JP2001300623A - 棒線材用熱間圧延ラインにおける圧延機出口ガイド - Google Patents

棒線材用熱間圧延ラインにおける圧延機出口ガイド

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に粗圧延での圧延材表面温度低下に起因す
る材料組織の不均一や表面疵発生を防止するため、加熱
炉での加熱温度を高めることなく、簡易な設備により、
圧延機列内にて効率的に圧延材の温度を均一化する。 【解決手段】 ロール出側のレストバー上に固定載置さ
れた出口ガイドにおいて、圧延材通路に臨む加熱装置が
内設されている。周波数3〜20kHz で加熱する誘導加
熱装置が好ましく、さらに出口ガイドの一部または全部
を非磁性金属材料で構成するのが好ましい。 【効果】 圧延機出側での安定的な加熱が簡易な設備で
実現でき、圧延製品の品質向上、加熱炉の省エネ、スケ
ール増大による歩留まり低下の解消、スケール起因の疵
発生解消が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、棒線材の連続熱間
圧延ラインにおいて、圧延製品の品質均一化をはかると
ともに表面疵の発生を抑止するために設置する圧延機出
口ガイドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続熱間圧延ラインにおいて、鋼材など
の圧延材は、加熱されたのち、粗圧延機列、中間圧延機
列、仕上圧延機列を順次通過して所定の断面直径の棒鋼
や鋼線材に圧延される。図6は、圧延材としての鋼材1
が、例えば粗圧延機列の2機の圧延スタンド2を通って
圧延される様子を示している。鋼材1は、入口ガイド4
を通って圧延スタンド2に導入され、圧延ロール3で圧
延された後、出口ガイド5を通り、樋6によりつぎの圧
延スタンド2に誘導されて、同様に圧延される。
【0003】出口ガイド5の詳細を図7に示す。図7
は、鋼材1の下半分が見えるように出口ガイド5の一部
を切り欠いた図としている。出口ガイド5は、図示しな
い基台に固定されたレストバー7上に固定載置されてい
る。圧延によって鋼材1には反りや曲りが発生するが、
圧延ロール3を出た鋼材1は、出口ガイド5内のガイド
摺動路8を通る間に矯正されて導出される。
【0004】このような出口ガイド5に関する従来技術
としては、作業性改善の観点から、着脱方法に関する発
明や、圧延ロール冷却水の飛散防止などの提案がなされ
ている。なお特開平2−99204号公報には、冷間工
具鋼、高速度工具鋼、ステンレス鋼など難加工性の棒線
材などについて、粗圧延を行ったのちの連続圧延過程で
圧延材を加熱することにより、圧延品の表面割れ発生を
防止することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】粗圧延機列、中間圧延
機列、仕上圧延機列を順次通過させる連続熱間圧延ライ
ンにおいて、特に粗圧延では、圧延速度が小さいため、
加工発熱よりも圧延ロールによる抜熱や放散熱の方が大
きく、圧延材の表面温度が低下しがちである。特に圧延
ロールとの接触時の抜熱は、瞬時に圧延材表面温度を低
下させてしまう。ロール通過後に、圧延材内部からの復
熱によってある程度は昇温されるものの、直角断面内の
温度分布が不均一なままで次の圧延ロールで圧延されて
しまう。
【0006】粗圧延ロールを出た圧延材の直角断面では
歪分布が不均一であり、そのうえ温度分布が不均一な状
態で次の圧延が行われると、表面層に粗大粒が現れるな
ど組織が不均一となり、さらには表面疵が発生しやすく
なる。特に機械構造用炭素鋼や低合金鋼では、圧延ロー
ル出側の鋼材表面温度がA3変態点、場合によってはA
1 変態点を下回ることがある。表面が変態点を下回った
状態、すなわち鋼材表面にα相が現出した状態で圧延さ
れると、γ相に比べて変形能の劣るα相に割れが生じ、
表面疵が発生しやすくなる。
【0007】従来、鋼材の粗圧延において、鋼材表面が
変態点を下回らないように、また下回っても内部からの
復熱によって変態点以上で次の圧延が行えるように、加
熱炉での鋼材の加熱温度を高める対策が行われていた。
しかし、加熱炉内でのスケール発生増大による歩留まり
低下、スケールによる疵発生といった問題があり、さら
に省エネの観点からも好ましくない。
【0008】一方、加熱炉抽出後の熱間圧延工程内に加
熱手段を設けて、鋼材温度の均一化をはかることも考え
られ、上記特開平2−99204号公報のような提案も
なされている。しかし該公報には、加熱手段を設ける位
置については粗圧延後の連続圧延過程と記されているの
みで、その構造については言及されておらず、実現性の
乏しいものである。
【0009】なお圧延スタンド間の加熱では、スタンド
とは独立した図6に示すような樋6を利用するのが常識
的であるが、圧延ロール3から離れ過ぎていて、特に鋼
材表面温度が変態点を下回った場合は、下回った時間が
長く、解決手段とはなり得ない。また圧延材の通材性に
も問題が生じ、さらに加熱手段を強固に固定するために
特別な設備が必要になる。
【0010】そこで本発明が解決しようとする課題は、
棒線材の熱間圧延ラインにおいて、特に粗圧延での圧延
材表面温度低下に起因する材料組織の不均一や表面疵発
生を防止するため、加熱炉での加熱温度を高めることな
く、また簡易な設備により、圧延機列内にて効率的に圧
延材の温度を均一化することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、圧延ロール出側のレストバー上に固定載置
された出口ガイドにおいて、圧延材通路に臨む加熱装置
が内設されていることを特徴とする棒線材用熱間圧延ラ
インにおける圧延機出口ガイドである。本発明におい
て、前記加熱装置が、周波数3〜20kHz で加熱する誘
導加熱装置であることが好ましく、さらに、前記出口ガ
イドの一部または全部が、非磁性金属材料で構成されて
いることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明装置の例を図1および図2
に示す。図1は、圧延機列内の図5のような圧延スタン
ド2に本発明の出口ガイド5を設けた例を示し、圧延材
としての鋼材1の下半分が見えるように出口ガイド5の
一部を切り欠いた図としている。図2は図1のA−A矢
視拡大図であり、カリバー圧延によって鋼材1の直角断
面は菱形になっている。本発明装置は、図1のように、
圧延ロール3出側のレストバー7上に固定載置された出
口ガイド5において、圧延材通路に臨む加熱装置が内設
されている。
【0013】本例では加熱装置として誘導加熱装置を採
用し、出口ガイド5を前後に分割して、前側出口ガイド
5aと後側出口ガイド5bの間に、圧延材通路に臨む加
熱装置として該通路を囲むコイル9を配置し、前後の出
口ガイド5a,5bを連結具11で連結している。出口
ガイド5内にはガイド摺動路8があり、加熱対象の圧延
材通路は、前側ガイド摺動路8aと後側ガイド摺動8b
を結ぶ線上にある。コイル9は、鋼材1の先端通過時に
も鋼材1に接触しないように、前後の摺動路8a,8b
の内面よりも外側に位置するよう配置している。
【0014】圧延材としての鋼材1は、圧延ロール3で
圧延された後、前側出口ガイド5a内のガイド摺動路8
aを通り、コイル9内を通過する間に誘導加熱され、後
側出口ガイド5b内のガイド摺動路8bを通って導出さ
れ、図6のように樋6を経てつぎの圧延スタンド2に導
入される。誘導加熱は鋼材1の表面層を短時間で急速に
加熱することができ、本発明における加熱手段として最
適である。
【0015】圧延ロール3による抜熱で鋼材1の表面温
度が部分的に低下した部位は、出口ガイド5内にて実質
上最も早いタイミングで誘導加熱されるので、鋼材内部
からの復熱を期待する必要はなく、鋼材1は直角断面内
の温度分布が均一な状態で次の圧延ロール3に導入され
る。圧延材の表面層を効率よく加熱するための誘導加熱
条件としては、鋼材の場合、周波数を3kHz 〜20kHz
とするのがよい。3kHz 未満では鋼材内部も加熱され、
表面層を効率的に昇温できない。20kHz 超では加熱効
率が低下する。
【0016】加熱手段として誘導加熱を採用する場合、
より効率的に加熱するため、出口ガイド5の一部または
全部を非磁性金属材料で構成するのが好ましい。例えば
SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼製と
することができる。一部のみとする場合は、例えば出口
ガイド5a,5bのコイル9側の端部の部位を非磁性材
料とするのがよい。
【0017】本発明における加熱手段としては、誘導加
熱のほか、燃焼バーナ、電気ヒータ、直接通電加熱など
も採用することができる。図3および図4に燃焼バーナ
10を採用した例を示す。図3も、鋼材1の下半分が見
えるように出口ガイド5の一部を切り欠いた図としてい
る。このように出口ガイド5を前後に分割して、前側出
口ガイド5aと後側出口ガイド5bの間に、圧延材通路
に臨む加熱装置として該通路の上下に燃焼バーナ10を
配置している。バーナ10には酸素富化バーナを採用
し、O2 あるいはO2 富化空気と燃料を供給して燃焼さ
せ、鋼材1の表面を加熱する。その他は図1および図2
の例と同様である。
【0018】
【実施例】本発明例1:低炭素機械構造用鋼 JISC
20K(C含有量≦0.20%)の鋼材ビレットを、図
1および図2のような本発明装置を使用した圧延スタン
ドにより粗圧延した。圧延前のビレット断面は1辺が1
60mmの正方形であり、圧延後は菱形で、円相当直径が
140mmである。加熱炉によりビレットを1150℃に
加熱した後、粗圧延し、通材速度0.1m/sec で通過中
の鋼材1を、150kW、5kHz の条件で誘導加熱した。
後側出口ガイド5bを出た直後の鋼材1の表面温度は、
図5に示すように、1100〜1150℃であり、部分
的な粗大粒発生による組織不均一や寸法変動は認められ
ず、引続く連続圧延によっても表面疵は発生しなかっ
た。
【0019】従来例:誘導加熱を行わず、その他は上記
と同様にして粗圧延した結果、後側出口ガイド5bを出
た直後の鋼材1の表面温度は、図5に示すように、ロー
ル接触時間の長い部分(図2のc部)がA3 変態点を下
回る800℃以下となり、組織不均一、寸法変動が認め
られ、引続く連続圧延により表面疵の発生が認められ
た。
【0020】本発明例2:加熱炉でのビレット加熱温度
を1050℃まで低下させ、その他は上記本発明例1と
同様の条件で粗圧延し、引続き連続圧延した。その結
果、表面疵が発生することなく安定操業ができた。ビレ
ット加熱温度を1150℃から1050℃に低下させる
ことによる省エネ効果は85MJ/Tであった。以上、圧延
材の表面温度低下が特に問題となる粗圧延機を例にして
述べてきたが、本発明は粗圧延機に限定されるものでは
なく、必要に応じて中間圧延機等に適用してもよい。
【0021】
【発明の効果】本発明の採用により、例えば粗圧延にお
ける圧延ロールの抜熱による圧延材表面温度低下に起因
する材料組織の不均一や表面疵発生が防止され、圧延製
品の品質向上が達成される。そして、加熱炉での加熱温
度を高める必要がないので、スケール発生量増大による
歩留まり低下や、スケール起因の疵発生といった問題も
解消される。また省エネも達成される。さらに、出口ガ
イド5は、元来、圧延材の反りや曲りを矯正しつつガイ
ドするために、圧延スタンド2の基台に強固に設置され
たレストバー7に固定されており、加熱手段を容易に安
定的に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の例を示す説明図である。
【図2】本発明装置の例を示し、図1のA−A矢視説明
図である。
【図3】本発明装置の別の例を示す説明図である。
【図4】本発明装置の別の例を示し、図3のB−B矢視
説明図である。
【図5】実施例における鋼材の温度変化を示すグラフで
ある。
【図6】本発明の対象となる圧延ラインの一部の例を示
す説明図である。
【図7】従来装置の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…鋼材 2…圧延スタンド 3…圧延ロール 4…入口ガイド 5…出口ガイド 6…樋 7…レストバー 8…ガイド摺動路 9…コイル 10…燃焼バーナ 11…連結具

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延ロール出側のレストバー上に固定載
    置された出口ガイドにおいて、圧延材通路に臨む加熱装
    置が内設されていることを特徴とする棒線材用熱間圧延
    ラインにおける圧延機出口ガイド。
  2. 【請求項2】 前記加熱装置が、周波数3〜20kHz で
    加熱する誘導加熱装置であることを特徴とする請求項1
    記載の棒線材用熱間圧延ラインにおける圧延機出口ガイ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記出口ガイドの一部または全部が、非
    磁性金属材料で構成されていることを特徴とする請求項
    2記載の棒線材用熱間圧延ラインにおける圧延機出口ガ
    イド。
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