JP2001305127A - 油脂の評価方法および評価システム - Google Patents

油脂の評価方法および評価システム

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JP2001305127A
JP2001305127A JP2000118954A JP2000118954A JP2001305127A JP 2001305127 A JP2001305127 A JP 2001305127A JP 2000118954 A JP2000118954 A JP 2000118954A JP 2000118954 A JP2000118954 A JP 2000118954A JP 2001305127 A JP2001305127 A JP 2001305127A
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sensor
short
fats
oils
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JP2000118954A
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Hiroyuki Kouzui
宏之 洪水
Kinya Tsuchiya
欣也 土屋
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Nisshin Oil Mills Ltd
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Nisshin Oil Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は加熱した油脂の臭い等の評価に際し客
観的で、かつ、連続評価可能な評価方法および評価シス
テムを提供することを課題とする。 【解決手段】本発明は、油脂を120℃〜250℃に加
熱し、その加熱により発生する揮発性成分中の短鎖アル
デヒド量を測定することを特徴とする油脂の評価方法に
関する。好ましくは、付着した揮発性成分の酸化還元反
応を電気信号に変換して出力するセンサーによって短鎖
アルデヒド量を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は油脂を加熱した際に
発生する揮発性成分中の短鎖アルデヒド量を測定するこ
とにより、油脂を評価する方法および評価システムに関
する。特に、油脂を加熱した際に発生する油臭さを評価
する方法およびシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油脂のにおいを測定する方法は、
検知管や吸光光度計、揮発性成分を吸着剤にて濃縮し、
ガスクロマトグラム法やマススペクトロメータによって
測定する機器分析法と、人間の嗅覚による官能評価法と
がある。ガスクロマトグラム法やマススペクトロメータ
を用いる機器分析法は、におい成分が個々に分取・分析
されるため、臭い全体としての測定は困難であるという
問題があった。また官能評価法は個人差による、すなわ
ち健康状態・生活様式・年齢・環境等により異なるため
客観性に乏しいこと、また、全体としては評価できても
どの成分がその臭いの主成分であるかが把握できないた
め、上述のように体調、環境の変化によりその時々によ
って評価が異なり、客観性を欠くという問題があった。
さらに、加熱時の油臭さ等については、実際に加熱して
官能により評価するが、非常に高温であるため長時間・
連続的に評価することができず、どうしても瞬時に評価
することになり、この点でも客観性、正確性に欠けると
いう問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】油脂の加熱時の臭い等
の評価等は、通常は官能により評価されるが、油が高温
であることから正確な評価自体が困難であること、ま
た、官能評価法は個人差による評価の変動や連続した評
価が困難であるという問題がある。さらにガスクロマト
グラム法やマススペクトロメータはニオイ成分を個々に
分離するため成分が結合した状態での評価には適さない
という問題がある。よって、本発明は加熱した油脂の臭
い等の評価に際し、上記問題点を解決した客観的で、か
つ、連続評価可能な評価方法および評価システムを提供
することを課題とする。
【0004】
【発明が解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意努力をした結果、油脂を加熱した際
に発生する揮発性成分中に存在する短鎖アルデヒドの量
と“油臭さ”が相関することを見出し、本発明を完成さ
せた。すなわち、本発明は、油脂を120℃〜250℃
に加熱し、その加熱により発生する揮発性成分中の短鎖
アルデヒド量を測定することを特徴とする油脂の評価方
法に関する。好ましくは、付着した揮発性成分の酸化還
元反応を電気信号に変換して出力するセンサーによって
短鎖アルデヒド量を測定し、好ましくは異なる特性を持
つ複数の前記センサーによって短鎖アルデヒド量を測定
することができる。また、好ましくはセンサーとして金
属酸化物半導体センサーを使用することができる。さら
に、短鎖アルデヒド量の測定値と官能評価値データとを
相関分析し得られる基準データ、つまり短鎖アルデヒド
量の測定値とその測定値に対応する官能評価値とからな
る基準データと、新たに得られ短鎖アルデヒド量の測定
値を対比することで、その官能評価値が出力される。本
発明の評価方法によれば、短鎖アルデヒド量の測定を行
えば、その油脂の評価を客観的に、また、連続的に行っ
ても正確性の高い評価を行うことができる。また、同様
に短鎖アルデヒド量の測定値と官能評価値とを相関分析
し得られる相関式から、新たに得られらた短鎖アルデヒ
ド量の測定値を該相関式に入力することで官能評価値が
出力され、上記同様に客観的かつ連続的に行っても正確
性の高い評価をすることができる。油脂を加熱する加熱
器と、発生する揮発性成分を測定するセンサーと、短鎖
アルデヒド量の測定値を油脂の評価値として算出する手
段を含むデータ処理装置とからなる油脂の評価システム
に関し、前記データ処理装置が、前記センサーの短鎖ア
ルデヒド量の測定値と、予め得られた官能評価値データ
と相関分析された基準データを対比する手段を含む油脂
の評価システムに関し、また、前記データ処理装置が、
前記センサーの短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得ら
れた官能評価値データとの相関分析により得られた相関
式から油脂の評価値を算出する手段を含む油脂の評価シ
ステムに関する。さらに前記データ処理装置が、前記セ
ンサーの短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得られた官
能評価値データと相関分析された基準データを対比する
ことにより、油脂の評価を行うアプリケーションプログ
ラムが記憶媒体を解してロードされる手段を具備するこ
とを特徴とする油脂の評価システムに関し、また、前記
データ処理装置は、前記センサーの短鎖アルデヒド量の
測定値と、予め得られた官能評価値データとの相関分析
により得られた相関式から油脂の評価値を算出する油脂
の評価を行うアプリケーションプログラムが記憶媒体を
解してロードされる手段を具備することを特徴とする油
脂の評価システムに関する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳しく説明する。本
発明は、油脂を加熱した際に発生する揮発性成分中に存
在する短鎖アルデヒドの量と“油臭さ”が相関すること
を見出し、その点に注目することで、高温の状態の油脂
についても、その加熱時の臭いの評価を客観的に行うこ
とができるものとなった。すなわち、本発明は、油脂を
120℃〜250℃に加熱し、その加熱により発生する
揮発性成分中の短鎖アルデヒド量を測定することを特徴
とする油脂の評価方法に関する。油脂の温度が上記範囲
内であれば、加熱時の油脂の“油臭さ”が生じた場合に
官能で確認することができ、揮発性成分も各種測定装置
で測定することができる程度発生するため好ましい。上
記温度範囲以上の場合には油煙が発生するため好ましく
なく、上記範囲以下では“油臭さ”も揮発性成分の発生
も少ないため好ましくない。また、実際に調理等で油脂
を加熱する場合も上記範囲を大きく逸脱することはない
ため、この点からも上記温度範囲で測定することが好ま
しい。
【0006】本発明にける油脂とは、植物由来、動物由
来等いずれでも良く、特に制限されないが、精製処理さ
れた油脂の場合は“油臭さ”の少なさが商品価値に直結
する場合が多いため、これらに対して好適に使用するこ
とができる。本発明においては植物性油脂を使用する場
合の好適に本発明の方法により評価することができ、植
物性油脂としては、例えばナタネ油、大豆油、コーン
油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、ゴマ油、米
油、パーム油、ヤシ油、これらの分別油またはこれらの
中の2種以上の混合物等があげられる。
【0007】上記温度で油脂を加熱した場合に発生する
揮発性成分中に含まれる短鎖アルデヒド量の測定値と加
熱時の“油臭さ”が相関することから、本発明において
は揮発性成分中の該短鎖アルデヒド量を測定することが
重要である。本発明において短鎖アルデヒドとは炭素数
が10以下のアルデヒドをいい、具体的にはFormaldehy
de、Ketene、Propanal、2-Propenal(Acrolein)、Buta
nal、2-Butenal、Pentanal、2-Penenal、3,4-Pentadien
al、Hexanal、2-Hexenal、2,4-Hexadienal、Heptanal、
2-Heptenal、2,4-Heptadienal、Octanal、2-Octenal、
2,4-Octadienal、Nonanal、2-Nonenal、2,4-Nonadiena
l、Decanal、2-Decenal、2,4-Decadienal等があげられ
る。該短鎖アルデヒドについて飽和、不飽和を含むもの
であるかを問わないが、不飽和の短鎖アルデヒドが多い
方が油臭さが強い傾向はある。
【0008】揮発性成分中の短鎖アルデヒド量の測定方
法は検知管、ヘッドスペースガスクロマト−マススペク
トル、水晶振動子、ポリマーセンサー、金属酸化物半導
体、半導体ポリマー等の各センサーによる方法があげら
れる。特に制限されないが、好ましくは、付着した揮発
性成分の酸化還元反応を電気信号に変換して出力するセ
ンサーによって短鎖アルデヒド量を測定することができ
る。短鎖アルデヒドは他の測定方法に比べて該センサー
によって好適にその量が測定することができるため好ま
しく、さらに不飽和短鎖アルデヒドを好適に測定するこ
とができるため好ましい。また、異なる特性を持つ複数
の前記センサーによって短鎖アルデヒド量を測定するこ
とにより、センサーの材質による差異が生じることを防
ぐことができるため好ましい。
【0009】上記付着した揮発性成分の酸化還元反応を
電気信号に変換して出力するセンサーとして金属酸化物
半導体センサーを使用することができる。金属酸化物半
導体センサーとは、センサー本体が300℃〜450℃
に加熱され、反応成分が接触した際に起こる酸化還元反
応を抵抗値の変化として信号化するものであり、構造は
半導体上に、酸化スズ・酸化亜鉛・酸化タングステンと
いった酸化物とパラジウム・ゲルマニウム・白金といっ
た触媒成分との配合により特性をもった金属で被われた
ものであり、他のセンサーに比べて寿命が長い・感度が
高い・安定性が高い・湿度の影響を受け難い・汚染に対
する影響が低い・費用が安いという特性を持つのが特徴
である。特に、温度の影響を受け難く、高温での測定に
好適に使用することができ、例えばポリマーセンサーは
45℃程度、水晶振動子センサーは120℃程度の測定
に使用することができるが、本発明の場合の様な高温域
での使用は不可能であるため、金属酸化化合物半導体セ
ンサーはこの面からも好適に使用される。該金属酸化半
導体センサーを使用することにより再現性良く・長期に
安定して測定できるというメリットがあるため好まし
い。
【0010】また、金属酸化物半導体センサー(図4:
センサーD)により、油脂を180℃に加熱した場合に
おいて発生する揮発性成分中の短鎖アルデヒド含量と、
該金属酸化物半導体センサーの測定値は、図1に示す通
り相関が認められ、かつ図1からもわかる様に、短鎖ア
ルデヒドである2-Propenal(Acrolein)含量の多少によ
って、センサー値に明確な差異が生じるため、本発明に
おいて金属酸化物半導体センサーの使用は好ましいと言
える。
【0011】さらに、短鎖アルデヒド量の測定値と官能
評価値データとを相関分析し得られる基準データ、つま
り短鎖アルデヒド量の測定値とその測定値に対応する官
能評価値とからなる基準データと、新たに得られらた短
鎖アルデヒド量の測定値を対比することで、その油脂に
ついての官能評価値が出力される。つまり、予め油脂を
加熱してその揮発性成分中の短鎖アルデヒド量の測定値
データと、その“油臭さ”等の官能評価データを収集
し、それらを相関分析することで、短鎖アルデヒド量の
測定値と、それに対応する官能評価値が明らかになった
基準データを得る。そして、その基準データをベースと
して、新たに測定した短鎖アルデヒド量の測定値を該基
準データと比較することで、その官能値が出力され、油
脂の評価を客観的に知ることができる。
【0012】また、同様に予め得られた短鎖アルデヒド
量の測定値データと官能評価値データとを相関分析し得
られる相関式から、新たに得られらた短鎖アルデヒド量
の測定値を該相関式に入力することで官能評価値が出力
され、上記同様に油脂の評価を客観的に知ることができ
る。前記相関式には、独立変数が1または2以上である
回帰式も含まれる。
【0013】本発明において、短鎖アルデヒド量の測定
値とは、単にその正確な含量値のみを示すのではなく、
センサーから出力される強度(出力値)や、これらの値
を加工した値を含むものである。例えば、センサーの出
力値を単純に加算した値や、図3の様にレーダーチャー
ト化し、あるセンサー応答値Aとその隣センサー応答値
Bとした際、センサー応答値A,Bと円の中心とで囲ま
れる面積はA×B×COS20°で求められ、面積AB
と表すときの面積AB〜RAの各面積値および、これら
の合計値等も本発明における測定値に含まれる。
【0014】これらの油脂の評価は数値等で出力される
ため非常に明確である。また、本発明の評価方法によれ
ば、短鎖アルデヒド量の測定を行えば、その油脂の評価
を客観的に行うことができ、また、連続的に行っても正
確性の高い評価を行うことができる。体調やその場の環
境、測定の順番等によって評価が左右されることなく、
客観的な評価を行うことができる。本発明の油脂の評価
方法は、油脂の製造時の品質管理や、フライ調理中の評
価、曝光試験や暗所での保存試験の評価等に好適利用す
ることができる。
【0015】本発明の油脂の評価システムに関しては、
油脂を加熱する加熱器と、発生する揮発性成分を測定す
るセンサーと、短鎖アルデヒド量の測定値を油脂の評価
値として算出する手段を含むデータ処理装置とからなる
油脂の評価システムに関し、前記データ処理装置が、前
記センサーの短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得られ
た官能評価値データと相関分析された基準データを対比
する手段を含む油脂の評価システムに関し、また、前記
データ処理装置が、前記センサーの短鎖アルデヒド量の
測定値と、予め得られた官能評価値データとの相関分析
により得られた相関式から油脂の評価値を算出する手段
を含む油脂の評価システムに関する。本発明の油脂の評
価システムの流れとしては、図4にフロー図をもとに説
明すると、油脂を加熱する加熱器により油脂を加熱し、
発生する揮発性成分をセンサーにより短鎖アルデヒド量
を測定し、その値をデータ取得(200)する。その取
得されたデータを前記の様に加算することや、面積AB
〜RAの合計値を求める等の処理、また、相関の高いセ
ンサーのデータを選択する等のデータの処理・選択(2
01)を行い、基準データによる対比処理(203)、
または、相関式への入力処理(204)を行うことにつ
いて方法の選択(202)を行う。この処理によって、
油脂の評価値が表示(205)され、油脂の客観的な評
価を得ることができる。
【0016】さらに前記データ処理装置が、前記センサ
ーの短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得られた官能評
価値データと相関分析された基準データを対比すること
により、油脂の評価を行うアプリケーションプログラム
が記憶媒体を解してロードされる手段を具備することを
特徴とする油脂の評価システムに関し、また、前記デー
タ処理装置は、前記センサーの短鎖アルデヒド量の測定
値と、予め得られた官能評価値データとの相関分析によ
り得られた相関式から油脂の評価値を算出する油脂の評
価を行うアプリケーションプログラムが記憶媒体を解し
てロードされる手段を具備することを特徴とする油脂の
評価システムに関する。
【0017】加熱器は、油脂を加熱することができれば
特に制限されないが、温度制御できるものが好ましい。
具体的にはバイアル瓶全体を加熱する事の出来るヒータ
ーボックス等で加熱することができる。油脂から発生す
る揮発性成分についての測定は、加熱された油脂の上に
センサー等を設置することでも、発生した揮発性成分を
150℃以上の温度に加熱したシリンジ・チューブ等で
センサー部へ導いて測定しても良い。さらにシリンジ・
チューブ内流路は、完全に乾燥した合成空気と100%
に加湿された合成空気とで湿度が10〜80%となるよ
うに調製し、チューブ内を毎分100〜800mlで流
すことができる。
【0018】(第1実施態様)図5に示すように、容量
が20mlのガラスバイアル瓶101に脱酸、脱色、脱
臭の精製処理された、油脂A:低リノレン酸大豆油45
%・菜種油55%(日清製油(株)製)、油脂B:低リ
ノレン酸大豆油40%・高オレイン低リノレン酸菜種油
60%(日清製油(株)製)、油脂C:ひまわり油40
%・高オレイン酸菜種油60%(日清製油(株)製)
(以上102A〜C)を半分量ほど個別に入れ密栓を
し、これをヒーターボックス(アルファモス製)103
で加熱し、180℃にて5分間保持する。ガラスバイア
ル瓶101のヘッドスペース101Aに発生した揮発性
成分を150℃に加熱されたシリンジ104にて分注
し、ニオイセンサー導入部105Aに導入する。
【0019】ニオイセンサー(アルファモス社製)10
5は、特性の異なる金属酸化半導体センサーを複数個
(106A〜R)有する構造である。
【0020】ニオイセンサー導入部105Aより乾燥合
成空気ガスが流量計107にて300ml/分の一定流
量で流れる流路内105Bに導入された揮発性成分はセ
ンサーチャンバー105Cに導かれる。
【0021】センサーチャンバー105Cには、金属酸
化物半導体センサーが計18個(センサー106A〜
R)が設置されている。本発明に用いる金属酸化物半導
体センサーとは、酸化スズ・酸化亜鉛・酸化タングステ
ンといった酸化物とパラジウム・ゲルマニウム・白金と
いった触媒成分との配合により18種の異なる特性を持
ったものであり、これらが300℃〜450℃に加熱さ
れ、反応成分が接触した際に起こる酸化還元反応を抵抗
値の変化として信号化し、出力値として出力されるもの
である。
【0022】データ処理装置108は、基準データ記憶
部108Aを有する。この基準データ記憶部108A
は、油脂の評価値を出力する際に必要とされる基準デー
タを保持するものである。
【0023】データ処理装置108は、記憶媒体109
(109A、109B)に書き込まれたアプリケーショ
ンプログラムが実行可能である。このアプリケーション
プログラムとしては、ニオイセンサー105の実行プロ
グラム、データ処理プログラム、図4に示すプログラム
等である。また、これらアプリケーションプログラムお
よび基準データ等は、モデム108Bを介してインター
ネットや公衆電話回線等おネットワーク110を介して
ダウンロード可能である。さらに外部記憶装置112に
アプリケーションプログラムおよび基準データ等を保存
し、必要に応じて呼び出すようにしても良い。
【0024】また、データ処理装置108は、モニター
111、外部記憶装置112に接続している。
【0025】本実施態様おいて、金属酸化物半導体セン
サーにて測定された値を経時的に示した図2が得られる
が、ここで各センサーの最大値を図6に、この最大値を
もとに図3におけるチャート図にした場合に求められる
面積AB〜RAの各面積値および、その面積総和値を図
7に記載する。
【0026】一方、100ml容ビーカーに油脂を半量
入れて180℃にて加熱した際に生成してくる臭いを強
度や性質・好みを総合的に判断し、図8に示す官能評価
表(1点が最も悪い、10点が最も良いとした10段階
の評価点をつける)を複数のパネラーを用いて行った。
【0027】図9に、各センサーの最大値と、面積AB
〜RAの各面積値およびこれらの総和と、官能評価の結
果をまとめたものを示す。
【0028】ここで、この図10に示す通り、センサー
B、F、Jそれぞれについて、センサー最大値と官能評
価値との相関をとると、相関値が0.916、0.96
36、0、9988であり、相関があることが確認され
た。また、センサーB、F、Jと同様に全てのセンサー
に対してセンサー最大値と官能評価値との相関をとる
と、相関値0.8166〜0.9988であり、全セン
サーについて相関があることが確認された。
【0029】また、図9の表から、AB〜RAの面積総
和値と、官能評価値との相関をとると、図11に示す通
り、相関値は0.9304であり、上記と同様に相関が
あることが確認された。
【0030】これらの値を蓄積していき、基準データと
する。該基準データは基準データ記憶部108Aに保持
させることができ、また、外部記憶装置112、記憶媒
体109に保存し、必要に応じて呼び出すことももでき
る。加えて、モデム108を介してネットワーク110
を介してダウンロードすることも可能である。その後、
新たに前記と同じ同様の方法で短鎖アルデヒド含量を測
定し、データ取得(図4:200)し、特定のセンサー
の出力値や、複数センサーの出力値の合計、前記面積の
総和値等の処理・選択(図4:201)された測定値
を、前記基準データと対比(図4:203)すること
で、油脂の評価値(官能評価値)を得ることができる。
【0031】(第2実施態様)また、図9の第1実施態
様における短鎖アルデヒド含量の測定値(センサー最大
値)と官能評価値から、センサーB、F、Jについてそ
の相関式を求めると、 センサーB (式−1)y=20.03X+2.7236 センサーF (式−2)y=10.082X+2.097 センサーJ (式−3)y=10.566X+2.9283 (Xは短鎖アルデヒド含量の測定値(センサー最大
値)、yは出力される官能評価値)が得られれる。同様
に、その他のセンサーについても相関式を求めると、 センサーA (式−4)y=14.376X+1.7736 センサーC (式−5)y=10.16X+2.0213 センサーD (式−6)y=19.229X+1.352 センサーE (式−7)y=101.86X+1.5071 センサーG (式−8)y=19.581X+1.4281 センサーH (式−9)y=32.729X+1.6282 センサーI (式−10)y=9.9097X−0.2525 センサーK (式−11)y=15.406X+1.2062 センサーL (式−12)y=13.333X+1.1486 センサーM (式−13)y=11.527X+0.9601 センサーN (式−14)y=14.534X+1.0818 センサーO (式−15)y=21.836X+1.4512 センサーP (式−16)y=15.416X+1.6566 センサーQ (式−17)y=12.743X+1.4249 センサーR (式−18)y=12.29X+1.3571 以上の相関式が得られる。また、同様に図11に示す様
に、面積AB〜RAの総和である面積総和値と官能評価
値の相関式を求めると、 面積値総和 (式−19)y=3.7004X+3.3917 (Xは短鎖アルデヒド含量の測定値(面積総和値)、y
は出力される官能値評価値)が得られる。また、センサ
ーA〜Rの測定値、面積値AB〜RAの値を用いて、フ
ェヒナーの法則およびスティーブンスの法則を適用して
関数化することもできる。
【0032】(実施態様3)新たに、油脂X(ひまわり
油(日清製油(株)社製)、油脂Y(低リノレン酸大豆
油(日清製油(株)製)について、前記第1実施態様に示
す方法により、該油脂X、Yの揮発性成分中の短鎖アル
デヒド量を測定した。その測定値は図12に示す通りで
あり、この値を図4に示す通りデータ処理・選択(図
4:201)する。この値をセンサーB、F、Jおよび
面積総和値に関して、上記相関式(式−1〜3、19)
に入力処理(図4:204)すると、その値は、図13
に示す様になり、この値が油脂の評価値として表示(図
4:205)される。
【0033】また、前記油脂X、Yについて、前記実施
態様1に示すのと同様な官能評価方法により、図8に示
す官能評価表(1点が最も悪い、10点が最も良いとし
た10段階の評価点をつける)用い、複数のパネラーに
より油脂の評価を行った。その官能評価の結果と上記出
力表示された評価値を図13にまとめたが、この図13
から、官能評価値と出力された評価値が同様の値を示し
ていることが確認された。
【0034】(実施態様4)更に、油脂Xについて、実
施態様1と同じ測定方法で、15分間隔で連続的に計1
20分間測定した。この連続的な測定の結果の面積総和
値と、実施態様2で得られた相関式(式−19)とから
出力される出力総和値と、測定と同時に行った複数パネ
ラーによる官能評価の結果を図14に示す。図14か
ら、官能評価では、連続評価していくうちにだんだんと
鼻がなれてしまう等の理由で油臭さを感じなくなってい
くことがわかる。それに比べて、本発明の方法よる場合
には連続的に測定しても評価値に変化は少なく、客観的
かつ正確な値を得ることができることがわかる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、加熱時の油脂の油臭さ
等の評価を客観的かつ正確に、連続的に測定することが
できる。更に、官能評価と短鎖による評価点と短鎖アル
デヒド量の測定値を相関解析し、基準データや相関式を
得ることで、それ以降は、短鎖アルデヒド量を測定する
ことで官能評価値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】短鎖アルデヒド含量とセンサーDの測定値(セ
ンサー値)を表す図である。
【図2】ニオイセンサー(センサーA〜R)による短鎖
アルデヒド含量の測定値を表わす図である。
【図3】各センサーの最大値をチャート図で表わす図で
ある。
【図4】本発明の評価システムの動作を表わす流れ図で
ある。
【図5】本発明の評価システムを示すブロック図であ
る。
【図6】本発明の第1実施態様における各センサーの最
大値を表わす図である。
【図7】本発明の第1実施態様における各面積値とその
面積総和値を表わす図である。
【図8】官能評価の評価表の1例を表わす図である。
【図9】本発明の実施態様1における各センサーの最大
値、面積総和値、官能評価値をまとめた図である。
【図10】本発明の実施態様1および2におけるセンサ
ーB、F、Jのセンサー最大値と官能評価値の相関を表
わす図である。
【図11】本発明の実施態様1および2における面積総
和値と官能評価値との相関を表わす図である。
【図12】本発明の実施態様3における油脂X、Yの測
定値(センサー最大値)を表わす図である。
【図13】本発明の実施態様3における出力評価値と官
能評価値を表わす図である。
【図14】本発明の実施態様4における連続測定の出力
評価値と官能評価値を表わす図である。
【符号の説明】
101…バイアル瓶 102…油脂 103…加熱器 105…ニオイセンサー 106A〜R…金属酸化物半導体センサー 107…流量計 108…データ処理装置 108A…基準データ記憶部 108B…モデム 109…記憶媒体 110…ネットワーク 111…モニター 112…外部記憶装置

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油脂を120℃〜250℃に加熱し、そ
    の加熱により発生する揮発性成分中の短鎖アルデヒド量
    を測定することを特徴とする油脂の評価方法。
  2. 【請求項2】 付着した揮発性成分の酸化還元反応を電
    気信号に変換して出力するセンサーによって短鎖アルデ
    ヒド量を測定する請求項1に記載の油脂の評価方法。
  3. 【請求項3】 異なる特性を持つ複数の前記センサーに
    よって短鎖アルデヒド量を測定する請求項2に記載の油
    脂の評価方法。
  4. 【請求項4】 前記センサーが金属酸化物半導体センサ
    ーである請求項2または3に記載の油脂の評価方法。
  5. 【請求項5】 短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得ら
    れた官能評価値データと相関分析された基準データを対
    比することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の油脂の評価方法。
  6. 【請求項6】 短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得ら
    れた官能評価値データとの相関分析により得られた相関
    式から油脂の評価値が得られることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項に記載油脂の評価方法。
  7. 【請求項7】 油脂を加熱する加熱器と、発生する揮発
    性成分を測定するセンサーと、短鎖アルデヒド量の測定
    値を油脂の評価値として算出する手段を含むデータ処理
    装置とからなる油脂の評価システム。
  8. 【請求項8】 前記データ処理装置が、前記センサーの
    短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得られた官能評価値
    データと相関分析された基準データを対比する手段を含
    む請求項7に記載の油脂の評価システム。
  9. 【請求項9】 前記データ処理装置が、前記センサーの
    短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得られた官能評価値
    データとの相関分析により得られた相関式から油脂の評
    価値を算出する手段を含む請求項7に記載の油脂の評価
    システム。
  10. 【請求項10】 前記データ処理装置が、前記センサー
    の短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得られた官能評価
    値データと相関分析された基準データを対比することに
    より、油脂の評価を行うアプリケーションプログラムが
    記憶媒体を解してロードされる手段を具備することを特
    徴とする請求項7に記載の油脂の評価システム。
  11. 【請求項11】 前記データ処理装置が、前記センサー
    の短鎖アルデヒド量の測定値と、予め得られた官能評価
    値データとの相関分析により得られた相関式から油脂の
    評価値を算出する油脂の評価を行うアプリケーションプ
    ログラムが記憶媒体を解してロードされる手段を具備す
    ることを特徴とする請求項7に記載の油脂の評価システ
    ム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003228778A (ja) * 2001-11-28 2003-08-15 Osaka Gas Co Ltd 油脂火災防止用ガス検知器及び油脂火災防止用ガス検知方法
JPWO2006046588A1 (ja) * 2004-10-28 2008-05-22 株式会社シームス 疾病診断システム
JP2011247590A (ja) * 2010-05-21 2011-12-08 Central Res Inst Of Electric Power Ind 調理排気の測定方法

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