JP2001311914A - 光学部品用保持具およびこれを用いた眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents
光学部品用保持具およびこれを用いた眼鏡レンズの製造方法Info
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Abstract
する保持具に於いて、光学部品を確実に保持することが
でき、光学部品の変形や落下をも防止するとともに、保
持具の寿命を延ばすことが可能となるばかりでなく、外
径の異なる光学部品でも一つの保持具で保持し、保持具
の種類を必要最小限に抑えることができる光学部品保持
具を提供する。 【解決手段】光学部品を保持する保持具に於いて、光学
部品を保持する光学部品押えのアーム部が、連続した凹
凸形状に、また、その幅方向が直線状または曲線状に変
化する形状で形成されていることを特徴とする。
Description
る保持具に関する。
めに多くの表面処理加工が行われている。例えば、近
年、眼鏡レンズの主流となっているプラスチック製眼鏡
レンズを例にあげると、染色加工やハードコート加工、
反射防止加工などの表面処理が施されている。
染色加工は、高温な染色液中にプラスチックレンズを漬
けて表面処理をするといった浸漬法にて行っているた
め、直接プラスチックレンズを持っての手作業ができな
い。また、工程の機械化に伴うプラスチックレンズの搬
送方法といった面からも、プラスチックレンズを保持す
る保持具が必要不可欠となる。
は、プラスチックレンズの染色工程で使用される保持具
を例にあげると、図3に示す保持具が用いられていた。
この保持具は、押え具2aおよび押え具2b、押え具2
c、並びに、押え具2aおよび押え具2bを取り付ける
アーム3cおよびアーム3dにより構成されている。ア
ーム3cおよびアーム3dはバネ用ステンレス鋼帯(板
バネ)である。
間の隙間にレンズ1を挿入すると、アーム3cおよびア
ーム3dの板バネの反発力によりレンズ1を挟み込み、
レンズ1を保持、固定するものである。
保持具を用いて表面処理加工を行う場合、アーム3のバ
ネ荷重により光学部品を保持するため、外径の異なる光
学部品を保持する場合、バネ荷重の強さが大きく変化し
てしまう。このため、プラスチックレンズに熱をかけて
表面処理を行うような際、数種の外径の異なるレンズに
ついて一つの保持具により保持しようとする場合には、
大口径のレンズを保持した時にはバネ荷重が強くなる。
これにより、プラスチックレンズを変形させてしまった
り、コバ厚の薄いレンズなどは押え具部分に亀裂が入っ
てしまうことがある。変形したプラスチックレンズは再
度熱を加え、原形に戻すという余分な作業が必要とな
る。亀裂の入ったプラスチックレンズは不良品となって
しまう。また逆に、小口径のレンズを保持した場合には
バネ荷重が弱くなり、レンズが落下し不良品となった
り、紛失させたりしてしまう。そのため、再作となり納
期遅延やコストアップにつながる。また、前記問題点を
解決するために、アーム3の幅や厚みを小さくし、バネ
荷重や柔軟性(たわみ量)を変えようとすると、アーム
部のねじれ方向の剛性が弱まってしまう。また、各外径
に合ったバネ荷重の保持具で保持するとなると、保持具
の種類が多数となってしまうため、保持具の選定作業が
必要となったり、保持具の管理が大変になるといった問
題が新たに発生する。
量)が小さいと、大口径のレンズを保持した時などに
は、レンズばかりでなく保持具のアーム部自体への負荷
も増加してしまう。また、プラスチックレンズの挟み込
みや取り外しといった作業は、アーム3を手で広げなが
らプラスチックレンズをセットし、手を離すといった過
程となる。このため、アーム3が左右方向への開閉動作
を行うこととなる。保持具は幾度も使用されるため、プ
ラスチックレンズの取り付け、取り外し作業を繰り返す
ことにより、アーム3の支点に曲げ応力が集中し、金属
疲労やひずみの発生による板バネの劣化が早まるため、
亀裂が入ってしまったり、折れたりしてしまう。アーム
の折れた保持具は、使用することができなくなるため、
新たに保持具を製作する必要があり、保持具の短寿命化
によるコストアップといった課題もある。
るためのもので、その目的とするところは、光学部品を
確実に保持することができ、光学部品の変形や落下をも
防止するとともに、保持具の寿命を延ばすことが可能と
なるばかりでなく、外径の異なる光学部品でも一つの保
持具で保持することができ、保持具の種類を必要最小限
に抑えることにある。
するもので、光学部品を保持する保持具に於いて、前記
光学部品を保持する光学部品押えのアーム部が、連続し
た凹凸形状で形成されていることを特徴とする。
を保持する光学部品押えのアーム部の幅方向が、直線状
または曲線状に変化する形状で形成されていることを特
徴とする。
品を保持する保持具であることを特徴とする。
保持具であることを特徴とする。
持し、眼鏡レンズを製造することを特徴とする。本発明
の上記の構成によれば、光学部品を保持する光学部品押
えのアーム部を連続した凹凸形状にし、その幅方向を直
線状または曲線状に変化する形状に形成する。
に加工しない物との材料長さの比較を示した図である。
凹凸形状に形成することにより、見かけ上の長さl1は
同一長さであるが、凹凸形状に加工した物4を伸ばした
実際の長さはl2となる。図4のような、片持ちばりに
おけるたわみ量δは、δ=4l3W/bh3Eで表すこと
ができる。前記式のlは材料の長さ、Wは荷重、bは材
料の幅、hは材料の板厚、Eは縦弾性係数を示す。凹凸
形状に加工した物4と凹凸形状に加工しない物5を例に
した場合、W、b、h、Eは同一値である。よって、前
記の式からたわみ量δは、材料の長さlに比例し、材料
の長さが長くなると増加する。
3Eδ/4l3で表すことができる。この式から、たわみ
量δが同一値の時の荷重Wは、材料の長さlに反比例
し、材料の長さが長くなると減少する。
を、凹凸形状に加工した試験片と凹凸形状に加工しない
試験片との、たわみ量とバネ荷重の実測値の比較を示す
グラフである。●印は凹凸形状に加工した物、◆印は凹
凸形状に加工しない物の実測値を示している。試験片の
寸法は、長さ30mm、幅5mm、板厚0.5mmであ
る。凹凸形状に形成することにより、同じたわみ量でも
バネ荷重を弱めることができ、逆に、同じバネ荷重でも
柔軟性(たわみ量)を増加させられる。
加工した時に得られる効果を示した図である。図6
(a)の様な幅方向を直線状に変化する形状に加工した
物は、図6(b)の様に、重ね板バネの形状として考え
ることができる。曲線状に変化する形状に加工した場合
でも同様である。このことから、アーム部の幅方向を直
線状または曲線状に変化する形状に形成することによ
り、支持部分の板厚を厚くするのと同じ効果が得られる
と共に、先端方向に向かい板厚を薄くしていく効果もあ
る。そのため、アーム支点部分の補強が図れるととも
に、曲げ応力を一点に集中させず、全体に分散させるこ
とが可能となる。
実用に耐えられないことはないが、曲げ応力の分散によ
る保持具の長寿命化といった面から、幅方向を直線状ま
たは曲線状に変化する形状に形成することが望ましい。
を保ちつつ、アーム部の開閉ストロークを増大させるこ
とができる。また、アーム部のたわみ量が大きく変化し
ても、バネ荷重はわずかな変化量に抑えられることが可
能となり、バネ荷重による光学部品の変形や亀裂が発生
するといったことがなくなる。また、光学部品の落下に
よる不良品の発生や紛失を防止でき、光学部品を確実に
保持することができる。また、アームの支点に曲げ応力
が集中することを防止できる。このため、再作による納
期遅延をなくすことや保持具の長寿命化などによって、
コストダウンを図ることが可能となる。そして、外径の
異なる光学部品でも一つの保持具で保持することがで
き、保持具の種類を必要最小限に抑えることが可能とな
るため、保持具の選定作業が不要となったり、保持具の
管理を簡単することが可能となる。
るいは、自動化がし易くなり、省人化につながる。
部品を保持する光学部品押えのアーム部を連続した凹凸
形状にし、その幅方向を直線状または曲線状に変化する
形状に形成したものである。
ック製眼鏡レンズを保持する場合を例にとり以下に詳細
を説明する。
持具の外観図である。図1は、保持具を示す図であり、
(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、図
2は、保持具によりプラスチック製眼鏡レンズを保持し
た時の斜視図である。
bの材質としては、バネ用ステンレス鋼帯(板バネ)を
用いる。そして、連続した凹凸形状およびその幅方向を
直線状または曲線状に変化する形状になるよう加工を施
す。連続した凹凸形状とは、波形状やジャバラ形状とい
った形である。連続した凹凸形状の曲げ部分(頂点部
分)の形は、三角形のように鋭利に曲げると曲げ部分に
曲げ応力が集中してしまい、金属疲労の原因となり劣化
が早まるため、丸みを帯びたsinカーブのような曲げ
形状にし、曲げ応力を分散させるようにすることが望ま
しい。また、直線状または曲線状に変化する形状とは、
勾配形状やラッパ形状、2次曲線形状、対数曲線といっ
た形状である。
ーム長の3分の1程度、また、幅方向を直線状または曲
線状に変化する形状部分をアーム長の5分の1程度とし
たが、任意の長さでも良く、全面に凹凸形状およびその
幅方向を直線状または曲線状に変化する形状に加工を施
しても良い。また、凹凸形状加工は、押え具2aおよび
押え具2b側に加工を施しても良い。
曲線状に変化する形状に加工したアーム3aおよびアー
ム3bにそれぞれ、押え具2aおよび押え具2bを固定
する。押え具2cは、アーム3aおよびアーム3bで挟
み込み固定する。固定方法は、ネジ止め、溶接、リベッ
ト、接着など押え具2が外れなければ、どの様な方法を
用いても良い。
bを外側に開き、押え具2aおよび押え具2bならびに
押え具2cの間にレンズ1が入る空間をつくる。この空
間にレンズ1を入れ、押え具2aおよび押え具2bなら
びに押え具2cによりレンズ1を保持、固定する。
鏡レンズを保持する場合を例にとり述べたが、光学部品
であれば、この例に限るものではない。
ンズ径がφ80mmのチオウレタン系素材のプラスチッ
クレンズを保持し、浸漬法による染色加工を行った。染
色液温度は95℃、浸漬時間は5分間である。また、レ
ンズ径がφ75mm、φ70mm、φ65mmのプラス
チックレンズについても、前記と同様に行った。
裂は確認されず、原形のままであった。また、すべての
レンズを保持しても落下することがなかった。
ズ径がφ65mm〜80mmのレンズを保持することが
でき、レンズの変形なども防止することができた。
久試験装置の構成図である。図7のように、実施例1の
保持具のアーム固定板8及びアーム3bを、それぞれ固
定台6およびエアシリンダ7に固定し、エアシリンダを
可動させ保持具の開閉を繰り返し行うことにより、アー
ム部の耐久試験を行った。エアシリンダのストロークは
30mm、スピードは30mm/secである。
もアームが折れることはなかった。
来の保持具により、浸漬法による染色加工を行った。但
し、プラスチックレンズは実施例2と同一種類、同一形
状のレンズ、浸漬条件も実施例2と同一条件である。
チックレンズで変形が見られ、再度熱を加え原形に戻す
作業が必要であった。保持できたレンズ径はφ75mm
とφ80mmのみで、φ70mm,φ65mmについて
は、保持具からはずれ落下してしまった。
来の保持具により、アーム部の耐久試験を行った。但
し、エアシリンダは実施例3と同一の物であり、条件も
同一条件である。
た時点で、アームが折れてしまった。
部品を保持する保持具に於いて、前記光学部品を保持す
る光学部品押えのアーム部を、連続した凹凸形状に、ま
た、その幅方向を直線状または曲線状に変化する形状に
形成することで、光学部品を確実に保持することができ
る。また、バネ荷重を弱められ、柔軟性(たわみ量)を
増加させられるため、光学部品の変形や落下を防止する
とともに、保持具の寿命を延ばし、外径の異なる光学部
品でも一つの保持具で保持することができ、保持具の種
類を必要最小限に抑えることができるという効果をも有
する。
(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図。
ク製眼鏡レンズを保持した時の斜視図。
を保持した時の斜視図。
物との材料長さの比較を示した図。
に加工した試験片と凹凸形状に加工しない試験片との、
たわみ量とバネ荷重の実測値の比較を示すグラフ。
得られる効果を示した図である。
Claims (5)
- 【請求項1】光学部品を保持する保持具に於いて、前記
光学部品を保持する光学部品押えのアーム部が、連続し
た凹凸形状で形成されていることを特徴とする光学部品
用保持具。 - 【請求項2】請求項1記載の光学部品用保持具に於い
て、前記光学部品を保持する光学部品押えのアーム部の
幅方向が、直線状または曲線状に変化する形状で形成さ
れていることを特徴とする光学部品用保持具。 - 【請求項3】光学部品の表面処理を行う際に前記光学部
品を保持する保持具であることを特徴とする請求項1ま
たは2記載の光学部品用保持具。 - 【請求項4】プラスチック製眼鏡レンズを保持するため
の保持具であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
か1項に記載の光学部品用保持具。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学
部品用保持具を用いて眼鏡レンズを保持することを特徴
とする眼鏡レンズの製造方法。
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