃至５の
いずれかに記載のカラー陰極線管において、前記各対角
部におけるシャドウマスクとマスクフレームとの固着
は、マスクスカート部の対角部に設けた舌片部とマスク
フレームの対角部内壁との溶接により行われていること
を特徴とするものである。

【００３０】請求項６記載の発明によれば、各対角部に
おけるシャドウマスクとマスクフレームとの固着を、マ
スクスカート部の対角部に設けた舌片部とマスクフレー
ムの対角部との溶接とする構造として、請求項１乃至５
のいずれかに記載のカラー陰極線管の作用を発揮させる
ことがせできる。

【００３１】請求項７記載の発明は、請求項６記載のカ
ラー陰極線管において、前記マスクスカート部の対角部
に設けた舌片部における溶接位置は、この舌片部端から
の距離が溶接可能な距離となるように設定されることを
特徴とするものである。

【００３２】請求項７記載の発明によれば、前記舌片部
における溶接位置をこの舌片部端からの距離が溶接可能
な距離としているので、前記マスクスカート部の対角部
とマスクフレームの対角部とを確実に溶接して請求項６
記載のカラー陰極線管の作用を発揮させることがせでき
る。

【００３３】請求項８記載の発明は、請求項１乃至７の
いずれかに記載のカラー陰極線管において、前記シャド
ウマスクの熱膨張係数よりマスクフレームの熱膨張係数
が大きいことを特徴とするものである。

【００３４】請求項８記載の発明によれば、前記シャド
ウマスクの熱膨張係数よりマスクフレームの熱膨張係数
を大きくしているので、シャドウマスクの熱膨張による
変形よりもマスクフレームの熱膨張による変形のほうが
大きくなり、上述したシャドウマスクとマスクフレーム
との対角部における固着位置のマスクスカート端からの
高さを異ならせた構造によるシャドウマスクの変形の均
一化を確実に図ることができる。

【００３５】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
図面を参照して説明する。

【００３６】本実施の形態のカラー陰極線管は、図１に
示すように内面に蛍光面１が形成されたパネル２と、こ
のパネル２に連接するファンネル３からなる外囲器を有
し、パネル２の内面に形成された蛍光面１は、赤、緑、
青にそれぞれ発光する複数の蛍光体層を備えている。

【００３７】また、前記ファンネル３のネック部４に
は、発光色に対応した複数の電子ビーム６Ｂ、６Ｇ、６
Ｒを放出する電子銃５が配置され、複数の電子ビーム６
Ｂ、６Ｇ、６Ｒにより蛍光体層を励起するようにしてい
る。

【００３８】さらに、電子銃５と蛍光面１の間のパネル
２の内側には色選別機能を有するシャドウマスク７が配
置され、電子銃５から放出された電子ビーム６Ｂ、６
Ｇ、６Ｒを整形して特定の色の蛍光体層にビームスポッ
トを照射している。

【００３９】このシャドウマスク７は、その周辺のマス
クスカート部１６が内側になるようマスクフレーム８に
よって固着支持され、さらにマスクフレーム８に弾性支
持体９を取り付けてなるシャドウマスク構体１２の形で
パネル２の内壁に設けられた支持ピン１０に係止されて
いる。

【００４０】さらに、ファンネル３の外側には電子ビー
ム６Ｂ、６Ｇ、６Ｒを偏向する磁界を発生する偏向ヨー
ク１１が装着されている。

【００４１】シャドウマスク構体１２は、図２に示すよ
うに、シャドウマスク７、マスクフレーム８及び弾性支
持体９にて構成されている。

【００４２】シャドウマスク７は、多数の開孔が形成さ
れた略矩形状の有効部及び有効部の周辺の無孔部とかな
る曲面部１５と、この曲面部１５から折り曲げられた略
矩形状のマスクスカート部１６とからなる。

【００４３】また、マスクフレーム８は略矩形枠状とな
っており、長側壁（長辺）１７ａ及び短側壁（短辺）１
７ｂには各々弾性支持体９が固着されている。

【００４４】弾性支持体９は、帯板状部材を曲折成形し
た形状となっており、パネル内壁に設けられた支持ピン
１０が嵌合する孔が開けられた係合部１８ｂと、マスク
フレーム８に固着される固着部１８ａと、係合部１８ｂ
と固着部１８ａとの間を連結する傾斜部１８ｃとを有し
ている。

【００４５】尚、この弾性支持体９自体をバイメタルと
したり、バイメタル部材と組み合わせたりしてもよい。

【００４６】そして、シャドウマスク７とマスクフレー
ム８との長辺同士の溶接点ｐは、図３に示すように、管
軸Ｚに関して水平方向（Ｘ軸方向）にずれている。但
し、図３に示す溶接点ｐの位置は、マスクフレーム８の
熱膨脹係数よりも弾性支持体９の熱膨脹係数が大きい場
合である。

【００４７】同様に、前記シャドウマスク７とマスクフ
レーム８の短辺同士との溶接点についても同様に管軸Ｚ
に関して垂直方向（Ｙ軸方向）にずれている。

【００４８】これは各弾性支持体９の固着部１８ａのマ
スクフレーム８に対する固着位置（×印で示す）が各々
回転方向にずれているため、それに伴い高輝度時に発生
する回転方向の色純度劣化を防止するためである。

【００４９】また、図２、図４、図５に示すように、シ
ャドウマスク構体１２における一方の二つの対角部Ｃ
１、Ｃ３の溶接点（点線×印で示す）と、他方の二つの
対角部Ｃ２、Ｃ４の溶接点（点線×印で示す）とは、マ
スクスカート端７ａからの高さｈ１、ｈ２がそれぞれ異
なる位置（ｈ１＞ｈ２）となるように溶接されている。
一方の二つの対角部Ｃ１、Ｃ３においては、溶接点をマ
スクスカート部１６に設けた舌片部１６ａの下端から高
さｈ１とし、他方の二つの対角部Ｃ２、Ｃ４のにおいて
は、溶接点をマスクスカート部１６に設けた舌片部１６
ａの下端から前記高さｈ１よりも低い高さｈ２としてい
る。

【００５０】次に本実施の形態のカラー陰極線管の作用
について説明する。

【００５１】カラー陰極線管の高輝度使用時、シャドウ
マスク７に生じた熱がマスクフレーム８をへて弾性支持
体９へ伝わり、マスクフレーム８、弾性支持体９が熱膨
張すると図６で点線で示すように、シャドウマスク構体
１２が菱形方向に変形する。これは熱膨張によりマスク
フレーム８の外形が大きくなることによって、パネルピ
ン１０に嵌合している弾性支持体９が圧縮されて変形す
ることによるものである。具体的には、マスクフレーム
８の各辺に取り付けられた弾性支持体９がシャドウマス
クク７の管軸Ｚを通るＹ軸上、Ｘ軸上で溶接されておら
ず、これらＹ軸上、Ｘ軸上からずれているために発生
し、マスクフレーム８が図７で点線で示すように歪むこ
とによる。この場合、マスクフレーム８の長辺における
弾性支持体９の固着部１８ａから近い側の対角部Ｃ２、
Ｃ４は大きく変形し、マスクフレーム８の長辺における
弾性支持体９の固着部１８ａから遠い側の対角部Ｃ１、
Ｃ３は小さく変形する。

【００５２】この結果、蛍光面１における電子ビームス
ポットのランディング位置が図８に示すように実線で示
す理想的な位置Ｐ０から点線で示す位置Ｐ１に変化する
状態となる。

【００５３】本実施の形態では、シャドウマスク７とマ
スクフレーム８との溶接位置の高さを異なるようにずら
している。

【００５４】具体的には、マスクフレーム８の変形が大
きい対角部Ｃ２、Ｃ４の溶接位置は、図１０に示すよう
に、マスクスカート端（舌片部１６ａの下端）７ａに近
い位置（マスクスカート端７ａからの高さｈ２の位置）
であり、マスクフレーム８の変形が小さい対角部Ｃ１、
Ｃ３の溶接位置は、図９に示すように、マスクスカート
端７ａから遠い位置（マスクスカート端７ａからの高さ
ｈ１の位置）にしている。マスクスカート端７ａに近
い位置でシャドウマスク７とマスクフレーム８を溶接す
ると、シャドウマスク７はマスクフレーム８の熱膨張に
よる変形の影響を受けにくく、他方、マスクスカート端
７ａに遠い位置でシャドウマスク７とマスクフレーム８
を溶接すると、シャドウマスク７はマスクフレーム８の
熱膨張による変形の影響を受け易くなる。

【００５５】即ち、マスクフレーム８の対角部Ｃ１、Ｃ
３と、対角部Ｃ２、Ｃ４とにおいて、シャドウマスク７
とマスクフレーム８の溶接位置が、図１０に示す如く、
マスクスカート端７ａから近い場合には、シャドウマス
ク７のマスクスカート端７ａ側はマスクフレーム８と略
同一量変形するが、マスクスカート部１６の弾性変形に
より曲面部１５側の対角部Ｃ２、Ｃ４に臨む部分の変形
は少ない。

【００５６】他方、シャドウマスク７とマスクフレーム
８の溶接位置が、図９に示す如く、マスクスカート端７
ａから遠い場合には、シャドウマスク７のマスクスカー
ト部１６もマスクフレーム８の対角部Ｃ１、Ｃ３の変形
と略同一量変形し、これにより、曲面部１５の対角部Ｃ
１、Ｃ３に臨む部分の変形は大きくなる。

【００５７】この結果、シャドウマスク７の実際の変形
は、図７に示す場合の変形と相殺され、全体として均一
な変化となり、図１１に点線の円で示すように、蛍光面
１における電子ビームスポットのランディング位置は略
理想的な位置Ｐ０となる。

【００５８】尚、画面外周方向に移動する色純度劣化
は、カラー陰極線管の出荷調整時におけるランディング
位置の画面内周方向への調整により抑えることが可能で
ある。また、管軸Ｚに対する回転方向に電子ビームスポ
ットのランディング位置がずれる現象も発生するが、こ
れは長辺、短辺の溶接位置を管軸Ｚを通るＸ軸（又はＹ
軸）に対して図３で示すように水平方向（又は垂直方
向）にずらすことで補正できる。

【００５９】次に、１７インチのカラー陰極線管の場合
について具体的に説明する。シャドウマスクは板厚が約
０．１ｍｍで、熱膨張係数が１．５×１０^-6／℃、マス
クフレームは板厚約１．２ｍｍで熱膨張係数が１２×１
０^-6／℃、弾性支持体の板厚が約０．７ｍｍで、熱膨張
係数が１７×１０^-6／℃である。

【００６０】そして、対角部（舌片部幅１５ｍｍ）の
マスクスカート端からの高さを、一方の２個の対角部で
１．５ｍｍ、他方の２個の対角部で３．５ｍｍとした。

【００６１】この結果、各対角部におけるシャドウマス
クとマスクフレームとの溶接位置が同一高さである構造
では最大変形量１２μｍの菱形パターンが生じたのに対
して、本実施の形態では最大変形量４μｍの菱形パター
ンしか生じないシャドウマスクとすることができた。

【００６２】また、上述した例で、一方の２個の対角部
で０．５ｍｍ、他方の２個の対角部で３．５ｍｍとした
ところ、最大でも変形量２μｍの菱形パターンが生じる
シャドウマスクとすることができた。

【００６３】また、全部で４個の対角部において、いず
れか一つの対角部に近い領域の電子ビームスポットのラ
ンディング位置がずれているような場合には、当該対角
部におけるシャドウマスクとマスクフレームとの溶接位
置の高さのみを他の３箇所の対角部における溶接位置の
高さと異にする構造とすることで、ランディング位置を
調節することが可能である。

【００６４】さらに、上述した本実施の形態では、カラ
ー陰極線管の高輝度使用時の動作について説明したが、
例えばカラー陰極線管のパネルを形成するガラスの温度
上昇等ようなシャドウマスク又はマスクフレーム以外の
要因によって生じるシャドウマスク構体の変形に対して
も本発明は対応可能である。

【００６５】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、各対角部
の簡略な固着構造のみで蛍光体スクリーンでの色純度劣
化を防止することができるカラー陰極線管を提供するこ
とができる。

【００６６】請求項２記載の発明によれば、シャドウマ
スクの有効面の菱形状の変形を抑制することができ、こ
れにより各対角部の簡略な固着構造のみで蛍光体スクリ
ーンでの色純度劣化を防止することができるカラー陰極
線管を提供することができる。

【００６７】請求項３記載の発明によれば、少なくとも
１つの対角部部分で生じるシャドウマスクの変形を抑制
し、この対角部部分に相当する蛍光体スクリーンでの色
純度劣化を防止することができるカラー陰極線管を提供
することができる。

【００６８】請求項４記載の発明によれば、シャドウマ
スクの有効面の菱形状の変形を抑制することができ、蛍
光体スクリーンでの色純度劣化を防止することができる
カラー陰極線管を提供することができる。

【００６９】請求項５記載の発明によれば、シャドウマ
スク全体としての変形を均一化させて、蛍光体スクリー
ンでの色純度劣化を防止することができるカラー陰極線
管を提供することができる。

【００７０】請求項６記載の発明によれば、各対角部に
おけるシャドウマスクとマスクフレームとの固着を、マ
スクスカート部の対角部に設けた舌片部とマスクフレー
ムの対角部との溶接とする構造として蛍光体スクリーン
での色純度劣化を防止することができるカラー陰極線管
を提供することができる。

【００７１】請求項７記載の発明によれば、マスクスカ
ート部の対角部とマスクフレームの対角部とを確実に溶
接して蛍光体スクリーンでの色純度劣化を防止すること
ができるカラー陰極線管を提供することができる。

【００７２】請求項８記載の発明によれば、シャドウマ
スクとマスクフレームとの対角部における固着位置のマ
スクスカート端からの高さを異ならせた構造によるシャ
ドウマスクの変形の均一化を確実に図ることができるカ
ラー陰極線管を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態のカラー陰極線管を示す概
略断面図である。

【図２】本発明の実施の形態のシャドウマスク構体を示
す斜視図である。

【図３】本発明の実施の形態のシャドウマスク及びマス
クフレームの部分拡大図である。

【図４】本発明の実施の形態のシャドウマスク及びマス
クフレームの一方の対角部の溶接位置を示す部分斜視図
である。

【図５】本発明の実施の形態のシャドウマスク及びマス
クフレームの他方の対角部の溶接位置を示す部分斜視図
である。

【図６】本発明の実施の形態のシャドウマスク構体の熱
膨張による菱形変形状態を示す説明図である。

【図７】本発明の実施の形態のシャドウマスク構体の熱
膨張による変形状態を示す説明図である。

【図８】本発明の実施の形態の蛍光面の電子ビームスポ
ットのランディング位置のずれを示す説明図である。

【図９】本発明の実施の形態のシャドウマスク及びマス
クフレームの一方の対角部の溶接位置を示す部分概略図
である。

【図１０】本発明の実施の形態のシャドウマスク及びマ
スクフレームの一方の対角部の溶接位置を示す部分概略
図である。

【図１１】本発明の実施の形態の蛍光面の電子ビームス
ポットのランディング位置の補正状態を示す説明図であ
る。

【符号の説明】

１蛍光面２パネル３ファンネル４ネック部６Ｂ電子ビーム７シャドウマスク８マスクフレーム９弾性支持体１０支持ピン１２シャドウマスク構体１５曲面部１６マスクスカート部１６ａ舌片部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】略矩形状のパネル内面に設けられた蛍光
体スクリーンと対向する略矩形状のシャドウマスクを有
し、このシャドウマスクが多数の電子ビーム通過孔が形
成された有効面と、その周辺部に形成されたマスクスカ
ート部とを備えるマスク本体と、このマスク本体のマスクスカート部の外周に固着された
略矩形枠状のマスクフレームと、前記マスクフレームの長辺及び短辺に一端側が固着さ
れ、前記パネルの長辺及び短辺に設けた支持ピンに他端
側が係止されて前記マスクフレーム及びマスク本体を支
持する複数の弾性支持体と、を有するカラー陰極線管において、前記シャドウマスクとマスクフレームとの各対角部の固
着部の中に、前記マスクスカート部におけるマスクスカ
ート端からの高さが他の固着部と異なるものを備えたこ
とを特徴とするカラー陰極線管。
【請求項２】略矩形状のパネル内面に設けられた蛍光
体スクリーンと対向する略矩形状のシャドウマスクを有
し、このシャドウマスクが多数の電子ビーム通過孔が形
成された有効面と、その周辺部に形成されたマスクスカ
ート部とを備えるマスク本体と、このマスク本体のマスクスカート部の外周に固着された
略矩形枠状のマスクフレームと、前記マスクフレームの長辺及び短辺に一端側が固着さ
れ、前記パネルの長辺及び短辺に設けた支持ピンに他端
側が係止されて前記マスクフレーム及びマスク本体を支
持する複数の弾性支持体と、を有するカラー陰極線管において、前記シャドウマスクとマスクフレームとの対角部におけ
る固着位置の前記マスクスカート部におけるマスクスカ
ート端からの高さを異ならせ、各対角部に対して前記各
弾性支持体、マスクフレームの辺部を経て作用する熱膨
張による不均一な変形力を、前記各固着位置のマスクス
カート端からの高さの相違に応じたシャドウマスクの各
対角部の変形量の差により均一化してシャドウマスクの
有効面の菱形状の変形を抑制するようにしたことを特徴
とするカラー陰極線管。
【請求項３】前記シャドウマスクとマスクフレームと
の対角部の固着位置で少なくとも１つの対角部と残余の
対角部とでマスクスカート端からの高さが異なるように
固着したことを特徴とする請求項１又は２記載のカラー
陰極線管。
【請求項４】前記シャドウマスクとマスクフレームと
の対角部の各固着位置におけるマスクスカート端からの
高さが、シャドウマスクの対角線で結ばれる一方の対角
部２箇所と、他方の対角部２箇所とで異なることを特徴
とする請求項１又は２記載のカラー陰極線管。
【請求項５】前記複数の弾性支持体のマスクフレーム
への固着部が、カラー陰極線管の管軸を通る水平軸と垂
直軸とに対し同一方向にずれて固着されており、長辺側
の弾性支持体の固着部から離れた対角部のシャドウマス
クとマスクフレームとの固着位置をマスクスカート端か
ら高くし、長辺側の弾性支持体の固着部から近い対角部
のシャドウマスクとマスクフレームとの固着位置をマス
クスカート端から低くしていることを特徴とする請求項
１乃至４のいずれかに記載のカラー陰極線管。
【請求項６】前記各対角部におけるシャドウマスクと
マスクフレームとの固着は、マスクスカート部の対角部
に設けた舌片部とマスクフレームの対角部内壁との溶接
により行われていることを特徴とする請求項１乃至５の
いずれかに記載のカラー陰極線管。
【請求項７】前記マスクスカート部の対角部に設けた
舌片部における溶接位置は、この舌片部端からの距離が
溶接可能な距離となるように設定されることを特徴とす
る請求項６記載のカラー陰極線管。
【請求項８】前記シャドウマスクの熱膨張係数よりマ
スクフレームの熱膨張係数が大きいことを特徴とする請
求項１乃至７のいずれかに記載のカラー陰極線管。