JP2001302548A - 腫瘍治療用助剤及び装置 - Google Patents

腫瘍治療用助剤及び装置

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JP2001302548A
JP2001302548A JP2000367311A JP2000367311A JP2001302548A JP 2001302548 A JP2001302548 A JP 2001302548A JP 2000367311 A JP2000367311 A JP 2000367311A JP 2000367311 A JP2000367311 A JP 2000367311A JP 2001302548 A JP2001302548 A JP 2001302548A
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light
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titanium dioxide
tumor
photocatalyst
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JP2000367311A
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English (en)
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Shinichi Sugihara
愼一 杉原
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KANKYO DEVICE KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】人体に対して悪影響を及ぼさない可視光以上の
長波長の光照射でも、腫瘍を消滅させ得る効果を有す
る、光触媒を用いた腫瘍治療に有用な腫瘍治療用助剤及
び腫瘍治療装置を提供すること。 【解決手段】可視光活性を有する二酸化チタンのような
光触媒であって、腫瘍の近傍に存在させ可視光線を含む
光線を照射して腫瘍を死滅させるために用いられる腫瘍
治療用助剤。一方の端部面に光触媒を担持させた光学繊
維と、該光学繊維の他方の端部に配置させた光触媒用光
源とを備えてなり、かつ前記光触媒が可視光活性を有す
る光触媒である腫瘍治療等に有用な装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腫瘍の近傍に存在
させ可視光線を含む光線を照射して腫瘍を死滅させるた
めに用いられる腫瘍治療用助剤及び腫瘍治療にも有用な
装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】腫瘍治
療には、種々の抗腫瘍薬が開発され、実用されている。
しかし現有の抗腫瘍薬は、抗腫瘍作用はあるが、副作用
も大きく、十分満足の行く状況ではない。このような状
況下、新たな腫瘍治療法として、光触媒を用いて腫瘍を
攻撃する方法が提案され、研究されている。この方法
は、紫外線照射下で、殺菌効果を有することが知られて
いる光触媒である酸化チタンを腫瘍治療に用いるもので
ある。ところが、上記のように、これまでの酸化チタン
は、紫外線照射下でのみ光触媒活性を有し、可視光以上
の長波長の光照射では活性をほとんど示さなかった。そ
のため、酸化チタンを腫瘍治療に使用する場合、紫外線
を光源として使用する必要が有った。ところが、例え
ば、皮膚ガンの治療の場合、酸化チタンを投与した患者
に対して紫外線を照射する必要があるが、紫外線自体が
人体に対して有害であることから、その適用に注意が必
要であった。
【0003】そこで本発明の目的は、人体に対して悪影
響を及ぼさない可視光以上の長波長の光照射でも、腫瘍
を消滅させ得る効果を有する、光触媒を用いた腫瘍治療
に有用な腫瘍治療用助剤及び腫瘍治療にも有用な装置を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、可視光活性を
有する光触媒であって、腫瘍の近傍に存在させ可視光線
を含む光線を照射して腫瘍を死滅させるために用いられ
ることを特徴とする腫瘍治療用助剤に関する。さらに本
発明は、一方の端部面に光触媒を担持させた光学繊維
と、該光学繊維の他方の端部に配置させた光触媒用光源
とを備えてなり、かつ前記光触媒が可視光活性を有する
光触媒である、例えば、腫瘍治療用に有用な装置に関す
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の腫瘍治療用助剤は、可視
光活性を有する光触媒からなり、また、本発明の装置
は、可視光活性を有する光触媒を用いる。本発明におい
て、可視光活性を有する光触媒としては、安定した酸素
欠陥を有し、かつ可視光照射下で活性を有する二酸化チ
タンを挙げることができる。二酸化チタンは、ルチル型
二酸化チタンまたはアナターゼ型二酸化チタンであるこ
とができ、特に、アナターゼ型二酸化チタンであること
が、実用性が高いという観点から好ましい。
【0006】代表的なアナターゼ型二酸化チタンの場
合、可視光照射下で活性を有する触媒は、アナターゼ型
二酸化チタンであって安定した酸素欠陥を有する光触媒
であり、以下、この場合について説明する。この光触媒
は、X線回折(XRD)により得られる回折パターン中
にアナターゼ型二酸化チタン以外のパターンを実質的に
有さない二酸化チタンからなるものであることができ
る。アナターゼ型二酸化チタンの酸素欠陥の程度は、X
線光電子分光法により得られるチタンの2p電子に帰属
されるピークの面積に対する、チタンと結合している酸
素の1s電子に帰属されるピークの面積の比(O1s/
Ti2p)により特定でき、例えば1.99以下であ
る。より好ましい面積比(O1s/Ti2p)は、1.
5〜1.95の範囲である。また、二酸化チタンの酸素
欠陥の安定性は、触媒が、例えば、酸素欠陥を有するア
ナターゼ型二酸化チタンである場合、大気中に放置して
も、例えば、上記面積比(O1s/Ti2p)が1週間
以上実質的に一定していることを意味する。二酸化チタ
ンを水素ガスにより還元すると、酸素欠陥が生じること
は知られているが、水素ガス還元により得られる酸素欠
損は極めて不安定で、空気中では、短時間に消失する。
一方、触媒が有する酸素欠陥は極めて安定であり、実験
結果によれば、大気中に放置しても少なくとも半年は安
定である。また、この触媒を光触媒反応に使用しても、
上記酸素欠陥が短期間に消失することはなく、触媒とし
て安定的に使用することができる。
【0007】二酸化チタンのバンドギャップは、アナタ
ーゼ型が3.2eV、ルチル型が3.0eVであり、い
ずれも紫外線によってのみ活性化されるが、本発明の触
媒は、二酸化チタンの持つ紫外線下における光活性に加
えて可視光のみによっても光活性化される。光触媒の可
視光による光活性化の程度は、酸素欠陥量等により変化
するが、アナターゼ型二酸化チタンの場合、例えば、4
00nm以上の光をカットしたブラックライト光照射下
における活性を100とした場合、420nm以下の光
をカットしたハロゲンランプ光照射下における活性は、
少なくとも5はあり、通常20以上である。さらに、光
触媒の可視光照射下での活性は、アナターゼ型二酸化チ
タンが本来有する酸化活性または還元活性である。
【0008】また、本発明で用いる光触媒の可視光照射
下での活性とは、少なくとも400〜600nmの可視
光照射下でNOx酸化活性を有することを意味する。従
来のアナターゼ型酸化チタンは、上記バンドギャップを
有するため、400nm付近の可視光線に対しては、あ
る程度の活性を有する。しかし、500nmを超える6
00nm付近までの波長域の可視光線に対して光触媒活
性を示す触媒はこれまでに知られていない。例えば、水
素プラズマ処理方法または希ガス類元素プラズマ処理方
法で得られる可視光線に対して光触媒活性を示す触媒
は、波長360nmの光を照射した時に得られるNOx
酸化活性(NO除去活性)を100とすると、波長46
0nmの光を照射した時に得られるNOx酸化活性(N
O除去活性)は、少なくとも30であり、好ましくは5
0以上であり、最も好ましくは60以上である。また、
波長560nmの光を照射した時に得られるNOx酸化
活性(NO除去活性)は、少なくとも5であり、好まし
くは10以上であり、最も好ましくは15以上である。
【0009】光触媒の活性が高いと言われている石原産
業(株)製のアナターゼ型酸化チタンにおいては、波長
360nmの光を照射した時に得られるNOx酸化活性
(NO除去活性)を100とすると、波長460nmの
光を照射した時に得られるNOx酸化活性(NO除去活
性)はほぼ0であり、波長560nmの光については全
く活性を示さない。尚、上記NOx酸化活性(NO除去
活性)の測定には、光源として300Wキセノンランプ
を用い、日本分光製照射装置により半値幅20nmの単
色光を用いた。例えば、波長360nm、460nm及
び560nmの光は、いずれも半値幅20nmの単色光
である。
【0010】このような、600nm付近までの波長域
の可視光線に対して光触媒活性を示す触媒は、例えば、
安定な酸素欠陥を有する酸化チタンであって、真空中、
77K、暗黒下で測定されたESRにおいて、g値が
2.003〜4であるシグナルが観測され、かつこのg
値が2.003〜4であるシグナルは真空中、77Kに
おいて少なくとも420nm〜600nm範囲の波長の
光を照射下で測定した場合、上記暗黒下で測定された場
合よりシグナルの強度が大きいものであることが出来
る。上記条件下におけるESRにおいて測定される、g
値が2.003〜4であるシグナルは、酸化チタンの酸
素欠陥に帰属されるシグナルであることは、これまでも
知られている。しかるに、上記シグナルが、420nm
〜600nm範囲の波長の光を照射下で測定した場合、
上記暗黒下で測定された場合より強度が大きくなる場合
に、可視光活性の優れた光触媒となることはこれまでに
知られていない。
【0011】真空中、77K、暗黒下で測定されたg値
が2.003〜4であるESRシグナルの強度I0と真
空中、77Kにおいて少なくとも420nm〜600n
m範囲の波長の光を照射下で測定したg値が2.003
〜4であるESRシグナルの強度ILとの比率(IL/I0)
は、1を超えることが好ましく、より好ましくは、比率
(IL/I0)は1.3以上であり、さらに好ましくは1.5
以上である。さらに、上記に加えて、真空中、77K、
暗黒下で測定されたESRにおいて、g値が1.96を
示すTi3+に帰属されるシグナルが実質的に観測されな
い物であることが、可視光活性に優れた光触媒であると
いう観点からは好ましい。
【0012】上記光触媒は、例えば、二酸化チタンを水
素プラズマ処理または希ガス類元素プラズマ処理する方
法であって、処理系内への大気の侵入が実質的にない状
態で上記処理を行うことを特徴とする方法より得ること
ができる。原料として使用するアナターゼ型二酸化チタ
ンは、湿式法、例えば、硫酸法で製造した二酸化チタン
及び乾式法で製造した二酸化チタンであることができ
る。
【0013】水素プラズマ処理は、電磁波、例えば、マ
イクロ波やラジオ波を照射した減圧状態においた二酸化
チタンに、水素ガスを導入することで水素プラズマを発
生させ、このプラズマに二酸化チタンを所定時間暴露す
ることで行うことができる。また、希ガス類元素プラズ
マ処理は、電磁波、例えば、マイクロ波やラジオ波を照
射した減圧状態においた二酸化チタンに、希ガス類元素
ガスを導入することで希ガス類元素プラズマを発生さ
せ、このプラズマに二酸化チタンを所定時間暴露するこ
とで行うことができる。希ガス類元素としては、例え
ば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノ
ン、ラドンを挙げることができるが、入手が容易である
という観点からはヘリウム、ネオン、アルゴン等である
ことが好ましい。
【0014】上記減圧状態は、例えば10トール以下で
あることができ、2トール以下であることもできる。電
磁波の出力は、処理する二酸化チタンの量やプラズマの
発生状態を考慮して適宜決定できる。水素ガスあるいは
希ガス類元素ガスの導入量は、減圧状態やプラズマの発
生状態を考慮して適宜決定できる。また、二酸化チタン
の水素プラズマまたは希ガス類元素プラズマへの暴露時
間は、二酸化チタンに導入される酸素欠陥量を考慮して
適宜決定する。上記製造方法は、例えば、プラズマ処理
系内への大気の侵入が実質的にない状態で行う。ここ
で、プラズマ処理系内への大気の侵入が実質的にない状
態とは、密閉された系の真空度が1トール変化するのに
少なくとも10分を要する状態を意味する。大気の侵入
が少ない程、二酸化チタンへの酸素欠陥の導入は容易に
なる。
【0015】また、上記水素プラズマは、所望により、
水素以外のガスを含むこともでき、そのようなガスとし
ては、例えば、メタンや希ガス類元素を挙げることがで
きる。水素プラズマまたは希ガス類元素プラズマを用い
れば、二酸化チタンへ酸素欠陥を導入することができ、
例えば、水素プラズマに対するメタンや希ガス類元素の
共存は酸素欠陥の導入に必須ではない。また、希ガス類
元素プラズマについても同様であり、希ガス類元素プラ
ズマに、所望により、希ガス類元素以外のガスを含むこ
ともでき、そのようなガスとしては、例えば、メタンや
水素を挙げることができる。但し、希ガス類元素プラズ
マに対するメタンや水素の共存は酸素欠陥の導入に必須
ではない。
【0016】本発明で用いる光触媒は、二酸化チタンの
表面の少なくとも一部に、希ガス類元素イオンをイオン
注入する方法によっても製造することができる場合があ
る。イオン注入法は、半導体産業で使用されている方法
及び装置を用いて行うことができる。尚、イオン注入の
条件は、注入すべき希ガス類元素イオンの量及び二酸化
チタンの種類等により適宜決定する。希ガス類元素とし
ては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプト
ン、キセノン、ラドンを挙げることができるが、入手が
容易であるという観点からはヘリウム、ネオン、アルゴ
ン等であることが好ましい。
【0017】さらに、本発明で使用する光触媒は、二酸
化チタンを真空下、加熱する方法によっても製造するこ
とができる。例えば、二酸化チタンを高真空下で、加熱
処理すること、または高真空下で、加熱水素還元するこ
とにより、酸素欠陥が形成され、可視光吸収を起こすこ
とは知られている。しかるに、これら酸素欠陥を有する
二酸化チタンが可視光照射下で活性を有する光触媒であ
ることは知られていなかった。上記製法は、例えば、ア
ナターゼ型二酸化チタンを1トール以下の真空下、40
0℃以上に加熱する方法であることができる。処理時間
は、真空度及び温度により適宜決定できるが、1トール
の真空下、400℃での処理では30分〜1時間である
ことができる。
【0018】ルチル型二酸化チタンは、紫外光照射下で
は光触媒としての機能はあるが、アナターセ゛型に比べて活性
が劣るために光触媒として使用された実績はない。しか
し、水素プラズマや希ガス類元素プラズマあるいはイオ
ン注入処理すると、可視光照射下でも活性を有する触媒
となることが判明した。
【0019】また、本発明において用いられる可視光活
性を有する光触媒の別の例としては、少なくともアナタ
ーゼ型二酸化チタンを含み、かつ真空中、77Kにおい
て420nm以上の波長を有する光の照射下で測定した
ESRにおいて、g値が2.004〜2.007である
主シグナルとg値が1.985〜1.986及び2.0
24である2つの副シグナルが観測され、かつこれらの
3つのシグナルは真空中、77K、暗黒下において微小
に観測されるか、又は実質的に観測されない可視光応答
型材料を挙げることができる。
【0020】本発明で用いられる可視光応答型材料は好
ましくはアナターゼ型二酸化チタンを主成分とするもの
であり、それ以外にルチル型二酸化チタン及び/又は非
晶質の二酸化チタンを含んでいてもよい。また、アナタ
ーゼ型二酸化チタンも、必ずしも高い結晶性を有するも
のでなくてもよい。
【0021】本発明で用いられる可視光応答型材料の真
空中、77K測定されたESRの典型的なスペクトルを
図3に示す。図中、上段は暗黒下でのスペクトルであ
り、中段が420nm以上の波長を有する光(水銀ラン
プの光の内、420nm未満の光をカットオフ)の照射
下でのスペクトルである。下段は、420nm未満の光
をカットオフせずに水銀ランプの光をカットオフせずに
光照射した場合のスペクトルである。尚、上段、中段及
び下段は、いずれも同一のゲイン(GAIN)の下で測
定した結果である。
【0022】図3の上段と中段のスペクトルを比較する
と明らかに、中段のスペクトルにおいて、g値が2.0
04〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.
985〜1.986及び2.024である2つの副シグ
ナルは、上段のスペクトルにおけるより強度が大きい。
また、図3の中段と下段のスペクトルを比較すると明ら
かに、g値が2.004〜2.007である主シグナ
ル、並びにg値が1.985〜1.986及び2.02
4である2つの副シグナルの強度は、いずれも、照射光
中に420nm以下の光を含んでいてもいなくても実質
的に相違しない。
【0023】さらに本発明で用いられる可視光応答型材
料は、図4に示すように、前記3つのシグナル(1つの
主シグナル及び2つの副シグナル)が真空中、常温にお
いて、暗黒下及び420nm以上の波長を有する光照射
下におけるESRにおいても測定される物であることが
できる。図4中、上段は暗黒下でのスペクトルであり、
中段が420nm以上の波長を有する光(水銀ランプの
光の内、420nm未満の光をカットオフ)の照射下で
のスペクトルである。下段は、420nm未満の光をカ
ットオフせずに水銀ランプの光をカットオフせずに光照
射した場合のスペクトルである。尚、上段、中段及び下
段は、いずれも同一のゲイン(GAIN)の下で測定し
た結果である。
【0024】また、本発明で用いられる可視光応答型材
料における前記3つのシグナルが正孔補足に起因するラ
ジカルに帰属されるものであると考えられる。これは、
参考例においても示すように、電子ドナー分子であるイ
ソプロパノール雰囲気中でのESRスペクトル及び電子
アクセプター分子である酸素雰囲気中でのESRスペク
トルから明らかである。
【0025】本発明で用いられる可視光応答型材料は、
真空中、77Kにおいて420nm以上の波長を有する
光の照射下で測定されたESRにおいて、上記シグナル
に加えて、g値が2.009〜2.010である副シグ
ナルをさらに有することもできる。g値が2.009〜
2.010である副シグナルは、図3の中段のESRス
ペクトルに示めされている。
【0026】本発明で用いられる可視光応答型材料は、
非晶質または不完全な結晶質の二酸化チタンを原料とし
て製造することができ、この原料二酸化チタンは、硫酸
法や塩化物法等の湿式法で得られる物であることができ
る。より具体的には、原料二酸化チタンは、塩化チタン
を水酸化アンモニウムで加水分解して得られたものであ
ることができる。この加水分解は、反応液のpHが8以
上のアルカリ性になるように水酸化アンモニウムの添加
量を調整して行うことが適当である。塩化チタンは、三
塩化チタン、四塩化チタン、オキシ塩化チタンなどのい
ずれであっても良く、これらの混合物を用いてもよい。
上記加水分解は、例えば、常温〜90℃の範囲の温度で
行うことができるが、常温での加水分解が、比較的結晶
性が低い、または非結晶質の二酸化チタンが得られると
いう観点から好ましい場合が有る。また、塩化チタンの
水酸化アンモニウムによる加水分解物は、水酸化アンモ
ニウム水溶液で洗浄した後に原料二酸化チタンとして用
いることが好ましい。この水酸化アンモニウム水溶液で
の洗浄は、加水分解時に生成する塩化アンモニウムの残
存量が適当量まで低下するように行うことができ、好ま
しくは、複数回行うことができる。また、非晶質または
不完全な結晶質の二酸化チタンは、市販品を用いても良
く、例えば、石原産業製のST-01またはC-02のような不
完全な結晶質の二酸化チタンであってもよい。
【0027】上記の製造方法では、非晶質または不完全
な結晶質の二酸化チタンをアンモニア又はその誘導体の
存在下で加熱する。アンモニアは液体であっても気体で
あってもよい。アンモニアガスを用いる場合、原料二酸
化チタンをアンモニアガス雰囲気下加熱する。また、ア
ンモニア誘導体としては、例えば、塩化アンモニウム等
のアンモニウム塩を挙げることができ、例えば、原料二
酸化チタンを塩化アンモニウムの共存下で加熱する。
【0028】原料二酸化チタンのアンモニア又はその誘
導体の存在下での加熱は、加熱により生成する材料の波
長450nmにおける光の吸収が、原料二酸化チタンの波
長450nmにおける光の吸収より大きい時点で前記加熱
を終了させることにより行う。通常、原料二酸化チタン
は白色であり、波長450nmにおける光の吸収は10%
前後である。それに対して、原料二酸化チタンをアンモ
ニア又はその誘導体の存在下で加熱すると、徐々に黄色
に着色する。しかし、この着色はある時点をピークに薄
らぎ、ついには原料二酸化チタンと同程度の吸収を示す
物となる。原料二酸化チタンの種類や共存させるアンモ
ニア(誘導体)の種類と量、加熱温度及び時間等により
異なるが、波長450nmにおける光の吸収は最大で60
%前後に達する場合もある。可視光応答型材料の特性
は、波長450nmにおける光の吸収強度により一義的に
決まるものではないが、波長450nmにおける光の吸収
が20%以上(反射率80%以下)である場合、明らか
に可視光応答性を示す材料となる。
【0029】上記加熱の条件は、必ずしも温度だけで規
定はできないが、用いる温度としては例えば300〜500℃
の範囲の温度であることができる。また、この加熱は常
圧下で行うことができる。また、加熱時間は、加熱によ
り生成する材料の波長450nmにおける光の吸収を目安
に適宜決定できる。
【0030】上記加熱は、当分野で通常用いられている
ロータリーキルン、トンネルキルン、マッフル炉などを
用いることができる。加熱により酸化チタンの個々の粒
子が凝集したり、焼結したりした場合には、必要に応じ
て粉砕器により粉砕し、さらに必要により分級してもよ
い。
【0031】また、上記のように加熱して得られた材料
を、必要により水又は水溶液で洗浄することができる。
この洗浄により、得られる可視光応答型材料の可視光応
答性を改善できる。例えば、非晶質または不完全な結晶
質の二酸化チタン(加熱前の材料)が、塩化チタンを水
酸化アンモニウムで加水分解して得られたものである場
合、加水分解物に相当量の塩化アンモニウムが残存して
おり、その結果、上記のように非晶質または不完全な結
晶質の二酸化チタンを可視光応答型材料に変換すること
が可能になる。しかるに、加熱処理後も相当量の塩化ア
ンモニウムが得られる材料に残存する場合がある。その
様な場合には、水または適当な水溶液を用いて洗浄する
ことで、塩化アンモニウムを適当なレベルになるまで除
去し、可視光応答型材料の可視光応答性を改善できる場
合がある。この場合、加熱して得られた材料の水又は水
溶液での洗浄を、洗浄後の水又は水溶液のpHが例え
ば、4〜8の範囲となるように行うことができる。
【0032】本発明で用いられる可視光応答型材料に
は、用途に応じてその表面及び/又は内部にケイ素、ア
ルミニウム、スズ、ジルコニウム、アンチモン、リン、
白金、金、銀、銅、鉄、ニオブ、タングステン、タンタ
ルなどの元素やそれらを含む化合物を被覆したり、担持
したり、或いはドープしたりすることもできる。
【0033】本発明で用いられる光触媒の可視光照射下
での活性は、二酸化チタンが本来有する酸化活性または
還元活性である。さらに本発明で用いる光触媒の可視光
照射下での活性は、抗菌または殺菌活性であり、より具
体的には腫瘍、特に悪性腫瘍を消滅させる活性である。
【0034】本発明の腫瘍治療用助剤で使用する光触媒
は、微粒子状であることが、患部へのデリバリーを容易
に行う事がでるという観点から好ましい。但し、これら
に限定されない。また、光触媒は、活性を高める目的
で、微細化したものであっても、また、ハンドリングを
容易にする目的で造粒したものであってもよい。また、
上記光触媒は、本発明の可視光活性を妨げない程度の他
の成分を添加したものであってもよい。
【0035】本発明の腫瘍治療用助剤は、例えば、懸濁
液として、必要により、適当なドラックデリバリー機能
を有するキャリアーと共に、経口投与するか、あるいは
患部近傍に皮下注射することができる。さらに、投与
後、本発明の腫瘍治療用助剤が、腫瘍近傍にデリバリー
されるに必要な時間を経過した後、患部近傍に可視光線
を含む光線を照射する。光源の種類や光量、照射時間等
は腫瘍の種類や大きさ等を考慮して適宜設定することが
できる。患部に存在する腫瘍は、光照射を受けて触媒活
性を発現している光触媒の作用により死滅する。但し、
一度の照射により全滅しない場合には、投与及び光照射
を適当な間隔を開けて繰り返し行うこともできる。
【0036】本発明の腫瘍治療用助剤は、光触媒以外に
ドラックデリバリー機能を有するキャリアーを含むこと
もできる。そのようなドラックデリバリー機能を有する
キャリアーは公知の物から適宜選択できる。
【0037】本発明の装置において用いる光学繊維は、
異なる屈折率の組み合わせ構造を有し、少なくとも可視
光線を導光し得る光学繊維であり、石英で代表される無
機系光学繊維、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂、シリコ
ン樹脂等の有機系光学繊維が挙げられる。また、光学繊
維は、単一の繊維、任意の複数本が集束或いは並列され
たもの、予め複合集束された多芯タイプのものでもよ
い。
【0038】光学繊維は、その単一の或いは複数本の光
学繊維が、ケーブルで被覆されていてもよく、血管内に
挿入する場合は、ケーブルは、抗血栓性の素材からなる
ことが好ましい。さらに、本発明の装置においては、肉
眼またはテレビモニターでの観察が可能なように、専用
の導光用光学繊維を併存させることが好ましい。
【0039】また、本発明の装置において光学繊維に担
持される光触媒は、腫瘍治療用助剤において説明した光
触媒を適宜使用できる。また、必要により、上記光触媒
以外の光触媒機能を有する光半導性物質を併用すること
もできる。そのような光半導性物質としては、例えば酸
化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等の金属酸化
物、硫化亜鉛、硫化銅、硫化カドミウム等の金属硫化物
等が挙げられる。
【0040】光学繊維の一方の端部面(光が出射する端
部面)には光触媒が担持される。光触媒を担持させる端
部面は、光学繊維の端部面が切断端面であるか、或いは
出射面積を広くするため光散乱体を付加させた端部であ
ることができる。光触媒の担持は、光学繊維の端部面
に、光触媒微粒子を透明樹脂の接着剤で固定する方法、
ゾルゲル法等で原料物質を薄膜状に固定した後に、適宜
処理する方法等任意の方法により行う。なお、光散乱体
の付加は、光学繊維の端部を球状や楕円球状とすること
が好ましく、さらに、その表面を粗面加工する、微粒子
を混入する、異屈折率の透明球体を混入する、或いは異
なる透明樹脂で形成する等が施されていてもよい。
【0041】本発明の装置において、光触媒が担持され
た光学繊維の他方の光の入射する端部に可視光線を含む
光源が配置される。用いられる光源としては、少なくと
も可視光線を発生可能なものであればよい。例えば、高
圧乃至低圧水銀灯、キセノンランプが好ましく用いられ
る。光源と光学繊維の入射端部間には、必要に応じ、光
源から照射光を集め、光学繊維の入射端部に送るレンズ
等の集光器や所望の波長を有する光線のみを照射するた
めの光学フィルターを設けることができる。例えば、患
部に可視光線のみを供給したい場合であって、光源には
紫外線も含まれている場合、紫外線をカットするフィル
ターを組み合わせて使用することができる。
【0042】本発明の装置は、通常の内視鏡を用いる操
作と同様の操作で、体内の病巣部分にその光触媒を担持
する端部が到達するよう光学繊維を挿入し、少なくとも
可視光線を導光することにより、光触媒表面での反応に
より腫瘍細胞を破壊し、腫瘍、特に悪性腫瘍の治療を可
能とする。また、本発明で使用する光触媒は、抗菌効果
も有することから種々の菌等を死滅させることができ、
腫瘍細胞の破壊以外の用途にも有用である。特に本発明
は、可視光活性を有する光触媒を用いるものであること
から、活性化用の光源から生体に有害な紫外線を除去し
た後の可視光線のみで、所望の腫瘍細胞を破壊効果等を
得ることができるという利点がある。
【0043】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 腫瘍細胞をヌードマウス皮下に移植し、皮下に腫瘍を形
成させ、腫瘍径が0.5cm程度のときに本発明の腫瘍
治療用助剤(下記の参考例1で作成した光触媒粉末 1
mgを1mlの生理食塩水に懸濁し、濾過して得た溶
液)を0.1mlを注射した。注射後直ちに、420n
m以下の光線をカットするフィルターを用い、光源とし
てキセノンランプを用いて、腫瘍に光を10分間照射し
た。その結果、腫瘍治療用助剤を注射しなかった場合、
及び腫瘍治療用助剤を注射したが、暗下に置いた場合と
比べて、明らかに腫瘍の増殖が抑制された。
【0044】実施例2 実施例1と同様の方法により、参考例2〜11の各サン
プルについて、腫瘍増殖の抑制効果を試験した。その結
果、効果の強弱の違いはあるが、いずれのサンプルにつ
いても、腫瘍増殖の抑制効果が見られた。
【0045】参考例1 アナターゼ型二酸化チタン粉末(石原産業(株)製、S
T−01)5gを内径5cm、長さ100cmの石英製
反応管に収容した。この石英製反応管にRFプラズマ発生
装置を装着し、反応管系内を真空ポンプで0.1トール
まで排気した後、500Wの電磁波(13.56MH
z)を反応管内のアナターゼ型二酸化チタン粉末に照射
し、プラズマを発生させた。そして、H2ガス(流量を
500ml/分)を系内の圧力が約1トールとなるよう
に導入した。反応管内のアナターゼ型二酸化チタン粉末
を攪拌しながら30分間処理した。尚、ニクロム線によ
る抵抗加熱により石英管壁を400℃に加熱し、その温
度を反応期間中維持した。得られたアナターゼ型二酸化
チタン粉末をX線光電子分光法(XPS)により、チタ
ンの2p電子に帰属されるピーク(458.8eV(T
i2p3/2)及び464.6eV(Ti2p1/2)
の面積とチタンと結合している酸素の1s電子に帰属さ
れるピーク(531.7eV(O1s)の面積とを求め
た。得られた面積比(O1s/Ti2p)は、1.94
であった。尚、プラズマ処理しないアナターゼ型二酸化
チタン粉末の面積比(O1s/Ti2p)は、2.00
であった。また、この試料を1週間大気中に放置した後
に上記と同様に測定した面積比(O1s/Ti2p)
も、1.94であった。さらに、この試料の1カ月後の
面積比(O1s/Ti2p)にも変化はなかった。
【0046】また、上記プラズマ処理前の試料及び処理
後の試料をX線回折試験に付した結果、プラズマ処理の
前及び後で、アナターゼ型二酸化チタンに変化は見られ
なかった。また、上記プラズマ処理前の試料及び処理後
の試料のESRスペクトルを測定した。測定は、真空中
(0.1Torr)、77Kで行った。測定条件は以下
の通りである。
【0047】〔基本的パラメーター〕 測定温度 77K フィールド 330mT±25mT 走査時間 4分 Mod. 0.1mT ゲイン 5×10 パワー 0.1mW タイムコンスタント 0.03秒 光源 高圧水銀ランプ 500W フィルター L−42 〔試料作成〕 真空脱気 1時間以上 〔g値の計算〕 Mn2+マーカー(gmn=1.981)を基準として g=gmn×Hmn/(Hmn+△H) Hmn:Mn2+マーカーの磁場、△H:Hmnからの磁場の
変化量
【0048】プラズマ処理前の試料のESRスペクトル
を図1に示す。図中(a)が暗黒下でのESRスペクト
ル、(b)が420nm以下の光(500Wの高圧水銀
ランプを使用)をカットするフィルター(L−42)を
介して光照射した状態で測定したESRスペクトルであ
る。プラズマ処理後の試料のESRスペクトルを図2に
示す。図中(a)が暗黒下でのESRスペクトル、
(b)が420nm以下の光(500Wの高圧水銀ラン
プを使用)をカットするフィルター(L−42)を介し
て光照射した状態で測定したESRスペクトル、(c)
がフィルター(L−42)を介さずに光照射した状態で
測定したESRスペクトルである。図1と図2に示すE
SRスペクトルは同じ条件で測定したものである。両者
を比較すると、上記で得られた触媒は、出発原料には見
られない、g=2.003〜4に特異的なシグナルを有
し、しかもこのシグナルは、420nm以下の光をカッ
トした光照射下で、増幅される。上記で得られた触媒
(プラズマ処理したアナターゼ型二酸化チタン)は、4
20nm以上の可視光で強度が強くなるg値2.003
〜4にシグナルが観測された。さらに、このかつこのピ
ークは、試料を1週間大気中に放置した後、再度測定し
た際にも維持されていた。また、上記で得られた触媒
は、g値が1.96にシグナルを示すTi3+に帰属され
るシグナルは観測されなかった。
【0049】試験例1(NOx酸化活性測定) 参考例1で作製した試料0.2gをガラスプレート(6
×6cm)に塗布したものをパイレックス(登録商標)
ガラス製反応容器(内径160mm、厚さ25mm)内
に設置した。光源には300Wキセノンランプを用い、
日本分光製照射装置により半値幅20nmの単色光とし
て、光を照射した。上記反応容器に湿度0%RHの模擬汚
染空気(NO:1.0ppm)を1.5リットル/分の
流速で連続的に供給し、反応出口におけるNOの濃度変
化をモニターした。NOの濃度は、オゾンを用いた化学
発光法により測定した。24時間のモニター値の累積値
からNOxの除去率を求めた。その結果を表1に示す。
表1には、比較のため、原料として使用した試料(ST
−01)の結果も示す。
【0050】
【表1】 上記表1に示す結果から、参考例1で得られたアナター
ゼ型二酸化チタンであって安定した酸素欠陥を有する光
触媒は、少なくとも560nmまでの可視光によって窒
素酸化物を酸化除去する効果を有することが分かる。さ
らに表1には示していないが、参考例1で得られた光触
媒は、少なくとも600nmまでの可視光によって窒素
酸化物を酸化除去する効果を有していた。
【0051】参考例2 アナターゼ型二酸化チタン粉末(石原産業(株)製ST
−01)10gを400mlの石英製反応管に収容し
た。この石英製反応管をプラズマ発生装置に接続し、系
内を真空ポンプで排気した後、200Wの電磁波(2.
45GHz)を反応管内のアナターゼ型二酸化チタン粉
末に照射し、テスラーコイルによってプラズマを発生さ
せた。そして、H2ガス(流量を30ml/分)を系内
の圧力が約1トールとなるように導入した。反応管内の
アナターゼ型二酸化チタン粉末を攪拌しながら10分間
処理した。なお、プラズマ処理系は、ガスを導入せず、
かつポンプでの排気も断絶した状態で真空度が1トール
上昇するのに40分を要した。
【0052】得られたアナターゼ型二酸化チタン粉末を
X線光電子分光法(XPS)により、チタンの2p電子
に帰属されるピーク(458.8eV(Ti2p3/
2)及び464.6eV(Ti2p1/2)の面積とチ
タンと結合している酸素の1s電子に帰属されるピーク
(531.7eV(O1s)の面積とを求めた。得られ
た面積比(O1s/Ti2p)は、1.92であった。
尚、プラズマ処理しないアナターゼ型二酸化チタン粉末
の面積比(O1s/Ti2p)は、2.00であった。
また、この試料を1週間大気中に放置した後に上記と同
様に測定した面積比(O1s/Ti2p)も、1.92
であった。さらに、この試料の1カ月後の面積比(O1
s/Ti2p)にも変化はなかった。また、上記プラズ
マ処理前の試料及び処理後の試料をX線回折試験に付し
た結果、プラズマ処理の前及び後で、アナターゼ型二酸
化チタンに変化は見られなかった。また、上記プラズマ
処理前の試料及び処理後の試料のESRスペクトルを測
定した。測定は、参考例1と同様である。その結果、参
考例2の触媒(プラズマ処理したアナターゼ型二酸化チ
タン)は、参考例1と同様にg値2.003〜4にシグ
ナルが観測された。さらに、このピークは、試料を1週
間大気中に放置した後、再度測定した際にも維持されて
いた。また、参考例2の触媒は、g値が1.96にシグ
ナルを示すTi3+に帰属されるシグナルは観測されなか
った。
【0053】参考例3 アナターゼ型二酸化チタン粉末(石原産業(株)製ST
−01)4gを200mlの石英製反応管に収容した。
この石英製反応管に電熱線加熱器を装着し、系内を真空
ポンプで0.1トール以下になるまで排気した後、加熱
器で反応管ごと400℃に昇温した。加熱後400℃を
1時間した。なお、処理中は、真空ポンプで排気を続
け、0.1トール以下を維持した。1時間後に褐色の粉
体を得た。得られたアナターゼ型二酸化チタン粉末をX
線光電子分光法により、チタンの2p電子に帰属される
ピーク(459.5eV(Ti2p3/2)及び46
5.4eV(Ti2p1/2)の面積とチタンと結合し
ている酸素の1s電子に帰属されるピーク(530.0
eV(O1s)の面積とを求めた。得られた面積比(O
1s/Ti2p)は、1.92であった。尚、プラズマ
処理しないアナターゼ型二酸化チタン粉末の面積比(O
1s/Ti2p)は、2.00であった。また、この試
料を1週間大気中に放置した後に上記と同様に測定した
面積比(O1s/Ti2p)も、1.92であった。さ
らに、この試料の1カ月後の面積比(O1s/Ti2
p)にも変化はなかった。また、上記プラズマ処理前の
試料及び処理後の試料をX線回折試験に付した結果、プ
ラズマ処理の前及び後で、アナターゼ型二酸化チタンに
変化は見られなかった。
【0054】試験例2(NOx酸化活性測定) 試験例1と同様の条件で、参考例3で作製した試料のN
Ox酸化活性を測定した。結果を表2に示す。参考例1
で得られたサンプルに比べてやや活性は低い(特に短波
長領域での)が、600nm付近まで活性が見られた。
【0055】
【表2】
【0056】参考例4 アナターゼ型二酸化チタン粉末(石原産業(株)製、S
T−01)5gを内径5cm、長さ100cmの石英製
反応管に収容した。この石英製反応管にRFプラズマ発生
装置を装着し、反応管系内を真空ポンプで0.05トー
ルまで排気した後、500Wの電磁波(13.56MH
z)を反応管内のアナターゼ型二酸化チタン粉末に照射
し、プラズマを発生させた。そして、H2ガス(流量を
500ml/分)を系内の圧力が約1トールとなるよう
に導入した。反応管内のアナターゼ型二酸化チタン粉末
を攪拌しながら30分間処理した。尚、ニクロム線によ
る抵抗加熱により石英管壁を400℃に加熱し、その温
度を反応期間中維持した。得られたアナターゼ型二酸化
チタン粉末をX線光電子分光法(XPS)により、チタ
ンの2p電子に帰属されるピーク(458.8eV(T
i2p3/2)及び464.6eV(Ti2p1/2)
の面積とチタンと結合している酸素の1s電子に帰属さ
れるピーク(531.7eV(O1s)の面積とを求め
た。得られた面積比(O1s/Ti2p)は、1.51
であった。尚、プラズマ処理しないアナターゼ型二酸化
チタン粉末の面積比(O1s/Ti2p)は、2.00
であった。また、この試料を1週間大気中に放置した後
に上記と同様に測定した面積比(O1s/Ti2p)
も、1.51であった。さらに、この試料の1カ月後の
面積比(O1s/Ti2p)にも変化はなかった。
【0057】参考例5 四塩化チタン(関東化学株式会社製、特級)500gを
純水の氷水(水として2リットル)に添加し、攪拌し、
溶解し、四塩化チタン水溶液を得た。この水溶液200
gをスターラーで攪拌しながら、約50mlのアンモニ
ア水(NH3として13wt%含有)をできるだけ速や
かに加えた。アンモニア水の添加量は、水溶液のpHが
約8になるように調整した。これにより水溶液は白色の
スラリー状となった。さらに攪拌を15分間続けた後、
吸引濾過器で濾過した。濾取した沈殿は20mlのアン
モニア水(NH3として6wt%含有)に分散させ、ス
ターラーで約20時間攪拌した後、再度吸引濾過して、
白色の加水分解物を得た。得られた白色の加水分解物を
坩堝に移し、電気炉を用い、大気中400℃で1時間加
熱し、黄色の生成物を得た。
【0058】得られた生成物のXRDの測定結果を図5
の上段に示す。併せて、白色の加水分解物を50℃で乾
燥してもののXRDの測定結果も図3の下段に示す。こ
の結果から、白色の加水分解物を50℃で乾燥してもの
は、アモルファスであり、得られた生成物がアナターゼ
型二酸化チタンであることが分かる。得られた生成物と
白色の加水分解物を50℃で乾燥してものの吸収スペク
トルを、積分球を取り付けた日立自記分光光度計(U-32
10)により、以下の条件で測定した。 scan speed:120nm/min、 response:MEDIUM、 band pass:2.00nm、 リファレンス:硫酸バリウム その結果、得られた生成物の700nmにおける反射率
を100%としたときの450nmにおける反射率が6
1%であったのに対し、白色の加水分解物を50℃で乾
燥してものは、700nmにおける反射率を100%と
したときの450nmにおける反射率は95%であっ
た。
【0059】また、得られた生成物のESRスペクトル
を測定した。測定は、真空中(0.1Torr)、77
K又は常温で行った。測定条件は以下の通りである。 〔基本的パラメーター〕 測定温度 77K又は常温 フィールド 324mT±25mT 走査時間 4分 Mod. 0.1mT レシーバー・ゲイン 10〜100(測定感度) タイムコンスタント 0.1秒 光源 高圧水銀ランプ 500W フィルター L−42 〔試料作成〕 真空脱気 1時間以上 〔g値の計算〕 Mn2+マーカー(gmn=1.981)を基準として g=gmn×Hmn/(Hmn+△H) Hmn:Mn2+マーカーの磁場、△H:Hmnからの磁場の
変化量
【0060】図3(測定温度77K)及び図4(測定温
度常温)に、上段に暗黒下でのESRスペクトル、中段
に420nm以下の光(500Wの高圧水銀ランプを使
用)をカットするフィルター(L−42)を介して光照
射した状態で測定したESRスペクトル、下段に420
nm以下の光をカットするフィルター(L−42)を使
用せずに500Wの高圧水銀ランプを使用して光照射し
た状態で測定したESRスペクトルをそれぞれ示す。
【0061】図3の上段と中段のスペクトルを比較する
と明らかに、中段のスペクトルにおいて、g値が2.0
04〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.
985〜1.986及び2.024である2つの副シグ
ナルは、上段のスペクトルにおけるより強度が大きかっ
た。また、図3の中段と下段のスペクトルを比較すると
明らかに、g値が2.004〜2.007である主シグ
ナル、並びにg値が1.985〜1.986及び2.0
24である2つの副シグナルの強度は、いずれも、照射
光中に420nm以下の光を含んでいても実質的に相違
しなかった。
【0062】さらに図4に示すように参考例5の可視光
応答型材料は、前記3つのシグナルが大気中、常温、暗
黒下及び420nm以上の波長を有する光照射下におけ
るESRにおいても測定される物であった。尚、白色の
加水分解物を50℃で乾燥してものには、g値が2.0
04〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.
985〜1.986及び2.024である2つの副シグ
ナルは、いずれのESR測定条件においても観測されな
かった。
【0063】真空であった測定雰囲気を空気またはイソ
プロパノールとし、420nm以下の光(500Wの高
圧水銀ランプを使用)をカットするフィルター(L−4
2)を介して光照射する条件で上記と同様にしてESR
スペクトルを測定した。その結果を図6に示す。図中、
上段が真空中、中段が空気中、下段がイソプロパノール
中での測定結果である。主シグナル及び2つの副シグナ
ル共に、真空中で最も小さく、イソプロパノール中で
は、真空中よりやや大きくなるが、中段の空気中で最大
となる。イソプロパノールは電子ドナー分子であるのに
対し、空気中の酸素は電子アクセプター分子となるの
で、上記結果は、前記3つシグナルが正孔補足に起因す
るラジカルに帰属されるものであることを示唆するもの
である。
【0064】参考例6 参考例5で得た白色の加水分解物を、加熱時間を20分
または3時間とした以外は参考例5と同様の条件で加熱
して、黄色の生成物を得た。これらの生成物の吸収スペ
クトルを参考例5と同様に測定した。加熱時間20分の
試料は、700nmにおける反射率を100%としたと
きの450nmにおける反射率は67%であり、加熱時
間3時間の試料は、700nmにおける反射率を100
%としたときの450nmにおける反射率は67%であ
った。
【0065】参考例7 四塩化チタンを三塩化チタンに代えた以外は参考例5と
同様の条件で白色の加水分解物を得、この白色の加水分
解物を400℃、1時間加熱して、黄色の生成物を得
た。この生成物について、420nm以下の光(500
Wの高圧水銀ランプを使用)をカットするフィルター
(L−42)を介して光照射した状態で測定したESR
スペクトル(測定温度77K)は、図3の中段に示すと
同様のg値を有する主シグナル及び2つの副シグナルを
示した。
【0066】参考例8 アナターゼ型二酸化チタン粉末(石原産業(株)製C−
02)1.6kgを内容積25リットルの内壁に邪魔板
を有する加熱容器に充たし、外熱型ロータリーキルン装
置に装着した。上記加熱容器内を窒素ガスでパージし、
その後アンモニアガスを窒素ガス換算で1.5リットル
/分流通させた。同時に外部ヒーターにより容器内の温
度を400℃とし、容器を回転させながら90分間加熱
した。加熱後、室温まで冷却し、黄色の生成物を得た。
図7に420nm以下の光(500Wの高圧水銀ランプ
を使用)をカットするフィルター(L−42)を介して
光照射した状態で測定したESRスペクトル(測定温度
77K)を示す。
【0067】参考例9 参考例5で得られた粉末3gを100mlの純水に懸濁
しマグネチックスターラーを用い、1時間攪拌した。得
られた溶液は吸引ろ過を行った。濾紙上に残った試料を
再度純水に攪拌し、吸引ろ過を行った。ろ過は、ろ液が
pH試験紙で6〜7になるまで3回繰り返し行った。得
られた粉末は、110℃に設定した乾燥器内に一昼夜放
置し、乾燥させて本発明の材料を得た。
【0068】参考例10 300リットルの反応容器(冷却及び攪拌が可能)内に
満たした温度0℃の水207kgに四塩化チタン23k
gを徐々に加えた。このとき水溶液の温度は、最高6℃
であった。塩化チタン攪拌を2日間行い透明な四塩化チ
タン水溶液を作成した。作成した四塩化チタン水溶液を
攪拌しながら12.5%アンモニア水を滴下すると、こ
の溶液は徐々に白濁した、アンモニア水の量は、白濁し
た溶液がpH8となるように調整した。白濁した溶液
は、吸引ろ過を行った。濾紙上に残った白色の沈殿物
は、131kgであった。白色の沈殿物は、200kg
のアンモニア水(NH3として6%)に分散させたのち、
24時間攪拌し、吸引ろ過を行った。ろ過後白色の沈殿
物は、108kgであった。白色の沈殿物は、50℃に
設定した強制送風式棚型乾燥機にいれ、4日間乾燥を行
った。乾燥後試料は、17kgであった。乾燥試料をア
ルミナ坩堝(20×20×5cm)に1kg入れ、ガス
炉内に設置し、試料表面に熱電対を置き、試料の温度が
400℃となるようにして、1時間焼成した。冷却後、
濃い黄色の材料が得られた。この材料を乳鉢で粉砕し
て、後述の評価に用いた。
【0069】参考例11 参考例10で作成した粉末3gを100mlの純水に懸
濁しマグネチックスターラーを用い、1時間攪拌した。
得られた溶液は吸引ろ過を行った。濾紙上に残った試料
を再度純水に攪拌し、吸引ろ過を行った。ろ過は、ろ液
がpH試験紙で6〜7になるまで3回繰り返し行った得
られた粉末は、110℃に設定した乾燥器内に一昼夜放
置し、乾燥させて本発明の材料を得た。
【0070】試験例3 NOの酸化活性 参考例5、7、9、10、11で作製した各試料0.2
g及び市販の酸化チタン粉末(ST−01、石原産業
(社)製)(比較例1)を、ガラスプレート(6×6c
m)にそれぞれ塗布し、パイレックスガラス製反応容器
(内径160mm、厚さ25mm)内に設置した。光源
には300Wクセノンランプを用い、日本分光製照射装
置により半値幅20nmの単色光として、光を照射し
た。上記反応容器に湿度0%RHの模擬汚染空気(NO:
1ppm)を1.5リットル/分の流速で連続的に供給
し、反応出口におけるNOの濃度変化をモニターした。
NOの濃度はオゾンを用いた化学発光法により測定し
た。24時間のモニター値の累積値からNOxの除去率
を求めた。470nmにおける各試料のNO除去濃度
(%)を下記の表に示した。
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、可視光以上の長波長の
光照射でも、腫瘍を消滅させ得る効果を有する、光触媒
を用いた腫瘍治療に有用な腫瘍治療用助剤を提供するこ
とができる。本発明によれば、治療処置後に患者の体内
に光触媒微粒子を全く残すことなく治療を施すことが可
能な、極めて安全で効果的なの腫瘍治療等に有用な装置
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ処理前の試料(アナターゼ型二酸化チ
タン)のESRスペクトルを示す。
【図2】プラズマ処理後の試料(アナターゼ型二酸化チ
タン)のESRスペクトルを示す。
【図3】本発明の可視光応答型材料(参考例5)の真空
中、77Kで測定されたESRスペクトル。上段は暗黒
下でのスペクトルであり、中段が420nm以上の波長
を有する光(水銀ランプの光の内、420nm未満の光
をカットオフ)の照射下でのスペクトルであり、下段
は、420nm未満の光をカットオフせずに水銀ランプ
の光をカットオフせずに光照射した場合のスペクトルで
ある。
【図4】本発明の可視光応答型材料(参考例5)の真空
中、常温で測定されたESRスペクトル。上段は暗黒下
でのスペクトルであり、中段が420nm以上の波長を
有する光(水銀ランプの光の内、420nm未満の光を
カットオフ)の照射下でのスペクトルであり、下段は、
420nm未満の光をカットオフせずに水銀ランプの光
をカットオフせずに光照射した場合のスペクトルであ
る。
【図5】参考例5の生成物(上段)及び加水分解物(5
0℃乾燥)(下段)のXRDの測定結果。
【図6】測定雰囲気を真空中(上段)、空気中(中段)
またはイソプロパノール(下段)とし、420nm以下
の光(500Wの高圧水銀ランプを使用)をカットする
フィルター(L−42)を介して光照射する条件で測定
したESRスペクトル。
【図7】 参考例8で得られた生成物の、420nm以
下の光(500Wの高圧水銀ランプを使用)をカットす
るフィルター(L−42)を介して光照射した状態で測
定したESRスペクトル(測定温度77K)を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 35/02 B01J 35/02 J Fターム(参考) 4C082 PA02 PC10 PE02 PE03 PE04 PG13 PG16 PJ30 PL05 4C084 AA14 AA17 AA27 MA66 NA14 ZB261 ZB262 4C086 AA01 AA02 HA06 HA21 MA01 MA04 NA14 ZB26 4G069 AA02 AA03 BA01A BA03A BA04A BA04B BA05A BA48A BB02A BB04A BC22A BC26A BC31A BC32A BC33A BC55A BC56A BC60A BC75A BD02A BD07A CD10 DA03 EA01X EA01Y EB18X EB18Y EB19 EC22X EC22Y EC27

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可視光活性を有する光触媒であって、腫瘍
    の近傍に存在させ可視光線を含む光線を照射して腫瘍を
    死滅させるために用いられることを特徴とする腫瘍治療
    用助剤。
  2. 【請求項2】可視光活性を有する光触媒が、安定した酸
    素欠陥を有する二酸化チタンであることを特徴とする請
    求項1に記載の腫瘍治療用助剤。
  3. 【請求項3】二酸化チタンがアナターゼ型またはルチル
    型である請求項2に記載の腫瘍治療用助剤。
  4. 【請求項4】二酸化チタンがアナターゼ型酸化チタン粉
    体であり、一次粒子径が10nm以下である請求項2に
    記載の腫瘍治療用助剤。
  5. 【請求項5】二酸化チタンがX線回折(XRD)により
    得られる回折パターン中にアナターゼ型二酸化チタン以
    外のパターンを実質的に有さない請求項2に記載の腫瘍
    治療用助剤。
  6. 【請求項6】X線光電子分光法により得られるチタンの
    2p電子に帰属されるピークの面積に対する、チタンと
    結合している酸素の1s電子に帰属されるピークの面積
    の比(O1s/Ti2p)が1.99以下である請求項
    2〜5のいずれか1項に記載の腫瘍治療用助剤。
  7. 【請求項7】面積比(O1s/Ti2p)が1.5〜
    1.95の範囲である請求項6に記載の腫瘍治療用助
    剤。
  8. 【請求項8】面積比(O1s/Ti2p)が1週間以上
    実質的に一定している請求項2〜7のいずれか1項に記
    載の腫瘍治療用助剤。
  9. 【請求項9】真空中、77K、暗黒下で測定されたES
    Rにおいて、g値が2.003〜4であるシグナルが観
    測され、かつこのg値が2.003〜4であるシグナル
    は真空中、77Kにおいて少なくとも420nm〜60
    0nm範囲の波長の光を照射下で測定した場合、上記暗
    黒下で測定された場合よりシグナルの強度が大きい、請
    求項2〜8のいずれか1項に記載の腫瘍治療用助剤。
  10. 【請求項10】真空中、77K、暗黒下で測定されたE
    SRにおいて、g値が1.96を示すTi3+に帰属され
    るシグナルが実質的に観測されない、請求項2〜9のい
    ずれか1項に記載の腫瘍治療用助剤。
  11. 【請求項11】可視光活性を有する光触媒が、少なくと
    もアナターゼ型二酸化チタンを含み、かつ真空中、77
    Kにおいて420nm以上の波長を有する光の照射下で
    測定したESRにおいて、g値が2.004〜2.00
    7である主シグナルとg値が1.985〜1.986及
    び2.024である2つの副シグナルが観測され、かつ
    これらの3つのシグナルは真空中、77K、暗黒下にお
    いて微小に観測されるか、又は実質的に観測されない可
    視光応答型材料であることを特徴とする請求項1に記載
    の腫瘍治療用助剤。
  12. 【請求項12】前記材料が有する主シグナル及び2つの
    副シグナルは真空中、常温において、暗黒下及び420
    nm以上の波長を有する光照射下におけるESRにおい
    ても測定される請求項11に記載の腫瘍治療用助剤。
  13. 【請求項13】前記材料が有する主シグナル及び2つの
    副シグナルが正孔補足に起因するラジカルに帰属される
    ものである請求項11又は12に記載の腫瘍治療用助
    剤。
  14. 【請求項14】前記材料が、真空中、77Kにおいて4
    20nm以上の波長を有する光の照射下で測定されたE
    SRにおいて、g値が2.009〜2.010である副
    シグナルをさらに有する請求項11に記載の腫瘍治療用
    助剤。
  15. 【請求項15】前記材料が、安定した酸素欠陥を有する
    請求項11〜14のいずれか1項に記載の腫瘍治療用助
    剤。
  16. 【請求項16】前記材料は、X線光電子分光法により得
    られるチタンの2p電子に帰属されるピークの面積に対
    する、チタンと結合している酸素の1s電子に帰属され
    るピークの面積の比(O1s/Ti2p)が1.99以
    下である請求項15に記載の腫瘍治療用助剤。
  17. 【請求項17】面積比(O1s/Ti2p)が1.5〜
    1.95の範囲である請求項16に記載の腫瘍治療用助
    剤。
  18. 【請求項18】面積比(O1s/Ti2p)が1週間以
    上実質的に一定している請求項15〜17のいずれか1
    項に記載の腫瘍治療用助剤。
  19. 【請求項19】一方の端部面に光触媒を担持させた光学
    繊維と、該光学繊維の他方の端部に配置させた光触媒用
    光源とを備えてなり、かつ前記光触媒が可視光活性を有
    する光触媒である装置。
  20. 【請求項20】可視光活性を有する光触媒が(1)安定
    した酸素欠陥を有する二酸化チタン、(2)安定した酸
    素欠陥を有し、かつ真空中、77K、暗黒下で測定され
    たESRにおいて、g値が2.003〜4であるシグナ
    ルが観測され、かつこのg値が2.003〜4であるシ
    グナルは真空中、77Kにおいて少なくとも420nm
    〜600nm範囲の波長の光を照射下で測定した場合、
    上記暗黒下で測定された場合よりシグナルの強度が大き
    い二酸化チタン、及び(3)少なくともアナターゼ型二
    酸化チタンを含み、かつ真空中、77Kにおいて420
    nm以上の波長を有する光の照射下で測定したESRに
    おいて、g値が2.004〜2.007である主シグナ
    ルとg値が1.985〜1.986及び2.024であ
    る2つの副シグナルが観測され、かつこれらの3つのシ
    グナルは真空中、77K、暗黒下において微小に観測さ
    れるか、又は実質的に観測されない可視光応答型材料か
    らなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項19
    に記載の装置。
  21. 【請求項21】腫瘍治療用である請求項19又は20に
    記載の装置。
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