JP2001301156A - 音響インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

音響インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置

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JP2001301156A
JP2001301156A JP2000124894A JP2000124894A JP2001301156A JP 2001301156 A JP2001301156 A JP 2001301156A JP 2000124894 A JP2000124894 A JP 2000124894A JP 2000124894 A JP2000124894 A JP 2000124894A JP 2001301156 A JP2001301156 A JP 2001301156A
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ink
ink jet
acoustic
frequency
jet recording
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Application number
JP2000124894A
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English (en)
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Satonobu Hamazaki
聡信 浜崎
Naoki Morita
直己 森田
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドット径変調ができる音響インクジェット記
録ヘッドおよびインクジェット記録装置を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 音響インクジェットヘッド10は、音響
フレネルレンズ24の基本周波数、あるいはその整数倍
の周波数で振動子28が駆動されることによって、イン
ク自由表面32からインク液滴36が吐出される。上記
周波数を切り換えることによって、ドット径変調が達成
される。振動子28に印加される駆動信号の振幅、ある
いは印加時間を駆動周波数に応じて変化させることによ
って、異なる駆動周波数でも確実にインク液滴を吐出す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動子と音響フレ
ネルレンズにより集束超音波をインク中に放射し、その
焦点付近に保持されたインクの自由表面からインク液滴
を吐出するオンデマンドの音響インクジェット記録ヘッ
ドおよびインクジェット記録装置に関するものであり、
一層詳細には吐出するインク液滴の大きさを変えるドッ
ト径変調を行なう音響インクジェット記録ヘッドおよび
インクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のインクジェットプリンタは、流路
中に設けたヒータによりインクを急加熱してバブルを発
生させ、その圧力によってインク液滴を吐出するサーマ
ルインクジェット方式や、流路周辺に配設された圧電素
子を変形させることにより圧力を発生させてインク液滴
を吐出する圧電型インクジェット方式などが良く知られ
ている。
【0003】ところで、高画質なインクジェットプリン
タを実現するためには、画像を形成するインク液滴を極
力小さくする必要がある。しかしながら、従来のサーマ
ルインクジェット方式や圧電型インクジェット方式で
は、インク液滴を小さくするためにノズル断面積を小さ
くする必要があり、ゴミやインク乾燥によりノズルの目
詰まりが生じやすくなるという問題があった。また、サ
ーマルインクジェット方式では、インク成分がヒータ上
にコゲついて堆積し、吐出特性が劣化する問題があっ
た。
【0004】このようなノズルの目詰まりの問題を解消
する手段として、自由表面からインク液滴を吐出する音
響インクジェットプリンタが、例えば、特公平6-10
2377号公報(以下、従来例1という)に開示されて
いる。すなわち、インクの自由表面に超音波を集束さ
せ、そのエネルギによって自由表面からインク液滴を吐
出させている。この場合にはノズルが不要となるため、
ノズルの目詰まりを回避できる。また、小さなインク液
滴を吐出することも集束超音波のスポット径を制御する
ことにより容易に可能となる。さらに、インク成分のコ
ゲも回避できる。
【0005】なお、従来例1では、インクの自由表面を
超音波の焦点に保持しておくために、開口を有するイン
ク液面保持プレートを設けている。しかし、この開口
は、サーマルインクジェット方式や圧電型インクジェッ
ト方式のノズルと異なり、自由表面を保持するためにの
み設けられているため、インク液滴のサイズよりもかな
り大きく形成できる。したがって、この開口において目
詰まりが発生することはない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、音響イ
ンクジェットでは、インクの目詰まりを回避しながら吐
出するインク液滴を小さくして高画質化を図ることがで
きるが、高濃度の画像を形成する場合にはインク液滴を
数多く吐出する必要が生じ、プリント速度が低下すると
いう問題が生じる。
【0007】音響インクジェットプリンタにおいて高画
質化と高速化を両立するためには、画像濃度に応じて吐
出するインク液滴の大きさを変えるドット径変調が有効
な対策となる。
【0008】音響インクジェットプリンタにおけるドッ
ト径変調に関しては、特開昭63-166545号公報
(以下、従来例2という)に、振動子に与える駆動信号
の印加時間、振幅、周波数などの変調を用いることが開
示されている。しかし、駆動信号の印加時間や振幅を変
化させる場合は、エネルギが閾値以下ではインク液滴が
吐出できず、エネルギが過剰の領域では、サテライトが
発生したり、インク液滴が細長くなったりして、画質が
低下する問題がある。したがって、単に印加時間や振幅
を変化させるだけでは、安定した吐出を保ちつつ駆動信
号の印加時間や振幅を変えられる範囲、すなわち、ドッ
ト径変調の範囲は小さい。また、駆動信号の周波数を変
化させる場合は、振動子の自己共振周波数から外れた周
波数で駆動することになり、エネルギ変換効率が著しく
低下するという問題がある。
【0009】また、特許第2511570号に記載のよ
うに、音響レンズとしてLSIプロセス等により安価に精
度良く作製できる音響フレネルレンズを用いる場合は、
レンズに超音波が集束する基本周波数があり、任意の周
波数では集束しないという問題がある。
【0010】さらに、特開平3-155948号公報、
特開平3-155953号公報にも、振動子に与える周
波数変調によりドット径変調を行う構成が開示されてい
る。この場合には、振動子に球面振動子を用いているた
め任意の周波数で集束するものの、その製造方法が困難
であるという問題がある。
【0011】また、特開平8-290587号公報に
は、駆動信号の印加時間を制御し、複数のインク液滴に
より階調表現するが、それらのインク液滴の着弾位置が
ズレた場合には画質欠陥となるという問題がある。
【0012】本発明は、音響インクジェットプリンタに
おける上述した事情に鑑みてなされたもので、LSIプロ
セス等により安価に精度良く作製できる音響フレネルレ
ンズを用いて、高画質化と高速化を両立するためのドッ
ト径変調を安定した吐出状態でエネルギ効率良く行うこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、液体インクの自由表面に超音波を集束することによ
って、前記自由表面からインク液滴を吐出させる音響イ
ンクジェット記録ヘッドであって、自由表面を有する状
態でインク液を保持するインク液保持手段と、超音波を
発生する振動発生手段と、前記振動発生手段によって発
生した超音波をインク液の前記自由表面に集束させる音
響フレネルレンズと、前記振動発生手段を駆動する駆動
周波数を前記音響フレネルレンズの基本周波数近傍また
は前記基本周波数の整数倍近傍の周波数とすることを特
徴とする。
【0014】請求項1記載の発明の作用について説明す
る。
【0015】振動発生手段から発生した超音波が音響フ
レネルレンズを介してインク保持手段に保持されたイン
ク液の自由表面に集束され、インク液滴がインク自由表
面から吐出される。この際、振動発生手段の駆動周波数
は、音響フレネルレンズの基本周波数近傍またはその整
数倍近傍とされているため、超音波が自由表面に確実に
集束する。
【0016】また、振動発生手段の駆動周波数を音響フ
レネルレンズの基本周波数近傍と基本周波数の整数倍近
傍で切り換えることによって、インク自由表面に超音波
が集束する集束径が変化して、インク液滴の大きさが変
化する。すなわち、安価で精度良く製造できる音響フレ
ネルレンズを用いてドット径変調を行なうことができ
る。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
音響インクジェット記録ヘッドにおいて、画像情報に基
づいて前記駆動周波数を切り換える制御手段を備えるこ
とを特徴とする。
【0018】請求項2記載の発明の作用ついて説明す
る。
【0019】画像情報、例えば、画像濃度が高い部分に
対しては、制御手段が振動発生手段を駆動する駆動周波
数を低い周波数に切り換えることによって、インクの自
由表面から大きなインク液滴が吐出される。一方、画像
濃度が低い部分に対しては、制御手段が駆動周波数を高
い周波数に切り換えることによって、インクの自由表面
から小さなインク液滴が吐出される。したがって、画像
(濃度)に応じてドット径変調を行なうことができ、高
速印字を行なうことができる。
【0020】請求項3に記載の発明は、請求項1記載の
音響インクジェット記録ヘッドにおいて、印字モードに
基づいて前記駆動周波数を切り換える制御手段を備える
ことを特徴とする。
【0021】請求項3記載の発明の作用ついて説明す
る。
【0022】印字モード、例えば、高画質印字モードの
場合には、画質優先であるため、制御手段が振動発生手
段を駆動する駆動周波数を高い周波数に切り換えること
によって、小さなインク液滴を吐出させて高画質な画像
形成を行なう。一方、高速印字モードの場合には、制御
手段が駆動周波数を低い周波数に切り換えることによっ
て、大きなインク液滴を吐出させ、高速印字を行なう。
また、標準印字モードでは、制御手段が駆動周波数を画
像濃度に応じて切り換え、ある程度の高画質を実現しつ
つ高速印字を達成することができる。
【0023】請求項4に記載の発明は、請求項2または
3記載の音響インクジェット記録ヘッドにおいて、前記
振動発生手段が圧電素子で構成され、前記制御手段から
前記圧電素子に印加される駆動信号の振幅を前記駆動周
波数に応じて変更することを特徴とする。
【0024】請求項4記載の発明の作用について説明す
る。
【0025】振動発生手段の駆動周波数が高いほど小さ
いインク液滴が吐出されるが、インク液滴の吐出に必要
とされるエネルギ量が減少する。したがって、駆動周波
数に拘わらず圧電素子に印加される駆動信号の振幅を一
定しておくと、インク自由表面に付与されるエネルギ量
に過不足を生じ、インクの自由表面から複数のインク液
滴が吐出されたり、インク液滴が吐出されないおそれが
あった。しかしながら、駆動周波数に対応して駆動信号
の振幅を変化させる、具体的には駆動周波数が高くなる
に従って駆動信号の振幅を減少させることによって、イ
ンク自由表面に付与されるエネルギ量を調節し、異なる
駆動周波数でもインク液滴を一滴ずつ確実に吐出させる
ことができる。
【0026】請求項5に記載の発明は、請求項2または
3記載の音響インクジェット記録ヘッドにおいて、前記
振動発生手段が圧電素子で構成され、前記制御手段から
前記圧電素子に印加される駆動信号の印加時間を前記駆
動周波数に応じて変更することを特徴とする。
【0027】請求項5記載の発明の作用について説明す
る。
【0028】振動発生手段の駆動周波数が高いほど小さ
いインク液滴が吐出されるが、インク液滴の吐出に必要
とされるエネルギ量が減少する。したがって、駆動周波
数に拘わらず圧電素子に印加される駆動信号の印加時間
を一定しておくと、インク自由表面に付与されるエネル
ギ量に過不足を生じ、インクの自由表面から複数のイン
ク液滴が吐出されたり、インク液滴が吐出されないおそ
れがあった。しかしながら、駆動周波数に対応して駆動
信号の印加時間を変化させる、具体的には駆動周波数が
高くなるに従って駆動信号の印加時間を減少させること
によって、インク自由表面に付与されるエネルギ量を調
節し、異なる駆動周波数でもインク液滴を一滴ずつ確実
に吐出させることができる。
【0029】請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の
いずれか1項に記載の音響インクジェット記録ヘッドに
おいて、前記インク保持手段が保持するインク自由表面
は、前記振動発生手段が最高駆動周波数で駆動された場
合に超音波が集束する焦点付近に設けられていることを
特徴とする。
【0030】請求項6記載の発明の作用について説明す
る。
【0031】駆動周波数に応じて音響フレネルレンズに
よって超音波が集束する焦点深度が変化する。すなわ
ち、駆動周波数が高くなるに従って焦点深度が浅くな
る。したがって、最高駆動周波数の場合の焦点位置近傍
にインク自由表面を設けておくことにより、焦点深度の
浅い最高駆動周波数の場合にインク液滴を確実に吐出で
きる。また、駆動周波数が最高駆動周波数よりも低い場
合には、最高駆動周波数の場合よりも焦点深度が深いた
め、焦点がインク自由表面よりも多少ずれていてもイン
ク液滴を確実に吐出することができる。
【0032】請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の
いずれか1項に記載の音響インクジェット記録ヘッドに
おいて、前記振動発生手段の自己共振周波数が、前記駆
動周波数のいずれかに一致していることを特徴とする。
【0033】請求項7記載の発明の作用について説明す
る。
【0034】振動発生手段の自己共振周波数を駆動周波
数のいずれかと一致させておくことにより、共振によっ
て超音波のエネルギ伝達効率が向上する。
【0035】請求項8記載のインクジェット記録装置
は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の音響イ
ンクジェット記録ヘッドを備えたことを特徴とする。
【0036】請求項8記載の発明の作用ついて説明す
る。
【0037】このような音響インクジェット記録ヘッド
を備えることにより、画質の向上を図ると共に、印字速
度の向上も実現することができる。すなわち、インク自
由表面からインク液滴を吐出するため、インク液滴を小
型化させても目詰まりを発生させることなく高画質化で
きると共に、画像に応じて駆動周波数を変化させてドッ
ト径変調を行なうことにより高速印字を達成することが
できる。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明に係る音響インクジェット
記録ヘッドおよびこれを備えたインクジェット記録装置
の一実施形態について説明する。先ず、音響インクジェ
ットヘッドについて説明する。
【0039】音響インクジェット記録ヘッド10(以
下、単に記録ヘッド10という場合がある)は、図1お
よび図2に示すように、基板12とインク液面保持プレ
ート14がスペーサ16を介して張り合わされて一体化
されると共に、マニフォールド18の凹部18Aに収納
され、周辺をシールされることにより構成されている。
【0040】マニフォールド18には、外部から凹部1
8Aにインクを供給するインク供給口20が設けられて
おり、インク38は、図示されていないインクタンクか
らインク供給口20、基板12の中央部に形成された開
口22を通り、基板12とインク液面保持プレート14
の間に満たされる。基板12には、複数の音響フレネル
レンズ24が2列に配設されており、この音響フレネル
レンズ24に対応した位置に、インク液面保持プレート
14の複数の開口26が形成されている。音響フレネル
レンズ24および開口26は、それぞれの列で37.5
dpi(677μm)ピッチに並んでおり、互いの列は半
ピッチずれているので、ヘッド自体の解像度は75dpi
である。
【0041】基板12には、インク接触面に音響フレネ
ルレンズ24が、その裏面に超音波発生用の振動子28
と電極30が設けられている。音響フレネルレンズ2
4、振動子28、電極30などはLSIプロセス等により
基板12上に作製することができる。
【0042】また、インク液面保持プレート14の開口
26は、振動子28で発生した超音波が音響フレネルレ
ンズ24を介して集束される集束超音波34の焦点付近
にインク自由表面32を保持するために設けられてお
り、ここからインク液滴36が吐出される。なお、イン
ク自由表面32は、後述するように、音響フレネルレン
ズ24の底面24CからのZ方向距離が、振動子28が
最高駆動周波数で駆動された場合の集束超音波34の焦
点ピーク(距離)に一致するように保持されている。
【0043】図3に本実施形態に適用される階段状の音
響フレネルレンズを示す。
【0044】本実施形態に適用される音響フレネルレン
ズ24は、図3に示すように、4相であり、Z方向の異
なる4位置(4段)に階段状に形成された放射面があ
り、Z軸を中心としてR方向に同心円形状となってい
る。R方向に隣接する放射面、例えば放射面24A、2
4Bから放射される超音波が、インク中のZ軸に垂直な
同一平面上でインクとレンズの音速差によって位相が1
/4波長ずれるように、Z方向の段差が決められてい
る。その位相差のある超音波同士がインク中を伝播して
焦点で位相が合うようにR方向の位置が決められてい
る。
【0045】このように構成することにより、音響フレ
ネルレンズから放射された超音波の音響エネルギは、焦
点に集束する。この時のインク中の波長が音響フレネル
レンズの基本波長であり、インクの音速をこの基本波長
で割ったものが音響フレネルレンズの基本周波数とな
る。音響フレネルレンズでは多相になるほど集束効率が
良くなるが、段差も多くなり作製が難しくなるので、集
束効率と作製精度との兼ね合いで相数を決める。
【0046】ここで、吐出されるインク液滴36の直径
は、インク自由表面32における集束超音波34の焦点
径とほぼ同等であることが分かっている。また、焦点径
は、振動子28の駆動周波数に依存していることが分か
っている。
【0047】したがって、実際に音響フレネルレンズ2
4を設計するには、先ず、要求される画質から最小ドッ
ト径(最小焦点径)を決め、この最小ドット径に基づい
て最高駆動周波数を決める。ドット径と駆動周波数との
関係が予め実験により分かっており、高周波数ほどドッ
ト径は小さくなる。本実施形態では、その最高駆動周波
数を249(MHz)とする。
【0048】次に、最高駆動周波数等の駆動周波数が最
低駆動周波数(基本周波数)の整数倍になるように定め
る。具体的には、最高駆動周波数以外の駆動周波数を1
66(MHz)と83(MHz)にして、166(MHz)と2
49(MHz)が基本周波数(最低駆動周波数の83(M
Hz))の整数倍となるように設定した。
【0049】続いて、83(MHz)を基本周波数として
上述の方法により4相の音響フレネルレンズを設計す
る。ここでは、インクの音速は1550(m/sec)である
ので、基本波長は18.7(μm)である。音響フレネルレ
ンズは、例えばSiの基板をエッチングすることにより
作製する。Siの音速は、8433(m/sec)である。レ
ンズからの焦点距離は500(μm)、音響フレネルレン
ズの外径は698(μm)として、音響フレネルレンズを
設計した。レンズピッチが677(μm)なので隣接する
音響フレネルレンズは一部重なっている。
【0050】音響インクジェットヘッド10は、図11
に示すように、インクジェット記録装置40に用いられ
る。インクジェット記録装置40は、音響インクジェッ
トヘッド10がガイドシャフト42に沿って主走査方向
に走査され、副走査方向に搬送される用紙44に対して
インク液滴36を吐出することによって、用紙44に画
像形成を行なう。
【0051】また、インクジェット記録装置40は、図
10に示すように、音響インクジェットヘッド10(電
極30)に駆動信号を出力する制御回路46を有する。
制御回路46には、画像情報源48から画像信号が入力
され、RF信号発生回路50からRF信号が入力され
る。制御回路46では、画像情報に応じて3段階のドッ
ト径のうち、最適なサイズを選択し、それに対応するイ
ンク液滴を吐出するためのRF信号の周波数および振
幅、印加時間を調整して、音響インクジェットヘッド1
0に出力する。これによって、音響インクジェットヘッ
ド10は画像に適したサイズのインク液滴を安定的に吐
出することができる。また、印字モード選択回路52で
は、オペレータが選択した印字モード信号を制御回路4
6に出力する。制御回路46では、印字モード信号に基
づいて同様にRF信号の周波数および振幅、印加時間を
調整して、音響インクジェットヘッド10に出力する。
【0052】なお、制御回路46は、基板12上に設け
ることができる。
【0053】このように構成された音響インクジェット
記録ヘッド10およびインクジェット記録装置40の作
用について説明する。
【0054】先ず、画像情報源48より画像濃度が画像
信号として制御回路46に出力される。制御回路46で
は、RF信号発生回路50から入力されたRF信号を画
像濃度に応じて設定された駆動周波数に調整した駆動信
号が出力され、電極30から振動子28に電圧パルスを
印加することによって超音波を発生させる。超音波は基
板12を伝播して音響フレネルレンズ24に入射し、集
束超音波34となってインク中に放射され、インク自由
表面32(開口26)で集束し、その音響エネルギでイ
ンク自由表面32からインク液滴36を吐出して、用紙
44上に印字する。
【0055】この際、振動子28の駆動周波数によって
インク自由表面近傍の状態が異なり、それによって吐出
されるインク液滴36の粒径が異なる。この関係を図5
を参照して説明する。図5(A)(B)は、振動子28
を83(MHz)、166(MHz)、249(MHz)で駆動
することにより超音波を音響フレネルレンズに入射し、
そこからインク中に集束超音波を放射した場合のZ軸方
向とR軸方向の音圧分布をレーリーの式から計算したも
のである。音圧は、レンズ上の音圧で無次元化したもの
である。Z軸方向は、レンズの底面24Cからの距離で
あり、R=0の場合である。R軸方向は、レンズ中心か
らの距離であり、Z=焦点距離の場合である。
【0056】図5(B)に示すように、R軸方向では、
駆動周波数が83(MHz)、166(MHz)、249(M
Hz)の順に焦点径が小さくなる。すなわち、図6(A)
〜(C)に示すように、振動子28の駆動周波数を高く
するほど、吐出されるインク液滴36(ドット径)が小
さくなる。
【0057】また、図5(A)に示すように、Z軸方向
は、駆動周波数が83(MHz)、166(MHz)、249
(MHz)である順に焦点深度が浅くなる。ここで、Z軸
方向の焦点のピークは、駆動周波数によって微妙に異な
っているが、インク自由表面32は音響フレネルレンズ
24の底面24CからのZ方向距離が最高駆動周波数の
焦点ピークに一致するように設けているため、最高駆動
周波数においてインク自由表面32からインク液滴36
を確実に吐出することができる。しかも、低い駆動周波
数では焦点深度が深くなるので、インク自由表面32が
焦点ピークから多少ずれていても、インク自由表面32
からインク液滴36を吐出することができる。この結
果、異なる駆動周波数で、インク自由表面32のZ方向
位置を変更することなく、インク液滴36を確実に吐出
することができる。
【0058】さらに、振動子28の自己共振周波数を最
低駆動周波数83(MHz)に合わせておけば、その高調
波である166(MHz)、249(MHz)でも共振するの
で、それぞれの駆動周波数において一層小さな駆動エネ
ルギでインク液滴36の吐出を行なうことができる。
【0059】次に、振動子28(駆動信号)の駆動周波
数と駆動信号の振幅、印加時間の関係について図7を参
照して説明する。一般に、インク自由表面に与える駆動
エネルギとインク吐出状態の関係は、駆動エネルギ不足
領域、吐出安定領域、駆動エネルギ過剰領域に分けられ
る(図7(A)、(B)参照)。駆動エネルギ不足領域
では、エネルギ不足でインク液滴が吐出できない。駆動
エネルギ過剰領域では、インク自由表面から長い液柱が
成長して、複数のインク液滴が吐出され、それらの着弾
位置がずれて画質欠陥を引き起こす可能性がある。それ
らの間の吐出安定領域でのみ、一つのインク液滴が安定
して吐出される。
【0060】しかしながら、駆動周波数によって吐出安
定領域となるエネルギ量が異なる。これは、駆動周波数
によって自由表面における超音波の集束径(インク液滴
の径)や焦点距離の影響、振動効率等が異なるためと考
えられる。したがって、駆動周波数のみ変更すると、そ
の駆動周波数における吐出安定領域となるエネルギ量に
対して駆動エネルギが過剰あるいは不足となり、インク
液滴が安定的に吐出されなくなる。そこで、駆動周波数
を増加するに従ってバースト波の振幅(印加電圧)を減
少させることにより、駆動エネルギが噴射安定領域にな
るように設定した(図7(A)、図8(A)〜(C)参
照)。したがって、異なる駆動周波数でも安定的にイン
ク吐出を行うことができる。
【0061】また、同様に、駆動周波数の異なる場合の
駆動エネルギを調整するために、図9(A)〜(C)に
示すように、駆動信号の印加時間を調整することも可能
である。この場合には、駆動周波数が増加するに従って
駆動エネルギが噴射安定領域になるように印加時間を減
少させた(図7(B)参照)。
【0062】なお、図8、図9は、振動の振幅、周期に
関しては、模式的なものである。
【0063】このように、音響インクジェット記録ヘッ
ド10では、振動子28(駆動信号)の駆動周波数を変
更することによって、大きさの異なるインク液滴36を
確実に吐出することができる。
【0064】すなわち、記録ヘッド10が搭載されたイ
ンクジェット記録装置40では、制御回路46において
駆動(RF)信号の駆動周波数と振幅、あるいは印加時
間を変更することによって、用紙44に異なったドット
を形成することができる。具体的には、図12に示すよ
うに、83(MHz)で駆動時には、600dpi相当のドッ
ト60が用紙44に形成され、249(MHz)で駆動時
には、3000dpi相当のドット62が用紙44に形成
される。
【0065】例えば、600dpiの画像を形成する場合
には、記録ヘッド10自体の解像度が75dpiなので、
600dpi相当のドットを8回スキャンすることにより
画像形成を行なう。
【0066】インクジェット記録装置40では、オペレ
ータが高速印字モードを選択した場合には、印字モード
選択回路52からの高速印字モード信号が出力され、制
御回路46から83(MHz)の駆動信号が出力されるこ
とにより、600dpi相当のドット60のみの画像が形
成されると共に、高画質印字モードを選択した場合に
は、印字モード選択回路52からの高画質印字モード信
号が出力され、制御回路46から249(MHz)の駆動
信号が出力されることにより、3000相当のドット6
2のみの画像が形成される。したがって、高速印字モー
ドでは高速化、高画質印字モードでは高画質化が達成さ
れる。
【0067】また、オペレータが標準印字モードを選択
した場合には、印字モード選択回路52からの標準印字
モード信号が出力され、画像情報源48からの画像信号
に基づいて制御回路46において駆動信号の駆動周波数
が変更される。すなわち、画像濃度に応じて異なる3つ
の駆動周波数でインク液滴が吐出され、用紙44に画像
形成される。したがって、標準印字モードではある程度
の高速化と高画質化が達成できる。
【0068】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、音響インクジェット記録ヘッドにおいて、音
響レンズとしてLSIプロセス等により安価に精度良く作
製できる音響フレネルレンズを用いて、ドット径変調が
可能となり、高画質化と高速化を両立できる。この場
合、それぞれのサイズのインク液滴を吐出する際に、駆
動エネルギを最適値に制御するので、それぞれの場合に
安定した吐出が行なわれる。また、ドット径変調の際、
振動子をエネルギ変換効率の良い振動数で使用できるの
で、低エネルギ化できる。また、駆動周波数によって、
インクの自由表面位置を変える必要がないので、ヘッド
構造を複雑にすることなく、低コスト化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が一実施形態に係る音響インクジェッ
ト記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】 本発明が一実施形態に係る音響インクジェッ
ト記録ヘッドの部分断面図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係る音響フレネルレン
ズの一部断面斜視図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係る音響フレネルレン
ズの断面図である。
【図5】 (A)はZ軸方向における音圧分布を示す図
であり、(B)はR軸方向における音圧分布を示す図で
ある。
【図6】 (A)〜(C)は、それぞれ駆動周波数が8
3(MHz)、166(MHz)、249(MHz)の場合のイ
ンク液滴の吐出状態を説明する図である。
【図7】 駆動信号の駆動周波数と振幅、印加時間の関
係を説明する図である。
【図8】 (A)〜(C)は、それぞれ駆動周波数が8
3(MHz)、166(MHz)、249(MHz)の場合の駆
動信号の波形図である。
【図9】 (A)〜(C)は、それぞれ駆動周波数が8
3(MHz)、166(MHz)、249(MHz)の場合の駆
動信号の波形図である。
【図10】 本発明の一実施形態に係るインクジェット
記録装置の制御部を示すブロック図である。
【図11】 本発明の一実施形態に係る音響インクジェ
ット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置の概略
図である。
【図12】 本発明が適用された音響インクジェット記
録ヘッドにより形成される画像を説明する図である。
【符号の説明】
10…音響インクジェットヘッド 24…音響フレネルレンズ 26…開口(インク液保持手段) 32…インク自由表面 36…インク液滴 28…振動子(振動発生手段) 30…電極 40…インクジェット記録装置 44…制御回路(制御手段)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体インクの自由表面に超音波を集束す
    ることによって、前記自由表面からインク液滴を吐出さ
    せる音響インクジェット記録ヘッドであって、 自由表面を有する状態でインク液を保持するインク液保
    持手段と、 超音波を発生する振動発生手段と、 前記振動発生手段によって発生した超音波をインク液の
    前記自由表面に集束させる音響フレネルレンズと、 前記振動発生手段を駆動する駆動周波数を前記音響フレ
    ネルレンズの基本周波数近傍または前記基本周波数の整
    数倍近傍の周波数とすることを特徴とする音響インクジ
    ェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 画像情報に基づいて前記駆動周波数を切
    り換える制御手段を備えることを特徴とする請求項1記
    載の音響インクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 印字モードに基づいて前記駆動周波数を
    切り換える制御手段を備えることを特徴とする請求項1
    記載の音響インクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記振動発生手段が圧電素子で構成さ
    れ、前記制御手段から前記圧電素子に印加される駆動信
    号の振幅を前記駆動周波数に応じて変更することを特徴
    とする請求項2または3記載の音響インクジェット記録
    ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記振動発生手段が圧電素子で構成さ
    れ、前記制御手段から前記圧電素子に印加される駆動信
    号の印加時間を前記駆動周波数に応じて変更することを
    特徴とする請求項2または3記載の音響インクジェット
    記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記インク保持手段が保持するインク自
    由表面は、前記振動発生手段が最高駆動周波数で駆動さ
    れた場合に超音波が集束する焦点付近に設けられている
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    音響インクジェット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記振動発生手段の自己共振周波数が、
    前記駆動周波数のいずれかに一致していることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項に記載の音響インクジ
    ェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記
    載の音響インクジェット記録ヘッドを備えたことを特徴
    とするインクジェット記録装置。
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