JP2001303272A - 抗菌抗カビ性セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

抗菌抗カビ性セラミックス及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐水性、耐光性、耐熱性のみなら
ず、抗菌抗カビ力及び抗菌抗カビ効果の持続性という面
からも優れた特性を有する安全な抗菌抗カビ性セラミッ
クス及びその製造方法の提供を目的とするものである。 【解決手段】 本発明による抗菌抗カビ性セラミックス
は、基板あるいは導電性の皮膜を施した基板あるいは導
電性の基板に、銀、銅、亜鉛の内から選ばれた少なくと
も一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜を被覆する
ことによって製造され、金属イオンの作用に加えて、太
陽光や電灯などの光を受けて酸化チタン膜に電子や正孔
が生成して酸化還元を行うことにより、溶液中あるいは
膜上の雑菌及びカビの繁殖を効果的に防止でき、安全で
経済的で持続性、耐候性、耐久性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌抗カビ性セラ
ミックス及びその製造方法に関するものである。詳しく
言えば、本発明は耐水性、耐光性、耐熱性のみならず、
抗菌抗カビ力及び抗菌抗カビ効果の持続性という面から
も優れた特性を有する安全な抗菌抗カビ性セラミックス
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銀、銅、亜鉛、白金のイオンが抗菌抗カ
ビ力を有することは古くから知られていたが、溶液状の
利用では取り扱いも不便であり、抗菌抗カビ効果の持続
性や耐久性、安全性という面からも問題があった。最
近、ゼオライトや粘土鉱物であるモンモリロナイトにこ
れらの金属イオンを担持して上述の欠点を克服した無機
系抗菌抗カビ剤が開発されてきた(例えば、萩原善次、
安藤聡、ゼオライト、Vol.4, 1 (1987) 、山本達雄、内
田眞志、栗原靖夫、防菌防カビ誌、Vol.19, 425 (199
1)、A. Oya, T. Banse, F. Ohashi, S. Otani, Appl. C
lay Sci., Vol.6, 135(1991) )。
【0003】しかしながら、ゼオライト系抗菌抗カビ剤
では金属イオンが強く担持され過ぎるため、抗菌抗カビ
効果が小さく、しかも耐水性が悪いという欠点があり、
モンモリロナイト系抗菌抗カビ剤では逆に金属イオンの
担持力が弱いため、金属イオンの溶出速度が速く、抗菌
抗カビ効果の持続性に問題があった。また、米国の水質
基準では銀イオン濃度は50ppb以下であり、ドイツ
では100ppb以下、スイスでは200ppb以下で
あるため、モンモリロナイト系抗菌抗カビ剤では安全性
に問題があり、さらに使用の際の変色の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
み、耐水性、耐熱性、耐光性、耐候性、安定性、安全性
のみならず、抗菌抗カビ力及び抗菌抗カビ効果の持続性
という面からも優れた特性を有する経済的な抗菌抗カビ
性セラミックス及びその製造方法の提供を目的とするも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的を
達成するため、無機系抗菌抗カビ性組成物について鋭意
研究を重ねた結果、基板あるいは導電性の皮膜を施した
基板あるいは導電性の基板に、銀、銅、亜鉛の内から選
ばれた少なくとも一種の金属イオンを含有した酸化チタ
ン膜を被覆すること、あるいはその上に必要に応じてさ
らに酸化チタン膜あるいは白金膜を被覆することによっ
て製造した抗菌抗カビ性セラミックスが、金属イオンの
作用に加えて、太陽光や電灯などの光を受けて酸化チタ
ン膜に電子や正孔が生成して酸化還元を行うことによ
り、溶液中あるいは膜上の雑菌及びカビの繁殖を効果的
に防止できることを見い出し、本発明をなすに至った。
【0006】すなわち、本発明は基板あるいは導電性の
皮膜を施した基板あるいは導電性の基板上にコートした
材料を焼成することにより、銀、銅、亜鉛の内から選ば
れた少なくとも一種の金属イオンを含有した酸化チタン
膜を金属イオンが強く担持され過ぎない基板に被覆する
こと、あるいはその上に必要に応じてさらに酸化チタン
膜あるいは白金膜を被覆することを特徴とする抗菌抗カ
ビ性セラミックスの製造方法であり、銀、銅、亜鉛の内
から選ばれた少なくとも一種の金属イオンを含有したチ
タニアゾル液を基板あるいは導電性の皮膜を施した基板
あるいは導電性の基板の上にコートして焼成することを
特徴とする抗菌抗カビ性セラミックスの製造方法、さら
に必要に応じてその表面をチタニアゾル液でコートして
焼成したり、白金膜で被覆することを特徴とする抗菌抗
カビ性セラミックスの製造方法である。
【0007】本発明に用いられる基板の材質は、必要な
強度を持っていればコンクリート、ガラス、プラスチッ
ク、セラミックス、金属など、何でもよい。また、本発
明に用いられる基板は透明であっても不透明であっても
よいが、基板が透明の方が光が外側から基板を透過して
入射できるため、好都合である。
【0008】本発明に用いられる導電性の皮膜を施した
基板としては、銅やアルミニウムなどを施したものや酸
化錫やITO(インジウム・錫酸化物)、酸化亜鉛など
の透明導電膜を施したものが挙げられる。基板に導電膜
を被覆する方法としては、電解鍍金法やCVD法、PV
D法、スパッタリング法などが挙げられる。
【0009】本発明に用いられる導電性の基板として
は、銅やアルミニウム、チタンなどの金属や酸化錫ガラ
ス、ITO(インジウム・錫酸化物)ガラスなどが挙げ
られる。酸化錫ガラスやITOガラスは無色透明である
ため、外側から基板を透過して光が入射でき、好都合で
ある。
【0010】本発明に用いられる基板の形状は、角柱
状、円柱状、球状、円錐状、瓢箪型、ラグビーボール型
など、どのような形であってもよい。また、基板が閉じ
た形であっても、蓋があってもなくてもよく、円管状や
角管状であってもよい。
【0011】本発明による抗菌抗カビ性セラミックスに
用いられる金属イオンは銀、銅、亜鉛のイオンであり、
これらから選ばれた二種以上の金属イオンを用いてもよ
い。
【0012】本発明に用いられる酸化チタン膜はチタン
フィルムをガス炎などで加熱・酸化して作ってもよい
が、四塩化チタンとアルコールとの反応などによって得
られるチタンのアルコキシドからチタニアゾル液を作
り、ディップコーティング法やスピンコーティング法、
塗布法、スプレー熱分解法などによって基板上にコート
した後、焼成して製造した方が好ましい。また、超微粒
子の酸化チタンの懸濁液をディップコーティング法やス
ピンコーティング法、塗布法、スプレー法などによって
基板上にコートした後、焼成して製造してもよい。その
際、基板に強く接着した丈夫な酸化チタン膜を得るため
には、チタニアゾル液の濃度を小さくして粘度が小さい
ときに塗布あるいはスプレーあるいはスピンコートした
り、基板の引き上げ速度を小さくしたりして、酸化チタ
ン膜の膜厚を0.1〜0.3μmにすることが望まし
い。そして、そのときの焼成温度は500℃〜550℃
程度が最も好ましい。この作業を繰り返すことにより、
厚くて丈夫な酸化チタン膜を得ることができる。
【0013】本発明による銀、銅、亜鉛の内から選ばれ
た少なくとも一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜
を基板に被覆した抗菌抗カビ性セラミックスは、チタニ
アゾル液あるいは超微粒子の酸化チタンの懸濁液に銀、
銅、亜鉛の内から選ばれた少なくとも一種の金属イオン
を含有した金属塩溶液を添加あるいは金属塩を溶解し、
ディップコーティング法やスピンコーティング法、塗布
法、スプレー熱分解法などによって基板上にコートした
後、焼成して製造することができる。その際、金属塩溶
液の濃度や金属塩の量、あるいはディップコーティング
法やスピンコーティング法、塗布法、スプレー熱分解法
などによって基板上にコートして焼成する回数を変える
ことにより、抗菌抗カビ性セラミックスが含有する銀、
銅、亜鉛の金属イオン濃度を変えることができる。この
とき用いられる金属塩は硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸
塩、アンモニウム塩、塩化物や臭化物などのハロゲン化
物、ステアリン酸塩や酢酸塩などの有機の塩など、いろ
いろな塩が挙げられるが、これらに限られるものではな
い。また、無水塩であっても含水塩であってもそれらの
混合物であってもよいし、銀塩あるいは銅塩、亜鉛塩、
白金塩の混合物であってもよい。
【0014】本発明による銀、銅、亜鉛の内から選ばれ
た少なくとも一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜
を基板に被覆し、その上に必要に応じてさらに酸化チタ
ン膜を被覆した抗菌抗カビ性セラミックスは、上記の方
法で製造された銀、銅、亜鉛の内から選ばれた少なくと
も一種の金属イオンを含有した酸化チタン膜を基板に被
覆した抗菌抗カビ性セラミックスに、チタニアゾル液あ
るいは超微粒子の酸化チタンの懸濁液を、ディップコー
ティング法やスピンコーティング法、塗布法、スプレー
熱分解法などによって基板上にコートした後、焼成して
製造される。このときディップコーティング法やスピン
コーティング法、塗布法、スプレー熱分解法などによっ
て基板上にコートして焼成する回数を変えることによっ
て、表面の酸化チタン膜の厚さを調節することができ、
それによって銀、銅、亜鉛の金属イオンの徐放速度や抗
菌抗カビ性セラミックスの有効期間を適当に調節するこ
とができ、水中の金属イオンの濃度が水質基準を超えな
いようにすることができる。
【0015】本発明による抗菌抗カビ性セラミックスに
用いられる金属イオンの濃度は、酸化チタン膜に対して
銀の場合は0.0001〜10重量%、銅の場合は0.
01〜15重量%、亜鉛の場合は0.02〜20重量%
であり、これ以下であると抗菌抗カビ効果が弱く、それ
以上では金属イオンの溶出量が多くなる。抗菌抗カビ性
セラミックスの金属イオンの濃度はその使用期間や必要
とされる抗菌抗カビ効果の程度などによって最適量を決
めることができる。
【0016】また、必要に応じて本発明に用いられる白
金膜を表面に被覆する方法としては、光電着法やCVD
法、PVD法、スパッタリング法などが挙げられる。白
金膜の厚さを調節することによっても銀、銅、亜鉛の金
属イオンの徐放速度や抗菌抗カビ性セラミックスの効力
を適当に調節することができ、水中の金属イオンの濃度
が水質基準を超えないようにすることができる。
【0017】こうして得られた本発明による抗菌抗カビ
性セラミックスは、銀などの抗菌抗カビ性金属イオンの
作用に加えて、太陽光や電灯などの光を受けて酸化チタ
ン膜に生成する電子と正孔の酸化還元作用により、溶液
中あるいは膜上の雑菌及びカビの繁殖を効果的に防止す
ることができる。したがって、これをタイルなどに適用
してプールの内側に張れば、プールの底や壁などにぬめ
りが付いて滑りやすくなるのを防止でき、風呂場のタイ
ルや建物の外壁に適用すれば、かびなどによる黒ずみな
どを防止することができる。また、飲料水などを容れる
容器に適用すれば、雑菌の繁殖や腐敗を防止でき、飲料
水などを室温で長期間保存することができる。さらに基
板が薄いフィルムやシート、織物である場合には衣類や
医療用品、包装袋としても使用できる。本発明による抗
菌セラミックスはその外にも、すのこや風呂桶、浴槽、
噴水のタイル、流し、流しの三角コーナー、プールや風
呂場のてすり、洗面器、まな板、洗面台、魚のショウケ
ース、医療用器具、靴、スリッパ、加湿器の水槽、ヒゲ
剃り、カーペットなど、幅広い応用が可能である。
【0018】
【実施例】本発明の実施例の内で特に代表的なもの及び
参考例を以下に示す。
【0019】参考例1 0.1molのチタンイソプロポキシドを100mlの
無水エタノールで希釈し、撹拌しながら、2規定の塩酸
2.7mlを添加して透明なゾル液を調製し、ディップ
コーティング法によりスライドガラス基板上に酸化チタ
ン膜をコートした。すなわち、このゾル液にスライドガ
ラス基板を浸漬して引き上げ、乾燥した後、400℃で
焼成した。これを20回繰り返した後、550℃で焼成
して約4μmの酸化チタン膜をスライドガラス基板上に
作った。これを0.5mol/lの硝酸銀の水溶液に浸
漬して引き上げ、乾燥した後、先ほどのゾル液に浸漬し
て、ディップコーティング法により酸化チタン膜をさら
に5層コートした。得られた抗菌抗カビ性セラミックス
の抗菌抗カビ効果を次の方法で調べた。まず、食品機械
からの採取雑細菌を肉エキスブイヨン培地にて24時間
静置培養を行い、得られた菌液1mlを試料の上に2か
所滴下し、その上にメンブラン・フィルターを乗せ、3
7℃にて24時間静置培養を行った。その後、燐酸緩衝
液を加え、振とうした後、1ml取り出し、混釈平板培
養法により生残菌数を測定した。その結果、生残菌数が
ほぼ0になっており、ただのスライドガラスを用いて行
ったブランクテストに比べ、99.9%の減菌率が得ら
れた。
【0020】実施例1 125mlのチタンイソプロポキシドを20mlのイソ
プロピルアルコールに加えた後、750mlの蒸留水に
撹拌しながら滴下し、硝酸銀5gと硝酸亜鉛6水和物1
2g、70%の硝酸6mlを添加した。この溶液を80
℃で8時間加熱して透明なゾル液を調製し、スピンコー
ティング法により酸化錫ガラス基板上に酸化チタン膜を
コートした。まず、酸化錫ガラス基板を1分間に300
0回転の速度で回転させながらこのゾル液を滴下し、乾
燥した後、400℃で焼成した。これを20回繰り返し
た後、550℃で焼成して約5μmの酸化チタン膜を酸
化錫ガラス基板上に作った。これを2g/lの塩化白金
酸カリウムのエタノール水溶液に入れ、マグネチックス
ターラーで撹拌しながら、100Wの水銀ランプの光を
4時間照射し、光電着法で酸化チタン膜の表面に白金を
コートした。得られた抗菌抗カビ性セラミックスの抗菌
抗カビ効果を次の方法で調べた。まず、肉エキスブイヨ
ン培地で培養したブドウ球菌または大腸菌の菌液1ml
を試料の上に2か所滴下し、その上にメンブラン・フィ
ルターを乗せ、37℃にて24時間静置培養を行った。
その後、燐酸緩衝液を加え、振とうした後、1ml取り
出し、混釈平板培養法により生残菌数を測定した。その
結果、ただの酸化錫ガラスを用いて行ったブランクテス
トに比べ、ブドウ球菌の場合で99.2%の、または大
腸菌の場合で94.2%の減菌率が得られた。
【0021】実施例2 125mlのチタンイソプロポキシドを20mlのイソ
プロピルアルコールに加えた後、750mlの蒸留水に
撹拌しながら滴下し、硫酸銅5水和物20gと70%の
塩酸5mlを添加した。この溶液を80℃で8時間加熱
して透明なゾル液を調製し、金属製の洗面器に刷毛で塗
った後、乾燥し、300℃で焼成した。これを15回繰
り返した後、硫酸銅を加えないで作った透明なゾル液で
同様に5回繰り返し、500℃で焼成した。得られた洗
面器に金魚鉢の水を容れて蛍光灯の下で1か月間放置し
たが、その表面にぬめりは生じず、水は透明のままで雑
菌や藻も生えてこなかった。酸化チタン膜で被覆してい
ない金属製の洗面器を用いた場合には1週間で藻が生え
てぬめりが生じ、水が濁ってきた。
【0022】実施例3 ITOの透明導電膜を施した無色透明のガラス玉に実施
例2と同様にして硫酸銅を含んだ酸化チタン膜を被覆し
その上にさらに酸化チタン膜を被覆したものを2g/l
の塩化白金酸カリウムのエタノール水溶液に入れ、マグ
ネチックスターラーで撹拌しながら、100Wの水銀ラ
ンプの光を4時間照射し、光電着法で酸化チタン膜の表
面に白金をコートした。天然の清水を容れた透明なガラ
ス瓶に得られた球状抗菌抗カビ性セラミックスを入れ、
明るいところに1か月間放置しておいた。その結果、球
状抗菌抗カビ性セラミックスを入れなかった場合には水
が白く濁ってきて雑菌が繁殖してきたが、球状抗菌抗カ
ビ性セラミックスを入れた場合には水は透明のままで雑
菌もほとんど検出されなかった。
【0023】参考例2 125mlのチタンイソプロポキシドを20mlのイソ
プロピルアルコールに加えた後、750mlの蒸留水に
撹拌しながら滴下し、70%の硝酸6mlを添加した。
この溶液を80℃で8時間加熱して透明なゾル液を調製
し、参考例1と同様にしてディップコーティング法によ
り白色の陶磁器タイル上に酸化チタン膜を20層コート
した。これを200g/lの塩化亜鉛と5g/lの塩化
白金酸カリウムを含有する水溶液に浸漬して引き上げ、
乾燥した後、先ほどと同様にディップコーティング法に
より酸化チタン膜をさらに6層コートした。得られた抗
菌抗カビ性セラミックスタイルを池の壁に貼り、池に水
を張った。そのまま2か月間放置しておいたが、タイル
にぬめりは生じなかった。
【0024】参考例3 直径5mmの無色透明のガラス玉に参考例1と同様にし
て調製した透明なゾル液をスプレーした後、乾燥し、3
50℃で焼成した。これを20回繰り返し500℃で焼
成した後、硝酸銀15gと硝酸銅6水和物20gと硝酸
亜鉛6水和物25gを含んだ100mlの水溶液に漬
け、取り出して乾燥した。これにさらにゾル液をスプレ
ーした後、乾燥し、350℃で焼成した。これを5回繰
り返し500℃で焼成した後、2g/lの塩化白金酸カ
リウムのエタノール水溶液に入れ、マグネチックスター
ラーで撹拌しながら、100Wの水銀ランプの光を4時
間照射し、光電着法で酸化チタン膜の表面に白金をコー
トした。得られた球状抗菌抗カビ性セラミックスの抗菌
抗カビ効果を次の方法で調べた。まず、食品機械からの
採取雑細菌を肉エキスブイヨン培地にて24時間静置培
養を行い、得られた菌液の5mlを球状抗菌抗カビ性セ
ラミックスを入れた燐酸緩衝液70mlの中にいれ、振
とう培養を行った。24時間後に菌液を1ml取り出
し、混釈平板培養法により生残菌数を測定した。その結
果、ただのガラス玉を用いて行ったブランクテストに比
べ、97%の減菌率が得られた。また、振とう培養の際
に白熱灯の光を照射した場合には、減菌率が99%に向
上した。
【0025】実施例4 2.5kgのチタンイソプロポキシドに400gのイソ
プロピルアルコールを加えた後、15kgの蒸留水に撹
拌しながら滴下し、硝酸銀100gと70%の塩酸12
0mlを添加して80℃で24時間加熱した。得られた
透明なゾル液にアルミナ製のまな板を浸漬し、参考例1
と同様にして、ディップコーティング法により酸化チタ
ン膜を15層コートした。そして、その表面を硝酸銀を
加えないで作った透明なゾル液で同様に酸化チタン膜を
5層コートし、500℃で焼成した。得られた抗菌抗カ
ビ性まな板を2か月間使用したが、その表面にかびや雑
菌の繁殖あるいは変色などは見られなかった。また、得
られた抗菌抗カビ性まな板を2日間水に浸漬しておいた
が、水中の銀イオンの濃度は10ppb以下と水質基準
以下であった。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、耐水性、
耐熱性、耐光性、耐候性、安定性、安全性のみならず、
抗菌抗カビ力及び抗菌抗カビ効果の持続性という面から
も優れた特性を有する経済的な抗菌抗カビ性セラミック
ス及びその製造方法の提供を目的としたものである。基
板あるいは導電性の皮膜を施した基板あるいは導電性の
基板に、銀、銅、亜鉛の内から選ばれた少なくとも一種
の金属イオンを含有した酸化チタン膜を被覆することに
よって製造された本発明の抗菌抗カビ性セラミックス
は、金属イオンの作用に加えて、太陽光や電灯などの光
を受けて酸化チタン膜に電子や正孔が生成して酸化還元
を行うことにより、溶液中あるいは膜上の雑菌及びカビ
の繁殖を効果的に防止できる。したがって、これをタイ
ルなどに適用してプールの内側に張れば、プールの底や
壁などにぬめりが付いて滑りやすくなるのを防止でき、
風呂場のタイルや建物の外壁に適用すれば、かびなどに
よる黒ずみなどを防止することができる。また、飲料水
などを容れる容器に適用すれば、雑菌の繁殖や腐敗を防
止できるため飲料水などを室温で長期間保存することが
でき、さらに基板が薄いフィルムやシート、織物である
場合には衣類や医療用品、包装袋としても使用できる。
本発明に用いられる酸化チタンは塗料や化粧品、歯磨き
粉などにも使われており、耐候性や耐久性に優れ、無毒
かつ安全という利点を持っているため、本発明による抗
菌抗カビ性セラミックスは耐水性、耐熱性、耐光性、耐
候性、安定性、安全性に優れている。本発明による抗菌
抗カビ性セラミックスはその外にも、すのこや風呂桶、
浴槽、噴水のタイル、流し、流しの三角コーナー、プー
ルや風呂場のてすり、洗面器、まな板、洗面台、魚のシ
ョウケース、医療用器具、靴、スリッパ、加湿器の水槽
や出口のノズル、ヒゲ剃り、カーペットなど、幅広い応
用が可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀、銅、亜鉛の一種以上の金属イオンの
    作用と光を受けて酸化チタン膜に生成する電子と正孔の
    酸化還元作用とによる優れた抗菌抗カビ特性を有し、基
    板上にコートした材料を焼成することにより、銀、銅、
    亜鉛の内から選ばれた少なくとも一種の金属イオンを含
    有しバインダ層を含まない酸化チタン膜を金属イオンが
    強く担持され過ぎない基板に被覆した抗菌抗カビ性セラ
    ミックスを製造する方法であって、銀、銅、亜鉛の内か
    ら選ばれた少なくとも一種の金属イオンを含有したチタ
    ニアゾル液を基板あるいは導電性の皮膜を施した基板あ
    るいは導電性の基板の上にコートして焼成することを特
    徴とする抗菌抗カビ性セラミックスの製造方法。
  2. 【請求項2】 基板として導電性の皮膜を施した基板あ
    るいは導電性の基板を用いることを特徴とする請求項1
    記載の抗菌抗カビ性セラミックスの製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化チタン膜に対して0.0001〜1
    0重量%の銀または0.01〜15重量%の銅、0.0
    2〜20重量%の亜鉛を含有することを特徴とする請求
    項1または2記載の抗菌抗カビ性セラミックスの製造方
    法。
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