JP2001287292A - 断熱化粧材及び断熱化粧部材 - Google Patents

断熱化粧材及び断熱化粧部材

Info

Publication number
JP2001287292A
JP2001287292A JP2000104426A JP2000104426A JP2001287292A JP 2001287292 A JP2001287292 A JP 2001287292A JP 2000104426 A JP2000104426 A JP 2000104426A JP 2000104426 A JP2000104426 A JP 2000104426A JP 2001287292 A JP2001287292 A JP 2001287292A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat insulating
powder
layer
heat
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000104426A
Other languages
English (en)
Inventor
Hironori Kamiyama
弘徳 上山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2000104426A priority Critical patent/JP2001287292A/ja
Publication of JP2001287292A publication Critical patent/JP2001287292A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 断熱性能によって結露や反りが防せげる断熱
化粧材と、その断熱化粧材を金属基材等に積層した断熱
化粧部材に於いて、地球環境上問題となるフロンガスを
使用しないで済む様にする。 【解決手段】 断熱化粧材Sは、化粧層1の裏側に、粉
体3が気体遮断性シート5により真空包装されてなる断
熱層2を積層し、その粉体を平均粒径が1〜5μmで嵩
比重が0.1〜0.3とする。真空包装は、粉体を透気
性シート4で内包し更に、その外側を気体遮断性シート
で外包するのが良い。断熱化粧部材は、この断熱化粧材
を基材に積層した構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物、建具、及
び乗り物等の内装や外装に用いられる断熱化粧材と、そ
れを金属等の基材に積層して得られる断熱化粧部材に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、扉や壁等として、金属基材や
無機質基材等の表面を、天然木等の絵柄や色調に化粧す
ることが、上記の如き各種用途で使用されている。この
様な、場合、例えば、樹脂シートに印刷等で装飾処理を
施したシート状の化粧材を、金属等の基材に貼着し積層
して化粧部材としている。
【0003】ところで、基材が特に鉄、アルミニウム等
の金属の場合には、化粧部材の熱伝導率が高くなる為、
夏期の冷房や冬季の暖房時に、保冷や保温の断熱効果が
不十分となったり、室内暖房時に結露が生じたり、或い
は日光に当たって加熱され熱膨張による反りが生じたり
する、問題があった。そこで従来の断熱化粧材や断熱化
粧部材では、断熱の為に硬質ウレタンフォーム等の断熱
材からなる断熱層を設けた構成とする事が主流であっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年の地球温
暖化防止、オゾン層破壊などの環境問題から、ウレタン
フォームの発泡にフロンガスを用いると共に、その低熱
伝導を利用した断熱材は徐々に好まれなくなってきた。
また、代替フロンガスとして近年水発泡タイプの硬質ウ
レタンフォームが用いられてきたが、断熱性は従来のも
のから比べて劣るものであった。
【0005】そこで、本発明の課題は、金属等の基材に
積層しても、保冷や保温等の優れた断熱効果が得られ、
反りや結露を生じない様にできる上、フロンガスを使用
しないで済む断熱化粧材と、それを用いて得られる断熱
化粧部材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の断熱化粧材では、化粧層の裏側に断熱層が
設けられてなり、該断熱層が粉体が真空包装されてなる
断熱層であって、該粉体が平均粒径が1〜5μmで嵩比
重が0.1〜0.3である構成とした。
【0007】この様な構成とする事で、断熱層にはウレ
タンフォームを使用しないので、地球環境上問題となる
フロンガスを使用せずに、保冷や保温の断熱性能が得ら
れる。しかも、断熱層に用いる真空包装中の粉体は、平
均粒径及び嵩比重を特定してあるので、ヒートブリッジ
を起こし難く断熱性が良好となる上、粉体のハンドリン
グの問題も無い。
【0008】また、本発明の断熱化粧材は、上記構成に
於いて、断熱層の粉体が、透気性シートにより内包され
更に、その外側を気体遮断性シートで外包されている構
成とした。
【0009】この様に、断熱層に用いる真空包装中の粉
体は、内側が透気性シートで内包し且つ外側は気体遮断
性シートで外包してあるので、断熱層を、その内部を真
空引きして作成する時に、内側の透気性シートによって
粉体が舞うのを抑え、粉体も同時に真空吸引されてしま
うのを防げる。従って、粉体の減量による断熱性能低下
も無く、製造も容易な化粧材となる。
【0010】また、本発明の断熱化粧部材は、上記いず
れかの断熱化粧材が、その裏側面で直接又はその他の層
を介して、基材に積層されてなる構成とした。
【0011】この様な構成とする事で、上述断熱化粧材
で延べた効果が得られる。そして、例えば、冬季の暖房
等によって起こる結露や反りの問題等を防げる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施の形態を説明する。
【0013】概要:先ず、図1の断面図で、本発明の断
熱化粧材の基本的な構成を説明する。図に例示する如
く、本発明の断熱化粧材Sは、化粧層1の裏側に断熱層
2が設けられ、その断熱層2は粉体3が真空包装された
構造で、しかもその真空包装は粉体3が透気性シート4
により内包され更に、その外側を気体遮断性シート5で
外包された構造となっている、断熱化粧材である。ま
た、図9(A)の断面図でその一形態を例示する如く、
本発明の断熱化粧部材Dは、本発明の断熱化粧材Sが、
その裏側(すなわち断熱層2側)面で、直接又はその他
の層(同図では接着剤層7)を介して、金属等からなる
基材8に積層された構成の化粧部材である。
【0014】断熱化粧材:以下、先ず断熱化粧材の化粧
層から順に更に詳述する。
【0015】〔化粧層〕化粧層1は、断熱層2の上側
に、直接、又は接着剤層等の他の層を介して積層され
る。或いは、この化粧層1の下側に、直接、又は接着剤
層等の他の層を介して、断熱層2を積層する。
【0016】化粧層1は、例えば図2及び図3の断面図
で示す各種形態例の断熱化粧材Sの様に、化粧層1の構
成要素として基材シート11を用いることができる。基
材シートは、通常、厚さ20〜200μm程度である。
基材シート自体で所望の意匠外観を表現できれば、基材
シートをそのまま化粧層として用いることができるが、
通常は、基材シートに対して装飾処理を施したものを化
粧層とする。
【0017】(基材シート)基材シート11としては、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペ
ンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プ
ロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオ
レフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ
(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブ
チル、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸
ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン
共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリ
ル酸ブチル−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチ
ル共重合体等のアクリル樹脂(ここで、(メタ)アクリ
ルとは、アクリル又はメタクリルの意味で用いる。)、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロ
ン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体)、ポリスチレン等の樹脂、ガラス繊維、石
綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊
維、炭素繊維等の無機質繊維、ポリエステル繊維、ビニ
ロン繊維等の有機樹脂繊維等の織布又は不織布等が挙げ
られる。また、これらの単層の他、2層以上の積層体を
基材シートとして用いることもできる。
【0018】(装飾処理)基材シートに対する装飾処理
としては、化粧シートに於ける従来公知のもので良く、
特に制限は無い。例えば、基材シート表面に絵柄層、金
属薄膜層等を形成したり、基材シート表面に凹凸模様を
施したり、或いは基材シートが樹脂の場合には、染料、
顔料等の着色剤を練り込んだり、或いはこれらの組み合
わせとする。或いは、また別の第二の基材シートにそれ
らの装飾処理を施したものを、(第一の)基材シートに
積層する事で(第一の)基材シートを装飾処理する事も
ある。
【0019】ここで、特に化粧層の各種形態例を主体に
例示した図2及び図3で例示する各種断熱化粧材Sを参
照しながら、化粧層1に於いて基材シート11に対して
行う各種装飾処理の例を説明する。
【0020】図2(A)の断熱化粧材Sは、化粧層1の
裏側に本発明特有の断熱層2が積層された構成のもので
あるが、図2(A)に於ける化粧層1は、着色剤添加に
よる装飾処理の例であり、樹脂シート等からなる基材シ
ート11に対して、その内部に着色剤aが練り込み等に
よって添加され着色されて、基材シート11自体が化粧
層1自体となった例である。
【0021】次に、図2(B)に示す断熱化粧材Sに於
ける化粧層1は、基材シート11に対する装飾処理とし
て、基材シート11の表側に絵柄層12が印刷等で形成
された例である。
【0022】次に、図2(C)に示す断熱化粧材Sに於
ける化粧層1は、図2(B)において、装飾処理とし
て、絵柄層12の形成の代わりに、エンボス加工等によ
って凹凸模様13が基材シート11の表側に形成された
例である。
【0023】次に、図2(D)に示す断熱化粧材Sに於
ける化粧層1は、図2(C)において、装飾処理とし
て、更に、凹凸模様13の凹部内部にワイピング加工等
によって着色部14が形成され例である。
【0024】次に、図3の断面図で例示する断熱化粧材
Sに於ける化粧層1は、図2(B)において、装飾処理
として、更に、絵柄層12が形成された基材シート11
の表側面に、表面保護層15が形成された例である。
【0025】前記着色剤aとしては、チタン白、亜鉛
華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄
鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノ
ン、ハンザイエロー、キナクリドン、パーマネントレッ
ド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーR
S、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含
む)、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料
(或いは染料も含む)、二酸化チタン被覆雲母、塩基性
炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等があ
る。これらは、粉末或いは鱗片状箔片として添加、分散
せしめられる。
【0026】また、絵柄層12は、印刷法、手描き等に
よって形成する。印刷法としては、例えば、グラビア印
刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シー
トからの転写印刷等の公知の印刷法によってインキにて
絵柄(模様)を形成する。絵柄が全面ベタ柄の場合は、
グラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法によっ
て塗料で形成する事もできる。絵柄層の形成に用いるイ
ンキ(或いは)塗料としては、バインダーの樹脂とし
て、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレ
ン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ウレ
タン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、セルロース樹脂等を、1種又は
2種以上の混合物として用いる。これに前記列挙した様
な公知の着色剤を1種又は2種以上添加した物を用い
る。絵柄は、木目絵柄、石目絵柄、布目絵柄、皮絞絵
柄、タイル貼り絵柄、煉瓦積み絵柄、幾何学図形、文
字、記号、或いは全面ベタ柄等である。
【0027】一方、金属薄膜層は、アルミニウム、クロ
ム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着法、スパッタ
リング法等の公知の成膜法で成膜し形成する。該金属薄
膜層は、全面に設けても、或いは、部分的に、例えばパ
ターン状に設けてもよい。
【0028】凹凸模様13を形成するには、エンボス加
工により形成するのが、特に熱可塑性樹脂からなる基材
シートの場合には代表的であるが、ヘアライン加工等の
その他の方法も可能である。エンボス加工は、基材シー
トを加熱軟化させ、エンボス版で加圧、賦形し、冷却固
定するもので、公知の枚葉、或いは輪転式のエンボス機
が用いられる。
【0029】凹凸模様としては、木目導管溝、石板表面
凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、
砂目、ヘアライン、万線条溝、煉瓦積又はタイル貼りの
目地溝等がある。
【0030】更に必要に応じて、凹凸模様の凹部に公知
のワイピング法(特公昭58−14312号公報等参
照)によって、着色インキを充填して着色部14を形成
することもできる。着色インキは前記絵柄層に用いたイ
ンキと同様の物を使用することができる。但し、耐磨耗
性の点で、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダーの樹脂
とする物が好ましい。
【0031】更に必要に応じ、前記絵柄層の上に表面保
護や塗装感や艶調整等の装飾処理のための表面保護層1
5を形成することもできる。表面保護層は、例えば、ア
クリル樹脂系の塗料(又はインキ)の塗工(又は印刷)
で形成することができる。また、表面保護層は、単層の
他に複層であっても良い。例えば図示は省略するが、ア
クリル系等の不織布からなる不織布層と、その上の塗膜
層とからなる表面保護層とする。不織布層は、アクリル
樹脂等の樹脂の溶液又は分散液等からなる接着剤で積層
し、その上から表面保護層として、アクリル樹脂等の樹
脂を用いた塗膜層を塗工形成すれば良い。不織布層は表
面強度の向上、塗装適性の向上等の為に用いる。
【0032】なお、上記不織布或いは織布としては、例
えば、硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミ
ナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維などの無機質繊維、アク
リル繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維などの有機
樹脂繊維などを用いることができる。
【0033】また、上記塗膜層等の表面保護層、前記基
材シート、絵柄層中には、耐候(光)を付与するため
に、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノ
アクリレート系、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化亜鉛
等の各種の紫外線吸収剤、及び/又はヒンダードアミン
系ラジカル捕捉剤等の光安定剤を添加することもでき
る。
【0034】〔断熱層〕断熱層2は、外界から熱が伝導
してくるのを遮断して、断熱層の下側に位置させる金属
等の基材〔例えば図9(A)の断熱化粧部材Dに於ける
基材8等〕が熱伝導により昇温或いは冷却されるのを防
止するために設けられる層である。断熱層としては、一
般的には化粧層側から基材側へ(なお、この逆方向もあ
る)の熱伝導、輻射及び対流による熱移動を抑制するこ
とが可能なものであれば、基本的にはいずれでも良い。
しかし、近年の地球温暖化防止の観点等から、特に高断
熱のものがより好ましい。また、オゾン層保護の観点か
ら、従来のウレタンフォームの様に、フロンガスを発泡
等に利用する事も避けるべきである。そこで、本発明で
は、真空断熱技術を用いる事で、フロンガスを使用せず
に優れた断熱性を呈する真空断熱材を開発し、これを断
熱層に採用した。すなわち、該真空断熱材は粉体を真空
包装した構造とし、しかも粉体は平均粒径1〜5μmで
嵩比重0.1〜0.3となる特定の粉体を使用すること
で、断熱性能は良好となる。
【0035】(粉体)断熱層に使用する粉体3として
は、平均粒径が1〜5μmで且つ嵩比重が0.1〜0.
3のものであれば良く、その他の点については特に制限
は無い。この様に平均粒径及び嵩比重を特定範囲内とし
た粉体を使用するのが、良好な断熱性能上、ヒートブリ
ッジ(局所的な熱伝達の短絡)を起こし難く好ましい。
平均粒径が1μm未満であると、断熱層作成時の粉体の
ハンドリングの問題等の点で好ましくない。逆に、平均
粒径が5μmを超えると、通常の真空包材と真空ポンプ
を用いて容易に実現できる真空度(絶対圧)である1.
3kPa(旧単位10Torrの換算値)程度の真空度
に於ける平均自由工程を超えてしまい、熱の対流が発生
してしまう為に好ましくない。また、嵩比重が0.1未
満となると、粉体自体の製造上のハンドリングの難易度
が上がってしまい、また嵩比重が0.3を超えると、断
熱層内で芯材となる粉体自体のヒートブリッジの影響度
が増して断熱性が悪くなる。
【0036】なお、粉体の平均粒径はあまり大きくしな
い方が、平均自由工程の観点から良いのは、次の様な理
由による。
【0037】すなわち、断熱層を真空包装体で作るとは
言っても、或る程度の空気は内部に残留する。そして、
空気を通しての熱伝達は、分子の熱拡散の寄与は小さい
が、空気全体が流体として振る舞い対流することによる
寄与は大である。したがって、空気の断熱性を高める為
には、粉体の粒子間の空隙に残留する空気が流体として
振る舞えなくなる程度の真空度が必要となる。その為
に、粉体の粒子間の間隙の寸法が、空気の平均自由工程
以下になることが必要となるからである。
【0038】ここで更に、図4を参照しながら、粒子サ
イズと平均自由工程の関係を説明する。最も単純な例と
して、粉体が球状粒子だと仮定し、この粉体を最密充填
した場合に於ける空隙の大きさと粒径の関係を考察して
みる。図4は、真球の粉体3a、3b、3cが(平面上
で)最密充填された状態を示す。これら粉体同士の間に
形成される空隙9の寸法を、空隙9の差し渡し長Lab
だとすると、Labは、三角比から、粉体の半径(=直
径/2)がaのとき、
【0039】Lab=〔(3)1/2 −1〕×a
【0040】となり、仮に粉体の半径がa=10/2=
5μmとすると、
【0041】 Lab=〔(3)1/2 −1〕×5 ≒〔1.73−1〕×5 =0.73×5=3.7μm
【0042】となり、粒径10μm(半径5μm)の粉
体では、差し渡し長Labは3.7μmで粒径の約1/
3となる事が分かる。なお、ここでの考察は、全ての粉
体が一つの完全な真球から成り且つ全ての粉体が同一粒
径を有する場合である。実際に用いる粉体は、粉体が完
全な真球でなかったり、多数の小粒子が結合した構造体
であったり、或る粒径の粉体により小さい粒径の粉体が
混ざっていたりする等して、最密充填に於ける空隙の大
きさは、これと異なってくる。例えば、小さい粒径の粉
体が混ざっていれば、空隙の寸法はより小さくなる。
【0043】そして、代表的には上記の差し渡し長La
bのサイズが、空気の平均自由工程のサイズ以下となる
様な、粉体の粒径とすれば良い事になる。なお、空気の
平均自由工程は、いわゆる常温、常圧〔20℃、100
kPa(旧単位で1気圧)程度〕の場合で0.1μm程
度であるが、圧力と反比例しして真空度が増す(絶対圧
が低下)と増大する。以上の様に粒子サイズと平均自由
工程は関連し、そして、粉体の平均粒径を5μm以下と
すると断熱性の点で好ましい結果が得られる。
【0044】ところで、本発明で用いる粉体は無機物、
有機物のいずれでも良い。また、粉体は中空、中実のい
ずでも良い。但し、中実よりは中空の方が断熱性の点で
好ましい。粉体としては、例えば、シリカ、中空ビーズ
等が使用できる。また、シリカは、多数の微小粒子が凝
集し該微小粒子間に空隙を有する凝集体からなる粒子を
利用できる。なお、中空ビーズは球形状の中空体の総称
であり、バルーンとも呼ばれる。中空ビーズの隔壁は無
機質材料又は樹脂等の有機質材料からなり、中空ビーズ
の内部は、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ブタン
等の気体が充填されているか、或いは真空となってい
る。また、粉体はその表面を、例えばシランカップリン
グ剤で疎水化処理する等、公知の表面処理がされたもの
でも良い。
【0045】なお、粉体の形状としては、球状、不定形
等、基本的には特に制限は無い。例えば、中空ビーズの
場合でも、その形状は完全な球形でも良いし、回転楕円
体、正多面体、或いはこれらの多少歪んだ形状であって
も良い。但し、平均粒径が特に大きい場合、不定形より
は好ましくは球状の方が良い。不定形で大粒径の粉体
は、内包や外包を傷付けて真空度を損ない事もあるから
である。
【0046】なお、無機系の中空ビーズとしては、原料
としてケイ酸ソーダ系ガラスを用いたものがあるが、耐
水性等に優れたアルミケイ酸ガラス系或いはホウケイ酸
ソーダガラス系等の多成分系ガラスからなるものが好ま
しい。その他、シラスや黒曜石等の天然火山性ガラス系
等を原料にした中空ビーズ等もある。
【0047】また、有機系の中空ビーズとしては、例え
ば、ポリエチレン(高密度、中密度又は低密度)、ポリ
プロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系
樹脂や、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、
ポリフッ化ビニリデン等を隔壁に使用したもの等が挙げ
られる。
【0048】なお、中実の粉体としては、アクリル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等からなる有機
系ビーズ、或いは、アルミナ、硝子、シリカ等からなる
無機系ビーズもある。
【0049】(真空包装)粉体の真空包装は、少なくと
も気体遮断性シートによって真空状態で粉体を包装す
る。真空包装は気体遮断性シートのみによって行っても
良い。但し、この場合、真空吸引時に粉体が舞って吸い
取られない様に、フィルターを設けた吸引ホースで真空
引きする等の工夫が必要となる上、粉体が偏在化するこ
ともある。したがって、より好ましくは、図1で示す如
く、断熱層2は、透気性シート4からなる内包と気体遮
断性シート5からなる外包との多重構造として、粉体3
は内包及び外包によって二重に包装されている構造とす
るのが良い。以上の様な多重構造の包装体から断熱層を
構成することで、包装体の内部を真空引きして断熱層と
する時に、内側の透気性シートによって、粉体が舞って
真空吸引時に吸い取られてしまうのを防げる。従って、
製造が容易な化粧材或いは化粧部材となり、粉体の減量
による断熱性能低下も無い。また、断熱層に例えば繊維
質シート等を採用する場合に比べて、断熱性能は良好と
なる。
【0050】(透気性シート)透気性シート4は、上記
した粉体を真空包装して断熱層とする際に使用する内側
の包装体を構成する。透気性シート4で粉体を内包する
事によって、断熱層を真空吸引して作成する時に、粉体
が舞ってしまい真空吸引と同時に吸引されてしまうのを
防げる。従って、製造が容易となり、また、粉体の減量
による断熱性能低下も無い。特に嵩比重が1よりも小さ
い粉体の場合には舞い易いので、透気性シートの使用は
効果的である。内包を構成する透気性シートには、真空
吸引は阻害せずに粉体を内包内に止め得るものであれば
特に制限は無い。好ましい透気性の目安としては、透気
度が0.01〜1000s/100cm3 の範囲に入る
シートが良い。透気度が、0.01未満であると、透気
性が良すぎて真空引きの時に粉体が舞い易い。一方、透
気度が1000を超えると、透気性が悪すぎて内包の内
部を十分に真空引き出来ないし、また真空引きに長時間
を要し生産性が低下する。
【0051】以上の様な透気性シートとしては、例え
ば、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミ
ナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機質繊維、ポリエ
ステル繊維、ビニロン繊維等の有機樹脂繊維等の織布又
は不織布、或いは紙、或いは紙や樹脂シートに、小孔を
針等で穿設したもの等を使用する。なお、樹脂シートの
樹脂としては、前述化粧層の基材シートで列記した如き
樹脂等が挙げられる。
【0052】(気体遮断性シート)一方、気体遮断性シ
ート5としては、その内部を真空に保てる様なものであ
れば、特に制限は無い。例えば、気体遮断性シートとし
ては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等の樹脂シートの片面或いは両面に、アル
ミニウム、シリカ等からなる気体遮断性の薄膜を真空蒸
着等で形成したシートを使用できる。また、断熱性は低
下するが、アルミニウム等の金属箔、或いは金属箔を上
記の如き樹脂シート等に貼り合わせた積層体等も使用で
きる。
【0053】内包と透気性シートと外包とする気体遮断
性シートとで粉体を包装する場合には、先ず、内包とす
る透気性シートで作った袋等の包装体と、外包とする気
体遮断性シートで作った袋等の包装体とを用意し、前記
内包とする包装体に粉体を入れて封止して内包とした
後、その内包を外包とする包装体に入れて(外包の内側
と内包の外側との間の空間から)真空引きした後密閉し
て外包とすれば良い。こうすれば、内包の内部も真空状
態となり、粉体が内包及び外包で二重に包装された真空
包装体からなる断熱層が得られる。
【0054】図5に例示する包装体6は、透気性シート
4或いは気体遮断性シート5からなる包装体の一例とし
て、一辺に開口部21を有する袋状のものを示す。開口
部21の内側には熱可塑性樹脂等からなる感熱接着剤を
ヒートシール層22として施してあり、開口部から内容
物(内包の場合は粉体、外包の場合は密閉済み等とした
内包)を入れた後、感熱接着剤を熱融着させて開口部を
密閉すれば良い。なお、包装体の形状は、用途に合った
形状とすれば良い。なおもちろんだが、外包の場合は、
開口部の完全密閉は真空引き完了後である。
【0055】なお、包装体6は最初から袋状では無くて
も良い。二方が開口部となった円筒状のシートに内容物
を入れた後、両端の開口部を熱融着等で密閉しても良
い。或いは、二枚のシートの間に粉体を挟んで、四方を
熱融着等で密閉する等しても良い。
【0056】なお、気体遮断シートによって維持される
断熱層の真空度は、もちろん高い(値は小さい)方が断
熱性の点で好ましいが、真空度としては特に制限は無
い。それは、常圧に比較して減圧状態となっていれば、
その真空度に応じた相応の断熱効果が得られるからであ
る。例えば、真空度は1.3kPa(旧単位10Tor
rの換算値)程度とすれば良い。
【0057】また、断熱層は、図6の断面図、及び図7
(A)〜図7(C)の平面図で例示する如く、内部の粉
体を、固定部wによって複数の小室rで区画しても良
い。小室rは、粉体(の集合)を区画するのが目的であ
るから、少なくとも内包に於いて設ければ良い。この様
な小室に区画された断熱層とする事で、断熱層の可撓性
が不足する場合に、固定部wで増大した可撓性によっ
て、断熱層全体としての可撓性を向上させる事ができ
る。例えば、断熱性化粧材を二次元曲面に貼着する場合
等である〔図9(B)参照〕。また、断熱層内部で粉体
が動き回る場合、それも防げる。小室r及び固定部wの
平面視形状は任意である。但し、壁部wは断熱性が低下
しているので、なるべく面積的に少ない方が良い。これ
ら形状は、必要な可撓性の方向性(例えば1方向のみ、
2方向)を考慮した形状とすれば良い。例えば、図7
(A)及び図7(B)ではX方向の可撓性が向上し、図
7(C)ではX及びY方向の可撓性が向上する。また、
図7(CBの如く、固定部wは点線状、或いは点状(ス
ポット状)等と連続線状で無くても良い。なお、小室同
士は連通していても、連通していなくても良い。真空引
きは透気性シートによって確保されるからである。内包
を小室に区画するには、図7(A)の様な線状であれ
ば、区画後に粉体を入れても良いが、図7(C)の様な
格子状等では、粉体を包装体に入れた後、熱プレス等に
よって区画する等すれば良い。そしてその後、内包を外
包に入れて真空引きすれば良い。また、固定部wにて、
上下の透気性シートを接触或いは接近させるには、当該
部分に公知の熱可塑性樹脂等からなるヒートシール層を
印刷等でパターン状に形成したりして熱融着部としてお
き、これを(間に粉体がある場合は粉体も含めて)熱融
着させたりすれば良い。
【0058】〔接着剤層〕また、本発明の断熱化粧材
は、図8で例示する断熱化粧材Sの如く、化粧層1と断
熱層2との積層には必要に応じ適宜、接着剤層16を介
して積層しても良い。接着剤層に用いる接着剤は、用途
に応じ、アクリル樹脂、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、
2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂等の
硬化性樹脂等の従来公知の接着剤を使用すれば良い。な
お、接着剤層はロールコート、フローコート、スプレー
コート等の公知の塗工法等で形成すれば良い。
【0059】〔裏面接着剤層〕また、図示は省略する
が、本発明の断熱化粧材は、その裏面側に、被着体とな
る基材に積層させる為の裏面接着剤層、或いは接着性を
向上する為のプライマー層を設けた構成としても良い。
裏面接着剤層は、基材の材質等の用途に応じ、ポリアミ
ド等の熱可塑性樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂等の硬化
性樹脂等の従来公知の接着剤、プライマー剤を使用すれ
ば良い。形成は、グラビア印刷、ロールコート等の公知
の印刷又は塗工法で形成すれば良い。なお、図9(A)
の断面図で例示する断熱化粧部材Dにおける接着剤層7
は、この裏面接着剤層によってもたらされる場合もあ
る。
【0060】断熱化粧部材:本発明の断熱化粧部材は、
図9(A)の断面図、及び図9(B)の斜視図で例示す
る断熱化粧部材Dの如く、上述した本発明の断熱化粧材
Sが、(化粧層側を表側に断熱層側を裏側にして)金属
等の基材8の表面に、直接又は他の層を介して積層した
構成の部材である。該他の層は、例えば図9(A)及び
(B)の如き接着剤層7である。一方、図9(B)で例
示する断熱化粧部材Dは、柱状乃至は板状の基材8で、
互いに角が曲面で連結する3側面に、断熱化粧材Sを、
ラッピング加工法等によって、回り込む様にして貼着し
て積層した部材である。そして、本発明の断熱化粧部材
では、基材上に積層する断熱化粧材Sによって、基材に
断熱効果及び表面装飾効果が付与される。なお、この様
な部材は、例えば、基材が板状の場合では壁面材の内装
建材等になる。なお、既に目的用途に設置済みの基材
(部材)に対しては、上述本発明の断熱化粧材を施工現
場で貼着して積層すれば、該基材に断熱効果及び表面装
飾効果が付与した本発明の断熱化粧部材とすることがで
きる。
【0061】〔基材〕上記基材8、或いは前述本発明の
断熱化粧材の被着体としての基材としては、形状、材質
に特に制限は無い。基材の形状としては、例えば、中空
或いは中実の平板、湾曲した凸面板等の板、円柱、多角
柱等の角柱等の形状からなる基材を用いる事ができる。
基材の材質としては、例えば、金属、木材、セラミック
ス、セメント等の無機窯業系、樹脂等が用いられるが、
特に本発明が効果を奏するのは、元来それ自体が高熱伝
導率の金属の場合である。金属としては、鉄、又は炭素
鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウム又はジュラ
ルミン等のアルミニウム合金、銅、真鍮、チタン等が挙
げらける。
【0062】〔積層法〕基材に対して断熱化粧材を貼着
して積層するには、基材の形状等に応じた従来公知の積
層方法を採用すればよい。例えば、基材の外側に、接着
剤を全面塗布して接着剤層を形成した後、本発明の断熱
化粧材を、該断熱化粧材の裏面(化粧層に対して断熱層
側の面)で貼着させることにより積層すれば良い。
【0063】積層方法の具体的としては、例えば接着
剤層を間に介して板状の基材に加圧ローラーで加圧して
積層する方法、特公昭61−5895号公報、特公平
3−2666号公報等に記載される様に、円柱、多角柱
等の柱状体の基材の長軸方向に、断熱化粧材を間に接着
剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラー
により、柱状体を構成する複数の側面に順次断熱化粧材
を加圧接着して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法
である。
【0064】〔接着剤層〕断熱化粧材Sと基材8間に接
着剤層7を設ける場合、該接着剤層7としては、断熱化
粧材を基材に接着できるものであれば、特に制限はな
い。例えば、2液硬化型ウレタン樹脂系、2液硬化型エ
ポキシ樹脂系等の2液(反応)硬化型接着剤、熱硬化型
ポリエステル系、フェノール樹脂系接着剤等の熱硬化性
接着剤、ポリ酢酸ビニル系、アクリル樹脂系、ポリエチ
レン系接着剤等の熱可塑性接着剤等が挙げられる。これ
ら接着剤は、断熱化粧材側、基材側、或いはこれら両方
に施せば良い。
【0065】断熱化粧材及び部材の用途:本発明の断熱
化粧材及び断熱化粧部材は、各種の内装材、又は外装材
として用いられる。例えば、屋根、外壁、戸袋、窓枠、
ルーフデッキ、バルコニー、フェンス、門扉、扉枠等の
建築物又は建具の外装部材、回縁、幅木、手摺、室内
扉、室内壁、間仕切り等の建築部材又は建具等の内装部
材、自動車、電車、船舶、航空機等の乗物の外装材及び
内装材等が挙げられる。
【0066】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
説明する。
【0067】〔実施例1〕図8に示す如く、化粧層1の
裏面に、粉体を内包及び外包で包み真空包装した断熱層
2を、接着剤層16を介して積層した構成の断熱化粧材
Sを、次の様にして作成した。
【0068】化粧層1として、先ず、厚さ80μmの着
色された(メタ)アクリル酸エステル樹脂シートからな
る(第一の)基材シートの片面に、バインダーの樹脂に
アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との8
対2質量比の混合樹脂を使用し着色剤は弁柄を主体とし
た着色インキを用いて、グラビア印刷で木目柄の絵柄層
を形成して、印刷シートを作成した。次に、第二の基材
シートとして厚さ50μmの透明アクリル系樹脂シート
を、熱プレス法によるダブリングエンボスにて、上記印
刷シートの絵柄層側に積層接着すると同時に、エンボス
ローラにて、木目導管溝の凹凸模様を第二の基材シート
の表側面に賦形した。更にこの後、該凹凸模様の凹部内
に、バインダーの樹脂にアクリルポリオールとヘキサメ
チレンジイソシアネートからなる2液硬化型ウレタン樹
脂を用い、着色剤にカーボンブラックを用いたワイピン
グインキを、ワイピング法によって充填して着色部を形
成した。そして、このシートの凹凸模様側の面全面に、
分子中に水酸基を有するフッ化炭化水素系樹脂と脂肪族
イソシアネートの架橋剤からなる2液硬化型フッ素樹脂
を用いた塗料を塗工し、表面保護層を形成して、化粧層
1とした。
【0069】一方、断熱層2としては、粉体として平均
粒径2.2μmで嵩比重0.13のシリカ粉末(水澤化
学工業株式会社製、商品名「ミズカシルP707」)
を、透気性シートとしてプレスにて透気度を1s/10
0cm3 に調整したアクリル不織布を用いて作った袋状
の包装体に入れた後、開口部に設けたヒートシール層で
ヒートシールして内包とした。そして、この内包を、気
体遮断性シートとして、真空蒸着でアルミニウム薄膜を
形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた
袋状の包装体に入れた後、開口部から1.3kPa(1
0Torr)まで真空引きを行った後、開口部に設けた
ヒートシール層でヒートシールして密閉して、粉体が内
包及び外包で真空包装された厚み3mmのシート状包装
体を得た。
【0070】次に、上記シート状包装体を、前記の印刷
シートの基材シート側に、2液硬化型ウレタン樹脂系接
着剤による接着積層16で積層して、図8の如き本発明
の断熱化粧材Sを得た。
【0071】また、上記断熱化粧材Sを、金属製の基材
としてアルニミニウム板(厚み2mm)の片面に、2液
硬化型ウレタン樹脂系接着剤で貼り付けて、図9(A)
の様な本発明の断熱化粧部材Dを得た。
【0072】〔比較例1〕実施例1に於いて、断熱層に
用いた粉体を平均粒径8μmで嵩比重0.24のシリカ
粉末(水澤化学工業株式会社製、商品名「ミズカシルP
78D」)に代えた他は、実施例1と同様にして断熱化
粧材を作製し、更に実施例1と同様にして断熱化粧部材
を作製した。
【0073】〔比較例2〕実施例1に於いて、断熱層に
用いた粉体を平均粒径1.8μmで嵩比重0.31のシ
リカ粉末(水澤化学工業株式会社製、商品名「ミズカシ
ルP554A」)に代えた他は、実施例1と同様にして
断熱化粧材を作製し、更に実施例1と同様にして断熱化
粧部材を作製した。
【0074】〔比較例3〕実施例1に於いて、断熱層に
用いた粉体を平均粒径6.5μmで嵩比重0.23のシ
リカ粉末(水澤化学工業株式会社製、商品名「ミズカシ
ルC−1」)に代えた他は、実施例1と同様にして断熱
化粧材を作製し、更に実施例1と同様にして断熱化粧部
材を作製した。
【0075】〔比較例4〕実施例1に於いて、断熱層に
用いた粉体を平均粒径6.5μmで嵩比重0.55のシ
リカ粉末(水澤化学工業株式会社製、商品名「ミズカシ
ルP−766」)に代えた他は、実施例1と同様にして
断熱化粧材を作製し、更に実施例1と同様にして断熱化
粧部材を作製した。
【0076】〔比較例5〕実施例1に於いて、不織布か
らなる内包を省略して、粉体を外包とする包装体に直接
入れた他は、実施例1と同様にして断熱化粧材を作製
し、更に実施例1と同様にして断熱化粧部材を作製し
た。
【0077】〔性能比較〕そして、断熱性能は、実施例
1の断熱化粧部材を、室温20℃、30%RH(露点4
℃)の部屋において、0℃の氷水の上に浮かべたとこ
ろ、アルミニウム製の基材の温度が1℃であるのに対し
て、化粧部材表面の温度は14℃で結露も無く、優れた
断熱性を示した。一方、比較例1は10℃、比較例2は
12℃、比較例3は5℃、比較例4は4℃であった。な
お、参照例として、断熱層を厚さ4mmの硬質ウレタン
フォームに代えた断熱化粧部材の表面温度は8℃であっ
た。
【0078】また、実施例1に対して、断熱層に透気性
シートによる内包を省略した比較例5は、内部を真空引
きするときに粉体が舞ってしまい、一部が真空吸引と共
に流失してしまった。しかし、内包を併用した各実施例
では、内包によって粉体が舞うのは抑えられ、容易に真
空引きが出来た。
【0079】
【発明の効果】本発明の断熱化粧材及び断熱化粧部材に
よれば、地球環境上問題となるフロンガスを使用しない
で、優れた断熱性が得られる。しかも、断熱層に用いる
真空包装中の粉体は、平均粒径及び嵩比重を特定してあ
るので、ヒートブリッジを起こし難く断熱性が良好とな
る上、粉体のハンドリングの問題も無い。更に、断熱層
の粉体を真空包装する気体遮断性シートの内側を、透気
性シートで内包した二重構造とすれば、断熱層を、その
内部を真空引きして作成する時に、内側の透気性シート
によって粉体が舞うのを抑え、粉体も同時に真空吸引さ
れてしまうのを防げる。従って、粉体の減量による断熱
性能低下も無く、製造も容易な化粧材となる。
【0080】以上の結果、夏季や冬季に、本発明の断熱
化粧材や本発明の断熱化粧部材を使用した室内を冷暖房
する場合、その優れた断熱効果により、冷房時は優れた
保冷効果、暖房時は優れた保温効果が得られ、また、省
エネ効果も得られる。また、特に冬季に室内暖房をする
場合、外部温度が下降した際に内部に結露が生じたりす
ることがない。また、温度変化による反りも防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の断熱化粧材の基本的構成を示す断面
図。
【図2】本発明の断熱化粧材に於ける化粧層の各種形態
例を主体に例示する断面図。
【図3】本発明の断熱化粧材に於ける化粧層の別の形態
例を例示する断面図。
【図4】粒子サイズと平均自由工程の関係を概念的に説
明する説明図。
【図5】包装体の一例を説明する斜視図。
【図6】断熱層について別の形態例を示す断面図。
【図7】図6の形態に於ける平面視形状の各種例を示す
平面図。
【図8】本発明の断熱化粧材の別の形態例を示す断面
図。
【図9】本発明の断熱化粧部材の別の形態例を示す断面
図と斜視図。
【符号の説明】
1 化粧層 2 断熱層 3 粉体 4 透気性シート 5 気体遮断性シート 6 包装体 7 接着剤層 8 基材 9 空隙 11 基材シート 12 絵柄層 13 凹凸模様 14 着色部 15 表面保護層 16 接着剤層 21 開口部 22 ヒートシール層 D 断熱化粧部材 S 断熱化粧材 a 着色剤 r 小室 w 固定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H036 AA09 AB23 AB28 AC01 AE13 4F100 AA20 AB01 AB10 AK25 AK41 AK51 AT00C BA02 BA03 BA10A BA10C DD32B DE01B DG15 EJ24B EJ40 GB07 GB08 GB31 HB00A HB01 HB21 HB31 JA13B JD02B JJ02B JL04 YY00B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化粧層の裏側に断熱層が設けられてな
    り、該断熱層が粉体が気体遮断性シートにより真空包装
    されてなる断熱層であって、該粉体が平均粒径が1〜5
    μmで嵩比重が0.1〜0.3である、断熱化粧材。
  2. 【請求項2】 該断熱層の粉体が、透気性シートにより
    内包され更に、その外側を気体遮断性シートで外包され
    ている、請求項1記載の断熱化粧材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の断熱化粧材が、
    その裏側面で直接又はその他の層を介して、基材に積層
    されてなる断熱化粧部材。
JP2000104426A 2000-04-06 2000-04-06 断熱化粧材及び断熱化粧部材 Pending JP2001287292A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000104426A JP2001287292A (ja) 2000-04-06 2000-04-06 断熱化粧材及び断熱化粧部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000104426A JP2001287292A (ja) 2000-04-06 2000-04-06 断熱化粧材及び断熱化粧部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001287292A true JP2001287292A (ja) 2001-10-16

Family

ID=18617968

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000104426A Pending JP2001287292A (ja) 2000-04-06 2000-04-06 断熱化粧材及び断熱化粧部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001287292A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006026976A (ja) * 2004-07-13 2006-02-02 Twintech Kk 断熱シート

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5850393A (ja) * 1981-09-17 1983-03-24 松下電器産業株式会社 複合断熱板
JPS58145678A (ja) * 1982-02-17 1983-08-30 松下冷機株式会社 真空断熱材の製造方法
JPS613739A (ja) * 1984-06-18 1986-01-09 シャープ株式会社 真空断熱材
JPH03223597A (ja) * 1989-11-07 1991-10-02 Dainippon Printing Co Ltd 耐火断熱材および耐火断熱容器
JPH11216795A (ja) * 1998-01-30 1999-08-10 Dainippon Printing Co Ltd 外装用断熱シート及び外装用化粧材
JPH11221881A (ja) * 1998-02-05 1999-08-17 Dainippon Printing Co Ltd 外装用断熱シート及び外装用化粧材

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5850393A (ja) * 1981-09-17 1983-03-24 松下電器産業株式会社 複合断熱板
JPS58145678A (ja) * 1982-02-17 1983-08-30 松下冷機株式会社 真空断熱材の製造方法
JPS613739A (ja) * 1984-06-18 1986-01-09 シャープ株式会社 真空断熱材
JPH03223597A (ja) * 1989-11-07 1991-10-02 Dainippon Printing Co Ltd 耐火断熱材および耐火断熱容器
JPH11216795A (ja) * 1998-01-30 1999-08-10 Dainippon Printing Co Ltd 外装用断熱シート及び外装用化粧材
JPH11221881A (ja) * 1998-02-05 1999-08-17 Dainippon Printing Co Ltd 外装用断熱シート及び外装用化粧材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006026976A (ja) * 2004-07-13 2006-02-02 Twintech Kk 断熱シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001030397A (ja) 断熱化粧シート及び断熱化粧部材
JP4620211B2 (ja) 断熱化粧材及び断熱化粧部材
JP2001021094A (ja) 断熱性複合シートおよび断熱性部材
JP4482988B2 (ja) 化粧材
JP2000265589A (ja) 内外装用断熱シート及び内外装用断熱部材
JP3959812B2 (ja) 化粧材
JP6737388B1 (ja) 透明性樹脂フィルム、化粧材、及び、化粧材の製造方法
JP2001193183A (ja) 建装部材用断熱性シートおよび断熱性建装部材
JP2001287292A (ja) 断熱化粧材及び断熱化粧部材
JPH11240091A (ja) 化粧シート及び転写シート
JP2000296573A (ja) 断熱化粧シートおよび断熱部材
JP2000158603A (ja) 内装用断熱化粧シートおよび内装用断熱部材
JP3049668B2 (ja) ラミネート化粧材
JP2000246824A (ja) 内外装用断熱化粧シート及び内外装用断熱化粧部材
KR200433849Y1 (ko) 방습 및 방냉 기능을 갖는 단열 벽지
JP2000229386A (ja) 外装用断熱化粧シートおよび外装用断熱化粧部材
JP2000326433A (ja) 断熱化粧シートおよび断熱化粧部材
JP2002036449A (ja) 吸放湿性化粧材
JP2001199030A (ja) 化粧シート及びこれを用いた壁装材
JP2001280029A (ja) 断熱性金属ドア
JP2000229387A (ja) 内外装用断熱化粧シートおよび内外装用断熱部材
JP2000085080A (ja) 化粧シート
JP2001090220A (ja) 建装部材用断熱性シートおよび断熱性建装部材
JPH10166498A (ja) 化粧板の製造方法
JP2000238200A (ja) 内外装用断熱化粧シートおよび内外装用断熱化粧部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090721

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090911

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091111

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100311