JP2001294595A - 共役系鎖状化合物とその製造方法 - Google Patents
共役系鎖状化合物とその製造方法Info
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Abstract
の製造方法を提供することである。 【解決手段】本発明の共役系鎖状化合物は、一般式 [
(CmRm+2) Mn(CmRm+2)] (式中Mは、金属である。Rは、
H、アルキル基、芳香族基、カルボアルコキシ基であ
る。m>2、2n<mである。)で表されることを特徴
とする。また、本発明の共役系鎖状化合物の製造方法
は、有機溶媒中において金属と共役系化合物とを混合
し、前記有機溶媒から含金属共役系鎖状化合物を析出さ
せることを特徴とする。
Description
とその製造方法に関し、特に、金属鎖を含む共役系鎖状
化合物に関する。
拡張分子の組み合わせは、新しい機能的分子の構造のた
めの有益な方法である。複合低次元拡張分子のなかで、
ポリアセチレンなどの共役ポリエンは、単純なsp2炭素
鎖構造であり、その多くの興味深い性質が集中的に研究
されてきた。
分子材料として開発されている。ポリアセチレンは、金
属並みの電気伝導性を有する。電導性高分子は軽くて加
工性があり、機械的強度が高く、耐薬品性も比較的強い
という長所を有する。また、製造時に金属精錬・加工の
ような膨大なエネルギーを要せず資源的にも問題がない
という特徴を持っている。こうした特徴から、電導性高
分子の特徴を生かした電極材料、太陽電池材料、エレク
トロクロミック材料としての用途開発が活発に行われて
いる。
続するπ電子系を有する高分子化合物が、金属光沢を示
すことが知られている。このような高分子化合物の金属
光沢は、π電子系の自由電子に基づくものであり、発光
材料として広く利用されている。
剤でドープした分子材料が、ドープ前の共役ポリマーよ
りも高い機能を有することが知られている。
高分子材料の用途開発の歴史は浅く、ポリアセチレンに
代表されるように酸化安定性、耐久性に問題がある。す
なわち、上述したポリアセチレンなどの高分子化合物
は、いずれもドープ状態で不安定であるだけでなく、未
ドープ状態でさえも不安定である。
ために高い安定性の実現やテーラメイドな機能付加など
に問題がある。したがって、共役分子特性と、高い安定
性を有する化合物が望まれていた。しかし、このような
化合物はこれまで存在しない。
発光性を示す金属鎖を有する共役系鎖状化合物及びその
製造方法を提供することである。
に、発明者らは、金属と結合するために共役ポリエンの
Pπ電子配列を使用することによって、金属鎖及び共役
系化合物を直接的に結合することを試みた結果、本発明
の共役系鎖状化合物及びその製造方法を見出すに至っ
た。本発明の共役鎖状化合物は、一般式 [ (CmRm+2) M
n(CmRm+2)] (式中Mは、金属である。Rは、H、アルキル
基、芳香族基、カルボアルコキシ基である。m>2、2
n<mである。)で表されることを特徴とする。
[(CmRm+2) (Lewis塩基)2Mn(CmRm +2)] (式中Mは、金
属である。Rは、H、アルキル基、芳香族基、カルボアル
コキシ基である。m>2、2n<mである。)で表され
ることを特徴とする。
金属が、遷移金属であることを特徴とする。
は、有機溶媒中において金属と共役ポリエンとを混合
し、前記有機溶媒から共役鎖状化合物を析出させること
を特徴とする。
前記金属が、異なる酸化状態を有する少なくとも2種類
以上の同種又は異種(ご確認下さい。)の金属であること
を特徴とする。
前記有機溶媒が、アセトン、トルエン、クロロホルム、
1,2−ジクロロエタン及びTHFからなる群から選択される
少なくとも1種であることを特徴とする。
表される共役系鎖状化合物は、結晶状態において発光性
を有する化合物である。本発明の化合物は、後述するよ
うに、適当な有機溶媒中に金属と共役系化合物を混合し
た後、有機溶媒から容易に結晶化により析出させること
ができる。
Rは、H、アルキル基、芳香族基、カルボアルコキシ基と
することができる。一般式[(CmRm+2)Mn(CmRm+2)]中の
左右のCmRm+2は、同一の共役系化合物でも良く、異なる
共役系化合物であっても良い。同一の共役系化合物を用
いるか異なる共役系化合物を用いるかについては、目的
とする化合物の用途に応じて適宜変更することができ
る。
役している共役系化合物を意味し、この共役系化合物と
金属との間で配位結合を作って安定した構造をとること
ができる。共役系化合物は、末端にアルキル基、特にフ
ェニル基が置換されると安定化するので、共役系化合物
には、末端が置換されているものも含まれる。RがHの場
合、いわゆる共役ポリエンを意味するが、Hは、一部ま
たは、全部を他の置換基に置き換えることもできる。例
えば、予めHを他の置換基に置換された共役ポリエンを
用いて共役系化合物を生成する事ができる。なお、共役
ポリエンは、共役ポリオレフィンともよばれ、分子内に
多くの二重結合がすべて共役している脂肪族不飽和炭化
水素をいう。
されず、用途応じて適当鎖長のものを使用する事ができ
る。
フェニル基、ナフチル基、チエニル基、ベンゾチエニル
基、インドリル基及びピリジル基等が好ましい。
あれば、特に限定されないが、好ましくは、遷移金属で
ある。遷移金属としては、配位数の観点から、好ましく
は、9〜11属の金属である。
る。n、mを変更することにより鎖長の異なる共役系鎖
状化合物を作製することができる。また、n及びmは、
整数値に限定されない。例えば、異なる鎖長の共役ポリ
エンを用いて、本発明の共役系鎖状化合物を生成した場
合、n又はmは、整数値とならない場合があるが、本発
明は、このような共役鎖状化合物をも含まれる。
において金属と共役系化合物とを混合し、前記有機溶媒
から共役系鎖状化合物を析出させることにより得ること
ができる。
例えば、アセトン、トルエン、クロロホルム、1,2−ジ
クロロエタン及びTHF等を挙げることができる。
合を容易にするという観点から、異なる酸化状態を有す
る少なくとも2以上の同種又は異種の金属を用いること
ができる。金属として、Pdを用いた場合を一例として説
明すると、Pdn 2+鎖は、単離すると不安定であるが、{1
Pd(II)+(n−1)Pd(0)}の組み合わせによって予想される
2(n−1)電子と結合した(n−1)Pd−Pd結合からなる不連
続分子イオンとなることができる。すなわち、Pd−Pd結
合方向に沿って、高い結合価Pd(0)は0e供与体と考え
られ、低結合価Pd(II)は2e供与体と考えられる。
も2種以上の同種又は異種の金属を用いるのが良い。異
なる酸化状態を有する同種の金属を用いると、下記式
(1)のように、予め作製した正確な数の電子と置換活性
を有する単核のパラジウム原料を使って、共役ポリエン
鎖にそった直線Pd−Pd結合鎖を形成することができる。
ては、前記有機溶媒中で、金属化合物に対して過剰の共
役系化合物を混合する。共役系化合物としては、特に限
定されることはないが、例えば、ジエン、トリエン、テ
トラエン、ペンタエン、ヘキサエンなどの共役ポリエン
を挙げることができる。
ルイス(Lewis)塩基を添加することもできる。ルイス塩
基としては、アミン類、ニトリル類、ホスフィン類等を
挙げることができる。アミン類としては、例えば、ピリ
ジンなどを挙げることができる。ルイス塩基は、金属鎖
と共役系化合物との結合方法を変化させるために使用す
ることができる。従って、化合物の用途に応じて、適宜
ルイス塩基を添加することができる。
攪拌時間は、生成する共役鎖状化合物の種類により、特
に限定されないが、好ましくは、約半日〜2日間であ
る。
状化合物を得ることができる。本発明の代表的な一例の
共役鎖状化合物[(C6H5(CH)mC6H5)2Pdn]2+(m=4−12、
n=2−5)の性質を示す。
シグナルは、δ3−7ppmに高磁場シフトして出現する。
ポリエン部分のJC−Hカップリング定数からポリエン炭
素はsp2性を保持しており、共役鎖状化合物であること
を示す。
ンが金属鎖を挟み込んだサンドイッチ構造である。Pd−
Pd間距離は、2.65〜2.75Åの範囲内に有り金属鎖は直線
構造である。ポリエンはほぼ平面構造を保っており、共
役系鎖状化合物であることを示している。
発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではな
い。
合物の例として、全トランス1,8−ジフェニル−1,3,5,7
オクタテトラエン(DPOT)「四核pd錯体」の結晶構造を
図1に示す。図中の結合距離と結合角については、以下
の通りである。 Pd1−Pd2=2.7322(8)、Pd2−Pd2*=2.654(1)、pd1-C1=2.
168(7)、Pd1-C3=2.242(6)、Pd2-C7=2.185(6)、Pd1-C8=
2.236(7)、Pd1-C9=2.206-(7)、Pd1-C10=2.421(8)、C1-C
2=1.393(10)、C2-C3=1.419(10)、C3-C4=1.425(10)。C4-
C5=1.410(9)、C5-C6=1.419(10)、C6-C7*=1.408(10)、C
7-C8=1.42(1)、C8-C9= 1.454(10)、C9-C10=1.43-
(1)、Pd1−Pd2−Pd2*=178.25(4)、C1−C2−C3=119.9
(7)、C2−C3−C4=122.0(7)、C3−C4−C5=123.8(7)、C
4−C5−C6=122.9(6)、C5−C6−C7*=123.7(7)、C6*−C
7−C8=122.3(7)、C7−C8−C9=125.7(7)。
テトラエン(DPOT)のPd4サンドイッチ鎖1’を下記化学
式(2)にしたがって合成した(単離収率74%で、カウンタ
ーアニオンをBF4からBArf(=B(3,5−(CF3)2C6H3)4)に変
えて、溶解性と結晶性を改善した。)。目的化合物がカ
チオンであるため、全体としての電荷を合わせるため
に、化合物の初期の合成過程でBF4を用いた。
善するには、カウンターアニオンとしてBArfを使用する
ことが有効であった。
ようなη3:η2:η2:η3共役構造をとることが可能で
あり、このような構造を通じてサンドイッチ状に結合し
ていることが判明した。
す。この構造は、各DPOTにおいて3架橋C=Cリガ
ンドを含む。結晶構造において、Pd−Pd−Pd−Pd骨格
は、かなり直線的であり(Pd2−Pd1−Pd1*=178.25-(4)
°、かつ、Pd-Pd長(外側、2.7322(8)Å、内側、2.654
(1)Å)は、一般的で、4つの中心、Pd4コアの6つの電子
結合と一致する。
Rスペクトルは、シャープな左右対称性DPOTシグナルの
みを23℃にて示し、そのシグナルは、−90℃まで続い
た。-90℃より低い温度での十分特徴的な共鳴を得るこ
とができなかったが、スペクトル外観は、Pd4鎖に沿っ
たDPOTリガンドが容易にずれることを示唆しており、左
右対称性η2:η2:η2:η2複合体を形成する(図
3)。Pd4鎖の末端にて溶媒と結合するかしないかのこ
の複合体は、左右対称型1’と平衡状態にあるか、1’
のHNMR対称プロセスにおける中間体である。
ピリジンを1(X=BF4又は1’(X=BArf)と反応
させた。この反応を下記式(3)に示す。
2’の結晶構造を図4に示す。その結果、各Pd−Pd(Pd
1−Pd2=2.7463(8)Å、Pd2−Pd2*=2.721(1)Å)は、4
つの中心を有し、6つの電子結合からなるPd4直線鎖であ
った。DPOTの各フェニル基(CH)8が平面から飛び出し、1
80°からのPd1−Pd2−Pd2*角度(174.50(4)°)のわず
かな偏りとN1−Pd1−Pd2屈折角(152.0(2)°)(ジカチオ
ンの平面上での末端Phから離れて位置するN1)とを生じ
る。Pd4鎖の両端で結合するピリジンリガンドとの立体
混雑を避けているが、(CH)8部分は、平面を維持する。
の、[Pd3(DPOT)2][BArf]2を、加えたPd(0)の量を3から
2当量に減らすことによって得た。[Pd3(DPOT)2][BArf]2
の共役構造を図5に示す。Pd3のサンドイッチ複合物の示
された構造は、1H NMRスペクトルにかけられ、低温度で
さえも鋭い左右対称性ポリエン共鳴を示した。
ン(DPDH)のPd5鎖である、[Pd5(DPDH)2][BArf]2(4’図
6)は、反応混合物{過剰のDPDHと1Pd(II)+4Pd(0)}か
らも製造された。Pd5の両方のサンドイッチ複合物の示
された構造は、1H NMRスペクトルにかけられ、低温度で
さえも鋭い左右対称性ポリエン共鳴を示した。それゆ
え、原理的に、鎖長に関して本合成法(図1)に限界はな
いことが判明した。
連続的Pd−C結合による鎖−鎖間結合の共同強化のため
に、熱的に安定であり、溶液中でさえ劣化が観察されな
かった。
属鎖と共役系化合物とが強固に結合していることから、
熱的に安定てあり、溶液中でさえ劣化が生じないという
有利な効果を奏する。また、本発明の共役系鎖状化合物
によれば、発光材料として有効な性質を示すほか、共役
分子特性を有しているため、機能性材料として利用可能
であるという有利な効果を奏する。また、本発明の共役
鎖状化合物によれば、各構成ポリエンは平面を維持し、
金属鎖は直線状であるため、鎖拡張の際の共役制限が著
しく緩和されるという有利な効果を奏する。
は、異なる酸化状態の金属を混合することにより、金属
鎖が高効率で生成するという有利な効果を奏する。ま
た、製造方法が簡便直接的であり、原則として鎖長は制
限されないという有利な効果を奏する。
6H5)Pd4]2+の結晶構造を示す図である。
6H5)Pd4]2+のη3:η2:η 2:η3共役構造を示す図で
ある。
5)Pd4]2+のη2:η2:η2:η2共役構造を示す図であ
る。
[(C6H5(CH)8C6H5)Pd4]2+の結晶構造を示す図で
ある。
6H5)Pd3]2+を示す図である。
5)Pd5]2+を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 一般式 [ (CmRm+2) Mn (CmRm+2)] (式
中Mは、金属である。Rは、H、アルキル基、芳香族基、
カルボアルコキシ基である。m>2、2n<mであ
る。)で表される共役系鎖状化合物。 - 【請求項2】 一般式[(CmRm+2) (ルイス塩基)2Mn(Cm
Rm+2)] (式中Mは、金属である。Rは、H、アルキル基、
芳香族基、カルボアルコキシ基である。m>2、2n<
mである。)で表される共役系鎖状化合物。 - 【請求項3】 金属が、遷移金属である請求項1又は2に
記載の共役系鎖状化合物。 - 【請求項4】 有機溶媒中において金属と共役ポリエン
とを混合し、前記有機溶媒から共役系鎖状化合物を析出
させることを特徴とする共役系鎖状化合物の製造方法。 - 【請求項5】 前記金属が、異なる酸化状態を有する少
なくとも2以上の同種又は異種の金属であることを特徴
とする請求項4に記載の方法。 - 【請求項6】 前記混合後、アミン類、ニトリル類、ホ
スフィン類からなる群から選択される少なくとも1種の
ルイス塩基を添加することを特徴とする請求項4又は5
に記載の共役系鎖状化合物の製造方法。 - 【請求項7】 前記有機溶媒が、アセトン、トルエン、
クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、THF、からなる群
から選択される少なくとも1種であることを特徴とする
請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000110364A JP3598345B2 (ja) | 2000-04-12 | 2000-04-12 | 共役系鎖状化合物とその製造方法 |
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JP3598345B2 JP3598345B2 (ja) | 2004-12-08 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008001619A (ja) * | 2006-06-21 | 2008-01-10 | Osaka Univ | シクロヘプタトリエニルパラジウム化合物及びその製造法 |
-
2000
- 2000-04-12 JP JP2000110364A patent/JP3598345B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2008001619A (ja) * | 2006-06-21 | 2008-01-10 | Osaka Univ | シクロヘプタトリエニルパラジウム化合物及びその製造法 |
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