JP2020532484A - 抗菌物品並びにその製造及び使用方法 - Google Patents

抗菌物品並びにその製造及び使用方法 Download PDF

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Abstract

本明細書には、基板に銀含有領域が形成された後に変色が低減されるさまざまな抗菌物品が記載される。本明細書に記載される改善された抗菌物品は、概して、それぞれが基板の表面から特定の深さまで内側に延び、物品がほとんど又は全く変色しないように基板の表面全体にわたり均一な銀濃度プロファイルを有する、圧縮応力層と銀含有領域とを含む。物品の製造及び使用方法についても記載される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2017年8月29日出願の米国仮特許出願第62/551,471号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
本開示は、概して、さまざまな電子機器、例えば、携帯電話、ラップトップコンピュータ、ブックリーダー、ハンドヘルドビデオゲームシステム、現金自動預け払い機、エレベーターのディスプレイ、電子看板などのためのタッチスクリーンを含むが、これらに限られない、さまざまな用途のための強化された抗菌物品に関する。より詳細には、本明細書に記載されるさまざまな実施形態は、抗菌挙動を有し、かつ変色の低減を示す物品、並びに該物品を製造及び使用する方法に関する。
スクリーン表面(例えば、表面の特定の部分に触れることによって作動するユーザインタラクティブ機能を有する電子機器の表面)などのタッチ作動型デバイス又はタッチ対話型デバイスは、電子機器産業においてますます普及している。概して、これらの表面は、他の特徴の中でもとりわけ、高い光透過率、低いヘイズ、及びび高い耐久性を示す必要がある。ユーザとデバイスとの間のタッチスクリーンをベースとした相互作用の度合いが高まるにつれて、ユーザからユーザへ移動する可能性のある微生物(例えば、細菌、真菌、ウイルスなど)が表面に潜んでいる可能性も高まる。
表面の微生物の存在を最小限に抑えるために、さまざまな物品に「抗菌」特性が付与されている。このような抗菌物品は、それらがタッチ作動式デバイスのスクリーン表面として使用されるか他の用途で使用されるかに関わらず、さまざまな理由で変色する傾向があり、これは透明ガラス物品について特に顕著でありうる。例えば、変色の理由の1つには、ガラス物品の表面に大量のAgが存在することが含まれる。場合によっては、この変色により、ガラス製品が見苦しくなる。さらには、過度の変色は最終的に、ガラス物品をその意図された目的にとって不適切にさせうる。
したがって、変色が低減された抗菌物品を提供する技術が依然として必要とされている。このような技術が表面の他の望ましい特性(例えば、光透過率、ヘイズ、強度、耐擦傷性など)に悪影響を及ぼさない場合、それは特に有利であろう。本開示が対象とするのは、このような技術の提供である。
第1の態様によれば、物品が提供される。該物品は、基板の表面からその中の第1の深さまで内側に延びる圧縮応力層と、基板の表面からその中の第2の深さまで内側に延びる銀含有領域とを含む基板を備えており、200ナノメートル(nm)の深さにおけるAgO濃度は、40ナノメートル(nm)の深さにおけるAgO濃度より大きい。
第1の態様に従う第2の態様では、第2の深さは第1の深さ未満である。
第1又は第2の態様に従う第3の態様では、物品は、基板の表面に配置された追加の層をさらに含む。
第3の態様に従う第4の態様では、追加の層は、反射防止コーティング、防眩コーティング、指紋防止コーティング、汚れ防止コーティング、色付与組成物、耐環境性コーティング、又は導電性コーティングを含む。
第1から第4の態様のいずれかに従う第5の態様では、圧縮応力層の最大圧縮応力は約200メガパスカル(MPa)〜約1.2ギガパスカル(GPa)であり、圧縮応力層の深さは約200マイクロメートル(μm)未満である。
第1から第5の態様のいずれかに従う第6の態様では、銀含有領域は約150マイクロメートル(μm)以下の深さを有する。
第1から第6の態様のいずれかに従う第7の態様では、物品は実質的に変色を示さず、水素(H)による還元後に光透過率に対して約3パーセント以下の物品の光透過率の変化、Hによる還元後にヘイズに対して約5パーセント以下の物品のヘイズの変化、並びに、Hによる還元後にそれぞれ約±0.2、±0.1、及び±0.1以下の物品のCIE1976色座標L、a、及びbの変化のうちの少なくとも1つによって決定して、実質的に変色が生じない。
第1から第7の態様のいずれかに従う第8の態様では、1.5インチ×1.5インチ(約3.81cm×約3.81cm)のサイズを有する物品を10mMのNaNOの700μL溶液に60℃で2時間、浸漬した後、物品は、最大で約100パーツ・パー・ビリオン(ppb)の銀イオンを溶液中に浸出する。
第1から第8の態様のいずれかに従う第9の態様では、物品は、JIS Z 2801(2000)試験条件下で、ある濃度の少なくとも黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、及び緑膿菌(Pseudomomas aeruginosa)の細菌において、少なくとも2の対数減少を示す。
第1から第9の態様のいずれかに従う第10の態様では、基板は、ガラス、ガラスセラミック、及びセラミック組成物のうちの少なくとも1つを含む。
第1から第10の態様のいずれかに従う第11の態様では、物品は、電子機器のタッチ感応式ディスプレイスクリーン又はカバープレートの一部、電子機器の非タッチ感応式部品、家電製品の表面、医療機器の表面、生物学的又は医療用包装容器、若しくは車両部品の表面を含む。
第12の態様によれば、消費者向け電子製品が提供される。消費者向け電子製品は、前面、背面、及び側面を有する筐体;少なくとも部分的に筐体内に設けられた電気部品であって、該電気部品が少なくともコントローラ、メモリ、及びディスプレイを備えており、該ディスプレイが筐体の前面又はそれに隣接して設けられている、電気部品;並びに、ディスプレイの上に配置されたカバー基板であって、筐体の一部又はカバー基板のうちの少なくとも一方が、第1から第11の態様のいずれかに従う物品を含む、カバー基板を備えている。
第13の態様によれば、物品が提供される。物品は、基板の表面からその中の第1の深さまで内側に延びる圧縮応力層と、基板の表面からその中の第2の深さまで内側に延びる銀含有領域とを含む基板を備えており、基板の表面にわたり、最大AgO濃度[Agmax]と最小AgO濃度[Agmin]とが存在し、[Agmax]−[Agmin]は約0.5モル%以下である。
第13の態様に従う第14の態様では、第2の深さは第1の深さ未満である。
第13又は第14の態様に従う第15の態様では、物品は、基板の表面に配置された追加の層をさらに含む。
第15の態様に従う第16の態様では、追加の層は、反射防止コーティング、防眩コーティング、指紋防止コーティング、汚れ防止コーティング、色付与組成物、耐環境性コーティング、又は導電性コーティングを含む。
第13から第16の態様のいずれかに従う第17の態様では、圧縮応力層の最大圧縮応力は約200メガパスカル(MPa)〜約1.2ギガパスカル(GPa)であり、圧縮応力層の深さは約200マイクロメートル(μm)未満である。
第13から第17の態様のいずれかに従う第18の態様では、銀含有領域は、約150マイクロメートル(μm)以下の深さを有する。
第13から第18の態様のいずれかに従う第19の態様では、物品は実質的に変色を示さず、水素(H)による還元後に光透過率に対して約3パーセント以下の物品の光透過率の変化、Hによる還元後にヘイズに対して約5パーセント以下の物品のヘイズの変化、並びに、Hによる還元後にそれぞれ約±0.2、±0.1、及び±0.1以下の物品のCIE1976色座標L、a、及びbの変化のうちの少なくとも1つによって決定して、実質的に変色が生じない。
第13から第19の態様のいずれかに従う第20の態様では、1.5インチ×1.5インチ(約3.81cm×約3.81cm)のサイズを有する物品を10mMのNaNOの700μL溶液に60℃で2時間、浸漬した後、物品は、最大で約100パーツ・パー・ビリオン(ppb)の銀イオンを溶液中に浸出する。
第13から第20の態様のいずれかに従う第21の態様では、物品は、JIS Z 2801(2000)試験条件下で、ある濃度の少なくとも黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、及び緑膿菌の細菌において、少なくとも2の対数減少を示す。
第13から第21の態様のいずれかに従う第22の態様では、基板は、ガラス、ガラスセラミック、及びセラミック組成物のうちの少なくとも1つを含む。
第13から第22の態様のいずれかに従う第23の態様では、物品は、電子機器のタッチ感応式ディスプレイスクリーン又はカバープレートの一部、電子機器の非タッチ感応式部品、家電製品の表面、医療機器の表面、生物学的又は医療用包装容器、若しくは車両部品の表面を含む。
第13から第23の態様のいずれかに従う第24の態様では、[Agmax]−[Agmin]は約0.3モル%以下である。
第25の態様によれば、消費者向け電子製品が提供される。消費者向け電子製品は、前面、背面、及び側面を有する筐体;少なくとも部分的に筐体内に設けられた電気部品であって、該電気部品が少なくともコントローラ、メモリ、及びディスプレイを備えており、該ディスプレイが筐体の前面又はそれに隣接して設けられている、電気部品;並びに、ディスプレイの上に配置されたカバー基板であって、筐体の一部又はカバー基板のうちの少なくとも一方が、第13から第24の態様のいずれかに従う物品を含む、カバー基板を備えている。
第26の態様によれば、物品の製造方法が提供される。本方法は、少なくとも基板の表面を少なくとも1種類のアニオンを含む銀含有媒体と接触させて、基板の表面から第1の深さまで内側に延びる銀含有領域を基板内に形成する工程を含み、ここで、200ナノメートル(nm)の深さにおけるAgO濃度は、40ナノメートル(nm)の深さにおけるAgO濃度より大きい。
第26の態様に従う第27の態様では、少なくとも1種類のアニオンは、Cl、SO 2−、F、I、Br、CO 2−、PO 3−、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
第26又は第27の態様に従う第28の態様では、本方法は、基板の表面から第2の深さまで内側に延びる圧縮応力層を形成する工程をさらに含む。
第28の態様に従う第29の態様では、銀含有領域の形成及び圧縮応力層の形成は同時に行われる。
第26から第29の態様のいずれかに従う第30の態様では、銀含有媒体は銀カチオンを含む溶融塩浴である。
第30の態様に従う第31の態様では、溶融塩浴は、NaNO及びKNOのうちの少なくとも一方をさらに含む。
第30又は第31の態様に従う第32の態様では、銀カチオンは、溶融塩浴の総重量に基づいて、約0.1質量%〜約10質量%の範囲の量で存在する。
第30から第32の態様のいずれかに従う第33の態様では、少なくとも1種類のアニオンは、溶融塩浴の総重量に基づいて、約0.01質量%〜約10質量%の範囲の量で存在する。
第26から第33の態様のいずれかに従う第34の態様では、銀含有媒体は約350℃〜約450℃の範囲の温度へと加熱される。
第26から第34の態様のいずれかに従う第35の態様では、基板を銀含有媒体と接触させる工程は、約10分間〜約10時間の範囲の持続時間で行われる。
第26から第35の態様のいずれかに従う第36の態様では、本方法は、基板の表面の少なくとも一部の上に追加の層を形成する工程をさらに含み、該追加の層は、反射防止コーティング、防眩コーティング、指紋防止コーティング、汚れ防止コーティング、色付与組成物、耐環境性コーティング、及び導電性コーティングからなる群より選択される。
第26から第36の態様のいずれかに従う第37の態様では、物品の表面から内側に40ナノメートル(nm)の深さにおけるAgO濃度は、最大で約2モル%である。
第26から第37の態様のいずれかに従う第38の態様では、物品の表面にわたり、最大AgO濃度[Agmax]と最小AgO濃度[Agmin]とが存在し、[Agmax]−[Agmin]は約0.5モル%以下である。
第38の態様に従う第39の態様では、[Agmax]−[Agmin]は約0.3モル%以下である。
第26から第39の態様のいずれかに従う第40の態様では、物品が実質的に変色を示さず、水素(H)による還元後に光透過率に対して約3パーセント以下の物品の光透過率の変化、Hによる還元後にヘイズに対して約5パーセント以下の物品のヘイズの変化、並びに、Hによる還元後にそれぞれ約±0.2、±0.1、及び±0.1以下の物品のCIE1976色座標L、a、及びbの変化のうちの少なくとも1つによって決定して、実質的に変色が生じない。
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者に容易に明らかとなり、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含めた本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
前述の概要及び後述する詳細な説明はいずれも、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を例証しており、その説明とともに、さまざまな実施形態の原理及び動作を説明する役割を担う。
本開示の幾つかの実施形態による強化された抗菌物品の製造方法の例示的な概略図 本開示の幾つかの実施形態による強化された抗菌物品の例示的な概略図 イオン交換によって引き起こされる変色の生成を示す例示的な概略図 本開示の幾つかの実施形態による塩化物イオンを含む溶融塩浴を使用したイオン交換プロセスを示す例示的な概略図 本開示の幾つかの実施形態によるさまざまなイオン交換条件に供されたガラス物品の深さの関数としてのモル%でのAgO濃度の二次イオン質量分析(SIMS)プロットを示すグラフ 本明細書に開示される物品のいずれかを組み込む例示的な電子機器の平面図 図6Aの例示的な電子機器の斜視図
以下の詳細な説明では、限定ではなく説明の目的で、本開示のさまざま原理の完全な理解を提供するために、特定の詳細を開示する例示的な実施形態が説明される。しかしながら、本開示は、本明細書に開示される特定の詳細から逸脱する他の実施形態で実施することができることは、本開示の恩恵を受けた当業者には明らかであろう。さらには、本開示のさまざまな原理の説明を不明瞭にしないように、よく知られているデバイス、方法、及び材料の説明は省略される場合がある。最後に、該当する場合は常に、同様の参照番号は同様の要素を指す。
本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現することができる。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、その1つの特定の値から及び/又は他方の特定の値までを含む。同様に、例えば先行詞「約」の使用によって、値が近似値として表される場合、その特定の値は別の実施形態を形成することが理解されよう。さらには、範囲の各々の端点は、他の端点に関連して、及び他の端点とは独立してのいずれにおいても重要であることが理解されよう。
本明細書で使用される方向用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部)は、描かれた図を参照してのみ作られており、絶対的な方向を意味することは意図していない。
特に明記しない限り、本明細書に記載の任意の方法は、その工程が特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されることは、決して意図していない。したがって、方法クレームがその工程が従うべき順序を実際に列挙していないか、あるいは、工程が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲又は明細書に明記されていない場合、いかなる点においても、順序が推測されることは決して意図されていない。これには、次のような解釈のためのあらゆる非明示的根拠が当てはまる:工程の配置又は動作フローに関する論理的事項;文法上の編成又は句読点から派生した平明な意味;及び、明細書に記載される実施形態の数又はタイプ。
本明細書で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。よって、例えば、ある1つの(a)「構成要素」への言及は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、そのような構成要素を2つ以上有する態様を含む。
本明細書には、基板の表面から第1の深さまで内側に延びる圧縮応力層と、基板の表面から第2の深さまで内側に延びる銀含有領域とを有する基板を備えたさまざまな強化された物品が、それらの製造及び使用方法とともに記載される。表面に銀を組み込むことによって、そこに抗菌特性が付与される。「抗菌性」という用語は、本明細書では、複数の種又は複数の型の微生物(例えば、細菌、ウイルス、真菌など)を死滅させる又はそれらの成長を阻害する能力を指す。本明細書全体を通じて、「圧縮応力層」という用語は、圧縮応力の層又は領域を指すために用いられ、「銀含有領域」という用語は、銀種を含有する層又は領域を指すために用いられるものとする。この使用法は便宜上のものであり、「領域」又は「層」という用語を多少なりとも区別することは意図されていない。
概して、本明細書に記載される物品は、低減された変色又は着色を示す。幾つかの実施形態では、物品は、40nmの深さにおけるAg濃度より大きい200nmの深さにおけるAg濃度を示す。幾つかの実施形態では、AgOは物品中に存在しない場合もありうるが、銀の濃度はAgOの濃度に変換され、AgOの濃度として表される。したがって、幾つかの例示的な実施形態によれば、物品は、40nmの深さにおけるAgO濃度より大きい200nmの深さにおけるAgO濃度を示す。「AgO濃度」の使用は便宜上のためだけのものであって、決して物品内にAgOが存在することを意味するものではない。
本明細書に記載される方法は、概して、イオン交換プロセスにおける銀含有溶融塩浴中の少なくとも1種類のアニオンの使用を包含する。少なくとも1種類のアニオンは、銀カチオンと反応して、イオン交換温度より高い融点を有する銀塩を形成するように適合される。
基板
基板の選択は特定の組成に限定されない。例えば、選択される組成は、広範囲のガラス、ガラスセラミック、又はセラミック組成のいずれであってもよい。ガラス基板の場合には、基板は、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ボロアルミノケイ酸塩、ソーダ石灰、並びに、他のアルカリ含有ガラス組成物及び無アルカリガラス組成物のうちの少なくとも1つを含むことができる。幾つかの実施形態では、物品は、1つ以上のアルカリ金属を含有する、イオン交換可能なガラス組成物を有する基板を含む。
ガラスセラミック組成物に関しては、物品の基板として選択される材料は、ガラス質(非晶質)相とセラミック(結晶化)相の両方を有する広範囲の材料のいずれかでありうる。例示的なガラスセラミックには、ガラス相が、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、又はホウアルミノケイ酸塩から形成され、セラミック相がβ−スポジュメン、β−石英、霞石、カルシライト、ペタライト、又はカーネギーアイトから形成される材料が含まれる。「ガラスセラミック」には、ガラスの結晶化を制御することによって製造された材料が含まれる。さまざまな実施形態では、ガラスセラミックは約1%〜約99%の結晶化度を有する。用いられうるガラスセラミック系の非限定的な例には、LiO×Al×nSiO(すなわちLAS系)、MgO×Al×nSiO(すなわちMAS系)、及びZnO×Al×nSiO(すなわちZAS系)が含まれる。
セラミックに関しては、物品の基板として選択される材料は、広範囲の無機結晶性酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、炭窒化物などのいずれかでありうる。例示的なセラミックには、アルミナ、チタン酸アルミニウム、ムライト、コージエライト、ジルコン、スピネル、ペルソブスカイト、ジルコニア、セリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素アルミニウム、又はゼオライト相を有する材料が含まれる。
基板は、さまざまな物理的形態をとることができる。すなわち、断面の観点から、基板は平坦又は平面であってよく、あるいは、それは湾曲及び/又は鋭く曲がっていてもよい。同様に、それは単一の一体的な物体、若しくは多層構造又は積層体であってもよい。
本明細書で企図される基板の厚さには特に制限はない。多くの例示的な用途では、厚さは約15ミリメートル(mm)以下でありうる。重量、コスト、及び強度特性(例えば、電子機器など)の厚さを最適化することが望ましいであろう用途に物品を使用する場合には、さらに薄い基板(例えば、約5mm以下)を使用することができる。例として、物品がタッチスクリーンディスプレイのカバーとして機能することが意図されている場合には、基板は、約0.02mm〜約2.0mmの厚さを示しうる。
圧縮応力層
1つ以上の実施形態の物品は、基板の表面からその中の特定の深さまで内側に延びる圧縮応力層又は領域を含む。本明細書でより詳細に説明するように、この圧縮応力層は、強化プロセスから(例えば、熱焼き戻し、化学イオン交換、又は同様のプロセスによって)形成することができる。
熱焼き戻しでは、基板は概して、そのアニール点を上回って加熱され、その後、基板の外側領域又は外部領域を圧縮状態で急冷するための急速冷却工程が行われる一方、基板の内側領域はより遅い速度で冷却され、張力下に置かれる。加熱温度、加熱時間、及び冷却速度は、概して、圧縮応力層(圧縮状態の基板の外部領域)での所望の圧縮応力(CS)及び圧縮深さ(DOC)を達成するように調整することができる主要なパラメータである。
化学イオン交換では、基板はイオン交換浴と接触し(例えば、ディッピング、浸漬、噴霧などによって)、その間に、基板の外側又は外部領域のより小さいカチオンは、イオン交換浴に由来する同じ価数(通常は1+)のより大きいカチオンに置き換えられるか、又は交換されて、外側又は外部領域が圧縮下に置かれる一方、基板の内側領域(イオン交換が発生しない領域)は張力下に置かれる。接触時間、イオン交換温度、及びイオン交換浴内の塩濃度などの条件は、圧縮応力層(イオン交換が発生する外部領域)において所望のDOC及びCSを達成するように調整することができる。
図1を参照すると、抗菌ガラス物品の製造方法100が提供されている。方法100では、第1の表面12及び複数のイオン交換可能な金属イオンを有するガラス物品10が用いられる。図1に示されるように、ガラス物品10は、第1の表面12に加えて他の外表面を有する。例示的な実施形態では、ガラス物品10は、イオン交換可能な金属イオンを有するケイ酸塩組成物を含むことができる。金属イオンは、ガラス物品10及び第1の表面12を他の金属イオンを含有する浴に曝すことにより、ガラス物品10中の金属イオンの一部が浴に由来する金属イオンと交換させることができるという意味で交換可能である。1つ以上の実施形態では、このイオン交換プロセスによって圧縮応力が生成し、ガラス物品10、具体的には第1の表面12の複数の第1の金属イオンは、ガラス物品10の領域が複数の第2の金属イオンを含むように、複数の第2の金属イオン(複数の第1の金属イオンよりも大きいイオン半径を有する)と交換される。この領域に大きい第2の金属イオンが存在することにより、その領域に圧縮応力が生じる。第1の金属イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びルビジウムなどのアルカリ金属イオンでありうる。第2の金属イオンは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムなどのアルカリ金属イオンであってよいが、第2のアルカリ金属イオンは、第1のアルカリ金属イオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する。
再び図1を参照すると、抗菌ガラス物品の製造方法100は、容器14内に含まれる強化浴20を使用する。強化浴20は、複数のイオン交換金属イオンを含む。幾つかの実施形態では、例えば、浴20は、ガラス物品10に含まれるナトリウムなどのイオン交換可能なイオンよりもサイズが大きい複数のカリウムイオンを含むことができる。浴20に含まれるこれらのイオン交換用イオンは、物品10が浴20に沈められたときに、ガラス物品10内のイオン交換可能なイオンと優先的に交換する。強化浴20には、ガラス物品10の処理中に塩が確実に溶融状態に留まることを保証する温度へと十分に加熱された、少なくともKNOを含む溶融塩浴が含まれうる。強化浴20には、KNOと、NaNO及びLiNOのうちの一方又は両方との組合せも含まれうる。
さらに図1を参照すると、図1に示される抗菌ガラス物品の製造方法100は、ガラス物品10を強化浴20に沈める工程120を含む。浴20に沈積されると、ガラス物品10内の複数のイオン交換可能イオン(例えば、Naイオン)の一部は、強化浴20に含まれる複数のイオン交換用イオン(例えば、Kイオン)の一部と交換される。幾つかの実施形態によれば、沈漬工程120は、浴20の組成、浴20の温度、ガラス物品10の組成、及び/又はガラス物品10中のイオン交換用イオンの所望の濃度に基づいて、所定の時間の間、行われる。幾つかの実施形態では、イオン交換温度は約350℃〜約450℃、約380℃〜約440℃、又は約390℃〜約430℃の範囲でありうる。幾つかの実施形態では、沈漬工程は、約10分間〜約10時間、約0.5時間〜約5時間、約1時間〜約3時間、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲にわたって行われる。
沈漬工程120の完了後に、洗浄工程130を行い、第1の表面12を含むガラス物品10の表面に残留する、浴20に由来する材料を除去する。例えば、脱イオン水を洗浄工程130に使用して、ガラス物品10の表面の浴20に由来する材料を除去することができる。媒体が浴20に由来する材料及び/又はガラス物品10のガラス組成物との反応を回避するように選択されることを条件に、ガラス物品10の表面を洗浄するために他の媒体を使用することもできる。
浴20に由来するイオン交換用イオンは、もともとガラス物品10内にあったイオン交換可能イオンを犠牲にしてガラス物品10内に分布されることから、圧縮応力層24がガラス物品10内に発生する。圧縮応力層24は、第1の表面12からガラス物品10の拡散深さ22まで延びる。概して、強化浴20に由来するかなりの濃度のイオン交換用イオン(例えば、Kイオン)が、それぞれ浸漬及び洗浄工程120及び130の後に、圧縮応力層24に存在する。これらのイオン交換用イオンは、概して、イオン交換可能イオン(例えば、Naイオン)よりも大きく、それによって、ガラス物品10内の層24の圧縮応力レベルが増加する。
CS及びDOCの量は、物品の特定の用途に基づいて変えることができるが、CSレベル及びDOCは、圧縮応力層の結果として基板内に作り出された引張応力が物品を脆弱にするほど過度にならないように制限する必要がある。1つ以上の実施形態では、基板の表面のCSレベルは、少なくとも約200MPa、少なくとも約300MPa、少なくとも約400MPa、少なくとも約500MPa、少なくとも約600MPa、又は少なくとも約700MPa、並びに、約1.2GPa以下、約1.1GPa以下、約1GPa以下、約900MPa以下、又は約800MPa以下、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲である。さまざまな用途では、最大圧縮応力は約200MPa〜約1.2GPaの範囲である。
CSとDOCの終局限界は物品を脆弱にすることの回避であるが、圧縮応力層のDOCは、概して、基板の厚さの約3分の1未満でありうる。しかしながら、ほとんどの用途において、DOCは、約200μm以下、約25μm以上約200μm以下、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。場合によっては、DOCは、約100μm〜約200μmの範囲でありうる。
銀含有領域
1つ以上の実施形態の物品は、物品の表面からその中の第2の深さまで内側に延びる銀を含有する層又は領域を含む。銀含有領域は、カチオン性の一価の銀(Ag)を、物品に抗菌的な作用を付与するのに有効な量で含む。したがって、Agイオンは、物品の表面で微生物と相互作用してそれらを死滅させるか、あるいは他の方法でそれらの増殖を阻害する。概して、銀含有領域は、圧縮応力層と同様に、物品の表面から銀含有領域の深さ(DOR)まで内側に延びる。したがって、銀含有領域は、圧縮応力層と少なくとも部分的に重なる。1つ以上の実施形態では、DORは、物品における目に見える変色又は着色を回避し、物品内のカチオン性銀の抗菌効果を最大にするために、概して制限されうる。例えば、DORは、約20μm以下、約18μm以下、約16μm以下、約14μm以下、約12μm以下、約10μm以下、約8μm以下、又は約5μm以下、及び約0.1μm以上、約1μm以上、約5μm以上、約6μm以上、約7μm以上、約8μm以上、約9μm以上、約10μm以上、約12μm以上、約14μm以上、又は約16μm以上、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。
幾つかの実施形態では、DOCはDORより大きい。1つ以上の代替となる実施形態では、DOC及びDORはほぼ同じである。幾つかの特定の代替的な実施形態では、DORはDOCより大きくなりうる。このような実施形態では、DORは、最大で約150μm(例えば、約20μm〜約150μmの範囲)でありうる。
銀含有領域は、さまざまな方法で形成することができ、その方法は、銀含有媒体(例えば、ペースト、分散液、溶融塩のイオン交換浴など)からのカチオン性銀の化学拡散(任意選択的に、基板からの別のカチオンの交換が伴う場合がありうる)が最も一般的である。概して、基板は銀含有媒体と接触し(例えば、ディッピング、浸漬、噴霧などによる)、カチオン性銀は銀含有媒体から基板の外側又は外部領域内へと拡散する。しかしながら、ほとんどの状況において、カチオン性銀は、銀含有媒体に由来する同じ原子価の別のカチオン(例えば、K)に置き換わるか、又はそれと交換する。接触時間、銀含有媒体の温度、及び銀含有媒体の銀濃度などの条件を調整して、銀含有領域(カチオン性銀が拡散又はイオン交換する外部領域)において所望のDOR及び銀濃度プロファイルを達成することができる。
本出願の一態様は、基板を銀含有媒体と接触させる工程を含む、基板内に銀含有領域を形成する方法を提供する。幾つかの実施形態では、銀含有媒体は銀カチオンを含む溶融塩浴である。
基板内に銀含有領域を形成する方法は、基板の表面から内側に延びる圧縮応力層を形成する工程をさらに含むことができる。1つ以上の実施形態では、圧縮応力層の形成は銀含有領域の形成前に行われる。一例として、銀含有領域の前に圧縮応力層が形成される方法の1つの例示的な実施態様は、基板を溶融KNO浴に浸漬し、イオン交換を介して圧縮応力を与え、その後に強化された基板をAgNO含有溶融塩浴に浸漬してAgをガラス内へとイオン交換することを伴う。
再び図1を参照すると、抗菌ガラス物品の製造方法100は、イオン交換されたガラス物品10を抗菌浴40に沈積する工程140をさらに使用し、該抗菌浴40は、複数の金属イオンを含む容器34内に含まれ、抗菌効果を提供することができる。幾つかの実施形態では、抗菌浴40は、複数の銀イオンを含み、そのそれぞれが、抗菌効果;製造されたままのガラス物品10に存在するものと一致する複数のイオン交換可能な金属イオン;及び、強化浴20に存在するものと一致する複数のイオン交換用イオンを提供することができる。例示的な実施形態によれば、浴40は、約0.01質量%〜100質量%の浴濃度で溶融AgNOに由来する複数の銀イオンを有する。追加の実施形態では、抗菌浴40は、約0.5質量%〜最大で約50質量%までの溶融AgNOと、残りの溶融KNO及び/又はNaNOとを有する。例えば、抗菌浴40は、50質量%のAgNOと、50質量%のKNO+NaNOとの溶融混合物を含むことができる。
沈漬工程160の完了後に、洗浄工程170を行って、第1の表面12を含むガラス物品10の表面に残留する、浴40に由来する材料を除去することができる。例えば、脱イオン水を洗浄工程170に使用して、ガラス物品10の表面にある浴40に由来する材料を除去することができる。媒体が浴40に由来する材料及び/又はガラス物品10のガラス組成物との反応を回避するように選択されることを条件に、ガラス物品10の表面を洗浄するために他の媒体を使用することもできる。
1つ以上の代替となる実施形態では、圧縮応力層と銀含有領域とは同時に形成される。別の例として、圧縮応力層と抗菌性銀含有領域とが同時に形成される方法の1つの例示的な実施態様は、KNO及びAgNOの両方を含む溶融塩浴に浸漬して、K及びAgを一緒にガラス基板内へとイオン交換することを伴う。幾つかの実施形態では、溶融塩浴は、Agと反応して銀塩を形成し、冷却中に沈殿することができる少なくとも1種類のアニオンを含む。
さらに追加の実施形態では、圧縮応力の形成は、銀含有領域の形成後に行われる。さらに別の例として、銀含有領域の後に圧縮応力層が形成される方法の1つの例示的な実施態様は、ガラス基板をAgNO含有溶融塩浴に浸漬してAgをガラス基板内へとイオン交換した後、Ag含有ガラスを溶融KNO浴に浸漬し、イオン交換によって圧縮応力を与えることを伴う。
図2を参照すると、例示的な実施形態に従って、強化された抗菌ガラス物品200が提供される。抗菌ガラス物品200は、主面12;ガラス物品の主面12からガラス物品内の第1の深さ22まで延びる圧縮応力層24;及び、ガラス物品の主面12から第2の深さ32まで延びる複数の銀イオンを含む銀含有領域24aを備えたガラス物品10を含む。図2に示されるこのような物品200は、図1に概説される方法100に従って製造することができる。
幾つかの実施形態によれば、図3に示されるように、強化されたガラス物品10が抗菌浴40から引き出されると、幾らかの溶融塩(例えば、KNO、NaNO及びAgNO)が表面に付着する。塩が冷却すると、主成分の一部(KNOなど)が固化又は結晶化し始め、基板表面の一部を占有する。AgNOの融点は非常に低い(KNO及びNaNOよりも低い)ことから、AgNOは液相のままで濃縮され、表面は低温でも凝固塩によってブロックされず、該表面においてイオン交換し続ける。この示差イオン交換プロセスは、すべての溶融塩が完全に凝固するまで続き、その結果、表面の銀濃度が不均一になる(例えば、領域Aが領域Bよりも多くの銀イオンを有する)。より多くの銀イオンを有する領域(B)は、銀イオンがより少ない領域(A)よりも黄色がかっており、銀が豊富な領域(B)は、基板表面に汚れの欠陥として現れる。
上記の問題に対処するために、幾つかの実施形態では、銀含有媒体(例えば、溶融塩浴)は、NO 以外に、又はNO に加えて、少なくとも1種類のアニオンを含有する。これらの実施形態では、少なくとも1種類のアニオンは、銀カチオンと反応して、イオン交換温度より高い融点を有する銀塩を形成するように適合される。幾つかの実施形態では、NO 以外の又はNO に加えて、少なくとも1種類のアニオンは、Cl、SO 2−、F、I、Br、CO 2−、PO 3−、又はそれらの混合物でありうる。
図3に見られるように、銀含有媒体(例えば溶融塩浴)において追加のアニオンなしにNO を使用すると、物品に変色が発生することがよくあることがわかっている。NO 以外の又はNO に加えて、Cl、SO 2−、F、I、Br、CO 2−、PO 3−、又はそれらの混合物など、少なくとも1種類のアニオンを使用すると、変色を低減又は防止することができる。例えば、塩化物イオンが溶融塩浴に添加されると、イオン交換中に、銀イオンと塩化物イオンとが組み合わされて、イオン交換温度において可溶性であるAgClを形成する。図4に示されるように、AgClの融点はKNO及びNaNOよりもはるかに高いことから、イオン交換後の冷却中に、AgClが最初に凝固し、その後、低温でKNO及びNaNOが凝固する。その結果、銀イオンが冷却中に溶解性及びイオン交換性を維持しうる図3に示されるシナリオとは異なり、ガラス表面のすべての塩が冷却されると、銀イオンは一部の表面位置に集中せず、表面の汚れ欠陥も導入されない。
銀カチオンは、少なくとも約0.01質量%、少なくとも約0.1質量%、少なくとも約0.2質量%、少なくとも約0.25質量%、又は少なくとも約0.5質量%、及び、約50質量%以下、約10質量%以下、約5質量%以下、約2質量%以下、又は約1質量%以下の量、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲で溶融塩浴中に存在しうる。少なくとも1種類のアニオンは(NO 以外又はNO に加えて)、イオン交換浴から引き出された後、冷却プロセス中に基板の表面に残っているすべての銀カチオンと反応するのに十分な量で溶融塩浴に存在する必要がある。好ましくは、少なくとも1種類のアニオンは、少なくとも約0.01質量%、少なくとも約0.1質量%、少なくとも約0.2質量%、少なくとも約0.25質量%、又は少なくとも約0.5質量%、及び、約50質量%以下、約10質量%以下、約5質量%以下、約2質量%以下、又は約1質量%以下、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲である。幾つかの実施形態では、溶融塩浴は、NaNO及びKNOのうちの少なくとも一方をさらに含みうる。幾つかの実施形態では、イオン交換温度は、約350℃〜約450℃、約380℃〜約440℃、又は約390℃〜約430℃の範囲でありうる。幾つかの実施形態では、接触時間は、所望のDOR及び銀濃度プロファイルを有する銀含有領域の形成を確実にするために、約10分間〜約5時間、約0.5時間〜約2時間、又は約0.5時間〜約1時間、持続させることができる。
ある特定の実施態様では、銀含有領域の最表面(例えば、表面内約5nm)は、約2モル%以下のAgO濃度、場合によっては、最大で約1モル%、最大で約0.5モル%、又は最大で約0.1%のAgO濃度を有することができる。幾つかの実施形態によれば、物品は、基板の表面にわたり均一な銀プロファイルを有する。表面全体にわたり、最大AgO濃度[Agmax]と最小AgO濃度[Agmin]とが存在し、[Agmax]−[Agmin]は約0.5モル%以下である。幾つかの特定の例では、[Agmax]−[Agmin]は約0.3モル%以下である。[Agmax]及び[Agmin]はいずれも、最表面におけるAgOを測定することによって決定することができる。
幾つかの実施形態では、銀含有領域は、表面から40nmの深さにおいて、約2モル%以下、ある場合には、最大で約1.5モル%、最大で約0.1モル%、最大で約0.5%、最大で約0.3%、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲のAgO濃度を有することができる。さらなる実施形態では、銀含有領域は、表面から200nmの深さにおいて、約1.5モル%以下、約1モル%以下、約0.5モル%以下、約0.2モル%以下、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲のAgO濃度を有することができる。幾つかの例示的な実施形態によれば、物品は、40nmの深さにおけるAgO濃度より大きい、200nmの深さにおけるAgO濃度を示す。さらなる実施形態では、200nmの深さにおけるAgO濃度は、40nmの深さにおけるAgO濃度より少なくとも0.1モル%、少なくとも0.2モル%、少なくとも0.5モル%、又は少なくとも1モル%大きい。
幾つかの実施形態によれば、物品は、表面AgO濃度が単調増加する領域を有する。この領域の厚さは、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、又は約100nm以下でありうる。
幾つかの実施形態では、本方法は、銀含有媒体に由来する複数の銀カチオンを、基板に由来する複数の特定の又は第1のカチオンと交換することによって、銀含有領域を形成する工程を含む。幾つかの実施形態では、第1のカチオンは、圧縮応力層が形成される前又は後に基板に存在する。例えば、幾つかの実施形態では、基板は、圧縮応力層の形成前にこのような第1のカチオンを含み、このような第1のカチオンは、ナトリウム、リチウム、又はそれらの組合せを含むことができる。幾つかの実施形態では、第1のカチオンは、圧縮応力層を形成するときに基板に導入され、他のカチオン(例えば、銀カチオン)との交換に利用することができる基板の表面又はその近くに予め設定することができる。このような実施形態では、第1のカチオンは、ナトリウム、リチウム、又はそれらの組合せを含むことができ、これらは、基板を溶融塩浴に浸漬することによって基板に導入される。強化浴はまた、圧縮応力層の形成に用いられる他の塩も含むことができる。
基板の提供は、製造されたままの物体の選択を含んでもよく、あるいはそれは、製造されたままの物体を後続の工程のいずれかに備える処理に供することを伴うことができる。このような処理の例には、物理的又は化学的洗浄、物理的又は化学的エッチング、物理的又は化学的研磨、アニーリング、成形などが含まれる。
さらには、上記の工程のいずれかの合間に、基板は後続の工程のいずれかに備えて処理を受けることができることに留意すべきである。上述のように、このような処理の例には、物理的又は化学的洗浄、物理的又は化学的エッチング、物理的又は化学的研磨、アニーリング、成形などが含まれる。
変色の低減
概して、物品の光透過率は、選択される材料のタイプに応じて決まる。例えば、ガラス基板が顔料を添加せずに用いられる場合、及び/又は任意選択的な追加の層が十分に薄い場合には、物品は、可視スペクトル全体にわたって少なくとも約85%の透明度を有することができる。例えば、物品が電子機器用のタッチスクリーンの構築に用いられるある特定の事例では、物品の透明度は、可視スペクトルにわたって少なくとも約90%でありうる。基板が顔料を含む(又はその材料成分のために無色ではない)状況及び/又は任意選択的な追加の層が十分に厚い状況では、可視スペクトル全体にわたって不透明になるほどまで、透明度が低下しうる。したがって、物品自体の光透過率には特に制限はない。
透過率と同様に、物品のヘイズも特定の用途に合わせて調整することができる。本明細書で用いられる場合、「ヘイズ」及び「透過ヘイズ」という用語は、その内容が以下に完全に記載されているかのようにその全体がここに参照することにより本明細書に組み込まれる、ASTM手順D1003に準拠して、±4.0°の角錐の外側で散乱される透過光のパーセンテージを指す。光学的に滑らかな表面では、透過ヘイズは概してゼロに近い。物品が電子機器用のタッチスクリーンの構築に用いられる状況では、物品のヘイズは、約5%以下、又はより具体的には約1%以下でありうる。
本明細書に記載される物品の1つ以上の実施形態は、既存の抗菌物品と比較して変色の低減をもたらす。従来の銀イオン交換法を使用すると、銀含有領域の形成によって引き起こされる変色が容易に視覚化されうるが、多くの実施形態では、変色は、表面の残留AgをAgに還元する、水素(H)による還元でのみ検出することができ、これにより、表面の汚れ又は欠陥として容易に視覚化できる。対照的に、開示された方法に従って作られた物品は、H還元に供されても、実質的に変色を示さない可能性がある。変色又は無変色は、定性的及び潜在的に主観的な特徴であるように思われるが、「実質的に変色がない」という多くの定量化可能な指標が存在し、これよりその例を説明する。
この「実質的に変色がない」ことの定量化可能な指標の1つは、時間の経過とともに観察される光透過率の変化に見ることができる。この変化は、銀含有領域の形成後であって、物品がHによって還元される前及び物品がHによって還元された後に測定することができる。概して、本明細書に記載される基板の光透過率は、Hによる還元の前及び後の両方で実質的に同様でありうる。ある特定の実施態様では、Hによる還元後の本明細書に記載される基板の透過率の変化は、約±3%でありうる。他の実施態様では、Hによる還元後の本明細書に記載される基板の透過率の変化は、約±0.5%でありうる。
「実質的に変色がない」ことの別の定量化可能な指標は、約430nmにおける吸光度の変化であり、これは、時間の経過に伴う、基板での(カチオン性銀種からの)金属銀ナノ粒子の形成に関連するプラズモン共鳴に対応する。この変化は、Hによる還元の前及び後に測定することができる。概して、本明細書に記載される基板の約430nmにおける吸光度は、Hによる還元の前及び後の両方で実質的に同様でありうる。ある特定の実施態様では、Hによる還元後の本明細書に記載される基板の約430nmにおける吸光度の変化は、約±25%でありうる。他の実施態様では、Hによる還元後の本明細書に記載される基板の約430nmにおける吸光度の変化は、約±10%でありうる。
変色に対する改善された耐性のさらに別の定量可能な指標は、時間の経過とともに観察されるヘイズの変化である。この変化は、物品のHによる還元の前及び後に測定することができる。概して、Hによる還元後の本明細書に記載される物品の全体的なヘイズは、Hによる還元前の物品のヘイズと実質的に同様でありうる。ある特定の実施態様では、Hによる還元後の本明細書に記載される物品のヘイズの変化は、約±5%でありうる。他の実施態様では、Hによる還元後の本明細書に記載される物品のヘイズの変化は、約±2%でありうる。
変色に対する改善された耐性のさらに別の定量化可能な指標は、時間の経過とともに観察されるCIE1976色空間座標の変化である。この変化は、物品のHによる還元の前及び後に測定することができる。概して、Hによる還元後の本明細書に記載される物品の個々の座標(すなわち、L、a、及びb)は、Hによる還元前の物品の個々の座標と実質的に同様でありうる。ある特定の実施態様では、Hによる還元後の本明細書に記載される物品のL、a、及びb座標の変化は、それぞれ、約±0.2、±0.1、及び±0.1でありうる。他の実施態様では、Hによる還元後の本明細書に記載される物品のL、a、及びb座標の変化は、それぞれ、約±0.1、±0.05、及び±0.05でありうる。
抗菌活性及び効能
本明細書に記載される物品の抗菌活性及び効能は非常に高くなりうる。抗菌活性及び効能は、その内容がここに参照することによりあたかも完全に以下に記載されているかのように本明細書に組み込まれる、日本工業規格JIS Z 2801(2000)「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果(Antimicrobial Products- Test for Antimicrobial Activity and Efficacy)」に準拠して測定することができる。この試験の「湿潤」条件下(すなわち、約37℃及び90%超の湿度で約24時間)では、本明細書に記載される抗菌物品は、少なくとも黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、及び緑膿菌の細菌の濃度において少なくとも2の対数減少(又は99%の殺菌率)を示すことができる。ある特定の実施態様では、本明細書に記載される抗菌物品は、試験条件下で曝露される任意の細菌の濃度において少なくとも5の対数減少を示すことができる。
多くの実施形態では、物品の抗菌活性及び効能はAgの浸出と直線的に相関するため、浸出試験をJIS Z 2801試験の代用試験として使用することができる。例えば、浸出液中の70ppbのAgは、2を超える対数殺滅効果を示す。浸出試験は、高温、高湿度、及び/又は高圧で、Agの浸出を加速又は増加させることができる添加剤を用いて行うことができる。このような浸出試験は、抗菌効果を正確に予測することができ、高いスループットを提供することができ、製造用のQCツールとして展開させることができる。
物品
ひとたび物品が形成されると、それは、物品が望ましくない微生物と接触するようになるさまざまな用途に使用することができる。これらの用途には、幾つかの機器を挙げれば、さまざまな電子機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ、タブレット、全地球測位システムナビゲーションデバイスなど)、電子機器の非タッチ感応式部品、家電製品の表面(例えば、冷蔵庫、電子レンジ、コンロ、オーブン、食洗機、洗濯機、乾燥機など)、医療機器、生物学的又は医療用の包装容器、及び車両部品などのためのタッチ感応式ディスプレイスクリーン又はカバープレートが含まれる。
本明細書に開示される強化された抗菌物品のいずれかを組み込む例示的な物品が図6A及び6Bに示されている。具体的には、図6A及び6Bは、前面604、背面606、及び側面608を有する筐体602;筐体内部に少なくとも部分的に、又は筐体内に全体的にあり、少なくともコントローラと、メモリと、筐体の前面にある又はそれに隣接するディスプレイ610とを含む電気部品(図示せず);並びに、ディスプレイの上方になるように、筐体の前面又はその上にあるカバー基板612を含む、消費者向け電子機器600を示している。幾つかの実施形態では、カバー基板612は、本明細書に開示される強化された抗菌物品のいずれかを含むことができる。
本明細書に記載される改良された物品の潜在的な用途の幅を考えると、特定の物品の特定の特徴又は特性は、その最終的な用途又はその使用に応じて決まることが理解されるべきである。しかしながら、以下の説明は、幾つかの一般的な考慮事項を提供する。
上記のように、銀含有領域の厚さは、物品の目に見える変色又は着色を回避し、基板内のカチオン性銀の抗菌効果を最大にするために制限されうる。銀含有領域の厚さは圧縮応力層のDOC未満でありうる。幾つかの実施形態では、圧縮応力層のDOCと同様に、1つ以上の実施形態における銀含有領域の厚さは、基板の厚さの約3分の1未満でありうる。幾つかの代替的な実施形態では、銀含有領域の厚さは、最大で約100μm、最大で約150μm、最大で約300μm、又は最大で基板の全厚さでありうる。しかしながら、正確な厚さは、銀含有領域の形成方法に応じて異なる。
例えば、銀含有領域が圧縮応力層の前又は後に形成され、両方が化学イオン交換を介して形成される場合、銀含有領域の厚さは、概して、約20μm以下でありうる。多くのこのような事例では、銀含有領域の厚さは、約10μm以下、約5μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.2μm以下、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。銀含有領域の最小厚さは約10nmでありうる。幾つかの実施形態では、銀含有領域の厚さは、約5μm〜約8μm又は約2μm〜約85μmの範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲である。
対照的に、銀含有領域が圧縮応力層と同時に形成され、その両方が化学イオン交換を介して形成される場合、銀含有領域の厚さは、概して、最大で約150μmでありうる。幾つかの実施形態では、銀含有領域の厚さは、約20μm〜約100μm、約20μm〜約150μm、又は約20μm〜約300μmの範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。
タッチアクセス又はタッチ操作される電子機器などの用途に特に有利でありうる特定の実施形態では、抗菌物品は、化学的に強化された(イオン交換された)アルカリアルミノケイ酸塩の平坦なガラスシートから形成される。ガラスシートの厚さは約1mm以下であり、ガラスシートの各主面のイオン交換された圧縮応力層のDOCは約40μm〜約200μmであってよく、各主面の圧縮応力層の深さにわたるCSは約400MPa〜約1.1GPaでありうる。圧縮応力層の形成後に行われる第2のイオン交換工程によって形成される銀含有領域の厚さは、約500nm〜約10μmでありうる。銀含有領域の最も外側の(すなわち、ガラス基板表面に最も近い)5nmにおいて、約0モル%〜約2モル%のAgO濃度を達成することができる。この抗菌物品は、可視スペクトル全体にわたり少なくとも約90%の初期光透過率及び1%未満のヘイズを有することができる。
本明細書に記載される抗菌ガラス物品の実施形態は、機械的性能の改善を示す。1つ以上の実施形態では、物品は、本明細書に記載されるようなリング・オン・リング荷重対破損試験で測定して、約250kgf(約2.452kN)以上の平均曲げ強度を示す。平均曲げ強度は、周囲温度における高性能セラミックの単調等二軸曲げ強度についてのASTM C−1499−03標準試験方法に準拠して行われるリング・オン・リング試験などの既知の方法で測定することができる。本明細書で用いられる場合、「平均曲げ強度」という用語は、リング・オン・リング試験などの方法によって試験したときの物品の曲げ強度を指すことが意図されている。「平均」という用語は、平均曲げ強度又は任意の他の特性に関連して用いられる場合には、少なくとも5つの試料、少なくとも10の試料、又は少なくとも15の試料、又は少なくとも20の試料におけるこのような特性の測定値の数学的平均に基づいている。平均曲げ強度とは、リング・オン・リング試験下の破損荷重の2パラメータ・ワイブル統計のスケールパラメータのことを指しうる。このスケールパラメータは、ワイブル特性強度とも呼ばれ、その強度での脆性材料の破損確率は63.2%である。
圧縮応力及びDOCは、当技術分野で知られている手段を使用して測定することができる。圧縮応力(表面CSを含む)は、折原製作所(日本所在)製造のFSM−6000などの市販の機器を使用する表面応力計(FSM)によって測定することができる。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依拠している。SOCは、その内容全体がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、「ガラス応力−光学係数の測定のための標準試験方法(Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient)」と題されたASTM規格C770−16に記載される手順C(ガラスディスク法)に準拠して測定される。本明細書で用いられる場合、DOCとは、本明細書に記載される物品の応力が圧縮から引張に変化する深さを意味する。DOCは、イオン交換処理に応じて、FSMまたは散乱光偏光器(SCALP)によって測定することができる。カリウムイオンをガラス物品内へと交換することによってガラス物品の応力が発生する幾つかの実施形態では、FSMを使用してDOCを測定する。ナトリウムイオンをガラス物品内へと交換することによって応力が発生する場合には、SCALPを使用してDOCを測定する。カリウムとナトリウムの両方のイオンをガラス内へと交換することによってガラス物品内の応力が生じる場合には、ナトリウムの交換深さはDOCを示し、カリウムイオンの交換深さは圧縮応力の規模の変化(ただし、圧縮から引張への応力変化ではない)を示すと考えられていることから、DOCはSCALPで測定される;このようなガラス物品中のカリウムイオンの交換深さは、FSMによって測定することができる。
ある特定の実施態様では、物品は、基板の表面に配置された追加の層を含むことができる。任意選択的な追加の層を使用して、物品に追加の特徴(例えば、反射抵抗又は反射防止特性、グレア耐性又は防眩特性、耐指紋性又は指紋防止特性、耐汚れ性又は汚れ防止、色、不透明度、耐環境保護、電子機能など)を提供することができる。任意選択的な追加の層の形成に使用できる材料は、概して、本開示に関係する当業者に知られている。
ある特定の事例では、物品の主面の一方は、その上に配置された反射防止コーティング及び/又は指紋防止コーティングを有することができる。反射防止コーティング及び/又は指紋防止コーティングの堆積後(これには、200℃を超える温度、80%を超える相対湿度、及び堆積前及び/又は堆積後のプラズマ洗浄ステップへの曝露が含まれうる)、抗菌物品は、可視スペクトルにわたって少なくとも約90%の光透過率及び1%未満のヘイズを有することができる。加えて、反射防止コーティング及び/又は指紋防止コーティングの堆積後の物品のL、a、及びb座標の変化(コーティングされていない物品に対して)は、それぞれ、約±0.15、±0.08、及び±0.08未満でありうる。このような抗菌物品は、電子機器用のタッチスクリーンディスプレイの製造に使用することができ、望ましい強度、光学特性、抗菌挙動、及び変色の低減を提供する。加えて、このような抗菌物品は、JIS Z 2801の試験条件下で曝露された細菌の濃度において少なくとも5の対数減少を示すことができる。
任意選択的な追加の層が用いられる場合には、このような層の厚さは、それが提供する機能に応じて決まる。例えば、防眩層及び/又は反射防止層が実装される場合、このような層の厚さは約200nm以下でなければならない。これよりも大きい厚さを有するコーティングは、グレア及び/又は反射抵抗特性を無効にするような方法で光を散乱させる可能性がある。同様に、耐指紋性及び/又は耐汚れ性の層が実装される場合、このような層の厚さは約100nm以下でなければならない。
選択される材料に応じて、追加の層はさまざまな技術を使用して形成することができる。例えば、任意選択的な追加の層は、支援CVD、有機金属CVDなど)、物理蒸着(PVD)の変形のいずれか(例えば、イオン支援PVD、パルスレーザ蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリングなど)、スプレーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェット、ゾル−ゲル処理などを使用して独立して製造することができる。このようなプロセスは、本開示が関係する当業者に知られている。基板及び任意選択的な追加の層に用いられる材料の選択は、最終物品に望まれる特定の用途に基づいて行うことができる。
以下の実施例によって、さまざまな実施形態がさらに明らかになるであろう。
実施例1
抗菌ガラス物品の製造
50mm幅×50mm長さ×0.7mm厚のサイズを有するガラスの試料(およそ67.37モル%のSiO、3.67モル%のB、12.73モル%のAl、13.77モル%のNaO、0.01モル%のKO、2.39モル%のMgO、0.01モル%のFe、0.01モル%のZrO、及び0.09モル%のSnOの組成を有する)を、420℃で5時間、100%KNO溶融塩を含む第1の溶融浴中でイオン交換した。次に、試料をグループA〜Dに分け、表1に列挙されている組成及び条件を有する第2の溶融塩浴中でイオン交換した。第2のイオン交換の後、試料を脱イオン水及び洗剤洗浄で洗浄した。酸化銀に基づいた銀濃度を、二次イオン質量分析(SIMS)を使用して深さの関数として測定し、グループA〜Dの各サンプルの結果を図5に示している。
Figure 2020532484
図5に見られるように、第2の溶融塩浴中に塩化物アニオンを含んでいたグループB及びCは、AgO濃度が概して最初の200nm(0.2μm)にわたって増加し、200nmにおけるAgO濃度は40nmにおけるAg濃度よりも高くなった。さらに塩化物を添加すると(グループB)、40nmでのAgO濃度がさらに低下し、表面からのAg浸出が減少した。第2の溶融浴中に硝酸アニオンだけを有していたグループAは、約40nmでAgO濃度が最も高くなり、AgO濃度は、概して、最初の200nm(0.2μm)にわたって低下し、40nmにおけるAgO濃度は200nmにおけるAgO濃度よりも高くなった。硫酸イオンを含んでいたグループDは、AgO濃度は、概して、最初の200nm(0.2μm)にわたって低下し、40nmにおけるAgO濃度は200nmにおけるAgO濃度よりも高くなった。しかしながら、グループDでは、表面(5nm以内)のAgO濃度と40nmにおけるAgO濃度はグループAの濃度よりもはるかに低く、グループDの200nmにおけるAgO濃度と40nmにおけるAgO濃度との差もグループAより小さくなった。
グループA〜Dのそれぞれの試料を水素環境において400℃で1時間処理し、続いて目視検査して、表面に汚れの欠陥が含まれているかどうかを決定した。銀の汚れの欠陥は、上記の処理後、はるかに容易に現れた。上記表1に示すように、グループA及びDでは汚れが観察されたが、B及びCでは観察されなかった。したがって、第2の溶融浴中に塩化物イオンを含めることにより、上記の条件下で汚れの形成が防止された。水素処理後もグループBでは汚れがまだ観察されたが、グループAよりは目立たなかった。
グループA〜Dのそれぞれからの試料を以下の浸出試験に供して、試料の抗菌性能を評価した。各試料の1.5インチ×1.5インチ(約3.81cm×約3.81cm)の領域を700μLの10mMのNaNO溶液で覆い、60℃で2時間、加熱した。処理後、各試料から溶液を回収し、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)を使用して銀イオン濃度を測定した。結果を上記表1に示す。追加のアニオンを第2の溶融浴に導入すると、試料からのAgの溶出が減少した。グループB及びDは、70ppbを超えるAg浸出を示し、これは、JIS Z 2801(2000)試験条件下で、ある濃度の少なくとも黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、及び緑膿菌の細菌において、おそらく少なくとも2の対数減少を示唆している。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
物品であって、
前記基板の表面からその中の第1の深さまで内側に延びる圧縮応力層と、前記基板の前記表面からその中の第2の深さまで内側に延びる銀含有領域とを含む基板
を備えており、
200ナノメートル(nm)の深さにおけるAgO濃度が、40nmの深さにおけるAgO濃度より大きい、
物品。
実施形態2
前記第2の深さが前記第1の深さ未満である、実施形態1に記載の物品。
実施形態3
前記基板の前記表面に配置された追加の層をさらに含む、実施形態1又は2に記載の物品。
実施形態4
前記追加の層が、反射防止コーティング、防眩コーティング、指紋防止コーティング、汚れ防止コーティング、色付与組成物、耐環境性コーティング、又は導電性コーティングを含む、実施形態3に記載の物品。
実施形態5
前記圧縮応力層の最大圧縮応力が約200メガパスカル(MPa)〜約1.2ギガパスカル(GPa)の範囲であり、前記圧縮応力層の深さが約200マイクロメートル(μm)未満である、実施形態1〜4のいずれかに記載の物品。
実施形態6
前記銀含有領域が約150μm以下の深さを有する、実施形態1〜5のいずれかに記載の物品。
実施形態7
前記物品が実質的に変色を示さず、
水素(H)による還元後に光透過率に対して約3パーセント以下の前記物品の光透過率の変化、
による還元後にヘイズに対して約5パーセント以下の前記物品のヘイズ変化、及び
による還元後にそれぞれ約±0.2、±0.1、及び±0.1以下の前記物品のCIE1976色座標L、a、及びbの変化
のうちの少なくとも1つによって決定して、実質的に変色が生じない、
実施形態1〜6のいずれかに記載の物品。
実施形態8
1.5インチ×1.5インチ(約3.81cm×約3.81cm)のサイズを有する物品を10mMのNaNOの700μL溶液に60℃で2時間、浸漬した後、前記物品が、最大で約100パーツ・パー・ビリオン(ppb)の銀イオンを溶液中に浸出する、実施形態1〜7のいずれかに記載の物品。
実施形態9
前記物品が、JIS Z 2801(2000)試験条件下で、ある濃度の少なくとも黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、及び緑膿菌(Pseudomomas aeruginosa)の細菌において、少なくとも2の対数減少を示す、実施形態1〜8のいずれかに記載の物品。
実施形態10
前記基板が、ガラス、ガラスセラミック、及びセラミック組成物のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜9のいずれかに記載の物品。
実施形態11
前記物品が、電子機器のタッチ感応式ディスプレイスクリーン又はカバープレートの一部、電子機器の非タッチ感応式部品、家電製品の表面、医療機器の表面、生物学的又は医療用包装容器、若しくは車両部品の表面を含む、実施形態1〜10のいずれかに記載の物品。
実施形態12
消費者向け電子製品において、
前面、背面、及び側面を有する筐体;
少なくとも部分的に前記筐体内に設けられた電気部品であって、該電気部品が少なくともコントローラ、メモリ、及びディスプレイを備えており、該ディスプレイが前記筐体の前記前面又はそれに隣接して設けられている、電気部品;及び
前記ディスプレイの上に配置されたカバー基板
を備えており、
前記筐体の一部又は前記カバー基板のうちの少なくとも一方が、実施形態1〜11のいずれかに記載の物品を含む、
消費者向け電子製品。
実施形態13
物品であって、
前記基板の表面からその中の第1の深さまで内側に延びる圧縮応力層と、前記基板の前記表面からその中の第2の深さまで内側に延びる銀含有領域とを含む基板
を備えており、
前記基板の前記表面にわたり、最大AgO濃度[Agmax]と最小AgO濃度[Agmin]とが存在し、[Agmax]−[Agmin]が約0.5モル%以下である、
物品。
実施形態14
前記第2の深さが前記第1の深さ未満である、実施形態13に記載の物品。
実施形態15
前記基板の前記表面に配置された追加の層をさらに含む、実施形態13又は14に記載の物品。
実施形態16
前記追加の層が、反射防止コーティング、防眩コーティング、指紋防止コーティング、汚れ防止コーティング、色付与組成物、耐環境性コーティング、又は導電性コーティングを含む、実施形態15に記載の物品。
実施形態17
前記圧縮応力層の最大圧縮応力が約200MPa〜約1.2GPaであり、前記圧縮応力層の深さが約200μm未満である、実施形態13〜16のいずれかに記載の物品。
実施形態18
前記銀含有領域が約150μm以下の深さを有する、実施形態13〜17のいずれかに記載の物品。
実施形態19
前記物品が実質的に変色を示さず、
水素(H)による還元後に光透過率に対して約3パーセント以下の前記物品の光透過率の変化、
による還元後にヘイズに対して約5パーセント以下の前記物品のヘイズ変化、及び
による還元後に前記物品のCIE1976色座標L、a、及びbのそれぞれ約±0.2、±0.1、及び±0.1以下の変化
のうちの少なくとも1つによって決定して、実質的に変色が生じない、
実施形態13〜18のいずれかに記載の物品。
実施形態20
1.5インチ×1.5インチ(約3.81cm×約3.81cm)のサイズを有する物品を10mMのNaNOの700μL溶液に60℃で2時間、浸漬した後、前記物品が、最大で約100パーツ・パー・ビリオン(ppb)の銀イオンを溶液中に浸出する、実施形態13〜19のいずれかに記載の物品。
実施形態21
前記物品が、JIS Z 2801(2000)試験条件下で、ある濃度の少なくとも黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、及び緑膿菌の細菌において、少なくとも2の対数減少を示す、実施形態13〜20のいずれかに記載の物品。
実施形態22
前記基板が、ガラス、ガラスセラミック、及びセラミック組成物のうちの少なくとも1つを含む、実施形態13〜21のいずれかに記載の物品。
実施形態23
前記物品が、電子機器のタッチ感応式ディスプレイスクリーン又はカバープレートの一部、電子機器の非タッチ感応式部品、家電製品の表面、医療機器の表面、生物学的又は医療用包装容器、若しくは車両部品の表面を含む、実施形態13〜22のいずれかに記載の物品。
実施形態24
[Agmax]−[Agmin]が約0.3モル%以下である、実施形態13〜23のいずれかに記載の物品。
実施形態25
消費者向け電子製品において、
前面、背面、及び側面を有する筐体;
少なくとも部分的に前記筐体内に設けられた電気部品であって、前記電気部品が少なくともコントローラ、メモリ、及びディスプレイを備えており、前記ディスプレイが前記筐体の前記前面又はそれに隣接して設けられている、電気部品;及び
前記ディスプレイの上に配置されたカバー基板
を備えており、
前記筐体の一部又は前記カバー基板のうちの少なくとも一方が、実施形態13〜24のいずれかに記載の物品を含む、
消費者向け電子製品。
実施形態26
物品の製造方法であって、
少なくとも基板の表面を少なくとも1種類のアニオンを含む銀含有媒体と接触させて、前記基板の前記表面から第1の深さまで内側に延びる銀含有領域を前記基板内に形成する工程
を含み、
200ナノメートル(nm)の深さにおけるAgO濃度が、40nmの深さにおけるAgO濃度より大きい、
方法。
実施形態27
前記少なくとも1種類のアニオンが、Cl、SO 2−、、I、Br、CO 2−、PO 、及びそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態26に記載の方法。
実施形態28
前記基板の前記表面から第2の深さまで内側に延びる圧縮応力層を形成する工程をさらに含む、実施形態26又は27に記載の方法。
実施形態29
前記銀含有領域を形成する工程と前記圧縮応力層を形成する工程とが同時に行われる、実施形態28に記載の方法。
実施形態30
前記銀含有媒体が銀カチオンを含む溶融塩浴である、実施形態26〜29のいずれかに記載の方法。
実施形態31
前記溶融塩浴がNaNO及びKNOのうちの少なくとも一方をさらに含む、実施形態30に記載の方法。
実施形態32
前記銀カチオンが、前記溶融塩浴の総重量に基づいて、約0.1質量%〜約10質量%の範囲の量で存在する、実施形態30又は31に記載の方法。
実施形態33
前記少なくとも1種類のアニオンが、前記溶融塩浴の総重量に基づいて、約0.01質量%〜約10質量%の範囲の量で存在する、実施形態30又は31に記載の方法。
実施形態34
前記銀含有媒体が約350℃〜約450℃の範囲の温度へと加熱される、実施形態26〜33のいずれかに記載の方法。
実施形態35
前記基板を前記銀含有媒体と接触させる工程が、約10分間〜約10時間の範囲の持続時間で行われる、実施形態26〜34のいずれかに記載の方法。
実施形態36
前記基板の前記表面の少なくとも一部の上に追加の層を形成する工程をさらに含み、前記追加の層が、反射防止コーティング、防眩コーティング、指紋防止コーティング、汚れ防止コーティング、色付与組成物、耐環境性コーティング、及び導電性コーティングからなる群より選択される、実施形態26〜35のいずれかに記載の方法。
実施形態37
前記物品の表面から内側に40nmの深さにおける前記AgO濃度が最大で約2モル%である、実施形態26〜36のいずれかに記載の方法。
実施形態38
前記物品の前記表面にわたり、最大AgO濃度[Agmax]と最小AgO濃度[Agmin]とが存在し、[Agmax]−[Agmin]が約0.5モル%以下である、実施形態26〜37のいずれかに記載の方法。
実施形態39
[Agmax]−[Agmin]が約0.3モル%以下である、実施形態38に記載の方法。
実施形態40
前記物品が実質的に変色を示さず、
水素(H)による還元後に光透過率に対して約3パーセント以下の前記物品の光透過率の変化、
による還元後にヘイズに対して約5パーセント以下の前記物品のヘイズ変化、及び
による還元後にそれぞれ約±0.2、±0.1、及び±0.1以下の前記物品のCIE1976色座標L、a、及びbの変化
のうちの少なくとも1つによって決定して、実質的に変色が生じない、
実施形態26〜39のいずれかに記載の物品。
10 ガラス物品
12 第1の表面
14 容器
20 強化浴
22 拡散深さ
24 圧縮応力層
24a 銀含有領域
32 第2の深さ
34 容器
40 抗菌浴
100抗菌ガラス物品の製造方法
120 沈漬工程
130 洗浄工程
140 沈積工程
200 抗菌ガラス物品
600 消費者向け電子機器
602 筐体
604 前面
606 背面
608 側面
610 ディスプレイ
612 カバー基板

Claims (10)

  1. 物品であって、
    基板の表面からその中の第1の深さまで内側に延びる圧縮応力層と、前記基板の表面からその中の第2の深さまで内側に延びる銀含有領域とを含む基板
    を備えており、
    200ナノメートル(nm)の深さにおけるAgO濃度が、40nmの深さにおけるAgO濃度より大きい、
    物品。
  2. 前記第2の深さが前記第1の深さ未満である、請求項1に記載の物品。
  3. 前記基板の表面に配置された追加の層をさらに含み、該追加の層が、反射防止コーティング、防眩コーティング、指紋防止コーティング、汚れ防止コーティング、色付与組成物、耐環境性コーティング、又は導電性コーティングを含む、請求項1又は2に記載の物品。
  4. 前記圧縮応力層の最大圧縮応力が約200メガパスカル(MPa)〜約1.2ギガパスカル(GPa)の範囲であり、前記圧縮応力層の深さが約200マイクロメートル(μm)未満であり、前記銀含有領域が約150μm以下の深さを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
  5. 消費者向け電子製品において、
    前面、背面、及び側面を有する筐体;
    少なくとも部分的に前記筐体内に設けられた電気部品であって、該電気部品が少なくともコントローラ、メモリ、及びディスプレイを備えており、該ディスプレイが前記筐体の前記前面又はそれに隣接して設けられている、電気部品;及び
    前記ディスプレイの上に配置されたカバー基板
    を備えており、
    前記筐体の一部又は前記カバー基板のうちの少なくとも一方が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品を含む、
    消費者向け電子製品。
  6. 物品であって、
    前記基板の表面からその中の第1の深さまで内側に延びる圧縮応力層と、前記基板の前記表面からその中の第2の深さまで内側に延びる銀含有領域とを含む基板
    を備えており、
    前記基板の前記表面にわたり、最大AgO濃度[Agmax]と最小AgO濃度[Agmin]とが存在し、[Agmax]−[Agmin]が約0.5モル%以下である、
    物品。
  7. 物品の製造方法であって、
    少なくとも基板の表面を少なくとも1種類のアニオンを含む銀含有媒体と接触させて、前記基板の前記表面から第1の深さまで内側に延びる銀含有領域を前記基板内に形成する工程
    を含み、
    200ナノメートル(nm)の深さにおけるAgO濃度が、40nmの深さにおける前記AgO濃度より大きい、
    方法。
  8. 前記少なくとも1種類のアニオンが、Cl、SO 2−、、I、Br、CO 2−、PO 、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記基板の前記表面から第2の深さまで内側に延びる圧縮応力層を形成する工程をさらに含む、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 前記銀含有媒体が銀カチオンを含む溶融塩浴であり、前記銀カチオンが、前記溶融塩浴の総重量に基づいて、約0.1質量%〜約10質量%の範囲の量で存在し、前記少なくとも1種類のアニオンが、前記溶融塩浴の総重量に基づいて、約0.01質量%〜約10質量%の範囲の量で存在する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
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