JP5663947B2 - 抗菌性ガラスとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、強度と抗菌性を有し、且つ透視性及び色調が良好な抗菌性ガラス及びその製造方法に関するもので、特にタッチパネルなどのカバーガラスに好適な抗菌性ガラス及びその製造方法に関するものである。
タッチパネルなどのカバーガラスには、一般的に化学強化処理したガラスが使用されている。化学強化処理は、アルカリ成分としてナトリウムイオンを含有するガラスを、カリウムイオンを含有する溶融塩に接触させ、ガラス中のナトリウムイオンと溶融塩中のカリウムイオンとの間でイオン交換させ、そのイオン半径の差により表面層に強化層(圧縮応力層)を生成させることで強度を向上させる方法である。しかし、この強化ガラスでも耐久性に問題があるとされ、ガラス中のナトリウムイオンと溶融塩中のカリウムイオンとの間でのイオン交換によりガラス板表面に圧縮層を形成した後、ガラス板表面をリチウム塩水溶液に接触させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
またここで、現在、我々が生活している環境中には様々な菌が生息している。菌の存在は、健康な人にとって余り問題とならないものの、病人、子供、高齢者のような抵抗力の低い人にとって問題になる場合がある。特に、医療施設における院内感染や、また感染力の強い菌の存在が問題となっており、この対策として抗菌剤による抗菌作用(殺菌作用や細菌の増殖抑制作用など)が注目されている。
このような状況において、その利便性などからタッチパネルが普及し、医療施設内をはじめ日常生活においてその使用機会が著しく増加している。しかし、このタッチパネルは不特定多数の人が使う上に、パネルを手や指で直接操作するため、例えば菌を保有している人がパネルを使用した場合、パネル上での菌の繁殖、あるいは次にパネルの使用者がパネルを介して菌に感染する恐れがあり、タッチパネル表面に抗菌性を有するものが求められている。
抗菌剤を付与させた物品及びその製造方法に関する技術は多数開示されており、例えば衣料品、台所用品、家電製品などあらゆるものが実用化されている。抗菌剤には、イミダール誘導体をはじめとする有機合成抗菌剤、わさびをはじめとする天然抗菌剤、銀や銅をはじめとする金属系抗菌剤、及び酸化チタンをはじめとする酸化物系抗菌剤が知られている。生活関連日用品では大部分で金属系抗菌剤、特に銀が使用されている。
銀、銅、亜鉛、及びこれらの金属イオンの抗菌作用を持つことが知られており、これらの金属や金属イオンを含む商品、特に銀や銀イオンは歴史的にも実績があり、かつ地球環境に優しく、安全性が高いと言われている。一般に、抗菌剤である銀をガラス物品に担持させる方法には大別すると4種類ある。第一の方法は、銀をガラス原料に混合させて溶融成形させる方法である。抗菌性はガラス表面に存在する銀によって発現するのであるから、ガラス内部の銀は抗菌性に何ら効果を及ばさず、その結果として相対的にガラスに銀を多く含有させる必要があるため、非常に不経済である(例えば、特許文献2参照)。
第二の方法は、銀を含むコーティング層をガラス物品表面に付与させる方法である。この方法は、第一の方法に比較して相対的に使用する銀の量を少なくすることができ、第一の方法よりは経済的であるが、コーティング層の磨耗等による消耗あるいは剥離、及びコーティング層の形成による物品の表面性質を著しく変えてしまうこと等の問題がある(例えば、特許文献3参照)。
第三の方法は、銀の前駆体物質を含む液体をガラス物品の表面に塗布し、加熱処理することにより銀の前駆体物質を分解して銀をガラス物品表面から表層部の内部に拡散させる方法である。これは、第一及び第二の方法の問題点を改善した方法であるが、工程が煩雑であり、コスト及び生産性などに問題点がある(例えば、特許文献4、特許文献7参照)。
第四の方法は、銀を含んだ溶液あるいは溶融塩中に浸漬し、イオン交換などにより銀をガラス物品表面から表層部の内部に拡散させる方法である。この方法は、第一〜第三の方法の問題点を改善し、かつコストや生産性に優れている方法である。例えば、ガラスを硝酸銀水溶液に浸漬し、熱処理を加え、ガラスに含まれるナトリウムイオンを、殺菌作用を呈する銀イオンと置換した殺菌性ガラスが提案されている(特許文献5参照)。また例えば、銀などを含む溶融塩中にガラスを浸漬し、ガラスに含まれるナトリウムイオンを、抗菌作用を呈する銀イオンなどと置換し、さらに還元・安定化してガラスに金属銀を担持させた抗菌性ガラスがそれぞれ提案されている(特許文献6参照)。
特開平7−223845号公報 特開平6−100329号公報 特開平8−27404号公報 特開平11−319042号公報 特開平4−338138号公報 特開平11−228186号公報 特表2007−507407号公報
上記特開平7−223845号公報はガラスに含まれるナトリウムイオンをカリウムイオンで置換したガラスはタッチパネルに使用するガラスとしては強度的に優れているものの、抗菌性が無い。
また上記特開平6−100329号公報、特開平8−27404号公報、特開平4−338138号公報は銀イオンなどに起因して抗菌性が優れているものの、強度的に問題がある。
更に、上記特開平11−319042号公報は強度と抗菌性を付与するために物理強化(風冷強化)加工を施したガラスに銀を含有させた液体を塗布・加熱処理しているが、工程が煩雑な上、銀含有の液体の塗布・加熱処理においてその風冷強化によって形成された圧縮応力層が緩和されるため強度的に問題がある。
そして更に、上記特開平11−228186号公報では化学強化時に銀を担持させるため、強度と抗菌性を両立できているように思われるが、抗菌性物質は還元された安定な金属状態で存在させており、また実施例においても可視光線透過率は30%以上となっているため、還元された抗菌性物質の金属コロイドが生成していると考えられる。このような金属コロイドは可視光線透過率を低下させる上に、色調が著しく変化(黄変)するため、タッチパネルのカバーガラスなどの透視性や色調を重視する分野では性能的に不十分であり、可視光透過率は少なくとも80%以上は必要である。またガラス表面層に抗菌性物質を設けるだけしか明記されておらず、抗菌性に対する表面層の抗菌性物質濃度の具体的な数値も記載されていないため、その抗菌性の効果を十分に証明しているとは言い難い。
本発明の目的は、抗菌性物質をほとんどイオンの状態のまま担持でき、かつ抗菌性に対する表面層の抗菌性物質の濃度を明確に定義することで、強度と抗菌性を有し、かつ透視性や色調が良好な抗菌性ガラス、特にタッチパネルなどのカバーガラスに好適な抗菌性ガラス及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、溶融スズの上に溶融ガラスを浮上搬送しながら板状に成形されるフロート法によって製造させたソーダライムガラスに於いて、上記ソーダライムガラスの溶融スズと接触したガラス表面が、蛍光X線分析法によって測定されたSnのX線強度とSiのX線強度の比(Sn/Si)が0.0050以下であり、カリウムと抗菌性物質を含む混合溶融塩の強化塩浴に浸漬することで、化学強化と同時に抗菌性物質をガラスに担持させ、4mmの厚みにおける可視光透過率が80%以上であるような抗菌ガラスを得ることを特徴とする抗菌性ガラスの製造方法である。
また、上記ガラスの表面において、蛍光X線分析法によって測定されたKのX線強度とNaのX線強度の比(K/Na)が100以上で、かつ抗菌性物質のX線強度とKのX線強度の比(抗菌性物質/K)が0.0005以上であることを特徴とする、上記の抗菌性ガラスの製造方法である。
また、化学強化と抗菌性物質を担持させるために浸漬する混合溶融塩の強化塩浴が、カリウムの化合物に対して抗菌性物質の化合物を0.0001〜0.5重量%で添加混合した強化塩浴であることを特徴とする、上記の抗菌性ガラスの製造方法。
また、化学強化と抗菌性物質を担持させるために混合溶融塩の強化塩浴に浸漬する場合に於いて、温度が350〜550℃で、時間が15〜150分であることを特徴とする、上記の抗菌性ガラスの製造方法である。
また、抗菌性物質が銀、銅、亜鉛の中から選ばれる1種類以上のものであることを特徴とする、上記の抗菌性ガラスの製造方法である。
また、得られる抗菌性ガラスの3点曲げ強度が150MPa以上であることを特徴とする、上記の抗菌性ガラスの製造方法である。
また、上記の製造方法により製造された抗菌性ガラスである。
さらに、上記の抗菌性ガラスを用いることを特徴とするタッチパネルである。
さらにまた、上記の抗菌性物質を含むフィルムを、ガラスの上にさらに貼付することを特徴とする、上記のタッチパネルである。
本発明により、抗菌性物質をほとんどイオンの状態のまま担持でき、かつ抗菌性に対する表面層の抗菌性物質の濃度を明確に定義することで、強度と抗菌性を有し、かつ透視性や色調が良好な抗菌性ガラス、特にタッチパネルなどのカバーガラスに好適な抗菌性ガラスを得ることができる。
本発明は、溶融スズの上に溶融ガラスを浮上搬送しながら板状に成形されるフロート法によって製造させたソーダライムガラスであって、前記溶融スズと接触したガラス表面において、蛍光X線分析法によって測定されたSnのX線強度とSiのX線強度の比(Sn/Si)が0.0050以下のガラスを用いて、カリウムと抗菌性物質を含む混合溶融塩の強化塩浴に浸漬することで化学強化と同時に抗菌性物質をガラスに担持させ、かつ該ガラスの可視光線透過率が80%以上の抗菌性ガラス及びその製造方法である。
本発明で用いるガラスは、溶融スズの上に溶融ガラスを浮上搬送しながら板状に成形されるフロート法によって製造させたソーダライムガラスであって、前記溶融スズと接触したガラス表面において、蛍光X線分析法によって測定されたSnのX線強度とSiのX線強度の比(Sn/Si)が0.0050以下である。
フロート法によって製造されたガラスにおいては、通常、溶融スズと接した面ではスズがガラス中へ拡散することが知られており、ガラスへのスズの拡散は溶融スズ中に不純物として存在する酸素によってイオン化されたSn2+とガラス中のNaとのイオン交換反応によるものである。しかし、Sn2+は強化塩浴浸漬時にNaとイオン交換反応によって拡散してきた抗菌性物質、例えばAgやCuなどを還元するため、AgはAgに、CuはCuになり、これが凝集してコロイドとなってコロイド発色を呈して色調変化あるいは透過率低下を起こす。
ガラスの品質などを考慮した場合、溶融スズと接触したガラス表面におけるスズが少ない方が望ましく、スズが少ないと拡散してきた抗菌性物質がイオンの状態のままで存在できるため、コロイド発色が抑制されて色調変化あるいは透過率低下が起こらずに透明なガラスを得ることが可能となる。従って、蛍光X線分析法によって測定された溶融スズと接触したガラス表面のSnのX線強度とSiのX線強度の比(Sn/Si)を0.0050以下とした。0.0050を超えると、前記コロイド発色が強くなり、色調が変化し、あるいは透過率が著しく低下するため望ましくない。溶融スズと接触したガラス表面のSnのX線強度とSiのX線強度の比(Sn/Si)は0.0050以下、好ましくは0.0030以下、より好ましくは0.0015以下とする。
なお、溶融スズと接触したガラス表面におけるスズを少なくするために、研削・研磨などの物理的な手法により、あるいは弗酸エッチングなどの化学的な手法により、あるいはさらに物理的と化学的な手法の両方により、スズの多い表面層を除去させれば良い。特に、物理的な研磨がその量産性及び作業性などの観点から望ましいが、さらに防眩性などの機能性を付与するために弗酸エッチングなどを用いても構わない。
混合溶融塩の強化塩浴浸漬後のガラスにおいて、可視光線透過率は80%以上とする。可視光線透過率が80%未満ではタッチパネルなどのカバーガラスとして必要な透過率には不十分であり、パネルの輝度低下などを引き起こすため望ましくない。従って、可視光線透過率は80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上とする。
なお、可視光線透過率と共に色調変化、特に抗菌性物質のコロイド化によるコロイド発色も極力少ない方が望ましく、CIEのL表色系における色度座標aの変化Δa(強化塩浴浸漬後のa−強化塩浴浸漬前のa)が15.0以下で、かつ色度座標bの変化Δb(強化塩浴浸漬後のb−強化塩浴浸漬前のb)が15.0以下であることが望ましい。15.0を超えると抗菌性物質のコロイド化による発色が強いことを意味し、パネルなどの品位を低下させるために望ましくない。従って、色度変化ΔaとΔbはいずれも15.0以下、好ましくは10.0以下、さらに好ましくは5.0以下とする。
また前記ガラスの表面において、蛍光X線分析法によって測定されたKのX線強度とNaのX線強度の比(K/Na)が100以上で、かつ抗菌性物質のX線強度とKのX線強度の比(抗菌性物質/K)が0.0005以上とする。
KのX線強度とNaのX線強度の比(K/Na)が100未満では、ガラス中のNaイオンと溶融塩中のKイオンとのイオン交換が不十分であり、所望の強度を得ることが困難である。従って、KのX線強度とNaのX線強度の比(K/Na)は100以上、好ましくは125以上、さらに好ましくは150以上とする。また抗菌性物質のX線強度とKのX線強度の比(抗菌性物質/K)が0.0005未満ではガラス表面における抗菌性物質である抗菌性物質の量が不十分であるため所望の抗菌性が得られず、望ましくない。従って、抗菌性物質のX線強度とKのX線強度の比(抗菌性物質/K)は0.0005以上、好ましくは0.0008以上、さらに好ましくは0.0010以上とする。
さらに前記ガラスにおいて、3点曲げ強度が150MPa以上とする。150MPa未満ではタッチパネルなどのカバーガラスとして必要な強度には不十分であり、タッチパネル操作時にガラスの破損などを引き起こすため望ましくない。従って、3点曲げ強度は150MPa以上、好ましくは200MPa以上、さらに好ましくは250MPa以上とする。
前記所望の特性を得るために、化学強化と抗菌性物質を担持させる浸漬強化塩浴は、カリウムの化合物に対して抗菌性物質の化合物を0.0001〜0.5重量%で混合したものである。0.0001重量%未満ではその抗菌性が不十分となり、他方0.5重量%以上では浸漬後にコロイド発色しやすくなるため望ましくない。従って、カリウムの化合物に対して抗菌性物資の化合物を0.0001〜0.5重量%、好ましくは0.0001〜0.1重量%、より好ましくは0.0001〜0.05重量%とする。
なお、カリウムの化合物は、例えば硝酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、水酸化カリウム等が挙げられるが、この中でも最も硝酸カリウムが好ましい。またカリウム以外にもそのイオン交換による化学強化等を阻害しない範囲で、その他アルカリ(リチウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム)の化合物を10重量%以下の範囲で添加しても構わない。
また抗菌性物質は、例えば銀、銅、亜鉛の中から選ばれる1種類以上のもので、特に銀が好ましい。カリウムの化合物に対して添加・混合する抗菌性物質の化合物は、例えば硝酸銀、塩化銀、硝酸銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられるが、この中でも最も硝酸銀が好ましい。
その混合溶融塩の強化塩浴に浸漬する条件は、温度が350〜550℃、浸漬時間が15〜150分とする。浸漬温度は350℃未満ではカリウムイオンとのイオン交換が不十分となり強度があまり向上せず、他方550℃を越えるとイオン交換した抗菌性物質のイオンが還元・凝集してコロイド発色しやすくなるため望ましくない。従って、浸漬温度は350〜550℃、好ましくは350〜500℃、より好ましくは400〜500℃とする。
また浸漬時間は15分未満ではイオン交換が不十分となるため強度の向上及び抗菌性の付与があまり得られず、他方150分を超えるとイオン交換した抗菌性物質のイオンが還元・凝集してコロイド発色しやすくなるため望ましくない。従って、浸漬時間は15〜150分、好ましくは30〜100分、より好ましくは50〜100分とする。
さらに、ガラス中のナトリウムイオンと混合硝酸塩の強化液浴中のカリウムイオン又は抗菌性物質のイオンとのイオン交換しやすくするため、あるいは強化液浴中での熱割れ等を防止するために強化塩浴に浸漬する前にガラスを電気炉などによって予熱すること、またさらに強化塩浴浸漬後の取出において急冷による熱割れ等を防止するために徐冷炉などによって徐冷することが望ましい。
また前記ガラスをタッチパネルなどのカバーガラスとして使用するには、ガラスの板厚は0.3〜3.5mmが好ましく、0.3mm未満ではカバーガラスとしての強度に問題があり、他方3.5mmを超えるとその厚さによりタッチパネルには使用できない。
従って、本発明のガラスは、抗菌性物質をイオンの状態のまま担持でき、かつ抗菌性に対する表面層の抗菌性物質の濃度を明確に定義することで、強度と抗菌性を有し、かつ透視性や色調が良好な抗菌性ガラス、特にタッチパネルなどのカバーガラスに好適な抗菌性ガラスを得ることができる。
以下、実施例に基づき、説明する。
板ガラスはSiOを71.5質量%、Alを2.0質量%、MgOを3.5質量%、CaOを8.5質量%、NaOを13.0質量%、KOを1.5質量%を含み、板厚1.0mmで50mm×50mmサイズのソーダ石灰ガラスを用いた。なお強化塩浴浸漬前に、このガラスの溶融スズと接触した側の表面のSi濃度とSn濃度を調べた。
このガラスを硝酸カリウムに所定量の硝酸銀を外割添加して混合硝酸塩の強化塩浴に所定温度−時間浸漬した後、取り出して流水により水洗し、室温で乾燥させた。乾燥後のガラスについて、表面Na濃度、K濃度とAg濃度、可視光線透過率、色調変化Δb(強化塩浴浸漬後のb−強化塩浴浸漬前のb)、3点曲げ強度、抗菌活性値をそれぞれ調べた。
各成分の表面濃度は蛍光X線分析装置ZSX PrimuxII(RIGAKU製)を用いて50kV−60mAで、Si(測定線KA、ターゲットRh、スリットS4)、Sn(測定線LA、ターゲットRh、スリットS4)、Na(測定線KA、ターゲットRh、スリットS4)、K(測定線KA、ターゲットRh、スリットS4)とAg(測定線LA、ターゲットRh、スリットS2)でそれぞれのX線強度を測定し、各X線強度比(Sn/Si、K/Na、Ag/K)を求めた。
可視光線透過率及び色調変化Δb(浸漬後のb−浸漬前のb)は自記分光光度計U4000型(日立製作所製)を用いてJIS R 3106とJIS Z 8729に準拠して測定した。
3点曲げ強度は熱衝撃試験機(新東Vセラミックス製)を用いてJIS R 1601に準拠して負荷速度0.008mm/sで測定した。
抗菌活性値は大腸菌を用いてJIS Z 2801に準拠して評価した。
実施例を表1、比較例を表2に示す。
Figure 0005663947
Figure 0005663947
これによれば、本発明のガラスは透明性が非常に優れており、かつ強度及び抗菌性に優れていることが判る。すなわち、硝酸塩強化塩浴に浸漬しない比較例1の場合には、可視光線透過率は高いものの3点曲げ強度が100MPa未満であり、もちろん抗菌性もない。
また硝酸カリウムと極微量の硝酸銀の混合強化塩浴に浸漬した比較例2の場合には、可視光線透過率や3点曲げ強度は優れているものの、表面のAg濃度が低いために抗菌性はほとんどない。
さらには、表面のスズ濃度が高いガラスを硝酸カリウムと硝酸銀の混合強化塩浴に浸漬した比較例3の場合には、3点曲げ強度がやや高く、抗菌活性値が優れているものの可視光線透過率が30%程度と低く、また色度変化ΔaとΔbが著しく大きい。
それに対して、本発明のガラスは銀をイオンの状態のままでほとんど担持できているため可視光線透過率が80%以上で、かつ色度変化ΔaとΔbが15以下と小さく、さらに優れた3点曲げ強度を有すると共に、さらに抗菌活性値にも優れている。特に、実施例1は硝酸カリウムのみ強化塩浴に浸漬したものとほぼ同等の透過率及び強度を有していると共に、非常に優れた抗菌性を兼ね備えている。
本発明は、タッチパネルなど不特定多数の人間が使用するデバイスはもとより、自然界で有機物による汚染が考えられるような基材など、広い分野で応用可能なものである。

Claims (3)

  1. 溶融スズの上に溶融ガラスを浮上搬送しながら板状に成形されるフロート法によって製造された、板厚が0.3〜3.5mmの化学強化されたソーダライムガラス板を用いたタッチパネルのカバーガラス用抗菌性ガラスにおいて、
    前記カバーガラスは、溶融スズと接触した該ソーダライムガラス板表面に抗菌性物質を担持させたものであり、
    担持前の該ガラス板表面は、蛍光X線分析法によって測定されたSnのX線強度とSiのX線強度の比(Sn/Si)が0.0050以下であり、
    前記抗菌性物質は、カリウムの化合物と銀、銅、亜鉛の中から選ばれる1種以上の抗菌性物質の化合物を含む混合溶融塩の強化塩浴に該ガラス板を浸漬することで、ガラス中のNa イオンとのイオン交換により該ガラス板の化学強化と同時に抗菌性物質のイオンとして担持させたものであり、
    前記ガラス板表面に担持された抗菌性物質イオンの濃度は、該ガラス板表面において、蛍光X線分析法によって測定されたKのX線強度とNaのX線強度の比(K/Na)が100以上で、かつ抗菌性物質のX線強度とKのX線強度の比(抗菌性物質/K)が0.0005以上を満たす濃度であり、
    前記カバーガラスは、強化塩浴浸漬後において可視光透過率が80%以上であり、3点曲げ強度が150MPa以上である、
    ことを特徴とするタッチパネルのカバーガラス用抗菌性ガラス。
  2. CIEのL 表色系における色度座標a の変化Δa (強化塩浴浸漬後のa −強化塩浴浸漬前のa )が15.0以下で、かつ色度座標b の変化Δb (強化塩浴浸漬後のb −強化塩浴浸漬前のb )が15.0以下であることを特徴とする請求項1記載のタッチパネルのカバーガラス用抗菌性ガラス。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のタッチパネルのカバーガラス用抗菌性ガラスの製造方法において、
    ソーダライムガラスとして、溶融スズと接触した該ガラス表面が、蛍光X線分析法によって測定されたSnのX線強度とSiのX線強度の比(Sn/Si)を0.0050以下である該ガラス板を用い、
    混合溶融塩浴として、カリウムの化合物に対して抗菌性物質の化合物を0.0001〜0.5重量%で添加混合した混合溶融塩浴を用い、
    該ガラス板に担持された抗菌性物質イオンの濃度が、
    該ガラス板の表面において、蛍光X線分析法によって測定されたKのX線強度とNaのX線強度の比(K/Na)が100以上で、かつ抗菌性物質のX線強度とKのX線強度の比(抗菌性物質/K)が0.0005以上を満たす濃度となるように350〜550℃で15〜150分浸漬する
    ことを特徴とする、タッチパネルのカバーガラス用抗菌性ガラスの製造方法。
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