JP2001288131A - 精製1,3−ブチレングリコールの製造方法 - Google Patents
精製1,3−ブチレングリコールの製造方法Info
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Abstract
らない1,3−ブチレングリコールを生産効率よく、安
定に製造する。 【解決手段】 アセトアルデヒドの縮合により得られた
アセトアルドール類を、触媒の存在下に水素添加して
1,3−ブチレングリコールを含む水素添加粗液を得る
際に、該触媒としてアセトン水素化活性が2,000ml
/g-Ni/hr以上及び/又はフェノール水素化活性が500
ml/g-Ni/hr以上であるラネーニッケルを使用する。
Description
る水素添加用触媒の存在下にアセトアルドール類を水素
添加することを特徴とする精製1,3−ブチレングリコ
ールの製造方法に関するものである。該精製1,3−ブ
チレングリコールは低臭気ないし無臭である。
8℃の粘調な無色透明、無臭の液体で、すぐれた溶解性
を有し、化学的安定性にすぐれた誘導体を生成する。そ
の用途は各種の合成樹脂、界面活性剤の原料として、ま
た、そのすぐれた吸湿特性、低揮発性、低毒性を利用し
て化粧品、吸湿剤、高沸点溶剤、不凍液の素材としても
利用されている。特に近年、化粧品業界では無毒、無刺
激の1,3−ブチレングリコールが保湿剤として優れた
性質を有するため、その需要を大きく伸ばしており、無
臭のブチレングリコールは化粧品グレードとして有用で
ある。しかしながら、従来の方法で得られた1,3−ブ
チレングリコールはタンクでの保存時に経時変化を起こ
して微臭が発生してくることから、長期間貯蔵すること
が困難であった。このため、臭気が無く、長期の貯蔵後
でも微臭のない1,3−ブチレングリコールの供給が望
まれている。従来、1,3−ブチレングリコールの製造
方法としては次の3方法が知られている。(I)アセト
アルデヒドをアルドール縮合させてアセトアルドール類
を得、接触還元することによって、1,3−ブチレング
リコールを得る方法(英国特許第853266号記
載)。(II)1,3−ブチレンオキサイドの加水反応に
より1,3−ブチレングリコールを得る方法。(III)
プリンス反応を利用してプロピレンとホルムアルデヒド
から1,3−ブチレングリコールを得る方法。しかしな
がら(II)の方法は、工業的製造方法が未だ確立してい
ないので、実際的でない。又、(III)の方法は収率が
低いので実用的ではない。工業的には(I)の方法で
1,3−ブチレングリコールが製造されているが、アセ
トアルドールは構造的に不安定な物質であり、脱水して
クロトンアルデヒドを生成したりするため、水素添加
(以下、水添と略す。)工程で種々の不純物、例えばブ
タノールや2−ブタノン等が副生する他に、アセトアル
デヒド回収リサイクル工程に混入してアセトアルデヒド
等と反応し種々の不純物を生成する。これらの不純物
は、蒸留などによる1,3−ブチレングリコールの精製
工程において分離が困難であり、製品、特に化粧品向け
などの製品の品質、特に臭気に悪影響を及ぼす。特開昭
62−212384号公報には、アルカリ触媒の存在下
でアセトアルデヒドをアルドール縮合させて、アルドキ
サン(2,4−ジメチル−1,3−ジオキサン−6−オ
ールの慣用名)を含む反応粗液を得、アセトアルデヒド
を留出させながらアルドキサンを熱分解することによ
り、実質上パラアルドール(2−(2−ヒドロキシプロ
ピル)−4−メチル−1,3−ジオキサン−6−オール
の慣用名)を得る方法が開示されている。特開昭62−
246529号公報には、実質上の有効成分として、パ
ラアルドールを含有する出発原料を接触還元せしめる
1,3−ブチレングリコールの製造方法が開示されてい
る。特開昭61−65834号公報には、純度98%以
上の1,3−ブチレングリコールに対し、減圧下で薄膜
蒸発器を用い、水を加えて連続的に蒸留精製する1,3
−ブチレングリコールの精製方法が開示されている。特
開平6−329664号公報には、アセトアルデヒドを
アルカリ触媒の存在下アルドール縮合させて、主にアル
ドキサン、アセトアルデヒド、水および少量のクロトン
アルデヒドを含む反応粗液を製造し、次いで該アルドキ
サンを熱分解することによりアルドキサンおよびパラア
ルドールを主成分とする反応粗液を製造する際、アルド
キサンの熱分解工程において熱分解塔の塔頂から留出す
るアセトアルデヒドを、デカンターを具備したサイドカ
ットラインを有する蒸留塔を使用してアセトアルデヒド
を精製して、実質的にクロトンアルデヒドが存在しない
アセトアルデヒドをアルドール縮合工程にリサイクルす
るアルドキサンおよびパラアルドールを主成分とする反
応粗液の製造法、及び該反応粗液からの1,3−ブチレ
ングリコールの製造法が開示されている。しかしながら
上記技術は、製造直後や貯蔵3ヶ月後にも臭気が問題と
ならない製品の、生産効率がよく安定な製造方法として
は、不充分である。
直後や貯蔵3ヶ月後にも臭気が問題とならない1,3−
ブチレングリコールを生産効率よく、安定に製造する方
法を提供することである。
ルドール類の水添反応を、活性の高い触媒の存在下に行
うことにより得られた粗液(水素添加反応粗液または水
添粗液という。)中の、臭気原因物質の目安となる残存
アルデヒド基の量が著しく低下できることを見い出し、
本発明を完成するに至った。
ドの縮合により得られたアセトアルドール類を、触媒の
存在下に水素添加して1,3−ブチレングリコールを含
む水素添加粗液を得る際に、該触媒としてアセトン水素
化活性が2,000ml/g-Ni/hr以上及び/又はフェノー
ル水素化活性が500ml/g-Ni/hr以上であるラネーニッ
ケルを使用することを特徴とする精製1,3−ブチレン
グリコールの製造方法を提供する。本発明の第2は、水
素添加反応粗液中の残存アルデヒド基の含有量が200
重量ppm以下であることを特徴とする本発明の第1に
記載の精製1,3−ブチレングリコールの製造方法を提
供する。本発明の第3は、水素添加反応粗液を蒸留し
て、低沸点成分(L)を分離した後、さらに蒸留して
1,3−ブチレングリコールを留出させることを特徴と
する本発明の第1又は2に記載の精製1,3−ブチレン
グリコールの製造方法を提供する。本発明の第4は、低
沸点成分(L)を分離した後、蒸発させ、さらに蒸留し
て1,3−ブチレングリコールを留出させることを特徴
とする本発明の第3に記載の精製1,3−ブチレングリ
コールの製造方法を提供する。本発明の第5は、蒸留し
て1,3−ブチレングリコールを留出させた後、さらに
蒸留により低沸点成分(l)を分離することを特徴とす
る本発明の第3又は4に記載の精製1,3−ブチレング
リコールの製造方法を提供する。本発明の第6は、製造
直後の臭気が、臭気評価3以下であることを特徴とする
本発明の第1〜5のいずれかに記載の精製1,3−ブチ
レングリコールの製造方法を提供する。本発明の第7
は、さらに、3ヶ月貯蔵後の臭気が臭気評価5以下であ
ることを特徴とする本発明の第6に記載の精製1,3−
ブチレングリコールの製造方法を提供する。
本発明では、アセトアルドール類を、触媒の存在下に水
添して1,3−ブチレングリコールを合成する際に、該
触媒としてアセトン水素化活性が2,000ml/g-Ni/hr
以上及び/又はフェノール水素化活性が500ml/g-Ni/
hr以上であるラネーニッケルを使用することを特徴とす
る。本発明で言う低臭気の1,3−ブチレングリコール
とは、製造直後の臭気が臭気評価3以下、好ましくは1
以下であり、さらに貯蔵3ヶ月後の臭気が7以下、好ま
しくは5以下、さらに好ましくは3以下であるものをい
う。
の存在下に縮合されて、主成分のアセトアルドール類
や、アセトアルドールが脱水されて副生分のクロトンア
ルデヒドやその他の不純物が生じる。アセトアルドール
類とは、水添により1,3−ブチレングリコールを生成
するもののことであり、具体的には、アセトアルドー
ル、その環化二量体であるパラアルドール、アセトアル
デヒドの一種の環状3量体であるアルドキサン等、又は
これらの混合物である。アセトアルデヒド縮合工程で得
られた生成液(反応粗液ともいう。)は、中和工程で、
通常酸により中和され、水添原料として使用する。ま
た、アルドキサンを熱分解して少なくとも一部をパラア
ルドールとアセトアルデヒドに分解して得られた、パラ
アルドールとアルドキサンの混合物を水添原料として使
用することもできる。アセトアルドール類合成工程で得
られた反応粗液は、後述する水添工程に供給され、触媒
の存在下に水添される。上記水添原料は、通常未反応ア
セトアルデヒドを縮合工程にリサイクルするため、アセ
トアルデヒドの少なくとも一部を留去したものである
が、残存アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、他の
少量のアルデヒド成分、低沸点物、アルデヒドダイマー
やトリマー等の高沸点物、水分等を含有していてもよ
い。水添原料は、10〜20重量%の水分を含んでいる
ものが使用できる。水分を除く、アセトアルドール分換
算純度95〜98重量%のものが好ましく使用される。
蒸留、脱水蒸留、脱塩、脱不純物等の前処理工程により
処理して、未反応アセトアルデヒドやクロトンアルデヒ
ド等の副生物を除去したものを使用することができる。
前処理方法としては、蒸留、吸着、イオン交換、加熱高
沸点物化、分解などが挙げられる。蒸留は、減圧、常
圧、加圧、共沸、抽出、反応などの種々の蒸留方法が使
用できる。
はなく、通常、化学合成の水素添加に使用されるもので
あり、例えば純度99重量%以上、好ましくは純度9
9.5重量%以上のものである。
水添活性を有するラネーニッケルが使用される。本発明
で使用されるラネーニッケルとしては、合金時のニッケ
ル含有率が約50重量%、展開後のラネーニッケルのア
ルミニウム含有率が10重量%未満で、アセトン水素化
活性及び/又はフェノール水素化活性が下記のものであ
る。 (i)アセトン水素化活性は、2,000ml/g-Ni/hr以
上、好ましくは3,000ml/g-Ni/hr以上、さらに好ま
しくは4,000ml/g-Ni/hr以上のものである。アセト
ン水素化活性が2,000ml/g-Ni/hr未満では、水添粗
液から蒸留操作により低臭気の1,3−ブチレングリコ
ールが効率よく得られ難い。アセトン水素化活性とは、
アセトン50mlに湿潤ラネーニッケル0.3gを加
え、25℃、常圧で水添し、アセトンの水添開始5分後
から30分間の水素吸収速度のことであり、水素吸収量
ml/g-Ni/hrであらわす。なお、湿潤ラネーニッケル中の
ニッケルの正確な量は、水添反応後、分析して求めた。 (ii)フェノール水素化活性が500ml/g-Ni/hr以上、
好ましくは800ml/g-Ni/hr以上、さらに好ましくは
1,100ml/g-Ni/hr以上のものである。フェノール水
素化活性が500ml/g-Ni/hr未満では、水添粗液から蒸
留操作により低臭気の1,3−ブチレングリコールが効
率よく得られ難い。フェノール水素化活性とは、フェノ
ール:シクロヘキサノールが容量で7:3の混合液60
ml、湿潤ラネーニッケル0.5g、温度50℃で、常
圧で、フェノールの水添開始5分後から30分間の水素
吸収速度のことであり、水素吸収量ml/g-Ni/hrであらわ
す。湿潤ラネーニッケル中のニッケル量は(i)参照。
も行うことができる。触媒は、鹸濁又は充填して使用す
ることができるが、鹸濁させて使用することが好まし
い。例えば、水添原料100重量部に、触媒2〜20重
量部、好ましくは5〜10重量部を添加し、水素圧力8
0〜200kg/cm2、好ましくは120〜150k
g/cm2の下で110〜140℃、好ましくは120
〜135℃で、40〜100分間、好ましくは70〜9
0分間、混合ないし撹拌下に触媒を鹸濁させて反応させ
る。水素添加は、水添反応粗液中の残存アルデヒド基含
有量が200重量ppm以下、好ましくは50重量pp
m以下、さらに好ましくは20重量ppm以下、特に好
ましくは10重量ppm以下になるように行われる。
脱不純物、残存二重結合の化学的処理、又はこれらの組
み合わせ等の工程により処理される。脱アルコール蒸留
は、発生したエタノール、イソプロパノール、ブタノー
ル等のアルコールを除去するものである。脱水蒸留は、
発生した水分や、不純物を水と共沸させるためのもので
ある。蒸発は、縮合工程等で発生した水添触媒、塩基の
中和物や熱分解性高沸点物を除去するものであり、単蒸
留、フラッシュ等の加熱滞留時間の短かい蒸発操作によ
り行われる。残存二重結合の化学的処理は、二重結合、
特にカメレオン試験(JIS K1351の3.10に
おける過マンガン酸カリ溶液の褪色時間)により反応す
る二重結合に、水酸化アルカリやオゾンなどを付加した
り、切断したり、ソジウムボロハイドライドなどにより
還元したりする操作により行われる。脱不純物は、その
他の低沸点物ブタノン等や高沸点物等を分離するもので
あり、蒸留、吸着、イオン交換等の操作により行われ
る。蒸留は、沸点の差を利用して得られた1,3−ブチ
レングリコールから低沸点物、高沸点物を分離できる蒸
留方法であれば、特に制限はなく、減圧、常圧、加圧、
共沸、抽出、反応などの種々の蒸留方法が使用できる。
水素添加反応後の精製工程の種類や順序は特に制限はな
いが、例えば、脱アルコール、低沸共沸脱水、蒸発、
1,3−ブチレングリコール留出による高沸点物除去、
低沸点物蒸留除去の順序で行い、精製1,3−ブチレン
グリコールを製造する方法が挙げられる。
低沸点成分(L)を分離した後、さらに蒸留して1,3
−ブチレングリコールを留出させることを特徴とする。
低沸点成分(L)とは、上記エタノール、イソプロパノ
ール、ブタノール等のアルコール;水分や水と共沸され
る不純物;その他の低沸点物である。したがって、低沸
点成分(L)を分離する操作は、脱アルコール蒸留、脱
水蒸留、その他の低沸点物の蒸留の3種を別々に行って
もよいし、一回の蒸留操作で行ってもよい。通常、エタ
ノールやブタノール等の有価物を回収する場合には、別
々に脱エタノール蒸留や脱ブタノール蒸留を行うことが
できる。また、臭気をより減少させるために、脱アルコ
ール蒸留後、脱水蒸留を行うことができる。水素添加反
応粗液中に含まれる触媒、中和塩や高沸点物には熱分解
性高沸点物が含まれ、蒸留して1,3−ブチレングリコ
ールを留出させる際に劣化して、1,3−ブチレングリ
コールと共に留出する成分を生じ、純度低下、臭気、着
色等の原因となる。したがって、触媒、中和塩や熱分解
性高沸点物を含む高沸点物を分離するために、低沸点成
分(L)を分離する操作の後に、上記蒸発処理を加える
ことができる。蒸発処理後、蒸留して精製1,3−ブチ
レングリコールを留出分として得ることができる。しか
しながら、さらに臭気を低減させるために、上記1,3
−ブチレングリコール留出分から蒸留により低沸点成分
(l)を分離する操作を加えることができる。低沸点成
分(l)とは、上記1,3−ブチレングリコール留出分
に含まれる不純物であり、微量のエタノール、イソプロ
パノール、ブタノール等のアルコール、水分、その他の
低沸点物である。蒸発処理後、蒸留して低沸点成分
(l)を分離することもできるが、好ましくは、蒸発処
理後、1,3−ブチレングリコールを留出分として得、
1,3−ブチレングリコール留出分から蒸留により低沸
点成分(l)を分離する操作を行う。このようにすれ
ば、低臭気の精製1,3−ブチレングリコールを安定し
て、効率よく製造することができる。
粗液中の残存アルデヒド基の含有量を定量して、水添工
程の管理をすることができる。アルデヒド基の含有量の
定量方法としては、例えば塩酸ヒドロキシルアミン法で
ある。
液に塩酸ヒドロキシルアミンを添加して遊離した塩化水
素分を定量する方法である。塩化水素分を定量する方法
としては、指示薬、例えばブロムフェノールブルー(B
PB)の添加による変色時間を測定する方法が挙げられ
る。以下、水添反応粗液に塩酸ヒドロキシルアミン(H
A・HCl)を添加して遊離した塩化水素分をBPBを
添加して変色時間を測定する方法をHA・HCl−BP
B法と略称する。
ルブルー(HA・HCl−BPB)法通常、塩酸ヒドロ
キシルアミン(HA・HCl)は、下記のようにアルデ
ヒド、ケトン等のカルボニル化合物と反応して塩酸を遊
離する。 RCH=O+NH2OH・HCl → RCH=NOH
+H2O+HCl 遊離した塩酸により、指示薬BPBが変色するので、こ
の色の変化を目視又は計器による比色により定量する。
本発明では、直接アルデヒド基の量を測定する代りに、
目視による比色方法で水添工程の良否や蒸留の条件の把
握が可能であるので、この判断方法も、残存アルデヒド
基の含有量の定量の意味に含まれる。
含有量の定量法は次のように行われる。 <0.1%BPB溶液>の調製 100mlメスフラスコにBPB0.1g、エタノール
20mlを加えて溶解させた後、蒸留水を標線まで加え
る。 <BPB添加塩酸ヒドロキシルアミン溶液>の調製 (1)1リットルメスフラスコに塩酸ヒドロキシルアミン
69.5gを入れ、さらに0.1%BPB溶液25ml
を加えて、純水を標線まで加える。 (2)(1)で調製した溶液に1/10N−NaOH水溶液を
添加してpHを3.5に調整する。 (分析操作) (1)触媒濾過後の水添反応粗液5mlを試験管にサンプ
リングする。 (2)このサンプリング液に5mlの上記で調製したBP
B添加塩酸ヒドロキシルアミン溶液を加えて混合して被
検液とする。 (3)被検液が青色または黄緑色から黄色に変色した時間
を、変色時間として測定する。 アセトアルドールをモデル物質にして、アルデヒド基含
有量と変色時間の相関を測定したところ次のようであっ
た。アルデヒド基含有量=アセトアルドール含有量×2
9.1/88.1で換算される。
ヒド基の含有量と相関関係があり、下記のようにBPB
添加塩酸ヒドロキシルアミン添加による変色時間の長短
により判断が可能である。 (1)良好の場合:青色→黄緑→黄(青色→黄緑の変色時
間が長い。) (2)悪くなる場合:青色→黄緑→黄(青色→黄緑の変色
時間が短くなる。) (3)著しく悪くなった場合:添加した途端、黄となる。 上記変色時間と無臭ないし臭気の著しく少ない精製1,
3−ブチレングリコールを得るための蒸留工程の相関関
係を実績で表現すると下記のようになる。
ト率は、低沸点物及び/又は高沸点物のカット率であ
る。カット率は、蒸留塔の分離段数や還流比とも相関関
係にあり、分離段数や還流比を大きくすればカット率を
低下できるが、設備費の増加やスチーム等の用役費用が
増加する。変色時間は、1時間以上、好ましくは4時間
以上、さらに好ましくは8時間以上、特に好ましくは1
6時間以上である。変色時間が1時間未満では、臭気の
著しく少ない精製1,3−ブチレングリコールを得るた
めにはカット率が著増するので、生産性が著しく低下す
る。
ングリコールは、塗料用溶剤、各種化合物を製造するた
めの中間原料のみならず、特に純度が高く、臭気や味の
問題がないグレードのものが得られるので、保湿剤等の
化粧品原料や動物用餌の添加剤として使用可能である。
また、本発明により工程管理が合理化され、無臭ないし
臭気の著しく少ない精製品の収率向上、用役の削減等、
効率の良い、安定した低臭気の1,3−ブチレングリコ
ールの製造を行うことができる。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 臭気の評価方法:評価試料として、製造直後又は所定期
間貯蔵後の1,3−ブチレングリコールを使用し、臭い
を感じない1,3−ブチレングリコールを1、ほとんど
臭いを感じない1,3−ブチレングリコールを5、僅か
に臭いの感じられる1,3−ブチレングリコールを10
として、その相対評価で1〜10の点数を付ける。1,
3−ブチレングリコールは、水と1:1容量比で混合
し、共栓広口試薬瓶に入れ、密栓し室温に放置した後、
大気中で速やかに臭いを嗅ぎ、比較する方法で行った。
臭気不合格の1,3−ブチレングリコールは、上記点数
が10以上のものである。
トリウム水溶液の存在下に縮合して得られたパラアセト
アルドール反応液を中和処理した後、未反応アセトアル
デヒドの一部を回収した後の反応粗液を、下記性能のラ
ネーニッケルの鹸濁した連続懸濁気泡塔に供給し、下記
反応条件で水添反応を行い、ラネーニッケルを濾別し
て、水添反応粗液を得た。ラネーニッケルとしては、合
金時のニッケル含有率が49重量%、粒度分布が74μ
m超3.3%、74μm以下〜43μm超17.4%、
43μm以下79.2%のものであり、展開後のラネー
ニッケルはアルミニウム含有率が8重量%で、アセトン
水素化活性が2,500ml/g-Ni/hr及びフェノール水素
化活性600ml/g-Ni/hrのものである。反応条件は、ア
セトアルドール類100重量部に対して、触媒10重量
部、水素6重量部、滞留時間80分、反応温度135
℃、反応圧力140気圧である。水添反応粗液5mlを
試験管にサンプリングし、予め調製したBPB添加塩酸
ヒドロキシルアミン溶液5mlを加えて混合し、被検液
が青色から黄色に変色するに要した変色時間を測定した
ところ16時間であった。水添反応粗液を脱アルコール
処理してエタノール、ブタノールを除き、水と共沸によ
り臭気成分を留出分離した後、薄膜蒸発により縮合工程
塩基中和物、水添触媒および熱分解性高沸点物を分離し
た後、20段の連続蒸留塔に供給し、缶液温度150
℃、塔頂圧力20torrで、供給液量100重量%とし
て、高沸点物15重量%を釜残として1,3−ブチレン
グリコールを留出させ、次いで20段相当の充填物入り
連続蒸留塔に供給し、缶液温度115℃、塔頂圧力15
torr、還流比1.5で、供給液量100重量%として、
低沸点物を15重量%カットし、精製1,3−ブチレン
グリコールを得た。得られた精製1,3−ブチレングリ
コールは、臭気評価が、製造直後1及び3ヶ月貯蔵後5
であり、化粧品グレードとして使用可能であった。
時のニッケル含有率が51重量%、展開後のラネーニッ
ケルのアルミニウム含有率が7重量%で、アセトン水素
化活性が4,300ml/g-Ni/hr及びフェノール水素化活
性1,200ml/g-Ni/hrのものを使用した以外は、実施
例1と同様にして1,3−ブチレングリコールを得た。
なお、水添反応粗液5mlを試験管にサンプリングし、
予め調製したBPB添加塩酸ヒドロキシルアミン溶液5
mlを加えて混合し、被検液が青色から黄色に変色する
に要した変色時間を測定したところ48時間であった。
得られた精製1,3−ブチレングリコールは、臭気評価
が、製造直後1及び3ヶ月貯蔵後3であり、化粧品グレ
ードとして使用可能であった。
時のニッケル含有率が50重量%、展開後のラネーニッ
ケルのアルミニウム含有率が7重量%で、アセトン水素
化活性が1,500ml/g-Ni/hr及びフェノール水素化活
性350ml/g-Ni/hrのものを使用した以外は、実施例1
と同様にして1,3−ブチレングリコールを得た。な
お、水添反応粗液5mlを試験管にサンプリングし、予
め調製したBPB添加塩酸ヒドロキシルアミン溶液5m
lを加えて混合し、被検液の変色時間を測定したところ
0.8時間であった。得られた精製1,3−ブチレング
リコールは、臭気評価が、製造直後5及び3ヶ月貯蔵後
10であった。
題がないグレードの精製1,3−ブチレングリコールが
効率良く、安定して製造され、水添工程や蒸留精製工程
などの製造工程の負担が少ない。得られた精製1,3−
ブチレングリコールは、合成樹脂、界面活性剤、吸湿
剤、高沸点溶剤、不凍液や、特に吸湿性、低揮発性、低
毒性を利用して化粧品の素材としても利用される。
Claims (7)
- 【請求項1】 アセトアルデヒドの縮合により得られた
アセトアルドール類を、触媒の存在下に水素添加して
1,3−ブチレングリコールを含む水素添加粗液を得る
際に、該触媒としてアセトン水素化活性が2,000ml
/g-Ni/hr以上及び/又はフェノール水素化活性が500
ml/g-Ni/hr以上であるラネーニッケルを使用することを
特徴とする精製1,3−ブチレングリコールの製造方
法。 - 【請求項2】 水素添加反応粗液中の残存アルデヒド基
の含有量が200重量ppm以下であることを特徴とす
る請求項1に記載の精製1,3−ブチレングリコールの
製造方法。 - 【請求項3】 水素添加反応粗液を蒸留して、低沸点成
分(L)を分離した後、さらに蒸留して1,3−ブチレ
ングリコールを留出させることを特徴とする請求項1又
は2に記載の精製1,3−ブチレングリコールの製造方
法。 - 【請求項4】 低沸点成分(L)を分離した後、蒸発さ
せ、さらに蒸留して1,3−ブチレングリコールを留出
させることを特徴とする請求項3に記載の精製1,3−
ブチレングリコールの製造方法。 - 【請求項5】 蒸留して1,3−ブチレングリコールを
留出させた後、さらに蒸留により低沸点成分(l)を分
離することを特徴とする請求項3又は4に記載の精製
1,3−ブチレングリコールの製造方法。 - 【請求項6】 製造直後の臭気が、臭気評価3以下であ
ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の精
製1,3−ブチレングリコールの製造方法。 - 【請求項7】 さらに、3ヶ月貯蔵後の臭気が臭気評価
5以下であることを特徴とする請求項6に記載の精製
1,3−ブチレングリコールの製造方法。
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