JP2001302239A - 小粒子径の紡錘状炭酸カルシウムを製造する方法 - Google Patents

小粒子径の紡錘状炭酸カルシウムを製造する方法

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JP2001302239A
JP2001302239A JP2000127143A JP2000127143A JP2001302239A JP 2001302239 A JP2001302239 A JP 2001302239A JP 2000127143 A JP2000127143 A JP 2000127143A JP 2000127143 A JP2000127143 A JP 2000127143A JP 2001302239 A JP2001302239 A JP 2001302239A
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particle diameter
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Kohei Mitsuhashi
幸平 三觜
Katsuyuki Tanabe
克幸 田辺
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Nittetsu Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製紙用の塗工料、填料、又はプラスチック等
の高分子材料の充填剤として好適に使用できる小粒子径
の紡錘状炭酸カルシウムの製造方法の提供。 【解決手段】 炭酸化反応を鉄、マンガン、銅、バリウ
ム、ストロンチウムのなかから選ばれる1種以上の金属
化合物、又は硝酸根を持つ化合物が添加されている水酸
化カルシウム懸濁液中で行うことにより小粒子径の紡錐
状炭酸カルシウムを製造する。添加量を調節することに
より粒子径を制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業的規模でより
簡便に小粒子径の紡錘状炭酸カルシウムを製造する方法
に関する。より詳しくは、炭酸化反応を特定の化合物が
添加された水酸化カルシウム懸濁液中で行うことによ
り、製紙用の塗工料あるいは填料、プラスチックやゴム
等の高分子材料の充填剤として好適に使用することので
きる小粒子径の紡錘状炭酸カルシウムを製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】炭酸カルシウムには天然の白色石灰石を
物理的に粉砕した重質炭酸カルシウムと化学的な沈殿反
応による合成炭酸カルシウムとがある。前者の重質炭酸
カルシウムは、天然物を粉砕するという製造プロセスか
らして比較的安価に製造できるが、粒度分布幅が広く物
理的粉砕独特の不規則な形態をしているため、均一な粒
子径や形態のそろった粉体を製造することは容易なこと
でない。
【0003】これに対し、後者の合成炭酸カルシウムは
化学的な沈殿反応により製造されるため粒子径や形態を
ある範囲において制御することが可能であり、このよう
にして製造された紡錘状、立方体状、柱状等の独特の形
態と狭い一定範囲の粒度からなる炭酸カルシウムは、そ
れぞれが有している形態及び粒度等の違いに由来する特
有の機能や特性を有しており、その機能や特性を生かし
て製紙や種々の高分子材料分野で使い分けられている。
【0004】これらの合成炭酸カルシウムの中でも紡錘
状炭酸カルシウムは、長径3〜6μm、短径1〜2μm
(電子顕微鏡法による平均径。以下に示される粒子径も
同様。)の紡錘形をなしており、主として製紙用填料と
して大量に使用されているものの、通常の反応条件下で
はその粒子径は上記の限られた範囲のものしか製造でき
ない。そのためこのような状況を解消すべく粒子径制御
に関しては古くより種々検討がなされてきており、これ
に関する提案には以下のものがある。
【0005】すなわち、特公昭54−28399号公報
の水酸化カルシウムを予め湿式磨砕し、懸濁液の濃度と
温度を厳密に制御することによる方法、特公昭60−3
3765号公報の水酸化カルシウム懸濁液に水ガラスあ
るいはシリカゾルを添加し炭酸ガスを吹き込むことによ
り0.5〜1.0μmの紡錘形炭酸カルシウムを得る方
法がある。
【0006】さらに、特開平1−18911号公報の硫
酸化合物を添加して、長径0.6−3μm、短径0.1
−1μmの紡錘形炭酸カルシウムを製造する方法があ
り、また特開平5−238730号公報提案の塩基性炭
酸カルシウムが生成する条件下でバリウムまたはストロ
ンチウム化合物存在下に炭酸化反応を行うことによっ
て、分散性に優れかつ粒径が0.1〜1.0μmの紡錘
状炭酸カルシウムを製造する方法もある。
【0007】しかしながら、これら提案の製造方法は、
湿式磨砕が必要であるため製造工程が複雑化する、特殊
な添加剤を使用する、さらには塩基性炭酸カルシウムを
経由するために反応条件を厳密化することが必要であ
り、それらの理由に起因して発生するコスト増等のため
にいずれも工業的に採用された例は知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように紡錘状炭酸
カルシウムは、合成炭酸カルシウムの中でも比較的容易
に生産できるものの1つであり、かつ粒子径も適切であ
ることから製紙用の填料として大量に使用されてはいる
が、製紙用塗工料としてはむしろ立方体状や柱状炭酸カ
ルシウムが良く使用されている。
【0009】その一因には小粒径品の粒子径制御の困難
さがある。この小粒径品の粒子径制御が工業生産レベル
で容易に行えるようになれば、従来の合成炭酸カルシウ
ムの粒子径の空白域である0.1〜3.0μmの粒子径
の炭酸カルシウムが工業生産レベルで製造できることに
なり、製紙用塗工料としての利用が可能となると共に高
分子材料等への新規用途の更なる拡大が期待できる。
【0010】このような事情に鑑み、本発明者らは紡錘
状炭酸カルシウムの利用拡大を図るべく、小粒径品の粒
子径制御について鋭意検討を重ねた結果、水酸化カルシ
ウム懸濁液の炭酸化反応において、ありふれた特定の化
合物が添加された水酸化カルシウム懸濁液中で行うとい
う簡便な手法により解決できることを見出し本発明を完
成するに至った。
【0011】前述のとおり、本発明は従来技術における
前記問題点の解消あるいは紡錘状炭酸カルシウムの更な
る利用拡大を図ることを解決すべき課題とするものであ
る。すなわち、本発明は、効率よく安定して工業的に製
造が可能で、経済性にも優れ、小粒子径、特に小さな長
径を有し、かつその粒子径を所望の値に簡便に制御で
き、しかも更なる利用拡大を図ることのできる紡錘状炭
酸カルシウムを製造する方法を提供することを目的とす
るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明における上記課題
を解決するための手段は、水酸化カルシウム懸濁液の炭
酸化反応により紡錘状炭酸カルシウムを製造する方法で
あって、炭酸化反応を、鉄、マンガン、銅、バリウム、
ストロンチウムのなかから選択される1種以上の金属化
合物、及び/又は硝酸根を持つ化合物が添加された水酸
化カルシウム懸濁液中で行うことにより小粒子径の紡錐
状炭酸カルシウムを製造するものである。
【0013】そして、本発明では、前記した金属化合
物、又は硝酸根を持つ化合物が添加された水酸化カルシ
ウム懸濁液中、すなわち金属化合物、又は硝酸根を持つ
化合物が添加された水酸化カルシウム懸濁液中で炭酸化
反応を実施するという簡便な手段により小粒子径の紡錐
状炭酸カルシウムを製造することができるものである。
また、添加される化合物も特殊なものでなく、入手し易
い極ありふれたものであり、簡易に採用できるものであ
る。特に前記した金属化合物について硝酸塩を使用する
と一層効果的である。さらに、これら化合物の添加量を
調節することにより、製造される紡錘状炭酸カルシウム
の粒子径を、所望する大きさに制御することが可能であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて詳述する。本発明で製造する紡錘状炭酸カルシウム
の主製造原料である水酸化カルシウム懸濁液の調製に使
用する石灰原料については、特に制限はないが例えば国
内天然資源として豊富にある高品質の石灰石を焼成して
得た生石灰に水を加えて消化することにより得られる。
その懸濁液濃度は、水酸化カルシウム濃度で30重量%
以下、望ましくは1〜20重量%がよい。その理由は濃
度が低すぎると製造効率が低下し、高すぎると十分な撹
拌が困難となり均一な反応が行われないことがあるから
である。
【0015】炭酸化反応には二酸化炭素を使用するの
が、品質上でもまた経済的にも有利である。この場合に
はボンベにて供給される純ガスを使用してもよいし、生
石灰製造時にキルンより発生する廃ガスあるいはその他
の燃焼廃ガス等の二酸化炭素含有ガスを洗浄して利用す
ることができる。二酸化炭素含有ガスの濃度には制限は
ないが、低濃度では反応効率が低下し炭酸化に長時間を
要するため5%以上であることがよく、より望ましくは
10%以上であれば好適である。
【0016】紡錘状炭酸カルシウムの製造における適正
な炭酸化反応の開始温度は比較的狭く、一般的には25
〜40℃で行われることが多い。温度が低すぎるとコロ
イド状炭酸カルシウムが生成しやすくなり、目的とする
紡錘状炭酸カルシウムが得られないことがある。他方、
温度が高すぎると長柱状〜針状のアラゴナイトが混入し
やすくなり、炭酸カルシウムの粒径や形態が不揃いとな
る場合がある。
【0017】しかしながら、本発明においては、前記し
た化合物を使用することにより、その開始温度幅を広く
とることができ、20〜70℃で製造が可能であり、ま
た望ましくは25〜60℃にするのが好適である。な
お、温度が低すぎるとコロイド状炭酸カルシウムが生成
しやすくなり、他方、温度が高すぎると長柱状〜針状の
アラゴナイトが混入しやすくなるのは、通常の紡錘状炭
酸カルシウムを製造する場合と同様である。
【0018】この炭酸化反応の温度に関し特に開始温度
を問題とするのは、開始温度のみを調節し、その後は成
り行きまかせにしても何等差し支えないことが判明した
からである。例えば炭酸化反応の途中で温度制御をしな
ければ、反応熱により炭酸化終了までの間に常温下では
通常5〜20℃の温度上昇があるが、温度制御して反応
終了時まで開始温度を維持したものと比較しても生成物
には特段差異がない。その理由は明確ではないが、本発
明者らの考察では、炭酸化反応の開始時期から数分の間
に結晶核生成が行われており、その後は反応温度が生成
物に与える影響が小さいものと考えている。
【0019】水酸化カルシウム懸濁液中に添加される化
合物の添加手法及び添加形態等については、金属化合物
の場合は特に制限されず、石灰石焼成時に炭酸塩、水酸
化物、塩化物等を原料となる生石灰中に混合させる、生
石灰水和時に酸化物、水酸化物、可溶性塩を混合する、
あるいは水酸化カルシウム懸濁液調製後、酸化物、水酸
化物、可溶性塩を添加する等の手法が採用可能である。
なお、第1の手法である石灰石焼成時に前記した金属の
化合物を混合する方法では、水酸化物及び塩化物等は焼
成時の加熱によって金属酸化物に変化する。
【0020】それらの添加される金属化合物について
は、可溶性塩であれば特に制限されず、例えば塩化物、
硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等が使用できる。また、酸化物
の場合にも可溶性のものが好ましく、難溶性の場合には
少なくともある程度の溶解度を有することが必要であ
り、完全に不溶性の場合には、添加効果はない。すなわ
ち添加しても、無添加の場合に比し、小粒子径結晶を得
ることは期待できない。
【0021】その金属化合物の添加時期については、炭
酸化開始前に金属化合物が水酸化カルシウム懸濁液に含
有されていることが必要で、炭酸化開始後では期待する
効果が低下したり得られないことがある。その添加され
る金属化合物の懸濁液中での形態については、特に限定
されるものではなく、添加時のままの形態でもよく、ま
た添加後に他の形態に変化していてもよい。
【0022】要は炭酸化反応時にある程度の溶解度を有
し小粒子径の紡錐状炭酸カルシウムが形成できるもので
ある限り特に制限されるものではない。例えば懸濁液中
で溶解しイオン化していてもよいことは勿論、また前記
したとおり塩化物等が焼成時の加熱によって酸化物に変
化していてもよいが、その場合にもある程度の溶解度を
有することが必要であることは前記した酸化物が直接添
加される場合と同様である。
【0023】また、添加される金属化合物については、
その添加量を目的とする粒子径により調整するのがよ
い。すなわち、金属化合物等の添加量を調節することに
より所望の粒子径の紡錘状炭酸カルシウムを得ることが
できるのであり、この添加量の調節によって粒子径を制
御することができる。その添加量は、水酸化カルシウム
100重量部に対して金属量に換算し0.005〜5.
0重量部が適当で、添加量が多くなるほど粒子径は小さ
くなる傾向がある。
【0024】すなわち、添加量が0.005重量部より
少ないと十分な効果が得られず、得られる紡錘状炭酸カ
ルシウムの粒子径は無添加時と大差はなく、逆に5.0
重量部より多量に共存させても効果には限界がある上、
生成物は凝集が著しくなり実用に適さない。なお、無添
加の場合においても、粒子径は使用する石灰石の産出
地、焼成条件あるいは水和条件等により微妙な差異が生
ずることがある。そのようなことから、目的粒子径を形
成するために、必要な場合にはそれらについて配慮した
上で添加量を調節するのがよい。
【0025】例えば、石灰石の産出地による差異につい
ては、ほとんどの場合に関し無視し得る程度のものであ
り、特に配慮する必要はない。その理由は明確になって
いるわけではないが、工業的に我が国で産出している石
灰石については、ほとんどのものが高純度のものである
ことに由来するものと考えている。したがって、石灰石
の品位が低く添加金属化合物と同じ金属化合物を多量に
含有する場合には、事前にその含有量を検出し、その結
果踏まえて添加量を調節する等の慎重に対応をすること
が必要となる。
【0026】次に、金属化合物と同様に水酸化カルシウ
ム懸濁液中に添加される硝酸根を持つ化合物について
は、その添加時期は、生石灰水和時あるいは水酸化カル
シウム懸濁液調製後が良く、その化合物としては硝酸あ
るいは硝酸塩が使用できる。その添加は炭酸化開始後で
も可能であるが、添加時期が遅くなるほどその効果が弱
くなったり、粒子径がばらつく傾向が見られる。なお、
硝酸根を持つ化合物の炭酸化反応時の形態については硝
酸根となっていることが必要であり、炭酸化反応時に該
形態を維持することにより、含有効果、すなわち小粒子
径の紡錘状炭酸カルシウム形成効果を発現できる。
【0027】また、添加する量は、水酸化カルシウム1
00重量部に対して硝酸根として0.005〜5.0重
量部が適当で、含有量が多くなるほど粒子径は小さくな
る傾向がある。0.005重量部より少ないと十分な効
果が得られず、得られる紡錘状炭酸カルシウムの粒子径
は無含有時と大差はなく、逆に5.0重量部より多量に
なると、紡錘状炭酸カルシウムが生成しにくくなる。
【0028】さらに、本発明で添加する金属化合物の金
属と硝酸根を組み合わせると、小粒子径の紡錘状炭酸カ
ルシウム製造における効果は顕著であり、添加させる化
合物の量を少なくできるという利点がある。なお、硝酸
根を持つ化合物の添加量についても、その添加量調節時
には前記した金属化合物の添加量調節の場合と同様の配
慮するのがよい。
【0029】本発明の水酸化カルシウム懸濁液の炭酸化
反応においては、前記したとおり従来より広い炭酸化開
始温度の範囲で、紡錘状炭酸カルシウムを容易にかつ安
定して製造できる。具体的には、金属化合物や硝酸根を
持つ化合物を添加せずに炭酸化反応により得られる紡錘
状炭酸カルシウムは、例えば炭酸化開始温度が30℃で
は長径が3μm、35℃では5μmになるのに対し、本
発明では金属化合物および/または硝酸根を持つ化合物
を添加することにより0.3〜5.0μmの間で連続的
に安定して粒子径をコントロールすることができる。
【0030】その結果、本発明では、所望の粒子径の紡
錘状炭酸カルシウムを製造することができるようになっ
た。また、それによりこれまでの用途である製紙用填料
はもちろん、製紙用塗工料や各種高分子材料の機能性フ
ィラーとして、ユーザーからの各種粒子径に対するニー
ズに対応できる点で、本発明の製造方法は実用性が極め
て高いという特徴を有している。
【0031】
【実施例】本発明の実施例及び比較例をあげて更に具体
的に説明するが、本発明はこの実施例によって何等限定
されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特
定されるものであることはいうまでもないことである。
なお、以下の実施例及び比較例における金属量は、全て
水酸化カルシウム100重量部に対する重量部であり、
また、紡錘状炭酸カルシウムの粒子径は、透過型電子顕
微鏡での観察によって求められた平均の長径および短径
を表す。
【0032】[実施例1〜6]容量3リットルの筒型セ
パラブルフラスコに水道水1kgを入れ、この中に工業
用生石灰135gと所定量の試薬塩化ストロンチウム6
水和物を投入後、撹拌して水酸化カルシウム懸濁液を調
製した。この水酸化カルシウム懸濁液を100mesh
の篩に通し粗粒物を取り除き、更に水道水を加え全体量
を2kgにして所定温度に調節した。この懸濁液を撹拌
しながら二酸化炭素濃度20%の空気との混合ガスを
2.8リットル/分の速度で導入し、スラリーのpHが
7以下となることにより炭酸化の終了を確認した。得ら
れた紡錘状炭酸カルシウムの粒子径を透過型電子顕微鏡
で観察した。
【0033】その観察結果、並びに炭酸化開始温度、水
酸化カルシウム懸濁液濃度及び金属化合物添加量等の炭
酸化反応条件を表1に示す。その表1をみると同一温度
で紡錘状炭酸カルシウムを製造した実施例1ないし3に
おいては添加量が多いものほど粒子径が小さくなること
が即座に理解できる。また、開始温度が高いと低い場合
に比し粒子径が大きくなることもわかる。さらに、同一
温度で紡錘状炭酸カルシウムを製造した後記する比較例
1と対比すると、本発明であるストロンチウム化合物を
添加した場合の方が無添加の場合に比し粒子径が小さく
なることも即座に理解できる。
【0034】
【表1】
【0035】[実施例7〜10]実施例1〜6と同様に
容量3リットルの筒型セパラブルフラスコに水道水1k
gを入れ、この中に石灰石を焼成して製造した前記工業
用生石灰135gを投入し撹拌した。この水酸化カルシ
ウム懸濁液を100meshの篩に通し粗粒物を取り除
き、全体量を2kgにして所定温度に調節した。この懸
濁液に所定の金属化合物を所定量添加したのち、撹拌し
ながら二酸化炭素濃度20%の空気との混合ガスを2.
8リットル/分の速度で導入し、スラリーのpHが7以
下となったことにより炭酸化の終了を確認した。得られ
た紡錘状炭酸カルシウムの粒子径を透過型電子顕微鏡で
観察した。その観察結果及び炭酸化反応条件を表2に示
す。
【0036】
【表2】
【0037】[実施例11]実施例1〜6と同様に容量
3リットルの筒型セパラブルフラスコに水道水1kgを
入れ、この中に石灰石を焼成して製造した前記工業用生
石灰135gを投入し撹拌した。この水酸化カルシウム
懸濁液を100meshの篩に通し粗粒物を取り除き、
全体量を2kgにして35℃に調節した。この懸濁液に
所定量の硝酸を添加したのち、撹拌しながら二酸化炭素
濃度20%の空気との混合ガスを2.8リットル/分の
速度で導入し、スラリーのpHが7以下となったことに
より炭酸化の終了を確認した。得られた紡錘状炭酸カル
シウムの粒子径を透過型電子顕微鏡で観察した。その観
察結果及び炭酸化反応条件を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】[実施例12]実施例1と同じストロンチ
ウム金属量となるように硝酸ストロンチウムを添加し、
それ以外は水酸化カルシウム懸濁液の調製を含め実施例
1と同様の操作を行った。得られた紡錘状炭酸カルシウ
ムの粒子径を透過型電子顕微鏡で観察したところ、長径
0.8μm、短径0.2μmの紡錘状炭酸カルシウムで
あった。ストロンチウム金属含有量は実施例1と同じで
あるが、硝酸根の効果によって、実施例1よりも粒子径
の小さいものが得られた。その観察結果及び炭酸化反応
条件を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】[比較例1]容量3リットルの筒型セパラ
ブルフラスコに水道水1kgを入れ、この中に石灰石の
焼成により製造した実施例1と同じ工業用生石灰135
gを投入し撹拌した。この水酸化カルシウム懸濁液を1
00meshの篩に通し粗粒物を取り除き、全体量を2
kgにして30℃に調節した。この懸濁液を撹拌しなが
ら二酸化炭素濃度20%の空気との混合ガスを2.8リ
ットル/分の速度で導入し、pHが7以下となったこと
により炭酸化反応の終了を確認した。
【0042】得られた炭酸カルシウムを透過型電子顕微
鏡で観察したところ、長径3.0μm、短径0.7μm
の紡錘状炭酸カルシウムであった。この結果を同一温度
で紡錘状炭酸カルシウムを製造した実施例1ないし4、
9、10、12と比較すると、前記したように本発明に
該当する特定の金属化合物及び/又は硝酸根を持つ化合
物を添加した場合の方が粒子径が小さいことが即座に理
解できる。
【0043】[比較例2]炭酸化開始温度を35℃とし
た以外は、比較例1と同様の操作で炭酸カルシウムを得
た。生成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、長径
5.0μm、短径1.0μmの紡錘状炭酸カルシウムで
あった。
【0044】[比較例3]18.1重量%の水酸化カル
シウム懸濁液を調製し、その中に試薬塩化ストロンチウ
ム6水和物を0.01g添加して添加Sr金属量を0.
002重量部とした以外は、使用した工業用生石灰を含
め実施例2と同様の手順及び条件で実験を行った。得ら
れた紡錘状炭酸カルシウムを透過型電子顕微鏡で観察し
たところ、Sr添加効果は認められず、無添加と同様の
長径3.0μm、短径0.7μmの紡錘状炭酸カルシウ
ムが生成した。
【0045】[比較例4]8.0重量%の水酸化カルシ
ウム懸濁液を調製し、その中に試薬塩化第二銅2水和物
を34.4g添加して銅金属量を8.0重量部とした以
外は、実施例9と同様の手順及び条件で実験を行った。
生成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、粒子径
0.06μmのコロイド状炭酸カルシウムであった。
【0046】[比較例5、6]実施例2と同様の手順
で、炭酸化開始温度をそれぞれ15℃、80℃として実
験を行った。得られた炭酸カルシウムを透過型電子顕微
鏡で観察したところ、15℃では平均粒子径が0.04
μmのコロイド状炭酸カルシウムが生成した。また80
℃では長径3.0μm、短径0.7μmの紡錘状炭酸カ
ルシウムの他に、長さ5〜10μmの長柱状〜針状の粒
子が混在しており、粉末X線回折を行ったところアラゴ
ナイトのピークが確認された。以上の比較例1ないし6
の観察結果及び炭酸化反応条件を表5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】
【発明の効果】本発明の紡錘状炭酸カルシウムを製造す
る方法は、特定の金属化合物あるいは硝酸根を持つ化合
物が添加されている水酸化カルシウム懸濁液中で炭酸化
反応させるという簡便な手法で、無添加の場合と比較し
て小粒子径のものが得られるという優れた効果を奏する
ものである。またそれと同時に添加量を調節するという
簡単な手法で粒子径を制御できるという優れたものであ
る。さらに添加する化合物は極ありふれた化合物であ
る。
【0049】以上のとおりであるから、本発明は、実用
性に優れ、工業的レベルでの採用が容易な技術であり、
これまでの用途である製紙用填料はもちろん、製紙用塗
工料や各種高分子材料の機能性フィラーとして、ユーザ
ーからの粒子径に関するニーズに対応できる点で、実用
性が極めて高いという特徴を有している。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G076 AA16 AB06 BA34 BB03 BD02 CA01 CA02 CA26 DA02 DA15 4L055 AG04 AG07 AG12 AG15 AH01 AH02 AH50 FA11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化カルシウム懸濁液の炭酸化反応に
    より紡錘状炭酸カルシウムを製造する方法であって、炭
    酸化反応を、鉄、マンガン、銅、バリウム、ストロンチ
    ウムのなかから選択された1種以上の金属化合物が添加
    された水酸化カルシウム懸濁液中で行うことにより小粒
    子径の紡錐状炭酸カルシウムを製造する方法。
  2. 【請求項2】 水酸化カルシウム懸濁液の炭酸化反応に
    より紡錘状炭酸カルシウムを製造する方法であって、炭
    酸化反応を、硝酸根を持つ化合物が添加された水酸化カ
    ルシウム懸濁液中で行うことにより小粒子径の紡錐状炭
    酸カルシウムを製造する方法。
  3. 【請求項3】 金属化合物及び/又は硝酸根を持つ化合
    物の添加量を調節することにより、粒子径を制御する請
    求項1又は2記載の紡錘状炭酸カルシウムを製造する方
    法。
  4. 【請求項4】 金属化合物の添加量が、水酸化カルシウ
    ム100重量部に対し、金属量に換算して0.005〜
    5.0重量部である請求項1又は3記載の紡錘状炭酸カ
    ルシウムを製造する方法。
  5. 【請求項5】 金属化合物が、酸化物、水酸化物、可溶
    性塩からなる群から選択される1種以上である請求項
    1、3又は4記載の紡錘状炭酸カルシウムを製造する方
    法。
  6. 【請求項6】 炭酸化反応の反応開始温度が25〜60
    ℃である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の紡錘
    状炭酸カルシウムを製造する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105819483A (zh) * 2015-01-06 2016-08-03 上海华明高技术(集团)有限公司 含文石晶相的沉淀碳酸钙晶种及其制备方法

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