JP2001158098A - インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置

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JP2001158098A
JP2001158098A JP34390199A JP34390199A JP2001158098A JP 2001158098 A JP2001158098 A JP 2001158098A JP 34390199 A JP34390199 A JP 34390199A JP 34390199 A JP34390199 A JP 34390199A JP 2001158098 A JP2001158098 A JP 2001158098A
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JP34390199A
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English (en)
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Megumi Hasebe
恵 長谷部
Susumu Hirakata
進 平潟
Yasushi Suwabe
恭史 諏訪部
Hiroaki Sato
博昭 佐藤
Yuji Suemitsu
裕治 末光
Yasushi Oki
靖 大木
Satoru Mori
哲 毛利
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルに起因する問題がなく、しかも記録ド
ットの高解像度化が可能であり、インクの吐出速度およ
び吐出方向が安定であり、高速で画像記録可能なインク
ジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供
する。 【解決手段】 インク保持部材12の下方にレーザー光
発生装置24と集光レンズ26が配置され、インク保持
部材12の底部はレーザー光誘導体30で構成される。
集光レンズ26で集光されたレーザー光28はレーザー
光誘導体30を透過しインク18とレーザー光誘導体3
0との境界部分に照射され、気泡38が発生する。気泡
38により生じた衝撃波32が気液界面34に達する
と、気液界面34からインク滴16が用紙Pに向かって
吐出される。ノズルを使用しないので、ノズルに起因す
る問題がなく、記録ドットの高解像度化が可能であり、
インクの吐出速度が速くなって吐出方向が安定すると共
に高速で画像記録可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像情報に応じて
インク滴を吐出し記録媒体表面に画像を記録するインク
ジェット記録ヘッドと、このインクジェット記録ヘッド
を備えたインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】画像情報に応じてインク滴を吐出し記録
媒体表面に印字を行うインクジェット記録ヘッドは、こ
れまでさまざまな方式が提案されてきた。その主なもの
として、ノズルから画像情報に応じてインク滴を吐出す
る、所謂ドロップ・オン・デマンド(DOD)型インク
ジェット式記録ヘッドと、ノズルから連続的にインクを
吐出する連続流型インクジェット記録ヘッドと、があ
る。
【0003】ドロップ・オン・デマンド型インクジェッ
ト記録ヘッドの代表的なものとしては、例えば、圧電素
子であるビエゾを利用したもの(ピエゾ振動子型)と、
発熱体等の発熱を利用したもの(サーマル型)と、があ
る。
【0004】ピエゾ振動子型はインク室に付設された圧
電素子にパルス電圧を印加し、圧電素子を変形させるこ
とによりインク室内に圧力波を発生させ、ノズルからイ
ンク滴を吐出させ記録媒体にドットを形成するものであ
る。
【0005】一方、サーマル型はインク室内に設けられ
た加熱機構によりインクを加熱し、瞬間的に沸騰させる
ことにより気泡を発生させ、その圧力によりノズルから
インクを吐出させて記録媒体上にドットを形成する。
【0006】その他、サーマル型には、いわゆる光アド
レッシング型の記録ヘッドがある。これは、特開平5−
24197号公報や特開昭55−132282号公報等
に開示されているように、レーザー光や発光素子などの
光エネルギーをインクに照射し熱エネルギーを与えるこ
とで気泡を生成させ、そのとき発生する圧力波の作用に
より、ノズルからインクを吐出させるというものであ
る。
【0007】この方法では、発生する圧力が十分高くな
らないため、インク滴の吐出速度はせいぜい5〜10m
/s程度であり、吐出方向が不安定になること、およ
び、空気抵抗等により記録媒体表面への着弾位置の安定
性が悪くなること、などの問題がある。
【0008】これに対し、連続流型インクジェット記録
ヘッドは、インクに圧力を加えてノズルから連続的にイ
ンクを吐出させると同時に、ピエゾ振動子などにより振
動を加えて吐出インク柱を液滴化し、さらに液滴に対し
て選択的に帯電、偏向を行うことによって、画像記録を
行うものである。
【0009】これらのインク吐出原理を用いたインクジ
ェット記録ヘッドにおいて、記録解像度を上げるために
は、ノズルの配置を高密度化させ、解像度に応じてノズ
ル径を小さくして微小なインク滴を吐出させる必要があ
るが、ノズル径を小さくすることによりノズルの目詰ま
りが生じ易くなるため、ヘッドを高密度化、高解像度化
できないという問題がある。
【0010】また、高密度化に伴いノズルのインク流路
が狭くなると、インクが受ける流路抵抗が大きくなり、
十分な吐出性能が得られなくなるという問題がある。更
に、ノズルへはインク供給手段を用いてインク貯蔵装置
からインクを供給する必要があるが、従来のインクジェ
ット記録ヘッドでは、ノズルの流路抵抗が大きいことに
より、ノズルへのインクの再充填が律速となって、イン
クの供給速度がこの流路抵抗に制限されるため、結果的
に画像記録速度も遅くなるという問題があった。
【0011】加えて、ノズル径を小さくすることにより
ノズルへの異物の混入やインクの乾燥などによる目詰ま
りが生じ易くなることや、ノズルの周囲への残滓の付着
によってインク吐出方向が不安定になり、記録媒体上の
画質に欠陥が生じたり、インク中に溶存している酸素の
気化やインクの振動などによりノズル径程度の小さな気
泡が発生し、この気泡がインク流路を塞ぐなど吐出不良
の問題があった。
【0012】従って、従来のインクジェット記録ヘッド
では、インクをノズルから吸引するバキューム動作や、
ノズル面の残滓や異物を取り除くためのワイピング動作
などのメンテナンス動作が不可欠であり、これにより画
像記録動作が中断されることも画像記録速度を向上させ
る妨げとなっていた。
【0013】このような、ノズルを有するインクジェッ
ト記録ヘッドの問題点を解決するため、ノズルレスのイ
ンクジェット記録ヘッドが提案されている。ノズルレス
のインクジェット記録ヘッドには音響波を用いたものが
ある。
【0014】音響波を用いたものとしては、特開平3−
200199号公報に開示されているように、音波の放
射圧をインク液面に集束させ、このエネルギーによって
インク液面からインク滴を吐出させるものがある。この
ように音波を用いた方法における問題点として、音波を
発生させるためには音響放射体が必要であり、その形状
自由度が低いことによりインクの吐出点を高密度化させ
るのが困難となること、インク吐出位置に吐出エネルギ
ーを集中させるための装置がインク吐出位置毎に必要で
あるため装置が大型化、高コスト化し、1つの記録ヘッ
ドから吐出できるインク滴の数を多くすることができな
いこと、等があり、結果として、アドレス速度および画
像記録速度が遅くなるという問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事実を考
慮し、ノズルに起因する問題がなく、しかも記録ドット
の高解像度化が可能であり、インクの吐出速度および吐
出方向が安定であり、高速で画像記録可能なインクジェ
ット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供する
ことを課題とする
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、インクを保持すると共に、記録媒体に対向する部分
の少なくとも一部が開放されてインク吐出口が形成され
たインク保持部材と、前記インク保持部材に保持された
インクにレーザー光を照射して気泡を発生させ、この気
泡により生じた衝撃波で画像情報に対応したインク滴を
前記インク吐出口から吐出させる気泡発生手段と、を有
することを特徴とする。
【0017】このインクジェット記録ヘッドでは、イン
ク保持部材に保持されたインクに対し、気泡発生手段か
ら画像情報に対応したレーザー光が照射されて気泡が発
生する。そして、この気泡により衝撃波がインク内に生
じ、さらにインク内を伝搬して気液界面に達すると、気
相と液相との衝撃インピーダンスの違いによって、画像
情報に対応したインク滴が気相方向へ吐出される。
【0018】このように、インクに気泡を発生させ、こ
の気泡により生じた衝撃波によってインク滴を吐出させ
るため、従来のインクジェット記録ヘッドのようなノズ
ルが不要となる。このため、インク吐出位置を高密度に
配置しても、ノズルの目詰まりやこの目詰まりによって
生じる吐出不良、ノズルの流路抵抗が高いことに起因す
るインク供給速度及び画像記録速度の遅延化等の不都合
が生じない。また、ノズルのメンテナンス動作(バキュ
ーム動作やワイピング動作等)も不要となるので、画像
記録が途中で中断されることもない。加えて、従来のレ
ーザー・アドレッシング型のバブルジェット型記録ヘッ
ドと比較して、インク滴の吐出速度が大きくなるので、
吐出方向が安定し、空気抵抗等があっても記録媒体への
着弾位置が一定となる。
【0019】また、本発明ではインクにレーザー光を照
射することによりインク滴を吐出させているので、従来
の音響波を用いたインクジェット記録ヘッドに必要とさ
れていた音響放射体が不要となり、1つのインクジェッ
ト記録ヘッドにおいてインク吐出位置を高密度化させる
ことが可能となる。この結果、高速且つ高密度での画像
記録が可能となる。
【0020】なお、インク保持部材に保持されたインク
に気泡を発生させるための具体的構成は特に限定されな
いが、例えば、レーザー光のエネルギーをインクに付与
することでインク中に気泡を発生させ、この気泡によっ
て球面衝撃波を発生させる構成が挙げられる。
【0021】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記インク保持部材に設けられ、前
記気泡発生手段からのレーザー光をインク保持部材に保
持されたインクの所定位置に誘導することで気泡の発生
位置を設定するレーザー光誘導体、を有することを特徴
とする。
【0022】このように、レーザー光誘導体を用いてレ
ーザー光を所定位置に誘導することで、所望の位置から
インク滴を吐出することが可能となり、より高精度で画
像を記録することができる。
【0023】なお、レーザー光誘導体としては、インク
に照射されるレーザー光の波長に対して透過率が高い部
材を用いることができる。
【0024】また、このようなレーザー光誘導体の一例
として、インク保持部材のレーザー光照射面に形成した
透過孔を挙げることもできる。すなわち、この透過孔を
介して、インク保持部材に保持されたインクと、レーザ
ー光照射面側の外気とが接している。このようにするこ
とで、レーザー光を直接インクに照射することができる
ため、レーザー光のエネルギーの損失がない。
【0025】ところで、このインクジェット記録ヘッド
では、衝撃波が伝搬する領域のインクの体積が、吐出さ
れるインク滴の体積にほぼ等しくなる。従って、請求項
3に記載のように、前記レーザー光誘導体が、前記イン
ク保持部材に保持されたインクの気液界面とこのレーザ
ー光誘導体によるレーザー光の誘導位置との距離がイン
ク滴のドロップ径程度となるように配置されている構成
とすることで、所望のドロップ径を有するインク滴を吐
出させることができる。
【0026】この「ドロップ径程度」とは、インクの粘
度やインクに与えられるエネルギーの大きさ等によって
適宜決定される量であるが、例えば、この距離を所望の
ドロップ径の0.1倍〜10倍程度とすることができ、
より好ましくは0.5倍から5倍程度に設定するとよ
い。
【0027】レーザー光誘導体としては、上記のように
気泡発生手段から照射されたレーザー光を所定位置に誘
導することができれば特に限定されないが、例えば、請
求項4に記載のように、前記インク保持部材に保持され
たインクと前記気泡発生手段との間に配置されレーザー
光を透過するレーザー光透過部材、とすることができ
る。
【0028】これにより、実質的に、レーザー光透過部
材を、インク保持部材を構成する壁体の一部として設け
ることができるので、部品点数を増加させることなくレ
ーザー光誘導体を構成することが可能となる。
【0029】なお、このようにレーザー光透過部材を設
ける場合には、インクに照射されるレーザー光の波長に
対して透過率が高い部材を使用することが好ましい。
【0030】また、レーザー光誘導体を、請求項5に記
載のように、光ファイバーとすることもできる。
【0031】このように光ファイバーを使用すること
で、光ファイバーの先端がレーザー光の誘導位置となる
ため、例えば、光ファイバーの先端をインク中に位置さ
せる等により、インクの内部で衝撃波を発生させること
が可能となる。これにより、インク保持部材中でのイン
クの厚さを、所望のドロップ径に関係なく厚くできるの
で、インク保持部材からのインクの乾燥を防止できる。
【0032】請求項6に記載の発明では、請求項1〜請
求項5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド
と、前記インクジェット記録ヘッドのインク保持部材に
インクを供給するインク供給装置と、前記気泡発生手段
からのレーザー光を走査させるレーザー光走査装置と、
画像情報に対応して前記インクジェット記録ヘッド、前
記インク供給装置及び前記レーザー光走査装置を制御可
能な画像記録制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0033】すなわち、画像情報に対応した画像記録信
号が入力されると、気泡発生手段によって、インクジェ
ット記録ヘッドの構成要素であるインク保持部材に保持
されたインクにレーザー光が照射されると共に、レーザ
ー光走査装置により、このレーザー光が所定の方向(走
査方向)に走査される。
【0034】レーザー光走査装置としては、記録媒体と
レーザー光とが相対的に移動して走査されれば、その具
体的構成は特に限定されない。例えば、気泡発生手段
が、レーザー光発生装置と集光レンズとで構成されてい
る場合には、レーザー光発生装置と集光レンズとをキャ
リッジ等の保持部材に保持させ、この保持部材を移動さ
せることでレーザー光発生装置と集光レンズとを一体で
移動させるようにしてもよい。また、レーザー光発生装
置及びキャリッジは固定しておき、レーザー光のみをポ
リゴンミラーや回転鏡等によって走査するようにしても
よい。さらには、レーザー光発生装置及び集光レンズは
固定しておき、記録媒体を移動させる構成でもよい。
【0035】このインクジェット記録装置を構成するイ
ンクジェット記録ヘッドはノズルを有さないので、イン
ク吐出位置を高密度に配置しても、ノズルの目詰まりや
この目詰まりによって生じる吐出不良、ノズルの流路抵
抗が高いことに起因するインク供給速度及び画像記録速
度の遅延化等の不都合が生じない。また、ノズルのメン
テナンス動作も不要となるので、画像記録が途中で中断
されることもない。加えて、従来のレーザー・アドレッ
シング型のバブルジェット型記録ヘッドを備えたインク
ジェット記録装置と比較して、インク滴の吐出速度が大
きくなるので、吐出方向が安定し、空気抵抗等があって
も記録媒体への着弾位置が一定位置となる。
【0036】また、従来の音響波を用いたインクジェッ
ト記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置と比較し
ても、インク吐出位置を高密度化させることが可能とな
り、高速での画像記録が可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】図1には、本発明の第1実施形態
のインクジェット記録ヘッド10の基本的構成が示され
ている。
【0038】このインクジェット記録ヘッド10は、用
紙P(記録媒体)の下方に配置されるインク保持部材1
2を有している。インク保持部材12は箱状に形成され
ると共に、上面が開放されてインク吐出口14とされて
いる。従って、インク吐出口14が用紙Pに対して常に
対向しており、このインク吐出口14から吐出されたイ
ンク滴16が用紙Pに着弾して、用紙Pの表面に画像が
記録される。
【0039】なお、インク吐出口14が用紙Pに対して
対向していれば、後述するレーザー光の照射位置や用紙
Pの位置は、特に限定されない。
【0040】インク保持部材12には、図示しないイン
ク供給装置によって供給されたインク18が貯留されて
いる。また、インク保持部材12内には、インク18の
量を検知するインク量センサ20(例えば、フォトセン
サー等)が取り付けられている。インク供給装置及びイ
ンク量センサ20は制御装置22に接続されており、後
述するように、インク18の厚さTがインク滴16のド
ロップ径Lと同程度となるようにインク供給量が調整さ
れる。
【0041】なお、インク18の液面を制御する(すな
わちインク18の厚さTを制御する)手段としては、こ
れに限定されない。例えば、図4に示すように、所望の
厚さTの位置において、インク保持部材12の側壁に接
続されたプレート46(側壁と同様の部材でよいが異な
る部材でもよい)を設けると共に、このプレート46
の、インク吐出部に相当する位置に数十μmの幅のスリ
ット48をレーザー光走査方向に沿って形成してもよ
い。これにより、プレート46の間(スリット48)に
毛管力が働き、その作用によってインク18の液面の位
置を所望の位置に保持することができる。
【0042】インク保持部材12の下方には、本発明の
気泡発生手段を構成するレーザー光発生装置24と、レ
ーザー光発生装置24から発生されたレーザー光を集光
する集光レンズ26が配置されている。レーザー光発生
装置24は、制御装置22に接続されており、画像情報
に対応したレーザー光28を射出する。
【0043】集光レンズ26は、レーザー光発生装置2
4から射出されたレーザー光28を集光してエネルギー
密度を高め、インク保持部材12の底部(本発明のレー
ザー光誘導体を構成している)とインク18との境界へ
照射する。
【0044】インク保持部材12の底部は、平板状に形
成されたレーザー光誘導体30によって構成されてい
る。このレーザー光誘導体30は、照射されるレーザー
光の波長に対して透過率が高い部材(例えば透明板)に
よって形成されている。集光レンズ26によって集光さ
れたレーザー光28は、レーザー光誘導体30を透過し
て、このレーザー光誘導体30の上面、すなわち、イン
ク保持部材12に保持されたインク18とレーザー光誘
導体30との境界に照射される。なお、インク18は、
レーザーエネルギーを効率よく吸収するためにも、レー
ザー光が透過しにくいものが好ましい。これにより、イ
ンク18とレーザー光誘導体30との境界面に、画像情
報に対応して高密度のエネルギーが付与される。エネル
ギーの強さは、レーザー光28が照射されたインク18
が相変化を起こして、膨張速度が音速よりも速い気泡3
8を生じさせるために十分な強さに設定されている。
【0045】また、インク保持部材12の上方には、紙
送り制御装置40によって制御される搬送ローラ42が
設けられている。搬送ローラ42が回転することで、用
紙Pが一定方向に搬送される。
【0046】さらに、インクジェット記録ヘッド10に
は、用紙Pに対してレーザー光28を走査させる走査装
置(図示省略)が設けらている。そして、走査装置によ
るレーザー光28の走査(主走査)と、搬送ローラ42
による用紙Pの搬送(副走査)とが交互に行われて、用
紙Pに所望の画像が記録される。
【0047】このような基本的構成とされた第1実施形
態のインクジェット記録ヘッド10では、画像情報に応
じてレーザー光発生装置24からレーザー光28が発生
されると、このレーザー光28が集光レンズ26によっ
て集光され、レーザー光誘導体30を透過して、インク
保持部材12に保持されたインク18とレーザー光誘導
体30との境界部分に照射される。
【0048】レーザー光28が照射されたインク18は
相変化を起こし、インク18中に気泡38が発生する。
そして、この気泡38が音速よりも速い膨張速度で膨張
することで、インク18中に球面状(より厳密には、半
球面状)の衝撃波32が発生し、気液界面34(インク
18と空気との界面)に達する。インク18と空気とは
衝撃インピーダンスが異なるので、衝撃波32のエネル
ギーが空気に伝わることなくインク18に運動エネルギ
ーとして作用し、気液界面34からインク滴16が用紙
Pに向かって吐出される。そして、このインク滴16が
用紙Pに着弾し、用紙Pの表面に所望の画像が記録され
る。なお、インク18中に発生した気泡38は、極めて
短い時間で消滅するため、以後のインク滴16の吐出に
は影響しない。
【0049】レーザー光発生装置24としては、一般的
に使用されている各種のレーザー光発生装置が使用可能
であるが、レーザー光28をインク18に照射した場
合、インク18の物性を変化させないことが望ましく、
このような観点から波長が可視光から近赤外域のレーザ
ー、例えば、YAGレーザー、ヘリウム−ネオン(He
−Ne)レーザー、半導体レーザーなどを用いるのが好
ましい。
【0050】また、出力の観点からは高出力が可能なパ
ルス・レーザーを用いるのが好ましい。連続発信型のレ
ーザー光発生装置に、AO(超音波光)変調装置やEO
(電気光)変調装置を接続してパルス的に使用してもよ
い。また、半導体レーザーは、電流変化によって直接そ
の出力を高速で変調できるので、上記したAO変調装置
やEO変調装置を必要とせず、装置の小型化ができるた
めより好ましい。AO変調装置や半導体レーザーに使用
されている直接変調手段は、パルス波の繰り返し周波数
を原理的にメガHz以上に設定できるため、繰り返し周
波数を高くできるという点で好ましい。
【0051】レーザー光発生装置24の出力範囲は、レ
ーザー光28の照射によりインク18に付与されるエネ
ルギーがインク18中に気泡38を生じさせて衝撃波を
生成可能な大きさであればよい。本発明では、使用する
部材の構成や、この部材の特性値及び物性値の範囲など
にもよるが、具体的には1μJ以上あればよい。
【0052】インク保持部材12は、上記したように、
レーザー光28が照射される側にレーザー光誘導体30
を有すると共に、このレーザー光誘導体30の周囲から
立設された側壁36によって、全体として、上面が開放
された箱状に形成されている。この側壁36によって、
レーザー光誘導体30の周囲を取り囲むようにして、イ
ンク18を保持することが可能になっている。もちろ
ん、インク18を保持できれば、インク保持部材12の
形状は上記したものに限定されない。また、インク吐出
口14は、必ずしもインク保持部材12の上面全体にわ
たって構成されている必要はない。例えば、インク保持
部材12が上板を有すると共に、この上板に部分的にイ
ンク吐出口14が形成されていてもよい。
【0053】本発明のレーザー光誘導体30は、インク
保持部材12に保持されたインク18と気泡発生手段
(より厳密には、集光レンズ26)の間に位置し、レー
ザー光発生装置24によって発生されたレーザー光28
を透過させて、このレーザー光28のエネルギーをイン
クに付与する手段である。このとき、気泡38はインク
18側のレーザー光誘導体30上に生成するため、イン
ク保持部材12において、レーザー光誘導体30の位置
をどこに設置するかによって気泡38の発生位置が決定
される。例えば、図1のように、レーザー光28を下方
から照射する場合には、レーザー光誘導体30は結果的
にインク保持手段の底面を構成するようにでき、部品点
数を増大させることなくレーザー光誘導体30を設ける
ことができる。また、図5に示すように、インク保持部
材12の側壁36を板状に加工したレーザー光誘導体で
構成すると共に、レーザー光発生装置24及び集光レン
ズ26をインク保持部材12の側方に配置し、レーザー
光誘導体である側壁36を透過してレーザー光28がイ
ンク18に照射されるようにしてもよい。この構成で
は、レーザー光28はレーザー光誘導体である側壁36
とインク18との境界面に照射されるため、この境界面
に気泡38が発生して衝撃波が生じ、インク18中に伝
搬する。そのため、インク滴16の吐出時に、側壁36
とインク18との間に形成されるメニスカスに影響さ
れ、エネルギーが減衰されてしまったり、インク滴16
の吐出方向が不安定になってしまったりするおそれがあ
る。このことを考慮すると、図6(A)に示すように気
液界面34と側壁36とが直角になっているものより
も、図6(B)に示すように、側壁36をインク18の
反対側(外側)に向けて所定の傾斜角θで傾斜して設置
し、メニスカスの影響を少なくすることが好ましい。
【0054】このような条件を満たしていれば、本発明
のレーザー光誘導体30は上記した構成のものに限定さ
れないが、レーザー光誘導体が不純物を含有していた
り、特定の波長の光を吸収するものであったりすると、
レーザー光誘導体がレーザー光28のエネルギーを吸収
してしまいインクに気泡38および衝撃波32を発生さ
せるのに十分なエネルギーを与えられないおそれがあ
る。また、吸収してしまったエネルギーが大きい場合等
には、レーザー光誘導体が破損することがある。従っ
て、レーザー光誘導体としては、照射されるレーザー光
28に対して透明な部材、すなわちレーザー光28の波
長に対し透過率が高い透明部材を用いるのが好ましい。
具体的には透過率が90%以上であることが好ましい。
【0055】また、この透明部材に透過率を向上させる
ための反射防止膜を塗布するなどの表面処理をすること
が更に好ましい。反射防止膜の材料としては、例えば、
フッ化マグネシウム(MgF2)、クロム(Cr)、ア
ルミニウムとフッ化マグネシウムを組み合わせたもの
(Al+MgF2)などを用いることができる。このよ
うな材料で表面処理された透明部材は透過率を5%以上
向上させることができるのでより好ましい。
【0056】また、透明部材としては照射されたレーザ
ー光28のエネルギーにより破壊されない強度をもつ材
料であればよい。このような指標としてレーザー損傷し
きい値(あるいはエネルギー安全しきい値ともいう)が
用いられる。これは、被レーザー照射部材(本発明では
透明部材(レーザー光誘導体30))が損傷を受けない
ための単位面積(1cm2)あたりに付与されるレーザ
ー光28のエネルギーの値を表している。
【0057】本実施形態で使用されるレーザー光28の
エネルギーの範囲でインク滴16を吐出させるために
は、具体的には損傷率が1%以下であるときのエネルギ
ー損傷しきい値が5J/cm2以上であればよい。この
ような材料としては、例えば、合成石英や熔融石英を用
いることができる。
【0058】インク保持部材12内のインク層の厚さT
は、気泡38の膨張時に発生した衝撃波が伝搬する領域
のインク18の体積が、吐出するインク滴16の体積
(ドロップ体積)とほぼ等しくなることから、インク滴
16を所望のドロップ径程度にするには、インク層の厚
さTを所望のドロップ径程度に設定することが好まし
い。具体的には所望のドロップ径の0.1倍〜10倍で
あることがより好ましく、0.5倍〜5倍であることが
さらに好ましい。一般的なインクジェット記録ヘッドに
おいて求められるインク滴のドロップ径が10〜50μ
mであることを考慮すると、この厚みTは、1〜500
μmの範囲が好ましく、5〜250μmの範囲が特に好
ましい。
【0059】また、吐出するインク滴16のドロップ径
Dは、レーザー光28のエネルギーが付与される面積、
すなわちレーザー光28の照射面積と関連している。例
えば、ほぼ円形のレーザー光28が照射されてインク1
8にエネルギーが付与されると、照射径以下の径を有す
る気泡38が発生する。そして、その気泡38が膨張
し、膨張した気泡38と同程度の体積の体積のインク滴
16が吐出する。従って、レーザー光誘導体30とイン
ク18との境界面におけるレーザー光28の照射径は、
所望のドロップ径以下であることが好ましい。
【0060】このように、所望のドロップ径以下のレー
ザー光28の照射径を得る方法としては、本実施形態の
ように、レーザー光発生装置24から出力されるレーザ
ー光を集光レンズ26を用いて集光する方法が利用でき
るが、これに限らず、レーザー光発生装置24からドロ
ップ径以下のスポット径をもつレーザー光を出力する方
法でもよい。後者のように、レーザー光発生装置24か
らドロップ径以下のスポット径をもつレーザー光を出力
する方法は、レーザー光発生装置24の他に集光レンズ
を別にもたないため、集光レンズを通過することによる
レーザー光28のエネルギーの損失がなく、またインク
ジェット記録ヘッド10を小型化できるという点で好ま
しい。
【0061】これに対し、集光レンズ26を用いる方法
は、出力の弱いレーザー光発生装置24でも集光レンズ
26への入射光のスポット径を集光レンズ26を通過さ
せて小さくすることにより高い照射エネルギー密度が得
られる。このため、焦点距離など集光レンズ26の特性
値を適宜選択することによって、使用するレーザー光発
生装置24の出力範囲を広くとることが可能となる。ま
た、照射面積を小さくする方法として一般に広く用いら
れており、インクジェット記録ヘッド10への組み込み
も容易である。これらの点から、集光レンズ26を用い
る方法は、ドロップ径以下のレーザー照射径を得る方法
としてより好ましい。
【0062】このような具体例として、焦点距離f1
集光レンズに出力P1のレーザー光を通過させたとき、
エネルギー密度がI1であるとすると、出力をP2=1/
2P1にしてI1と同じエネルギー密度を得るためには、
焦点距離f2=(1/√2)f1の集光レンズを使用すれば
実現できる。
【0063】本実施形態の集光レンズ26としては、レ
ーザー光28を通過させることにより照射面積を小さく
できるものならよく、例えば凸レンズ、複合レンズ、非
球面レンズなどの光学レンズが利用できるが、球面収差
がより少ないという点で非球面レンズがより好ましい。
材質としては、レーザー光学装置として一般に用いられ
ているBK7、パイレックスのような硼珪酸系ガラスか
らなるものや合成石英からなるものが好ましい。
【0064】また、集光レンズ26を通過させることに
よるレーザー光28のエネルギー損失を抑えるため、集
光レンズ26に透過率を向上させるための反射防止膜を
塗布するなどの表面処理をするとなおよい。反射防止膜
の材料としては、例えば、フッ化マグネシウム(MgF
2)、クロム(Cr)、アルミニウムとフッ化マグネシ
ウムの組み合わせたもの(Al+MgF2)などを用い
ることができる。このような材料で表面処理することで
透過率を5%以上向上させることができるのでより好ま
しい。
【0065】図2には、本発明の第2実施形態のインク
ジェット記録ヘッド50の基本的構成が示されている。
以下、第1実施形態と同様の構成要素、部材等について
は同一符号を付して説明を省略する。
【0066】このインクジェット記録ヘッド50では、
インク保持部材52の底板54が、側壁36と同様に、
レーザー光28に対して不透明な板材で構成されてい
る。
【0067】また、所望の解像度となるように所定間隔
を開けて、複数の光ファイバー56が底板54を貫通し
て取り付けられている。それぞれの光ファイバー56の
下端は底板54の底面、すなわちレーザー光28の照射
面と面一とされており、集光レンズ26で集光されたレ
ーザー光28が照射される。光ファイバー56の上端
は、インク保持部材52に保持されたインク18の内
部、すなわち気液界面34よりも下方に位置している。
【0068】このような構成とされた第2実施形態のイ
ンクジェット記録ヘッド50では、光ファイバー56の
下端に照射されたレーザー光28が光ファイバー56に
よってその上端位置、すなわちインク18の内部まで誘
導され、この位置で気泡38が発生する。以後は、第1
実施形態と同様に、気泡38が音速よりも速い膨張速度
で膨張し、インク18中に球面状の衝撃波32が発生し
て気液界面34(インクと空気との界面)に達する。そ
して、インク18と空気との衝撃インピーダンスの相違
によって、衝撃波のエネルギーがインク18に運動エネ
ルギーとして作用し、気液界面34からインク滴16が
用紙Pに向かって飛翔し、用紙Pの表面に所望の画像が
記録される。
【0069】このように、光ファイバー56を使用して
レーザー光28をインク18の内部に誘導するため、気
泡38の発生位置が光ファイバー56の上端位置とな
る。光ファイバー56の上端との気液界面との距離は、
所望のドロップ径及びレーザー出力によって決定される
が、好ましくは光ファイバー56の上端と気液界面34
との距離が所望のドロップ径の0.1〜10倍程度であ
ればよい。
【0070】また、このように光ファイバー56を用い
ることで、インク層の厚さを所望のドロップ径よりも厚
くしても、光ファイバー56(レーザー光誘導体)をイ
ンク層の厚さによらず気液界面34に対し所望の距離に
配置できる効果がある。また、インク層の厚さが厚くな
るため、インク保持部材52からのインクの乾燥を防止
することができる。
【0071】なお、光ファイバー56は、本発明のレー
ザー光誘導体の一例であり、レーザー光を透過させる観
点から、第1実施形態のレーザー光誘導体30と同様の
材質のものを使用できる。
【0072】光ファイバー56のコア径は吐出するイン
ク滴16の大きさに影響するので所望のドロップ径以下
のレーザー光照射面積が得られるものが好ましい。
【0073】また、光ファイバー56はシングルモード
のものでもマルチモードのものでも使用できる。
【0074】なお、光ファイバー56を複数設けたこと
に対応して、レーザー光28を光ファイバー56の配列
方向(図2の左右方向)に走査させる走査手段を設けて
もよい。これにより、短時間に広い範囲からインク滴1
6を吐出可能となり、より高速で画像を記録できる。走
査手段としては、例えば、レーザー光発生装置24及び
集光レンズ26を一体で光ファイバー56の配列方向に
移動させる構成でもよいが、レーザー光発生装置24及
び集光レンズ26は固定しておき、レーザー光28のみ
をポリゴンミラーや回転鏡等によって走査させる構成と
することも可能である。
【0075】また、このような走査手段を、第1実施形
態のインクジェット記録ヘッド10に設けてもよい。
【0076】図3には、本発明の第3実施形態のインク
ジェット記録ヘッド70が示されている。第3実施形態
においても、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構
成要素、部材等については同一符号を付して説明を省略
する。
【0077】第3実施形態のインク保持部材72では、
本発明のレーザー光誘導体として、第2実施形態と同様
に不透明の底板74を有しているが、光ファイバー56
に代えて、レーザー光28を透過する透過孔76が形成
されている。
【0078】透過孔76は、レーザー光28は透過する
が、インク保持部材72内のインクが流出してしまうこ
とがないように、インク18の粘度、表面張力等を考慮
して所定の大きさとされている。具体的には、透過孔7
6の径は、レーザー光28の照射スポット径と同程度で
あればよく、数十μm以下に設定される。
【0079】レーザー光28は、第2実施形態と同様、
図示しない走査手段によって、透過孔76の配列方向に
走査されるようになっていてもよい。
【0080】このような構成とされた第3実施形態のイ
ンクジェット記録ヘッド70では、底板74の下端に照
射されたレーザー光28が透過孔76を通って底板74
とインク18との界面に照射され、この位置で気泡38
が発生する。以後は、第1実施形態と同様に、気泡38
が音速よりも速い膨張速度で膨張し、インク18中に球
面状の衝撃波32が発生して気液界面34(インクと空
気との界面)に達する。そして、インク18と空気との
衝撃インピーダンスの相違によって、衝撃波のエネルギ
ーがインク18に運動エネルギーとして作用し、気液界
面34からインク滴16が用紙Pに向かって飛翔し、用
紙Pの表面に所望の画像が記録される。
【0081】このように、第3実施形態では、本発明の
レーザー光誘導体として、第1実施形態のレーザー光誘
導体30や第2実施形態の光ファイバー56を設ける必
要がなく、構造が簡単になると共に材料選択の幅が広く
なる。例えば、底板74としては側板36と同一の材料
で一体的に構成することもできる。
【0082】なお、透過孔76の形状は、レーザー光2
8を透過できれば特に限定されないが、集光レンズ26
によって集光されたレーザー光28は先窄まりの略円錐
状になっている。従って、透過孔76としても、レーザ
ー光28に合わせて略円錐状とすることが好ましい。
【0083】加えて、透過孔76を形成したのち、この
透過孔76の内側に、例えば、第1実施形態のレーザー
光誘導体30と同様にレーザー光に対して透明な部材を
埋め込み、インク18の漏れをより確実に防止してもよ
い。
【0084】以上説明したように、本発明のいずれの実
施形態のインクジェット記録ヘッドにおいても、従来の
ノズルを使用することなくインク滴を飛翔させて記録媒
体の表面に画像を記録できるので、インク滴16の吐出
位置を高密度に配置しても、ノズルの目詰まりが生じる
ことはなく、ノズルの目詰まりに起因する吐出不良もな
い。また、ノズルを有するインクジェット記録ヘッドで
は、ノズルの流路抵抗が高いためにインクの供給速度が
低下し、画像記録速度も低下することがあったが、本発
明のインクジェット記録ヘッドでは、これらの不都合も
なく、高速で画像を記録することが可能となる。ノズル
のメンテナンス動作(バキューム動作やワイピング動
作)も不要となるので、画像記録が途中で中断されるこ
ともない。
【0085】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
では、インクに衝撃波を発生させることで、インクに大
きなエネルギーを付与しており、従来のレーザー・アド
レッシング型のバブルジェット型記録ヘッドと比較し
て、インク滴の吐出速度が大きくなる。このため、イン
ク滴16の吐出方向が安定し、空気抵抗等があっても記
録媒体への着弾位置が一定となって、高画質の画像を形
成することができる。
【0086】さらに、本発明では、インク滴16を吐出
するためのエネルギー付与を、インク18にレーザー光
28を照射することで行っているため、従来の音響波に
よってインクにエネルギーを付与していたインクジェッ
ト記録ヘッドの音響放射体が不要となる。このため、1
つのインクジェット記録ヘッドにおいてインク吐出位置
を高密度化させることができ、高速且つ高密度での画像
記録が可能となる。
【0087】なお、レーザー光28の照射によりインク
18にインク滴16を吐出するためのエネルギーを付与
できれば、レーザー光誘導体(レーザー光誘導体30、
光ファイバー56及び透過孔76)を有しない構成でも
よい。すなわち、レーザー光28をインク吐出口14側
から照射し、気液界面からドロップ径程度インク内に入
った位置で気泡38を発生させてもよい。
【0088】本発明のインクジェット記録装置は、上記
したいずれかの実施形態のインクジェット記録ヘッドを
備えたインクジェット記録装置である。従って、このイ
ンクジェット記録装置おいても、従来のノズルを使用す
ることなくインク滴16を飛翔させて記録媒体の表面に
画像を記録できるので、インク滴16の吐出位置を高密
度に配置しても、ノズルの目詰まりが生じることはな
く、ノズルの目詰まりに起因する吐出不良もない。ま
た、ノズルを有するインクジェット記録ヘッドを備えた
インクジェット記録装置では、ノズルの流路抵抗が高い
ためにインクの供給速度が低下し、画像記録速度も低下
することがあったが、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドを備えたインクジェット記録装置では、これらの不都
合もなく、高速で画像を記録することが可能となる。ノ
ズルのメンテナンス動作(バキューム動作やワイピング
動作)も不要となるので、画像記録が途中で中断される
こともない。
【0089】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
を備えたインクジェット記録装置では、インクに衝撃波
を発生させることで大きなエネルギーを付与しており、
従来のレーザー・アドレッシング型のバブルジェット型
記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置と比較し
て、インク滴の吐出速度が大きくなる。このため、イン
ク滴16の吐出方向が安定し、空気抵抗等があっても記
録媒体への着弾位置が一定となって、高画質の画像を形
成することができる。
【0090】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0091】(実施例1)実施例1では、本発明の第1
実施形態のインクジェット記録ヘッド10(図1参照)
を用いて、用紙Pに向かってインク滴16を吐出した。
インクジェット記録装置の概略構成は、図7に示すもの
を使用した。
【0092】レーザー光発生装置24としては、出力2
W、波長635nm のInGaAsP半導体レーザー
を使用し、変調周波数を60kHz、1パルスあたり1
0μJとなるように、レーザーの出力を600mW、出
力の変調幅(パルス幅)を8.35μsecに設定し
た。このとき、レーザー光を連続的に照射しても、出力
変調によりインク滴の吐出に十分なエネルギーが得られ
る場合と、このエネルギーに満たない場合とを周波数変
調で自動的に切り替えられる。
【0093】また、集光レンズ26には、両表面をフッ
化マグネシウム(MgF2)で反射防止膜を塗布したB
K7(硼珪酸系ガラス)製の非球面レンズ(φ25m
m、焦点距離20mm)を使用した。
【0094】そして、集光レンズ26で集光されたレー
ザー光28を、レーザー損傷しきい値が8J/cm2
合成石英製凹レンズ(φ6.25)44で平行光とし
た。
【0095】さらに、平行光とされたレーザー光28
を、ポリゴンミラー45を用いて、用紙Pの搬送方向と
直交する方向(用紙幅方向)へ走査(偏向)した。な
お、このポリゴンミラー45は、本発明のレーザー光走
査装置の一例である。
【0096】用紙Pは、用紙幅方向へのレーザー光28
の走査が終了すると、紙送り制御装置40から信号が送
られて搬送ローラ42が一定量回転し、用紙Pが次の画
像記録位置に搬送されるようにした。
【0097】インク保持部材12の底部を構成するレー
ザー光誘導体30としては、レーザー損傷しきい値が8
J/cm2の合成石英製のものを使用し、本実施例では
寸法が幅257mm、奥行10mm、高さ2mmの板状
に形成した。インク保持部材12のうち、レーザー光誘
導体30以外の部分はポリエーテルイミド製とし、レー
ザー光誘導体30の上面からの高さが200μmの側壁
36を、レーザー光誘導体30を囲むように配置すると
共に、上面を完全に開放させてインク吐出口14とし
た。インク保持部材12内のインク量をインク量センサ
20で検知し、インク保持部材12に連結されたインク
供給手段(図示省略)でインクを供給することで、厚さ
Tが20μmになるように保持した。
【0098】このような構成とされたインクジェット記
録ヘッド10を使用し、上記の半導体レーザーをパルス
幅8.35μsec、出力10μJ、出力変調周波数
(印字周波数に相当する)を60kHzに設定して、画
像記録信号に対応してレーザー光誘導体30とインク1
8との境界面に照射したところ、20μm径のインク滴
16が20m/secの速度で気相方向に吐出し、用紙
Pに着弾して1440dpi(ドット間隔17.64μ
m)の解像度で画像が記録された。
【0099】また、上記と同じ条件で別の実験を行い、
ストロボ同期観察により気泡38の生成を確認した。さ
らに、音響測定器により気泡38成長時の音速を測定し
たところ、マッハ数1.1の衝撃波が発生しているのを
確認した。
【0100】しかも、印字周波数を従来(高々20kH
z)に比べてはるかに大きくでき、さらにノズルの解像
度に依存しないことから、レーザー光走査速度を速く設
定でき、加えて高解像度化も容易に達成できた。また、
インク滴16は20m/secの速度で吐出しているた
め、従来と比較すると高速であり、また吐出圧が高いこ
とから吐出方向も安定しており、着弾位置ずれは目視で
はほとんど認められないことを確認した。
【0101】(実施例2)実施例2では、本発明の第2
実施形態のインクジェット記録ヘッド50を用いて、図
示しない記録媒体に向かってインク滴16を吐出した。
【0102】インク保持部材52は底板及び側壁をポリ
エーテルイミド製とし、底板は実施例1と同サイズとし
た。側板は高さ200μmとし、底板を囲むように配置
すると共に、上面を完全に開放させてインク吐出口14
とした。
【0103】光ファイバー56としては、合成石英製
で、レーザー損傷しきい値が8J/cm2、コア径が1
0μmの単一モード光ファイバーを使用し、この光ファ
イバー56の上端と気液界面34との距離が20μmと
なるようにインク18中に設置した。レーザー光28を
受光する側の端部近傍はインク保持部材12の底板54
に埋設した。
【0104】インク保持部材12内のインク量はインク
量センサ20で検知され、インク保持部材12に連結さ
れたインク供給手段(図示省略)で供給することで、1
00μmの厚さに保持した。
【0105】これら以外の部材は、実施例1と同一の構
成とした。
【0106】このインクジェット記録ヘッド50におい
て、レーザー光発生装置24(InGaAsP半導体レ
ーザー)をパルス幅8.35μsec、出力10μJで
発振させて、波長635nmのレーザー光28を発生さ
せた。そして、 画像情報に対応して光ファイバー56
のコア部にレーザー光28のフォーカスビームの中心が
来るようにポジショナーを用いてカップリングすると、
光ファイバー56によりレーザー光28のエネルギーが
先端部に伝達され、気液界面より20μmのインク滴1
6が20m/secの速度で吐出し、用紙Pに着弾して
1440dpi(ドット間隔17.64μm)の解像度
で画像が記録された。
【0107】また、実施例2においても実施例1と同様
に、ストロボ同期観察により気泡38の生成を確認し
た。さらに、音響測定器により気泡38成長時の音速を
測定したところ、マッハ数1.1の衝撃波が発生してい
るのを確認した。
【0108】しかも、印字周波数を従来(高々20kH
z)に比べてはるかに大きくでき、さらにノズルの解像
度に依存しないことから、レーザー光走査速度を速く設
定でき、しかも高解像度化が容易に達成できた。また、
インク滴16は20m/secの速度で吐出しているた
め、従来と比較すると高速であり、また吐出圧が高いこ
とから吐出方向も安定しており、着弾位置ずれは目視で
はほとんど認められないことを確認した。
【0109】
【発明の効果】本発明では、インクを保持すると共に、
記録媒体に対向する部分の少なくとも一部が開放されて
インク吐出口が形成されたインク保持部材と、前記イン
ク保持部材に保持されたインクにレーザー光を照射して
気泡を発生させ、この気泡により生じた衝撃波で画像情
報に対応したインク滴を前記インク吐出口から吐出させ
る気泡発生手段と、を有するので、従来のインクジェッ
ト記録ヘッドのようなノズルが不要となり、インク吐出
位置を高密度に配置してもノズルの目詰まりや吐出不
良、画像記録速度の遅延化等の不都合がなく、画像記録
が途中で中断されることもない。従来のレーザー・アド
レッシング型のバブルジェット型記録ヘッドと比較し
て、吐出方向が安定し、空気抵抗等があっても記録媒体
への着弾位置が一定となる。また、従来の音響波を用い
たインクジェット記録ヘッドに必要とされていた音響放
射体が不要となり、インク吐出位置を高密度化させるこ
とが可能となるので、高速且つ高密度での画像記録が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のインクジェット記録
ヘッドの基本的構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の第2実施形態のインクジェット記録
ヘッドの基本的構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の第3実施形態のインクジェット記録
ヘッドの基本的構成を示す断面図である。
【図4】 本発明のインクジェット記録ヘッドに適用可
能なインク液面制御手段の具体例を示す斜視図である。
【図5】 本発明のインクジェット記録ヘッドにおいて
レーザー光をインク保持部材の側方から照射する構成を
示す斜視図である。
【図6】 レーザー光をインク保持部材の側方から照射
する構成を示し、(A)は側壁が気液界面と直角の場
合、(B)は側壁が気液界面に対して傾斜している場合
を示す。
【図7】 本発明の実施例のインクジェット記録ヘッド
を示す断面図である。
【符号の説明】
10 インクジェット記録ヘッド 12 インク保持部材 14 インク吐出口 16 インク滴 18 インク 22 制御装置(画像記録制御装置) 24 レーザー光発生装置(気泡発生手段) 26 集光レンズ(気泡発生手段) 28 レーザー光 30 レーザー光誘導体 40 紙送り制御装置(画像記録制御装置) 56 光ファイバー(レーザー光誘導体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 諏訪部 恭史 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 佐藤 博昭 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 末光 裕治 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 大木 靖 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 毛利 哲 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA26 FA02 HA15 2C057 AF42 AF43 AF99 AG21 AG37 BA10 BA13 BA15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを保持すると共に、記録媒体に対
    向する部分の少なくとも一部が開放されてインク吐出口
    が形成されたインク保持部材と、 前記インク保持部材に保持されたインクにレーザー光を
    照射して気泡を発生させ、この気泡により生じた衝撃波
    で画像情報に対応したインク滴を前記インク吐出口から
    吐出させる気泡発生手段と、 を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記インク保持部材に設けられ、前記気
    泡発生手段からのレーザー光をインク保持部材に保持さ
    れたインクの所定位置に誘導することで気泡の発生位置
    を設定するレーザー光誘導体、 を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記レーザー光誘導体が、前記インク保
    持部材に保持されたインクの気液界面とこのレーザー光
    誘導体によるレーザー光の誘導位置との距離がインク滴
    のドロップ径程度となるように配置されていることを特
    徴とする請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記レーザー光誘導体が、前記インク保
    持部材に保持されたインクと前記気泡発生手段との間に
    配置されレーザー光を透過するレーザー光透過部材、 であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の
    インクジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記レーザー光誘導体が、光ファイバー
    であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の
    インクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    インクジェット記録ヘッドと、 前記インクジェット記録ヘッドのインク保持部材にイン
    クを供給するインク供給装置と、 前記気泡発生手段からのレーザー光を走査させるレーザ
    ー光走査装置と、 画像情報に対応して前記インクジェット記録ヘッド、前
    記インク供給装置及び前記レーザー光走査装置を制御可
    能な画像記録制御装置と、 を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008107116A (ja) * 2006-10-23 2008-05-08 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 吐出機構付マイクロ流体デバイス及び微量サンプル吐出方法
JP2009172507A (ja) * 2008-01-23 2009-08-06 Tohoku Univ 微細気泡生成方法及び微細気泡生成装置

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