JP2001300936A - プリプレグの製造方法 - Google Patents

プリプレグの製造方法

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JP2001300936A
JP2001300936A JP2000124928A JP2000124928A JP2001300936A JP 2001300936 A JP2001300936 A JP 2001300936A JP 2000124928 A JP2000124928 A JP 2000124928A JP 2000124928 A JP2000124928 A JP 2000124928A JP 2001300936 A JP2001300936 A JP 2001300936A
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prepreg
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Yoshinori Matsuzaki
義則 松▲崎▼
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Panasonic Electric Works Co Ltd
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長尺な樹脂含浸基材の加熱工程において、反
転部を有する加熱炉にて樹脂含浸基材に空気を噴出させ
て樹脂含浸基材を反転部に対して非接触で通過させるこ
とができると共に、樹脂含浸基材に対する空気の噴出に
起因するプリプレグの成形不良の発生を抑制することが
できるプリプレグの製造方法を提供する。 【解決手段】 樹脂含浸基材3bの移送路の途中に、上
流側に配置される上下方向に長い上昇路4aと、下流側
に上昇路と並列に配置される上下方向に長い下降路4b
と、上昇路4a及び下降路4bの上端同士を連通接続す
る反転部7とからなる加熱炉4を配設する。反転部7に
形成された外周案内面7aから樹脂含浸基材3bに向け
て気流を噴出させることにより、樹脂含浸基材3bを外
周案内面7aに対し非接触で通過させる。反転部7での
樹脂含浸基材3bの樹脂粘度を、気流の噴出による樹脂
流動が発生しない粘度に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリプレグの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紙基材やガラス基材等にフェノール樹脂
やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸硬化させてなる
プリプレグは、プリント配線板等の製造に多用されてい
る。プリプレグの製造に当たっては、長尺の樹脂含浸基
材をその長手方向に移送しつつ加熱処理する必要があ
る。この際に、加熱炉の長さを短くするために、樹脂含
浸基材の移送路の途中に反転部を設けた移送形態を採っ
ている。この移送形態において、樹脂含浸基材が反転部
に接触した状態で反転させるようにすると、樹脂含浸基
材表面の樹脂の粘度が低いため、接触時に粘着してしま
い、反転部が汚染される。この汚染に伴う弊害を避ける
ため、反転部で樹脂含浸基材を冷やすようにすれば樹脂
粘度が上がり、粘着を防ぐことが出来る。しかし、加熱
処理の途中で冷却を行うようにすると、炉を長くする必
要があり、また熱エネルギーの損失もある。また、上記
方法をとったとしても微妙な粘着は避けられず、運転を
止めてメインテナンスを行う面倒があり、このメインテ
ナンスは生産性を阻害する。
【0003】そこで、このような諸問題を解消するため
に、前記反転部において前記樹脂含浸基材に向けて空気
を噴出させることにより、前記樹脂含浸基材を反転部に
対し非接触で通過させるようにする方式が提案されてい
る(特開平10−235642号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
樹脂含浸基材に向けて空気を噴出させると、樹脂含浸基
材に含まれる樹脂が気流の流圧によって流動し、図3
(b)に示すように樹脂含浸基材に波打ち等が発生し
て、成形されるプリプレグに成形不良が生じる場合があ
る。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、樹脂含浸基材の加熱工程において、反転部にて樹
脂含浸基材に空気を噴出させることにより樹脂含浸基材
を反転部に対して非接触で通過させることができると共
に、樹脂含浸基材に対する空気の噴出に起因するプリプ
レグの成形不良の発生を抑制することができるプリプレ
グの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
プリプレグの製造方法は、長尺な樹脂含浸基材3bをそ
の長手方向に移送しつつ加熱処理することによりプリプ
レグ3cを製造する製造方法であって、樹脂含浸基材3
bの移送路の途中に、上流側に配置される上下方向に長
い上昇路4aと、下流側に上昇路4bと並列に配置され
る上下方向に長い下降路4bと、上昇路4a及び下降路
4bの上端同士を連通接続する反転部7とからなる加熱
炉4を配設し、反転部7に形成された外周案内面7aか
ら樹脂含浸基材3bに向けて気流を噴出させることによ
り、樹脂含浸基材3bを外周案内面7aに対し非接触で
通過させるようにするプリプレグ3cの製造方法におい
て、反転部7での樹脂含浸基材3bの樹脂粘度を、気流
の噴出による樹脂流動が発生しない粘度に制御すること
を特徴とするものである。
【0007】また請求項2に記載の発明は、請求項1の
構成に加えて、上昇路での樹脂含浸基材の搬送時間と上
昇路内の温度を測定し、この測定結果に基づいて樹脂含
浸基材における樹脂硬化反応の進行状況を導出し、この
導出結果に基づいて反転部での樹脂含浸基材の樹脂粘度
を、樹脂流動が発生しない粘度に制御することを特徴と
するものである。
【0008】また請求項3に記載の発明は、請求項2の
構成に加えて、上昇路4aを搬送される樹脂含浸基材3
bの温度を複数箇所において測定し、この測定結果に基
づいて樹脂含浸基材3bにおける樹脂硬化反応の進行状
況を導出し、この導出結果に基づいて反転部7での樹脂
含浸基材3bの樹脂粘度を、樹脂流動が発生しない粘度
に制御することを特徴とするものである。
【0009】また請求項4に記載の発明は、請求項1乃
至3のいずれかの構成に加えて、上昇路4aからの排ガ
ス中における樹脂含浸基材3bからの溶剤の揮発ガスの
濃度を測定して、樹脂含浸基材3bから揮発した溶剤量
を導出し、この導出結果に基づいて反転部7での樹脂含
浸基材3bの樹脂粘度を、樹脂流動が発生しない粘度に
制御することを特徴とするものである。
【0010】また請求項5に記載の発明は、請求項1乃
至4のいずれかの構成に加えて、上昇路4aにおける加
熱温度を制御することにより反転部7での樹脂含浸基材
3bの樹脂粘度を、樹脂流動が発生しない粘度に制御す
ることを特徴とするものである。
【0011】また請求項6に記載の発明は、請求項1乃
至5のいずれかの構成に加えて、反転部7における気流
の温度を制御することにより反転部7での樹脂含浸基材
3bの樹脂粘度を、樹脂流動が発生しない粘度に制御す
ることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0013】以下に、本発明の好ましい実施の形態を詳
しく説明する。図1は、プリプレグの製造装置の全体を
示している。
【0014】このプリプレグの製造装置の一側には、基
材3がロール状に巻回された供給ロール1が配設されて
おり、この供給ロール1から基材3が繰り出されること
により、基材3がプリプレグ3cの製造工程に供給され
るようになっている。またプリプレグの製造装置の他側
には、プリプレグ3cの製造工程において製造されたプ
リプレグ3cが巻き取られる巻き取りロール5が配設さ
れている。供給ロール1と巻き取りロール5との間の、
プリプレグの製造工程には、供給ロール1側から順に、
樹脂含浸装置2と加熱炉4とが配設されている。
【0015】樹脂含浸装置2は、熱硬化性樹脂ワニスを
保持している樹脂容器にて構成されている。供給ロール
1から供給された基材3cは、ガイドロール6によって
案内されながらこの樹脂含浸装置2に搬送されて熱硬化
樹脂ワニスの半ばまで浸漬された浸漬ロール9の周面に
支持されながら、この熱硬化性樹脂ワニス中に浸漬さ
れ、樹脂含浸基材3bとなる。
【0016】加熱炉4には、樹脂含浸基材3bの配路で
ある上昇路4aと下降路4bとが並列に配設されてい
る。この上昇路4aと下降路4bとは、略鉛直方向に長
い形状に形成されている。また、この上昇路4aの上端
部(すなわち下流側の端部)と下降路4bの上端部(す
なわち上流側の端部)とを連通接続する反転部7が形成
されている。この反転部7は、樹脂含浸基材3bの配路
が上方に突出するU字状(略円弧状)となるように搬送
される配路として形成されている。
【0017】この加熱炉4を樹脂含浸基材3bが通過す
る場合は、樹脂含浸基材3bはまず上昇路4aの下端開
口から加熱炉4内に供給され、上昇路4a、反転部7、
下降路4bを順に通過し、加熱乾燥されることによりプ
リプレグ3cが形成される。このプリプレグ3cは下降
路4bの下端開口から加熱炉4外に導出され、ガイドロ
ール6にて案内されながら、巻き取りロール5に搬送さ
れるようになっている。
【0018】上記の上昇路4aと下降路4bは、内部の
側壁に樹脂含浸基材3bを加熱するためのヒータとして
熱板8を備えている。この熱板8から発せられる輻射熱
で樹脂含浸基材3bを加熱処理するようになっている。
【0019】また上記の反転部7には、樹脂含浸基材3
bの配路の下方に、樹脂含浸基材3bの搬送経路に沿っ
た形状を有する弧状の外周案内面7aが形成されてお
り、この外周案内面のほぼ全面には、多数の空気噴出孔
が設けられている。そして、図1に多数の矢印で示すよ
うに、空気噴出孔から上方の樹脂含浸基材3に向けて気
流を噴出させて、図示のように、樹脂含浸基材3bを反
転部7の外周案内面7aから上方に離間させるように、
すなわち、浮上させるようにしている。この空気浮上に
より、反転部7内を移動する樹脂含浸基材3bの、外周
案内面7aへの接触を避けることができて、樹脂含浸基
材3bの樹脂が反転部7へ付着することを防ぐようにし
ている。ここで、図1において、11は反転部7内に圧
搾空気を送り込むブロワーであり、反転部7に送り込ま
れた圧搾空気は反転部7の外周案内面7aに形成された
空気噴出孔から図示の矢印のように噴出する。
【0020】上記のように構成されたプリプレグの製造
装置にてプリプレグ3cを製造するにあたっては、供給
ロール1から繰り出された基材3aは、ガイドロール6
にて案内されながら樹脂含浸装置2に搬送され、樹脂ワ
ニスが含浸される。このようにして得られた樹脂含浸基
材3bは加熱炉4に送り込まれる。加熱炉4内では、樹
脂含浸基材3bは上昇路4a内を上方に向けて搬送され
ながら加熱され、反転部7に送られる。反転部7では樹
脂含浸基材3bは、空気浮上された状態で、弧状の外周
案内面7aの外周に沿って上昇方向から下降方向に反転
するよう案内されて、下降路4bへと送られる。下降路
4b内では、樹脂含浸基材3bは下方に向けて搬送され
ながら更に加熱され、下端部の開口から加熱炉4外へ導
出される。このとき樹脂含浸基材3bは加熱乾燥される
ことにより樹脂成分が半硬化状態となり、プリプレグ3
cが形成される。このプリプレグ3cは、ガイドロール
6に案内され、巻き取りロール5まで搬送されて巻き取
られる。
【0021】以上に示したプリプレグの製造装置は、樹
脂含浸基材3bの移送路の途中において、加熱炉4の頂
点に、上記のような反転部7を備えているため、加熱炉
長が短縮されている。
【0022】本発明では、上記のようなプリプレグ3c
の製造方法において、反転部7において、樹脂含浸基材
3bの浮上用の気流の風圧により流動しないように、反
転部7における樹脂含浸基材3bの樹脂粘度を制御する
ものである。
【0023】ここで、反転部7において樹脂流動が起こ
らないようにするための樹脂粘度は、反転部7における
浮上用の気流の風圧、基材として用いられるガラスクロ
ス等の通気度、基材への樹脂ワニスの含浸量及び樹脂ワ
ニスの組成によって決定されるものである。
【0024】具体例として、次に示すものを挙げる。
【0025】〈樹脂ワニス組成〉 ・エポキシ樹脂(テトラブロモビスフェノールA型エポ
キシ樹脂[東都化成株式会社製、商品名YDB−50
0]) 固形分として80質量部 ・硬化剤(ジシアンジアミド[日本カーバイド株式会社
製]) 3質量部 ・硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール
[四国化成株式会社製])0.2質量部 ・溶剤濃度 14.4質量%(溶剤組成;メチルエチル
ケトン38.9質量%、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル46.7質量%、ジメチルホルムアミド1
4.4質量%) 〈基材〉 ・厚さ0.19mmのガラス織布(ガラスクロス)[旭
シュエーベル株式会社製、商品名7628]、通気度1
0cc/cm2/s(10cm3/cm2/s) 上記のような樹脂ワニス及び基材3aを用い、加熱炉4
にて加熱乾燥させることにより樹脂量が40質量%、1
70℃のゲルタイムが150秒のプリプレグ3cを作製
する場合、反転部7における浮上用の気流の風圧(面
圧)は、ライン運転に必要なテンションを確保するため
に、510Paに設定される。
【0026】このような条件にてプリプレグ3cを作製
するにあたっての、反転部7において樹脂の流動が発生
しないようにするための反転部7における樹脂粘度は、
3P(poise)以上である必要がある。
【0027】上記の樹脂粘度は、反転部7における樹脂
含浸基材3bの硬化度、残存溶剤量及び反転部7におけ
る樹脂含浸基材3bの温度によって、決定される。従っ
て上昇路4aにおける樹脂含浸基材3bの加熱条件を制
御して樹脂含浸基材3bの硬化度や残存樹脂量を制御
し、あるいは上昇路4aにおける浮上用の気流の温度を
制御して反転部7における樹脂含浸基材3bの温度を制
御することにより、反転部7における樹脂粘度を制御す
ることができる。
【0028】図2に、上記の樹脂含浸基材3bにおける
樹脂温度と樹脂粘度の関係を示す。ここで、図中の△は
樹脂の硬化が進行しておらず、溶剤の揮発もされていな
い樹脂含浸基材3b、□は樹脂の硬化は進行していない
が、溶剤が全て揮発された樹脂含浸基材3b、○は樹脂
含浸基材3bから溶剤が全て揮発されると共に170℃
のゲルタイムが150秒となるまで硬化されたプリプレ
グ3cについての、それぞれの樹脂温度と樹脂粘度との
関係を示すものである。図示の通り、一定の温度におけ
る樹脂の粘度は、溶剤残存量が減少し、あるいは硬化反
応が進行するにつれて上昇することとなり、また同一の
樹脂含浸基材3bにおいては樹脂粘度は樹脂温度が低下
するにつれて上昇することとなる。
【0029】図中の点線は、反転部7において樹脂流動
が起こらないための最低粘度である3P(poise)
を示す。
【0030】ここで図中の△に示される樹脂含浸基材3
bでは反転部7における温度が102℃以下である場合
に、□で示される樹脂含浸基材3bでは反転部7におけ
る温度が170℃以下である場合に、○で示されるプリ
プレグ3cでは反転部7における温度が206℃以下で
ある場合に、それぞれ樹脂粘度が、反転部7において樹
脂流動が起こらないための最低粘度以下の値となる。
【0031】一定の組成における樹脂の硬化度は、樹脂
の加熱温度及び加熱時間に依存して変化し、加熱温度又
は加熱時間が上昇するに従って進行するものである。従
って、上昇路4a内の温度と、樹脂含浸基材3bが上昇
路4aを通過するのに要する時間(加熱時間)とを測定
することにより、樹脂の硬化度を導出することができ
る。ここで、上昇路4a内の加熱は熱板8からの輻射熱
にて行われているため、上昇路4a内の樹脂含浸基材3
bには温度むらが発生しやすくなっている。そのため、
上昇路4a内の樹脂含浸基材3bの複数箇所の温度を測
定することにより、上昇路4a内における樹脂の硬化反
応の進行度合いを正確に検知して、反転部7における樹
脂の正確な硬化度を導出することが好ましい。
【0032】また反転部7における樹脂含浸基材3b中
の樹脂の溶剤残存量は、上昇路4a中において揮発した
溶剤量に依存する。そこで、上昇路4a内における溶剤
の揮発量を測定することにより、樹脂の溶剤残存量を導
出することができる。溶剤の揮発量を測定するにあたっ
ては、上昇路4a内からの排ガス中における溶剤の揮発
ガスの濃度を測定し、この測定結果から、樹脂からの揮
発した溶剤の総量を導出するものである。この排ガス中
の溶剤の揮発ガス濃度の測定は、例えば濃度測定機(例
えば理研計器(株)製のGL−92S型ガス濃度計)を用
いて行うことができ、また更に日本カノマックス(株)
製の6162型風速計などを用いて上昇路4aからの排
ガスの排気量を測定し、この測定結果から上昇路4aか
らの溶剤揮発ガスの総排出量を算出して、樹脂含浸基材
3bからの樹脂の総揮発量を導出することができる。
【0033】このようにして導出された反転部7におけ
る樹脂含浸基材3bの樹脂の硬化度や樹脂の溶剤残存量
に基づき、反転部7における樹脂含浸基材3bの、樹脂
温度と樹脂粘度との関係を導出する。この関係は、予め
実験的あるいは経験的に得られたデータに基づいて導出
される。
【0034】そして、反転部7における樹脂温度から、
反転部7における樹脂粘度が導出されるものである。こ
こで、反転部7における樹脂温度は、反転部7における
浮上用の気流の温度に依存する。
【0035】このようにして導出された樹脂粘度が、樹
脂流動を起こさない最低粘度を下回っている場合には、
樹脂粘度が最低粘度以上となるように加熱炉4における
加熱条件を制御する。
【0036】加熱条件の制御にあたっては、上昇路4a
における加熱温度や加熱時間を制御して樹脂の硬化度や
溶剤残存量を変更し、反転部7の樹脂温度における樹脂
粘度が樹脂流動を起こさない最低粘度以上となるように
することができる。ここで、加熱温度又は加熱時間が増
大するほど樹脂からの溶剤の揮発量が増大すると共に樹
脂の硬化が進行して、一定温度における樹脂粘度が増大
するため、樹脂粘度の制御にあたっては反転部7の樹脂
温度における樹脂粘度が樹脂流動を起こさない最低粘度
以上となるまで上昇路4aにおける加熱温度を上昇し、
あるいは加熱時間を延長するものである。
【0037】また、反転部7における浮上用の気流の温
度を制御して反転部7の樹脂温度を変更し、反転部7の
樹脂温度における樹脂粘度が、樹脂流動を起こさない最
低粘度以上となるようにすることもできる。ここで、図
2に示すように、樹脂温度が低下するに従い樹脂粘度が
上昇することとなるため、樹脂粘度の制御にあたって
は、反転部7の樹脂温度における樹脂粘度が樹脂流動を
起こさない最低粘度以上となるまで浮上用の気流の温度
を低下させるものである。
【0038】以上のようにして反転部7における樹脂含
浸基材3bの樹脂粘度を、樹脂流動を起こさない最低粘
度以上に制御すると、加熱炉4における樹脂流動を防止
して、図3(a)に示すように表面が平滑なプリプレグ
3cを得ることができるものである。
【0039】例えば上記のような樹脂含浸基材3bから
プリプレグ3cを得るにあたっては、上昇路4aにおけ
る熱盤の温度を180℃、循環風の温度を175℃、加
熱時間を40秒間とし、反転部7における浮上用の気流
の温度を100℃、通過時間を5.6秒間とし、下降路
4bにおける熱盤の温度を180℃、循環風の温度を1
75℃、加熱時間を40秒間とする。この場合、反転部
7においては、溶剤はジメチルホルムアミドが11質量
%残っているほかは、殆ど揮発したものとなる。このと
き100℃の反転部7における樹脂粘度は約210P
(poise)となって、樹脂流動を起こさない最低粘
度以上となる。
【0040】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るプ
リプレグの製造方法は、長尺な樹脂含浸基材をその長手
方向に移送しつつ加熱処理することによりプリプレグを
製造する製造方法であって、樹脂含浸基材の移送路の途
中に、上流側に配置される上下方向に長い上昇路と、下
流側に上昇路と並列に配置される上下方向に長い下降路
と、上昇路及び下降路の上端同士を連通接続する反転部
とからなる加熱炉を配設し、反転部に形成された外周案
内面から樹脂含浸基材に向けて気流を噴出させることに
より、樹脂含浸基材を外周案内面に対し非接触で通過さ
せるようにするプリプレグの製造方法において、反転部
での樹脂含浸基材の樹脂粘度を、気流の噴出による樹脂
流動が発生しない粘度に制御するため、反転部によって
加熱炉長を短縮すると共に、反転部における気流の風圧
に起因する樹脂流動を防止して、プリプレグ表面の平滑
性を向上することができるものである。
【0041】また請求項2に記載の発明は、請求項1の
構成に加えて、上昇路での樹脂含浸基材の搬送時間と上
昇路内の温度を測定し、この測定結果に基づいて樹脂含
浸基材における樹脂硬化反応の進行状況を導出し、この
導出結果に基づいて反転部での樹脂含浸基材の樹脂粘度
を、樹脂流動が発生しない粘度に制御するため、反転部
における樹脂粘度を樹脂硬化反応の進行状況を基準にし
て導出して、反転部における樹脂粘度を制御することが
できるものである。
【0042】また請求項3に記載の発明は、請求項2の
構成に加えて、上昇路を搬送される樹脂含浸基材の温度
を複数箇所において測定し、この測定結果に基づいて樹
脂含浸基材における樹脂硬化反応の進行状況を導出し、
この導出結果に基づいて反転部での樹脂含浸基材の樹脂
粘度を、樹脂流動が発生しない粘度に制御するため、上
昇路内において温度むらが発生していても樹脂硬化反応
の進行状況を正確に導出することができ、反転部におけ
る樹脂粘度を更に正確に制御することができるものであ
る。
【0043】また請求項4に記載の発明は、請求項1乃
至3のいずれかの構成に加えて、上昇路からの排ガス中
における樹脂含浸基材からの溶剤の揮発ガスの濃度を測
定して、樹脂含浸基材から揮発した溶剤量を導出し、こ
の導出結果に基づいて反転部での樹脂含浸基材の樹脂粘
度を、樹脂流動が発生しない粘度に制御するため、反転
部における樹脂粘度を樹脂含浸基材における残存溶剤量
を基準にして導出して、反転部における樹脂粘度を制御
することができるものである。
【0044】また請求項5に記載の発明は、請求項1乃
至4のいずれかの構成に加えて、上昇路における加熱温
度を制御することにより反転部での樹脂含浸基材の樹脂
粘度を、樹脂流動が発生しない粘度に制御するため、反
転部における樹脂粘度が流動が発生しない最低粘度を下
回る場合は、上昇路における加熱温度を、樹脂粘度がこ
の最低粘度以上となるまで上昇することにより、樹脂流
動を防ぐことができるものである。
【0045】また請求項6に記載の発明は、請求項1乃
至5のいずれかの構成に加えて、反転部における気流の
温度を制御することにより反転部での樹脂含浸基材の樹
脂粘度を、樹脂流動が発生しない粘度に制御するため、
反転部における樹脂粘度が流動が発生しない最低粘度を
下回る場合は、反転部における気流の温度を、樹脂粘度
がこの最低粘度以上となるまで低下させることにより、
樹脂流動を防ぐことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリプレグの製造装置の全体構成を示す概略図
である。
【図2】樹脂含浸基材及びプリプレグにおける樹脂温度
と樹脂粘度との関係を示すグラフである。
【図3】(a)は樹脂流動が発生しない場合のプリプレ
グの断面図、(b)は樹脂流動が発生した場合のプリプ
レグの断面図である。
【符号の説明】
3b 樹脂含浸基材 3c プリプレグ 4 加熱炉 4b 下降路 4a 上昇路 7 反転部 7a 外周案内面

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺な樹脂含浸基材をその長手方向に移
    送しつつ加熱処理することによりプリプレグを製造する
    製造方法であって、樹脂含浸基材の移送路の途中に、上
    流側に配置される上下方向に長い上昇路と、下流側に上
    昇路と並列に配置される上下方向に長い下降路と、上昇
    路及び下降路の上端同士を連通接続する反転部とからな
    る加熱炉を配設し、反転部に形成された外周案内面から
    樹脂含浸基材に向けて気流を噴出させることにより、樹
    脂含浸基材を外周案内面に対し非接触で通過させるよう
    にするプリプレグの製造方法において、反転部での樹脂
    含浸基材の樹脂粘度を、気流の噴出による樹脂流動が発
    生しない粘度に制御することを特徴とするプリプレグの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 上昇路での樹脂含浸基材の搬送時間と上
    昇路内の温度を測定し、この測定結果に基づいて樹脂含
    浸基材における樹脂硬化反応の進行状況を導出し、この
    導出結果に基づいて反転部での樹脂含浸基材の樹脂粘度
    を、樹脂流動が発生しない粘度に制御することを特徴と
    する請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
  3. 【請求項3】 上昇路を搬送される樹脂含浸基材の温度
    を複数箇所において測定し、この測定結果に基づいて樹
    脂含浸基材における樹脂硬化反応の進行状況を導出し、
    この導出結果に基づいて反転部での樹脂含浸基材の樹脂
    粘度を、樹脂流動が発生しない粘度に制御することを特
    徴とする請求項2に記載のプリプレグの製造方法。
  4. 【請求項4】 上昇路からの排ガス中における樹脂含浸
    基材からの溶剤の揮発ガスの濃度を測定して、樹脂含浸
    基材から揮発した溶剤量を導出し、この導出結果に基づ
    いて反転部での樹脂含浸基材の樹脂粘度を、樹脂流動が
    発生しない粘度に制御することを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  5. 【請求項5】 上昇路における加熱温度を制御すること
    により反転部での樹脂含浸基材の樹脂粘度を、樹脂流動
    が発生しない粘度に制御することを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  6. 【請求項6】 反転部における気流の温度を制御するこ
    とにより反転部での樹脂含浸基材の樹脂粘度を、樹脂流
    動が発生しない粘度に制御することを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002037895A (ja) * 2000-07-21 2002-02-06 Hitachi Chem Co Ltd 積層板用樹脂含浸布の製造方法
JP2008291156A (ja) * 2007-05-25 2008-12-04 Panasonic Electric Works Co Ltd プリプレグの製造方法

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