JP2001295001A - 高周波磁気特性および溶接性に優れる無方向性電磁鋼板 - Google Patents
高周波磁気特性および溶接性に優れる無方向性電磁鋼板Info
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Abstract
波磁気特性を獲得した無方向性電磁鋼板において、その
使用時に問題となる溶接性を改善する方途について提案
する。 【構成】 Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及びSi:2.
5 mass%以上10mass%以下を含有し、C及びNを合計量
で100 ppm 以下に低減し、残部は鉄及び不可避的不純物
の成分組成に成り、かつ比抵抗が60μΩcm以上である無
方向性電磁鋼板において、3次元表面粗さが中心面平均
粗さ SRaで0.15〜0.50μm 、中心面における切断面面積
率が80%以下、中心面により切断された単位面積1mm2
当たりの凸部の個数が50以上である、鋼板表面に、C量
が0.4 g/m2 以下の絶縁被膜を形成する。
Description
る無方向性電磁鋼板、特に商用周波数よりも高い周波数
において用いる場合に良好な磁気特性を有し、また溶接
性に優れる無方向性電磁鋼板に関する。
料として知られていて、主にSi量が3.5 mass%以下の電
磁鋼板として商用周波数用の各種鉄心を中心に多用され
ている。しかし、使用周波数が商用周波数よりも高い場
合には、かかるSi量3.5 mass%以下の電磁鋼板では鉄損
が大きくなる不利がある。そのため、このような商用周
波数よりも高い周波域での鉄損特性を改善するために
は、更に電気抵抗の高い材料が求められている。
増大するから、上記のような高周波域での鉄損を低減す
る上で好都合である。しかし、その一方で、Si量が3.5
mass%を超えると、合金が極めて硬く脆くなり、加工性
が劣ってしまうので圧延による製造、加工が困難とな
る。特にSi量が5.0 mass%を超える場合には、冷間加工
はもちろんのこと、温間加工も不可能になってしまう。
程度のSiを含有しても工業的に鋼板を製造できる技術と
しては、特開昭61−166923号公報に開示されて
いる低温強圧下の熱間圧延による方法、そして特開昭6
2−227078号公報に開示されているSiの拡散浸透
処理による方法が代表的である。
号公報に開示された技術は、合金としての脆性を見かけ
上改善すべく圧延組織の微妙な調整が必要とされ、製造
過程で厳密な制御を行うことから、工業的に安定して生
産するのは困難と推定される。一方、後者の特開昭62
−227078号公報に開示された技術では、特殊な拡
散浸透法を用いるため、工業的な製造を行う場合にはコ
ストにおいて極めて不利と考えられる。しかも、良好な
高周波磁気特性を得るために更に電気抵抗を上げるには
限界があるものの、Si量をこれらの方法で増量しても、
高々80μΩcmの水準までにとどまらざるを得ない。特
に、通常の工業的な圧延法で製造できる3.5 mass%以下
のSi量の場合、50μΩcm台までの比抵抗しか得られなか
った。また、これらのFe−Si合金は、耐食性が劣る点も
鉄心などの用途においては問題とされていた。
気抵抗を増大させる効果があり、しかもSi程は加工性を
劣化させないことから、Siの一部をAlで置換することに
より、加工性が改善されることが知られている。AlはSi
よりコスト高であり、磁束密度の減少が大きいなどの弱
点があるが、例えばSi:3 mass%、Al:0.7 mass%の組
成の鋼は、Si:3.7 mass%の組成の鋼よりも加工性、冷
延性が良好であり、磁気特性がほぼ同等である。
SiとAlとの合計量が4mass%以上になると、冷間圧延が
不能となり、更に、SiとAlとの合計量が6mass%を超え
る場合には、温間圧延も困難になっていた。しかも、こ
の場合も結局、工業的には60μΩcm未満の比抵抗しか得
られていなかった。
り高周波域での鉄損低減を図るよりも、本質的に加工性
の改善された新たな成分系に従う合金によって、高周波
域にわたる磁気特性と共に、加工性をも確保し、更に、
耐食性と低廉性を満たすことが望ましい。
−Al合金について、高い固有抵抗と合金の良好な加工性
の両立を達成すべく研究開発を行った末に、Crを共存さ
せることが有効であることの知見を得て、その成果を特
開平11−343544号公報に開示した。すなわち、
これまでは、Fe−Si合金やFe−Si−Al合金において、Cr
を添加するほど靱性は劣化すると考えられてきたが、Si
が3 mass%以上の含有量であっても、C及びNの含有量
を十分に低減した上で、一定量以上のCrを含有させるこ
とにより、むしろ高い靱性が得られること、またCrをSi
やAlとともに含有させることにより、電気抵抗の増大に
起因して高周波域での鉄損低減が実現されること、をそ
れぞれ見出した。これらは、特開平11−343544
号公報に開示している。特に、製造時の加工性が改善さ
れるならば、板厚の薄い鋼板とすることが可能となるか
ら、更なる高周波磁気特性の改善が期待できるのであ
る。
性能の向上が実現したが、無方向性電磁鋼板にはさらに
様々な性能が必要とされ、中でも無方向性電磁鋼板を回
転機器の鉄心として使用する場合、該鋼板を積層して端
面溶接を行う際の溶接性の改善が重要な課題となってい
る。すなわち、回転機器の鉄心として使用される無方向
性電磁鋼板は、磁気特性に優れるだけでなく、量産性の
観点から良好な打抜性も要求され、この要請を満たすた
めに一般に有機樹脂を含む絶縁被膜が被成される。しか
しながら、この被膜は、溶接時に有機樹脂から発生する
多量のガスに起因してブローホールが発生するなど溶接
性の点に問題を残していた。
20 Hr.m.s.μinch以上の表面粗さを付与したのち、有機
質被膜を被成する方法(特公昭49−6744号公報) や有機
質被膜自体に粗さを与え、溶接時に発生するガスを逃散
させることによりブローホールの発生を防止する方法
(特公昭49-19078号公報) 等が提案されている。しかし
ながらこれらの方法では、必然的に占積率が97〜98%ま
で低下するので好ましくない。
て、表面粗さを中心線平均粗さRaで0.35〜0.6 μm とし
た鋼板上に被膜厚み1〜2.5 g/m2の有機質被膜を被成す
る方法が提案された。しかしながらこの方法でも、溶接
箇所によってはブローホールの発生が見られ、必ずしも
良好な溶接性が安定して得られるとは限らず、そのため
打抜性の向上を目指して被膜厚を厚くするといった処置
を施すことができないという問題があった。
接性向上のために表面粗さRaを大きくした場合には占積
率の低下を招き、また必ずしも被膜厚を十分厚くするこ
とができない等の不都合があった。
系によって、優れた高周波磁気特性を獲得した無方向性
電磁鋼板において、その使用時に問題となる溶接性を改
善する方途について提案することを目的とする。
を解決するものとして、電磁鋼板の表面粗さを3次元表
面粗さで評価して規制することにより、従来両立するこ
とが困難とされた溶接性と占積率の両者を併せて改善で
きることを新たに見出し、この発明を完成するに到っ
た。
りである。 (1) Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及びSi:2.5 mass
%以上10mass%以下を含有し、C及びNを合計量で100
ppm 以下に低減し、残部は鉄及び不可避的不純物の成分
組成に成り、かつ比抵抗が60μΩcm以上である無方向性
電磁鋼板において、3次元表面粗さが中心面平均粗さ S
Raで0.15〜0.50μm 、中心面における切断面面積率が80
%以下、中心面により切断された単位面積1mm2 当たり
の凸部の個数が50以上である、鋼板表面に、C量が0.4
g/m2 以下の絶縁被膜を形成したことを特徴とする高
周波磁気特性および溶接性に優れる無方向性電磁鋼板。
i:2.5 mass%以上10mass%以下及びAl:5 mass%以下
を含有し、C及びNを合計量で100 ppm 以下に低減し、
残部は鉄及び不可避的不純物の成分組成に成り、かつ比
抵抗が60μΩcm以上である無方向性電磁鋼板において、
3次元表面粗さが中心面平均粗さ SRaで0.15〜0.50μ
m、中心面における切断面面積率が80%以下、中心面に
より切断された単位面積1mm2 当たりの凸部の個数が50
以上である、鋼板表面に、C量が0.4 g/m2 以下の絶
縁被膜を形成したことを特徴とする高周波磁気特性およ
び溶接性に優れる無方向性電磁鋼板。
Si:2.5 mass%以上10mass%以下を含み、Mn及びPのい
ずれか1種又は2種のそれぞれを1mass%以下で含有
し、C及びNを合計量で100 ppm 以下に低減し、残部は
鉄及び不可避的不純物の成分組成に成り、かつ比抵抗が
60μΩcm以上である無方向性電磁鋼板において、3次元
表面粗さが中心面平均粗さ SRaで0.15〜0.50μm 、中心
面における切断面面積率が80%以下、中心面により切断
された単位面積1mm2 当たりの凸部の個数が50以上であ
る、鋼板表面に、C量が0.4 g/m2 以下の絶縁被膜を
形成したことを特徴とする高周波磁気特性および溶接性
に優れる無方向性電磁鋼板。
i:2.5 mass%以上10mass%以下及びAl:5 mass%以下
を含み、Mn及びPのいずれか1種又は2種のそれぞれを
1mass%以下で含有し、C及びNを合計量で100 ppm 以
下に低減し、残部は鉄及び不可避的不純物の成分組成に
成り、かつ比抵抗が60μΩcm以上である無方向性電磁鋼
板において、3次元表面粗さが中心面平均粗さ SRaで0.
15〜0.50μm 、中心面における切断面面積率が80%以
下、中心面により切断された単位面積1mm2 当たりの凸
部の個数が50以上である、鋼板表面に、C量が0.4 g/
m2 以下の絶縁被膜を形成したことを特徴とする高周波
磁気特性および溶接性に優れる無方向性電磁鋼板。
て、板厚が0.01〜0.7mm であることを特徴とする高周波
磁気特性および溶接性に優れる無方向性電磁鋼板。
面からその中心面上に面積SM を抜き取り、この抜き取
り部分の中心面上に直交座標軸、X軸、Y軸をおき、中
心面に直交する軸をZ軸として粗さ曲面をZ=f(X,
Y)で表したとき、次の数式
位面積SM における中心面で切断された面積S′の面積
率S′/SM ×100 (単位%)で与えられる。
おける中心面で切断されたパーティクルの数(突起形状
個数)Nであり、データ採取した凸部についての中心面
で切断された面積をDOTとしたとき、 N=S′/DOT として求めたものである。
板について、まず、その成分組成の各成分範囲の限定理
由を説明する。 Cr:1.5 mass%以上20.0mass%以下 Crは、Siまたは/及びAlとの相乗効果によって電気抵抗
を大幅に向上させて高周波域での鉄損を低減し、更には
耐食性を向上させる基本的な合金成分であり、特に、3.
5 mass%以上のSiを含有する場合、又は3mass%以上の
Siかつ1mass%を超えるAlを含有する場合であっても、
温間圧延可能な程度の靱性を得るのに極めて有効であ
り、その観点からは2mass%以上を要する。なお、Si量
やAl量が上記範囲よりも少ない場合には、Cr量が2mass
%未満でも加工性が確保できるが、Crの加工性向上効果
を発揮させ、かつ合金の比抵抗を60μΩcm以上とするた
めには、1.5 mass%以上のCrが必須である。一方、Cr量
が20mass%を超えると靱性向上の効果が飽和するととも
に、コスト上昇を招くため、Crの含有量は1.5 mass%以
上20mass%以下、好ましくは10mass%以下と規定する。
せ、高周波域での鉄損を低減するのに有効な成分であ
る。しかし、Si量が2.5 mass%未満ではCrやAlを併用し
ても磁束密度をあまり犠牲にせずに60μΩcm以上の比抵
抗を得るには至らない。一方、10mass%を超えるとCrを
含有させても温間圧延可能なまでの靱性が確保できない
ため、Siの含有量は2.5 mass%以上10mass%以下、好ま
しくは7mass%以下、より好ましくは3.5 mass%以上7
mass%以下とする。
幅に向上させ、高周波域での鉄損を低減するのに有効な
成分であり、また溶接性の改善にも有効であるため、こ
の発明では必要に応じてAlを含有させることができる。
しかし、Al量が5mass%を超えるとコスト上昇を招く上
に、Crの含有によっても温間圧延可能なまでの靱性が確
保できなくなるため、Alは5mass%以下の下で含有させ
る必要がある。一方、Alの下限は特に限定する必要はな
いが、脱酸や結晶粒成長性の改善を所期する場合は、0.
005 〜0.3 mass%程度を含有させ、またAlを積極的に電
気抵抗の増大のために活用する場合は、0.5 mass%以上
の範囲で含有させることが好ましい。したがって、Alは
0.005 mass%以上で含有させることが好ましく、より好
ましくは0.5 mass%以上3mass%以下とする。
にできる限り低減する必要があり、この発明に従うCr
量、Si量及びAl量の下で高靱性を確保するためには、合
計量で100 ppm 以下に抑えることが肝要である。好まし
くは、C及びNの各々が50 ppm以下、より好ましくは各
30 ppm以下とする。
されないが、例えばSについては20ppm 以下、好ましく
は10ppm 以下、より好ましくは5ppm 以下に、Oについ
ては50ppm 以下、好ましくは30ppm 以下、より好ましく
は15ppm 以下に、又は、不純物C+S+N+Oの合計量
で120 ppm 以下、好ましくは50ppm 以下に、規制するこ
とが推奨される。
れを1mass%以下 Mn及びPは、Fe−Cr−Si系合金に更に添加することによ
り、一層の電気抵抗の上昇を与えることができる。これ
らの成分の添加により、この発明の趣旨が損なわれるこ
となく、更なる鉄損の低減が達成できる。しかし、これ
らの成分を大量に添加するとコスト上昇を招くため、そ
れぞれの添加量は1mass%を上限とする。より好ましく
は、それぞれ0.5 mass%以下とする。
性、加工性などを更に向上させる目的で、従来知られて
いる合金成分を追加添加することは、この発明の効果を
損なうものではなく、それらの成分を含有させることも
可能である。それらの成分の代表例を以下に列記する。
善成分であるとともに、延性−脆性遷移温度を下げ、加
工性を向上させるほか、結晶粒を微細にさせ易いため、
渦電流損を抑制し、高周波鉄損の低減にも効果がある。
1mass%以下のCuにもNiと同様の効果がある。5mass%
以下のMoやWは耐食性を改善する。1mass%以下のLa、
VやNb、0.1 mass%以下のTi、YやZr、0.1 mass%以下
のBは、靱性を高めて加工性を向上させる効果がある。
5mass%以下のCoは、磁束密度を向上させ、ひいては鉄
損低減に効果がある。0.1 mass%以下のSbやSnは、集合
組織を改善し、ひいては鉄損低減に効果がある。
加工性Fe−Cr−Si系合金薄板を製造するには、原料とし
て純度99.9mass%以上の高純度の電解鉄、電解クロム、
金属Si、金属Alを用いることが好ましい。Mn、Pを添加
する場合には、これらも高純度原料を用いる。あるい
は、転炉法で製造する場合には、所定の純度にまで十分
に精錬し、かつ後工程での汚染を受けないように注意が
必要である。溶製に際しては、転炉法の他、例えば、高
真空(10-3Torr以下の圧力)の真空溶解炉を用いること
が好ましい。
ることによって、次工程の冷間圧延ないしは温間圧延に
おける加工性、すなわち圧延性を良好にすることができ
る。これは、この発明のFe−Cr−Si系合金組成の場合に
は、熱延板の表面部分の方が中心部分よりも靱性が高
く、加工性が優れているとの新知見に基づくものであ
る。そのための熱延板の厚みは3mm以下、好ましくは2.
5 mm以下、より好ましくは2.0 mm以下とする。
温間や冷間で圧延して0.4 mm以下の厚みの薄板とするこ
とができる。一般に、板厚を減じると、とりわけ高周波
において渦電流損が有利に抑制され、低鉄損になること
は周知である。しかし、これまでは高電気抵抗の材料は
圧延性が悪く、通常の圧延法によっては0.5 mm程度まで
しか減厚されていなかった。また、単に厚みを減じても
ヒステリシス損失のために、十分な鉄損低減ができない
とされてきた。この点、この発明では、成分系と純度を
選ぶことにより、減厚した場合の高周波鉄損特性の効果
を促進し得ることを見出したのである。かかる減厚の効
果を得るためには、板厚を0.4 mm以下とすることが有効
である。ただし、0.01mmよりも薄くするには、コスト
上、工業的に無理があるため、板厚の範囲を0.01〜0.4
mm、好ましくは0.02〜0.25mmと規定する。
材料の加工性が優れているため、特に従来のように熱延
板を焼鈍したり、冷間圧延ないし温間圧延の途中で中間
焼鈍したりして圧延性を確保することが必ずしも必要で
なく、熱延板焼鈍や中間焼鈍を省略して作業能率向上、
省エネルギー化、コスト低減を図ることができる。その
後の焼鈍は、通常の電磁鋼板や電磁ステンレス鋼板と同
様の工程が適用できる。
心面平均粗さ SRaで0.15〜0.50μm、中心面における切
断面面積率が80%以下、中心面により切断された単位面
積1mm2 当たりの凸部の個数が50以上の条件下に、仕上
げることが肝要である。
被膜を施す。ここで、Cr含有の場合、打抜性確保のため
に被膜中にCを含有するのが好ましい。しかしながら、
Cの含有は溶接性の低下原因となることから、発明者ら
は、各種の表面粗さを有する有機樹脂含有絶縁被膜付き
鋼板を用い、これらをそれぞれ積層したのち、断面を溶
接し、その溶接性について調査した。その結果、従来使
用されてきた2次元表面粗さの評価では、同一の表面粗
さとされたものでも溶接性にばらつきが生じ、必ずしも
2次元表面粗さでは溶接性を正確に評価できないことが
判明した。
に想到し、改めて3次元粗さを測定して再検討を行っ
た。得られた結果を、中心面平均粗さSRa と中心面にお
ける切断面面積率との関係で図1に示す。
面平均粗さSRa で0.50μm を超えると占積率が劣化し、
またSRa が0.15μm に満たないと溶接不良が生じた。か
かる表面粗さの影響は従来どおりであったが、同一粗さ
でも溶接性に相違が見られた。すなわち、SRa が0.15〜
0.50μm の範囲であっても中心面における切断面面積率
が80%を超えると溶接性の急激な劣化がみられたのであ
る。
は、まだ明確に解明されたわけではないが、次のとおり
と推定される。すなわち、切断面面積率が80%を超える
ということは、鋼板表面に凹部が多くなることを表して
いる。そしてかかる鋼板表面に絶縁被膜を塗布、焼き付
けた場合に、この凹部は被膜で埋まる。このような材料
を溶接した場合、局部的に発生ガス量が増大し、また発
生ガスの逃散がスムーズには進行しない。特に、電磁鋼
板の溶接に多用されているTIG溶接などの高速溶接の
場合、溶接の熱によって被膜中や鋼中から低分子のガス
が発生し易く、この発生ガスが大量であると溶融池が固
化するまでに該ガスが抜けきれずにブローホールとして
残り、溶接性が阻害されるのである。
かつ切断面面積率を80%以下とした場合であっても、溶
接欠陥が発生する場合が散見された。そこで、さらに種
々の3次元パラメーターについて検討した結果、中心面
により切断された単位面積当たりの凸部の個数が溶接性
と強い相関があることが判明した。
た単位面積1mm2 当たりの凸部の個数と溶接性との関係
について調べた結果を示す。同図より明らかなように、
中心面により切断された単位面積1mm2 当たりの凸部の
個数が50に満たない場合、良好な溶接性は得られなかっ
たのに対し、凸部の個数が50になるとブローホールの発
生なしに溶接を実施することができた。
次元表面粗さで評価し、中心面平均粗さ SRa:0.15〜0.
50μm 、中心面における切断面面積率:80%以下、中心
面により切断された単位面積1mm2 当たりの凸部の個
数:50以上とすることにより、良好な溶接性を得ること
ができる。
の表面上に被成する絶縁被膜としては、そのC含有量を
0.4 g/m2 以下にする必要がある。なぜなら、C含有
量を0.4 g/m2 をこえると、上記した溶接時のガス抜
けが阻害される結果、ブローホールの発生をまねくから
である。
的から、有機樹脂系のものを用いることが好ましい。含
有する有機樹脂としては、特に規定するものではない
が、例えば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、
アミノ樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、
ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂及びフッ素樹脂ある
いはそれらの混合物等が有利に適合する。
取焼鈍を施す場合など、耐熱性を必要とする場合は、無
機成分との複合被膜とすればよい。無機成分としては、
各種のものが適用可能であるが、例えばクロム酸系、り
ん酸系、無機コロイド系及びその他金属塩系、またはこ
れらの複合系等が挙げられる。必要に応じて、被膜性能
を向上させる成分を添加してもよい。また、混合する有
機樹脂としては、どのような形態のものでもよいが、水
に相溶する水溶性エマルジョンタイプディスパーション
等が無機成分と混合する場合に有利である。
もできる。例えば、上記したクロム酸系及びりん酸系の
1種又は2種の被膜を被成したのち、その上に重ねて有
機樹脂被膜を被成する等の方法が挙げられる。かかる絶
縁被膜の付着量は 0.1〜5.0 g/m2(片面当たり)とする
ことが好ましい。というのは付着量が0.1 g/m2に満たな
いと均一な被膜形成が困難になり、一方5.0 g/m2を超え
ると密着性の急激な劣化を招くからである。
g/m2以下とする必要がある。これは、C量が0.4 g/m2超
になると急激な溶接性劣化をまねくためである。C量の
下限は特に規定するものではないが、良好な打抜性確保
のためにはC量0.03g/m2以上であることが好ましい。
は、とくに限定されることはないが、ロール表面に予め
圧延後の表面粗さがこの発明範囲となるような表面加工
を施しておく方法はその一つである。さらに、圧延速度
の変更又は圧延時に使用する圧延油の変更により、所定
の表面粗さとなるように処理することもできる。
について、その表面粗さを表2に示すところに従って種
々に変化させて表面を仕上げた後、表2に示す絶縁被膜
を形成した。かくして得られた絶縁被膜付き電磁鋼板の
溶接性について調べた結果を、表2に併記する。なお、
鋼板をエプスタイン試料に切り出しJIS C2550
(1975年)に準じて磁性を測定するとともに、四端
子法によって比抵抗を測定した結果については、表1に
併記する。
度を変化させてTIG溶接を行い、積厚20mmの間でブロ
ーホールの発生が3個以内の場合を溶接可能速度とし、
その限界溶接速度を測定し、該速度が20cm/min 未満は
「×」、同20〜30cm/min は「△」、同30〜60cm/min
は「〇」および同60cm/min 超は「◎」として評価し
た。
%までのFe−Si合金やFe−Al合金に比べて同等以上の高
周波磁気特性を、良好な加工性に併せて獲得した無方向
性電磁鋼板において、その使用時に問題となる溶接性を
有利に改善することができる。
示したグラフである。
切断面面積率の影響を示したグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及び Si:2.5 mass%以上10mass%以下 を含有し、C及びNを合計量で100 ppm 以下に低減し、
残部は鉄及び不可避的不純物の成分組成に成り、かつ比
抵抗が60μΩcm以上である無方向性電磁鋼板において、
3次元表面粗さが中心面平均粗さ SRaで0.15〜0.50μm
、中心面における切断面面積率が80%以下、中心面に
より切断された単位面積1mm2 当たりの凸部の個数が50
以上である、鋼板表面に、C量が0.4 g/m2 以下の絶
縁被膜を形成したことを特徴とする高周波磁気特性およ
び溶接性に優れる無方向性電磁鋼板。 - 【請求項2】Cr:1.5 mass%以上20mass%以下、 Si:2.5 mass%以上10mass%以下及び Al:5 mass%以下 を含有し、C及びNを合計量で100 ppm 以下に低減し、
残部は鉄及び不可避的不純物の成分組成に成り、かつ比
抵抗が60μΩcm以上である無方向性電磁鋼板において、
3次元表面粗さが中心面平均粗さ SRaで0.15〜0.50μm
、中心面における切断面面積率が80%以下、中心面に
より切断された単位面積1mm2 当たりの凸部の個数が50
以上である、鋼板表面に、C量が0.4 g/m2 以下の絶
縁被膜を形成したことを特徴とする高周波磁気特性およ
び溶接性に優れる無方向性電磁鋼板。 - 【請求項3】Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及び Si:2.5 mass%以上10mass%以下 を含み、Mn及びPのいずれか1種又は2種のそれぞれを
1mass%以下で含有し、C及びNを合計量で100 ppm 以
下に低減し、残部は鉄及び不可避的不純物の成分組成に
成り、かつ比抵抗が60μΩcm以上である無方向性電磁鋼
板において、3次元表面粗さが中心面平均粗さ SRaで0.
15〜0.50μm 、中心面における切断面面積率が80%以
下、中心面により切断された単位面積1mm2 当たりの凸
部の個数が50以上である、鋼板表面に、C量が0.4 g/
m2 以下の絶縁被膜を形成したことを特徴とする高周波
磁気特性および溶接性に優れる無方向性電磁鋼板。 - 【請求項4】Cr:1.5 mass%以上20mass%以下、 Si:2.5 mass%以上10mass%以下及び Al:5 mass%以下 を含み、Mn及びPのいずれか1種又は2種のそれぞれを
1mass%以下で含有し、C及びNを合計量で100 ppm 以
下に低減し、残部は鉄及び不可避的不純物の成分組成に
成り、かつ比抵抗が60μΩcm以上である無方向性電磁鋼
板において、3次元表面粗さが中心面平均粗さ SRaで0.
15〜0.50μm 、中心面における切断面面積率が80%以
下、中心面により切断された単位面積1mm2 当たりの凸
部の個数が50以上である、鋼板表面に、C量が0.4 g/
m2 以下の絶縁被膜を形成したことを特徴とする高周波
磁気特性および溶接性に優れる無方向性電磁鋼板。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおい
て、板厚が0.01〜0.7mm であることを特徴とする高周波
磁気特性および溶接性に優れる無方向性電磁鋼板。
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JP2000107615A JP2001295001A (ja) | 2000-04-10 | 2000-04-10 | 高周波磁気特性および溶接性に優れる無方向性電磁鋼板 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103060701A (zh) * | 2013-01-09 | 2013-04-24 | 东北大学 | 一种无取向高硅电工钢薄带及其制备方法 |
CN103998629A (zh) * | 2011-12-20 | 2014-08-20 | Posco公司 | 具有优异加工性和磁性能的高硅钢板及其生产方法 |
CN104294023A (zh) * | 2014-10-10 | 2015-01-21 | 北京科技大学 | 一种利用柱状晶制备高磁感无取向电工钢的方法 |
-
2000
- 2000-04-10 JP JP2000107615A patent/JP2001295001A/ja active Pending
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