JP2001297430A - 磁気記録媒体用基板のレーザーゾーンテクスチャー加工方法、該方法を用いて製造した磁気記録媒体用基板および該基板を用いた磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用基板のレーザーゾーンテクスチャー加工方法、該方法を用いて製造した磁気記録媒体用基板および該基板を用いた磁気記録媒体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 LZT加工方法において、良好なCSS性能
を保証するLZT加工方法を提供すること。 【解決手段】 アルミ合金材にニッケル−リンメッキを
施した磁気記録媒体用基板の表面にレーザー光で微細な
凹凸を形成するレーザーゾーンテクスチャー加工方法に
おいて、前記基板表面におけるX線光電子スペクトルの
ニッケル由来のピーク全体の面積に占めるニッケル酸化
物のピーク面積の割合で定義される表面の酸化度を、酸
化度を制御する工程により30%以上かつ60%以下に
制御した後、前記基板表面上に、前記レーザーゾーンテ
クスチャー加工を行うことを特徴とする磁気記録媒体用
基板のLZT加工方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハードディスクに用
いる磁気記録媒体用基板のレーザーゾーンテクスチャー
(LZT)加工方法に関する。さらに、本発明は、該加
工方法によってLZTを施された磁気記録媒体用基板、
並びに該基板を使用した磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータの高性能化、お
よびアプリケーションソフトの高機能化、大容量化にと
もなって、現在では、外部記録装置、特にハードディス
ク装置はパーソナルコンピュータの必須の記憶装置とな
っている。
【0003】ハードディスク装置の記憶密度は年率60
%以上の割合で増加し、商用レベルでは5.7Gbit
/in2が達成され、研究室レベルでは16Gbit/
in2が確認されている。記憶密度を上げるためには、
磁気ヘッドを出来る限り磁気記録媒体表面に接近させる
必要がある。そこで、現在では、ほとんどの装置でディ
スク停止時にヘッドが着地し、始動とともに離陸するCo
ntact Start Stop(CSS)方式が採用されている。C
SS方式では.ディスク停止時にスライダーが媒体に付
着(スティクション)し、最悪の場合トルク不足でディ
スクが起動出来なくなるのを防止する必要がある。この
ため.通常、スライダーが離着陸する部分(CSSゾー
ン)にレーザーで微細な凹凸を形成(LZT加工)し
て、スライダーと磁気記録媒体とが密着しないようにし
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】LZT加工方法は規則
正しく整列したバンプ列を容易に形成できるという利点
がある。しかしながら記憶密度の上昇に伴うヘッドの高
さの低下により、バンプの高さ、形状、密度等を厳密に
管理することが求められるようになってきた。中でもバ
ンプ高さの制御は重要であり、十分なCSS性能を得る
ためにはバンプ高さの目標値に対して誤差を極力小さく
することが不可欠である。
【0005】ここで問題となるのは、バンプ高さがレー
ザー光のエネルギーや集光径といった、容易に制御でき
るパラメータだけでなく、磁気記録媒体用基板の製造条
件や環境により複雑に変化する基板表面の化学的特性に
大きく依存する点である。
【0006】このように、LZT加工方法においては、
磁気記録媒体用基板に、誤差の少ないLZT加工を行う
ことが困難であった。
【0007】従って、本発明の目的は、LZT加工方法
において、良好なCSS性能を保証するLZT加工方法
を提供することにある。
【0008】また、本発明は、上記LZT加工方法によ
りLZT加工を施した磁気記録媒体用基板を提供する。
【0009】さらに本発明は、本発明の上記磁気記録媒
体用基板を用いた磁気記録媒体を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、磁気記録媒
体用基板の表面の酸化度に着目し、上記目的を達成し
た。
【0011】すなわち、本発明の第一は、アルミ合金材
にニッケル−リン(Ni−P)メッキを施した磁気記録
媒体用基板の表面にレーザー光で微細な凹凸を形成する
レーザーゾーンテクスチャー加工方法において、前記基
板表面におけるX線光電子スペクトルのニッケル由来の
ピーク全体の面積に占めるニッケル酸化物のピーク面積
の割合で定義される表面酸化度を、酸化度を制御する工
程により30%以上かつ60%以下に制御した後、前記
基板表面上に、前記レーザーゾーンテクスチャー加工を
行うことを特徴とする磁気記録媒体用基板のLZT加工
方法に関する。
【0012】さらに詳細には、本発明は、磁気記録媒体
用基板の表面にレーザー光で微細な凹凸を形成するレー
ザーゾーンテクスチャー加工方法において、アルミ合金
材にニッケル−リンメッキを施すメッキ工程、該メッキ
されたアルミ合金材にポリッシュおよびテクスチャーを
施すポリッシュ−テクスチャー工程、洗浄工程、前記基
板表面におけるX線光電子スペクトルのニッケル由来の
ピーク全体の面積に占めるニッケル酸化物のピーク面積
の割合で定義される表面酸化度を30%以上かつ60%
以下に制御する工程、およびレーザーゾーンテクスチャ
ー加工を行うレーザーゾーンテクスチャー加工工程の各
工程を具備することを特徴とするレーザーゾーンテクス
チャー加工方法である。
【0013】本発明の一態様では、前記表面酸化度を3
0%以上かつ60%以下に制御する工程は、前記基板を
大気中に24時間以上放置することにより行われる。
【0014】さらに、他の態様では、前記表面酸化度を
30%以上かつ60%以下に制御する工程は、前記基板
を紫外線照射することにより行われる。
【0015】また、本発明の他の態様では、前記表面の
酸化度を30%以上かつ60%以下に制御する工程は、
前記基板をオゾン処理することにより行われる。
【0016】さらに、本発明の他の態様では、前記表面
の酸化度を30%以上かつ60%以下に制御する工程
は、前記基板を温水処理することにより行われる。
【0017】本発明の第二は、アルミ合金材上にNi−
Pメッキを施し、さらにレーザーゾーンテクスチャー加
工を施した磁気記録媒体用基板であって、基板表面にお
けるX線光電子スペクトルのニッケル由来のピーク全体
の面積に占めるニッケル酸化物のピーク面積の割合で定
義される表面酸化度を30%以上かつ60%以下に制御
した後にレーザーゾーンテクスチャー加工を施すことを
特徴とする磁気記録媒体用基板に関する。
【0018】また、本発明の第三は、基板上に、少なく
とも磁性層、保護層および液体潤滑層が形成されている
磁気記録媒体であって、前記基板が本発明のレーザーゾ
ーンテクスチャー加工方法によりレーザーゾーンテクス
チャー加工が施された前記磁気記録媒体用基板であるこ
とを特徴とする磁気記録媒体に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】上述したように、バンプ高さは、
磁気記録媒体用基板の表面の化学的特性に大きく依存す
る。特に、磁気記録媒体用基板の表面の酸化はLZT加
工方法によるバンプの形成に大きく影響すると考えられ
るが、そのメカニズムは明確ではない。
【0020】そこで、本発明者は、磁気記録媒体用基板
の表面の酸化がLZTにどのように影響するかを詳細に
研究した。その結果を以下に説明する。磁気記録媒体用
基板の製造工程において、Ni−Pメッキの表面酸化度
は、メッキ後のポリッシュ工程、あるいは薬液洗浄工程
等により大きく変化する。表面酸化度が変化することに
より、これらの工程に続くLZT加工工程で加工された
バンプ高さ(BH)、およびバンプ径(BD)が変動す
る。
【0021】以下に、表面酸化度とBHおよびBDの関
係を検討した結果を述べる。以下に述べる検討では、ア
ルミ合金材にNi−Pメッキを施し、ポリッシュおよび
テクスチャー加工を施し、酸洗浄を施した後に所定の処
理を行うか、または酸洗浄を行わずに所定の処理を行う
ことにより酸化度を調節して、LZT加工を施した磁気
記録媒体用基板を使用した。
【0022】所定の処理として種々の方法を採用し、酸
化度を変化させてBHおよびBDを測定した。以下に図
面を参照しながら説明する。
【0023】なお、本明細書において、酸化度または表
面酸化度とは、アルミ合金材上にNi−Pのメッキを施
した磁気記録媒体用基板の表面において、X線光電子ス
ペクトル(XPS)を測定した場合、ニッケルに由来す
る全てのピークの面積を合計したピーク面積に対する、
ニッケル酸化物のピーク面積の割合で定義される値をい
う。すなわち、酸化度または表面酸化度は、下式で表さ
れる値をいう。
【0024】
【数1】
【0025】図1は、所定の処理が大気中に放置するこ
とである場合の表面酸化度の変化を示す。Ni−Pメッ
キ基板を酸で洗浄すると、酸化被膜は酸溶液中に溶出し
て除去される。図1からわかるように、酸洗浄により低
下した表面酸化度が大気中で再び増加する。表面の酸化
度は酸洗浄直後は13%程度であるが、24時間放置し
た後は32%に達する。なお、酸洗浄は、弱酸溶液で1
から3分浸漬した。その後、0から24時間放置した。
酸化度と、放置時間との関係を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】酸洗浄した後、磁気記録媒体用基板を所定
時間放置してLZT加工を実施した。放置時間に対して
BH、およびBDをプロットすると図2のようになる。
図2が示すように、酸化度がほぼ30%以下の領域(放
置時間が0から8時間)では、BHは酸化度とともに増
加し、BDは逆に減少することがわかる(放置時間とバ
ンプ高さの関係を表1に示した)。
【0028】所定の処理が、紫外線処理、酸処理後放
置、温酸での処理、温水での処理などである場合につい
て、酸化度とBHおよびBDの関係を検討した。紫外
線、温水などで処理することにより、大気中で放置する
ことに比べ磁気記録媒体用基板の表面の酸化を促進する
ことができ、さらに酸化度の高い領域を含めてBHおよ
びBDと、酸化度との関係を検討することができる。ま
た、上記酸洗浄も行わず、Ni−Pメッキ後に放置した
場合も併せて検討した(未処理(白丸)および未処理
(黒四角))。検討の結果を図3および図4に示す。図
3はBHと酸化度との関係を表し、図4はBDと酸化度
との関係を表す。
【0029】それぞれの図において、異なる記号(白
丸、白四角、白三角、黒丸、黒四角、黒三角、黒菱形)
は、実験の条件が異なることを示している。従って、異
なる記号では、酸化度を変化させる手段が各々異なる。
【0030】「未処理」は、酸洗浄を行わず、Ni−P
メッキ後に放置して酸化度を変化させたものであり、酸
化度を促進または低下させるような手段を講じなかった
ものである。なお、未処理(白丸)と未処理(黒四角)
は、それぞれ、ロットが異なるのみである。「未処理」
の酸化度が40〜50%であることから、大気中では酸
化度はこの付近で飽和すると考えられる。
【0031】「酸処理後放置(黒三角)」では、酸洗浄
を行わず、基板に酸処理(弱酸溶液に1から3分浸漬)
を施し、その後基板を放置(2から24時間)した。
【0032】「UV処理(黒丸)」では、酸洗浄を行わ
ず、紫外線ランプにより基板に紫外線を照射(5から1
0分)した。
【0033】「温水処理(白三角)」では、酸洗浄を行
わず、温水(約40℃)により基板を処理(5から10
分浸漬)した。
【0034】「温酸処理後放置(白四角)」では、酸洗
浄を行わず、基板を温酸(約40℃の弱酸溶液に1から
3分浸漬)で処理し、その後基板を放置(2から24時
間)した。
【0035】「酸洗浄後放置(黒菱形)」では、酸洗浄
(弱酸溶液に1から3分浸漬)後の所定の処理におい
て、大気中に基板を放置(0から8時間)した。
【0036】上記表に示されるように、各処理方法は異
なり、さらに、LZT加工を施すためのレーザー照射
(ビーム径、エネルギー、他)についても各実験毎に異
なる条件を使用した。このためBHおよびBDの絶対値
のレベルは種々異なる。しかし、傾きに着目すると、酸
化度の低い領域では、BHは酸化度とともに増加し、中
間領域ではほぼ一定値を示し、さらに酸化度が増加する
とBHは逆に低下することがわかる。
【0037】ところで、図1の結果が示すように、酸化
度が低い場合、酸化の速度は速く、正確に評価するため
には少なくとも30分以内に分析を行う必要がある。し
かし図3および4中の酸処理(黒三角)、および温酸処
理(白四角)のデータはこの点の考慮が十分でなく、測
定までに時間を要した。従って、酸処理および温酸処理
のデータは、実際の酸化度に比べて、測定に時間がかか
った分より酸化した状態で測定されたと考えられる。こ
のため、図3および4では、これらのプロットはさらに
左(酸化度の低いところ)に位置し、酸化度は酸洗浄後
に放置した場合(黒菱形)のプロットと同じレベルにあ
ると考えられる。
【0038】以上の結果を考慮し、図3を考察すると、
BHは、酸化度30%以下では酸化度とともに増加し、
酸化度30〜60%ではほぼ一定、酸化度60%以上で
は酸化度とともに減少すると結論できる。
【0039】次に、図4を考察する。図4をBDと酸化
度との関係について傾きに着目すると、BDは全領域で
酸化度とともに低下することがわかる。
【0040】このように酸化度の増加に伴ってBHは一
旦増加した後減少し、BDは単調に減少することが明ら
かになった。
【0041】さらに、LZT加工を施す場合、基板表面
にレーザーを照射する。従って、レーザー照射に対する
基板の酸化被膜の影響もバンプ形成にとって重要であ
る。
【0042】基板表面の酸化がバンプの形成に及ぼす影
響として第一に考えなければならないのは反射率の変化
である。そこで、異なる酸化度の基板について反射率を
測定した。その結果、LZT加工に用いるレーザーの波
長領域(〜1μm)では、酸化度の違いによる反射率の
変化は1%以下であり、酸化度の違いはバンプ形成には
影響しないことがわかった。従って、以下では、レーザ
ー照射に対する酸化被膜の化学的な変化に着目して考察
を進める。
【0043】表面酸化度とバンプ形成の過程との関係を
解明するためには、酸化被膜がレーザーの照射によりど
のように変化するかを明らかにしなければならない。こ
の目的のために、アルミ合金材上にNi−Pメッキを施
した磁気記録媒体用基板にレーザーを照射し、レーザー
の照射部分と非照射部分をXPSで分析した。両部分の
組成を比較した結果を図5に示す。この図5の、Niの
2p軌道からの光電子スペクトルが示すように、非照射
部にはNi酸化物由来の高いピーク(矢印)が見られる
のに対し、照射部分ではそのピークが大きく低下してい
る。また、金属Ni由来のピークは、逆にレーザー照射
部で増大している。これはNi酸化物がレーザー照射に
よりNiに還元され、除去されたことを示している。N
i酸化物の還元は、Ni−Pメッキのリンによりなされ
たと考えることができる。そこで、そのような反応が熱
力学的に可能かどうかを検討した。
【0044】Ni−Pメッキ基板のNi酸化物は、Ni
O、Ni23、およびNi(OH) 2であることがわか
っている。このうちのNi23、およびNi(OH)2
は不安定で、レーザー照射の初期段階で分解してNiO
に変化すると考えられる。そこで以下ではNiOの反応
のみを考える。NiOは耐火物として用いられる安定な
化合物で、融点は2228Kであり、Niの融点172
6K、およびNi−Pの融点1153Kと比べてはるか
に高い。そのためレーザーの照射により最初にNi−P
メッキ層が融解し、その表面を固体のNiO薄膜が覆っ
た状態が形成されると考えられる。そこでこのような状
態でPとNiOとの反応が起きるかどうかを検討する。
反応式としては以下の4つを考える。
【0045】 NiO(s) + 0.4NiP(l) → 2.6Ni(s or l) + 0.1P4O10(g) (1) NiO(s) + 0.67Ni4P(l) → 3.67Ni(s or l) + 0.17P4O6(g) (2) NiO(s) + 0.5Ni4P(l) → 3Ni(s or l) + 0.5PO2(g) (3) NiO(s) + Ni4P(l) → 5Ni(s or l) + PO(g) (4) Ni−Pアモルファスの組成比は、ほぼNi:P=4:
1である。そこでNi−Pメッキ層の組成比もこれに近
いものとし、その溶融状態をNi4P(l)で表す。こ
れらの反応のGibbs自由エネルギー変化ΔGを計算
し、絶対温度Tとの関係を示したのが図6である。反応
が右に進む(正確には平衡定数が1より大きくなる)条
件はΔG<0である。図6からP46を生成する反応は
この温度領域全てにおいてΔG<0の条件を満たし、他
の反応についても高温領域ではΔG<0となることが分
かる。すなわちバンプ形成時においては、温度は150
0K以上になることを考えると、PによるNiOの還元
は容易に進行すると考えられる。
【0046】図7はV形状バンプのAFM画像のリム部
分を拡大したものである。図の右方向がバンプの底、最
も高い部分がリムの頂上に相当する。左端のテクスチャ
ーの筋目が見える所(0から1100nm付近)は溶融
に到らなかった部分、右端の滑らかな部分(4700n
m付近以上)はNi−Pが溶融し、かつNi酸化膜が除
去された部分と考えられる。これに対し、バンプの外側
斜面(約1100から約4700nm)に見られる凹凸
の激しい部分は、内部は溶融したものの酸化膜は除去し
きれなかった部分と考えられる。
【0047】以上のようにレーザー照射によりNi酸化
膜が除去されるものとして、そのことがバンプ形成にど
のように関わっているのか考察した。
【0048】図8はバンプ部分のNi酸化膜が除去され
た状態を模式的に示したものである。V形状バンプ形成
の駆動力はthermocapillary効果(表面張力が高温部分
より低温部分の方が大きいことにより液体表面が低温方
向に移動する)である。従ってNi−P融液が気体と接
した部分Aの表面付近の速度分布は、図8のAに示すよ
うに表面が最大で深さ方向に減少する。これに対しNi
酸化物が残っている部分Bは、固液界面において速度が
ゼロとなる(図8のB)。そして液の動きは固体側を流
れの方向に押すように作用し、液側には逆向きの力が働
く。この力がBHを高くかつBDを小さくすると考える
ことができる。
【0049】上述の考察から、酸化度(Ni酸化被膜の
量)とBHおよびBDとの関係を考察すると、酸化の程
度が比較的低い領域では、酸化度の増加とともに、BH
が増加してBDが減少する。しかしさらに酸化が進む
(酸化度が高くなる)と、酸化膜で覆われる部分が大き
くなることにより、thermocapillary効果自体が抑制さ
れてBHとBDがいずれも減少すると考えられる。この
ような考察によれば、酸化度の増加に伴ってBHは一旦
増加した後減少し、BDは単調に減少すると考えること
ができる。これは、先に観察した図2から4の結果と一
致する。
【0050】以上、本発明者は基板の表面酸化とバンプ
形成の過程との関係を明らかにするとともに、実用上重
要な知見を得た。すなわち図3が示すように、酸化度3
0〜60%の領域ではBHは酸化度の影響を受け難い。
本発明はこの知見に基づくものであり、LZT加工を行
う前に基板の表面酸化度をこの領域に制御したうえでL
ZT加工を行う。従って、本発明による方法ではBHに
及ぼす基板表面酸化度の影響を最小限に止めることがで
きて、安定したLZT加工が可能となる。
【0051】以上のように、本発明に従えば、アルミ合
金材上にNi−Pメッキを施した磁気記録媒体用基板の
表面の酸化度を制御することにより、安定したLZT加
工を行うことができる。
【0052】また図1によれば磁気記録媒体用基板を大
気中に24時間以上放置すると、酸化度は30%以上の
安定領域に達する。従って本発明の第一の態様では.基
板を24時間以上大気中に放置することにより酸化度を
制御する。
【0053】さらに、本発明の第二の態様では、磁気記
録媒体用基板を紫外線で処理し、酸化度を30%以上か
つ60%以下に制御する。
【0054】また、第三の態様では、磁気記録媒体用基
板をオゾンで処理し、酸化度を30%以上かつ60%以
下に制御する。
【0055】さらに、第四の態様では、磁気記録媒体用
基板を温水で処理し、酸化度を30%以上かつ60%以
下に制御する。
【0056】本発明をさらに具体的に説明すると、本発
明のLZT加工方法は、以下の各工程を具備する。
【0057】(a)アルミ合金材にニッケル−リンメッ
キを施すメッキ工程、(b)該メッキされたアルミ合金
材基板にポリッシュおよびテクスチャーを施すポリッシ
ュ−テクスチャー工程、(c)洗浄工程、(d)前記基
板表面におけるX線光電子スペクトルのニッケル由来の
ピーク全体の面積に占めるニッケル酸化物のピーク面積
の割合で定義される表面の酸化度を30%以上かつ60
%以下に制御する酸化度制御工程、および(e)レーザ
ーゾーンテクスチャー加工を行うレーザーゾーンテクス
チャー加工工程。
【0058】上記工程(a)は、アルミ合金のブランク
材にNi−Pメッキを施す工程である。アルミ合金のブ
ランク材は、ハードディスク等に通常使用されるもので
ある。例えば、加熱溶融したアルミ合金材料を圧延、加
熱焼鈍した後、規定の寸法に加工が行われたアルミ合金
のブランク材を使用することができる。次に、表面精度
向上のために、このアルミ合金のブランク材をポリッシ
ュ加工して表面を研磨し、Ni−Pメッキを施す。メッ
キは無電解メッキにより行われる。Ni−Pメッキの厚
さは、通常の磁気記録媒体に適用される厚さであれば特
に限定されないが、例えば13μmの厚さとすることが
できる。
【0059】工程(b)は、上記工程(a)で得られた
磁気記録媒体用基板に、ポリッシュおよびテクスチャー
を施し、表面を研磨加工する工程である。
【0060】ポリッシュ−テクスチャー工程では、例え
ば、ポリッシュにより表面粗さがRa=1nm(10
Å)になるように研磨することにより行われる。次い
で、ダイヤモンドスラリーを使用したテクスチャーによ
り、ほぼ同心円状の溝を、表面粗さが例えばRa=30
Åになるように作製する。
【0061】工程(c)は、工程(b)で得られた基板
を洗浄する工程である。洗浄方法は磁気ディスク用基板
の洗浄で通常用いられているものであれば、特に限定さ
れないが、本発明ではNi−Pメッキ層のニッケル酸化
物の量を後述する工程(d)で制御するため、酸洗浄を
行うことが好ましい。洗浄は、浸漬法、浸漬振動法、ス
プレー法など、当分野で用いられる何れの手段で行って
もよい。また、洗浄時間は、洗浄の手段によって異なる
が、1から3分が好ましい。
【0062】工程(d)は、工程(c)で得られた基板
の表面酸化度を30%以上かつ60%以下に制御する工
程(酸化度制御工程)である。
【0063】本明細書において、酸化度制御工程とは、
アルミ合金材上にNi−Pメッキを施した磁気記録媒体
用基板の表面酸化度を30%以上かつ60%以下に制御
する何れかの処理、方法、または工程をいう。
【0064】本発明の第一の態様では、基板を24時間
以上の大気中に放置することにより酸化度を制御する。
【0065】さらに、本発明の第二の態様では、磁気記
録媒体用基板を紫外線で処理し、酸化度を制御する。紫
外線の照射は、例えば紫外線ランプにより、約5分から
10分行うことが好ましい。この範囲であれば、酸化度
を30%以上かつ60%以下に調節できる。
【0066】また、第三の態様では、磁気記録媒体用基
板をオゾンで処理し、酸化度を制御する。この態様で
は、磁気記録媒体用基板を、オゾン雰囲気下に、例えば
1分から2分放置することにより酸化度を30%以上か
つ60%以下に調節できる。
【0067】さらに、第四の態様では、磁気記録媒体用
基板を温水で処理し、酸化度を制御する。この態様で
は、約40℃の超純水に工程(c)で得られた基板を浸
漬し、酸化度を30%以上かつ60%以下に調節する。
浸漬は、約5分から10分であることが好ましい。
【0068】上記第二の態様から第四の態様では、大気
中放置方式(第一の態様)の場合より短時間で所定の酸
化度を得ることができる。
【0069】工程(e)は、レーザー照射により、基板
上にLZT加工を行う工程である。LZT加工は、当分
野で周知の方法により行うことができる。例えば、工程
(d)で酸化度を調節した磁気記録媒体用基板のCSS
ゾーンに、所定のバンプ高さおよびバンプ径(例えばB
H=23nmおよびBD=7μm)が施されるように、
レーザーによりレーザーゾーンテクスチャーを施す。
【0070】上記各工程により、BHおよびBDのばら
つきの少ないレーザーゾーンテクスチャ加工を行うこと
ができる。
【0071】本発明の第二は、上記第一の発明で説明し
たようなレーザーゾーンテクスチャー加工を施した磁気
記録媒体用基板である。
【0072】本発明の磁気記録媒体用基板は、アルミ合
金材上に、Ni−Pメッキを施し、次いで、表面の酸化
度を30%以上かつ60%以下に制御し、この後この表
面上にレーザーゾーンテクスチャー加工を施したことを
特徴とする基板である。
【0073】本発明の磁気記録媒体用基板は、Ni−P
メッキを施したアルミ合金材基板上の表面酸化度を30
%以上かつ60%以下に制御して、レーザーゾーンテク
スチャー加工を施すため、バンプの高さのばらつきのな
い優れた基板である。
【0074】本発明の磁気記録媒体用基板は、上記第一
の発明で説明した上記工程(a)から(e)と同様の工
程により製造することができる。各工程は、先に説明し
た通りである。
【0075】本発明の第三は、上記第二の発明の磁気記
録媒体用基板を使用した磁気記録媒体に関する。
【0076】図9に本発明の磁気記録媒体の一態様を示
す。図9は、本発明の磁気記録媒体の構造断面図であ
る。
【0077】本発明では、上記第一の発明で得られた磁
気記録媒体用基板を使用する。該基板は、アルミ合金材
1、および、非磁性金属層2である酸化度が制御された
Ni−P層からなる。本発明では、この上に、非磁性下
地層3、磁性層4、保護層5および液体潤滑層6を順次
形成し、磁気記録媒体とする。非磁性下地層3、磁性層
4、保護層5および液体潤滑層6は、従来から使用され
ている材料を使用することができる。具体的には、非磁
性下地層3は、例えばCrよりなる下地層であり、磁性
層4はCo合金、例えば強磁性合金であるCo−Cr−
Pt、Co−Cr−Taなどであり、保護層5は、例え
ばカーボン保護層などであり、更に液体潤滑層6はパー
フルオロポリエーテル系潤滑剤のようなフッ素系潤滑剤
等である。
【0078】本発明の磁気記録媒体を図9により説明し
たが、この構造は一例であり、磁気記録媒体の目的に応
じて種々の変更が可能である。また、形状は本発明の磁
気記録媒体を使用する機器に合わせることができ、特に
限定されない。例えば、HDDに使用されるような磁気
記録媒体であれば図9に示したように円盤状の磁気記録
媒体であればよい。
【0079】次に、この磁気記録媒体の製造方法につい
て説明する。
【0080】この製造方法では、磁気記録媒体用基板
は、上記第二の発明で説明した基板を使用する。
【0081】すなわち、本発明の磁気記録媒体の製造方
法は、アルミ合金材上にNi−Pメッキを施した磁気記
録媒体用の基板上に少なくとも磁性層、保護層および液
体潤滑層を形成する工程を具備し、前記基板が、酸化度
を30%以上かつ60%以下に調節した後、レーザーゾ
ーンテクスチャー加工されていることを特徴とする。
【0082】より具体的には、本発明の磁気記録媒体の
製造方法は、磁気記録媒体用基板を得る工程、該基板上
に少なくとも磁性層、保護層および液体潤滑層を形成す
る工程を有し、前記基板を得る工程が、(a)アルミ合
金材にニッケル−リンメッキを施す工程、(b)該メッ
キされたアルミ合金材基板にポリッシュおよびテクスチ
ャーを施す工程、(c)洗浄を行う工程、(d)前記基
板表面におけるX線光電子スペクトルのニッケル由来の
ピーク全体の面積に占めるニッケル酸化物のピーク面積
の割合で定義される表面の酸化度を30%以上かつ60
%以下に制御する工程、および(e)レーザーゾーンテ
クスチャー加工を行う工程とを具備することを特徴とす
る。
【0083】上記(a)から(e)の各工程は、第一の
発明で説明した工程(a)から(e)と同様であり、各
工程は、第一の発明で説明したとおりの内容である。
【0084】この基板の上面に磁気記録を可能とする層
構造を積層する。この積層工程では、上述の(a)から
(e)の工程で得られた磁気記録媒体用基板上に非磁性
下地層3をコートし、その上に磁性層4および保護層5
を順次形成する。この後、溶媒で希釈した潤滑剤を前記
保護層5の表面に塗布する。
【0085】本発明では、前記非磁性下地層3および前
記磁性層4は、当分野で一般に使用される材料を用いる
ことができる。例えば、非磁性層としてCr層を用いる
ことができ、前記磁性層4としてCo−Cr−Pt合金
層を用いることができる。
【0086】非磁性下地層3、磁性層4および保護膜5
は、これらが例えばCr非磁性下地層、Co−Cr−P
t磁性合金層およびカーボン保護膜である場合、スパッ
タ法によって形成することができる。また、保護層5が
カーボン保護層である場合、通常のグラファイトを主体
としたカーボン保護層であってもDLC保護層であって
もよい。また、潤滑層6は、ディップコート法、スピン
コート法等により塗布することができる。
【0087】これらの非磁性下地層3、磁性層4、保護
層5および潤滑層5の厚さは通常の磁気記録媒体で用い
られる厚さである。なお、上記の構成は本発明を限定す
るものではない。
【0088】
【実施例】以下に図を参照しながら、実施例に基づき本
発明をさらに詳細に説明する。
【0089】実施例1 本実施例は、アルミ合金材上にNi−Pメッキを施した
基板を24時間以上、大気中に保管することにより、酸
化度を30〜60%に制御した上でLZT加工を行う例
である。
【0090】図10は本実施例で基板にレーザーゾーン
テクスチャー加工を施す場合の各工程を示す概略図であ
る。
【0091】アルミブランク材にポリッシュを行い、表
面処理を行った後、メッキ工程でNi−Pの無電解メッ
キを施した(11)。この無電解メッキにより13μm
の厚さのNi−P層を形成した。次に、ポリッシュ−テ
クスチャー工程(図ではポリッシュ+テクスチャー工程
と表示した。)(12)で、メッキした表面の処理を行
った。この処理では、ポリッシュにより、表面の粗さが
Ra=1nmとなるように研磨し、次いでダイヤモンド
スラリーを使用たテクスチャーにより、表面粗さが、R
a=3nmになるようにほぼ同心円状の溝を作製した。
次に、弱酸溶液による薬液洗浄(13)を行った。薬液
洗浄は、2分間行った。
【0092】洗浄後24時間以上大気中に保管(14)
し、酸化度を所定の30〜60%に制御した。
【0093】得られた基板に、レーザー(Nd:YVO
4レーザー、波長1.06μm、パルスエネルギー0.
2μJ)を照射し、LZT加工を施した。
【0094】実施例2 本実施例は、酸化度の調節を紫外線処理により行う例で
ある。
【0095】図11は、本実施例により基板にレーザー
ゾーンテクスチャー加工を施す場合の各工程を示す概略
図である。本実施例では、大気中で保管する工程(1
4)を、紫外線処理(16)に変更したこと以外、実施
例1と同様である。
【0096】紫外線処理は、薬液洗浄(13)を行った
基板を、紫外線ランプにより5から10分間照射して行
った。この照射時間であれば、表面酸化度を30〜60
%に制御することができる。
【0097】得られた基板に、レーザー(Nd:YVO
4レーザー、波長1.06μm、パルスエネルギー0.
2μJ)を照射し、LZT加工を施した。
【0098】実施例3 本実施例は、酸化度の調節をオゾン処理により行う例で
ある。
【0099】図12は、本実施例により基板にレーザー
ゾーンテクスチャー加工を施す場合の各工程を示す概略
図である。本実施例では、大気中で保管する工程(1
4)を、オゾン処理(17)に変更したこと以外、実施
例1と同様である。
【0100】オゾン処理は、薬液洗浄(13)を行った
基板を、オゾン雰囲気下に1から2分間放置して行っ
た。この放置時間であれば、表面酸化度を30〜60%
に制御することができる。
【0101】得られた基板に、レーザー(Nd:YVO
4レーザー、波長1.06μm、パルスエネルギー0.
2μJ)を照射し、LZT加工を施した。
【0102】実施例4 本実施例は、酸化度の調節を温水処理により行う例であ
る。
【0103】図13は、本実施例により基板にレーザー
ゾーンテクスチャー加工を施す場合の各工程を示す概略
図である。本実施例では、大気中で保管する工程(1
4)を、温水処理(18)に変更したこと以外、実施例
1と同様である。
【0104】温水処理は、薬液洗浄(13)を行った基
板を、40℃の温水に5から10分間浸漬することによ
り行った。この放置時間であれば、表面酸化度を30〜
60%に制御することができる。
【0105】得られた基板に、レーザー(Nd:YVO
4レーザー、波長1.06μm、パルスエネルギー0.
2μJ)を照射し、LZT加工を施した。
【0106】比較例 酸化度とバンプ高さの関係を示した図3によれば、酸化
度が30%未満ではバンプ高さは酸化度とともに増加
し、酸化度が60%を越えるとバンプ高さは酸化度とと
もに減少した。従って、酸化度が30%未満または60
%より高い場合、上記実施例に比べ、バンプ高さのばら
つきは大きく、酸化度の影響が大きい。
【0107】磁気記録媒体の製造 上記操作により得られた基板を用いて、以下の成膜法に
より磁気記録媒体を作成した。
【0108】実施例1から4で得られた基板に、スパッ
タ法を用いて、Cr下地層、Co−Cr−Pt系磁性
層、カーボン保護層を順次形成した。得られたディスク
のカーボン保護層上にディップコート法によりフッ素系
液体潤滑剤(フォンブリンZ−DOL(商品名)(アウ
ジモント社製))を塗布し、磁気記録媒体を得た。
【0109】
【発明の効果】本発明によるLZT加工方法では、基板
の表面酸化の影響が最小限におさえられるため、バンプ
高さのバラツキが小さく、良好なCSS性能を保証する
LZT加工が可能となる。
【0110】さらに、本発明に従えば、本発明の磁気記
録媒体用基板は、バンプ高さのバラツキが小さく、良好
なCSS性能を有する磁気記録媒体用基板を提供でき
る。
【0111】また、本発明によれば、本発明の磁気記録
媒体用基板を使用することにより、トルク不足でディス
クが起動出来なくなるのを防止できる磁気記録媒体が提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、磁気記録媒体用基板を酸洗浄した後の
表面酸化度の時間変化を示すグラフである。
【図2】図2は、磁気記録媒体用基板を酸洗浄し、所定
時間放置した後にレーザーゾーンテクスチャー加工を施
した場合のバンプ高さおよびバンプ径の変化を示すグラ
フである。
【図3】図3は、磁気記録媒体用基板を所定の処理をし
た後、レーザーゾーンテクスチャー加工を施した場合
の、酸化度とバンプ高さの関係を示すグラフである。
【図4】図4は、磁気記録媒体用基板を所定の処理をし
た後、レーザーゾーンテクスチャー加工を施した場合
の、酸化度とバンプ径の関係を示すグラフである。
【図5】図5は、レーザー照射によるニッケル酸化物の
変化をXPS法により測定した結果を示す図である。
(a)はレーザー未照射部の結果であり、(b)はレー
ザー照射部の結果である。
【図6】図6は、リンとNiOとの反応のGibbs自由エ
ネルギー変化(ΔG)と、絶対温度Tとの関係を表すグ
ラフである。
【図7】図7は、V形状バンプのAFM画像のリム部の
拡大図である。
【図8】図8は、バンプ部分のニッケル酸化膜が除去さ
れた状態を表す概略図である。AはNi−P融液が気体
と接した部分の速度分布を表す図であり、BはNi酸化
物が残っている部分の速度分布を表す図である。
【図9】図9は、磁気記録媒体の断面図を表す概略図で
ある。
【図10】図10は、本発明の第一の態様により基板に
レーザーゾーンテクスチャー加工を施す場合の工程を示
す概略図である。
【図11】図11は、本発明の第二の態様により基板に
レーザーゾーンテクスチャー加工を施す場合の工程を示
す概略図である。
【図12】図12は、本発明の第三の態様により基板に
レーザーゾーンテクスチャー加工を施す場合の工程を示
す概略図である。
【図13】図13は、第四の態様により基板にレーザー
ゾーンテクスチャー加工を施す場合の工程を示す概略図
である。
【符号の説明】
1 アルミ合金材 2 Ni−P層 3 非磁性下地層 4 磁性層 5 保護層 6 液体潤滑層 11 メッキ工程 12 ポリッシュ−テクスチャー工程 13 薬液洗浄工程 14 大気中保管工程 15 LZT加工工程 16 紫外線処理工程 17 オゾン処理工程 18 温水処理工程。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 8/12 C23C 8/12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ合金材にニッケル−リンメッキを
    施した磁気記録媒体用基板の表面にレーザー光で微細な
    凹凸を形成するレーザーゾーンテクスチャー加工方法に
    おいて、前記基板表面におけるX線光電子スペクトルの
    ニッケル由来のピーク全体の面積に占めるニッケル酸化
    物のピーク面積の割合で定義される表面酸化度を、酸化
    度制御工程により30%以上かつ60%以下に制御した
    後、前記基板表面上に、前記レーザーゾーンテクスチャ
    ー加工を行うことを特徴とする磁気記録媒体用基板のレ
    ーザーゾーンテクスチャー加工方法。
  2. 【請求項2】 磁気記録媒体用基板の表面にレーザー光
    で微細な凹凸を形成するレーザーゾーンテクスチャー加
    工方法において、 アルミ合金材にニッケル−リンメッキを施すメッキ工
    程、 該メッキされたアルミ合金材にポリッシュおよびテクス
    チャーを施すポリッシュ−テクスチャー工程、 洗浄工程、 前記基板表面におけるX線光電子スペクトルのニッケル
    由来のピーク全体の面積に占めるニッケル酸化物のピー
    ク面積の割合で定義される表面酸化度を30%以上かつ
    60%以下に制御する、酸化度制御工程、およびレーザ
    ーゾーンテクスチャー加工を行うレーザーゾーンテクス
    チャー加工工程の各工程を具備することを特徴とするレ
    ーザーゾーンテクスチャー加工方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のレーザーゾー
    ンテクスチャー加工方法において、前記酸化度制御工程
    が、前記基板を大気中に24時間以上放置することによ
    り行われることを特徴とするレーザーゾーンテクスチャ
    ーの加工方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載のレーザーゾー
    ンテクスチャー加工方法において、前記酸化度制御工程
    が、前記基板を紫外線照射することにより行われること
    を特徴とするレーザーゾーンテクスチャー加工方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のレーザーゾー
    ンテクスチャー加工方法において、前記酸化度制御工程
    が、前記基板をオゾン処理することにより行われること
    を特徴とするレーザーゾーンテクスチャー加工方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載のレーザーゾー
    ンテクスチャー加工方法において、前記酸化度制御工程
    が、前記基板を温水処理することにより行われることを
    特徴とするレーザーゾーンテクスチャー加工方法。
  7. 【請求項7】 アルミ合金材上にニッケル−リンメッキ
    を施し、さらにレーザーゾーンテクスチャー加工を施し
    た磁気記録媒体用基板であって、基板表面におけるX線
    光電子スペクトルのニッケル由来のピーク全体の面積に
    占めるニッケル酸化物のピーク面積の割合で定義される
    表面酸化度を30%以上かつ60%以下に制御した後に
    前記レーザーゾーンテクスチャー加工を施すことを特徴
    とする磁気記録媒体用基板。
  8. 【請求項8】 基板上に、少なくとも磁性層、保護層お
    よび液体潤滑層が形成されている磁気記録媒体であっ
    て、前記基板が請求項7に記載の磁気記録媒体用基板で
    あることを特徴とする磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010240974A (ja) * 2009-04-06 2010-10-28 Canon Inc 弾性ローラの製造方法
JP2013204054A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Nisshin Steel Co Ltd 化成処理Zn系めっき鋼板の製造方法、それによって得られる化成処理Zn系めっき鋼板、および塗装Zn系めっき鋼板

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