JP2001302792A - ポリアミド樹脂およびその組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂およびその組成物

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JP2001302792A
JP2001302792A JP2000123968A JP2000123968A JP2001302792A JP 2001302792 A JP2001302792 A JP 2001302792A JP 2000123968 A JP2000123968 A JP 2000123968A JP 2000123968 A JP2000123968 A JP 2000123968A JP 2001302792 A JP2001302792 A JP 2001302792A
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dicarboxylic acid
acid
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JP2000123968A
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Koichi Uchida
光一 内田
Tomohiro Okamoto
知大 岡本
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高湿度下において高いガスバリアー性を有
し、かつ溶融成形性に優れたポリアミド樹脂、それを含
む組成物並びにそれらの成形品を提供すること。 【解決手段】 炭素数9の脂肪族ジアミン単位(A1)
とメタキシリレンジアミン単位(A2)とから主として
なり、A1とA2のモル比が10:90〜30:70で
あるジアミン単位(A)と、芳香族ジカルボン酸または
その誘導体から誘導される単位(B1)を全ジカルボン
酸単位に対して60モル%以上含有するジカルボン酸単
位(B)とからなるポリアミド樹脂、そのポリアミド樹
脂と層状無機物からなる組成物、並びにそれらからなる
成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリアミド
樹脂およびそれと層状無機物からなる組成物並びにそれ
らからなる成形品に関する。本発明により提供されるポ
リアミド樹脂は、非晶性であるので溶融成形性に優れ、
さらに低吸水性でかつ高ガスバリアー性であるので、高
湿度下においてもガスバリアー性に優れており、単独
で、また組成物として成形に供することによって、食品
包装などガスバリアー性が要求されるフィルムなどの成
形品にすることができる。
【0002】
【従来の技術】近年、ガスバリアー性に優れた材料とし
て、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、これ
をEVOHと略称する)が使用されているが、EVOH
は成形時における熱安定性が必ずしも良好ではなく、ま
た高湿度下ではバリアー性が低下するなどの傾向が認め
られる。
【0003】そこで、溶融時の熱安定性に優れ、かつガ
スバリアー性を有する樹脂についての研究がなされ、メ
タキシリレンジアミンとアジピン酸からなるポリアミド
樹脂(以下、MXD6と略称する)が創出された(特開
昭58−111829号公報参照)が、この樹脂は高湿
度下でガスバリアー性が低下し、また結晶性であるため
に溶融に高温を有し、ポリプロピレン等の低融点材料と
の共押出成形には好適な材料ではない。
【0004】また、非晶性で優れたガスバリアー性を示
すポリアミド樹脂として、MXD6をイソフタル酸やテ
レフタル酸といった芳香族ジカルボン酸で変性したポリ
アミド樹脂が提案された(特開昭63−267548号
公報および特開平6−287298号公報参照)が、こ
の樹脂も吸湿によってガスバリアー性が低下する。そこ
で、疎水性を付与するために、メタキシリレンジアミン
とヘキサメチレンジアミンをジアミン成分とするポリア
ミド樹脂が提案された(特開平1−319531号公報
および特開平2−60928号公報参照)が、かかる樹
脂では、ヘキサメチレンジアミンの疎水性効果が小さい
ために、吸湿性が阻害されるには至っていない。上記の
ポリアミド樹脂は、EVOHに比べて優れた溶融成形性
を示すものの、必ずしも満足のいくガスバリアー性を有
してはいない。
【0005】また、ポリアミド樹脂内に層状無機物を均
一に分散させた組成物において、層状無機物の添加量を
多くすればガスバリアー性および剛性が向上することが
知られているが、ポリアミド樹脂の特徴である引張り伸
びが著しく低下するという問題が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のポリ
アミド樹脂はいずれもEVOHよりもガスバリアー性能
が劣っており、しかも保有するガスバリアー性能は高湿
度下で低下するという欠点を有する。
【0007】しかして、本発明の目的は、溶融成形性に
優れ、かつ高湿度下においても高いガスバリアー性を有
するポリアミド樹脂を提供することにある。本発明の他
の目的は、上記のポリアミド樹脂の優れた性能を保持
し、かつガスバリアー性能をさらに向上させた組成物を
提供することにある。本発明のさらに他の目的は、上記
のポリアミド樹脂または組成物からなり、ガスバリアー
性能に優れる成形品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
ついて鋭意検討を重ねた結果、炭素数9のジアミンが高
い疎水性効果を有すること、かかるジアミンを含む特定
の成分からなるポリアミド樹脂が高湿度下においても高
いガスバリアー性を有することを見出し、本発明を完成
させるに至った。
【0009】本発明によれば、上記の目的は、炭素数9
の脂肪族ジアミン単位(A1)とメタキシリレンジアミ
ン単位(A2)とから主としてなり、A1とA2のモル
比が10:90〜30:70であるジアミン単位(A)
と、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体から誘導され
る単位(B1)を全ジカルボン酸単位に対して60モル
%以上含有するジカルボン酸単位(B)とからなるポリ
アミド樹脂、当該ポリアミド樹脂と層状無機物からなる
組成物、並びにそれらからなる成形品を提供することに
よって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のポリアミド樹脂を構成す
るジアミン単位(A)は、炭素数9の脂肪族ジアミン単
位(A1)およびメタキシリレンジアミン単位(A2)
から主としてなり、A1とA2のモル比が10:90〜
30:70の範囲にある必要がある。
【0011】A1としては、例えば1,9−ノナンジア
ミン、1,8−ノナンジアミン、1,7−ノナンジアミ
ン、1,6−ノナンジアミン、1,5−ノナンジアミ
ン、2,8−ノナンジアミン、2,7−ノナンジアミ
ン、2,6−ノナンジアミン、2,5−ノナンジアミ
ン、3,7−ノナンジアミン、3,6−ノナンジアミ
ン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチ
ル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−
オクタンジアミン、6−エチルアミノ−1−ヘプタンア
ミン、3−エチル−1,7−ヘプタンジアミン、4−エ
チル−1,7−ヘプタンジアミン、2,6−ジメチル−
1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7
−ヘプタンジアミンなどから誘導される単位が挙げられ
る。これらの中でも、1,9−ノナンジアミンおよび2
−メチル−1,8−オクタンジアミンから誘導される単
位が好ましい。上記のA1とA2のモル比は、15:8
5〜25:75の範囲にあるのが好ましい。A1が全ジ
アミン単位に対して10モル%に満たないポリアミド樹
脂は、機械的物性が著しく劣り、またA1が全ジアミン
単位に対して30モル%を超えるポリアミド樹脂は、ガ
スバリアー性が顕著に劣る。
【0012】本発明のポリアミド樹脂を構成するジカル
ボン酸単位(B)は、芳香族ジカルボン酸またはその誘
導体から誘導される単位(B1)を全ジカルボン酸単位
に対して60モル%以上含有する。B1としては、例え
ばイソフタル酸、テレフタル酸、2,5−ピリジンジカ
ルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4
−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカル
ボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ヒドロ
キシイソフタル酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカ
ルボン酸などから誘導される単位が挙げられ、これらの
1種を単独で使用しても2種以上を混合物として使用し
てもよい。B1の中でも、炭素数が7〜20であるもの
が好ましく、炭素数が8〜14であるものがより好まし
く、特にイソフタル酸またはテレフタル酸から誘導され
る単位が最も好ましい。B1が全ジカルボン酸単位に対
して60モル%に満たないポリアミド樹脂は、ガスバリ
アー性が顕著に劣る。
【0013】本発明のポリアミド樹脂を構成するジカル
ボン酸単位(B)のうち、B1以外の単位としては、飽
和脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体から誘導される
単位(B2)が好ましい。B2としては、例えばアジピ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン
酸、ピメリン酸、コルク酸などから誘導される単位が挙
げられ、これらの1種を単独で使用しても2種以上を混
合物として使用してもよい。B2の中でも、その炭素数
が5〜20であるものが好ましく、6〜12であるもの
がより好ましく、特にアジピン酸から誘導される単位が
特に好ましい。B2が全ジカルボン酸単位に対して40
モル%を超えるポリアミド樹脂は、ガスバリアー性が顕
著に劣る。
【0014】上記の芳香族ジカルボン酸または飽和脂肪
族ジカルボン酸の誘導体としては、例えばエチレングリ
コール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オールなどの低級アルキレングリコールとのエステルが
挙げられる。
【0015】本発明のポリアミド樹脂は、相対粘度が
1.8〜4.5の範囲にあるものが好ましい。相対粘度
が1.8に満たない場合には、ポリアミド樹脂の機械物
性が低下する傾向にあり、また相対粘度が4.5を越え
る場合には、ポリアミド樹脂の溶融時の粘度が高くな
り、溶融成形が困難になる傾向にあり、いずれも好まし
くない。
【0016】本発明のポリアミド樹脂は、例えば初期重
合(前重合)工程、溶融重合(後重合)工程からなる二
段階重合法により製造することができる。この二段階重
合法について以下に説明する。
【0017】初期重合工程においては、例えば、本発明
のポリアミド樹脂の上記ジアミン単位(A)およびジカ
ルボン酸単位(B)を与える原料化合物および/または
それらの塩を水溶液の形で予め所定割合に混合し、得ら
れた混合液を必要に応じて所定量の水と共に重合槽に仕
込み、攪拌しながら所定条件で重合することによりオリ
ゴマーを得る。
【0018】上記の原料化合物の混合割合は、初期重合
工程において、炭素数9の脂肪族ジアミン単位(A1)
とメタキシリレンジアミン単位(A2)とから主として
なり、A1とA2のモル比が10:90〜30:70で
あるジアミン単位(A)と、芳香族ジカルボン酸または
その誘導体から誘導される単位(B1)を全ジカルボン
酸単位に対して60モル%以上含有するジカルボン酸単
位(B)とからなるオリゴマーが得られるように設定す
る必要がある。
【0019】初期重合工程における重合温度は150〜
250℃の範囲に設定するのが好ましい。重合温度が2
50℃を越えると、副反応が生起し易くなり、オリゴマ
ー中の第2級アミンのアミノ基濃度が増加し、オリゴマ
ーの着色または溶融重合時のゲル化が発生し易くなる傾
向にある。また重合温度が150℃に満たないと、重合
時間が著しく長くなるため非効率であり、生産性の面か
ら望ましくない。
【0020】初期重合工程は加圧状態であるのが好まし
い。重合系内の圧力は、前記の重合温度において、水蒸
気圧力が3kgf/cm2以上で飽和水蒸気圧力以下の
範囲であるのが望ましい。水蒸気圧力が3kgf/cm
2未満であると、重合系内の原料化合物および水が均一
に攪拌されないような現象が発生してしまうことがあり
好ましくない。
【0021】重合槽内に仕込む水としては、特に制限さ
れるものではないが、イオン交換水などの純水または蒸
留水が好ましい。仕込む水の量は、原料化合物100重
量部当り100重量部以下であるのが好ましく、80重
量部以下であるのがより好ましい。水の量が原料化合物
100重量部に対して100重量部を越えると、原料化
合物の重縮合反応が十分に進行せず、得られるオリゴマ
ーの重合度が小さくなり、溶融重合工程において重合度
が向上しなくなる現象が発生するので好ましくない。
【0022】初期重合工程より得られるオリゴマーの相
対粘度は、0.5以上であるのが好ましく、0.5〜
1.5の範囲であるのがより好ましい。オリゴマーの相
対粘度が0.5未満であると、溶融重合工程において重
合度が向上しなくなるので好ましくない。また、オリゴ
マーの相対粘度が1.5を越えると、副反応が生起し易
くなり、オリゴマー中の第2級アミンのアミノ基濃度が
増加し、オリゴマーの着色または溶融重合時のゲル化が
発生し易くなる傾向にあり好ましくない。初期重合によ
って生じる水を系外に留去した後、得られたオリゴマー
を溶融重合工程に移すが、留去する水の量はオリゴマー
の相対粘度が0.5〜1.5になるように調節するのが
望ましい。
【0023】初期重合は、窒素ガスなどの不活性ガス雰
囲気下で行うのが望ましい。雰囲気中に空気などが存在
すると、副反応が生起し易くなり、オリゴマー中の第2
級アミンのアミノ基濃度が増加し、オリゴマーの着色ま
たは溶融重合時のゲル化が発生し易くなる傾向にあり好
ましくない。
【0024】初期重合工程で得られたオリゴマーを溶融
重合することにより本発明のポリアミド樹脂が得られ
る。溶融重合温度は280℃以下であるのが好ましく、
240〜280℃の範囲であるのが好ましい。溶融重合
温度が240℃に満たないと、オリゴマーの重縮合反応
が十分に進行せず、重合度が向上しなくなることがあり
好ましくない。溶融重合温度が280℃を越えると、副
反応が生起し易くなり、オリゴマー中の第2級アミンの
アミノ基濃度が増加し、オリゴマーの着色または溶融重
合時のゲル化が発生し易くなる傾向にあり好ましくな
い。
【0025】溶融重合は0.1〜760mmHgの範囲
の圧力下で行うのがより好ましい。圧力が0.1mmH
g未満の場合には、オリゴマーの重縮合反応の促進が望
めないだけでなく、オリゴマー中に含まれる水を水蒸気
として系外へ排気するために多大の設備費が必要となり
好ましくない。また、圧力が760mmHgを超える場
合は、前記水蒸気の系外への排気が十分にされず、重縮
合反応が進行せず、所定の重合度を有するポリアミド樹
脂が得られなくなるので望ましくない。
【0026】上記の初期重合および溶融重合を行うに際
して、必要に応じて、重合促進剤を添加することができ
る。重合促進剤としては、例えばリン酸、亜リン酸、次
亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれらのアル
カリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合
物が好ましく、特に亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナ
トリウムが好適に用いられる。重合促進剤は原料化合物
および水の総量100重量部当り、0.01〜1重量部
の範囲で使用するのが好ましい。重合促進剤の使用量が
0.01重量部に満たない場合には、その添加効果が殆
ど認められず、また1重量部を越える場合には、得られ
るポリアミドの重合度が上がり過ぎるため、溶融成形が
困難となり、いずれの場合も好ましくない。
【0027】また、初期重合および溶融重合を行うに際
して、必要に応じて、末端停止剤(分子量調節剤)を添
加することができる。末端停止剤としては、例えばラウ
リルアミン、ステアリルアミン、ベンジルアミンなどの
アミン;酢酸、ステアリン酸、安息香酸、ラウリン酸な
どのカルボン酸が使用される。末端停止剤の使用量は、
最終的に得ようとするポリアミドの相対粘度が上記の所
定範囲になるように適宜選択される。
【0028】さらに、初期重合および溶融重合を行うに
際して、必要に応じて、耐熱剤、酸化防止剤、耐候剤、
滑剤、結晶核剤、帯電防止剤、顔料、染料などをポリア
ミドの物性を損なわない範囲内で添加することができ
る。
【0029】初期重合および溶融重合に用いられる重合
槽としては、特に制限されるものではないが、バッチ反
応槽、1槽ないし多槽からなる連続反応装置、管状連続
反応装置など公知の重合装置を用いることができる。
【0030】本発明のポリアミド樹脂に所定量の層状無
機物を配合することにより、さらにガスバリアー性が向
上した組成物を提供することができる。層状無機物は天
然品であっても合成品であってもよく、その代表例とし
て層状珪酸塩が挙げられる。層状珪酸塩としては、例え
ばモンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライ
ト、サポナイト、ハイデライト、スチブンサイトなどの
スメクタイト系粘土鉱物;Na型フッ素テニオライト、
Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母など
の膨潤性合成雲母;バーミキュライト、フッ素バーミキ
ュライト、ハロイサイトなどが挙げられる。これらの中
でも、スメクタイト系粘土鉱物が好ましく、その中でも
モンモリロナイトが特に好ましい。組成物中の無機層状
物の含有量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して
0.01〜10重量部の範囲とするのが好ましく、0.
1〜5重量部の範囲とするのがより好ましい。
【0031】層状無機物としては、その粒径が10〜1
000オングストロームの範囲にあるものを使用するの
が好ましい。粒径が10オングストローム未満だと、層
状無機物がポリアミド分子中に十分に分散することがで
きず、また1000オングストロームを越えると、組成
物の引張強度の低下に繋がるので好ましくない。また、
層状無機物としては、単位構造である一層(以下、これ
を単位層と称する)の厚みが10オングストローム程度
であり、単位層間の距離が10オングストロームを越え
るものが好適である。層状無機物は公知の方法によって
ポリアミド樹脂に配合される。例えば、所定量の層状無
機物をポリアミド樹脂の初期重合工程または溶融重合工
程で系内に添加してもよいし、またポリアミド樹脂を調
製後、ドライブレンドする方法、押出機を用いて溶融混
練する方法が挙げられ、これらのなかでも操作の容易さ
の点から、通常は押出機を用いて溶融混練する方法が有
利である。この際に用いられる押出機は二軸スクリュー
のものが好ましい。
【0032】本発明のポリアミド樹脂または組成物を、
目的とする成形品の種類、用途、形状などに応じて、射
出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダ
ー成形、流延成形などの一般に熱可塑性樹脂に対して用
いられる成形方法によって成形することにより、フィル
ム、シート、板状物、棒状物、円柱状物、円筒状物など
の成形品とすることができる。成形に供する前には、上
記のポリアミド樹脂または組成物は減圧下で十分に乾燥
されているのが好ましい。特に、得られるフィルムは、
化粧品、食品、医薬品などの包装材料として好適に使用
される。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものでは
ない。なお、実施例中のガラス転移温度(Tg)、融点
(Tm)、酸素透過量、吸水率および相対粘度の測定・
評価方法を次に示す。
【0034】(1)ガラス転移温度(Tg)および融点
(Tm) 示差熱量走査計DSC(メトラー社製TA-3000)
を使用し、ポリアミド樹脂10mgを窒素気流下、一度
完全に溶融状態にしてから常温まで急冷した後、速度1
0℃/分で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置を測定
し、TgおよびTmを読み取った。
【0035】(2)酸素透過量 酸素ガス透過率測定装置(柳本製作所(株)製GTR−
10)により、直径3cmの円、厚み100μmにした
プレス急冷フィルムを0%RHおよび100%RHにお
いて測定した。
【0036】(3)吸水率 一辺の長さ5cmの正方形、厚み200μmにしたプレ
ス急冷フィルムを80℃で72時間真空乾燥処理した
後、20℃水中に7日間浸漬させる前後の重量変化より
求めた。
【0037】(4)相対粘度 98%濃硫酸中にポリアミド樹脂を溶解して、濃度が1
g/dlの溶液を調製し、30℃で測定した。
【0038】実施例1 水60g、1,9−ノナンジアミン7.36g、2−メ
チル−1,8−オクタンジアミン1.84g、メタキシ
リレンジアミン31.9g、イソフタル酸47.9g、
亜リン酸0.136gおよび安息香酸1.07gを窒素
雰囲気にした重合槽(500ccオートクレーブ)に仕
込んだ。原料水溶液を攪拌しながら常温から2時間かけ
て240℃まで昇温した。この時のオートクレーブの内
圧は14kg/cm2であった。240℃に到達した時
点でオートクレーブのバルブを開き、水を留去させ、原
料濃度が全量に対して82重量%になるように濃縮を行
った。濃縮終了後、約5時間かけて徐々に脱圧した。こ
の時点で得られたオリゴマーの相対粘度は1.49であ
った。脱圧後、常圧下で270℃まで昇温し、内温が2
70℃に到達した時点で徐々に減圧を開始し、30分か
けて5Torrとし、さらに30分反応を続けた。反応
終了後、溶融ポリアミドを抜き出し、切断してチップ状
にした後、乾燥した。得られたポリマーの相対粘度は
2.51であった。乾燥したチップのTgおよびTmを
測定した。また、この乾燥チップを熱プレスによりフィ
ルム成形し、得られたフィルムの酸素透過量および吸水
率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0039】実施例2〜4 表1に示した分量の1,9−ノナンジアミン、2−メチ
ル−1,8−オクタンジアミン、メタキシリレンジアミ
ン、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、安息香
酸、亜リン酸および水を用いて、実施例1と同様の方法
によりポリアミド樹脂を調製した。得られたポリアミド
樹脂およびそのフィルムについて、実施例1と同様にし
て相対粘度、Tg、Tm、酸素透過量および吸水率を測
定した。測定結果を表2に示す。
【0040】実施例5 まず、モンモリロナイト10.0gを水1リットルに分
散した後、得られた分散液に12−アミノドデカン酸
5.10gおよび濃塩酸2.40mlを加え、5分間攪
拌した後、濾過した。得られた固形物を水で洗浄し、次
いで、70℃で減圧乾燥することにより、モンモリロナ
イト複合体8.50gを得た。水60g、1,9−ノナ
ンジアミン7.36g、2−メチル−1,8−オクタン
ジアミン1.84g、メタキシリレンジアミン31.9
g、イソフタル酸47.9g、上記のモンモリロナイト
複合体0.45g、亜リン酸0.136gおよび安息香
酸1.07gを窒素雰囲気にした重合槽(500ccオ
ートクレーブ)に仕込んだ。原料水溶液を攪拌しながら
常温から2時間かけて240℃まで昇温した。この時の
オートクレーブの内圧は14kg/cm2であった。2
40℃に到達した時点でオートクレーブのバルブを開
き、水を留去させ、原料濃度が全量に対して82重量%
になるよう濃縮を行った。濃縮終了後、約5時間かけて
徐々に脱圧した。この時点で得られたオリゴマーの相対
粘度は1.37であった。脱圧後、常圧下で270℃ま
で昇温し、内温が270℃に到達した時点で徐々に減圧
を開始し、30分かけて5Torrまで減圧し、さらに
30分反応を続けた。反応終了後、溶融ポリアミドを抜
き出し、切断してチップ状にした後、乾燥した。得られ
たポリマーの相対粘度は2.51であった。乾燥したチ
ップのTgおよびTmを測定した。また、この乾燥チッ
プを熱プレスによりフィルム成形し、得られたフィルム
の酸素透過量および吸水率を測定した。測定結果を表2
に示す。
【0041】比較例1〜3 表1に示した分量の1,9−ノナンジアミン、2−メチ
ル−1,8−オクタンジアミン、メタキシリレンジアミ
ン、アジピン酸、イソフタル酸、安息香酸、亜リン酸お
よび水を用いて、実施例1と同様の方法によりポリアミ
ド樹脂を調製した。得られたポリアミド樹脂およびその
フィルムについて、実施例1と同様にして相対粘度、T
g、Tm、酸素透過量および吸水率を測定した。測定結
果を表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明のポリアミド樹脂は、低吸水性で
かつ高ガスバリアー性であり、低湿度下および高湿度下
でのガスバリアー性に優れており、かつ溶融成形性に非
常に優れているため、化粧品、食品、医薬品などの包装
材料として好適なフィルムなどの成形品にすることがで
きる。また、本発明によれば、上記のポリアミド樹脂に
所定量の層状無機物を配合することにより、該ポリアミ
ド樹脂の優れた性能を保持し、かつガスバリアー性能を
さらに向上させた組成物が提供される。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA55 AB26 AH04 AH05 BA01 BB02 BB03 BB04 BB05 BB06 BC01 BC03 BC04 BC05 BC06 BC17 4J001 DA01 DB04 DC14 EB03 EB08 EB09 EB34 EB36 EB37 EB44 EC09 EC44 EC47 EE18E EE27A EE44A EE74D FB06 FC06 GA12 HA02 JA12 JA13 JB02 JB29 JC01 4J002 CL031 DJ006 GG00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数9の脂肪族ジアミン単位(A1)
    とメタキシリレンジアミン単位(A2)とから主として
    なり、A1とA2のモル比が10:90〜30:70で
    あるジアミン単位(A)と、芳香族ジカルボン酸または
    その誘導体から誘導される単位(B1)を全ジカルボン
    酸単位に対して60モル%以上含有するジカルボン酸単
    位(B)とからなるポリアミド樹脂。
  2. 【請求項2】 ジカルボン酸単位(B)が、芳香族ジカ
    ルボン酸またはその誘導体から誘導される単位(B1)
    と飽和脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体から誘導さ
    れる単位(B2)とから主としてなる請求項1に記載の
    ポリアミド樹脂。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリアミド樹
    脂と層状無機物からなる組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1もしくは2に記載のポリアミド
    樹脂または請求項3に記載の組成物からなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017171878A (ja) * 2016-03-16 2017-09-28 東洋紡株式会社 金属化合物を含有するフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂組成物

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