JP2001288513A - ボルト用鋼材、これを用いたボルト及びその製造方法 - Google Patents

ボルト用鋼材、これを用いたボルト及びその製造方法

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利光 木村
Shigefumi Tanaka
茂文 田中
Hideaki Kuratomi
英明 倉冨
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SANNOHASHI KK
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来使用されているボルトに比べて、素材及
び調質処理コストが低減し、且つ遅れ破壊感受性が小さ
いボルトが得られるボルト用鋼材、これを用いたボルト
及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 ボルト用鋼材は、Cを0.15〜0.4
2質量%、Nを0.004〜0.035質量%、Mo及
び/又はVを0.15〜0.80質量%の割合で含有
し、フェライト面積率が5〜80%で、伸線加工後のフ
ェライト粒の平均アスペクト比が5以下である鋼材に、
850〜950℃の加熱、450〜600℃の恒温保持
及び減面率25〜50%の伸線加工を施して成る。上述
のボルト用鋼材を用いて成るボルトである。引張強さが
1000〜1500MPaである。ボルト頭部に相当す
る部位に、冷間で予備成形を施すボルトの製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボルト用鋼材、こ
れを用いたボルト及びその製造方法に係り、更に詳細に
は、引張強さが高く、遅れ破壊感受性が小さく、しかも
焼入れ処理を必要とせず、耐力比の高いボルト及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の引張強さが高いボルト、具体的に
は引張強さが1000MPa以上のボルトの製造方法と
しては、機械構造用鋼(SCM440等)から成る線材
をボルトに成形後、焼入れ・焼戻しを施して所定の強度
に調質する方法が知られている。例えば、図1に示すよ
うに伸線されたコイルを切断後、ヘッダー加工してボル
ト頭部を成形し、ねじ部を転造した後、850℃まで加
熱し、油中に焼入れ、約600℃で焼戻す方法がある。
【0003】また、他の方法としては、鋼材メーカーが
ボルト用素材を製造する際に、制御圧延・冷却により線
材に適当な強度を付与しておき、焼入れ・焼戻しを省略
してボルトを製造する方法が知られている。この方法で
は、図2に示すように、伸線されたコイルを切断後、ヘ
ッダー加工してボルト頭部を成形し、ねじ部を転造して
ボルトを製造する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のボルト製造方法にあっては、以下の課題があ
る。即ち、調質ボルト用にSCM440等の機械構造用
鋼を使用する方法では、素材自体のコストが高く、ま
た、調質処理のコストを要するためボルトの単価が高く
なるという課題がある。また、調質処理コストを削減可
能な、制御圧延・冷却を施した線材を使用する方法で
は、線材の引張強さが1000MPa以上と高いため、
ヘッダー金型の寿命が大幅に短くなり、生産性の低下や
金型コストの増加を招き、結局ボルトのコストが高くな
るという課題がある。更に、かかる制御圧延・冷却を施
した線材の使用による製造方法で得られたボルトは、成
形部、例えばボルト頭部の硬さが加工硬化により著しく
上昇するため、この硬化部から遅れ破壊してしまうとい
う特性上の課題もある。
【0005】このような従来の課題を解決し得る技術と
して、本発明者らは、本出願時に未公知の特願平10−
287476号において、特定の組成や性状を有するボ
ルト用鋼材などを既に提案し、かかる特定鋼材から成る
線材を直接ヘッダー加工すれば良好な特性を有するボル
トが得られることを開示している。しかしながら、本発
明者らが更なる検討を加えた結果、製造すべきボルトの
頭部形状によっては、予備成形後にヘッダー加工を行っ
た方が良好な結果が得られることを知見した。また、か
かる予備成形は最終ボルト製品の形状精度に影響を与え
るので、冷間加工により実施することが好ましいが、特
願平10−287476号に開示したボルト用鋼材をそ
のまま冷間加工すると、線材の硬さが高いため変形抵抗
が大きくなり、使用する冷間加工金型が短命化すること
が判明した。
【0006】本発明は、このような知見に鑑みてなされ
たものであり、従来使用されているボルトに比べて、素
材及び調質処理コストが低減し、且つ遅れ破壊感受性が
小さいボルトが得られるボルト用鋼材、これを用いたボ
ルト及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定組成や性状を
有する鋼材を、更に所定の加熱、恒温保持及び伸線加工
に供することにより、上記目的が達成できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明のボルト用鋼材は、Cを0.
15〜0.42質量%、Nを0.004〜0.035質
量%、Mo及び/又はVを0.15〜0.80質量%の
割合で含有し、フェライト面積率が5〜80%で、伸線
加工後のフェライト粒の平均アスペクト比が5以下であ
る鋼材に、850〜950℃の加熱、450〜600℃
の恒温保持及び減面率25〜50%の伸線加工を施して
成ることを特徴とする。また、この場合、Moを0.1
0〜0.80質量%、Vを0.05〜0.30質量%の
割合で含有することが好ましい。
【0009】また、本発明のボルトは、上述の如きボル
ト用鋼材を用いて成るボルトであって、引張強さが10
00〜1500MPaであることを特徴とする。
【0010】更に、本発明のボルトの製造方法は、上述
のボルトを製造するに当たり、ボルト頭部に相当する部
位に、冷間で予備成形を施すことを特徴とする。
【0011】また、本発明のボルトの製造方法の好適形
態は、上記冷間予備成形を施した予備成形品を、ヘッダ
ー加工直前に400〜650℃に加熱し、次いで、ヘッ
ダー加工することを特徴とする。
【0012】更に、本発明のボルトの製造方法の他の好
適形態では、上記加熱温度まで20〜2000℃/秒で
誘導加熱することが好ましく、更には、ヘッダー加工後
に550〜650℃の時効処理を行うことが望ましい。
【0013】
【作用】本発明のボルト用鋼材では、C、N、Mo、V
を特定組成に調整し、且つフェライト相を適切に制御し
たため、線材の引張強さを1000MPa以上とし、伸
線加工を容易化することができる。また、フェライト相
の制御のうち、フェライト面積率の限定は、線材の破断
又は早期遅れ破壊の防止に有効に作用する。一方、フェ
ライト粒の平均アスペクト比の限定は、伸線加工による
強度付与に有効に作用する。更に、フェライト以外の組
織をベイナイトとすると、靱延性が増加し、遅れ破壊が
防止され、所望の強度を確保することが容易になる。
【0014】更に、本発明では、上記ボルト用鋼材に特
定の加熱、恒温保持及び減面率を制御した伸線加工を施
した。この一連の処理により、ボルト製造の際の予備成
形を容易に行うことができるようになる。上記加熱処理
により、均一なオーステナイト相を生成することがで
き、上記恒温処理により、所望硬度と後工程の伸線処理
を容易化することができる。
【0015】また、本発明のボルトの製造方法では、冷
間での予備成形を行うこととしたため、最終ボルト製品
において十分な形状精度を確保することができ、ボルト
製造上の形状自由度を改善することができる。更に、ヘ
ッダー加工後に所定の時効処理を行えば、上述の減面伸
線加工により生ずる可能性のある靱性劣化を回復するこ
とができ、耐力も向上させることができる。なお、本発
明のボルト用鋼材を用いたボルトは、上記処理により、
靱延性が向上し、優れた引張強度を有するとともに、遅
れ破壊感受性が好適に抑制されている。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明のボルト用鋼材につ
いて詳細に説明する。本発明のボルト用鋼材は、上述の
如く、炭素(C)と、窒素(N)と、モリブデン(M
o)及び/又はバナジウム(V)を含有し、フェライト
面積率が5〜80%であり、伸線加工後のフェライト粒
の平均アスペクト比が5以下である。
【0017】ここで、C量は、0.15〜0.42質量
%である。鋼材中のC量が0.15質量%未満の場合に
は、一般的な伸線加工では圧延線材の引張強さを100
0MPa以上にすることができない。また、伸線加工率
を高めて強度を確保しようとすると、太径の線材の伸線
加工が著しく困難になり、適用ボルトの径を太くするこ
とができない。一方、0.42質量%を超えてCを含有
させると、遅れ破壊を生じやすくなる。
【0018】N量は、0.004〜0.035質量%で
ある。Nは、伸線で導入された転位をN単独で固着した
り、ボルト成形前の加熱で窒化物を析出させて固着する
ことにより、高い耐力を確保するのに必要な元素であ
る。しかし、0.035質量%を超えて含有させると、
粗大な介在物の生成を招き、これがボルトの靱延性の低
下と、遅れ破壊を助長するために過度に添加することは
できない。
【0019】Mo量は、0.1〜0.8質量%とするこ
とが好ましい。後述するように、本発明では、鋼製線材
を伸線加工、代表的には冷間で伸線することにより引張
強さを1000MPa以上とし、ヘッダー加工部を40
0〜650℃まで加熱する。この加熱の際、Mo量が
0.1質量%未満の場合には引張強さが低下し、加熱部
のほとんどの部位で1000MPa未満の強度になって
しまう。また、0.8質量%よりも高い含有量では、M
o自体が高価な元素であるため、素材コストの上昇を招
いてしまう。
【0020】また、V量は、0.05〜0.3質量%と
することが好ましい。ヘッダー加工部を400〜650
℃まで加熱する際、V量が0.05質量%未満の場合に
は引張強さが低下し、加熱部のほとんどの部位で100
0MPaよりも低い強度になってしまう。また、0.3
質量%よりも高い含有量では、V自体が高価な原料であ
るため、素材コストの上昇を招いてしまう。
【0021】Mo及び/又はV量は、0.15〜0.8
質量%である。ヘッダー加工部を400〜650℃まで
加熱した際に、引張強さが1000MPa以上になる合
金の配合を調べた結果、Mo+V量が0.15質量%以
上必要であることがわかった。しかし、両元素とも高価
なために、0.8質量%よりも高い含有量では、素材コ
ストの上昇を招く。また、この場合、Moを0.1〜
0.80質量%、Vを0.05〜0.80質量%とする
ことが好ましい。
【0022】次に、フェライト面積率とフェライト粒の
平均アスペクト比の限定理由について述べる。本発明の
鋼材におけるフェライト面積率は、5〜80%である。
面積率が5%未満の場合には、線材を冷間で伸線して強
度を得る際に、加工のひずみがフェライト部に集中し
て、引張強さが1000MPaよりも小さい応力で破断
したり、破断に至らなくてもフェライト部の靱延性が著
しく劣化して、早期に遅れ破壊してしまう。一方、80
%を超える面積率では、冷間伸線時のひずみによる加工
硬化だけでは、引張強さを1000MPa以上に確保す
ることが困難になる。なお、この伸線加工は、代表的に
は10〜40℃で行われる。
【0023】伸線後のフェライト粒の平均アスペクト比
は、5以下である。本発明のボルトの軸部は、冷間伸線
加工で強度を付与される。このため、平均アスペクト比
が5を超えるような加工を施すには、太径の線材を細径
にするための大型の伸線加工機が必要になり、製造コス
トの増加を招く。
【0024】フェライト以外の組織は、ベイナイトにす
ることが望ましい。フェライト以外の組織がマルテンサ
イトの場合、伸線加工時のひずみがマルテンサイトとフ
ェライトとの界面に集中して、この部分の靱延性が著し
く低下し、遅れ破壊を助長してしまうことがある。一
方、パーライトの場合、伸線前の強度が低すぎて、伸線
後に所望の強度を確保できないことがあり好ましくな
い。
【0025】また、本発明のボルト用鋼材は、上述した
ような特定の組成及び性状を有する鋼材に、所定の加
熱、恒温保持及び減面率を制御した伸線加工を施して得
られる。 この一連の処理により、ボルト製造の際の予
備成形を容易に行うことができるようになる。ここで、
上記加熱は850〜950℃の温度範囲で行われ、これ
により、均一なオーステナイト相を得ることができる。
加熱温度が950℃を超えると、結晶粒が粗大化し、後
述する冷間予備成形に悪影響を及ぼす。
【0026】また、恒温保持は450〜600℃の温度
範囲で行われる。450℃未満では、得られる鋼材の硬
度が高くなり過ぎて次工程の伸線加工をを実施できな
い。一方、600℃を超えると、上記伸線加工を実施し
ても所望の硬度が得られなくなる。
【0027】なお、かかる伸線加工は、冷間、代表的に
は10〜40℃で行われるが、減面率を25〜50%に
調整して行うことを要する。ここで、減面率とは、伸線
前から伸線後の線材の断面積減少率をいう。減面率が2
5%未満では、次工程の冷間予備成形が難しく、50%
を超えると、伸線中に断線するおそれがある。
【0028】次に、本発明のボルトの製造方法について
説明する。本発明のボルトは、上述した本発明の鋼材か
ら成る線材を冷間で予備成形し、更にヘッダー加工直前
に400〜650℃に加熱した後、ヘッダー加工して製
造される。具体的には、特願平10−287476号に
も開示した特定組成を有する鋼材を冷間伸線した後に所
望長さに切断し、次いで、得られた伸線材につき、上述
の加熱、恒温保持及び減面伸線加工を施し、ボルト頭部
に相当する部位に冷間予備成形を行い、更に誘導加熱し
て400〜650℃に温度制御し、この直後にヘッダー
加工を行い、しかる後にねじ転造することにより、本発
明のボルトを得る。なお、必要に応じて、時効処理を行
ってもよい。かかる製造工程の一例を図3に示す。な
お、上記ねじ転造はヘッダー加工前に行ってもよい。
【0029】ここで、上述の冷間予備成形は、10〜4
0℃で行うことが好ましく、この予備成形を実施するこ
とにより、得られるボルト製品の形状精度を著しく向上
できる。
【0030】また、冷間予備成形品に施すヘッダー加工
前の加熱温度は、400〜650℃に制御する。加熱温
度が400℃未満の場合には、ヘッダー加工中の予備成
形品の変形抵抗が十分低下せず、成形金型の寿命の延命
を図れない。更に、ヘッダー加工時に加工硬化する部位
を適度に軟化させることができずに、遅れ破壊を防止で
きない。これに対し、650℃よりも高温では、成形部
の軟化量が増大し、加熱した部分の一部が1000MP
aよりも低い強度になってしまう。
【0031】また、加熱速度は、20〜2000℃/秒
に制御することが好ましい。加熱速度が20℃/秒未満
の場合には、ボルト1本当たりに要する加熱時間が長く
なり、生産性の低下を招くことがある。また、2000
℃/秒を超えると、加熱装置自体のコストが著しく増大
してしまうことがあるため好ましくない。
【0032】更に、上述の加熱による加熱領域は、予備
成形品のボルト頭部高さとなる長さから、その2倍の長
さまでとすることが好ましい。即ち、予備成形品のボル
ト頭部高さとなる長さからその2倍までの長さを局所的
に加熱することが望ましい。これは、軸部の座屈防止、
加熱エネルギーコストの低減、ねじ転造を加熱前に行う
場合の、ねじ部の圧縮残留応力の解放防止を図るためで
ある。
【0033】なお、上述した時効処理は、ヘッダー加工
後に550〜650℃で行うが、これにより、上述した
減面伸線加工を行った際に発生する靱性劣化を回復させ
るたり、耐力を向上することができる。時効処理温度が
550℃未満では靱性の回復が不十分となり、650℃
を超えると耐力が低下することがある。なお、時効処理
に要する時間は、代表的に0.3〜3hrである。
【0034】次に、本発明のボルトについて説明する。
本発明のボルトは、上述した本発明のボルト製造方法に
よって得られるものであり、その引張強さは1000〜
1500MPaである。本発明のボルトは、上述の予備
成形を経て得られるため形状精度に優れるとともに、遅
れ破壊感受性が小さく、しかも焼入れ処理を必要とせ
ず、耐力比が高く、優れた特性を有する。
【0035】
【実施例】以下、本発明を、図面を参照して実施例及び
比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実
施例に限定されるものではない。
【0036】以下の実施例と比較例に用いた供試材の化
学組成(開発材及び)を表1に示す。表1に示す各
組成の鋼を2tonアーク炉で溶解し、1tonのイン
ゴットを鋳造して、これを153mm角の鋼片に圧延
し、更にこの鋼片を加熱し、線材コイルに圧延した。ま
た、圧延後の冷却速度を変えて、フェライト面積率を5
〜80%に、伸線率を変えてフェライト粒の平均アスペ
クト比を5以下に調整した。
【0037】
【表1】
【0038】次に、得られた線材コイルを表2に示す加
熱1の温度で加熱し、加熱2の温度で0.1hr恒温保
持した後、表2に示した減面率で引き抜きを実施し、各
例の線材を得た。得られた線材につき、変形抵抗値を測
定するとともに、ボルト予備成形の実現性を調査し、表
2に併記した。なお、変形抵抗値は、各例の線材から切
り出した試験片を冷間で圧下25%プレスした時の値と
した。また、ボルト予備成形は、図4に示す線材径に対
する頭部の張り出し径が得られるかどうかで判断した。
【0039】
【表2】
【0040】また、各例の線材を、誘導加熱装置を用い
て加熱速度400℃/秒で表3に示した温度まで加熱
し、ただちにヘッダー加工し、必要に応じて時効処理を
行って、図4に示すようなボルトを製造した。得られた
ボルトの特性は、引張強さ、0.2%耐力及び耐遅れ破
壊性を調べて評価した。遅れ破壊試験は、ボルトを治具
に取付け、ナット回転角法にてボルトの降伏点まで応力
を付与した後、15%HCl水溶液に2分間浸積し、水
洗、乾燥したものを常温で放置し、48時間後の破損本
数で評価する方法を用いた。それぞれ10本のボルトを
用いて評価した。得られた結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特定組成や性状を有する鋼材を、更に所定の加熱、恒温
保持及び伸線加工に供することとしたため、従来使用さ
れているボルトに比べて、素材及び調質処理コストが低
減し、且つ遅れ破壊感受性が小さいボルトが得られるボ
ルト用鋼材、これを用いたボルト及びその製造方法を提
供することができる。また、本発明によれば、高強度ボ
ルトを良好な製造効率で廉価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のボルト製造方法の一例を示す製造工程図
である。
【図2】従来のボルト製造方法の他の例を示す製造工程
図である。
【図3】本発明のボルト製造方法の一例を示す製造工程
図である。
【図4】ボルトの特性試験に用いたボルトの側面図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 利光 愛知県名古屋市南区大同町2丁目30番地 大同特殊鋼株式会社内 (72)発明者 田中 茂文 埼玉県八潮市大曽根1218 株式会社サンノ ハシ内 (72)発明者 倉冨 英明 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4K032 AA05 AA11 AA16 AA19 AA21 AA31 AA36 BA02 CF01 CF02 CF03 CG01 CH01 CH04 CK02 CK03 4K042 AA25 BA01 BA02 BA05 BA13 CA06 CA08 CA13 DA03 DA04 DA05 DB01 DC01 DC02 DC03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cを0.15〜0.42質量%、Nを
    0.004〜0.035質量%、Mo及び/又はVを
    0.15〜0.80質量%の割合で含有し、フェライト
    面積率が5〜80%で、伸線加工後のフェライト粒の平
    均アスペクト比が5以下である鋼材に、 850〜950℃の加熱、450〜600℃の恒温保持
    及び減面率25〜50%の伸線加工を施して成ることを
    特徴とするボルト用鋼材。
  2. 【請求項2】 Moを0.10〜0.80質量%、Vを
    0.05〜0.30質量%の割合で含有することを特徴
    とする請求項1記載のボルト用鋼材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のボルト用鋼材を用
    いて成るボルトであって、引張強さが1000〜150
    0MPaであることを特徴とするボルト。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のボルトを製造するに当た
    り、ボルト頭部に相当する部位に、冷間で予備成形を施
    すことを特徴とするボルトの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記冷間予備成形を施した予備成形品
    を、ヘッダー加工直前に400〜650℃に加熱し、次
    いで、ヘッダー加工することを特徴とする請求項3記載
    のボルトの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記加熱温度まで20〜2000℃/秒
    で誘導加熱することを特徴とする請求項5記載のボルト
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 ヘッダー加工後に550〜650℃の時
    効処理を行うことを特徴とする請求項4〜6のいずれか
    1つの項に記載のボルトの製造方法。
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US9835194B2 (en) 2011-10-07 2017-12-05 Kobe Steel, Ltd. Steel wire for bolt, bolt, and manufacturing processes therefor
WO2019222988A1 (zh) * 2018-05-25 2019-11-28 南京钢铁股份有限公司 一种屈服强度1100MPa级超细晶高强钢板及其制造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9835194B2 (en) 2011-10-07 2017-12-05 Kobe Steel, Ltd. Steel wire for bolt, bolt, and manufacturing processes therefor
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