JP2001303974A - コンバインドサイクル発電設備 - Google Patents

コンバインドサイクル発電設備

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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガスタービン燃料を予熱する燃料加熱装置の損
傷時、燃料に給水が混入した場合、ガスタービン燃焼器
を損傷させる惧れがある。 【解決手段】ガスタービン入口燃料供給系統に燃料加熱
装置の熱源として節炭器によって加熱された給水を用
い、しかもこの燃料加熱装置の後流に湿分分離器を設置
することにより、燃料加熱装置の損傷時に万一給水が燃
料系統に混入したとしても、燃料中の水分を分離して系
外に排出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインドサイ
クル発電設備に係り、特に燃料を燃焼器に供給する前に
予熱するようにしたコンバインドサイクル発電設備に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンに供給する燃料を、予熱し
てから燃焼器に供給すれば、本来燃焼器にてその燃料に
加えられるべき熱量を減らすことができ、その結果ガス
タービンひいてはプラントの効率を改善できることは周
知の技術である。一方、排熱回収ボイラの節炭器にて加
熱された給水を抽出することにより、排気ガスとして大
気中に捨てられるエネルギー(熱)を回収する装置と方
法及びプラントの効率を改善する装置と方法が特許第25
40646号に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、コンバインドサ
イクル発電設備は、より効率の良い設備、またより環境
に優れた設備が求められており、そのためガスタービン
はより高温化されている。これによりガスタービン用の
燃焼器は高温度の燃焼ガスを生成する、より熱負荷の高
い設備となっている。一方、燃焼器で生成される高温ガ
ス中の窒素酸化物濃度は、低い値に抑えるように要求さ
れ、燃焼器は高度な技術の集約した機器となっている。
そのため、燃料供給条件の変動と燃料成分の変動に対し
ては敏感に反応してしまい、供給燃料条件が変動するこ
とによって、燃焼器内での失火や逆火現象が生じる。そ
のために、ガスタービンを損傷し運転の継続が不可能に
なる可能性がある。
【0004】燃料供給系統において、発電効率を改善す
るために燃料の温度を上げ、燃料の消費量を減少させる
燃料加熱装置が現在考案されており、加熱する熱源とし
て温水が考えられている。温水には加圧水を使用し、燃
料加熱装置が損傷しても爆発の要因となる危険な燃料が
温水系の広範囲に流入しないように配慮されているが、
燃料系統には燃料加熱装置の損傷時、温水が混入する可
能性があり、万一燃料に水が混入した場合ガスタービン
燃焼器を損傷させる惧れがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するためになされたもので、特に請求項1の発明は、
ガスタービン入口燃料供給系統に燃料加熱装置の熱源と
して節炭器によって加熱された給水を用い、しかも前記
燃料加熱装置の後流に湿分分離器を設置するようにした
ものであり、燃料加熱装置の損傷時に万一給水が燃料系
に混入したとしても、燃料中の水分を分離して系外に排
出することにより、ガスタービンを安定して連続運転す
ることが可能としたものである。
【0006】また、請求項2の発明は、ガスタービン入
口燃料系統に燃料加熱装置の熱源として過熱器によって
加熱された過熱蒸気を用い、しかもこの燃料加熱装置の
後流に湿分分離器とを設置するようにしたものであり、
これによって燃料加熱装置の損傷時に万一過熱蒸気が燃
料系に混入したとしても、燃料中の水分を分離して系外
に排出することにより、ガスタービンを安定して連続運
転することが可能としたものである。
【0007】更に、請求項3の発明は、請求項1あるい
は請求項2に記載の発明において、湿分分離器に液位検
知器と、ドレンレベル調節弁を有するドレン系統とを設
置し、湿分分離器のドレンレベルを制御するようにした
湿分分離器よりも下流に位置する燃焼器に水分が流入す
ることを防ぎ、ガスタービンを継続して運転することが
可能としたものである。
【0008】また、請求項4の発明は、請求項1、請求
項2あるいは請求項3のいずれか1項に記載の発明にお
いて、湿分分離器に水張り系統を設置したものであり、
燃焼器に燃料が供給される前に、湿分分離器内に液面を
構成することにより、液位検知器、ドレンレベル調節弁
及びドレン遮断弁により、湿分分離器内ドレンレベルを
制御することが可能となり、湿分分離器内の燃料ガスが
系外に流出することを防ぐことが可能としたものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るコンバインド
サイクル発電設備の各実施形態について図を参照して説
明する。 (第1の実施形態)図1は、本発明に係るコンバインド
サイクル発電設備の第1の実施形態を概略的に示す系統
図である。本実施形態は、排熱回収ボイラ1を別置きに
し、ガスタービンプラント2、蒸気タービン3及び発電
機4を同一の回転軸5に直結したものである。
【0010】ガスタービンプラント2は、空気圧縮機
6、燃焼器7及びガスタービン8を備えている。前記空
気圧縮機6は吸込んだ大気を高圧化して燃焼器7に案内
し、その燃焼器7内で高圧空気にガスタービン燃料を加
えて燃焼ガスを生成させる。そして燃焼ガスをガスター
ビン8に案内して膨張仕事をさせてガスタービン8に回
転駆動力を与え、膨張仕事後の排ガス(排熱)9を蒸気
発生源である排熱回収ボイラ1に供給するようになって
いる。
【0011】排熱回収ボイラ1は、横置き型のケーシン
グ10を備え、このケーシング10内に排ガス9の流れに沿
って順次、過熱器11、蒸発器12、節炭器13を設置してい
る。また、蒸発器12にはドラム14を接続し、蒸発器12で
蒸発した飽和蒸気の気液分離を図っている。15は給水調
節弁であり、ドラム14の水位を所定の値に保つことによ
って給水と飽和蒸気のバランスを保つ役割を担う。
【0012】そして、排熱回収ボイラ1廻りの水・蒸気
系統を、過熱器11の出口配管16、蒸気タービン3、復水
器17、復水ポンプ18、復水配管19、給水ポンプ20及び給
水配管21により構成する。過熱器11の出口配管16より導
かれた過熱蒸気は、蒸気タービン3で仕事をした後、復
水器17の真空に近い圧力の下で復水する。この復水は復
水ポンプ18で吸引され、加圧されて復水配管19を介して
給水ポンプ20に至る。この給水ポンプ20でさらに加圧さ
れた水は給水と呼ばれ、給水配管21を介して排熱回収ボ
イラ1内の節炭器13の入口に導かれる。給水は節炭器13
で加熱された後、給水調節弁15を介してドラム14に供給
される。このドラム14は蒸発器12と連通しており、前述
したように蒸発器12で発生した飽和蒸気の気液分離を図
っている。ドラム14内の飽和蒸気は飽和蒸気管22を介し
て過熱器11に導かれ、ここで過熱蒸気となって前記蒸気
タービン3に供給される。
【0013】このように構成したコンバインドサイクル
発電設備において、節炭器13の出口と給水調節弁15の接
続部(分岐部)23から加熱給水管24を分岐させて、給水
の一部を燃料供給系統内の燃料加熱装置25に導き、ここ
で燃料管27を流れる燃料を加熱する。熱交換を終えた給
水は、燃料加熱装置出口管26を通って復水器17に回収さ
れる。一方、加熱された燃料は、燃料管27を介して湿分
分離器28に導かれる。ここで燃料中の湿分を分離し除去
する。湿分が除去された燃料は、さらに下流の燃料管27
を介して燃焼器7に供給される。なお、便宜上、加熱給
水管24及び燃料加熱装置出口管26からなる給水の経路を
燃料加熱系統と呼ぶ。
【0014】以上述べたように、本実施形態によれば、
燃焼器に供給される燃料を節炭器で加熱された給水を用
いて燃料加熱装置で予熱し、この燃料加熱装置の下流に
湿分分離器を設けて、燃料中の水分を分離・除去するよ
うにしたので、燃料加熱装置の損傷時に万一給水が燃料
系に混入したとしても、燃料中の水分を系外に排出する
ことができるので、ガスタービンを安定して連続運転す
ることが可能なコンバインドサイクル発電設備を供給す
ることができる。
【0015】(第2の実施形態)図2は、本発明に係る
コンバインドサイクル発電設備の第2の実施形態を概略
的に示す系統図である。本実施形態は、過熱器によって
加熱された蒸気の一部にて燃料の加熱を行うことが第1
の実施形態と相違するのみで、他の構成は同一なので、
同一符号を付して重複する部分についての説明は省略す
る。
【0016】本実施形態においては、過熱器出口配管16
に分岐部30を設けて加熱蒸気管31により過熱蒸気の一部
を分流して燃料加熱装置25に導くことにより、その熱で
燃料管27に流れるガスタービン燃料を加熱する。この実
施形態の場合も、第1の実施形態の場合と同様に、万一
燃料中に加熱蒸気が混入したとしても、湿分分離器28に
よって燃料から除去することができる。
【0017】なお、このように構成されたコンバインド
サイクル発電設備においては、排熱回収ボイラ1の過熱
器出口から分流する蒸気の分だけ蒸気タービンに流通す
る蒸気が減少することになるが、その熱で燃料を予熱す
るのでプラントの効率を改善することが可能となる。
【0018】(第3の実施形態)図3は、本発明に係る
コンバインドサイクル発電設備の第3の実施形態を概略
的に示す系統図である。本実施形態は、上述した第1の
実施形態及び第2の実施形態を組み合わせ、節炭器13に
て加熱された給水の一部及び過熱器11によって加熱され
た蒸気の一部にて燃料の加熱を行うようにしたものであ
る。
【0019】本実施形態においては、節炭器13の出口と
ドラム14の中間にある分岐部23から分流した加熱給水
と、過熱器出口配管16の分岐部30から加熱蒸気管31で分
流した加熱蒸気の双方を、燃料加熱装置25に導くことに
より、その熱で燃料管27を流れる燃料を加熱する。
【0020】本実施形態の場合においても、第1の実施
形態および第2の実施形態の場合と同様に、燃料中に加
熱給水あるいは加熱蒸気が混入したとしても、湿分分離
器28によって燃料から水分を除去することができるか
ら、燃焼器7を損傷することはない。
【0021】(第4の実施形態)図4は、本発明に係る
コンバインドサイクル発電設備の第4の実施形態を概略
的に示す系統図である。本実施形態は、燃料加熱装置25
の下流に設置される湿分分離器28に湿分分離器ドレン配
管32及び液位検知器33を設置したものである。湿分分離
器ドレン配管32には、ドレンレベル調節弁前弁34、ドレ
ンレベル調節弁35、ドレン遮断弁36が設置される。液位
検知器33は、液位検知器元弁37及び38を介して湿分分離
器28に接続されるようになっている。
【0022】液位検知器33は、湿分分離器28にて除去さ
れた燃料中の湿分による液面のレベルを検出し、この液
面レベルが予定のレベルを超えた場合動作してドレンレ
ベル調節弁35を開に制御して、湿分分離器28内のドレン
を系外に排出する。このように液位検知器33が動作した
時のみドレン調節弁35を開いて、ドレンを系外に排出す
るようにしたので、燃料管27への水分のキャリーオーバ
ー及び湿分分離器ドレン配管32を介しての燃料ガスの系
外への流出を防ぐことが可能となる。また、湿分分離器
28の液面を制御する必要のない時、すなわち燃料管27に
水分が含まれていない時は、ドレン遮断弁36を閉にする
ことにより、ドレンレベル調節弁35のリークによる湿分
分離器28内ドレンレベル低下を防ぐことができ、燃料ガ
スの系外への流出を防ぐことが可能となる。
【0023】以上のように、本実施形態は、湿分分離器
28に液位検知器33を設け、湿分分岐ドレン配管に設置さ
れたドレンレベル調節弁35によって、湿分分離器28のド
レンレベルを制御することにより、湿分分離器後流の燃
焼器に水分が流入することを防ぎ、ガスタービンを継続
して運転することが可能となる。
【0024】また、湿分分離器ドレンレベル調節弁35の
下流にドレン遮断弁36を設置することにより、前記調節
弁35からのリークにより湿分分離器28内の燃料が系外に
流出することを防ぐことが可能となる。
【0025】(第5の実施形態)図5は、本発明に係る
コンバインドサイクル発電設備の第5の実施形態を概略
的に示す系統図である。
【0026】本実施形態は、湿分分離器28に水張り配管
39を接続した点が第4の実施形態と相違し、他の構成は
同一なので、同一符号を付して重複する部分についての
説明は省略する。
【0027】湿分分離器28に水張り配管39を接続するこ
とにより、燃焼器7に燃料が供給される前、すなわちプ
ラントの起動前に、湿分分離器28内に液面を構成するこ
とができ、プラントの起動後、すなわち湿分分離器28内
に燃料ガスが満たされた際に、燃料ガスが系外に流出す
ることを防ぐことが可能となる。
【0028】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、燃焼器に
入る前の燃料を加熱された給水または蒸気を用いて、燃
料加熱装置により予熱することによりプラントの効率が
向上し、また燃料加熱装置が損傷し万一燃料に水分が混
入しても、湿分分離器により湿分を分離・除去できるの
で、プラントを継続して運転することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すプラントの概略
系統図。
【図2】本発明の第2の実施形態を示すプラントの概略
系統図。
【図3】本発明の第3の実施形態を示すプラントの概略
系統図。
【図4】本発明の第4の実施形態を示すプラントの概略
系統図。
【図5】本発明の第5の実施形態を示すプラントの概略
系統図。
【符号の説明】
1…排熱回収ボイラ、2…ガスタービンプラント、3…
蒸気タービン、4…発電機、5…回転軸、6…空気圧縮
機、7…燃焼器、8…ガスタービン、9…排ガス、10…
ケーシング、11…過熱器、12…蒸発器、13…節炭器、14
…ドラム、15…給水調節弁、16…過熱器出口配管、17…
復水器、18…復水ポンプ、19…復水配管、20…給水ポン
プ、21…給水配管、22…飽和蒸気管、23…分岐部、24…
加熱給水管、25…燃料加熱装置、26…燃料加熱装置出口
管、27…燃料管、28…湿分分離器、30…分岐部、31…加
熱蒸気管、32…湿分分離器ドレン配管、33…液位検知
器、34…ドレンレベル調節弁前弁、35…ドレンレベル調
節弁、36…ドレン遮断弁、37,38…液位検知器元弁、39
…水張り配管。
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 豪芳 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 Fターム(参考) 3G081 BA02 BA11 BB00 BC07 BD00 DA22

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧化された圧縮空気に燃料を加えて燃
    焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼ガスを導入し、
    燃焼ガスの膨張仕事により回転駆動力を得、発電機を駆
    動するガスタービンと、このガスタービンの排ガスを導
    入し、その排ガスの流れに沿って順次、過熱器、蒸発器
    および節炭器を配列した排熱回収ボイラと、この排熱回
    収ボイラによる過熱蒸気によって駆動される蒸気タービ
    ンとからなるコンバインドサイクル発電設備において、
    前記節炭器により加熱されてドラムに供給される給水の
    一部を分流させる分岐部から前記蒸気タービンの復水器
    に至る燃料加熱系統と、この燃料加熱系統を流れる加熱
    給水により前記燃料を加熱する燃料加熱装置と、この燃
    料加熱装置と前記燃焼器との間の燃料供給系統に設けら
    れ、この燃料中の湿分を分離・除去する湿分分離器とを
    備えたことを特徴とするコンバインドサイクル発電設
    備。
  2. 【請求項2】 高圧化された圧縮空気に燃料を加えて燃
    焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼ガスを導入し、
    燃焼ガスの膨張仕事により回転駆動力を得、発電機を駆
    動するガスタービンと、このガスタービンの排ガスを導
    入し、その排ガスの流れに沿って順次、過熱器、蒸発器
    および節炭器を配列した排熱回収ボイラと、この排熱回
    収ボイラによる過熱蒸気によって駆動される蒸気タービ
    ンとからなるコンバインドサイクル発電設備において、
    前記過熱器から出力される過熱蒸気の一部を分流する分
    岐部から蒸気タービンの復水器に至る燃料加熱系統と、
    この燃料加熱系統内に設けられ前記燃料を加熱する燃料
    加熱装置と、この燃料加熱装置と前記燃焼器との間の燃
    料供給系統に設けられ、この燃料中の湿分を分離・除去
    する湿分分離器とを備えたことを特徴とするコンバイン
    ドサイクル発電設備。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは請求項2に記載のコン
    バインドサイクル発電設備において、前記湿分分離器
    に、ドレンの液位を検出する液位検知器と、この液位検
    知器の動作によって開くドレンレベル調節弁を有するド
    レン配管とを設けたことを特徴とするコンバインドサイ
    クル発電設備。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2あるいは請求項3の
    いずれか1項に記載のコンバインドサイクル発電設備に
    おいて、前記湿分分離器に、水張りラインを設けたこと
    を特徴とするコンバインドサイクル発電設備。
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