JP2001311694A - 欠陥マーキングされたコイルの製造方法 - Google Patents

欠陥マーキングされたコイルの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】欠陥マーキングによって鋼板に疵を発生するこ
となく、鋼板表面に防錆油等の油付着の有無にかかわら
ず有害欠陥を確実かつ容易に識別可能とする欠陥マーキ
ングを行う。 【解決手段】鋼板の連続処理ラインに表面疵を検出する
表面欠陥計3と欠陥位置にインクでマーキングするイン
クマーカー装置8を設置し、表面欠陥計3で鋼板の表面
疵を検出し、検出した疵情報に基いて、欠陥名、欠陥長
さ、欠陥グレードを演算し、さらに有害欠陥・判別困難
欠陥・無害欠陥を識別し、前記有害欠陥・判別困難欠陥
がインクマーカー装置8に到達した時点で前記欠陥位置
にインクでマーキングする。また、インクマーカー装置
8の下流にさらに欠陥マーキング検出装置9を設置して
マーキングの状態を確認する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄鋼プロセスラ
インにおける鋼板の表面欠陥マーキング方法及び装置並
びに欠陥マーキングしたコイルの作業方法に関する。よ
り詳しくは、鋼板表面の欠陥部にマーキングすることに
より、確実に欠陥表示でき、品質保証に寄与できる鉄鋼
プロセスラインにおける鋼板の表面欠陥マーキング方法
及び装置並びに欠陥マーキングしたコイルから能率的に
欠陥を除去できる作業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間圧延によって製造された冷延鋼板
は、品質保証のためにコイル全長にわたり表面欠陥の検
査が行われる。冷延鋼板表面の欠陥検出方法として、ラ
イン内を走行する鋼板表面をレーザー光で幅方向に走査
し、この反射光をCCD素子等の光電変換素子によって
電圧強度に変換し、この電圧信号から欠陥の有無、程度
を判別する方法が既に確立されている(特開昭63―6
2825号公報等)。
【0003】通常、前記の検査結果は、欠陥の位置、欠
陥名・欠陥グレードが情報としてCRT等に表示され、
あるいは書類でプリントアウトされる。
【0004】全ての製品を欠陥の無い製品にするのは、
製造不可能である。そのため、当該ラインでCRT等に
表示された欠陥情報に基きコイルの有害欠陥部を除去
し、あるいは、前記欠陥情報に基いて次工程で検査して
コイルの有害欠陥部を除去した後出荷している。また、
有害欠陥部を含んだままのコイルとともにプリントアウ
トされた前記欠陥情報を記載した書類を購入者に提出
し、購入者側で有害欠陥を除去してもらっている。
【0005】当該ライン又は次工程で有害欠陥部を除去
する場合、表面欠陥の有害度には明確な基準が無いの
で、有害欠陥部の除去は品質保証面からオーバーアクシ
ョンとなっている。また見逃し及びギリギリの判別困難
欠陥等での判断ミスにより有害欠陥部が除去されない場
合もある。また有害欠陥部を除去することにより、コイ
ルの単重が小さくなり、購入者がコイルを加工する際に
作業能率の低下等の弊害がある。
【0006】一方、コイルの購入者は、欠陥情報を記載
した書類のデータと現品とを突き合わせて確認しながら
作業する必要があり、その作業が厄介で有るばかりでな
く、場合によっては欠陥を見落したまま加工される恐れ
がある。
【0007】このようなことから、特開平4―2911
38号公報においては、疵検出装置で検出した鋼板の有
疵部に塗料などをスプレーするマーキング装置を用いて
マーキングし、購入者が有疵部を再検査する際に容易に
有疵部を識別できるようにすることが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平4―2
91138号公報のマーキング方法では、マーキングが
正常になされたか否かについての確認がないため、マー
キングが異常の場合は、購入者に今迄以上の迷惑を及ぼ
す。また、塗料などをスプレーするとマーキングに濃淡
が発生し、塗料の多い場所では、塗料が乾燥後正常な部
分に押し疵を発生する危険がある。また、スプレー方式
の場合、鋼板が無塗油の場合は問題ないが、塗油後の鋼
板の場合は、油膜上に塗料がスプレーされるため鋼板表
面にマーキングが残らない。
【0009】また、有疵部に全てマーキングすると、購
入者にとって無害の欠陥部にもマーキングが有るので作
業が複雑になり、作業能率が低下する等の弊害が有る。
【0010】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、その主の目的は、欠陥マーキングによ
って鋼板に疵を発生することなく、鋼板表面に防錆油等
の油付着の有無にかかわらず有害欠陥を確実かつ容易に
識別可能とする欠陥マーキング方法と装置並びに欠陥マ
ーキングしたコイルの作業方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の要旨は以下の通りである。
【0012】(1)鋼板の連続処理ラインに表面疵を検
出する表面欠陥計と欠陥位置にインクでマーキングする
インクマーカー装置を設置し、表面欠陥計で鋼板の表面
疵を検出し、検出した疵情報に基いて、欠陥名、欠陥長
さ、欠陥グレードを演算し、さらに有害欠陥・判別困難
欠陥・無害欠陥を識別し、前記有害欠陥・判別困難欠陥
がインクマーカー装置に到達した時点で前記欠陥位置に
インクでマーキングすることを特徴とする欠陥マーキン
グ方法。
【0013】(2)インクマーカー装置の下流に欠陥マ
ーキング検出装置を設置してマーキングの状態を確認す
ることを特徴とする(1)に記載の欠陥マーキング方
法。
【0014】(3)予め表面欠陥計を備えたラインで欠
陥の位置、欠陥名、欠陥グレードを演算し、さらに有害
欠陥・判別困難欠陥が識別されているコイルを、インク
でマーキングするインクマーカー装置とその下流に欠陥
マーキング検出装置を設置した鋼板の連続処理ラインに
装入し、予め識別されている有害欠陥・判別困難欠陥の
情報に基いて、前記有害欠陥・判別困難欠陥がインクマ
ーカー装置に到達した時点で前記欠陥位置にインクでマ
ーキングし、欠陥マーキング検出装置でマーキングの状
態を監視するすることを特徴とする欠陥マーキング方
法。
【0015】(4)有害欠陥・判別困難欠陥のマーキン
グ色を変えることを特徴とする(1)〜(3)のいずれ
かに記載の欠陥マーキング方法。
【0016】(5)表面欠陥計で検出した欠陥情報を目
視検査結果に基いて修正可能としたことを特徴とする
(1)〜(4)のいずれかに記載の欠陥マーキング方
法。
【0017】(6)有害欠陥・判別困難欠陥について、
さらに欠陥名、欠陥グレードに基いてマーキング有無の
判断を行うことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか
に記載の欠陥マーキング方法。
【0018】(7)鋼板の連続処理ラインに配設する表
面欠陥マーキング装置であって、鋼板表面疵を検出する
表面欠陥計、前記表面疵のライン内の移動位置を追跡す
るトラッキング装置、前記表面欠陥計で検出した疵情報
に基いて欠陥名、欠陥グレードを弁別し、さらに有害欠
陥・判別困難欠陥を識別し、前記欠陥についてインクマ
ーカー装置にマーキング指令する制御装置、及び前記制
御装置からの指令に基いて鋼板表面にインクでマーキン
グするインクマーカー装置を備えることを特徴とする欠
陥マーキング装置。
【0019】(8)インクマーカー装置の下流に欠陥マ
ーキング検出装置を備えることを特徴とする(7)に記
載の表面欠陥マーキング装置。
【0020】(9)前記(1)乃至(6)のいずれかの
方法で欠陥マーキングされたコイルを欠陥マーキング検
出装置を備える設備に装入して、前記欠陥マーキング検
出装置で検出した欠陥情報を欠陥除去作業に反映するこ
とを特徴とする欠陥マーキングされたコイルの作業方
法。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。
【0022】図1は、本発明の実施の形態に係る表面欠
陥マーキング装置の構成例を示す図である。図1におい
て、3は表面欠陥計で鋼板1の表裏に検出器2および信
号処理部4を備え、5はCRT、6は集中制御盤、7は
2次判定入力装置、8は欠陥マーキング装置(インクマ
ーカー装置)、9は欠陥マーキング検出装置、10はテ
ンションリール、11は搬送ロール、12はパルス発信
機、13は鋼板搬送距離演算装置、14は外部記憶装
置、15は切断機、16は検査台である。
【0023】図1の装置において、表面欠陥計3の鋼板
表裏の検出器2で鋼板1の表裏面の欠陥候補疵を検出
し、検出した信号を信号処理部4に送る。信号処理部4
では、ある閾値を超える信号の欠陥候補の特徴量から得
た信号に基いて欠陥名、欠陥グレード、欠陥長さの演算
を行う。
【0024】演算した欠陥情報をCRT5の画面に表示
するとともに、欠陥発生信号と欠陥情報と欠陥位置とを
集中制御盤6へ出力する。
【0025】また、鋼板1を搬送する搬送ロール11の
回転数をパルス発信機12で計測し、鋼板搬送距離演算
装置13で鋼板送り長さを計算し、計算結果を集中制御
盤6に出力する。集中制御盤6は、前記の欠陥情報を編
集し、欠陥名・欠陥グレードから有害欠陥・判別困難欠
陥を弁別する。また、必要があれば、集中監視盤6で、
前記で弁別した有害欠陥・判別困難欠陥について更にマ
ーキング有無の判断を行う。
【0026】集中制御盤6は、鋼板搬送距離演算装置1
3から送られた鋼板送り長さに基いて欠陥位置をトラッ
キングし、2次判定場所(検査台)16に有害欠陥部到
達の警報出力をする。また必要な場合は自動減速を行
い、作業者の欠陥判定を容易にする。
【0027】欠陥部が2次判定場所(検査台)16に到
達したら、作業者が目視検査して2次判定を行うととも
に、表面欠陥計3の検出結果をCRT5で確認し、結果
が正しいか否か比較する。結果が異なる場合は修正を行
い、修正結果を2次判定入力装置7に入力し、さらに集
中制御盤6へ出力する。図2は、CRT5の画面表示の
一例を示す図で、既に表示されている欠陥情報は表面欠
陥計3の情報、空欄は2次判定結果を入力する場所であ
る。
【0028】集中制御盤6では、修正情報に基いて前記
の欠陥情報を再編集し、欠陥名・欠陥グレードから有害
欠陥・判別困難欠陥を弁別する。更に集中制御盤6は、
搬送ロール11の回転数から得られる鋼板1の送り長さ
に基いて、前記有害欠陥・判別困難欠陥の欠陥位置(マ
ーキング有無の判断をした場合は、マーキング有と判断
したもの)のトラッキングを行い、前記欠陥部が欠陥マ
ーキング装置8を通過時に、欠陥マーキング装置8を起
動するように起動信号を出力する。
【0029】前記起動信号に基いて欠陥マーキング装置
8が起動し、有害欠陥・判別困難欠陥が欠陥マーキング
装置8を通過するタイミングに同期して有害欠陥部・判
別困難欠陥部にマーキングが実施される。
【0030】マーキング長は、欠陥位置のトラッキング
精度を考慮して、欠陥部が欠陥マーキングの外に出ない
ように設定する。本装置ではトラッキング精度を考慮し
て、集中制御盤8で弁別した欠陥長に前後にそれぞれ
0.5m加算し、欠陥長より1m長くマーキングするよ
うに指令を出力し、また長さが数mm程度以下の点状欠
陥の場合は、前後にそれぞれ0.25m加算してマーキ
ングするように指令を出力する。図3は、欠陥部位置と
欠陥マーキング位置の状態を示す図で、有害欠陥20は
欠陥マーキング21の長さ方向の表示範囲内にある。
【0031】欠陥マーキング装置8では、マーキング指
令と同時にマーキングを開始する。マーキングは、イン
クを染み込ませたフェルトを、直接鋼板1に押付けてイ
ンクを鋼板1に付着させて行う。塗油されたコイルであ
っても鋼板表面に確実にマーキングできる。また、塗料
のような濃淡の問題が無いので鋼板表面に押し疵を発生
することもない。フェルトは鋼板1と直接接触し摩耗す
るため、基準長さ以上マーングすると、集中制御盤6か
ら警報を出力し、作業員にフェルト交換の注意を促す。
【0032】欠陥マーキング装置8は1基でもよいが、
2基配設してインクを2種類用意し、欠陥グレードに応
じてインクの色を変える(例えば、購入者の有害欠陥が
明確な場合は赤インクでマーキングを行い、判別困難欠
陥は青インクでマーキングを行う。)と、欠陥を識別し
て作業する上でより有益である。いずれのインクも弱ア
ルカリ洗剤で消えるインクを選択する必要がある。
【0033】目視での検出容易性及び欠陥マーキング検
出装置9での検出容易性の点から、マーキングの線幅は
3〜10mmの範囲が最適である。またフェルトの摩耗
及びインクの鮮明度の点からフェルトの押付け圧は15
0〜500gの範囲が最適である。
【0034】欠陥マーキングを検出するために、欠陥マ
ーキング装置8と欠陥マーキング検出装置9は鋼板幅方
向の同じ位置に配設される。図4は欠陥マーキング装置
8と欠陥マーキング検出装置9が各1基の場合、図5は
各2基配設の場合を示す図である。
【0035】また、図6は1基の欠陥マーキング装置を
使用してマーキングした場合について欠陥部と欠陥マー
キング位置の例を示し、同一のインクを使用して、有害
欠陥20と判別困難欠陥22が欠陥マーキング21で表
示されている。図7は2基の欠陥マーキング装置を配設
し、それぞれ異なる色のインクを使用してマーキングし
た場合であり、有害欠陥20は欠陥マーキング21a
(たとえば赤色)により、判別困難欠陥22は欠陥マー
キング21b(たとえば青色)で表示されている。
【0036】欠陥マーキング検出装置9では欠陥マーキ
ングの状態を常時監視し、マーキング長、インクカス
レ、無欠陥場所にマーキングの有無等を監視し、監視結
果を集中制御盤6に出力する。集中制御盤6はマーキン
グの良否を判断し、異常時は警報を出力し作業者に注意
を喚起すると同時に、コイルの出荷を保留するように指
示する。出荷を保留したコイルについては、再検査等の
処置を取る。
【0037】欠陥マーキング検出装置9で監視した欠陥
マーキングが正常と判断された場合、欠陥情報及び欠陥
位置が外部記憶装置14に入力され、切断機15で切断
された後に欠陥情報・欠陥位置を逆展開しプリントアウ
トする。
【0038】なお、コイルは購入者別に切断機15で切
断されるため、コイルの長さ基準は切断機15での切断
信号を基準とする。購入者に送付する書類は、コイル外
周側を先頭に逆に展開し、購入者の活用をし易くする。
【0039】このようにして、有害欠陥部位置に明瞭な
マークが付けられているので、次工程で有害欠陥部の除
去あるいは購入者が加工に際して、コイル巻き戻し時に
有害欠陥の有無を容易に判別することができるようにな
る。
【0040】前記説明では、有害欠陥の判定に作業者の
目視検査を介入させたが、表面欠陥計3の欠陥検出精度
が満足できるものであれば目視検査は行わなくてもよ
い。
【0041】図1に示した装置では、表面欠陥計3、欠
陥マーキング装置8、欠陥マーキング検出装置9を同一
ラインに配設した。しかし、前記したように、表面欠陥
計を備えたラインで、表面欠陥計で検出した疵情報に基
いて、欠陥の位置、欠陥名・欠陥グレードを演算し、こ
の情報をCRT等に表示し、あるいは書類でプリントア
ウトすることが既に行われている。
【0042】したがって、表面欠陥計を備えるラインと
は別のラインに欠陥マーキング装置と欠陥マーキング検
出装置を設置し、前記表面欠陥計を備えたラインで有害
欠陥・判別困難欠陥を識別し、この情報に基いて、前記
別のラインで図1の場合と同様、欠陥位置へのマーキン
グ、欠陥マーキングの確認を行い、その結果を書類でプ
リントアウトするようにしてもよい。
【0043】この場合、表面欠陥計を備えたラインで編
集、弁別した有害欠陥・判別困難欠陥情報を欠陥位置情
報とともに、外部記憶装置を介して別のラインの集中制
御盤に出力し、別のラインで前記有害欠陥・判別困難欠
陥のトラッキングを行い、欠陥マーキング装置でマーキ
ングを行い、欠陥マーキング検出装置で欠陥マーキング
の状態を監視し、監視結果を集中制御盤で再編集し、外
部記憶装置に出力すればよい。
【0044】このようにすることによって、より安価な
設備で本発明の効果を奏するようにできる。
【0045】この場合、別のラインの主要設備の配置例
を図8〜図10に示す。図8はオイラー17を欠陥マー
キング検出装置9の下流側に配設した場合、図9はオイ
ラー17を欠陥マーキング装置8の上流側に配設した場
合である。図10は、マーキング装置8の上流側にトリ
マー18と検査台16を配設した場合である。図10の
場合、必要に応じて、図1の場合と同様にして、検査台
における欠陥の目視検査の結果を2次修正することがで
きる。
【0046】また、欠陥マーキングしたコイルの次工程
の設備に欠陥マーキング検出装置を設置し、欠陥マーキ
ング装置で検出した欠陥情報を当該設備における欠陥除
去作業に反映することによって、当該設備で、より精度
の良い、また能率的な欠陥除去作業を行うことが可能と
なる。欠陥マーキング検出装置を設置する設備は、鋼板
メーカー側の設備であってもよいし、コイル購入者側の
設備であってもよい。
【0047】図11は、欠陥マーキング検出装置9を備
えるコイリング設備の一例であり、欠陥マーキング検出
装置9で検出した欠陥情報を欠陥除去作業に反映、例え
ば警報を出力し、あるいは必要に応じてコイルの払い出
し速度の減速等を行い、検査台16での検査精度や検査
能率の向上、あるいは欠陥除去作業能率の向上を図るこ
とができる。
【0048】図12は、欠陥マーキング検出装置9を備
える切断設備の一例であり、欠陥マーキング検出装置9
で検出した欠陥情報に基いて、ゲート切替装置23を操
作して、切断機15で切断したシートを良品パイラー2
4と不良品パイラー25に選別可能としている。欠陥除
去作業を高能率で行うことができる。
【0049】
【発明の効果】このように本発明によれば、欠陥マーキ
ングによって鋼板に疵を発生することなく、鋼板表面に
防錆油等の油付着の有無にかかわらず、有害欠陥を確実
かつ容易に識別可能とする欠陥マーキングを行うことが
できる。
【0050】また、鋼板表面の欠陥位置をトラッキング
し有害欠陥部にマーキングすることにより、購入者は欠
陥部を容易に検出することができる。また有害欠陥部巻
込みにより必要コイル長さで出荷可能となり、購入者の
作業能率が向上する。
【0051】欠陥程度に応じてマーキング色を変更し、
あるいは欠陥名や欠陥程度を考慮して不要なマーキング
表示を行わない場合、作業能率の向上効果がより優れ
る。
【0052】また鋼板メーカーにとっても、有害欠陥部
除去作業が容易となり作業能率が大幅に向上し、また判
別困難欠陥についても過剰な欠陥除去作業が不要になり
歩留が向上する。
【0053】また、欠陥マーキングしたコイルの次工程
の設備に欠陥マーキング検出装置を設置し、欠陥マーキ
ング装置で検出した欠陥情報を当該設備における欠陥除
去作業に反映することによって、当該設備で、より精度
の良い、また能率的な欠陥除去作業を行うことが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の説明に用いた鋼板のコイ
リング設備の要部を示す図。
【図2】CRT表示画面の一例を図。
【図3】欠陥部位置と欠陥マーキング位置の状態を示す
図。
【図4】欠陥マーキング装置と欠陥マーキング検出装置
を各1基備える場合の設備配置置の例を示す図。
【図5】欠陥マーキング装置と欠陥マーキング検出装置
を各2基備える場合の設備配置の例を示す図。
【図6】1基の欠陥マーキング装置を使用して欠陥部に
マーキングした状態を示す図。
【図7】2基の欠陥マーキング装置を使用して、有害欠
陥・判別困難欠陥を別々にマーキングした状態を示す
図。
【図8】欠陥マーキング装置と欠陥マーキング検出装置
を備えるラインの要部設備の配置例を示す図。
【図9】欠陥マーキング装置と欠陥マーキング検出装置
を備える別のラインの要部設備の配置例を示す図。
【図10】欠陥マーキング装置と欠陥マーキング検出装
置に加えて検査台を備えるラインの要部設備の配置例を
示す図。
【図11】欠陥マーキング検出装置を備えるコイリング
設備の要部設備の配置例を示す図。
【図12】欠陥マーキング検出装置を備える切断設備の
要部設備の配置例を示す図。
【符号の説明】
1 鋼板 2 検出器 3 表面欠陥計 4 信号処理部 5 CRT 6 集中制御盤 7 2次判定入力装置 8、8a、8b 欠陥マーキング装置(インクマーカー
装置) 9、9a、9b 欠陥マーキング検出装置 10 テンションリール 11 搬送ロール 12 パルス発信機 13 鋼板搬送距離演算装置 14 外部記憶装置 15 切断機 16 検査台 17 オイラー 18 トリマー 19 ペイオフリール 20 有害欠陥 21、21a、21b 欠陥マーキング 22 判別困難欠陥 23 ゲート切替装置 24 良品パイラー 25 不良品パイラー
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年3月19日(2001.3.1
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 欠陥マーキングされたコイルの
製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄鋼プロセスラ
インにおける欠陥マーキングされたコイルの製造方法
関する。より詳しくは、鋼板表面の欠陥部にマーキング
されたことにより、確実に欠陥表示でき、品質保証に寄
与できる鉄鋼プロセスラインにおける欠陥マーキングさ
れたコイルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間圧延によって製造された冷延鋼板
は、品質保証のためにコイル全長にわたり表面欠陥の検
査が行われる。冷延鋼板表面の欠陥検出方法として、ラ
イン内を走行する鋼板表面をレーザー光で幅方向に走査
し、この反射光をCCD素子等の光電変換素子によって
電圧強度に変換し、この電圧信号から欠陥の有無、程度
を判別する方法が既に確立されている(特開昭63―6
2825号公報等)。
【0003】通常、前記の検査結果は、欠陥の位置、欠
陥名・欠陥グレードが情報としてCRT等に表示され、
あるいは書類でプリントアウトされる。
【0004】全ての製品を欠陥の無い製品にするのは、
製造不可能である。そのため、当該ラインでCRT等に
表示された欠陥情報に基きコイルの有害欠陥部を除去
し、あるいは、前記欠陥情報に基いて次工程で検査して
コイルの有害欠陥部を除去した後出荷している。また、
有害欠陥部を含んだままのコイルとともにプリントアウ
トされた前記欠陥情報を記載した書類を購入者に提出
し、購入者側で有害欠陥を除去してもらっている。
【0005】当該ライン又は次工程で有害欠陥部を除去
する場合、表面欠陥の有害度には明確な基準が無いの
で、有害欠陥部の除去は品質保証面からオーバーアクシ
ョンとなっている。また見逃し及びギリギリの判別困難
欠陥等での判断ミスにより有害欠陥部が除去されない場
合もある。また有害欠陥部を除去することにより、コイ
ルの単重が小さくなり、購入者がコイルを加工する際に
作業能率の低下等の弊害がある。
【0006】一方、コイルの購入者は、欠陥情報を記載
した書類のデータと現品とを突き合わせて確認しながら
作業する必要があり、その作業が厄介で有るばかりでな
く、場合によっては欠陥を見落したまま加工される恐れ
がある。
【0007】このようなことから、特開平4―2911
38号公報においては、疵検出装置で検出した鋼板の有
疵部に塗料などをスプレーするマーキング装置を用いて
マーキングし、購入者が有疵部を再検査する際に容易に
有疵部を識別できるようにすることが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平4―2
91138号公報のマーキング方法では、マーキングが
正常になされたか否かについての確認がないため、マー
キングが異常の場合は、購入者に今迄以上の迷惑を及ぼ
す。また、塗料などをスプレーするとマーキングに濃淡
が発生し、塗料の多い場所では、塗料が乾燥後正常な部
分に押し疵を発生する危険がある。また、スプレー方式
の場合、鋼板が無塗油の場合は問題ないが、塗油後の鋼
板の場合は、油膜上に塗料がスプレーされるため鋼板表
面にマーキングが残らない。
【0009】また、有疵部に全てマーキングすると、購
入者にとって無害の欠陥部にもマーキングが有るので作
業が複雑になり、作業能率が低下する等の弊害が有る。
【0010】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、その主の目的は、欠陥マーキングによ
って鋼板に疵を発生することなく、鋼板表面に防錆油等
の油付着の有無にかかわらず有害欠陥を確実かつ容易に
識別可能とする欠陥マーキングされたコイルの製造方法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の要旨は以下の通りである。(1)有害欠陥が識別されているコイルを、インクでマ
ーキングするインクマーカー装置を設置した鋼板の連続
処理ラインに装入する装入工程と、予め識別されている
有害欠陥の情報に基いて、前記有害欠陥がインクマーカ
ー装置に到達した時点で欠陥位置に、インクを染み込ま
せたフェルトを直接鋼板に押付けてインクを鋼板に付着
させてマーキングするマーキング工程とを有することを
特徴とする欠陥マーキングされたコイルの製造方法。
【0012】(2)予め表面欠陥計を備えたラインで欠
陥の位置を演算し、さらに有害欠陥が識別されているコ
イルを、インクでマーキングするインクマーカー装置を
設置した鋼板の連続処理ラインに装入する装入工程と、
予め識別されている有害欠陥の情報に基いて、前記有害
欠陥がインクマーカー装置に到達した時点で欠陥位置
に、インクを染み込ませたフェルトを直接鋼板に押付け
てインクを鋼板に付着させてマーキングするマーキング
工程とを有することを特徴とする欠陥マーキングされた
コイルの製造方法。
【0013】(3)前記マーキング工程におけるマーキ
ング長さは、欠陥部が欠陥マーキングの外に出ないよう
に設定することを特徴とする(1)又は(2)記載の欠
陥マーキングされたコイルの製造方法。
【0014】(4)前記マーキング工程にて使用するイ
ンクは、弱アルカリ洗剤で消えることを特徴とする
(1)乃至(3)のうち何れか一項に記載の欠陥マーキ
ングされたコイルの製造方法。
【0015】(5)前記マーキング工程におけるマーキ
ングの線幅は、3〜10mmの範囲であることを特徴と
する(1)乃至(4)のうち何れか一項に記載の欠陥マ
ーキングされたコイルの製造方法。
【0016】(6)前記マーキング工程におけるフェル
トの押付け圧は、150〜500gの範囲であることを
特徴とする(1)乃至(5)のうち何れか一項に記載の
欠陥マーキングされたコイルの製造方法。
【0017】(7)有害欠陥が識別されているコイル
を、インクでマーキングするインクマーカー装置を設置
した鋼板の連続処理ラインに装入する装入工程と、予め
識別されている有害欠陥の情報に基いて、前記有害欠陥
がインクマーカー装置に到達した時点で欠陥位置に、弱
アルカリ洗剤で消えるインクでマーキングするマーキン
グ工程とを有することを特徴とする欠陥マーキングされ
たコイルの製造方法。
【0018】(8)予め表面欠陥計を備えたラインで欠
陥の位置を演算し、さらに有害欠陥が識別されているコ
イルを、インクでマーキングするインクマーカー装置を
設置した鋼板の連続処理ラインに装入する装入工程と、
予め識別されている有害欠陥の情報に基いて、前記有害
欠陥がインクマーカー装置に到達した時点で欠陥位置
に、弱アルカリ洗剤で消えるインクでマーキングするマ
ーキング工程とを有することを特徴とする欠陥マーキン
グされたコイルの製造方法。
【0019】(9)前記マーキング工程におけるマーキ
ング長さは、欠陥部が欠陥マーキングの外に出ないよう
に設定することを特徴とする(7)又は(8)記載の欠
陥マーキングされたコイルの製造方法。
【0020】(10)前記マーキング工程におけるマー
キングの線幅は、3〜10mmの範囲であることを特徴
とする(7)乃至(9)のうち何れかに記載の欠陥マー
キングされたコイルの製造方法。
【0021】(11)前記装入工程にて装入されるコイ
ルについては、表面欠陥計で鋼板の欠陥候補が検出さ
れ、その検出信号に基いて、欠陥グレードが演算され、
さらに有害欠陥と無害欠陥とが弁別されていることを特
徴とする(1)乃至(10)のうち何れか一項に記載の
欠陥マーキングされたコイルの製造方法。
【0022】(12)前記装入工程にて装入されるコイ
ルについては、表面欠陥計で鋼板の欠陥候補が検出さ
れ、その検出信号に基いて、欠陥グレード及び欠陥長さ
が演算され、さらに有害欠陥と無害欠陥とが弁別されて
いることを特徴とする(1)乃至(10)のうち何れか
一項に記載の欠陥マーキングされたコイルの製造方法。
【0023】(13)前記装入工程にて装入されるコイ
ルについては、有害欠陥と、判別困難欠陥と、無害欠陥
とに弁別されているとともに、前記マーキング工程は、
有害欠陥又は判別困難欠陥がインクマーカー装置に到達
した時点でマーキングすることを特徴とする(1)乃至
(12)のうち何れか一項に記載の欠陥マーキングされ
たコイルの製造方法。
【0024】(14) インクマーカー装置の下流に欠
陥マーキング検出装置を設置してマーキングの状態を確
認するマーキング確認工程を有することを特徴とする
(1)乃至(13)のうち何れか一項に記載の欠陥マー
キングされたコイルの製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。図1は、本発明の製造方法の説明のために参照
する鋼板の連続処理ラインの構成例を示す図で、鋼板の
コイリング設備の要部を示す。図1において、3は表面
欠陥計で鋼板1の表裏に検出器2および信号処理部4を
備え、5はCRT、6は集中制御盤、7は2次判定入力
装置、8は欠陥マーキング装置(インクマーカー装
置)、9は欠陥マーキング検出装置、10はテンション
リール、11は搬送ロール、12はパルス発信機、13
は鋼板搬送距離演算装置、14は外部記憶装置、15は
切断機、16は検査台である。
【0026】図1の装置において、表面欠陥計3の鋼板
表裏の検出器2で鋼板1の表裏面の欠陥候補疵を検出
し、検出した信号を信号処理部4に送る。信号処理部4
では、ある閾値を超える信号の欠陥候補の特徴量から得
た信号に基いて欠陥名、欠陥グレード、欠陥長さの演算
を行う。
【0027】演算した欠陥情報をCRT5の画面に表示
するとともに、欠陥発生信号と欠陥情報と欠陥位置とを
集中制御盤6へ出力する。
【0028】また、鋼板1を搬送する搬送ロール11の
回転数をパルス発信機12で計測し、鋼板搬送距離演算
装置13で鋼板送り長さを計算し、計算結果を集中制御
盤6に出力する。集中制御盤6は、前記の欠陥情報を編
集し、欠陥名・欠陥グレードから有害欠陥・判別困難欠
陥を弁別する。また、必要があれば、集中監視盤6で、
前記で弁別した有害欠陥・判別困難欠陥について更にマ
ーキング有無の判断を行う。
【0029】集中制御盤6は、鋼板搬送距離演算装置1
3から送られた鋼板送り長さに基いて欠陥位置をトラッ
キングし、2次判定場所(検査台)16に有害欠陥部到
達の警報出力をする。また必要な場合は自動減速を行
い、作業者の欠陥判定を容易にする。
【0030】欠陥部が2次判定場所(検査台)16に到
達したら、作業者が目視検査して2次判定を行うととも
に、表面欠陥計3の検出結果をCRT5で確認し、結果
が正しいか否か比較する。結果が異なる場合は修正を行
い、修正結果を2次判定入力装置7に入力し、さらに集
中制御盤6へ出力する。図2は、CRT5の画面表示の
一例を示す図で、既に表示されている欠陥情報は表面欠
陥計3の情報、空欄は2次判定結果を入力する場所であ
る。
【0031】集中制御盤6では、修正情報に基いて前記
の欠陥情報を再編集し、欠陥名・欠陥グレードから有害
欠陥・判別困難欠陥を弁別する。更に集中制御盤6は、
搬送ロール11の回転数から得られる鋼板1の送り長さ
に基いて、前記有害欠陥・判別困難欠陥の欠陥位置(マ
ーキング有無の判断をした場合は、マーキング有と判断
したもの)のトラッキングを行い、前記欠陥部が欠陥マ
ーキング装置8を通過時に、欠陥マーキング装置8を起
動するように起動信号を出力する。
【0032】前記起動信号に基いて欠陥マーキング装置
8が起動し、有害欠陥・判別困難欠陥が欠陥マーキング
装置8を通過するタイミングに同期して有害欠陥部・判
別困難欠陥部にマーキングが実施される。
【0033】マーキング長は、欠陥位置のトラッキング
精度を考慮して、欠陥部が欠陥マーキングの外に出ない
ように設定する。本装置ではトラッキング精度を考慮し
て、集中制御盤8で弁別した欠陥長に前後にそれぞれ
0.5m加算し、欠陥長より1m長くマーキングするよ
うに指令を出力し、また長さが数mm程度以下の点状欠
陥の場合は、前後にそれぞれ0.25m加算してマーキ
ングするように指令を出力する。図3は、欠陥部位置と
欠陥マーキング位置の状態を示す図で、有害欠陥20は
欠陥マーキング21の長さ方向の表示範囲内にある。
【0034】欠陥マーキング装置8では、マーキング指
令と同時にマーキングを開始する。マーキングは、イン
クを染み込ませたフェルトを、直接鋼板1に押付けてイ
ンクを鋼板1に付着させて行う。塗油されたコイルであ
っても鋼板表面に確実にマーキングできる。また、塗料
のような濃淡の問題が無いので鋼板表面に押し疵を発生
することもない。フェルトは鋼板1と直接接触し摩耗す
るため、基準長さ以上マーングすると、集中制御盤6か
ら警報を出力し、作業員にフェルト交換の注意を促す。
【0035】欠陥マーキング装置8は1基でもよいが、
2基配設してインクを2種類用意し、欠陥グレードに応
じてインクの色を変える(例えば、購入者の有害欠陥が
明確な場合は赤インクでマーキングを行い、判別困難欠
陥は青インクでマーキングを行う。)と、欠陥を識別し
て作業する上でより有益である。いずれのインクも弱ア
ルカリ洗剤で消えるインクを選択する必要がある。
【0036】目視での検出容易性及び欠陥マーキング検
出装置9での検出容易性の点から、マーキングの線幅は
3〜10mmの範囲が最適である。またフェルトの摩耗
及びインクの鮮明度の点からフェルトの押付け圧は15
0〜500gの範囲が最適である。
【0037】欠陥マーキングを検出するために、欠陥マ
ーキング装置8と欠陥マーキング検出装置9は鋼板幅方
向の同じ位置に配設される。図4は欠陥マーキング装置
8と欠陥マーキング検出装置9が各1基の場合、図5は
各2基配設の場合を示す図である。
【0038】また、図6は1基の欠陥マーキング装置を
使用してマーキングした場合について欠陥部と欠陥マー
キング位置の例を示し、同一のインクを使用して、有害
欠陥20と判別困難欠陥22が欠陥マーキング21で表
示されている。図7は2基の欠陥マーキング装置を配設
し、それぞれ異なる色のインクを使用してマーキングし
た場合であり、有害欠陥20は欠陥マーキング21a
(たとえば赤色)により、判別困難欠陥22は欠陥マー
キング21b(たとえば青色)で表示されている。
【0039】欠陥マーキング検出装置9では欠陥マーキ
ングの状態を常時監視し、マーキング長、インクカス
レ、無欠陥場所にマーキングの有無等を監視し、監視結
果を集中制御盤6に出力する。集中制御盤6はマーキン
グの良否を判断し、異常時は警報を出力し作業者に注意
を喚起すると同時に、コイルの出荷を保留するように指
示する。出荷を保留したコイルについては、再検査等の
処置を取る。
【0040】欠陥マーキング検出装置9で監視した欠陥
マーキングが正常と判断された場合、欠陥情報及び欠陥
位置が外部記憶装置14に入力され、切断機15で切断
された後に欠陥情報・欠陥位置を逆展開しプリントアウ
トする。
【0041】なお、コイルは購入者別に切断機15で切
断されるため、コイルの長さ基準は切断機15での切断
信号を基準とする。購入者に送付する書類は、コイル外
周側を先頭に逆に展開し、購入者の活用をし易くする。
【0042】このようにして製造されたコイルは、有害
欠陥部位置に明瞭なマークが付けられているので、次工
程で有害欠陥部の除去あるいは購入者が加工に際して、
コイル巻き戻し時に有害欠陥の有無を容易に判別するこ
とができるようになる。
【0043】前記説明では、有害欠陥の判定に作業者の
目視検査を介入させたが、表面欠陥計3の欠陥検出精度
が満足できるものであれば目視検査は行わなくてもよ
い。
【0044】図1に示した装置では、表面欠陥計3、欠
陥マーキング装置8、欠陥マーキング検出装置9を同一
ラインに配設した。しかし、前記したように、表面欠陥
計を備えたラインで、表面欠陥計で検出した疵情報に基
いて、欠陥の位置、欠陥名・欠陥グレードを演算し、こ
の情報をCRT等に表示し、あるいは書類でプリントア
ウトすることが既に行われている。
【0045】したがって、表面欠陥計を備えるラインと
は別のラインに欠陥マーキング装置と欠陥マーキング検
出装置を設置し、前記表面欠陥計を備えたラインで有害
欠陥・判別困難欠陥を識別し、この情報に基いて、前記
別のラインで図1の場合と同様、欠陥位置へのマーキン
グ、欠陥マーキングの確認を行い、その結果を書類でプ
リントアウトするようにしてもよい。
【0046】この場合、表面欠陥計を備えたラインで編
集、弁別した有害欠陥・判別困難欠陥情報を欠陥位置情
報とともに、外部記憶装置を介して別のラインの集中制
御盤に出力し、別のラインで前記有害欠陥・判別困難欠
陥のトラッキングを行い、欠陥マーキング装置でマーキ
ングを行い、欠陥マーキング検出装置で欠陥マーキング
の状態を監視し、監視結果を集中制御盤で再編集し、外
部記憶装置に出力すればよい。
【0047】このようにすることによって、より安価な
設備で欠陥マーキングされたコイルを製造できる。
【0048】この場合、別のラインの主要設備の配置例
を図8〜図10に示す。図8はオイラー17を欠陥マー
キング検出装置9の下流側に配設した場合、図9はオイ
ラー17を欠陥マーキング装置8の上流側に配設した場
合である。図10は、マーキング装置8の上流側にトリ
マー18と検査台16を配設した場合である。図10の
場合、必要に応じて、図1の場合と同様にして、検査台
における欠陥の目視検査の結果を2次修正することがで
きる。
【0049】また、欠陥マーキングされたコイルの次工
程の設備に欠陥マーキング検出装置を設置し、欠陥マー
キング装置で検出した欠陥情報を当該設備における欠陥
除去作業に反映することによって、当該設備で、より精
度の良い、また能率的な欠陥除去作業を行うことが可能
となる。欠陥マーキング検出装置を設置する設備は、鋼
板メーカー側の設備であってもよいし、コイル購入者側
の設備であってもよい。
【0050】図11は、欠陥マーキング検出装置9を備
えるコイリング設備の一例であり、欠陥マーキング検出
装置9で検出した欠陥情報を欠陥除去作業に反映、例え
ば警報を出力し、あるいは必要に応じてコイルの払い出
し速度の減速等を行い、検査台16での検査精度や検査
能率の向上、あるいは欠陥除去作業能率の向上を図るこ
とができる。
【0051】図12は、欠陥マーキング検出装置9を備
える切断設備の一例であり、欠陥マーキング検出装置9
で検出した欠陥情報に基いて、ゲート切替装置23を操
作して、切断機15で切断したシートを良品パイラー2
4と不良品パイラー25に選別可能としている。欠陥除
去作業を高能率で行うことができる。
【0052】
【発明の効果】このように本発明によれば、欠陥マーキ
ングによって鋼板に疵を発生することなく、鋼板表面に
防錆油等の油付着の有無にかかわらず、有害欠陥を確実
かつ容易に識別可能とする欠陥マーキングされたコイル
を製造することができる。
【0053】また、鋼板表面の欠陥位置をトラッキング
し有害欠陥部にマーキングされているので、購入者は欠
陥部を容易に検出することができる。また有害欠陥部巻
込みにより必要コイル長さで出荷可能となり、購入者の
作業能率が向上する。
【0054】欠陥程度に応じてマーキング色を変更し、
あるいは欠陥名や欠陥程度を考慮して不要なマーキング
表示を行わない場合、作業能率の向上効果がより優れ
る。
【0055】また鋼板メーカーにとっても、有害欠陥部
除去作業が容易となり作業能率が大幅に向上し、また判
別困難欠陥についても過剰な欠陥除去作業が不要になり
歩留が向上する。
【0056】また、欠陥マーキングしたコイルの次工程
の設備に欠陥マーキング検出装置を設置し、欠陥マーキ
ング装置で検出した欠陥情報を当該設備における欠陥除
去作業に反映することによって、当該設備で、より精度
の良い、また能率的な欠陥除去作業を行うことが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の説明のために参照する鋼板
の連続処理ラインの構成例を示す図で鋼板のコイリン
グ設備の要部を示す
【図2】CRT表示画面の一例を図。
【図3】欠陥部位置と欠陥マーキング位置の状態を示す
図。
【図4】欠陥マーキング装置と欠陥マーキング検出装置
を各1基備える場合の設備配置置の例を示す図。
【図5】欠陥マーキング装置と欠陥マーキング検出装置
を各2基備える場合の設備配置の例を示す図。
【図6】1基の欠陥マーキング装置を使用して欠陥部に
マーキングした状態を示す図。
【図7】2基の欠陥マーキング装置を使用して、有害欠
陥・判別困難欠陥を別々にマーキングした状態を示す
図。
【図8】本発明の実施に用いる欠陥マーキング装置と欠
陥マーキング検出装置を備えるラインの要部設備の配置
例を示す図。
【図9】本発明の実施に用いる欠陥マーキング装置と欠
陥マーキング検出装置を備える別のラインの要部設備の
配置例を示す図。
【図10】本発明の実施に用いる欠陥マーキング装置と
欠陥マーキング検出装置に加えて検査台を備えるライン
の要部設備の配置例を示す図。
【図11】欠陥マーキング検出装置を備えるコイリング
設備の要部設備の配置例を示す図。
【図12】欠陥マーキング検出装置を備える切断設備の
要部設備の配置例を示す図。
【符号の説明】 1 鋼板 2 検出器 3 表面欠陥計 4 信号処理部 5 CRT 6 集中制御盤 7 2次判定入力装置 8、8a、8b 欠陥マーキング装置(インクマーカー
装置) 9、9a、9b 欠陥マーキング検出装置 10 テンションリール 11 搬送ロール 12 パルス発信機 13 鋼板搬送距離演算装置 14 外部記憶装置 15 切断機 16 検査台 17 オイラー 18 トリマー 19 ペイオフリール 20 有害欠陥 21、21a、21b 欠陥マーキング 22 判別困難欠陥 23 ゲート切替装置 24 良品パイラー 25 不良品パイラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 茂美 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 岩渕 正洋 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 朝長 伸一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 長棟 章生 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 河村 努 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の連続処理ラインに表面疵を検出す
    る表面欠陥計と欠陥位置にインクでマーキングするイン
    クマーカー装置を設置し、表面欠陥計で鋼板の表面疵を
    検出し、検出した疵情報に基いて、欠陥名、欠陥長さ、
    欠陥グレードを演算し、さらに有害欠陥・判別困難欠陥
    ・無害欠陥を識別し、前記有害欠陥・判別困難欠陥がイ
    ンクマーカー装置に到達した時点で前記欠陥位置にイン
    クでマーキングすることを特徴とする欠陥マーキング方
    法。
  2. 【請求項2】 インクマーカー装置の下流に欠陥マーキ
    ング検出装置を設置してマーキングの状態を確認するこ
    とを特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング方法。
  3. 【請求項3】 予め表面欠陥計を備えたラインで欠陥の
    位置、欠陥名、欠陥グレードを演算し、さらに有害欠陥
    ・判別困難欠陥が識別されているコイルを、インクでマ
    ーキングするインクマーカー装置とその下流に欠陥マー
    キング検出装置を設置した鋼板の連続処理ラインに装入
    し、予め識別されている有害欠陥・判別困難欠陥の情報
    に基いて、前記有害欠陥・判別困難欠陥がインクマーカ
    ー装置に到達した時点で前記欠陥位置にインクでマーキ
    ングし、欠陥マーキング検出装置でマーキングの状態を
    監視するすることを特徴とする欠陥マーキング方法。
  4. 【請求項4】 有害欠陥・判別困難欠陥のマーキング色
    を変えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
    れかの項に記載の欠陥マーキング方法。
  5. 【請求項5】 表面欠陥計で検出した欠陥情報を目視検
    査結果に基いて修正可能としたことを特徴とする請求項
    1乃至請求項4のいずれかの項に記載の欠陥マーキング
    方法。
  6. 【請求項6】 有害欠陥・判別困難欠陥について、さら
    に欠陥名、欠陥グレードに基いてマーキング有無の判断
    を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれ
    かの項に記載の欠陥マーキング方法。
  7. 【請求項7】 鋼板の連続処理ラインに配設する表面欠
    陥マーキング装置であって、鋼板表面疵を検出する表面
    欠陥計、前記表面疵のライン内の移動位置を追跡するト
    ラッキング装置、前記表面欠陥計で検出した疵情報に基
    いて欠陥名、欠陥グレードを弁別し、さらに有害欠陥・
    判別困難欠陥を識別し、前記欠陥についてインクマーカ
    ー装置にマーキング指令する制御装置、及び前記制御装
    置からの指令に基いて鋼板表面にインクでマーキングす
    るインクマーカー装置を備えることを特徴とする欠陥マ
    ーキング装置。
  8. 【請求項8】 インクマーカー装置の下流に欠陥マーキ
    ング検出装置を備えることを特徴とする請求項7に記載
    の欠陥マーキング装置。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項6のいずれかの項に
    記載の方法で欠陥マーキングされたコイルを欠陥マーキ
    ング検出装置を備える設備に装入して、前記欠陥マーキ
    ング検出装置で検出した欠陥情報を欠陥除去作業に反映
    することを特徴とする欠陥マーキングされたコイルの作
    業方法。
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