JP2001305721A - 平版印刷版の製版方法及びそれに用いる平版印刷版 - Google Patents

平版印刷版の製版方法及びそれに用いる平版印刷版

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JP2001305721A
JP2001305721A JP2000116547A JP2000116547A JP2001305721A JP 2001305721 A JP2001305721 A JP 2001305721A JP 2000116547 A JP2000116547 A JP 2000116547A JP 2000116547 A JP2000116547 A JP 2000116547A JP 2001305721 A JP2001305721 A JP 2001305721A
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lithographic printing
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JP2000116547A
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English (en)
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Hideaki Ishiguro
秀明 石黒
Yuji Takagami
裕二 高上
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高解像性を有する画像を得ることが可能で、か
つ取り扱いが簡便で保存性が良く、保存性かつ印刷特性
が良好な、コンピュータからの直接出力が可能な平版印
刷版を提供することである。 【解決手段】親水性層を有する支持体上に、少なくとも
熱溶融性微粒子と水溶性樹脂と熱分解性物質からなる画
像形成層を設け、該画像形成層を画像様に加熱して該支
持体表面上に定着し、未加熱部分の該画像形成層を水に
より除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い解像性を有す
る画像を得ることが可能で、アルカリ処理を行うことな
く製版可能で、かつ印刷特性が良好な、コンピュータか
らの直接出力が可能な平版印刷版の製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から用いられているジアゾ化合物や
フォトポリマーによる画像形成方法としては、まず金属
板、紙、積層板、絶縁性基板等の基材上にジアゾ化合物
やフォトポリマー等の感光材料を塗布する。次いで、光
を照射して感光材料に化学変化を生じさせて、現像液に
対する溶解性を変化させる。感光材料は化学変化の種類
によって二つに分類される。光が照射された部分が重合
・硬化して、現像液に対して不溶性になるネガ型と、逆
に光が照射された部分の官能基が変化して、現像液に対
する溶解性を有するようになるポジ型である。何れの場
合にも、現像液による処理後に基材上に残存する、現像
液に不溶の感光材料が画像層、すなわち平版印刷版では
インキ受理層となる。
【0003】平版印刷版は、油脂性のインキを受理する
親油性の画像部分と、インキを受理しない撥油性の非画
像部分からなり、一般に非画像部分は水を受け付ける親
水性部分から構成されている。通常の平版印刷では、水
とインキの両方を版面に供給し、画像部はインキを、非
画像部は水を選択的に受け入れ、画像部上のインキを例
えば紙等の被印刷体に転写させることによって印刷がな
される。
【0004】現在、平版印刷版は表面を親水化処理した
アルミニウム板、亜鉛板、紙等の基材上に親油性のイン
ク受理層を設けることにより製造される。これらの中で
は、PS版と呼ばれる表面を親水性処理した金属製支持
体上にジアゾ化合物やフォトポリマー等の感光材料を用
いたものや、紙やプラスチック支持体上にハロゲン化銀
を感光材料として銀錯塩拡散転写法(DTR法)を利用
し画像形成するものなどが一般的である。
【0005】上記のような感光材料を用いて画像層を形
成する場合に、露光方法が解像性を決定する重要な因子
の一つとなっている。従来は、露光用フィルムを作製
し、次いで紫外光または白色光を使用した密着露光方法
を行うのが主流であった。しかし、コンピュータの進歩
に伴って、コンピュータ情報からのディジタル信号を露
光装置へと送信(コンピュータ・ツゥ・プレート)し、
レーザーを用いて直接感光材料を露光するレーザー直接
描画方法が行われるようになっている。レーザー直接描
画方法は、露光用のフィルムがいらずコストが安い、速
度が速い、多品種少ロット品での生産性が高い等の利点
がある。
【0006】しかしながら、このレーザー直接描画方法
に対応するためには、従来からの感光性平版印刷版(P
S版)は感度を高くしなければ使うことが出来ない。ま
た感度を上げるにしてもジアゾ化合物やフォトポリマー
では、複雑なメカニズムを必要とし生産コストが高くな
るなどの問題があった。また、DTR法による銀塩感材
では感度は高いものの取扱に暗室が必要となることで取
扱性に不便な点があった。また、感光性平版印刷版(P
S版)、ジアゾ化合物やフォトポリマー、DTR法によ
る銀塩感材では製版時にアルカリ性処理液による現像処
理を行う必要があった。これらの処理はその廃液の処分
に多大な労力が必要となり、また地球環境問題の観点か
らも廃液量の低減が求められている。
【0007】一方、レーザー直接描画方法に対応した画
像形成方法として、基材上に熱溶融性微粒子層を設け、
レーザーを用いて画像様に露光し熱溶融性微粒子を溶融
定着させて画像を形成させた後、非画像部をアルカリ水
溶液を用いて除去し平版印刷版を作製する方法が特開平
11−268225号公報、特開平11−271962
号公報に開示されている。この方式においても非画像部
除去(現像)にアルカリ性処理液を必要としていた。
【0008】現像工程にアルカリ性処理液を用いない方
法としては、特開平9−127683号公報記載の方法
や特開平9−131850号、同9−141819号公
報記載の方法が開示されている。しかし、露光部の支持
体の親水性表面との接着性と、非露光部の除去性が相反
するため、印刷版としての耐刷性と地汚れ性が現像液を
要する印刷版に比べ劣る結果となっていた。このため、
これらの印刷版の印刷条件はPS版に比べて使用できる
インキ、湿し水が限定されるなど制約が多く、実用レベ
ルでは所望の印刷表現が容易に出来ないなど種々の問題
点が指摘されている。さらに特開平9−127683号
公報記載の方法では保存性にも問題があり、PETフィ
ルムのカバーフィルムが必要となるため、コストアップ
や廃棄物の増加となる欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高い
解像性を有する画像を得ることが可能で、アルカリ性処
理液による処理をすることなく製版が完了し、保存性か
つ印刷特性が良好な、コンピュータからの直接出力が可
能な平版印刷版の製版方法及びそれに用いる平版印刷版
を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、親水性層を有
する支持体上に、少なくとも熱溶融性微粒子と水溶性樹
脂と熱分解性物質からなる画像形成層を設け、該画像形
成層を画像様に加熱して該支持体表面上に定着し、未加
熱部分の該画像形成層を水により除去することを特徴と
する平版印刷版の製版方法及びそれに用いる平版印刷版
である。
【0011】本発明者らは、熱溶融性微粒子と水溶性樹
脂と熱分解性物質からなる溶液を親水性層を有する支持
体上に塗布し、比較的低温で乾燥することによって熱溶
融性微粒子が層中で粒子を維持したままの状態で画像形
成層を構成し、この層の表面に、所望する画像に従って
該当部分に、例えば高出力の半導体レーザーにより加熱
を行うと、水溶性樹脂や熱分解性物質が無い場合と同様
に熱溶融性微粒子が熱により溶融し連続した皮膜を構成
し、しかもレーザーが未露光部の部分においては、この
画像形成層が用いる水溶性樹脂単独の皮膜の場合よりも
容易に親水性層上から除去できることを見いだした。即
ち、画像形成層の加熱部(画像部)では水洗後も残存す
るのでインク受理となる。また非画像部は支持体の親水
性表面が露出しインキ非受理(水受理)となる。
【0012】また本発明において、画像形成層に光吸収
剤を含有させておくことで、熱 光等のエネルギーを効
率良く吸収することが可能となる。したがって、例えば
レーザーによって溶融定着を行う場合には、レーザーが
低出力で良く、装置コストや作業コストを低く抑えるこ
とが可能である。
【0013】また本発明において、画像形成層に用いら
れる熱分解性物質が水溶性でかつ塩基性であることで、
水洗での未露光部(非画像部)の除去性が格段に向上さ
せることが可能となる。また露光部(画像部)において
は水洗処理時に除去されることなく強力な皮膜を形成す
ることが可能であることが判明した。おそらく、露光部
においてはレーザー露光による加熱によって分解され水
溶性の性質を失ってしまうためと推測している。
【0014】また本発明において、熱分解性物質として
グアニジン及び/またはその炭酸塩を用いることによっ
て、水洗での未露光部(非画像部)の除去性向上はもち
ろんのこと、露光部(画像部)での皮膜強化がさらに向
上すること、取り扱い性や保存性が良好となることを見
いだした。グアニジンは熱分解しメラミンとなることで
皮膜強度の向上に寄与するものと推測している。
【0015】また本発明において、画像形成層に用いら
れる熱溶融性微粒子が、少なくとも50℃以上のガラス
転移温度を持つ成分が一種類以上含まれていることによ
って、経時で特に夏場、室温の影響を受けて徐々に画像
形成層が定着ぎみに進行していくのを抑制することが可
能となり、冷室といった特別な版置き場を設けることな
く長期間保存が可能となる。しかも、画像部の加熱時に
ガラス転移温度の低い熱溶融性微粒子単独では、画像部
と非画像部の境界で画像部から熱の拡散により非画像部
の熱溶融性微粒子を加熱定着してしまう恐れがあった
が、50℃以上のガラス転移温度を持つ成分が含まれて
いることにより、この熱拡散の影響を受けにくくなり解
像性の良好な画像部を得ることが可能となる。更に本発
明では、熱溶融性微粒子単独では室温で被膜が形成でき
ないといったガラス転移温度の高い微粒子を用いても、
画像形成層内に水溶性樹脂を含んでいるため充分に被膜
を形成することが可能となる。
【0016】また本発明において、画像形成層に用いら
れる水溶性樹脂としてポリビニルアルコールを用いるこ
とにより、画像形成層を塗布乾燥によって作製したとき
の皮膜安定性が向上し、取り扱い性や保存性が良好とな
る。また露光部(画像部)においては加熱の影響によっ
ても水による溶解性が低下し、画像部の皮膜強化を妨げ
ないことを見いだした。
【0017】また本発明において、親水性層が、酸化チ
タン粒子及びSiが酸素原子を介して繋がったシロキサ
ン結合含有の樹脂を少なくとも含有することにより、露
光部(画像部)においては画像形成層との接着性が向上
し、未露光部(非画像部)においては画像形成層の除去
性が向上し、しかも高い親水性を維持することができる
ことを見いだした。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を使って、本発明の実
施の形態を説明する。
【0019】図1〜3は本発明の平版印刷版の製版方法
の一例を表す概略図である。本発明の製版方法では、ま
ず、表面に親水性層4を設けた支持体10上に画像形成
層1を設ける(図1)。次いで、画像部に相当する部分
の画像形成層1をレーザー照射(加熱)することにより
溶融定着して溶融定着層2とする(図2)。次いで、水
洗によって非画像部を除去する(図3)。こうして、親
水性表面を有する支持体に、親油性のインク受理層であ
る溶融定着層2が形成された形態となり、印刷が可能と
なる。
【0020】本発明に係わる画像形成層は少なくとも、
熱溶融性微粒子と水溶性樹脂と熱分解性物質から構成さ
れている。画像形成層内の熱溶融性微粒子の量は50重
量%以上から95重量%以下が好ましく、75重量%以
上から90重量%以下がより好ましい。熱溶融性微粒子
の量が、少ない場合には、加熱前の画像形成層内で熱溶
融性微粒子の周囲に水溶性樹脂が多く入り込んだ配置と
なり、熱溶融性微粒子間の距離が離れてしまい、結果と
して加熱時に充分な被膜を形成することが出来なくな
る。熱溶融性微粒子の量が多い場合には、熱溶融性微粒
子のガラス転移温度が高い材料を選択した場合に、塗布
乾燥時に画像形成層が支持体から剥離してしまう恐れが
ある。
【0021】本発明に係わる熱溶融性微粒子は少なくと
も常温では微粒子状で加熱により、溶融定着することに
よって密なフィルム構造となる性質を有するもので、素
材の例としては、(メタ)アクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタ
ジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、ビニルアセタール樹脂、
塩化ビニリデン樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、
アルキッド樹脂、ゼラチン、セルロース、ワックス、蝋
等を挙げることができる。画像形成層内の熱溶融性微粒
子は一種類だけ選択しても良いし、複数選択しても良
い。また、内側の核と外殻の成分が異なっている微粒
子、いわゆるコアシェルタイプの熱溶融性微粒子も好適
に用いることが出来る。
【0022】本発明に係わる、少なくとも50℃以上の
ガラス転移温度を持つ成分が一種類以上含まれているこ
ととは、一種類の熱溶融性微粒子を用いる場合には、そ
の微粒子のガラス転移温度が50℃以上であることを示
し、複数の種類の熱溶融性微粒子を用いる場合には、そ
れらの内少なくとも一種類の熱溶融性微粒子のガラス転
移温度が50℃以上であることを示す。更にコアシェル
タイプの様な一個の粒子が複数の成分から構成されてい
る場合には、それらの内の一種類のガラス転移温度が5
0℃以上であることを示す。
【0023】本発明に係わる水溶性樹脂は、被膜形成能
を有し水溶解性を有するポリマーであればよく、以下の
例が挙げられる。
【0024】天然物では、澱粉類、海藻マンナン、寒天
及びアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、
マンナン、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キ
サンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、
アラビアガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカ
ン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、サク
シノグルカン、プルラン、カードラン、及びザンタンガ
ム等のヘテロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチ
ン、カゼイン及びコラーゲン等のタンパク質、キチン及
びその誘導体等が挙げられる。
【0025】また、半天然物(半合成物)類としては、
セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変
性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類、酸化澱粉
類、エステル化澱粉類等の加工澱粉等が挙げられる。
【0026】合成品には、ポリビニルアルコール、部分
アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニ
ルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等の
変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリア
クリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、
及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及
びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、
ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニ
ルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキシビニル
重合物、スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/ク
ロトン酸共重合物等が挙げられる。
【0027】上記水溶性樹脂は単独で用いても良いし、
複数混合しても良い。また画像部の皮膜強度を向上させ
たり保存性を向上させる目的で、水溶解性を著しく損な
わない程度に架橋剤や硬膜剤を添加したりもしくは画像
形成層塗設後に接触させても良い。
【0028】画像形成層内の水溶性樹脂の量は0.5重
量%以上から30重量%以下が好ましく、1重量%以上
から10重量%以下がより好ましい。
【0029】本発明の熱分解性物質は、レーザー光の照
射等による露光時の加熱により分解するものである。熱
分解することにより露光部(画像部)の接着性、皮膜強
度の向上、水溶解性の低下をさせるものであることが好
ましい。
【0030】熱分解性化合物としては、硝酸アンモニウ
ム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸エステル化合
物、ニトロセルロース等のニトロ化合物や、有機過酸化
物、無機過酸化物、ポリビニルピロリドン、アゾ化合
物、ジアゾ化合物あるいはヒドラジン誘導体、グアニジ
ンとその誘導体及びそれらの塩類、アミン誘導体及びそ
れらの塩類が挙げられる。中でも水溶性で塩基性である
ものが加熱の有無で溶解性の差異がより大きくなること
で製版ラチチュードが広がり、また耐刷性と地汚れ性の
バランスが取りやすく印刷性が向上することで好適に用
いられる。また塩類の場合には炭酸塩であれば、加熱に
より脱炭酸し加熱部(画像部)に残らないため画像部の
皮膜強度に悪影響を与えず好ましい。
【0031】具体的には、例えばグアニジン、フェニル
グアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1,2,
3−トリフェニルグアニジン、1,2,3−トリシクロ
ヘキシルグアニジン、1,3−ジシクロヘキシル−2−
フェニルグアニジン、1,3−ジシクロヘキシル−2−
ナフチルグアニジン、1,3−ジシクロヘキシル−2−
ピリジルグアニジン、1,3−ジシクロヘキシル−2−
ドデシルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグ
アニジン等のグアニジン類及びその炭酸塩、エチレンジ
アミン、プロピレンジアミン、1,2−シクロヘキサン
ジアミン及びその炭酸塩を挙げることができる。特に室
温での安定性の高さ、吸湿性の低さ、また加熱により脱
炭酸及び熱分解してメラミンが生成するなどの点から炭
酸グアニジンが最適に用いられる。
【0032】画像形成層内の熱分解性物質の量は0.5
重量%以上から30重量%以下が好ましく、1重量%以
上から20重量%以下がより好ましい。また、水溶解性
や加熱後の皮膜強度を勘案して複数の熱分解性物質を混
合して用いてもかまわない。
【0033】画像形成層の形成方法としては、水等の任
意の溶媒で希釈された画像形成層用塗液をロール塗布、
カーテン塗布、ホエラー塗布、バー塗布、スプレー塗
布、電着塗布など公知の方法で支持体上に塗設し、乾燥
させ溶媒を除去することで形成出来る。この際、乾燥は
熱溶融性微粒子を溶融しない条件で行うことが最も望ま
しいが、本発明では水溶性樹脂及び熱分解性物質が混入
されているため、非画像部の除去効率は、熱溶融性微粒
子の溶融の初期状態では極端な低下を引き起こさないの
で、効率の良い乾燥条件を選択することが可能である。
【0034】本発明において用いられる加熱手段として
はレーザー照射、感熱ヘッド、熱スタンプ等が挙げられ
る。なかでも高解像力かつ高速に加熱描画が可能なレー
ザー照射が好ましい。その場合用いるレーザー光源とし
ては、炭酸ガスレーザー、窒素レーザー、Arレーザ
ー、He/Neレーザー、He/Cdレーザー、Krレ
ーザー等の気体レーザー、液体(色素)レーザー、ルビ
ーレーザー、Nd/YAGレーザー等の固体レーザー、
GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザー等の半
導体レーザー、KrFレーザー、XeClレーザー、X
eFレーザー、Ar2等のエキシマレーザー等を使用す
ることができる。
【0035】また本発明に用いられる光吸収剤として
は、例えばカーボンブラック、無金属または金属フタロ
シアニンなどの顔料や、金属ジチオレン、アントラキノ
ン、シアニンなどの染料等を挙げることができる。ま
た、用いるレーザーの波長に最大吸収を有する光吸収剤
を選択することが好ましい。例えば830nmの半導体
レーザーを用いる場合にはヘプタメチン骨格を有するシ
アニン染料を好適に用いることが出来る。
【0036】本発明に用いられる支持体及び親水性層と
しては、紙、フィルム(樹脂)、金属製支持体表面を加
工して親水性層を設けたもの、あるいは親水性層を塗設
したものであれば任意に用いることが出来る。例えばア
ルミ等の金属製支持体であれば砂目立て処理及び陽極酸
化膜を常法に従って設け親水性層とすることができる。
紙、フィルム製支持体(例えば樹脂被覆紙などの紙、ポ
リエチレンテレフタレートなどのプラスチィックフィル
ム及びそれらに、鉄、アルミ、銅等金属を心材としてサ
ンドイッチしたもの、さらにはこれらを貼り合わせた紙
及びプラスチックフィルム等が挙げられる。)であれ
ば、コロナ放電処理及び/または水系ラテックスを塗設
したり、上述の様な親水性樹脂及びアルミナゾル、チタ
ニアゾル、コロイダルシリカ等の親水性物質を含有する
親水性層を塗設けることができる。さらに親水性層を重
層しても良い。また粒子径0.01〜20μmの有機ま
たは無機粒子を主成分として粒子状形態の層を形成した
り、ウレタン樹脂やポリビニルホルマール樹脂等を多孔
質化したものや、特開平9−86066号公報、特開平
9−86067号公報、特開平9−99662号公報に
詳述されている直描型平版印刷版の親水性層を用いるこ
ともできる。
【0037】特に酸化チタン粒子及びSiが酸素原子を
介して繋がったシロキサン結合含有の樹脂からなる親水
性層を用いることが、露光された画像形成層との接着性
及び未露光部の画像形成層の除去性といった点から特に
好適である。
【0038】本発明に係わる親水性表面を有する支持体
に化処理親水性層に用いる酸化チタン粒子は、粉体とし
てあるいはチタニアゾル分散液として上市品として入手
できる。例えば、石原産業(株)、チタン工業(株)、
堺化学(株)、日本エアロジル(株)、日産化学工業
(株)等が挙げられる。また、本発明に供されるチタン
粒子は、他の金属元素またはその酸化物を含有してもよ
い。含有とは、粒子の表面及び、または内部に被覆した
り担持したり、あるいはドープしたりすることを含め
る。
【0039】含有される金属元素としては、例えばS
i、Mg、V、Mn、Fe、Sn、Ni、Mo、Ru、
Re、Os、Cr、Sb、In、Ir、Ta、Nb、C
s、Pd、Pt、Au等が挙げられる。具体的には、特
開平7−228738号、同7−187677号、同8
−81223号、同8−257399号、同8−283
022号、同9−25123号、同9−71437号、
同9−70532号公報等に記載されている。
【0040】酸化チタン粒子の好ましい粒径は0.00
1〜5μm、より好ましくは0.001〜0.1μmで
あり、さらに好ましくは0.005〜0.05μmであ
る。酸化チタン粒子は、その結晶中、少なくとも30重
量%以上が結晶構造であればよく、好ましくは50重量
%以上である。
【0041】他の成分として、本発明に係わる酸化チタ
ン粒子以外の無機顔料粒子を含有してもよい。例えば、
シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、酸化亜鉛、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、炭酸マグネシウム、アナターゼ型結晶以外の酸化
チタン等が挙げられる。これら他の無機顔料は、酸化チ
タン粒子に対して、40重量%を超えない範囲で用い
る。好ましくは、30重量%以内である。
【0042】本発明に係わるSiが酸素原子を介して繋
がったシロキサン結合含有の樹脂とは、ポリシロキサン
樹脂が主成分として用いられる。このポリシロキサン樹
脂を利用によって、特にゾル−ゲル法を利用して成膜す
ることにより、親水性層としての膜の強度、および酸化
チタン粒子の均一分散性に優れるという利点がある。こ
のポリシロキサン樹脂としては、例えば、下記一般式
(I)で示される様なシロキサン成分の結合を有するもの
が挙げられる。
【0043】
【化1】
【0044】一般式(I)中、R01〜R03は、一般式(I
I)中の記号のR0 から選ばれた有機残基を表わす。更
に、好ましくは本発明の親水性層は、酸化チタン粒子及
び一般式(II)で示されるシリル化合物の少なくとも1
種を含有する分散液から、ゾル−ゲル法で形成する。
【0045】
【化2】
【0046】一般式(II)中、R0 は炭化水素基又はヘ
テロ環基を表わす。Yは水素原子、ハロゲン原子、−O
1、−OCOR2、又は、−N(R3)(R4)を表す
(R1、R2は、各々炭化水素基を表し、R3、R4は同じ
でも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表
す)。nは0、1、2又は3を表わす。
【0047】好ましくは、一般式(II)中のR0 は、炭
素数1〜12の置換されてもよい直鎖状もしくは分岐状
のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等;これ
らの基に置換される基としては、ハロゲン原子(塩素原
子、フッ素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、チオール
基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、エポキシ基、
−ORA基(RAは、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシ
ル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オク
テニル基、2−ヒドロキシエチル基、3−クロロプロピ
ル基、2シアノエチル基、N,N−ジメチルアミノエチ
ル基、2−ブロモエチル基、2−(2−メトキシエチ
ル)オキシエチル基、2−メトキシカルボニルエチル
基、3−カルボキシプロピル基、ベンジル基、等を示
す)、−OCORB基(RBは、前記RAと同一の内容を
表わす)、−COORB基、−CORB基、−N(RC)2
(RC は、水素原子又は前記RAと同一の内容を表わ
し、各々同じでも異なってもよい)、−NHCONHR
B基、−NHCOORB基、−Si(RB3 基、−CO
NHRC 基、−NHCORB基、等が挙げられる。これ
らの置換基はアルキル基中に複数置換されてもよい)、
炭素数2〜12の置換されてもよい直鎖状又は分岐状の
アルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテ
ニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、
デセニル基、ドデセニル基等、これらの基に置換される
基としては、前記アルキル基に置換される基と同一の内
容のものが挙げられる)、炭素数7〜14の置換されて
もよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル
基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−
ナフチルエチル基等;これらの基に置換される基として
は、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のもの
が挙げられ、又複数置換されてもよい)、炭素数5〜1
0の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル
基、2−シクロペンチルエチル基、ノルボニル基、アダ
マンチル基等、これらの基に置換される基としては、前
記アルキル基の置換基と同一の内容のものが挙げられ、
又複数置換されてもよい)、炭素数6〜12の置換され
てもよいアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基
で、置換基としては前記アルキル基に置換される基と同
一の内容のものが挙げられ、又、複数置換されてもよ
い)、又は、窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選ば
れる少なくとも1種の原子を含有する縮環してもよいヘ
テロ環基(例えば該ヘテロ環としては、ピラン環、フラ
ン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール環、チア
ゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペリジン
環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサ
ゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等で、置
換基を含有してもよい。置換基としては、前記アルキル
基中の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置
換されてもよい)を表わす。
【0048】好ましくはYは、ハロゲン原子(フッ素原
子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わす)、−
OR1基、−OCOR2基又は−N(R3)(R4)基を表
わす。−OR1 基において、R1は炭素数1〜10の置
換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブトキシ基、ヘプチル基、ヘキシル
基、ペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プ
ロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル
基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル
基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル
基、2−(メトキシエチルオキソ)エチル基、2−
(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプ
ロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキサプロ
ピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シク
ロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシ
ル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネ
チル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブ
ロモベンジル基等が挙げられる)を表わす。
【0049】−OCOR2基において、R2は、R1と同
一の内容の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されても
よい芳香族基(芳香族基としては、前記R中のアリール
基で例示したと同様のものが挙げられる)を表わす。又
−N(R3)(R4)基において、R3、R4は、互いに同
じでも異なってもよく、各々、水素原子又は炭素数1〜
10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前記の−O
1基のR1と同様の内容のものが挙げられる)を表わ
す。より好ましくは、R1とR2の炭素数の総和が16ケ
以内である。一般式(II)で示されるシラン化合物の具
体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定
されるものではない。
【0050】メチルトリクロルシラン、メチルトリブロ
ムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチル
トリt-ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エ
チルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシ
ラン、エチルトリt-ブトキシシラン、n-プロピルトリ
クロルシラン、n-プロピルトリブロムシラン、n-プロ
ピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシ
ラン、n-プロピルトリイソプロポキシシラン、n-プロ
ピルトリt-ブトキシシラン、n-ヘキシルトリクロルシ
ラン、n-ヘキシルトリブロムシラン、n-へキシルトリ
メトキシシラン、n-へキシルトリエトキシシラン、n-
へキシルトリイソプロポキシシラン、n-へキシルトリ
t-ブトキシシラン、n-デシルトリクロルシラン、n-
デシルトリブロムシラン、n-デシルトリメトキシシラ
ン、n-デシルトリエトキシシラン、n-デシルトリイソ
プロポキシシラン、n-デシルトリt-ブトキシシラン、
n-オクタデシルトリクロルシラン、n-オクタデシルト
リブロムシラン、n-オクタデシルトリメトキシシラ
ン、n-オクタデシルトリエトキシシラン、n-オクタデ
シルトリイソプロポキシシラン、n-オクタデシルトリ
t-ブトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェ
ニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポ
キシシラン、フェニルトリt-ブトキシシラン、テトラ
クロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシ
ラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシ
ラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロム
シラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエ
トキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニ
ルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシ
ラン、フェニルメチルジエトキシシラン、トリエトキシ
ヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシ
ヒドロシラン、イソプロポキシヒドロシラン、トリt-
ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラ
ン、ビニルトリt-ブトキシシラン、トリフルオロプロ
ピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロ
ムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオ
ロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプ
ロピルトリt-ブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル
メチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリイソプロポ
キシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリt-ブトキシ
シラン、γ-メタアクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ-メタアクリロキシプロピルメチルジエト
キシシラン、γ-メタアクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ-メタアクリロキシプロピルトリイソプロ
ポキシシラン、γ-メタアクリロキシプロピルトリt-ブ
トキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリイソプ
ロポキシシラン、γ-アミノプロピルトリt-ブトキシシ
ラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、
γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカ
プトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロ
ピルトリイソプロポキシシラン、γ-メルカプトプロピ
ルトリt-ブトキシシラン、β-(3,4-エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-
エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、
等が挙げられる。
【0051】この酸化チタン粒子及びSiが酸素原子を
介して繋がったシロキサン結合含有の樹脂からなる親水
性層は、好ましくはゾル−ゲル法によって作成される
が、これは従来公知のゾル−ゲル法を用いて行なうこと
ができる。具体的には、作花済夫「ゾル−ゲル法の科
学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島碩
「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技
術センター(刊)(1992年)等に詳述されている方
法に従って作成できる。
【0052】また、この酸化チタン粒子及びSiが酸素
原子を介して繋がったシロキサン結合含有の樹脂からな
る親水性層に含まれる酸化チタン粒子とSiが酸素原子
を介して繋がったシロキサン結合含有の樹脂を同一層中
に混合してもよいが、酸化チタン粒子層とSiが酸素原
子を介して繋がったシロキサン結合含有の樹脂層を別々
の層に設けてもよい。
【0053】
【実施例】以下本発明を実施例により詳説するが、本発
明はその主旨を超えない限り、下記実施例に限定される
ものではない。
【0054】実施例1 下記内容の組成物を、60分間攪拌し、塗布液とした。
【0055】 <親水性層塗液1> 光触媒酸化チタンゾル40%水分散体:STS−21 150g (石原産業(株)製、平均粒径0.02μm) コロイダルシリカ:スノーテックC(20%分散液) 100g (日産化学工業(株)製) メチルトリメトキシシラン 100g エタノール 150g
【0056】0.04g/m2のゼラチン下引き層を有
する厚さ175μmのPET(ポリエチレンテレフタレ
ート)フィルムの片面に、親水性層塗液1をワイヤーバ
ーで塗布して乾燥させ印刷版用基材を作製した。
【0057】上記印刷版用基材の親水性層上に下記の塗
布液を用いて、ワイヤーバーにより塗布後、50℃で1
0分間乾燥させて、画像形成層(膜厚1.0μm)を得
た。
【0058】 <画像形成層塗液1> スチレン微粒子(ガラス転移温度100℃、固形分45%) 30g ポリビニルアルコール(T350、クラレ製(株)製) 1g カーボンブラック 3g 炭酸グアニジン 2g 水 150g
【0059】半導体レーザー照射装置(830nm)で
画像部に相当する画像形成層を溶融定着させ、次いで水
を含ませたスポンジにて画像形成層を拭き取った。版面
を観察したところ画像部は親水性層上に皮膜を形成して
おり、非画像部は親水性上から除去されていた。また、
この印刷版を用いて、オフセット印刷機(リョービ32
00MCD)にて印刷を行ったところ、画像欠落や汚れ
のない良好な印刷物を得ることができた。同様に画像形
成層を塗布してから一ヶ月毎にレーザー露光及び水洗除
去を六ヶ月まで行い、版面を観察したところ、画像部の
欠落、非画像部の除去不良等のない画像が得られた。ま
た、各細線幅を確認すると、経時による振れのない高解
像性の画像であった。これらの印刷版を用いて、オフセ
ット印刷機にて印刷を行ったところ、良好な印刷物を得
ることができた。また印刷途中に一旦停機し、版面を市
販の版面クリーナーで洗浄したが、再開後も問題なく印
刷することができた。
【0060】実施例2 画像形成層塗液を下記に記す画像形成層塗液2を用いた
以外は、実施例1と同様に製版を行った。
【0061】 <画像形成層塗液2> スチレン微粒子(ガラス転移温度100℃、固形分45%) 20g スチレン−ブタジエン系微粒子 (ガラス転移温度27℃、固形分40%) 10g ポリビニルアルコール(PVA117、クラレ(株)製) 2g カーボンブラック 3g 炭酸グアニジン 1g 水 150g
【0062】水を含ませたスポンジにて画像形成層を拭
き取り後、版面を観察したところ画像部は親水性層上に
皮膜を形成しており、非画像部は親水性上から除去され
ていた。また、この印刷版を用いて、オフセット印刷機
(リョービ3200MCD)にて印刷を行ったところ、
画像欠落や汚れのない良好な印刷物を得ることができ
た。実施例1と同様に画像形成層を塗布してから一ヶ月
毎にレーザー露光及び水洗除去を六ヶ月まで行ったとこ
ろ、経時による振れのない高解像性の画像であり、印刷
においても良好な印刷物を得ることができた。
【0063】実施例3 画像形成層塗液を下記に記す画像形成層塗液3を用いた
以外は、実施例1と同様に製版を行った。
【0064】 <画像形成層塗液3> スチレン−ブタジエン系微粒子 (ガラス転移温度27℃、固形分40%) 30g ポリビニルアルコール(PVA117、クラレ(株)製) 2g カーボンブラック 3g 炭酸グアニジン 1g 水 150g
【0065】水を含ませたスポンジにて画像形成層を拭
き取り後、版面を観察したところ画像部は親水性層上に
皮膜を形成しており、非画像部は親水性上から除去され
ていた。また、この印刷版を用いて、オフセット印刷機
(リョービ3200MCD)にて印刷を行ったところ、
画像欠落や汚れのない良好な印刷物を得ることができ
た。実施例1と同様に画像形成層を塗布してから一ヶ月
毎にレーザー露光及び水洗除去を六ヶ月まで行ったとこ
ろ、1ヶ月後より細線幅が徐々に太り始め、安定した高
解像性の画像を得ることが出来なかった。
【0066】実施例4 砂目立て処理及び陽極酸化されたアルミ支持体(0.2
4mm厚)を用い、カーボンブラックの代わりに106
4nmに吸収を有するヘプタメチンシアニン染料を用
い、描画装置としてYAGレーザー製版機(GERBER
社製CRESCENT42T)を用いた以外は、実施例
1と同様に製版を行った。
【0067】水を含ませたスポンジにて画像形成層を拭
き取り後、版面を観察したところ画像部は親水性層上に
皮膜を形成しており、非画像部は親水性上から除去され
ていた。また、この印刷版を用いて、オフセット印刷機
(リョービ520HX)にて印刷を行ったところ、画像
欠落や汚れのない良好な印刷物を得ることができた。
【0068】比較例1 画像形成層塗液を下記に記す画像形成層塗液4を用いた
以外は、実施例1と同様に製版を行った。
【0069】 <画像形成層塗液4> スチレン微粒子(ガラス転移温度100℃、固形分45%) 30g ポリビニルアルコール(T350、クラレ製(株)製) 1g カーボンブラック 3g 水
【0070】水を含ませたスポンジにて画像形成層を拭
き取り後、版面を観察したところ画像部は親水性層上に
皮膜を形成していたが、非画像部を親水性上から除去す
るには強く拭き取ることが必要であった。かろうじて非
画像部を除去することができたので、この印刷版を用い
て、オフセット印刷機(リョービ3200MCD)にて
印刷を行った。得られた印刷物を観察したところ、印刷
の初期段階において網点部詰まりが発生した。また網点
部の詰まりの解消のため、一旦停機し、市販の版面クリ
ーナーで版面を洗浄し、印刷を再開したところ、細線部
分や網点のハイライト部で一部画像の欠落が見られた。
【0071】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明の平版印刷
版と平版印刷版の製版方法を用いればアルカリ性処理液
や専用のプロセッサーを使用せず、過剰の廃棄物もなく
水現像のみでコンピュータからのデータを直接製版する
ことができる。さらに解像力も高く、耐刷性及び地汚れ
性のバランスが良く保存性も良好となる。また平版印刷
版の製造工程においても画像形成層が水系塗工となるこ
とで防爆設備が必要なく、生産コストが低減できると言
った秀逸な効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製版方法を表す概念図である。
【図2】本発明の製版方法を表す概念図である。
【図3】本発明の製版方法を表す概念図である。
【符号の説明】
1 画像形成層 2 溶融定着層 3 非画像部の画像形成層 4 親水性層 10 支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/075 521 G03F 7/075 521 7/32 7/32 Fターム(参考) 2H025 AB03 AC08 AD01 BH02 CB07 CB32 CB60 CC08 CC12 CC13 CC20 DA36 2H096 AA07 BA20 EA04 EA23 GA08 2H114 AA14 AA22 AA23 BA01 DA03 DA08 DA15 DA25 DA38 DA48 DA56 DA73 DA78 EA01 EA03 EA05 EA10 FA15 FA16 GA34 GA38

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性層を有する支持体上に、少なくと
    も熱溶融性微粒子と水溶性樹脂と熱分解性物質からなる
    画像形成層を設け、該画像形成層を画像様に加熱して該
    支持体表面上に定着し、未加熱部分の該画像形成層を水
    により除去することを特徴とする平版印刷版の製版方
    法。
  2. 【請求項2】 前記画像形成層に光吸収剤を含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の平版印刷版の製版方法。
  3. 【請求項3】 前記熱分解性物質が水溶性でかつ塩基性
    であることを特徴とする請求項1または2記載の平版印
    刷版の製版方法。
  4. 【請求項4】 前記熱分解性物質がグアニジンあるいは
    その誘導体、またはそれらの炭酸塩であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版の製版
    方法。
  5. 【請求項5】 前記熱溶融性微粒子が、少なくとも50
    ℃以上のガラス転移温度を持つ成分が一種類以上含まれ
    ていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の平版印刷版の製版方法。
  6. 【請求項6】 前記水溶性樹脂がポリビニルアルコール
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
    の平版印刷版の製版方法。
  7. 【請求項7】 前記親水性層が、酸化チタン粒子及びS
    iが酸素原子を介して繋がったシロキサン結合含有の樹
    脂を少なくとも含有することを特徴とする請求項1〜6
    のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  8. 【請求項8】 親水性層を有する支持体上に、少なくと
    も熱溶融性微粒子と水溶性樹脂と熱分解性物質からなる
    画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版。
  9. 【請求項9】 前記画像形成層に光吸収剤を含有するこ
    とを特徴とする請求項8記載の平版印刷版。
  10. 【請求項10】 前記熱分解性物質が水溶性でかつ塩基
    性であることを特徴とする請求項8または9記載の平版
    印刷版。
  11. 【請求項11】 前記熱分解性物質がグアニジンあるい
    はその誘導体、またはその炭酸塩であることを特徴とす
    る請求項8〜10のいずれかに記載の平版印刷版。
  12. 【請求項12】 前記熱溶融性微粒子が、少なくとも5
    0℃以上のガラス転移温度を持つ成分が一種類以上含ま
    れていることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに
    記載の平版印刷版。
  13. 【請求項13】 前記水溶性樹脂がポリビニルアルコー
    ルであることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに
    記載の平版印刷版。
  14. 【請求項14】 前記親水性層が、酸化チタン粒子及び
    Siが酸素原子を介して繋がったシロキサン結合含有の
    樹脂を少なくとも含有することを特徴とする請求項8〜
    13のいずれかに記載の平版印刷版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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