JP2001288293A - 熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2001288293A
JP2001288293A JP2000238595A JP2000238595A JP2001288293A JP 2001288293 A JP2001288293 A JP 2001288293A JP 2000238595 A JP2000238595 A JP 2000238595A JP 2000238595 A JP2000238595 A JP 2000238595A JP 2001288293 A JP2001288293 A JP 2001288293A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
layered silicate
chemical substance
composite
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000238595A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3769454B2 (ja
Inventor
Koichiro Iwasa
航一郎 岩佐
Hiroyoshi Sen
裕喜 撰
Naoki Ueda
直樹 植田
Koichi Shibayama
晃一 柴山
Juichi Fukaya
重一 深谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2000238595A priority Critical patent/JP3769454B2/ja
Publication of JP2001288293A publication Critical patent/JP2001288293A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3769454B2 publication Critical patent/JP3769454B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡セル及び層状珪酸塩が、均一かつ微細に
分散されている、熱可塑性樹脂及び層状珪酸塩を含む熱
可塑性樹脂発泡体を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸
塩0.1〜50重量部とを含む複合物の、層状珪酸塩の
層間に体積膨張可能な気体または熱分解型発泡剤を介在
させ、上記気体を体積膨張させることにより、あるいは
熱分解型発泡剤を加熱分解させることにより、発泡セル
6を形成し、それによってX線回折測定により測定され
る層状珪酸塩における平均層間距離が60Å以上である
熱可塑性樹脂発泡体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂と層
状珪酸塩とを含む熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法
に関し、均一微細な発泡セルが均一に分散されている熱
可塑性樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂の機械的物性、熱的特性ま
たはガスバリヤー性等の性質を改善するために、層状珪
酸塩を熱可塑性樹脂中に分散させる方法が知られてい
る。粘土鉱物を構成している層状珪酸塩では、極めて微
細な薄片状結晶がイオン結合により凝集されている。こ
の凝集構造を化学的または物理的な手段により離砕し、
熱可塑性樹脂中に薄片状結晶を均一に分散させることに
より、上記熱可塑性樹脂の特性が改善される。
【0003】例えば特公平8−22946号公報には、
アミノカルボン酸を層状珪酸塩にインターカレートする
ことで層間の間隔を予め拡げておき、次いでポリアミド
モノマーであるε−カプロラクタムを層間に挿入させる
と同時に重縮合させることによって、ポリアミド樹脂中
に層状珪酸塩の薄片を均一に分散させた構造を形成する
ことができることが開示されている。
【0004】しかし、ポリアミドのようにモノマーを層
状珪酸塩の層間に挿入できるもの以外のポリマーでは、
層状珪酸塩をマトリックス中に均一分散させることは一
般に極めて困難である。この問題を解決するために、種
々の試みがなされている。
【0005】例えば特開平9−183910号公報に
は、有機化層状珪酸塩を膨潤分散させた有機分散液とビ
ニル系高分子化合物とを溶解状態で混合することによっ
て、層状珪酸塩をポリマー中に分散する方法が開示され
ている。特開平10−182892号公報には、有機化
層状珪酸塩と、水素結合性官能基を含有するポリオレフ
ィンオリゴマーと、ポリオレフィンポリマーとを溶融混
練することによって、層状珪酸塩の層間がポリマー中で
無限膨潤しているポリオレフィン系樹脂複合材料を調製
し得ることが開示されている。
【0006】他方、樹脂の軽量化、低コスト化または意
匠性付与を果たすために、樹脂を発泡体として用いるこ
と、さらには、発泡体の機械強度、断熱性能、衝撃吸収
性能等を高めるために発泡体中に無機フィラーを含有さ
せることが従来より行われている。例えば、特開平8−
143697号公報には、ポリプロピレン発泡体組成物
中に層状珪酸塩を含有させることにより、前記発泡体の
強度等の物性が改善されると記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9−183910号公報の記載の方法では溶媒の使用が
必須であり、得られる複合材料では、残存溶媒が抜け切
らないためか、曲げ弾性率等の強度が十分なものとはい
えなかった。さらに、ポリマーの溶解工程、有機化層状
珪酸塩の膨潤化工程、及び溶媒除去工程等の煩雑な工程
を含むため、この先行技術の方法は、現実に工業的に実
施するのは困難である。
【0008】また、特開平10−182892号公報記
載の、層状珪酸塩の結晶薄片をポリマー中に均一に分散
させた材料を工業材料として使用することは、実際には
極めて困難であった。
【0009】すなわち、ポリオレフィンオリゴマー中の
官能基と層状珪酸塩表面の水酸基とを溶融混練中に反応
させるため、層状珪酸塩の水酸基が前記ポリオレフィン
オリゴマーの官能基により必ずしも効率的に処理されな
かった。そのため、実際に層状珪酸塩の均一分散を達成
するためには、多量のポリオレフィンオリゴマーが必要
であった。このようなオリゴマー成分がポリマー中に多
量に含有されることは、物性及びコストの点から好まし
くない。
【0010】一方、上記特開平8−143697号公報
には、ポリプロピレン発泡体組成物中に発泡剤を吸着し
た層状珪酸塩を含有させることにより、高発泡倍率・高
強度のポリプロピレン発泡体が得られることが開示され
ている。しかしながら、層状珪酸塩の凝集構造を解砕
し、薄片状結晶を樹脂中に均一分散させることについて
は考慮されておらず、層状珪酸塩を配合した効果は十分
に引き出されていない。また、予め特定の発泡剤を層状
珪酸塩に吸着させておかなければならず、このような多
段処理を要するので、生産性が低下する。さらにシラン
カップリング剤を用いることが必須であり、コスト的に
高くなると共に、空気中の水分と結合しやすく不安定で
取扱いが難しい。
【0011】本発明は、上記従来の熱可塑性樹脂と層状
珪酸塩とからなる熱可塑性発泡体組成物及びその製造方
法の問題点に鑑み、発泡セル及び層状珪酸塩が、均一か
つ微細に分散されている、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩と
を含む熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の広い局面によれ
ば、熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1〜
50重量部を主成分として含むことを特徴とする熱可塑
性樹脂発泡体が提供される。
【0013】本発明のある特定の局面では、上記熱可塑
性樹脂発泡体において、X線回折測定によって検出され
る上記層状珪酸塩の平均層間距離は60Å以上である。
本発明の他の特定の局面では、平均気泡径をX(μ
m)、発泡倍率をYとしたときに、X/(Y−1)1/3
が30(μm)以下である。
【0014】本発明の他の特定の局面では、上記熱可塑
性樹脂としてポリオレフィン系樹脂が用いられる。本発
明に係るさらに他の特定の局面では、上記層状珪酸塩と
して、スメクタイト系粘土鉱物及び雲母のうち少なくと
も1種が用いられる。
【0015】本発明の別の特定の局面では、上記ポリオ
レフィン系樹脂として、ポリエチレン、エチレン−α−
オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、
ポリプロピレン及びプロピレン−α−オレフィン共重合
体からなる群から選択した少なくとも1種が用いられ
る。
【0016】本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造方
法のある広い局面によれば、熱可塑性樹脂100重量部
及び層状珪酸塩0.1〜50重量部を含む複合物の、前
記層状珪酸塩の層間に体積膨張可能な化学物質を含浸さ
せる工程と、前記化学物質を前記複合物内で体積膨張さ
せることにより気泡を形成し、熱可塑性樹脂発泡体を得
る工程とを備える方法が提供される。
【0017】上記製造方法のある特定の局面では、前記
化学物質を含浸させる工程が、常温常圧でガス状の化学
物質を高圧下で含浸することにより行われ、かつ前記複
合物内で化学物質を体積膨張させるに際し、前記化学物
質を複合物内で気化させることにより行われる。
【0018】本発明に係る上記製造方法の別の特定の局
面では、前記化学物質を複合物に含浸させるにあたり、
常温常圧でガス状の前記化学物質を超臨界状態で含浸さ
せる。
【0019】本発明の製造方法の他の広い局面によれ
ば、熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1〜
50重量部を含む複合物の、前記熱分解型発泡剤が層状
珪酸塩の層間に熱分解型発泡剤が含有されている複合物
を用意する工程と、前記複合物を熱分解型発泡剤の分解
する温度よりも高い温度に加熱して発泡構造を形成する
工程とを備えることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の
製造方法が提供される。
【0020】本発明に係る製造方法のさらに他の広い局
面によれば、熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩
0.1〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物に、体積
膨張可能な化学物質を、キャビティを有する射出成形機
内で高圧下で含浸させる工程と、次に、前記化学物質を
含浸させた熱可塑性樹脂組成物を前記射出成形機のキャ
ビティ内に射出した後、該キャビティを拡張させる方法
が提供される。
【0021】該製造方法の特定の局面では、上記常温常
圧で気体の化学物質は、射出成形機内において超臨界状
態で含浸される。また、好ましくは、上記製造方法にお
いて、層状珪酸塩としては、層間が疎水化されたものが
用いられる。
【0022】以下、本発明の詳細を説明する。本発明に
おいて最も注目すべきことは、層状珪酸塩の層間の化学
物質を樹脂中で体積膨張させることにより、有機ポリマ
ー中に層状珪酸塩の薄片状結晶が均一に分散され、微細
な発泡構造を容易に形成し得ることにある。
【0023】以下、本発明におけるメカニズムについて
詳述する。図1及び図2に略図的に示すように、一般に
層状珪酸塩1の薄片状結晶2,3は、例えば、図1に示
すモンモリロナイトのように、珪素等のイオンの周りに
4つの酸素イオンが配位した4面体、アルミニウム等の
イオンの周りに6つの酸素イオンが配位した8面体、及
びOH基から構成され、各々の薄片状結晶2,3は、結
晶表面(B)上にナトリウムやカルシウム等のカチオン
が配列することによりイオン結合力により結びつけられ
ている。
【0024】一般に、結晶表面(B)上のナトリウムや
カルシウム等のイオンは、カチオン性物質とのイオン交
換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を層
間に挿入することができる。この性質を利用し、該イオ
ンをカチオン性界面活性剤とイオン交換することが可能
であり、これに使用するカチオン性界面活性剤として非
極性性の高いカチオン種を用いることで、層状珪酸塩
(B)は非極性化され、非極性ポリマー中における層状
珪酸塩は分散しやすくなる。
【0025】さらに、このような、層状珪酸塩の薄片を
分散させるためには、結晶表面(B)同士の電気的相互
作用を相殺または低下させるエネルギーを層間に与え、
薄片状結晶2,3間を遠ざける必要がある。
【0026】そのため、本発明では、熱可塑性樹脂と層
状珪酸塩との複合物に対し、体積膨張可能な化学物質を
熱可塑性樹脂及び層状珪酸塩の層間に挿入するかもしく
は層状珪酸塩の層間に熱分解型の物質を含有せしめる。
引き続いて、化学物質の体積膨張または熱分解型発泡剤
の加熱による分解により、薄片状結晶同士を分離するの
に十分なエネルギーが付与される。
【0027】さらに、図3に模式的に示すように、本発
明によると、上記化学物質としての気体もしくは熱分解
型発泡剤の分解によるガスが熱可塑性樹脂と層状珪酸塩
5との複合物中で膨張する際に、層状珪酸塩の薄片状結
晶5Aが隔壁として作用するために、熱可塑性樹脂分子
鎖4の間からの気体の過剰な拡散が抑制される。これに
より、微細かつ均一に発泡セル6が分散した発泡体が必
然的に得られる。また気体の過剰な拡散が抑制されるこ
とからガス抜けが生じにくく、必然的に高い発泡倍率を
得ることも可能である。
【0028】従来、発泡体の製造の際には、発泡セルの
巨大化による発泡体の強度低下等を抑制するために、種
々の手段、例えば、発泡剤の粒径を微細化する、発泡核
となる微小添加物を加えるといった方法が講じられてい
たが、本発明では、これらとは全く異なる手法により簡
便に微細かつ均一な発泡セルが得られる。
【0029】本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍
率Yは、1.01〜100が好ましく、この発泡倍率Y
の範囲において、上記熱可塑性樹脂発泡体の平均気泡径
をX(μm)は、下記の式(1)を満足することが好ま
しい。 平均気泡径X/(発泡倍率Y−1)1/3≦30・・・(1) 上記式(1)の値が30を超えると、熱可塑性樹脂発泡
体の断熱性能、圧縮強度、曲げクリープ等の物性が低下
する。
【0030】本発明において、上記層状珪酸塩とは、多
数の微細な薄片状結晶からなる複数の層を有し、層間に
被交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。この
薄片状結晶は、通常、厚さが約1nmであり、その長径
と厚みの比(以下、アスペクト比とする)が約20〜2
00程度である。層状珪酸塩では、これらの微細な薄片
状結晶がイオン結合により凝集されている。
【0031】上記層間に被交換性陽イオンを有する層状
珪酸塩の種類は特に限定されず、例えば、モンモリロナ
イト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、ステ
ィブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土
鉱物;バーミキュライト、ハロイサイト等の天然雲母;
または膨潤性雲母(膨潤性マイカ)等の合成雲母を挙げ
ることができ、天然物であってもよく合成されたもので
あってもよい。好ましくは、膨潤性スメクタイト系粘土
鉱物または膨潤性雲母が用いられる。
【0032】また、上記層状珪酸塩は2種以上併用され
てもよい。本発明では、層状珪酸塩の薄片状結晶が隔壁
として気泡成長を抑制し、気体の抜けを抑制するように
作用するので、高いアスペクト比を有する薄片状結晶が
凝集されている層状珪酸塩を用いることにより、微細な
発泡セル構造や高い発泡倍率を実現することができる。
このため、薄片状結晶のアスペクト比が100以上の層
状珪酸塩が好ましく、特に、薄片状結晶のアスペクト比
が約100以上の値を有するモンモリロナイト及びアス
ペクト比が約150程度の値を有する膨潤性マイカが、
より好ましく用いられる。
【0033】上記層状珪酸塩は、層間が疎水化されたも
のであることが好ましい。特に、熱可塑性樹脂としてポ
リオレフィン系樹脂などの非極性樹脂を用いる場合に
は、層状珪酸塩と熱可塑性樹脂との間に高い親和性が得
られるので、層間を疎水化しておくことが好ましい。
【0034】層間を疎水化する方法としては、例えば、
以下の(1)〜(3)の方法が挙げられる。 (1)層状珪酸塩の層間に存在する被交換性陽イオンを
カチオン系界面活性剤によりイオン交換する方法 一般に層状珪酸塩の層間(すなわち薄片状結晶表面)に
存在する被交換性陽イオンは、通常、ナトリウムやカル
シウムなどのイオンであり、これらのイオンは、カチオ
ン系界面活性剤の交換性陽イオンとイオン交換性を有す
る。従って、交換性陽イオンを有する種々のカチオン系
界面活性剤を層間に挿入することができる。
【0035】よって、極性の低いカチオン系界面活性剤
を用いて、上記被交換性陽イオンをカチオン系界面活性
剤の交換性イオンとイオン交換することにより、層状珪
酸塩の結晶表面が非極性化または低極性化され、非極性
樹脂中における層状珪酸塩の分散性を高めることができ
る。
【0036】上記被交換性陽イオンは、上述したよう
に、通常、ナトリウムやカルシウムなどのアルカリ金属
またはアルカリ土類金属のイオンであり、上記交換性陽
イオンとしては、上記被交換性陽イオンよりも卑または
同等のイオンが用いられる。
【0037】なお、被交換性陽イオンと同等のイオンを
用いる場合には、交換性陽イオンの濃度は、被交換性陽
イオンの濃度よりも高ければよい。 (2)層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、水酸
基と化学結合するかまたは化学親和性を有する官能基、
及び/または反応性官能基を1個以上分子末端に有する
化合物により化学修飾する方法 (3)層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン系界面活性剤
及び/またはアニオン性界面活性能を有する試剤であっ
て、分子中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個ま
たは2個以上含有する化合物により化学修飾する方法 上記(1)〜(3)の方法は、1種のみを用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0038】疎水化された層状珪酸塩は、疎水化されて
いない層状珪酸塩よりもポリオレフィン系樹脂などの非
極性または低極性樹脂中に分散されやすいので、好適に
用いられる。
【0039】上記カチオン系界面活性剤としては特に限
定されず、通常用いられるカチオン系界面活性剤が用い
られ、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム
塩等を主体成分とするものが挙げられ、好ましくは、炭
素数8以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩が
用いられる。炭素数が8以上のアルキル鎖を含有しない
場合には、アルキル基アンモニウムイオンの親水性が強
く、層状珪酸塩の層間を十分に非極性または低極性化す
ることが困難となる。
【0040】上記4級アンモニウム塩としては、例え
ば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルト
リメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム
塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂
ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアン
モニウム塩等が挙げられる。
【0041】上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量は特に
限定されないが、少なすぎると結晶層間にイオン交換に
よりインターカレートされるカチオン系界面活性剤の量
が少ないために、層間が十分に疎水化されない場合があ
り、多すぎると層状珪酸塩の層間の結合力が強固とな
り、結晶薄片をデラミネート(層間剥離)することが困
難な場合があるので、50〜200ミリ当量/100g
であることが好ましい。
【0042】上記層状珪酸塩の薄片状結晶は、発泡時
に、気泡成長を抑制する隔壁として作用する。従って、
層状珪酸塩の添加量が少なすぎると、微細な発泡セル構
造を有する発泡体を得ることができず、多すぎると、曲
げ強度の低下や生産コストの上昇を招くため、熱可塑性
樹脂100重量部に対し、0.1〜50重量部の範囲で
用いることが必要であり、好ましくは2〜10重量部の
範囲で用いられる。
【0043】層状珪酸塩を用いて、より均一な熱可塑性
樹脂発泡体を得るには、層状珪酸塩が熱可塑性樹脂中に
分散したときの層状珪酸塩の平均層間距離(X線回折に
より測定した層状珪酸塩の(001)面の平均層間距
離)が60Å以上であることが好ましい。
【0044】熱可塑性樹脂としては、特に限定はされな
いが、ポリオレフィン系樹脂、EVA系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS系樹脂、ポリビ
ニルブチラール系樹脂、各種ゴムなどが好ましく用いる
ことができる。さらに、ポリオレフィン系樹脂等の結晶
性樹脂がより好ましく用いられる。
【0045】結晶性樹脂は非溶融状態において結晶部位
の存在により形状保持効果が高いため、後述の化学物質
を熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との複合物中で体積膨張さ
せる際に、発泡体の形状を保持しやすい。
【0046】本発明において用いられるポリオレフィン
系樹脂については、特に限定されず、エチレン、プロピ
レンまたはα−オレフィンの単独重合体;エチレンとプ
ロピレンの共重合体、エチレンとα−オレフィンの共重
合体、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、2種以
上のα−オレフィンの共重合体等が挙げられる。上記α
−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペン
テン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−
ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。
【0047】また、これらのポリオレフィン系樹脂は単
独で用いられてもよいし、2種以上混合されて用いられ
てもよい。また、上記ポリオレフィン系樹脂の分子量及
び分子量分布は特に限定されるものではなく、重量平均
分子量は、好ましくは、5,000〜5,000,00
0、より好ましくは20,000〜300,000であ
り、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量M
n)は、好ましくは、2〜80、より好ましくは3〜4
0とされる。
【0048】上記熱可塑性樹脂には適宜、他種の高分子
化合物がアロイ化またはブレンドされていても構わな
い。例えば、マレイン酸等のカルボン酸をグラフトした
高分子化合物を少量添加しておき、予め熱可塑性樹脂と
層状珪酸塩との親和性を高めておいてもよい。
【0049】本発明に使用される熱可塑性樹脂には、所
望の物性を得るために、必要に応じて、例えば、酸化防
止剤、耐光剤、紫外線吸収剤、滑剤等、難燃剤、帯電防
止剤等の添加剤が適宜添加されていても構わない。結晶
核剤となり得るものを少量添加して、結晶を微細化し
て、物性の均一化を高めることも可能である。
【0050】本発明において、用いられる層状珪酸塩の
層間に挿入される化学物質とは、熱可塑性樹脂が結晶性
樹脂の場合には、(融点−20℃)〜(融点+20℃)
の範囲で、非晶性樹脂の場合には(ガラス転移点−20
℃)〜(ガラス転移点+20℃)の範囲で、気体状態で
ある有機もしくは無機質の任意のガスを用いることがで
きる。このような気体としては、例えば、二酸化炭素
(炭酸ガス)、窒素、酸素、アルゴンもしくは水;また
は、フロン、低分子量の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水
素、アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メ
シチレン等の有機ガス等が挙げられる。特に、常温(2
3℃)常圧(大気圧)で気体であるガスが好適に用いら
れる。
【0051】上記低分子量の炭化水素としては、ペンタ
ン、ブタン、ヘキサン、塩素化脂肪族炭化水素として
は、塩化メチル、塩化メチレンが挙げられる。また、各
種フッ化脂肪族炭化水素も用いることができる。
【0052】上記化学物質としては、ガスの回収が不要
であり、取り扱いが安全であるため、二酸化炭素が好適
に用いられる。二酸化炭素は、比較的低い温度及び低い
圧力により超臨界化することができ、超臨界流体時に層
状珪酸塩の分散に対してより効果的に作用する。超臨界
状態とは、含浸すべき化学物質の臨界点よりも温度及び
圧力が高い状態を言い、気体と液体との区別がなく、気
体と液体との中間的な性質を持ち、熱伝導性が高く、拡
散速度が速く、粘性が小さいという性質を有する。従っ
て、超臨界流体は、層状珪酸塩を分散させる上で好適で
ある。
【0053】なお、上記化学物質は常温で液体であって
もよく、このような化学物質の例としては、ペンタン、
ネオペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの飽和炭化水
素、あるいは塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジク
ロルエタンなどの塩素系化合物、CFC−11、CFC
−12、CFC−113、CFC−141bなどのフッ
素系化合物が挙げられる。
【0054】上記化学物質を熱可塑性樹脂及び層状珪酸
塩を含む複合物の層状珪酸塩の層間に含浸させる方法に
ついては、特に限定されないが、例えば、密閉したオー
トクレーブ中に化学物質としての気体を封入し、圧力を
加える方法を挙げることができる。この方法では、圧力
及び温度のコントロールが容易である。
【0055】熱可塑性樹脂を溶融押出機に投入し、スク
リューとしてベントタイプスクリューを用い、シリンダ
ーの途中からベント部分に上記気体を注入してもよい。
この場合、溶融状態の樹脂に圧力シールを行うことによ
り、熱可塑性樹脂及び層状珪酸塩を含む複合物に対し
て、効果的に上記化学物質を含浸させることができ、連
続的に熱可塑性樹脂発泡体を製造することができる。
【0056】好ましくは、上記化学物質として常温常圧
で気体であるガスを用いる場合、該化学物質を熱可塑性
樹脂と層状珪酸塩との複合物に含浸させる際のガスの圧
力は、9.8×105Pa以上であることが好ましく、
9.8×106Pa以上がさらに好ましい。
【0057】また、上記化学物質としての常温常圧で気
体のガスが超臨界流体となる条件は、化学物質の種類に
より異なる。前述したように二酸化炭素は、比較的穏や
かな条件で超臨界状態の性質を示し、例えば、60℃及
び60気圧で超臨界流体となる。
【0058】上記化学物質を熱可塑性樹脂と層状珪酸塩
との複合物に含浸させる温度については、複合物が劣化
しない温度であれば特に限定されない。もっとも、温度
が高い程、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩を含む複合物に対
する上記化学物質の溶解量が上昇し、高い発泡倍率が得
られる。従って、含浸温度は高い方が好ましく、良好な
発泡状態を得るには、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合
には、(融点−20℃〜融点+20℃)の範囲がより好
ましく、非晶性樹脂の場合には、(ガラス転移点−20
℃〜ガラス転移点+20℃)の範囲の温度がより好まし
い。
【0059】上記化学物質を含浸する温度が、(融点+
20℃)または(ガラス転移点+20℃)よりも高い場
合には、熱可塑性樹脂の分子運動が活発化し、複合物中
に溶解した化学物質が複合物から抜け易くなることにな
る。他方、化学物質を含浸する温度が、融点またはガラ
ス転移点より低い場合には、熱可塑性樹脂の分子運動が
十分でないため、複合物に化学物質を十分に溶解させる
ことができないことがある。
【0060】本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造に
際しては、上記化学物質を複合物に含浸させた後、熱可
塑性樹脂と層状珪酸塩との複合物中で化学物質を膨張さ
せることにより行われる。化学物質の体積膨張を果たす
方法については、化学物質の種類に応じて適宜選ばれ、
相対的に高い圧力で、上記化学物質としての気体を複合
物に含浸させた後に、圧力を低めることにより、あるい
は加熱することにより行われる。
【0061】上記化学物質を複合物中で体積膨張させる
温度については、特に限定されず、熱可塑性樹脂が結晶
性樹脂の場合には、(融点−50℃〜融点+10℃)の
範囲が好ましく、非晶性樹脂の場合には、ガラス転移点
−50℃〜ガラス転移点+50℃の範囲が好ましい。す
なわち、体積膨張温度が、(融点+10℃)または(ガ
ラス転移点+50℃)より高い場合には、溶解した気体
が容易に抜けるため、発泡体としての構造を維持するこ
とが困難となり、体積膨張温度が融点もしくはガラス転
移点−50℃よりも低い場合には、熱可塑性樹脂の分子
運動が拘束され、高い発泡倍率を得ることができない。
【0062】また、前述したように、本発明のある広い
局面では、熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩
0.1〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物に、常温
常圧で気体の化学物質を、キャビティを有する射出成形
機内で高圧下で含浸させ、次に、上記化学物質が含浸さ
れた熱可塑性樹脂組成物を射出成形機のキャビティ内に
射出した後、該キャビティを拡張することにより発泡構
造が得られる。ここで用いられる熱可塑性樹脂、層状珪
酸塩及び常温常圧で気体の化学物質については、前述し
たものが用いられる。もっとも、ガスの回収が不要であ
り、安全に取り扱い得るので、二酸化炭素が好ましい。
【0063】また、上記化学物質を射出成形機内で高圧
下で含浸させる方法についても、前述した方法により行
うことができる。上記化学物質が含浸された熱可塑性樹
脂組成物を、上記のように射出成形機のキャビティに射
出した後、該キャビティを拡張させる。
【0064】上記キャビティを拡張する方向は、上記射
出成形用金型のパーティング面と直交する方向が、可動
側金型を後退させるだけでよいので好ましいが、必要に
応じて、スライドコア等を用いて、パーティング面方向
に拡張してもよい。
【0065】上記キャビティを拡張するときのキャビテ
ィの大きさは、所望とする発泡体の発泡倍率により適宜
調整すればよいが、小さすぎると発泡体としての性質
(軽量で、断熱性等)が発揮しにくく、また、大きすぎ
ると拡張されたキャビティに十分に熱可塑性樹脂組成物
が行き渡らず、所望とする発泡体の発泡倍率や形状が得
られないことがあるので、拡張前のキャビティの2〜3
0倍が好ましい。
【0066】また、キャビティを拡張する際に要する時
間は、所望とする発泡体の発泡倍率、形状、及び、上記
熱可塑性樹脂組成物の伸張粘度によって異なり、さら
に、キャビティを拡張する手段に限界があるが、短いほ
ど伸張粘度の高い状態で発泡を行うため、破泡を防止で
き、微細なセル構造を有する発泡体を得ることができる
ので、0.5〜5秒が好ましい。
【0067】好ましくは、上記射出成形機内において、
上記化学物質を含浸させる際に、上記化学物質が超臨界
状態とされ、それによって層状珪酸塩の薄片状結晶の分
散性をより一層高めることができる。
【0068】上記のように、化学物質が含浸された熱可
塑性樹脂組成物を、キャビティ内に射出した後、キャビ
ティを拡張することにより、キャビティ内で印加された
圧力が急激に解放される。従って、層状珪酸塩同士の電
気的引力に打ち勝つエネルギーが付与され、層状珪酸塩
の薄片状結晶を剥離することができる。また、上記のよ
うに、化学物質を超臨界流体状態で熱可塑性樹脂組成物
に含浸させた場合、キャビティの拡張により、化学物質
を急激にガス化させることができる。この場合、超臨界
状態からガス状態への体積変化は、急激かつ大きな体積
膨張を伴う。従って、層状珪酸塩の薄片状結晶を剥離す
るのに十分なエネルギーを付与することができ、薄片状
結晶の分散性をより一層高めることができる。
【0069】上記のように、キャビティの拡張により発
泡構造を形成する本発明の製造方法の一実施形態を、図
4〜図6を参照して説明する。図4は、本実施形態に使
用される射出成形機の一例を示す断面図である。
【0070】図4において、11は射出成形機、12は
射出成形用金型、16はベント部である。図4に示すよ
うに、本実施形態に使用される射出成形機は、射出成形
機本体11と射出成形用金型12とからなる。
【0071】射出成形機本体11には、スクリュー13
が内蔵されたシリンダー14と、シリンダー14内に熱
可塑性樹脂組成物を供給するホッパー15と、ガス圧入
装置61からシリンダー14内に化学物質を注入するベ
ント部16とが備えられている。
【0072】図5は、本実施形態に使用される射出成形
用金型の型締めした状態を示す断面図であり、図6は、
上記射出成形用金型のキャビティが拡張された状態を示
す断面図である。
【0073】図5、図6において、12は射出成形用金
型、23はキャビティである。図5、図6に示すよう
に、本実施形態に使用される射出成形用金型は、固定側
金型21と、可動側金型22とを有する。型締めしたと
きに、固定側金型21と可動側金型22との間にキャビ
ティ23が形成される。
【0074】本実施形態においては、図4に示した射出
成形機本体11のホッパー15に、上述した熱可塑性樹
脂組成物を供給すると共に、ガス圧入装置61から常温
常圧で気体の化学物質を、ベント部16を介してシリン
ダー14内に注入する。
【0075】この際、シリンダー内を高圧にして、ま
た、化学物質が超臨界状態になる温度及び圧力で、化学
物質を熱可塑性樹脂組成物に含浸させる。この場合、溶
融状態の熱可塑性樹脂組成物により圧力シールを行うこ
とにより、高圧または超臨界状態にある化学物質を熱可
塑性樹脂組成物により効果的に含浸することができる。
【0076】次に、図5に示した射出成形用金型12の
スプルー24からキャビティ23内に、化学物質が含浸
された熱可塑性樹脂組成物25が射出される。次いで、
図6に示したように、射出成形用金型12の可動側金型
22を後退させ、キャビティ23を拡張する。
【0077】このようにすることにより、キャビティ2
3に射出された熱可塑性樹脂組成物25が発泡し、熱可
塑性樹脂発泡体を得ることができる。図7は、本実施形
態に使用される射出成形機の別の例を示す断面図であ
る。
【0078】図7において、17は気密容器であり、図
7に示すように、射出成形機本体11には、スクリュー
13が内蔵されたシリンダー14と、シリンダー14内
に熱可塑性樹脂組成物を供給するホッパー15と、ガス
圧入装置70からシリンダー14内に化学物質を注入す
る気密容器17とが備えられている。
【0079】本実施形態においては、図7に示した射出
成形機本体11のホッパー15に、上述した熱可塑性樹
脂組成物を供給すると共に、ガス圧入装置70から常温
常圧で気体の化学物質を気密容器17に供給し、ホッパ
ー15内に供給された熱可塑性樹脂組成物内に高圧で、
または、化学物質が超臨界状態になる温度及び圧力で含
浸させ、シリンダー14内に注入する。
【0080】以下、図4〜図6を参照して説明した方法
と同様にして、熱可塑性樹脂発泡体を得ることができ
る。前述したように、本発明のさらに別の広い局面によ
れば、熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1
〜50重量部を含む組成物の、上記層状珪酸塩の層間に
熱分解型発泡剤が含有されている複合物を用意し、該複
合物を熱分解型発泡剤の分解する温度よりも高い温度に
加熱することにより、熱可塑性樹脂発泡体が得られる。
ここで用いられる熱可塑性樹脂及び層状珪酸塩について
は、前述したものを同様に用いることができる。
【0081】上記熱分解型発泡剤とは、加熱により分解
し、ガスを発生する物質であり、例えば、アゾジカルボ
ンアミド、ベンゼンスルホニウムヒドラジド、ジニトロ
ソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒド
ラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒド
ラジド)等が挙げられる。
【0082】上記熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の層間に
含有させる方法としては、特に限定されるものではない
が、例えば以下に示す方法を用いることができる。発
泡剤の末端のアミンに塩酸を作用させることにより、発
泡剤を4級アミン化し、予め金属イオンを層間に含有す
る層状珪酸塩の金属イオンと4級アミンとを水中でイオ
ン交換することにより、発泡剤を層間に含有させる。一
般に汎用の熱分解型発泡剤は末端にアミンを有するもの
が多く、該手法が好適に用いられる。
【0083】層状珪酸塩の層間に存在する金属イオン
に、水中で熱分解型発泡剤を溶媒和させる。一般に、汎
用の熱分解型発泡剤は、窒素や、炭素−炭素二重結合と
いった、金属との間に配位結合を形成するサイトを含有
するものが多く、該手法が好適に用いられる。
【0084】上記熱分解型発泡剤を層状珪酸塩の層間に
含有せしめる温度については、該複合物が劣化しない温
度及び該熱分解型発泡剤が分解しない温度であれば、い
かなる温度でもよい。
【0085】上記熱分解型発泡剤を熱可塑性樹脂中で発
泡させる温度については、特に限定されない。本発明に
より得られる熱可塑性樹脂発泡体では、層状珪酸塩の薄
片状結晶が発泡時の隔壁として作用するため、均一かつ
微細な発泡セルを有する。従って、均一かつ微細な発泡
セルを有する発泡体として、本発明に係る熱可塑性樹脂
発泡体は様々な用途に好適に用いることができる。もっ
とも、本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体は、そのまま用
いられずともよい。すなわち、発泡体としての特性がさ
ほど要求されず、層状珪酸塩の分散による補強効果等を
主として利用する場合には、発泡倍率は低くともよく、
あるいは本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体を加熱あるい
はプレス等により破泡し、ソリッド体として用いてもよ
い。また、本発明により得られた熱可塑性樹脂発泡体
を、マスターバッチとして用い、次の成形プロセスに提
供してもよい。
【0086】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を挙げるこ
とにより、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下
記の実施例に限定されるものではない。
【0087】〔用いた原材料〕 (a)層状珪酸塩 層状珪酸塩として、以下の鉱物を用いた。
【0088】モンモリロナイト:豊順鉱業社製モンモ
リロナイト(商品名:ベンゲルA) 膨潤性マイカ:コープケミカル社製膨潤性マイカ(商
品名:ME−100) (b)カチオン系界面活性剤含有層状珪酸塩 カチオン系界面活性剤を含有する層状珪酸塩として、以
下の市販品を用いた。
【0089】DSDM変性モンモリロナイト:豊順鉱
業社製DSDM変性モンモリロナイト(商品名:ニュー
エスベンD、ジステアリルジメチルアンモニウムクロラ
イドによりモンモリロナイトの層間のナトリウムイオン
を全量イオン交換してなる有機化モンモリロナイト) DSDM変性膨潤性マイカ:コープケミカル社製DS
DM変性膨潤性マイカ(商品名:MAE、ジステアリル
ジメチルアンモニウムクロライドにより層間のナトリウ
ムイオンを全量イオン交換してなる有機化膨潤性マイ
カ) (c)複合物に含浸される化学物質 上記化学物質としては、以下のものを用いた。
【0090】二酸化炭素(炭酸ガス) 窒素 ペンタン キシレン 水 (d)層状珪酸塩の層間に挿入される熱分解型発泡剤 熱分解型発泡剤として、以下のものを用いた アゾジカルボンアミド(永和化成社製) ベンゼンスルホニルヒドラジド(永和化成社製) (e)熱可塑性樹脂 ポリプロピレン:(日本ポリケム社製、商品名:EA
9、密度0.91、MFR(メルトフローレート)=
0.5) ポリエチレン:(日本ポリケム社製、商品名:HB5
30、密度0.96、MFR=0.5) ポリエチレン:(日本ポリケム社製、商品名:UE3
20、密度0.92、MFR=0.7) ポリビニルブチラール:(積水化学社製、商品名:B
H−5、ガラス転移温度65℃) (f)酸変性ポリオレフィン樹脂 熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との親和性を高めるために、
また、従来例との比較のために、以下の酸変性ポリオレ
フィン樹脂を用いた。
【0091】無水マレイン酸変性ポリプロピレンオリ
ゴマー:(三洋化成社製、商品名:ユーメックス100
1、官能基含有量=0.23mmol/g) 無水マレイン酸変性ポリエチレンオリゴマー:(三洋
化成社製、商品名:ユーメックス2000、官能基含有
量=0.92mmol/g)
【0092】(実施例1〜14及び比較例1〜6)下記
の表1に、実施例1〜14及び比較例1〜6で用いた上
記各原材料を示した。 1)発泡体サンプルの作製 東洋精機社製ラボプラストミル中に、熱可塑性樹脂と層
状珪酸塩とを下記の表1に示す重量比率で供給し、17
0℃の設定温度で溶融混練した。なお、層状珪酸塩につ
いては、下記の表1に示すように、上述した層状珪酸塩
あるいはカチオン系界面活性剤含有層状珪酸塩を用い
た。また、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との親和性を高め
るために、実施例5〜10,12及び比較例2,3では
上記酸変性ポリオレフィン樹脂を熱可塑性樹脂100重
量部に対し、下記の表1に示す割合で添加した。
【0093】得られた複合組成物を溶融プレスにて、1
70℃で5分間予熱し、1分間9.8MPaにて押圧す
ることにより、1mmの厚みのシート状物を成形した。
得られたシート状物を3cm角に切り出し、オートクレ
ーブ中に密閉し、熱可塑性樹脂の融点またはガラス転移
点よりも10℃高い温度にオートクレーブの内部温度を
設定した。次に、炭酸ガス、窒素または水蒸気をオート
クレーブ内に高圧にて注入し、オートクレーブ内の内圧
が1.67MPaの状態に30分間保持した。さらに、
オートクレーブ内の温度を、熱可塑性樹脂の融点または
ガラス転移点よりも10℃低い温度に設定し、この状態
に一気にオートクレーブ内のガスを抜き、内圧を常圧ま
で戻した。このようにして、発泡体サンプルを得た。
【0094】(実施例15〜24及び比較例9) 層間に熱分解型発泡剤が含有されている層間化合物の
作製 蒸留水1Lに対し、豊順鉱業社製、モンモリロナイトま
たはコープケミカル社製膨潤性マイカを20g添加し、
攪拌モータにより常温で1時間攪拌し分散スラリーを得
た。得られた分散スラリーに、熱分解型発泡剤発泡剤と
してアゾジカルボンアミドまたはベンゼンスルホニルヒ
ドラジドを40g添加し、攪拌モータにより常温で30
分間攪拌した。さらに、このスラリーに、ジステアリル
ジメチルアンモニウムクロライドを8g添加し、攪拌モ
ータにより常温で1時間攪拌した。このようにして得ら
れたスラリーを遠心分離により固液分離し、60℃で2
4時間真空乾燥し、熱分解型発泡剤が層間に含有された
層間化合物を得た。
【0095】東洋精機社製ラボプラストミル中に、下記
の表3に示す熱可塑性樹脂と、層状珪酸塩とを、下記の
表3に示す重量比率となるように供給し、設定温度17
0℃で溶融混練した。なお、層状珪酸塩としては、実施
例15〜24では、層間にアゾジカルボンアミドを含有
させたモンモリロナイトまたは膨潤性マイカを用いた。
【0096】また、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との親和
性を高めるために、実施例19〜23及び比較例8,9
では、熱可塑性樹脂100重量部に対し、下記の表3に
示す割合の酸変性ポリオレフィンとを添加した。
【0097】得られた複合組成物を溶融プレスにて17
0℃で5分間予熱し、1分間、9.8MPaの圧力で押
圧することにより、厚さ1mmのシート状物を成形し
た。得られたシート状物を200℃に熱したシリコーン
オイル中に10秒間浸漬し、発泡体を得た。
【0098】(比較例7,8,10及び11)東洋精機
社製ラボプラストミル中に、熱可塑性樹脂と、熱分解型
発泡剤を層間に含有していない層状珪酸塩とを、下記の
表3に示す重量比率で供給し、設定温度200℃で溶融
混練した。また、比較例8では、熱可塑性樹脂100重
量部に対し、酸変性ポリオレフィンを5重量部添加し、
熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との親和性を高めた。
【0099】比較例7,8,10及び11では、下記の
表2に示す組成物を有し、上記のようにして得られた複
合組成物をペレタイズしたものと、下記の表2に示す熱
分解型発泡剤とをラボプラストミルにより3分間溶融混
練した。得られた複合物を溶融プレスにて180℃で2
分間予熱し、1分間、9.8MPaの圧力で押圧し、1
mmの厚みのシート状物を成形した。シート状物を20
0℃に熱したシリコーンオイル中に10秒間浸漬し、発
泡体を得た。
【0100】(比較例12) 特開平9−183910号公報に開示の組成物 (溶媒膨潤した層状珪酸塩と熱可塑性樹脂の複合物)溶
媒膨潤した層状珪酸塩と熱可塑性樹脂の複合物として以
下の組成物を使用した。豊順鉱業社製DSDM変性モン
モリロナイト(商品名:ニューエスベンD)500gを
5Lのキシレン(和光純薬社製試薬)中に投入し、モー
タ攪拌機を用いて、常温で2時間攪拌し、スラリー状物
を得た。ポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品名:
EA9、密度0.91、MFR=0.5)を溶融押出機
で、押出温度200℃にて押出しながら、押出途中に設
けた液添ノズルから上記スラリー状物を注入し、さらに
該液添ノズルよりも押出機先端側に設けたベントロより
キシレンを吸引した。押出機先端に取り付けたシートダ
イより押し出された複合物を1mm厚のシート状に賦形
し、評価用サンプルとした。
【0101】(比較例13) 特開平10−182892号公報に開示の組成物 (層状珪酸塩と熱可塑性樹脂、及び酸変性オリゴマーの
複合物)東洋精機社製ラボプラストミル中に、ポリプロ
ピレン樹脂(日本ポリケム社製、商品名:EA9、密度
0.91、MFR=1.5)と、豊順鉱業社製DSDM
変性モンモリロナイト(商品名:ニューエスベンD、及
び無水マレイン酸変性ポリプロピレンオリゴマー(三洋
化成社製、商品名:ユーメックス1001、官能基含有
量=0.23mmol/g)を重量比で80/5/15
の割合でフィードし、設定温度200℃にて溶融混練し
た。得られた複合組成物を溶融プレスにて200℃で5
分間予熱し、1分間9.8MPaの圧力で押圧すること
により厚さ1mmのシート状物を成形し、評価用サンプ
ルとした。
【0102】(比較例14) 特開平8−143697号公報に開示の組成物 豊順鉱業社製モンモリロナイト(商品名:ベンゲルA)
80g、5−アミノ−1H−テトラゾール(HAT)8
0g、ビニルトリエトキシシラン(Vsi)40g、メ
チルアルコール2L及び水0.1Lを3L丸底フラスコ
に投入し、モータ攪拌機を用いて、60℃で24時間攪
拌し、乾留した後、ろ紙を用いて濾過物を取り出した。
この濾過物を真空乾燥機を使用して50℃で24時間真
空乾燥した組成物を、発泡剤吸着層状珪酸塩として使用
した。層状珪酸塩に吸着した発泡剤とシランカップリン
グ剤の吸着率は合わせて45.3%であった。該組成物
を東洋精機社製ラボプラストミル中にて、ポリプロピレ
ン樹脂(日本ポリケム社製、商品名:EA9、密度0.
91、MFR=0.5)と、160℃にて溶融混練し、
さらに得られた組成物を180℃のシリコーンオイル中
に浸漬することにより発泡体サンプルを得た。
【0103】(サンプル評価法) 1)層状珪酸塩の層間距離 X線回折測定装置(リガク社製、商品名:RINT11
00)により複合物中の層状珪酸塩の積層面の回折より
得られる回折ピークの2θを測定し、ブラックの回折式
(1)を用いて該層状珪酸塩の薄片状結晶間の面間隔を
算出した。 λ=2dsinθ ・・・(1) (λ=1.54、d;層状珪酸塩の面間隔、θ;回折
角) 式(1)より得られたdを平均層間距離と称することと
した。
【0104】2)発泡倍率次式(2)により発泡体の発
泡倍率を求めた。なお、発泡体の比重は、発泡体を水に
沈めた際の発生浮力により算出したものである。 発泡倍率=発泡前の比重/発泡体の比重 ・・・(2) 3)発泡セル径 発泡体を、2次電子反射式電子顕微鏡(JOEL社製、
商品名:JSM−5800LV)により観察し、観測さ
れた発泡セル50個の平均を発泡セル径とした。
【0105】(結果)表2及び表4に、実施例及び比較
例にて行った発泡体中の層状珪酸塩の面間隔、発泡体の
発泡倍率及び発泡セル径の評価結果を示した。
【0106】実施例1〜24に示すように、層状珪酸塩
を含有する複合物に化学物質を含浸し複合物中で体積膨
張することにより高い発泡倍率及び均一なセル径を有す
る発泡体が得られた。また、いずれの発泡セル径も10
〜75μmであり、5倍以上の発泡倍率を有する発泡体
としては非常に小さい発泡セル径が得られた。
【0107】これに対し、比較例1〜2及び比較例4〜
5では、熱可塑性樹脂にガス状物質、あるいは超臨界流
体を含浸しても高い発泡倍率は得られなかった。また、
実施例1〜24により得られた発泡体のX線回折測定で
は、層間距離に相当する回折は得られなかった。測定に
用いたX線装置は、2θ=1.5、すなわち層間距離6
0Åが検出限界であり、60Å以上の層間距離は検出す
ることができない。測定の性質上、平均層間距離が60
Åであれば、必ず回折が得られるはずであることから、
実施例1〜24で得られた発泡体中の層状珪酸塩は、い
ずれも60Å以上の平均層間距離を有することがわか
る。
【0108】比較例3に示すように、層状珪酸塩の量が
多すぎる場合、すなわち層状珪酸塩の重量部数が熱可塑
性樹脂100重量部に対して50重量部より多い場合に
は、平均層間距離は拡大しない。これは、ガスの拡散が
層状珪酸塩の隔壁作用により過度に妨げられることに由
来するものであると推察される。
【0109】さらに、比較例12(特開平9−1839
10号公報)に開示の方法及び比較例13(特開平10
−182892号公報)に開示の方法を用いても、層状
珪酸塩の平均層間距離を60Å以上とすることはできな
かったが、実施例1〜24によれば、いずれも平均層間
距離を60Å以上とすることができる。
【0110】また、比較例14(特開平8−14369
7号公報)によれば、高い発泡倍率を得ることは可能で
あるが、層状珪酸塩の平均層間距離は28Åであり、発
泡セル径も402μmと非常に大きかった。これは、層
状珪酸塩が均一に分散されないために、ガスの拡散の抑
制が十分になされないことによると考えられる。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】(実施例25及び比較例15,16) 〔用いた原材料〕以下に、本発明中で用いた原材料を示
す。
【0116】*層状珪酸塩 層状珪酸塩として、以下に示す鉱物を用いた。 ・タルク(トクヤマ社製、商品名:T68MMR、タル
ク粒径約5μm、タルク70%含有ペレット) モンモリロナイト(豊順鉱業社製、商品名:ベンゲル
A) *カチオン系界面活性剤含有層状珪酸塩 カチオン系界面活性剤を含有する層状珪酸塩として、以
下に示す資材を用いた。
【0117】・DSDM変性膨潤性マイカ(コープケミ
カル社製、商品名:MAE−100=ジステアリルジメ
チルアンモニウムクロライドにてモンモリロナイト層間
のナトリウムイオンを全量イオン交換した有機化膨潤性
マイカ) *熱可塑性樹脂組成物 熱可塑性樹脂として、以下の各組成物を用いた。
【0118】・ランダムポリプロピレン(ハイモント社
製、商品名:SR256M、密度0.91、MFR=
2.0) ・直鎖状低密度ポリエチレン(出光石化社製、商品名:
モアテック0238CN、密度0.916、MFR=
2.0) ・ポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品名:EA
9、密度0.91、MFR=0.5) *酸変性ポリオレフィン樹脂 熱可塑性樹脂と層状珪酸塩の親和性を高めるため、また
従来技術との比較に用いるために、以下の組成物を用い
た。
【0119】・無水マレイン酸変性ポリプロピレンオリ
ゴマー(三洋化成社製、商品名:ユーメックス100
1、官能基含有量=0.23mmol/g) *架橋助剤 電離性放射線による架橋を促進させるため、以下の試薬
を用いた。
【0120】・トリメチロールプロパントリアクリレー
ト(ALDRICH社製) *熱分解性発泡剤 熱分解性発泡剤として、以下の試薬を用いた。 ・アゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:ユニ
フォームAZ−HM)
【0121】(実施例及び比較例評価用サンプル作成方
法) 実施例25 東洋精機社製ラボプラストミル中に、熱可塑性樹脂とし
てランダムポリプロピレン;SR256Mと直鎖状低密
度ポリエチレン;0238CNを8:2の割合で加え、
DSDM変性膨潤性マイカ;MAE−100を熱可塑性
樹脂100重量部に対して5重量部となるようにフィー
ドし、設定温度170℃にて溶融混練した。なお、熱可
塑性樹脂と層状珪酸塩の親和性を高めるために、熱可塑
性樹脂100に対して5重量部の無水マレイン酸変性ポ
リプロピレン;ユーメックス1001を添加した。
【0122】さらに架橋剤として、トリメチロールプロ
パントリアクリレートを熱可塑性樹脂100重量部に対
して3重量部、アゾジカルボンアミド;ユニフォームA
Z−HMを12重量部添加し、溶融混練した。
【0123】得られた複合組成物をハンドプレスにて1
80℃で3分間加熱成形し、1mm厚さのシート状物を
成形した。これを加速電圧750kV、電子線量10M
radにて電子線照射することで架橋を行った。得られ
た電子線照射原反を260℃のギヤオーブンにて発泡さ
せ、評価用サンプルを得た。
【0124】比較例15 DSDM変性膨潤性マイカ、及び無水マレイン酸変性ポ
リプロピレンを配合せず、それ以外は実施例1と同様に
して、評価用サンプルを得た。
【0125】比較例16 DSDM変性膨潤性マイカの代わりに、一般に無機フィ
ラーとして用いられるタルクを、タルクが熱可塑性樹脂
100重量部に対して5重量部となるようにフィード
し、また無水マレイン酸変性ポリプロピレンを配合せ
ず、それ以外は実施例1と同様にして、評価用サンプル
を得た。
【0126】(サンプル評価法)上記のようにして得ら
れた評価用サンプルについて、実施例1と同様にして評
価した。結果を下記の表5に示す。
【0127】
【表5】
【0128】(実施例26)化学物質として二酸化炭素
に代えて、常温で液体の化学物質であるペンタンを用い
たことを除いては、実施例4と同じ原料で発泡体を作製
した。発泡体の作製に際しては、オートクレーブにペン
タンを注入し、その後オートクレーブ内の内圧が5.8
8MPaにある状態に30分間保持した。さらに、オー
トクレーブ内の温度を、使用した熱可塑性樹脂(EA
9)の融点よりも10℃低い温度に設定し、この状態で
一気にオートクレーブ内のガスを抜き、オートクレーブ
内を常圧まで戻した。得られた発泡体を、実施例1と同
様にして評価したところ、層状珪酸塩の平均層間距離は
60Å以上であり、発泡倍率は13.2倍、発泡セル径
は95μmであった。
【0129】(実施例27)実施例5と同じ原料を用
い、但し図8に示す成形装置を用いて押出成形により発
泡体を製造した。すなわち、熱可塑性樹脂組成物を、図
8に示す成形装置の耐圧ホッパー76から単軸押出機7
1(スクリュー72の径40mm、スクリュー72の全
長/スクリュー72の直径=30)に供給した。化学物
質として二酸化炭素を用い、押出機71の液状物輸送部
74に設けられたガス供給口75に加圧ポンプ73を用
いて7.84MPaの圧力で圧入した。この圧力で二酸
化炭素が溶解された樹脂において、熱可塑性樹脂組成物
に対する二酸化炭素の溶解量は、約9重量%であった。
【0130】なお、このとき、スクリュー駆動軸の高圧
軸シール機構、耐圧ホッパー構造及び押出機近傍の溶融
状態の熱可塑性樹脂組成物により、押出機内の二酸化炭
素を放圧状態に保持しておいた。次に、押出機71に供
給された熱可塑性樹脂組成物を、その内部において、押
出量2kg/時間、スクリュー回転速度10rpm及び
シリンダー設定温度200℃の条件下で十分に溶融混練
した。続いて、金型77の先端の温度を約120℃に保
った状態で、熱可塑性樹脂組成物を金型先端を通過さ
せ、金型77から樹脂をロッド状に押出し、発泡体を作
製した。得られた発泡体を実施例1と同様にして評価し
た。その結果、層状珪酸塩の層間距離は60Å以上であ
り、発泡倍率は13.2倍、発泡セル径は95μmであ
った。
【0131】(実施例28〜35)表6に示した所定量
のポリプロピレン(日本ポリケム社製、品番「EA
9」、密度0.91g/cm3、MFR=0.5g/1
0分)、ポリビニルブチラール(積水化学社製、品番
「BH−5」、ガラス転移点温度65℃)、ジステアリ
ルジメチルアンモニウムクロライドにより層間のナトリ
ウムイオンを全量イオン交換したモンモリロナイト(豊
順鉱業社製、商品名「ニューエスベンD」、表中、DS
DM変性モンモリロナイトと記す)、ジステアリルジメ
チルアンモニウムクロライドにより、層間のナトリウム
イオンを全量イオン交換した膨潤性マイカ(コープケミ
カル社製、品番「MAE」、表中、DSDM変性マイカ
と記す)、モンモリロナイト(豊順鉱業社製、商品名
「ベンゲルA」)、膨潤性マイカ(コープケミカル社
製、品番「ME−100」)、無水マレイン酸変性ポリ
プロピレンオリゴマー(三洋化成社製、商品名「ユーメ
ックス1001」、官能基含有量=0.23mmol/
g)を図7に示した射出成形機のホッパー15に供給し
た。
【0132】一方で、二酸化炭素ガス(CO2)、また
は窒素ガス(N2)をガス圧入装置70から気密容器1
7に供給し、ホッパー15内に供給された熱可塑性樹脂
組成物内に10MPa、60℃雰囲気(CO2の場合、
超臨界、N2の場合高圧)で含浸させ、温度250℃と
したシリンダー14に供給し、スクリュー13の回転数
50rpmで溶融混練及び計量を行い、射出速度100
mm/秒で、直径250mm、幅3mmの円盤形状のキ
ャビティ内に射出し、20秒間保圧した後、図6に示し
たようにして、1秒間にキャビティ23を幅45mmに
拡張した後30秒間冷却し、発泡体を得た。
【0133】実施例28〜35で得られた発泡体を実施
例1と同様にして評価した。また、実施例28〜35で
得られた発泡体については、熱伝導率を以下の容量で評
価した。結果を下記の表6に示す。なお、表6において
は、比較のために、前述した比較例14についての評価
結果を併せて示す。
【0134】(熱伝導率)得られた発泡体を、熱伝導率
計(英弘精機社製、型式「HC−072」)により、Ho
t Plateを50℃、Cool Plateを20℃に設定し、熱伝
導率を測定した。
【0135】
【表6】
【0136】評価の結果、実施例28〜35で得られた
発泡体は、いずれも平均層間距離がX線回折測定装置の
検出限界である60Åを超え、発泡セル径が12〜72
μmと均一微細であり、熱伝導率が0.054〜0.0
71W/(m・K)と断熱性能に優れているのに対し、
比較例14で得られた発泡体は、平均層間距離が28Å
と狭く、発泡セル径が300μmと非常に大きく、熱伝
導率が0.098W/(m・K)と高いものであった。
【0137】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る熱可塑性樹
脂発泡体では、熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸
塩0.1〜50重量部を含み、X線回折測定により検出
される層状珪酸塩における平均層間距離が60Å以上で
あるため、発泡体中において、層状珪酸塩の薄片状結晶
の分散性が高められている。従って、層状珪酸塩の薄片
状結晶が均一に分散され、層状珪酸塩の添加による物
性、例えば耐熱性、難燃性あるいは寸法安定性などが高
められる。
【0138】加えて、上記層状珪酸塩の薄片状結晶が、
製造時に際しては発泡構造を得るための気体の隔壁とし
て作用するので、均一微細な発泡セルが均一に分散され
ている発泡体であるので、弾性等の物性のばらつきの少
ない発泡体を提供することができる。
【0139】平均気泡径をX(μm)、発泡倍率をYと
したときに、X/(Y−1)1/3が30μmを超える
と、発泡体の断熱性能、圧縮強度、曲げクリープ等の物
性が低下する。 本発明においては、上記熱可塑性樹脂
としてポリオレフィン系樹脂を用いることができ、その
場合には、層状珪酸塩の均一分散により物性が高められ
た、ポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することができ
る。
【0140】層状珪酸塩としては、膨潤性スメクタイト
系粘土鉱物及び膨潤性雲母のうち少なくとも1種が好適
に用いられ、その場合には、これらの鉱物の分散性が高
められ、発泡に際して核剤として作用するので、発泡径
をさらに微細にすることができる。さらに、機械的強度
も高めることができる。
【0141】本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造方
法では、熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.
1〜50重量部を含む複合物の層状珪酸塩の層間に体積
膨張可能な化学物質が含浸され、化学物質が複合物内で
体積膨張されることにより発泡構造が形成される。この
場合、層状珪酸塩の薄片状結晶が上記化学物質の体積膨
張に際しての隔壁として作用するので、化学物質、すな
わち気体の過剰な抜けや部分的に不均一な膨張を抑制す
ることができ、層状珪酸塩の薄片状結晶を均一に分散さ
せることができると共に、微細な発泡セルを均一に分散
させることができる。従って、強度や耐熱性等の物性に
優れた熱可塑性樹脂発泡体を容易に提供することができ
る。しかも、製造に際して、溶剤を必要としないので、
残存溶媒を除去する煩雑な工程も必要としない。
【0142】熱可塑性樹脂100重量部と、層状珪酸塩
0.1〜50重量部と、熱分解型発泡剤とを含む複合物
であって、熱分解型発泡剤が層状珪酸塩の層間に含有さ
れている複合物を用意し、熱分解型発泡剤の分解する温
度よりも高い温度に加熱して発泡構造を形成する場合に
は、熱分解型発泡剤の熱分解により生じたガスに対し
て、層状珪酸塩の薄片状結晶が隔壁として作用するの
で、同様に、層状珪酸塩の薄片状結晶を均一に分散させ
ることができ、かつ微細な発泡セルを均一に分散させる
ことができる。よって、層状珪酸塩の分散により機械的
強度等の物性を改善することができ、かつ物性のばらつ
きが少ない熱可塑性樹脂発泡体を提供することができ
る。
【0143】同様に、熱可塑性樹脂100重量部及び層
状珪酸塩0.1〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物
に、常温常圧で気体の化学物質をキャビティを有する射
出成形機内で高圧下で含浸させ、熱可塑性樹脂組成物を
キャビティ内に射出した後、キャビティを拡張する方法
においても、層状珪酸塩の薄片状結晶が隔壁として作用
するので、層状珪酸塩の薄片状結晶を均一に分散させる
ことができ、かつ微細な発泡セルを均一に分散させるこ
とができる。従って、層状珪酸塩の分散により機械的強
度等の物性を改善することができ、かつ物性のばらつき
が少ない熱可塑性樹脂発泡体を提供し得る。特に、上記
化学物質を超臨界状態で含浸した場合には、層状珪酸塩
をより効果的に分散させることができる。
【0144】また、本発明においては、分子鎖の拘束に
よる耐熱変形温度の上昇が期待でき、また、燃焼ガスの
拡散の抑制効果や無機結晶による核剤効果も期待できる
ので、熱可塑性樹脂発泡体の耐熱性、難燃性、寸法安定
性、諸物性についても大幅に向上させることが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性樹脂発泡体を得るのに用いら
れる層状珪酸塩の構造を説明するための模式的斜視図で
ある。
【図2】図1に示した層状珪酸塩の結晶面同士が対向し
合っている部分の結晶構造を拡大して示す模式図であ
る。
【図3】発泡セル形成時のガス拡散抑制モデルを示す模
式図である。
【図4】本発明の一実施形態で使用される射出成形機を
示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態で使用される射出成形用金
型を型締めした状態を示す断面図である。
【図6】図5に示されている射出成形用金型のキャビテ
ィが拡張された状態を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態で使用される射出成形機
を示す断面図である。
【図8】本発明において用いられる押出機を説明するた
めの概略構成図である。
【符号の説明】
1…層状珪酸塩 2,3…薄片状結晶 4…熱可塑性樹脂分子鎖 5A…薄片状結晶 11…射出成形機 12…射出成形用金型 13…スクリュー 14…シリンダー 15…ホッパー 16…ベント部 17…気密容器 21…固定側金型 22…可動側金型 23…キャビティ 24…スプルー 25…熱可塑性樹脂組成物 61…ガス圧入装置 70…ガス圧入装置 71…押出機 72…スクリュー 73…加圧ポンプ 74…液状物輸送部 76…耐圧ホッパー 77…金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/02 C08L 101/00 101/00 B29K 23:00 // B29K 23:00 105:18 105:18 B29C 67/22 (72)発明者 柴山 晃一 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 (72)発明者 深谷 重一 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4F074 AA17A AA24A AA25A BA13 BA16 BA17 BA18 BA32 BA33 BA35 BA37 BA39 BA42 BA44 BA54 BA55 BA58 CA23 CA24 CC04X CC04Y CC07X CC07Y CC10X 4F206 AA03 AB02 AB11 AB16 AG20 JA04 JM05 JN25 JN35 JQ81 4F212 AB02 AB11 AB17 AB27 AG20 UA17 UB01 UF06 UF23 UN11 4J002 AA011 BB031 BB051 BB121 BB141 BB151 DE017 DE027 DJ006 EA017 EB027 FD016 FD327

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸
    塩0.1〜50重量部を主成分として含むことを特徴と
    する熱可塑性樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 X線回折測定によって検出される前記層
    状珪酸塩における平均層間距離が60Å以上であること
    を特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 平均気泡径をX(μm)、発泡倍率をY
    としたときに、X/(Y−1)1/3が30(μm)以下
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可
    塑性樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹
    脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹
    脂発泡体。
  5. 【請求項5】 前記層状珪酸塩が、スメクタイト系粘土
    鉱物及び雲母のうち少なくとも1種からなる請求項1〜
    4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  6. 【請求項6】 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチ
    レン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−
    プロピレン共重合体、ポリプロピレン及びプロピレン−
    α−オレフィン共重合体からなる群から選択した少なく
    とも1種である、請求項4に記載の熱可塑性樹脂発泡
    体。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸
    塩0.1〜50重量部を含む複合物の、前記層状珪酸塩
    の層間に体積膨張可能な化学物質を含浸させる工程と、 前記化学物質を前記複合物内で体積膨張させることによ
    り気泡を形成し、熱可塑性樹脂発泡体を得る工程とを備
    えることを特徴とする、熱可塑性樹脂発泡体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記化学物質を含浸させる工程が、常温
    常圧でガス状の化学物質を高圧下で含浸することにより
    行われ、かつ前記複合物内で化学物質を体積膨張させる
    に際し、前記化学物質を複合物内で気化させることによ
    り行われる、請求項7に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 前記化学物質を複合物に含浸させるにあ
    たり、常温常圧でガス状の前記化学物質を超臨界状態で
    含浸させる、請求項8に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪
    酸塩0.1〜50重量部を含む組成物の、前記層状珪酸
    塩の層間に熱分解型発泡剤が含有されている複合物を用
    意する工程と、 前記複合物を熱分解型発泡剤の分解する温度よりも高い
    温度に加熱して発泡構造を形成する工程とを備えること
    を特徴とする、熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  11. 【請求項11】 熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪
    酸塩0.1〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物に、
    体積膨張可能な化学物質を、キャビティを有する射出成
    形機内で高圧下で含浸させる工程と、 次に、前記化学物質を含浸させた熱可塑性樹脂組成物を
    前記射出成形機のキャビティ内に射出した後、該キャビ
    ティを拡張することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記射出成形機内で前記熱可塑性樹脂
    組成物に化学物質を含浸させるに際し、超臨界状態で含
    浸が行われる、請求項11に記載の熱可塑性樹脂発泡体
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記層状珪酸塩の層間が疎水化されて
    いる、請求項11または12に記載の熱可塑性樹脂発泡
    体の製造方法。
JP2000238595A 1999-08-09 2000-08-07 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 Expired - Fee Related JP3769454B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000238595A JP3769454B2 (ja) 1999-08-09 2000-08-07 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22541299 1999-08-09
JP30588199 1999-10-27
JP2000-26663 2000-02-03
JP11-305881 2000-02-03
JP11-225412 2000-02-03
JP2000026663 2000-02-03
JP2000238595A JP3769454B2 (ja) 1999-08-09 2000-08-07 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001288293A true JP2001288293A (ja) 2001-10-16
JP3769454B2 JP3769454B2 (ja) 2006-04-26

Family

ID=27477176

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000238595A Expired - Fee Related JP3769454B2 (ja) 1999-08-09 2000-08-07 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3769454B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013503241A (ja) * 2009-08-28 2013-01-31 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 単峰性押出ポリスチレン発泡体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013503241A (ja) * 2009-08-28 2013-01-31 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 単峰性押出ポリスチレン発泡体

Also Published As

Publication number Publication date
JP3769454B2 (ja) 2006-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Park et al. Preparation and properties of biodegradable thermoplastic starch/clay hybrids
US6271297B1 (en) General approach to nanocomposite preparation
DE69708605T2 (de) Dispersionen aus schichtgespaltenen partikeln in kunststoffschäumen
Lee et al. Exfoliation and dispersion enhancement in polypropylene nanocomposites by in‐situ melt phase ultrasonication
Guo et al. Flame retarding effects of nanoclay on wood–fiber composites
JP2002356574A (ja) 発泡性熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂発泡体及び積層複合体
JP2009507945A (ja) ナノ粒子フィラーを含む改良ポリマー複合材
JP2008201825A (ja) 有機処理フィラーの製造方法
Chen et al. Novel thermoplastic starch–clay nanocomposite foams
JP5170865B2 (ja) 層間化合物フィラーを含有する発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物およびポリオレフィン系難燃発泡体
KR20170106392A (ko) 열전도도가 감소된 팽창성 비닐 방향족 중합체 과립의 제조 방법
WO2006066390A1 (en) Compatibilization of polymer clay nanocomposites
Carastan et al. Polystyrene/clay nanocomposites
JP5128143B2 (ja) ポリオレフィン系難燃発泡組成物およびオレフィン系難燃発泡体
US6906119B1 (en) Thermoplastic foam and method for production thereof
US6469073B1 (en) System and method of delaminating a layered silicate material by supercritical fluid treatment
JP3769454B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
JP3635567B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物
DK2643389T3 (en) Polymeric nanocomposites with layered minerals and methods for their preparation
US20050239941A1 (en) Polyolefin resin composition
US6812273B1 (en) Manufacturing inorganic polymer hybrids
JP2004018595A (ja) 熱可塑性樹脂架橋発泡体の製造方法
JP2004075707A (ja) 熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法
Lee et al. Extrusion foaming of nano-clay-filled wood fiber composites for automotive applications
JP2001123000A (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050425

A25B Written notification of impossibility to examine because of no request for precedent application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A2522

Effective date: 20050427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050706

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060118

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060206

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100210

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100210

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110210

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130210

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees