JP2001311967A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JP2001311967A
JP2001311967A JP2000133830A JP2000133830A JP2001311967A JP 2001311967 A JP2001311967 A JP 2001311967A JP 2000133830 A JP2000133830 A JP 2000133830A JP 2000133830 A JP2000133830 A JP 2000133830A JP 2001311967 A JP2001311967 A JP 2001311967A
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JP2000133830A
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Satoshi Hisamitsu
聡史 久光
Nobuyuki Kobayashi
信幸 小林
Masako Iwamatsu
雅子 岩松
Hideaki Ueda
秀昭 植田
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コレステリック液晶を用いた液晶表示素子で
あって、双安定性に優れるとともに、明るく視認性に優
れた画像表示ができ、例えば、黒色などの背景色を利用
してモノクロ(モノカラー)画像表示を行う場合、良好
なコントラスト、明るさ等の特性を得ることができ、駆
動電圧を低く抑えることができる液晶表示素子を提供す
る。 【解決手段】 少なくとも一方が透光性を有する一対の
基板11、12と、基板11、12間にコレステリック
液晶21を含む液晶層210とを有し、液晶21中に実
質的にポリマーを含まない液晶表示素子A〜Dであり、
着色状態における液晶21の選択反射波長nP(nは液
晶21の平均屈折率、Pは液晶21のヘリカルピッチ)
における光反射率をR、液晶21の屈折率異方性をΔn
とした場合の波長λの関数として表される式{exp−
〔2(λ−nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視波長域に
おける積分値Saが、着色状態における波長―光反射率
スペクトルを表す関数f(λ)の可視波長域における積
分値Sbの40%以上60%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示素子(換言
すれば液晶光変調素子)に関する。特に、室温でコレス
テリック相を示す液晶を用いた二つの安定状態のスイッ
チング(双安定スイッチング)を利用した液晶表示素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ネマティック液晶にカイラル材を
添加することにより、室温においてコレステリック相を
示すようにしたカイラルネマティック液晶などのコレス
テリック液晶を用いた液晶表示素子が種々研究されてい
る。
【0003】かかる液晶表示素子は、例えば、コレステ
リック液晶の選択反射を利用した反射型の液晶表示素子
として用いられることがある。この反射型の液晶表示素
子には、紙や書籍等の代替を目的として、白っぽい色
と、黒色などの背景色とを利用するモノクロ(モノカラ
ー)画像表示を行うものがある。
【0004】カイラルネマティック液晶の選択反射を利
用した液晶表示素子では、一般的に、着色状態において
波長―光反射率スペクトルにおける選択反射の光反射率
のピークが選択反射波長の近傍領域に集中しており、そ
の部分のスペクトル波形が鋭いため、液晶表示素子が単
層の状態では色純度の高い(換言すれば白色度の低い)
鮮やかな色の表示しかできない点で不十分であり満足し
難い。
【0005】コレステリック液晶を使用した反射型モノ
クロ液晶表示素子としては、カイラルネマティック液晶
の選択反射を利用した高分子安定型液晶表示素子が提案
されている(例えば、米国特許第5,847,798
号)。この液晶表示素子では、選択反射状態での反射ス
ペクトルをブロードにすることによって、単層の液晶表
示素子でモノクロ表示が実現できるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カイラ
ルネマティック液晶の選択反射を利用した高分子安定型
液晶表示素子では、液晶中にネットワーク化された(換
言すれば、網目構造の)高分子体(ポリマー)を含むた
め駆動電圧が比較的高くなり、また、画像表示において
背景色表示特性(例えば黒色表示特性)が満足できるほ
ど十分ではなく、そのためコントラストが低くなる。
【0007】そこで本発明は、コレステリック液晶を用
いた液晶表示素子であって、双安定性に優れるととも
に、明るく視認性に優れた画像表示ができ、例えば、黒
色などの背景色を利用してモノクロ(モノカラー)画像
表示を行う場合、良好なコントラスト、明るさ等の特性
を得ることができる液晶表示素子を提供することを課題
とする。
【0008】また本発明は、コレステリック液晶を用い
た液晶表示素子であって、駆動電圧を低く抑えることが
できる液晶表示素子を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決するため研究を重ねたところ、次のことを見出した。
【0010】すなわち、一対の基板間にコレステリック
液晶を含む液晶層を有し、該コレステリック液晶中に実
質的にポリマーを含まない液晶表示素子であって所定の
電圧印加によって液晶を着色状態と散乱状態に切り替え
て表示を行う液晶表示素子においては、コレステリック
液晶の選択反射のピークをブロードにすることで、換言
すれば着色状態において波長―光反射率スペクトルにお
ける選択反射の光反射率のピークをブロードにする(よ
り広範囲の可視波長域に広げる)ことで、液晶表示素子
が単層の状態で例えば黒色などの背景色と白っぽい色と
を利用した良好なモノクロ(モノカラー)表示を行うこ
とができる。
【0011】通常、コレステリック相を示す液晶は、液
晶分子のヘリカル軸が基板に対して垂直に並んだプレー
ナ配列状態でヘリカルピッチと該液晶の平均屈折率の積
に対応する波長の光を選択的に反射する。従って、選択
反射波長が例えば赤色波長域、青色波長域、緑色波長域
にあたる液晶を用いれば、それぞれ赤色、青色、緑色に
着色して見える。この液晶を例えば不完全なプレーナ状
態を生じ得るようにすることで、選択反射の光反射率の
ピークを各ドメイン(各領域)の反射方向によりランダ
ムに発生させてブロードにできる。
【0012】本発明者の研究によると、一対の基板間に
コレステリック液晶を含む液晶層を有し、該コレステリ
ック液晶中に実質的にポリマーを含まない液晶表示素子
であって所定の電圧印加によって液晶を着色状態と散乱
状態に切り替えて表示を行う液晶表示素子においては、
着色状態において波長―光反射率スペクトルにおける選
択反射の光反射率のピークをブロードにし、さらに着色
状態において、前記コレステリック液晶の選択反射波長
nP(nはコレステリック液晶の平均屈折率、Pはコレ
ステリック液晶のヘリカルピッチ)における光反射率を
R、前記コレステリック液晶の屈折率異方性をΔnとす
ると、波長λの関数として表される式{exp−〔2
(λ−nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視波長域におけ
る積分値が、着色状態における波長―光反射率スペクト
ルを表す関数f(λ)の可視波長域における積分値の概
ね40%〜60%のときに、色純度の低い(換言すれば
白色度の高い)、明るく視認性の優れた画像表示を行う
ことができる。例えば、黒色などの背景色を利用してモ
ノクロ(モノカラー)画像表示を行う場合、良好なコン
トラスト、明るさ等の特性を得ることができる。しか
も、双安定性に優れており、比較的低い電圧で駆動でき
る。
【0013】なお、前記式{exp−〔2(λ−nP)
2 /Δn2 2 〕}Rは中心波長(選択反射波長nP)
における反射率がR、分散が(ΔnP/2)2 である正
規分布関数を表わす。
【0014】前記式{exp−〔2(λ−nP)2 /Δ
2 2 〕}Rの可視波長域における積分値を、着色状
態における波長―光反射率スペクトルを表す関数f
(λ)の可視波長域における積分値の60%より大きく
すると、選択反射の光反射率のピークをブロードにする
ことが困難となり、換言すれば光反射率のピーク部分の
スペクトル波形が鋭くなり、色純度の高い、鮮やかな色
の画像表示になり易い。また、40%より小さくする
と、選択反射の光反射率のピークを視感反射率の大きい
波長域、例えば波長500nm〜波長800nm程度の
波長域において発生させることが困難となり、視認性が
低下し易い。従って、60%より大きい場合及び40%
より小さい場合のいずれにおいても、視認性の低い画像
表示となる。
【0015】本発明はかかる知見に基づくものであり、
前記課題を解決するため、少なくとも一方が透光性を有
する一対の基板と、該一対の基板間にコレステリック液
晶を含む液晶層とを有し、該コレステリック液晶中に実
質的にポリマーを含まない(液晶以外のポリマーを含ま
ない)液晶表示素子であって所定の電圧印加によって液
晶を着色状態と散乱状態に切り替えて(すなわち、各画
素領域において着色状態と散乱状態とに切り替えて)表
示を行う液晶表示素子であり、着色状態における前記コ
レステリック液晶の選択反射波長nP(nはコレステリ
ック液晶の平均屈折率、Pはコレステリック液晶のヘリ
カルピッチ)における光反射率をR、前記コレステリッ
ク液晶の屈折率異方性をΔnとした場合の波長λの関数
として表される式{exp−〔2(λ−nP)2 /Δn
2 2 〕}Rの可視波長域における積分値が、着色状態
における波長―光反射率スペクトルを表す関数f(λ)
の可視波長域における積分値の40%以上60%以下で
あることを特徴とする液晶表示素子を提供する。
【0016】本発明に係る液晶表示素子は、コレステリ
ック液晶の選択反射を利用した反射型の液晶表示素子と
して用いることができる。この場合、例えば黒色などの
背景色を利用してモノクロ(モノカラー)画像表示が行
える。
【0017】本発明に係る液晶表示素子によると、前記
式{exp−〔2(λ−nP)2 /Δn2 2 〕}Rの
可視波長域における積分値が、所定の着色状態における
波長―光反射率スペクトルを表す関数f(λ)の可視波
長域における積分値の40%以上60%以下であるの
で、選択反射の光反射率のピークを適度にブロードにす
ることができ、着色状態において色純度が低く(換言す
れば白色度の高く)、また明るく視認性の優れた画像表
示ができる。例えば、黒色などの背景色を利用してモノ
クロ(モノカラー)画像表示を行う場合、良好なコント
ラスト、明るさ等の特性を得ることができる。また、双
安定性に優れており、駆動電圧を低く抑えることができ
る。従って、従来の高分子安定型液晶表示素子と比較し
ても駆動電圧や表示特性の点で有利である。また、液晶
表示素子が単層の状態で良好なモノクロ(モノカラー)
画像表示を行うことができるので、低コストのモノクロ
(モノカラー)液晶表示パネルを製造するために用いる
ことができる。
【0018】本発明の液晶表示素子において、可視波長
域をいずれの波長範囲に設定するかについては、可視波
長域の考え方には一般に多少のバラツキがあり、その設
定には多少のバラツキが生じることがあるが、一般的に
可視波長域と認められている範囲であれば、たとえその
範囲にバラツキがあったとしても、前記式{exp−
〔2(λ−nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視波長域に
おける積分値を、着色状態における波長―光反射率スペ
クトルを表す関数f(λ)の可視波長域における積分値
の40%以上60%以下とすることで、色純度の低い、
明るく視認性の優れた画像表示を行うことができる。な
お、後述する発明の実施形態及び実験例では、可視波長
域を360nm〜740nmとしている。
【0019】前記液晶層に含まれるコレステリック液晶
の選択反射波長nPとしては、それには限定されない
が、視感反射率の大きい波長域、例えば500nm〜8
00nm程度を挙げることができる。
【0020】着色状態において波長―光反射率スペクト
ルにおける選択反射の光反射率のピークをブロードにす
るためには、前記液晶層に含まれるコレステリック液晶
の屈折率異方性Δnが比較的大きい方が好ましく、その
屈折率異方性Δnとしては、それには限定されないが、
0.18から0.32程度を例示できる。
【0021】また、前記液晶層は色素を含有していても
よい。この場合、該液晶層に含まれる色素としては、紫
外線吸収色素、色調整のための色素を例示できる。ま
た、選択反射波長nP付近及び(又は)選択反射波長n
P×0.7付近の波長の光に極大吸収をもつ色素を用い
てもよい。このように選択反射波長nP付近及び(又
は)選択反射波長nP×0.7付近の波長の光に極大吸
収をもつ色素を前記液晶層に含有することで、着色状態
において波長―光反射率スペクトルにおける選択反射の
光反射率のピークをブロードにし易い。
【0022】いずれにしても、前記液晶層に含まれるコ
レステリック液晶としては、室温でコレステリック相を
示すものが望ましい。その代表例としては、ネマティッ
ク液晶混合物に、少なくとも1種類のカイラル材を添加
してなるカイラルネマティック液晶を挙げることができ
る。この場合、カイラル材の含有率の好ましい範囲とし
ては、10重量(wt)%〜45重量(wt)%程度を
例示できる。また、前記カイラルネマティック液晶に含
まれるネマティック液晶材料としては、屈折率異方性が
例えば0.2〜0.32程度の材料であることが望まし
い。
【0023】いずれにしても、前記液晶層に含まれるコ
レステリック液晶は、コレステリック相からアイソトロ
ピック相(等方相)への相転移点(相転移温度)Tch-I
が例えば60℃〜120℃程度であることが望ましい。
液晶表示素子温度が室温から60℃の範囲内において、
可視波長域における波長―光反射率スペクトルの波形に
変化(例えば、選択反射波長のシフト)が殆ど見られな
いように、温度補償範囲をとることが望ましい。例え
ば、選択反射波長nP付近で光反射率がピークとなる波
長の測定値において、液晶表示素子温度25℃での測定
値と液晶表示素子温度60℃での測定値との差が、30
nm以内であることが望ましい。
【0024】本発明に係る液晶表示素子のいずれにおい
ても、電圧の印加をやめた後でも着色状態であった領域
は着色状態が、散乱状態であった領域は散乱状態が保持
され得ることが望ましい。
【0025】また、いずれにしても、色調の調整のため
にカラーフィルタを備えていてもよいし、基板間隔維
持、表示素子の強度向上等の目的で前記一対の基板間に
複数の、高分子材料主体の構造物(樹脂等の高分子構造
物や樹脂組成物等の高分子組成物からなる構造物等)が
設けられていてもよい。また、前記一対の基板のうちい
ずれか一方の基板に紫外線カットフィルタを備えていて
もよい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0027】図1は本発明に係る液晶表示素子の第1の
実施形態Aの内部構成を概略的に示す図であり、図
(A)にパルス電源25から該液晶表示素子に低電圧パ
ルスを印加した時におけるフォーカルコニック状態、す
なわち散乱状態(透明状態、ここでは黒色表示状態)を
示し、図(B)にパルス電源25から該液晶表示素子に
高電圧パルスを印加した時におけるプレーナ状態、すな
わち着色状態(白色表示状態)を示す。
【0028】図2は本発明に係る液晶表示素子の第2、
第4の実施形態B、Dの内部構成を概略的に示す図であ
り、パルス電源25から該液晶表示素子に低電圧パルス
を印加した時におけるフォーカルコニック状態(散乱状
態)を示す図である。
【0029】また、図3は本発明に係る液晶表示素子の
第3の実施形態Cの内部構成を概略的に示す図であり、
パルス電源25から該液晶表示素子に低電圧パルスを印
加した時におけるフォーカルコニック状態(散乱状態)
を示す図である。
【0030】なお、図1から図3の液晶表示素子A〜D
において、同じ構成、作用を有する箇所については同じ
参照符号を付してある。
【0031】図1から図3に示す液晶表示素子A〜D
は、一対の基板11、12とコレステリック液晶21を
含む液晶層210を有している。一対の基板11、12
のうち少なくとも一方の基板、ここでは両方の基板1
1、12は、透光性を有している。これらの基板11、
12は所定距離を離して互いに対向しており、その間に
液晶21が挟まれている。液晶21は室温でコレステリ
ック相を示す液晶組成物であり、その材料や組み合わせ
については後述する。
【0032】液晶21は、これら両基板11、12に同
時的に接触するように挟持されている。すなわち、液晶
表示素子A〜Dを含め、本発明の液晶表示素子は、例え
ば網目状の高分子マトリックスに液晶が分散されてな
る、いわゆる高分子分散型液晶表示素子や高分子安定化
型液晶表示素子、液晶を微小な樹脂のカプセルに封入し
たものを用いた、いわゆるドロップレット型液晶表示素
子のように、液晶を微小領域に閉じ込めて双安定性を持
たせるような構造とは異なる、液晶21中に実質的にポ
リマーを含まない液晶表示素子である。
【0033】基板11、12は、既述のとおり、いずれ
も透光性を有しているが、基板11、12を含め、本発
明の液晶表示素子に用いることができる一対の基板は、
少なくとも一方が透光性を有していることが必要であ
る。透光性を有する基板としては、ガラス基板を例示で
きる。このガラス基板以外に、例えば、ポリカーボネー
ト、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリアリレート等のフレキシブルな樹脂基板等も使
用可能である。
【0034】図1から図3に示す液晶表示素子A〜Dを
含め、本発明の液晶表示素子には電極を設けることがで
きる。電極としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxi
de)に代表される透明導電性膜、アルミニウム、シリコ
ン等の金属電極、或いはアモルファスシリコン、BSO
(Bismuth Silicon Oxide )等の光導電性膜が使用可能
である。
【0035】図1から図3の液晶表示素子A〜Dにおい
ては、透明基板11、12の表面にそれぞれ間隔おいて
平行に並んだ複数の帯状の透明電極13、14が形成さ
れており、両基板11、12は、透明電極13、14の
向きが互いに直角方向となるように対向させてあり、透
明電極13、14が重なり合う領域が表示画素となる。
【0036】電極をこのように形成するには、例えば、
基板上にITO膜をスパッタリング法等で形成した後、
フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。さら
に、各画素に対応するスイッチング素子として複数のT
FTを用いてもよい。
【0037】液晶表示素子A〜Dでは、所定の電圧印加
によって液晶21の各画素領域において着色状態と散乱
状態とに切り替えて表示を行う。なお、本明細書におい
ては、液晶によって光変調が行われる領域、すなわち画
像表示がなされる領域を表示領域と呼ぶ。その周囲は光
変調が行われない表示領域外となる。
【0038】図1から図3に示す液晶表示素子A〜Dを
含め、本発明の液晶表示素子では絶縁性能・ガスバリア
性能を向上させるために、電極上に有機及び(又は)無
機材料からなる絶縁性薄膜が形成されていてもよい。ま
た、基板表面には必要に応じて、配向安定化膜を設ける
ことができる。配向安定化膜の材質等を選択して、基板
近傍の液晶分子のプレーナ状態と該基板から離れた部位
(沖合)の液晶分子のプレーナ状態が異なるような特性
を発現するようにすることで、結果的に選択反射ピーク
をブロードにすることができる。
【0039】図1から図3の液晶表示素子A〜Dでは、
電極13が形成された基板11上に絶縁性薄膜15がコ
ーティングされており、その上に配向安定化膜16が設
けられている。電極14が形成された基板12上に配向
安定化膜16が設けられている。
【0040】絶縁性薄膜を構成する材料としては、例え
ば、アクリル系やエポキシ系、ウレタン系等の樹脂材料
は勿論のこと、配向膜に用いられるポリイミドやシリコ
ーン系等の樹脂材料も使用可能である。なお、絶縁性薄
膜として、前記の樹脂材料の中に色素を混合して形成さ
れたカラーフィルタ等も使用可能である。
【0041】配向安定化膜を構成する材料としては、例
えば、ポリイミドなど通常配向膜材料として用いられる
ものが使用可能である。また、アクリレート、シランカ
ップリング剤やポリシロキサン等のシロキサン構造の材
料やシリコン原子をもつ化合物を含有する材料なども使
用できる。
【0042】図1から図3に示す液晶表示素子A〜Dの
コレステリック液晶21だけでなく、本発明の液晶表示
素子のコレステリック液晶としては、特に、室温でコレ
ステリック相を示すものが好ましい。
【0043】このコレステリック液晶では、着色状態に
おけるコレステリック液晶の選択反射波長nP(nはコ
レステリック液晶の平均屈折率、Pはコレステリック液
晶のヘリカルピッチ)における光反射率をR、コレステ
リック液晶の屈折率異方性をΔnとした場合の波長λの
関数として表される式{exp−〔2(λ−nP)2
Δn2 2 〕}Rの可視波長域における積分値が、着色
状態における波長―光反射率スペクトルを表す関数f
(λ)の可視波長域における積分値の40%以上60%
以下である。
【0044】図4に図1から図3に示す液晶表示素子A
〜Dの着色状態におけるコレステリック液晶21の選択
反射波長nP(nは液晶21の平均屈折率、Pは液晶2
1のヘリカルピッチ)における光反射率をR、コレステ
リック液晶の屈折率異方性をΔnとした場合の波長λの
関数として表される式{exp−〔2(λ−nP)2
Δn2 2 〕}Rの波形(図中破線a)及び着色状態に
おける波長―光反射率スペクトルの一例(図中実線b)
を示す。
【0045】なお、前記式{exp−〔2(λ−nP)
2 /Δn2 2 〕}Rは、中心波長(選択反射波長n
P)における反射率がR、分散が(ΔnP/2)2 であ
る正規分布関数を表わしている。また、ここでの可視波
長域は、既述のとおり360nm〜740nmとしてお
り、図中cは横軸(波長軸)対する波長360nmでの
垂線であり、dは横軸に対する波長740nmでの垂線
である。
【0046】本例ではコレステリック液晶21の選択反
射波長nPは700nmに調整されている。液晶表示素
子A〜Dでは、図4の波形bに示すように、その着色状
態における波長―光反射率スペクトルは波長nPである
700nm付近と、波長nP×0.7である500nm
付近に極大を有しており、反射波長は可視光の波長(こ
こでは360nm〜740nm)全域にわたっている。
【0047】式{exp−〔2(λ−nP)2 /Δn2
2 〕}Rの可視波長域(360nm〜740nm)に
おける積分値、すなわち図4に示す波形a、線d及び横
軸に囲まれた面積Saが、着色状態における波長―光反
射率スペクトルを表す関数f(λ)の可視波長域(36
0nm〜740nm)における積分値、すなわち図4に
示す波形b、線c、d及び横軸に囲まれた面積Sbの4
0%以上60%以下である。
【0048】液晶表示素子A〜Dを含め、本発明に係る
液晶表示素子のコレステリック液晶としては、ネマティ
ック液晶に、例えば、以下に説明するカイラル材を適量
添加することによって得られるカイラルネマティック液
晶を用いることができる。このカイラルネマティック液
晶は室温でコレステリック相を示す。また、カイラル材
の添加量の大小で選択反射波長が調整可能である。ネマ
ティック液晶としては、例えば、従来知られている液晶
性エステル化合物、液晶性ピリミジン化合物、液晶性シ
アノビフェニル化合物や、フッ素原子、フルオロアルキ
ル基、シアノ基等の極性基を有する液晶性化合物等を単
一、或いは混合して使用することができる。また、正の
誘電率異方性を有する液晶化合物を主成分とするものが
好ましい。さらに、色素又は(及び)紫外線吸収剤を添
加してもよい。
【0049】カイラルネマティック液晶は、添加するカ
イラルドーパント(カイラル材)の量を変えることによ
り、カイラルネマティック液晶の螺旋構造のピッチを変
化させることができ、これにより液晶の選択反射波長を
制御することができるという利点がある。なお、一般的
には、液晶分子の螺旋構造のピッチを表す用語として、
液晶分子の螺旋構造に沿って液晶分子が360°回転し
たときの分子間の距離で定義されるヘリカルピッチを用
いる。
【0050】また、本発明者の研究によると、本発明の
液晶表示素子により良好な素子特性を実現するために
は、高屈折率異方性をもつ液晶組成物を使用するとよ
い。そのためには、高屈折率異方性のネマティック液晶
混合物を使用し、且つ、あまり屈折率異方性を低下させ
ないカイラル材を使用すればよい。しかし、カイラル材
料の選択の幅はネマティック液晶混合物の選択の幅と比
べて非常にせまいため、ネマティック液晶混合物は、屈
折率異方性が例えば0.2〜0.32程度の屈折率異方
性の高い材料を選択することが望ましい。
【0051】添加するカイラル材としては、例えば、コ
レステリック環を有するコレステリック液晶、カイラル
ネマティック液晶、その他、液晶性は示さないがネマテ
ィック液晶の分子をねじる作用を有する有機化合物を使
用することができる。
【0052】例えば、ビフェニル化合物、ターフェニル
化合物、エステル化合物、ピリミジン化合物、アゾキシ
化合物などでネマティック液晶分子に層状のヘリカル構
造(液晶分子の螺旋構造に沿って液晶分子が360°回
転した分子構造)を与えるものを使用できる。化合物の
末端基に光学活性基を有する市販のカイラル材料を用い
ることができる。また、コレステリックノナノレートに
代表されるコレステリック環を有するコレステリック液
晶も使用できる。
【0053】以下にその例として化学構造式(C1 )〜
(C7 )を示す。 (カイラル材の化学構造式)
【0054】
【化1】
【0055】カイラル材の添加量は、ネマティック液晶
及びカイラル材の合計の重量を基準として、例えば約1
0重量(wt)%〜約45重量(wt)%より好ましく
は、15wt%〜40wt%がよい。10wt%以下で
は、十分なメモリー性(すなわち、電圧印加をやめた後
の、着色状態であった領域の着色状態の保持性、或いは
散乱状態であった領域の散乱状態の保持性)を得られな
い場合を生じ、また、45wt%以上では、室温でコレ
ステリック相を示さなくなったり、固化したりする場合
がある。添加するカイラル材料の種類は、1種類でも、
複数種類でもよい。但し、液晶種により複数種の材料を
使用したほうが温度補償や安定性の点で有利な場合があ
る。
【0056】カイラルネマティック液晶に色素を添加す
る場合、添加される色素としては、例えば、アゾ化合
物、キノン化合物、アントラキノン化合物等、或いは2
色性色素等、従来知られている各種の色素が使用可能で
ある。色素の添加量としては、それには限定されない
が、ネマティック液晶とカイラル材の合計の重量に対
し、5wt%以下、好ましくは3wt%以下を例示でき
る。
【0057】カイラルネマティック液晶に紫外線吸収剤
を添加する場合、添加される紫外線吸収剤としては、液
晶組成物の紫外線劣化、例えば経時に伴なう退色や応答
性の変化等を防止できるもの、例えば、ベンゾフェノン
化合物、ベンゾトリアゾール化合物、サリシレート化合
物等の材料が使用可能である。紫外線吸収剤の添加量と
しては、それには限定されないが、ネマティック液晶と
カイラル材の合計の重量に対し、5wt%以下、好まし
くは3wt%以下を例示できる。
【0058】本発明の液晶表示素子において、カイラル
ネマティック液晶に色素又は(及び)紫外線吸収剤を添
加する場合、色素又は(及び)紫外線吸収剤の役割とし
は、例えば、よりブロードな反射ピークを得、画像表示
の白さを増す役割を挙げることができる。
【0059】コレステリック液晶組成物は、屈折率異方
性が0.18〜0.32程度であることが好ましく、よ
り好ましくは0.2〜0.3程度を例示できる。液晶組
成物の屈折率異方性があまり小さくなると散乱成分が少
なくなり、ブロードな選択反射ピークが得られ難くな
る。また、逆に屈折率異方性があまり大きくなると、散
乱成分が多くなりすぎて液晶表示素子におけるフォーカ
ルコニック状態(散乱状態)での透明表示(例えば黒色
の背景色表示)状態が悪くなり易く(透明がでにくく)
表示性能が低下し易い。従って、透明状態(散乱状
態)、着色状態ともに、良好なコントラスト特性を得る
ために屈折率異方性が前記の範囲にあることが望まし
い。
【0060】コレステリック液晶組成物の相転移温度T
ch-Iとしては、60℃〜120℃程度であることが望ま
しく、より好ましくは、70℃〜120℃程度を例示で
きる。120℃以上でも、低温側の温度補償が可能であ
ればよいが、組成的に高温の温度補償範囲を広げること
で低温側の補償下限が上昇することが常なので、実用液
晶表示素子として使用する範囲では、前記の範囲である
ことが望ましい。
【0061】コレステリック液晶としてカイラルネマテ
ィック液晶組成物を用いる場合においては、カイラルネ
マティック液晶組成物は少なくとも室温から60℃の範
囲で殆ど選択反射波長のシフトが見られないように温度
補償をとることが望ましい。この温度補償範囲は、所定
の液晶に対して温度上昇に伴ない選択反射波長を長波長
シフトさせるカイラル材料と短波長シフトさせるカイラ
ル材料を所定の比率で混合することや、所定の液晶に対
して温度により波長シフトが生じ難いカイラル材料を選
んで調製することで実現可能である。また、このように
調製されたカイラルネマティック液晶組成物は、本実施
形態のように所定の配向状態で用いた場合も、観察側か
ら反射波形のシフトがほとんど生じない。
【0062】また、コレステリック液晶組成物の誘電率
異方性の上限値としては、40以下、望ましくは30以
下を例示できる。誘電率異方性が大きすぎると長期信頼
性に問題が生じることがある。
【0063】本発明に係る液晶表示素子において、コレ
ステリック液晶組成物の選択反射波長は、可視光(例え
ば、360nm〜740nmの波長域の光)を選択反射
させるように調製すれば、より明るい反射が得られる。
さらに波長500nm〜800nm程度、より好ましく
は波長570nm〜630nm程度に調製することで、
明るさと色味(白さ)を両立させることができる。
【0064】図1から図3に示す液晶表示素子A〜Dを
含め、本発明の液晶表示素子には液晶組成物が漏れない
ように素子の周囲をシールするシール材を設けることが
できる。液晶表示素子A〜Dの基板11、12間には、
表示領域外である基板11、12の周縁部に液晶組成物
21を封じ込めるためのシール材24が設けられてい
る。
【0065】シール材としては、例えば、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂等の熱硬化型或いは光硬化型接着剤が
使用可能である。
【0066】図1から図3に示す液晶表示素子A〜Dを
含め、本発明の液晶表示素子は、一対の基板間に、該基
板間のギャップを均一に保持するためのスペーサが設け
られていてもよい。本例の液晶表示素子A〜Dにおいて
スペーサは図示を省略してある。
【0067】このスペーサとしては、樹脂製又は無機酸
化物製の球体を例示できる。また、例えば、固着・接着
性能を有するものも使用可能である。
【0068】図1から図3に示す液晶表示素子A〜Dを
含め、本発明の液晶表示素子は、強い自己保持性を付与
するために、一対の基板間が複数の、高分子材料を主体
とする構造物で支持されていてもよい。
【0069】液晶表示素子素子B、Dには、図2に示す
ように基板11、12間の表示領域内に柱状構造物20
が設けられている。液晶表示素子素子Cには、図3に示
すように基板11、12の間隙の中間部まで延びた小柱
状構造物20’が形成されている。
【0070】柱状構造物に関しては、まず構造面につい
て説明する。柱状構造物の形状としては、例えば円柱状
・四角柱状・楕円状等を挙げることができるが、それに
限定されるものではなく、形状はどのようなものでもよ
い。柱状構造物の配置としては、ランダムでも規則性が
あってもよい。一対の基板間の間隙を適切に保持すると
いう目的のためには、等間隔な配列、間隔が徐々に変化
する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返さ
れる配列、所定間隔で配置されたストライプ状の配列等
を例示でき、ある程度の規則性がある配列の方が望まし
い。また、画像表示を妨げないように考慮することはい
うまでもない。それらを作製する手段については、例え
ば、紫外線硬化型のモノマー・レジスト材料等にマスク
を介して紫外線を照射し、該材料の未硬化部分を除去す
るフォトリソ法や、熱可塑性樹脂をスクリーン印刷して
圧着加熱・冷却させて硬化させる方法などを挙げること
ができる。
【0071】次に柱状構造物の形成方法について説明す
る。柱状構造物は従来公知の各種の方法により形成する
ことができる。例えば、光硬化性樹脂材料を少なくとも
一方の基板に塗布した後、所望のパターンの開口が形成
されたマスクを介して所定波長の光を照射することによ
り、光硬化性樹脂材料を重合させ、不要部分を取り除い
て樹脂構造物を形成する方法や、少なくとも一方の基板
に樹脂材料をスクリーン印刷法で、転写、硬化、乾燥さ
せて樹脂構造物を形成する方法、液晶組成物と光硬化性
樹脂材料との混合物を一方の基板に塗布した後、他方の
基板を重ねて、所望のパターンの開口が形成されたマス
クを介して所定波長の光を照射することで光硬化性樹脂
材料を重合させ前記混合物から相分離することにより樹
脂構造物を形成する方法などを挙げることができる。
【0072】なお、図2に示す液晶表示素子Dは、柱状
構造物20をスクリーン印刷法で形成したものである。
【0073】スクリーン印刷法による柱状構造物の形成
方法は、例えば、次のようにして行う。すなわち、所定
のパターンが形成されたスクリーンを少なくとも一方の
基板の電極等が形成された面上に被せ、該スクリーン上
に印刷材料(柱状構造物形成のための組成物、例えば光
硬化性樹脂など)を載せる。そしてスキージを所定の圧
力、速度で移動させる。これによって、印刷材料がスク
リーンのパターンを介して該基板上に転写される。次
に、転写された材料を硬化、乾燥させる。
【0074】スクリーン印刷法で柱状構造物を形成する
場合、それに用いる樹脂材料としては、既述の光硬化性
樹脂に限らず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等
の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂も使用できる。熱可塑性
樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化
ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル
酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリス
チレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
アクリロニトリル樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、ポ
リビニールケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニー
ルプロリドン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂等を挙げることが
できる。なお、樹脂材料は、例えば樹脂を適当な溶剤に
溶解するなどして、ペースト状にして用いることが望ま
しい。
【0075】柱状構造物に用いる樹脂材料として熱硬化
性樹脂や熱可塑性樹脂材料を用い、一対の基板間にスペ
ーサを設ける場合、例えば、次のようにして液晶表示素
子を作製することができる。
【0076】すなわち、まず樹脂材料を少なくとも一方
の基板上に配置した後、スペーサを少なくとも一方の基
板上に散布し、一対の基板を複数の帯状電極等の形成面
を対向させて重ね合わせる。重ね合わせた一対の基板を
両側から加圧しながら加熱することにより、樹脂材料を
軟化させた後、冷却することにより再びこれを固化さ
せ、空セルを形成する。
【0077】この空セルを液晶表示素子とするには、柱
状構造物を挟持した基板間に液晶組成物を、例えば真空
注入法等によって注入すればよい。
【0078】ところで、液晶は、一般的に波長380n
m以下の光成分により特性変化することが知られてい
る。この特性の変化は、画像表示における表示ムラや、
駆動電圧の劣化のような形で発生することがある。これ
を防ぐために、液晶表示素子に例えば、紫外線カットフ
ィルタ及び(又は)紫外線カット樹脂膜を設けることが
望ましい。
【0079】本発明の液晶表示素子においては、偏光板
又は位相板を設けることができ、この場合、その偏光板
又は位相板上に紫外線吸収剤を含む保護膜として、紫外
線吸収層を形成することができる。また、それに限らず
透明基板上に紫外線吸収層を形成してもよい。
【0080】紫外線吸収層の製造方法については、特に
限定されるものではなく任意の方法を用いることができ
る。代表的な方法としては、例えば、アクリル樹脂、シ
リコーン樹脂等に紫外線吸収剤を混ぜて基板等に塗布し
硬化させる方法や、トリアセテート等の材料に紫外線吸
収剤を添加したフィルタを挟みこむ等の方法を挙げるこ
とができる。
【0081】代表的な紫外線吸収材料としては、ベンゾ
フェノンやベンゾトリアゾール等を例示できる。但し、
紫外線吸収材料についても特に限定されるものではな
い。
【0082】図2に示す液晶表示素子B、Dにおいて
は、基板11の外面に紫外線吸収フィルタ26を設けて
ある。
【0083】また、図1から図3に示す液晶表示素子A
〜Dを含め、本発明の液晶表示素子においては、光を入
射させる側とは反対側の基板の外面に黒色などの可視光
吸収層を設けることができる。本例の液晶表示素子A〜
Dでは、基板12の外面に黒色の可視光吸収層19が設
けられている。
【0084】パルス電源25は電極13、14に接続さ
れており、電極13、14にパルス状の所定電圧を印加
できる。
【0085】以上の構成からなる液晶表示素子A〜Dに
おいては、電源25から電極13、14にパルス電圧を
印加することで画像表示が行われる。すなわち、液晶組
成物21としてコレステリック相を示すものを用いてい
るので、比較的高いパルス電圧を印加することで、液晶
21がプレーナ状態(着色状態)となり(図1(B)参
照)、図4に示すように、コレステリックピッチ(液晶
21のヘリカルピッチ)と液晶21の平均屈折率に基づ
いて決まる波長付近に主ピークをもつブロードな反射ス
ペクトルを示し白色表示状態となる。
【0086】比較的低いパルス電圧を印加することで、
液晶21がフォーカルコニック状態(散乱状態)となり
透明状態となる(図1(A)参照)。なお、図1から図
3に示すように、本例では、黒色の可視光吸収層19を
設けてあるので、フォーカルコニック状態では黒色の背
景色表示となる。
【0087】なお、一般的なコレステリック液晶では、
図4の破線で示した正規分布に近いスペクトルとなり、
色純度の高い(すなわち白色度の低い)表示となる。ま
た、ブロードな反射スペクトルであっても、例えば選択
反射波長のピーク値が図4の矢印Xに示す方向に下がっ
てくると、先の式に基づく積分値が上記範囲を下回り、
結果的にコントラストの低い暗い表示となる。
【0088】図1から図3に示す液晶表示素子A〜Dに
よると、前記式{exp−〔2(λ−nP)2 /Δn2
2 〕}Rの可視波長域における積分値Saが、着色状
態における波長―光反射率スペクトルを表す関数f
(λ)の可視波長域における積分値Sbの40%以上6
0%以下であるので、選択反射の光反射率のピークをブ
ロードにすることができ、着色状態において色純度が低
く(換言すれば白色度の高く)、また明るく視認性の優
れたモノクロ画像表示ができ、良好なコントラスト、明
るさ等の特性を得ることができる。また、双安定性に優
れており、駆動電圧を低く抑えることができる。従っ
て、従来の高分子安定型液晶表示素子と比較しても駆動
電圧や表示特性の点で有利である。また、液晶表示素子
が単層の状態で良好なモノクロ画像表示を行うことがで
きるので、低コストのモノクロ液晶表示パネルを製造す
るために用いることができる。
【0089】次に本発明に係る液晶表示素子の性能評価
実験を行ったので、比較実験とともに以下に説明する。
【0090】以下の各実験例において、Y値(視感反射
率)、波長―光反射率スペクトル等の測定は、白色光源
を有する分光測色計CM3700d(ミノルタ社製)を
用いて行った。
【0091】なお、コントラストは(高反射率状態での
Y値/低反射率状態でのY値)で与えられる。以下に説
明する各実験例における液晶表示素子においては、液晶
表示素子を着色状態としたときに高反射率状態となり、
散乱状態としたときに低反射率状態となる。 (実験例1)ネマティック液晶混合物(屈折率異方性:
0.210、誘電率異方性:38.7、等方相転移温
度:115℃)に、構造式C7 で示されるカイラル材料
18.3wt%を混合し、選択反射波長が510nmを
示すカイラルネマティック液晶組成物を調製した。この
カイラルネマティック液晶組成物は、室温でコレステリ
ック相を示した。
【0092】ITO電極がそれぞれ形成された二つのガ
ラス基板上に絶縁膜として酸化シリコン薄膜をそれぞれ
形成し、さらにその上に全面にわたってポリイミド樹脂
を主成分とする配向安定化膜をそれぞれ形成し、一方の
基板の周縁部に前記液晶組成物を封じ込めるためのシー
ル材XN21S(三井化学社製)を形成した。該二つの
基板を対向させ、両基板間にスペーサを挟んで基板間ギ
ャップを5μmに調整し、前記液晶組成物を挟持した。
さらに光を入射させる側とは反対側の基板の外面に黒色
の光吸収体を設け、液晶表示素子を作製した。この液晶
表示素子は、光吸収体が設けられている側の基板に絶縁
性薄膜が形成されていることを除いて、図1に示す液晶
表示素子Aと実質上同構成である。
【0093】この液晶表示素子において、電極間に40
Vのパルス電圧を5ms印加すると不完全なプレーナ状
態(白色状態)となり、この時のY値は10.52を示
した。さらに、25Vのパルス電圧を5ms印加すると
フォーカルコニック状態(透明状態)となり、Y値は
2.02を示した。コントラストは5.21であった。
【0094】着色状態において式{exp−〔2(λ−
nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視光域(可視波長域)
における積分値は波長―光反射率スペクトルを表わす関
数f(λ)の可視光域(可視波長域)における積分値の
48%であった。 (実験例2)ネマティック液晶混合物(屈折率異方性:
0.254、誘電率異方性:44.9、等方相転移温
度:104℃)に、構造式C7 で示されるカイラル材料
12.9wt%を混合し、選択反射波長が630nmを
示すカイラルネマティック液晶組成物を調製した。この
カイラルネマティック液晶組成物は、室温でコレステリ
ック相を示した。
【0095】ITO電極がそれぞれ形成された二つのガ
ラス基板上に絶縁膜として酸化シリコン薄膜をそれぞれ
形成し、さらにその上に全面にわたってポリイミド樹脂
を主成分とする配向安定化膜をそれぞれ形成し、一方の
基板の周縁部に前記液晶組成物を封じ込めるためのシー
ル材XN21S(三井化学社製)を形成した。該二つの
基板を対向させ、両基板間にスペーサを挟んで基板間ギ
ャップを7μmに調整し、前記液晶組成物を挟持した。
さらに光を入射させる側とは反対側の基板の外面に黒色
の光吸収体を設け、液晶表示素子を作製した。この液晶
表示素子は、光吸収体が設けられている側の基板に絶縁
性薄膜が形成されていることを除いて、図1に示す液晶
表示素子Aと実質上同構成である。
【0096】この液晶表示素子において、電極間に45
Vのパルス電圧を5ms印加すると不完全なプレーナ状
態(白色状態)となり、この時のY値は16.24を示
した。さらに、30Vのパルス電圧を5ms印加すると
フォーカルコニック状態(透明状態)となり、Y値は
3.21を示した。コントラストは5.06であった。
【0097】着色状態において式{exp−〔2(λ−
nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視光域における積分値
は波長―光反射率スペクトルを表わす関数f(λ)の可
視光域における積分値の50%であった。 (実験例3)実験例2で用いたカイラルネマティック液
晶に、二色性色素(光吸収極大波長665nm)を0.
5wt%添加した。
【0098】ITO電極がそれぞれ形成された二つのガ
ラス基板上に絶縁膜として酸化シリコン薄膜をそれぞれ
形成し、さらにその上に全面にわたってポリイミド樹脂
を主成分とする配向安定化膜をそれぞれ形成し、一方の
基板の周縁部に前記液晶組成物を封じ込めるためのシー
ル材XN21S(三井化学社製)を形成した。該二つの
基板を対向させ、両基板間にスペーサを挟んで基板間ギ
ャップを7μmに調整し、前記液晶組成物を挟持した。
さらに光を入射させる側とは反対側の基板の外面に黒色
の光吸収体を設け、液晶表示素子を作製した。この液晶
表示素子は、光吸収体が設けられている側の基板に絶縁
性薄膜が形成されていることを除いて、図1に示す液晶
表示素子Aと実質上同構成である。
【0099】この液晶表示素子において、電極間に45
Vのパルス電圧を5ms印加すると不完全なプレーナ状
態(白色状態)となり、この時のY値は14.99を示
した。さらに、30Vのパルス電圧を5ms印加すると
フォーカルコニック状態(透明状態)となり、Y値は
2.88を示した。コントラストは5.20であった。
【0100】反射波形は、選択反射ピークがかなりブロ
ードとなり、実験例2の液晶表示素子と比較して着色状
態(白色状態)における画像表示の白味が増した。ま
た、透明状態における画像表示がクリアになりコントラ
ストが向上した。
【0101】着色状態において式{exp−〔2(λ−
nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視光域における積分値
は波長―光反射率スペクトルを表わす関数f(λ)の可
視光域における積分値の46%であった。 (実験例4)ネマティック液晶混合物(屈折率異方性:
0.310、誘電率異方性:15.5、等方相転移温
度:108℃)に、カイラル材として構造式C2 及び構
造式C 3 の1:1混合物13.4wt%を混合し、選択
反射波長が590nmを示すカイラルネマティック液晶
組成物を調製した。このカイラルネマティック液晶組成
物は、室温でコレステリック相を示した。
【0102】次にITO電極がそれぞれ形成された二つ
のポリエーテルスルフォン(PES)基板上に絶縁膜と
して酸化シリコン薄膜をそれぞれ形成し、さらにその上
に全面にわたってシランカップリング剤を主成分とする
配向安定化膜をそれぞれ形成した。一方の基板上に9μ
mのギャップ調整用スペーサを所定量散布した後、基板
の周縁部にシール材XN21S(三井化学社製)を切れ
目のないようにスクリーン印刷した。他方の基板には、
熱可塑性樹脂を主成分とするインクを直径約100μm
の穴が約500μm間隔で形成されたメタルマスクを介
して載せた後、スキージを用いてスクリーン印刷を行な
い、高さ約10μmの円柱状の柱状構造物を形成した。
その後、先に調整した液晶組成物を塗布した。これら両
基板を貼り合わせ装置を用いて貼り合わせた後、150
℃で1時間加熱した。
【0103】次に柱状構造物を設けた側の基板の裏面
(外面)に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製
した。この液晶表示素子は、光入射側の基板に紫外線カ
ットフィルタが設けられていないこと及び光吸収層が設
けられている側の基板に絶縁性薄膜が形成されているこ
とを除いて、図2に示す液晶表示素子Dと実質上同構成
である。
【0104】この液晶表示素子において、電極間に10
5Vのパルス電圧を5ms印加すると不完全なプレーナ
状態(白色状態)となり、この時のY値は23.07を
示した。さらに、65Vのパルス電圧を5ms印加する
とフォーカルコニック状態(透明状態)となり、Y値は
3.24を示した。コントラストは7.12であった。
【0105】着色状態において式{exp−〔2(λ−
nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視光域における積分値
は波長―光反射率スペクトルを表わす関数f(λ)の可
視光域における積分値の58%であった。 (実験例5)ネマティック液晶混合物(屈折率異方性:
0.286、誘電率異方性:17.3、等方相転移温
度:113℃)に、カイラル材として構造式C2 及び構
造式C 3 の2:3混合物12.7wt%を混合し、選択
反射波長が690nmを示すカイラルネマティック液晶
組成物を調製した。このカイラルネマティック液晶組成
物は、室温でコレステリック相を示した。
【0106】ITO電極がそれぞれ形成された二つのガ
ラス基板上に絶縁膜として酸化シリコン薄膜をそれぞれ
形成し、さらにその上に全面にわたってポリイミド樹脂
を主成分とする配向安定化膜をそれぞれ形成し、一方の
基板の周縁部に前記液晶組成物を封じ込めるためのシー
ル材XN21S(三井化学社製)を形成した。該二つの
基板を対向させ、両基板間にスペーサを挟んで基板間ギ
ャップを9μmに調整し、前記液晶組成物を挟持した。
さらに光を入射させる側とは反対側の基板の外面に黒色
の光吸収体を設け、液晶表示素子を作製した。この液晶
表示素子は、光吸収体が設けられている側の基板に絶縁
性薄膜が形成されていることを除いて、図1に示す液晶
表示素子Aと実質上同構成である。
【0107】この液晶表示素子において、電極間に90
Vのパルス電圧を5ms印加すると不完全なプレーナ状
態(白色状態)となり、この時のY値は15.75を示
した。さらに、55Vのパルス電圧を5ms印加すると
フォーカルコニック状態(透明状態)となり、Y値は
4.26を示した。コントラストは3.70であった。
【0108】着色状態において式{exp−〔2(λ−
nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視光域における積分値
は波長―光反射率スペクトルを表わす関数f(λ)の可
視光域における積分値の40%であった。
【0109】また、この液晶表示素子をヒータに固定し
て室温から徐々に加熱していったところ、選択反射波長
nP付近で光反射率がピークとなる波長の測定値は、液
晶表示素子温度25℃での測定値が690nm、液晶表
示素子温度60℃での測定値が710nmであり、その
差は20nmであった。 (比較実験例1)ネマティック液晶混合物(屈折率異方
性:0.123、誘電率異方性:8.2、等方相転移温
度:102℃)に、カイラル材として構造式C3 で示さ
れるカイラル材料32.2wt%を混合し、選択反射波
長が630nmを示すカイラルネマティック液晶組成物
を調製した。このカイラルネマティック液晶組成物は、
室温でコレステリック相を示し、その屈折率異方性は
0.128、誘電率異方性は7.0、等方相転移温度は
70℃であった。
【0110】ITO電極が形成されたガラス基板上に絶
縁膜として酸化シリコン薄膜を形成し、さらにその上に
全面にわたってポリイミド樹脂を主成分とする配向安定
化膜を形成し、基板の周縁部に前記液晶組成物を封じ込
めるためのシール材XN21S(三井化学社製)を形成
した。該基板と、ITO電極のみが形成されたガラス基
板を対向させ、両基板間にスペーサを挟んで基板間ギャ
ップを10μmに調整し、前記液晶組成物を挟持した。
さらに光を入射させる側とは反対側の基板の外面に黒色
の光吸収体を設け、液晶表示素子を作製した。
【0111】この液晶表示素子において、電極間に70
Vのパルス電圧を5ms印加するとプレーナ状態、すな
わち着色状態(白色状態)になり、この時のY値は6.
42を示した。さらに、50Vのパルス電圧を5ms印
加するとフォーカルコニック状態、すなわち散乱状態
(透明状態)になり、Y値は2.48を示した。コント
ラストは2.59であり、暗く、コントラストの低い表
示になった。
【0112】着色状態において、反射スペクトルは比較
的ブロードであったが、式{exp−〔2(λ−nP)
2 /Δn2 2 〕}Rの可視波長域における積分値は、
波長―光反射率スペクトルを表わす関数f(λ)の可視
波長域における積分値の33%であった。 (比較実験例2)ネマティック液晶混合物(屈折率異方
性:0.179、誘電率異方性:28、等方相転移温
度:100℃)に、カイラル材として構造式C3 及び構
造式C2 の2:1混合物17.0wt%を混合し、選択
反射波長が600nmを示すカイラルネマティック液晶
組成物を調製した。このカイラルネマティック液晶組成
物は、室温でコレステリック相を示し、その屈折率異方
性は0.156、誘電率異方性は20、等方相転移温度
は75℃であった。
【0113】ITO電極がそれぞれ形成された二つのガ
ラス基板上に絶縁膜として酸化シリコン薄膜をそれぞれ
形成し、さらにその上に全面にわたってポリイミド樹脂
を主成分とする平行配向膜をそれぞれ形成し、一方の基
板の周縁部に前記液晶組成物を封じ込めるためのシール
材XN21S(三井化学社製)を形成した。該二つの基
板を対向させ、両基板間にスペーサを挟んで基板間ギャ
ップを7μmに調整し、前記液晶組成物を挟持した。さ
らに光を入射させる側とは反対側の基板の外面に黒色の
光吸収体を設け、液晶表示素子を作製した。
【0114】この液晶表示素子において、電極間に55
Vのパルス電圧を5ms印加するとプレーナ状態、すな
わち赤っぽい着色状態になり、この時のY値は12.7
2を示した。さらに、40Vのパルス電圧を5ms印加
するとフォーカルコニック状態、すなわち散乱状態(透
明状態)になり、Y値は2.18を示した。コントラス
トは5.83であった。
【0115】着色状態において式{exp−〔2(λ−
nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視波長域における積分
値は、波長―光反射率スペクトルを表わす関数f(λ)
の可視波長域における積分値の81%であり、色純度の
高い画像表示となり、また視角による色の変化が大きく
なった。 (比較実験例3)ネマティック液晶混合物(屈折率異方
性:0.286、誘電率異方性:17.3、等方相転移
温度:113℃)に、カイラル材として構造式C3 及び
構造式C 2 の2:1混合物17.0wt%を混合し、選
択反射波長が600nmを示すカイラルネマティック液
晶組成物を調製した。このカイラルネマティック液晶組
成物は、室温でコレステリック相を示し、その屈折率異
方性は0.256、誘電率異方性は13、等方相転移温
度は80℃であった。
【0116】ITO電極がそれぞれ形成された二つのガ
ラス基板上に絶縁膜として酸化シリコン薄膜をそれぞれ
形成し、さらにその上に全面にわたってポリイミド樹脂
を主成分とする配向安定化膜をそれぞれ形成し、一方の
基板の周縁部に前記液晶組成物を封じ込めるためのシー
ル材XN21S(三井化学社製)を形成した。該二つの
基板を対向させ、両基板間にスペーサを挟んで基板間ギ
ャップを9μmに調整した。そして前記液晶組成物に光
重合開始材Irgacure187 (チバガイギー社製)を0.0
9wt%と光硬化性モノマーR684(日本化薬社製)を
2.9wt%加えた混合物を両基板間に挟持した。さら
に光を入射させる側とは反対側の基板の外面に黒色の光
吸収体を設けた。対向するITO電極間に直流電圧50
Vを印加しながら紫外光(出力10mW/cm2 )を5
分間照射して前記光硬化性モノマーを高分子化させ、高
分子安定型の液晶表示素子を作製した。
【0117】この液晶表示素子において、電極間に11
0Vのパルス電圧を5ms印加すると不完全なプレーナ
状態、すなわち着色状態(白色状態)になり、この時の
Y値は14.85を示した。さらに、70Vのパルス電
圧を5ms印加するとフォーカルコニック状態、すなわ
ち散乱状態(透明状態)になり、Y値は4.76を示し
た。コントラストは3.11であり、暗く、コントラス
トの低い表示になり、駆動電圧も他のいずれの実験例と
比べて高くなってしまった。
【0118】着色状態において式{exp−〔2(λ−
nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視波長域における積分
値は、波長―光反射率スペクトルを表わす関数f(λ)
の可視波長域における積分値の33%であった。
【0119】以上説明した実験例及び比較実験例を以下
にまとめて示す。
【0120】 Y値 コント 積分値比 駆動電圧(V) 透明状態/白色状態 ラスト 透明状態/白色状態 実験例1 2.02 / 10.52 5.21 48% 25 / 40 実験例2 3.21 / 16.24 5.06 50% 30 / 45 実験例3 2.88 / 14.99 5.20 46% 30 / 45 実験例4 3.24 / 23.07 7.12 58% 65 / 105 実験例5 4.26 / 15.75 3.70 40% 55 / 90 比較例1 2.48 / 6.42 2.59 33% 50 / 70 比較例2 2.18 / 12.72 5.83 81% 40 / 55 比較例3 4.76 / 14.85 3.11 33% 70 / 110 以上のように、積分値比が40%以上60%以下である
実験例1〜5の液晶表示素子では、いずれも明るく視認
性の優れた白色状態と背景色である黒色状態とを利用し
たモノカラー画像表示を行うことができ、良好なコント
ラスト、明るさ等の特性を得ることができた。また、い
ずれも駆動電圧を比較的低く抑えることができた。
【0121】これに対し、積分値比が40%より小さい
比較実験例1、3の液晶表示素子では、暗く、コントラ
ストの低い表示になった。また、比較実験例3の液晶表
示素子では、駆動電圧が比較的高くなった。積分値比が
60%より大きい比較実験例2の液晶表示素子では、色
純度の高い画像表示となり、また視角による色の変化が
大きくなった。
【0122】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、コ
レステリック液晶を用いた液晶表示素子であって、双安
定性に優れるとともに、明るく視認性に優れた画像表示
ができ、例えば、黒色などの背景色を利用してモノクロ
(モノカラー)画像表示を行う場合、良好なコントラス
ト、明るさ等の特性を得ることができる液晶表示素子を
提供することができる。
【0123】また本発明によると、コレステリック液晶
を用いた液晶表示素子であって、駆動電圧を低く抑える
ことができる液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示素子の第1の実施形態の
内部構成を概略的に示す図であり、図(A)はパルス電
源から該液晶表示素子に低電圧パルスを印加した時にお
けるフォーカルコニック状態、すなわち散乱状態(透明
状態、ここでは黒色表示状態)を示す図であり、図
(B)はパルス電源から該液晶表示素子に高電圧パルス
を印加した時におけるプレーナ状態、すなわち着色状態
(白色表示状態)を示す図である。
【図2】本発明に係る液晶表示素子の第2、第4の実施
形態の内部構成を概略的に示す図であり、パルス電源か
ら該液晶表示素子に低電圧パルスを印加した時における
フォーカルコニック状態(散乱状態)を示す図である。
【図3】本発明に係る液晶表示素子の第3の実施形態の
内部構成を概略的に示す図であり、パルス電源から該液
晶表示素子に低電圧パルスを印加した時におけるフォー
カルコニック状態(散乱状態)を示す図である。
【図4】図1から図3に示す液晶表示素子の着色状態に
おけるコレステリック液晶の選択反射波長nPにおける
光反射率をR、コレステリック液晶の屈折率異方性をΔ
nとした場合の波長λの関数として表される式{exp
−〔2(λ−nP)2 /Δn2 2 〕}Rの波形及び着
色状態における波長―光反射率スペクトルの一例を示す
図である。
【符号の説明】
A、B、C、D 液晶表示素子 11、12 基板 13、14 透明電極 15 絶縁性薄膜 16 配向安定化膜 19 可視光吸収層 20 柱状構造物 20’ 小柱状構造物 21 コレステリック液晶 210 液晶層 24 シール材 25 パルス電源 26 紫外線吸収フィルタ a 式{exp−〔2(λ−nP)2 /Δn2 2 〕}
Rの波形 b 着色状態における波長―光反射率スペクトルの波形 c 横軸(波長軸)対する波長360nmでの垂線 d 横軸に対する波長740nmでの垂線 Sa 波形a、線d及び横軸に囲まれた面積 Sb 波形b、線c、d及び横軸に囲まれた面積
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩松 雅子 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 (72)発明者 植田 秀昭 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 Fターム(参考) 2H088 EA02 EA49 FA02 GA02 GA03 GA12 GA13 GA17 HA03 HA11 JA06 JA15 JA16 KA04 KA06 KA12 KA20 MA02 MA06 MA09 4H027 BA02 BD02 BD04 BD07 BD17 BD20 BE02 BE05 CC08 CD07 CD08 CD10 CT08 CU01 DM07

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方が透光性を有する一対の基
    板と、該一対の基板間にコレステリック液晶を含む液晶
    層とを有し、該コレステリック液晶中に実質的にポリマ
    ーを含まない液晶表示素子であって所定の電圧印加によ
    って液晶を着色状態と散乱状態に切り替えて表示を行う
    液晶表示素子であり、 着色状態における前記コレステリック液晶の選択反射波
    長nP(nはコレステリック液晶の平均屈折率、Pはコ
    レステリック液晶のヘリカルピッチ)における光反射率
    をR、前記コレステリック液晶の屈折率異方性をΔnと
    した場合の波長λの関数として表される式{exp−
    〔2(λ−nP)2 /Δn2 2 〕}Rの可視波長域に
    おける積分値が、着色状態における波長―光反射率スペ
    クトルを表す関数f(λ)の可視波長域における積分値
    の40%以上60%以下であることを特徴とする液晶表
    示素子。
  2. 【請求項2】前記液晶層に含まれるコレステリック液晶
    の選択反射波長nPは、500nm以上800nm以下
    である請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】前記液晶層に含まれるコレステリック液晶
    の屈折率異方性Δnは、0.18から0.32である請
    求項1又は2記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】前記液晶層に含まれるコレステリック液晶
    は、等方相への転移温度が60℃〜120℃である請求
    項1、2又は3記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】前記液晶層は色素を含有している請求項1
    から4のいずれかに記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】前記色素は紫外線吸収色素である請求項5
    記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】前記色素は、選択反射波長nP付近及び
    (又は)選択反射波長nP×0.7付近の波長の光に極
    大吸収をもつ色素である請求項5記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】前記液晶層に含まれるコレステリック液晶
    は、ネマティック液晶混合物に、少なくとも1種類のカ
    イラル材を添加してなるカイラルネマティック液晶であ
    る請求項1から7のいずれかに記載の液晶表示素子。
  9. 【請求項9】前記カイラルネマティック液晶は、カイラ
    ル材の含有率が10重量%〜45重量%である請求項8
    記載の液晶表示素子。
  10. 【請求項10】前記カイラルネマティック液晶に含まれ
    るネマティック液晶材料は、屈折率異方性が0.2〜
    0.32である請求項8又は9記載の液晶表示素子。
  11. 【請求項11】電圧の印加をやめた後でも着色状態であ
    った領域は着色状態が、散乱状態であった領域は散乱状
    態が保持され得る請求項1から10のいずれかに記載の
    液晶表示素子。
  12. 【請求項12】選択反射波長nP付近で光反射率がピー
    クとなる波長の測定値において、液晶表示素子温度25
    ℃での測定値と液晶表示素子温度60℃での測定値との
    差が、30nm以内である請求項1から11のいずれか
    に記載の液晶表示素子。
  13. 【請求項13】カラーフィルタを備えている請求項1か
    ら12のいずれかに記載の液晶表示素子。
  14. 【請求項14】前記一対の基板間に複数の、高分子材料
    を主体とする構造物が設けられている請求項1から13
    のいずれかに記載の液晶表示素子。
  15. 【請求項15】前記一対の基板のうちいずれか一方の基
    板に紫外線カットフィルタを備えている請求項1から1
    4のいずれかに記載の液晶表示素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100789864B1 (ko) 2006-11-02 2007-12-28 삼성정밀화학 주식회사 콜레스테릭 액정 고분자, 이를 포함하는 근적외선 차단필름과 근적외선 차단 필터, 및 상기 근적외선 차단 필름또는 필터를 구비하는 표시소자

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