JP2001300629A - 耐候性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼管の製造方法 - Google Patents
耐候性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼管の製造方法Info
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Abstract
管を、低廉な製造コストで効率的に製造できる。 【解決手段】Cr含有量が9〜15質量%からなるマルテン
サイト系ステンレス鋼を素材として製管し、次いで熱処
理した後、鋼管表面に非鉄酸化物系または非鉄炭化物系
であって、含有される磁性鉄分が5%以下の研掃材を衝
突させ、表面に生成した酸化皮膜を除去することを特徴
とする耐候性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼管
の製造方法である。さらに、上記研掃材は、循環再利用
するのが望ましい。
Description
井、各種プラント若しくは建設構造材料等に用いられる
マルテンサイト系ステンレス鋼管の製造に関し、さらに
詳しくは、Crを9〜15質量%含有した組成であって、製
管、熱処理後で出荷前後の保管中や輸送中における耐候
性(耐発錆性)に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼
管の製造方法に関するものである。
は建設構造用としてマルテンサイト系ステンレス鋼管が
広く採用されており、その製管方法によって継目無鋼管
と溶接鋼管とに区分できる。
生産性の面で有利なことから、マンネスマン−マンドレ
ルミル方式が適用される。この方式では、連続鋳造によ
って製造された素材ビレットを1100〜1300℃に加熱した
後、ピアサーで穿孔圧延によって中空素管とし、さらに
マンドレルミルで延伸圧延して仕上圧延用素管を作製す
る。次いで、この仕上圧延用素管を延伸圧延ままの状
態、または850〜1100℃に再加熱した後にストレッチレ
ヂューサに通して、所定寸法の継目無鋼管に仕上げる。
してERW(電縫溶接)製管法、TIG溶接製管法およ
びレーザ溶接製管法などによって、所定に製品寸法に仕
上げられる。
合であっても、所定の製品寸法に仕上げられたマルテン
サイト系ステンレス鋼管は、所望の強度を確保するた
め、一般的に900℃以上から焼き入れし、次に600〜750
℃で焼戻し熱処理が行われる。このため、継目無鋼管の
場合には、各工程で600〜1300℃の加熱を受け、溶接鋼
管の場合には、熱処理工程で600〜1000℃の昇温がある
ので、鋼管の内外表面には、不可避的な酸化皮膜(ミル
スケール)を生成させる。
ショットブラス処理および酸洗処理によって完全に除去
される。このような酸化皮膜の除去は、酸化皮膜の直下
の母材に存在する脱Cr層を除去するためである。すなわ
ち、脱Cr層では、Cr含有量がステンレス鋼の不導体皮膜
の形成に必要となる9%を下回っており、大気環境中で
の発錆起点になるからである。
理を施して、酸化皮膜と脱Cr層の除去を完全に行ってい
る。最近では、酸洗処理がショットブラスト処理に比べ
て、多くの工数と多大な費用がかかることから、ショッ
トブラスト処理のみで酸化皮膜と脱Cr層の除去を実施す
る方法も採用されている。
ト方法に関して種々の提案がなされている。例えば、特
開平11-236651号公報では、マルテンサイト系ステンレ
ス鋼管を対象として、表面に生成付着した酸化皮膜を除
去した後、表面粗さがJIS B0601で規定される最大高さR
yで50μm以下、表面に残存する酸化皮膜の大きさが面
積で0.01mm2以下、その酸化皮膜の1mm2視野内における
残存面積率が2%以下にする方法が提案されている。
Ryで50μm以下にすることによって、孔食電位が著しく
高くなって耐食性が向上し、また、表面に残存する酸化
皮膜の大きさが面積で0.01mm2以下にすることによっ
て、実質的な錆の発生を防止し、さらに、酸化皮膜の1
mm2視野内における残存面積率が2%以下にすることに
よって、アノード分極挙動による不導体保持電流を発生
し、残存する酸化皮膜周りに不導体皮膜が形成されるか
らであるとしている。このように、ショットブラスト処
理後の鋼管表面における表面粗さ、酸化皮膜の残存面
積、および残存面積率を規定することによって、提案さ
れた方法で処理されたマルテンサイト系ステンレス鋼管
は、優れた耐候性を発揮できるようになる。
は、上述の通り、表面粗さを最大高さRyで50μm以下と
規定しているため、ショットブラスト処理に使用する研
掃材の選択、および研掃材のショット条件が重要にな
る。言い換えると、ショットブラスト後に上記の表面粗
さを確保するためには、使用する研掃材の大きさを制限
する必要があり、また、研掃材の衝突角度を小さくしな
ければならなくなる。このように、研掃材が小さくする
と、寿命が短くなり製造コストが上昇し、さらに研掃材
の衝突角度を小さくすると、研掃力が低下し作業能率が
下がることになる。
提案され、マルテンサイト系ステンレス鋼管に適したシ
ョットブラスト処理として実施されていた方法は、処理
鋼管の耐候性の発揮には有効であるが、処理後の鋼管表
面粗さを確保するため、研掃材のサイズ、衝突角度など
の操業条件を限定しなければならない。したがって、今
後のマルテンサイト系ステンレス鋼管の製造において一
層の効率生産を達成するには、製造コストの低減が可能
なショットブラスト処理の開発が必要になる。
であり、ショットブラスト処理に用いられる研掃材の特
性を規定することによって、鋼管の最終熱処理後のショ
ットブラスト処理の製造コストの低減を図りつつ、優れ
た耐候性を発揮することができるマルテンサイト系ステ
ンレス鋼管の製造方法を提供することを目的としてい
る。
を解決するため、ショットブラスト処理に用いられる種
々の研掃材を対象として研究を重ねた結果、鋼管の耐候
性(耐発錆性)には研掃材中の磁性鉄分に起因するコン
タミネーションが影響することに着目して、研掃材中の
磁性鉄分の含有量を制限することによって、鋼管の発錆
を防ぎ、耐候性を改善できることを知見した。
されたものであり、下記のマルテンサイト系ステンレス
鋼管の製造方法を要旨としている。
るマルテンサイト系ステンレス鋼を素材として製管し、
次いで熱処理した後、鋼管表面に非鉄酸化物系または非
鉄炭化物系であって、含有される磁性鉄分が5%以下の
研掃材を衝突させ、表面に生成した酸化皮膜を除去する
ことを特徴とする耐候性に優れたマルテンサイト系ステ
ンレス鋼管の製造方法である。
るため、上記研掃材を鋼管表面に生成した酸化被膜の除
去後に回収して、循環再利用するようにするのが望まし
い。
Cr含有量が9〜15%であるマルテンサイト系ステンレス
鋼を素材としている。Cr含有量が9%未満では、所望の
耐食性、具体的には耐CO2腐食性が確保できない。一
方、Cr含有量が15%を超えると、デルタ・フェライト相
が生成しやすく、耐食性(耐SSC性)および熱間加工
性が低下し、過剰な添加によって製造コストの上昇を招
くことになる。
有量のみ規定するが、その他にC:0.5%以下、Si:1
%以下、Mn:5%以下、Ni:8%以下、Mo:7%以下、
Ti:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Nb:0.1%以下、sol.A
l:0.1%以下等の元素について適宜含有することができ
る。
ラスト処理に用いられる研掃材中の磁性鉄分の含有量と
鋼管の耐候性との関係を示す図である。試験に供する鋼
管は、後述する実施例で表1に示す13Crマルテンサイト
系ステンレス鋼であり、その鋼管を最終熱処理として95
0℃焼入−600〜750℃焼戻した後、所定の表面粗さ、酸
化皮膜の残留面積率を確保できるようにショットブラス
ト処理を行った。その後、供試鋼管から、サイズ50mm幅
×300mm長さ×6mm厚さの試材を採取して耐候性試験を
実施している。
中における発錆模擬試験によるものである。具体的に
は、人工海水を100倍の水で希釈した水溶液中に供試材
を浸漬後、取り出して乾燥処理し、その内外表面に塩分
を付着させたのち、温度が50℃、相対湿度が98%の雰囲
気中に暴露し、表面を目視観察して目視で明確に確認で
きる変色部、すなわち錆(赤錆)が発生するまでの時間
(日数)を測定した。
の表面粗さはRyで15〜25μmになるように調整し、1m
m2視野における酸化皮膜の残留面積率を0〜3.0%の範
囲で変動させている。図1の結果から、酸化皮膜の残留
面積率の如何に拘わらず、アルミナ研掃材中の磁性鉄分
の含有率が5%以下になると、著しく耐候性が向上する
ことが分かる。より好ましくは1%以下である。さら
に、特筆すべきことは、酸化皮膜の残留面積率が前述の
特開平11-236651号公報で規定された範囲を外れる場合
(面積率:2.1〜3.0%)であっても、耐候性の向上が見
られることである。
スト後の1mm2視野における酸化皮膜の残留面積率を0.8
〜1.4%とし、表面粗さはRyで15μm未満から55μmの
範囲で変動させている。図2の結果からは、図1と同様
に、表面粗さの如何に拘わらず、アルミナ研掃材中の磁
性鉄分の含有率が5%以下になると、耐候性が改善され
ることが明らかとなる。より好ましくは1%以下であ
る。このことは、表面粗さが前述の特開平11-236651号
公報で規定された範囲を外れる場合(表面粗さRy:〜5
5μm)であっても、同様の結果を示している。
性鉄分の含有量をコントロールすることによって、鋼管
表面の表面粗さや酸化皮膜の残留面積率をそれ程厳しく
規定する必要がないことが分かる。このことは、研掃材
の大きさや研掃材の衝突角度などを規定する操業条件の
緩和が可能になり、製造コストの低減に結び付くことに
なる。
磁性鉄分を5%以下とコントロールできる限りにおいて
は、非鉄酸化物系、例えばアルミナ、ケイ砂等であって
も、非鉄炭化物系、例えば炭化珪素等であってもよい。
また、現場的に酸化被膜(ミルスケール)の除去度を判
断するには、フェロキシール液を表面に付着させ、変色
までの時間が15秒以上要するか否かで判断するのが有効
である。すなわち、変色までの時間が15秒以上要する場
合には、表面の酸化被膜の除去度、あるいは研掃材中の
磁性鉄分の含有量が不適と判断することができる。
減を図るため、研掃材は一旦酸化被膜の除去後に回収し
て、循環再利用するのが望ましい。この場合には、ショ
ットブラスト機に鉄分の分離装置を設置することによっ
て、循環再利用する研掃材に混入した磁性鉄分の含有量
をコントロールする必要がある。いずれにしても、研掃
材中の磁性鉄分の分離、含有量の測定は、基本的には磁
石分離と秤測量であり、煩雑な作業を要求するものでは
ない。
に際し、研掃材中の磁性鉄分の分離とともに、研掃材の
摩耗、粉化によって減少する量を補うために新たな研掃
材を追加することができる。この場合の追加量は、研削
作業に支障を起こさない範囲とする。
ステンレス鋼管の効果を確認するため、表1に示す化学
組成の素材ビレットをを準備した。
ピアサーで穿孔して中空素管とし、引き続きマンドレル
ミル圧延によって仕上圧延用素管を製造した。次に、仕
上圧延用素管を1100℃に再加熱してからストレッチレヂ
ューサに通して、外径88.9mm、内径70mm、長さ1000mmの
継目無鋼管を製造した。
熱後に空冷焼入をし、650℃×30分の焼戻をして表面に
酸化皮膜が生成した継目無鋼管を作製した。作製された
鋼管の内外表面に、噴射式アルミナショット機で研掃材
を吹き付けてショット処理を実施した。
よるアルミナ研掃材#16を用て、噴射角度は10〜35°、
噴射圧は4〜6kgf/cm2(392〜588kPa)とした。このと
き、研掃材中の磁性鉄分の含有量を1〜16%に範囲で変
動させるとともに、表面粗さ、および酸化皮膜の残存面
積率を把握しながらアルミナショットを実施した。
ズ50mm幅×300mm長さ×6mm厚さの試験片を採取した。
耐候性を評価するための試験は、前記図1および図2と
同様の条件による、海上輸送中における発錆模擬試験を
実施して、錆(赤錆)が発生するまでの耐候日数を調査
した。これらの結果を表2に示す。
に含有される磁性鉄分が5%を超えるものであるから、
耐候日数は11〜18日と短くなっている。これに対し、本
発明例では、研掃材中の磁性鉄分の含有率が5%以下で
あるため、耐候日数は26〜34日と耐候性は格段に改善さ
れている。さらに、本発明例No.13、15のように表面が
比較的粗い場合であっても、また本発明例No.10、14、1
5のように酸化皮膜の残存面積率が比較的高い場合であ
っても、耐候性を維持できることが分かる。
系または非鉄炭化物系の研掃材に含有される磁性鉄分を
コントロールすることによって、耐候性に優れたマルテ
ンサイト系ステンレス鋼管を、低廉な製造コストで効率
的に製造することができる。
における、アルミナ・ショットブラスト処理に用いられ
る研掃材中の磁性鉄分の含有量と鋼管の耐候性との関係
を示す図である。
ルミナ・ショットブラスト処理に用いられる研掃材中の
磁性鉄分の含有量と鋼管の耐候性との関係を示す図であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】Cr含有量が9〜15質量%からなるマルテン
サイト系ステンレス鋼を素材として製管し、次いで熱処
理した後、鋼管表面に非鉄酸化物系または非鉄炭化物系
であって、含有される磁性鉄分が5%以下の研掃材を衝
突させ、表面に生成した酸化皮膜を除去することを特徴
とする耐候性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼管
の製造方法。 - 【請求項2】上記研掃材は鋼管表面に生成した酸化被膜
の除去後に回収されて、循環再利用されることを特徴と
する請求項1記載の耐候性に優れたマルテンサイト系ス
テンレス鋼管の製造方法。
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JP2000122139A JP3489535B2 (ja) | 2000-04-24 | 2000-04-24 | 耐候性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼管の製造方法 |
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