JP2001294429A - 多孔質ガラス母材の製造方法及びその装置 - Google Patents

多孔質ガラス母材の製造方法及びその装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同心多重管バーナに流すガス流量の最適条件
を設定して、ガラス微粒子の付着効率の高い多孔質ガラ
ス母材の製造方法及びその装置を提供する。 【解決手段】 同心多重管バーナを用いて火炎加水分解
反応により生成したガラス微粒子を、ターゲット棒に堆
積させて多孔質ガラス母材を製造するに際し、ガラス微
粒子原料とこの搬送ガスが流れる流路のレイノルズ数R
eが、次式 Re<(0.4−aDs−b)/(cDs+d) ただし、ターゲット径Ds[mm]<130のとき; a=0.00368,b=0.369,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
14×10-5 ターゲット径Ds[mm]≧130のとき; a=0.00188,b=0.613,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
14×10-5 を満たすようにして製造することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火炎加水分解法に
より生成したガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス母
材を製造する方法、特には、高純度石英ガラスや光ファ
イバ用ガラス母材として好適な多孔質ガラス母材の製造
方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高純度石英ガラスや光ファイバ用ガラス
母材を製造する方法として、火炎加水分解法により生成
したガラス微粒子を回転するターゲット棒に堆積させて
多孔質ガラス母材を合成し、これを約1500℃のHe
雰囲気中で透明・ガラス化する方法がある。火炎加水分
解法でガラス微粒子を合成するには、例えば、同心多重
管バーナを用いて行なう方法がある。
【0003】図1に、多孔質ガラス母材の合成に使用さ
れる同心多重管バーナの例を示す。一般的には、同心多
重管バーナ1の各同心管に、ガラス微粒子原料および搬
送ガス、燃料ガス、バーナ先端の焼き付き(ガラス微粒
子の付着現象)を防止するシールガス、助燃ガスをそれ
ぞれ流して燃焼させる。燃料ガスとしては水素ガスが用
いられることが多い。同心多重管バーナ1の最外周管に
は、水素ガスを流すと火炎が広がってしまうため、助燃
ガスである酸素ガスを流すことが多い。また、バーナカ
バー2は、生成した火炎が気流で乱されたり、方向が変
わることがないように、火炎のガイドの役割を担ってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】火炎加水分解反応によ
り生成したガラス微粒子が、回転するターゲット棒に堆
積してガラス微粒子堆積体を形成するとき、付着したガ
ラス微粒子は熱泳動という現象により、堆積面へ泳動し
て堆積されていくが、生成した全てのガラス微粒子が付
着するわけではない。このときの付着効率は、ターゲッ
ト棒の回転数、バーナとターゲット棒との相対速度およ
び距離、バーナ構造、バーナに流すガス流量等に依存す
る。特に、ガス流量の影響が大きく、この最適条件を見
い出すことは非常に重要である。なお、付着効率は、使
用した原料の量に対する得られたガラス微粒子堆積量か
ら求められる。ガラス微粒子の付着効率を増すことによ
り、多孔質ガラス母材の生産性を著しく向上することが
できるため、付着効率を高めることは極めて重要であ
る。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、同心多重管バーナに流すガス流量の最適条件を
設定して、ガラス微粒子の付着効率の高い多孔質ガラス
母材の製造方法及びその装置を提供することを目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の多孔質ガラス母
材の製造方法は、同心多重管バーナを用いて火炎加水分
解反応により生成したガラス微粒子を、ターゲット棒に
堆積させて多孔質ガラス母材を製造するに際し、ガラス
微粒子原料とこの搬送ガスが流れる流路のレイノルズ数
Reが、次式 Re<(0.4−aDs−b)/(cDs+d) ただし、ターゲット径Ds[mm]<130のとき; a=0.00368,b=0.369,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
14×10-5 ターゲット径Ds[mm]≧130のとき; a=0.00188,b=0.613,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
14×10-5 を満たすようにして製造することを特徴としている。
【0007】本発明の多孔質ガラス母材の製造装置は、
同心多重管バーナを用いて火炎加水分解反応により生成
したガラス微粒子を、ターゲット棒に堆積させて多孔質
ガラス母材を製造する装置において、少なくともガラス
微粒子堆積体の外径測定装置と、同心多重管バーナのガ
ラス微粒子原料とこの搬送ガスを流す流路の流量制御装
置とを有し、外径測定装置の測定値、すなわちターゲッ
ト棒の径Ds[mm]にもとづき該流路のレイノルズ数
Reを制御するため、流量制御信号を流量制御装置に伝
える制御装置を備え、該制御装置はレイノルズ数Re
が、上記の式を満たすようにプログラムされている。な
お、外径測定装置は、この外径測定手段としてCCDカ
メラと画像処理装置、あるいはレーザー測距計を備えた
ものを用いることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者等は、火炎加水分解反応
により生成したガラス微粒子を堆積させる際に、付着効
率の良い堆積条件を見出して、同心多重管バーナに流す
ガス流量の最適条件に対応する原料流路のRe数を上記
のように規定したものである。図2は、OVD法(外付
け法)による多孔質ガラス母材製造の一例を示す概略説
明図であり、多孔質ガラス母材3は、ターゲット棒4を
回転させつつ、ターゲット棒4とガラス微粒子合成用の
同心多重管バーナ1を相対的に移動させてガラス微粒子
を堆積させることにより製造される。
【0009】この同心多重管バーナ1は石英製5重管構
造を有し、バーナの中心流路(第1管)に、ガラス微粒
子原料としてSiCl4を、搬送ガスとしてO2を流し
た。中心の第1管に隣接する第2管にはAirを、第2
管の外側に隣接する第3管にはH2ガスを、順に、第4
管にはN2を、第5管にはO2を流した。なお、第1管に
流すガスはSiCl4の凝縮を防ぐため、100℃に加
熱した。
【0010】第1管のSiCl4およびO2流量を種々に
変化させ、そのときのガラス微粒子堆積体(多孔質ガラ
ス母材)への付着効率ηと第1管のレイノルズ数Reの
関係を、多孔質ガラス母材の径(ターゲット径)Ds毎
にプロットすると、図3に示す直線関係が得られ、この
直線の傾きおよび切片(直線を左へ延長し、Re=0と
交差する点の付着効率η)の値をDs毎にプロットする
と、図4、図5に示す関係が得られた。
【0011】図4、図5の関係から、付着効率ηが0.4
以上となる範囲でのReとDs[mm]に対して、次の
関係式を得た。 Re<(0.4−aDs−b)/(cDs+d) ただし、Ds[mm]<130のとき; a=0.00368,b=0.369,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
14×10-5 Ds[mm]≧130のとき; a=0.00188,b=0.613,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
14×10-5 となる。
【0012】上記関係式から、ターゲット径Dsにもと
づき、ガラス微粒子原料と搬送ガスを流す同心多重管バ
ーナの中心流路のレイノルズ数Reを制御することで、
火炎加水分解反応により生成したガラス微粒子を高い付
着効率を維持して堆積することができる。具体的には、
ガラス微粒子堆積体の成長にともない堆積体の径Dsが
増すにつれ、そのときの径Dsに対応するRe値を上記
関係式から求め、このRe値を満足するように流量制御
を続けることで、ガラス微粒子を常に高い付着効率を維
持して堆積することができる。これは製造装置に、堆積
体の外径測定装置、原料流路のガス流量制御装置および
これらを制御するため上記関係式をプログラムした制御
装置を備えることで自働制御が可能となる。これによ
り、堆積中、高い付着効率を維持して堆積することがで
き、極めて高い生産性を実現した。
【0013】なお、搬送ガスをO2からArに変化させ
た場合や、ガラス微粒子原料の流路内径を3mmφ〜8
mmφの間で変化させた場合にも、全く同様の結果を得
ることができた。以上、OVD法を例に説明したが、本
発明は、多重管バーナを用いて行なわれるVAD法など
の他の火炎加水分解法による多孔質ガラス母材の製造に
も適用することができる。
【0014】
【実施例】(実施例1)製造装置に直径50mmφの石英ガ
ラス製ターゲット棒をセットし、OVD法により石英製
5重管構造を有する同心多重管バーナを使用してガラス
微粒子の堆積を行なった。同心多重管バーナには、バー
ナの中心流路である内径5mmφの第1管に、ガラス微
粒子原料としてSiCl4を、搬送ガスとしてO2を流し
た。第2管にはAirを、第3管にはH2ガスを、第4
管にはN2を、第5管にはO2を流した。
【0015】ガラス微粒子の堆積中、レーザー測距計を
用いた外径測定装置により堆積体の外径を定時的に測定
し、ターゲット径Dsとレイノルズ数Reが上記関係式
を満たすようにプログラムされた制御装置により、第1
管のガス流量を求められたレイノルズ数Reとなるよう
に流量制御装置で制御して、外径350mmφ、長さ2,
000mmの多孔質ガラス母材を製造した。これに要し
た時間は37hrsであった。なお、堆積体の外径測定に
は、CCDカメラと画像処理装置を備えた外径測定装置
を用いてもよい。堆積中、付着効率ηは0.4以上を維
持し、かつηの平均値は0.70であった。なお、第1
管の流量制御は、ガラス微粒子原料と搬送ガスを所定の
比率で変化させることにより行なった。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、ターゲット径Dsにも
とづき、ガラス微粒子合成用バーナの原料流路のレイノ
ルズ数Reを制御することにより、生成したガラス微粒
子の付着効率を高く維持して堆積することができ、多孔
質ガラス母材の生産性向上に大きく寄与した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多孔質ガラス母材の合成に使用される同心多
重管バーナの例を示し、(a)は平面図、(b)概略縦
断面図である。
【図2】 OVD法により多孔質ガラス母材製造の一例
を示す概略説明図である。
【図3】 ガラス微粒子原料流路のRe数と付着効率η
との関係を示すグラフである。
【図4】 図3の各直線の傾きを多孔質ガラス母材の径
Ds毎にプロットして得た、Dsと傾きの関係を示すグ
ラフである。
【図5】 図3の各直線の切片を多孔質ガラス母材の径
Ds毎にプロットして得た、Dsと切片の関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1. 同心多重管バーナ 2. バーナカバー 3. 多孔質ガラス母材(ガラス微粒子堆積体) 4. ターゲット棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津村 寛 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 島田 忠克 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 平沢 秀夫 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 Fターム(参考) 4G014 AH12 AH16 4G021 EA03 EB11 EB26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同心多重管バーナを用いて火炎加水分解
    反応により生成したガラス微粒子を、ターゲット棒に堆
    積させて多孔質ガラス母材を製造するに際し、ガラス微
    粒子原料とこの搬送ガスが流れる流路のレイノルズ数R
    eが、次式 Re<(0.4−aDs−b)/(cDs+d) ただし、ターゲット径Ds[mm]<130のとき; a=0.00368,b=0.369,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
    14×10-5 ターゲット径Ds[mm]≧130のとき; a=0.00188,b=0.613,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
    14×10-5 を満たすようにして製造することを特徴とする多孔質ガ
    ラス母材の製造方法。
  2. 【請求項2】 同心多重管バーナを用いて火炎加水分解
    反応により生成したガラス微粒子を、ターゲット棒に堆
    積させて多孔質ガラス母材を製造する装置において、少
    なくともガラス微粒子堆積体の外径測定装置と、同心多
    重管バーナのガラス微粒子原料とこの搬送ガスを流す流
    路の流量制御装置とを有し、外径測定装置の測定値(タ
    ーゲット径Ds[mm])にもとづき該流路のレイノル
    ズ数Reを制御するため、流量制御信号を流量制御装置
    に伝える制御装置を備え、該制御装置はレイノルズ数R
    eが、次式 Re<(0.4−aDs−b)/(cDs+d) ただし、Ds[mm]<130のとき; a=0.00368,b=0.369,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
    14×10-5 Ds[mm]≧130のとき; a=0.00188,b=0.613,c=‐5.02×10-8,d=‐2.
    14×10-5 を満たすようにプログラムされていることを特徴とする
    多孔質ガラス母材の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記外径測定装置において、外径測定手
    段がCCDカメラ及び画像処理装置からなる請求項2に
    記載の多孔質ガラス母材の製造装置。
  4. 【請求項4】 前記外径測定装置において、外径測定手
    段がレーザー測距計である請求項2に記載の多孔質ガラ
    ス母材の製造装置。
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