JP2001286726A - 排ガス中の有害物質生成抑制方法 - Google Patents

排ガス中の有害物質生成抑制方法

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JP2001286726A JP2000107434A JP2000107434A JP2001286726A JP 2001286726 A JP2001286726 A JP 2001286726A JP 2000107434 A JP2000107434 A JP 2000107434A JP 2000107434 A JP2000107434 A JP 2000107434A JP 2001286726 A JP2001286726 A JP 2001286726A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排ガス中の有害物質の生成を抑制する。 【解決手段】 ごみ焼却炉10からの排ガス中に複数の
薬剤(硫黄系薬剤に加えて酸化剤又は/及びアルカリ系
薬剤)を吹き込むことにより、ダイオキシン類が冷却過
程で生成する前に生成そのものを抑制し、焼却設備全体
での発生ダイオキシン類量を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却炉等の排
ガス中に含まれるダイオキシン類、PCB、多環芳香族
化合物(ハロゲン化物を含む)、その他有機ハロゲン化
合物などの有害物質の生成を抑制し、未燃炭素、一酸化
炭素などの不完全燃焼に起因する生成物を低減させる方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ごみ焼却炉等の燃焼設備排ガス中のダイ
オキシン類に代表される有機ハロゲン化合物は煙道での
冷却過程で生成することが知られている。排ガス中のダ
イオキシン類を低減するため、高効率な集塵装置(例え
ば、ろ過式集塵機)を採用し、煤塵中に含まれるダイオ
キシン類を除去したり、活性炭に代表される炭素質系の
吸着剤を煙道中に吹き込んだり、吸着剤を充填させた装
置を通過させるなどの方法で排ガス中からダイオキシン
類を除去する技術が進んでいる。例えば、従来は図6に
示すように、ごみ焼却炉10から排出された排ガスは、
ボイラ12で熱回収された後、減温塔14で減温され、
集塵機16の手前(煙道中)で活性炭等の吸着剤が吹き
込まれて、バグフィルタ等の集塵機16によりダイオキ
シン類を含む飛灰が除去され、ついで、活性炭吸着塔1
8でダイオキシン類が吸着除去されて煙突20から排出
されていた。しかし、いずれの方法にしても固体(煤
塵、吸着剤)中には多量のダイオキシン類が存在するた
め、現在では焼却設備の他に固体中に存在しているダイ
オキシン類を分解するための熱分解装置あるいは灰溶融
炉などの設備が必要になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ごみ焼
却炉等の排ガス中のダイオキシン類に代表される有機ハ
ロゲン化合物は焼却炉下流での冷却過程で生成すること
が知られている。また、ダイオキシン類に代表される有
機ハロゲン化合物は煙道ガス中に存在する比較的短い構
造の(分子量が少ない)有機化合物あるいは未燃炭素な
どから生成する。一方、ダイオキシン類の生成過程は、
(1)前駆体物質の生成、(2)デ・ノボ(DeNov
o)合成の2種類の過程を経ると考えられており、これ
らの反応には銅や鉄を始めとする金属類が触媒として関
与しているとされている。この金属類の触媒作用を消失
させることでダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物を
低減することが可能であるが、そのための薬剤として
は、これまで硫黄系、アミン系の薬剤が検討されてい
る。これらの薬剤は各種金属が通常酸化物又は塩化物と
して存在して触媒能を発揮しているため、それぞれ硫酸
塩化、硝酸塩化することで触媒能を失活させている。例
えば、特開2000−15057の公報には、処理装置
内部でのSO2濃度を高くしてダイオキシン類を低減さ
せる技術が開示されている。また、特開2000−43
0の公報には、N,N−ジエチルアミノエタノールをガ
ス冷却装置に噴霧する技術が開示されている。また、硫
黄系やアミン系の薬剤ではないが、特開平11−351
523号公報には、ごみ焼却炉の入口部分にアルカリ性
物質を吹き込む方法が開示されている。
【0004】このように、ダイオキシン類に代表される
有機ハロゲン化合物の生成を抑制するために炉内あるい
は煙道へ種々の薬剤を吹き込む技術が開発されてきた。
しかし、これらの技術はいずれも単独の薬剤による効果
を狙っており、特にダイオキシン類の生成メカニズムは
複雑で多数の反応によるため、個々の薬剤単独では効率
が悪い。また、煙道中に薬剤を吹き込む場合には、対象
となる固体(煤塵)自体も気流中で搬送されるため薬剤
との均一混合が難しく、煙道中の滞留時間も短いため効
果が必ずしも高くないのが現状である。すなわち、煙道
での排ガス滞留時間は僅かに数秒であるため化学反応が
十分に進行するに至らない場合も多くあり、効率の高い
技術が求められている。さらに、効率を上げるために薬
剤を煙道中に過剰に吹き込む方法があるが、それによっ
て生じる過剰薬剤の処理が大きな問題となる。そのた
め、これら過剰薬剤を簡易的に処理する方法も重要とな
る。
【0005】本発明は上記の諸点に鑑みなされたもの
で、本発明の目的は、ごみ焼却炉等の排ガス中に複数
(又は単独)の薬剤を吹き込むことにより、排ガス中に
含まれるダイオキシン類、PCB、多環芳香族化合物
(ハロゲン化物を含む)、その他有機ハロゲン化合物な
どの有害物質の生成を抑制し、未燃炭素、一酸化炭素な
どの不完全燃焼に起因する生成物を低減させる方法を提
供することにある。また、本発明の目的は、ごみ焼却炉
等の排ガス中に複数(又は単独)の薬剤を吹き込むこと
により、ダイオキシン類が冷却過程で生成する前に生成
そのものを抑制し、焼却設備全体での発生ダイオキシン
類量を低減するとともに安価で効率的な方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の排ガス中の有害物質生成抑制方法は、ご
み焼却炉を含む焼却設備の排ガス中に硫黄系薬剤ととも
に酸化剤を供給し、有害物質生成の触媒として作用して
いる銅、鉄などの金属類(又は金属酸化物、金属塩化
物)を硫酸塩化又は硫化して触媒を被毒する作用を促進
させるように構成されている。また、本発明の方法は、
ごみ焼却炉を含む焼却設備の排ガス中に硫黄系薬剤とと
もにアルカリ系薬剤を供給し、有害物質生成の触媒とし
て作用している銅、鉄などの金属類(又は金属酸化物、
金属塩化物)を硫酸塩化又は硫化して触媒を被毒する作
用を促進させることを特徴としている。また、本発明の
方法は、ごみ焼却炉を含む焼却設備の排ガス中に硫黄系
薬剤とともに酸化剤及びアルカリ系薬剤を供給し、有害
物質生成の触媒として作用している銅、鉄などの金属類
(又は金属酸化物、金属塩化物)を硫酸塩化又は硫化し
て触媒を被毒する作用を促進させることを特徴としてい
る。上記の本発明の方法において、アルカリ系薬剤によ
り過剰の硫黄系薬剤を除去することができる。
【0007】また、本発明の方法は、ごみ焼却炉を含む
焼却設備の排ガス中に酸化剤を供給し、有害物質生成の
原料となる物質(未燃炭素、前駆体物質など)を低減さ
せることを特徴としている。また、本発明の方法は、ご
み焼却炉を含む焼却設備の排ガス中に酸化剤及びアルカ
リ系薬剤を供給し、酸化剤で有害物質生成の原料となる
物質(未燃炭素、前駆体物質など)を低減させ、かつ、
アルカリ系薬剤で排ガス中の酸性ガス(塩化水素など)
を除去することを特徴としている。
【0008】これらの本発明の方法において、硫黄系薬
剤としては、SO2、もしくはSを含みSO2を生成させ
る物質(例えば、石炭など)、又はこれらの少なくとも
いずれかを相当量含む薬剤等を用いることができる。ま
た、これらの本発明の方法において、酸化剤としては、
オゾンもしくは過酸化水素、又はこれらの少なくともい
ずれかを相当量含む薬剤等を用いることができる。ま
た、これらの本発明の方法において、アルカリ系薬剤と
しては、消石灰、生石灰、炭酸ナトリウムもしくは重炭
酸ナトリウム、又はこれらの少なくともいずれかを相当
量含む薬剤等を用いることができる。また、これらの本
発明の方法においては、排ガス中の有害物質としてダイ
オキシン類に代表される有機ハロゲン化合物の生成を抑
制することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定さ
れるものではなく、適宜変更して実施することができる
ものである。図1は、本発明の実施の第1形態による排
ガス中の有害物質生成抑制方法を実施する装置を示して
いる。図1に示すように、ごみ焼却炉10から排出され
た排ガスは、冷却過程で有害物質が生成する前に煙道2
2に複数の薬剤が吹き込まれて有害物質の生成が抑制さ
れる。この排ガスはボイラ12で熱回収された後、減温
塔14で減温され、バグフィルタ、電気集塵機等の集塵
機16により排ガス中の飛灰が除去されて煙突20から
排出される。本実施の形態では、排ガス中の有害物質の
生成そのものが抑制されるので、活性炭等の炭素質系の
吸着剤を煙道中に吹き込んだり、活性炭等の吸着剤を充
填させた装置を通過させる必要はない。
【0010】ごみ焼却炉の排ガス中に存在する有害な有
機化合物(有機ハロゲン化合物を含む)は、主にガス流
中の未燃炭素が熱分解及び酸化分解を受けて生成すると
考えられている。特に、ダイオキシン類の生成メカニズ
ムについては様々な反応経路が存在し、ダイオキシン類
と構造が近いポリクロロベンゼン、ポリクロロフェノー
ルなどの前駆体から生成する「前駆体生成」と、未燃炭
素などの構造的な関連性の薄い物質から生成する「デ・
ノボ(DeNovo)合成」が考えられている。これら
の反応にはCu、Feなどの金属が触媒として作用して
いると考えられている。また、ごみ焼却炉排ガス中には
HClが存在しているため、排ガス中の金属は酸化物や
塩化物などの化合物となっていると考えられる。金属の
塩化物は有機物の塩素化(Deacon反応)触媒とし
て知られ、特にCuCl2の反応性が高いと言われてい
る。このように、ダイオキシン類などの有機ハロゲン化
合物は、飛灰中の銅、鉄などの金属類(又は金属酸化
物、金属塩化物)が塩素化の触媒となっていると考えら
れている。
【0011】そこで、銅、鉄などの金属類の触媒活性を
低減させるために、ごみ焼却炉排ガス中に硫黄系薬剤、
例えば、二酸化硫黄(SO2)を吹き込むことによっ
て、酸化物や塩化物となっている金属を硫酸塩化(ある
いは硫化)することで金属の触媒反応を抑制しダイオキ
シン類などの有機ハロゲン化合物の生成を抑える技術が
知られており、主な反応は反応式1、反応式2で示され
る。 CuO+SO2+1/2O2→CuSO4 (反応式1) CuCl2+SO2+H2O+1/2O2→CuSO4+2HCl (反応式2) 硫酸塩化する際には、まず、SO2+1/2O2→SO3
の反応によって亜硫酸が生成し、反応性の高い亜硫酸に
よって硫酸塩が生成すると考えられるため、亜硫酸生成
反応を促進することによって全体としての反応速度を上
昇させ反応効率を向上させることが可能となる。このた
め、硫黄系薬剤と同時に酸化剤(例えば、オゾン、過酸
化水素など)を吹き込むことで抑制効果を向上させるこ
とが可能となる。このように、SO2の吹き込みによる
有害有機ハロゲン化合物の生成抑制効果は一定の効果が
あるが、酸化能力を持つ薬剤を吹き込むことによって、
SO2→SO3→硫酸塩の反応を促進させ、有害有機ハロ
ゲン化合物の生成抑制効果を高めることができる。
【0012】酸化剤の同時吹き込みは、また、ガス中に
存在している未燃炭素分の燃焼反応をも促進するため、
ダイオキシン類などの有機ハロゲン化合物の生成反応の
原料を低減させることによる有機ハロゲン化合物の生成
抑制効果を向上させることが可能となる。上述した反応
式2では、生成系にHClが存在するため平衡論的にH
Clが少ないことによって反応式2の反応が生成系に進
むため、HClを除去することによって、より硫酸塩化
を促進することが可能となる。具体的な方法としては、
硫黄系薬剤と同時にアルカリ系薬剤(例えば、消石灰、
生石灰、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなど)を吹
き込むことにより、硫黄系薬剤と同時の吹き込みによっ
て有機ハロゲン化合物の生成抑制効果を向上させること
が可能となる。また、ダイオキシン類などの有機ハロゲ
ン化合物の排出低減を目指して硫黄系薬剤を過剰に吹き
込むと、煙道排ガス中で薬剤(未反応のSO2)がSO3
となり酸性ガスの負荷が大きくなる。これらを排出させ
ないために湿式洗煙塔などの能力増強などにコストがか
かることが懸念されるため、過剰のアルカリ系薬剤(例
えば、消石灰、生石灰、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリ
ウムなど)を同時に吹き込むことによって過剰な酸性ガ
スの処理設備を不要とする。このように、反応に寄与し
ないSO3については、反応停止効果のある薬剤(重炭
酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、消石灰、生石灰など)
を吹き込むことで、配管への腐食抑制、公害規制物質の
排出を抑制することができる。
【0013】図1では、一例として、ごみ焼却炉10か
らの排ガスが850℃前後でボイラ12に導入され、ボ
イラ12で熱回収されて300℃前後になり、減温塔1
4で180℃前後に冷却される過程(特に、400〜2
00℃前後の冷却過程)において、上述したような生成
メカニズムでダイオキシン類などの有機ハロゲン化合物
が生成し易いことから、排ガスが冷却過程に導入される
前の煙道22に、例えば、硫黄系薬剤としてのSO2
加えて、酸化剤としてのO3又は/及びアルカリ系薬剤
としてのNaHCO3を吹き込む構成としている。な
お、硫黄系薬剤としてSを含む石炭等をごみ焼却炉10
等に投入することも可能である。また、酸化剤は、オゾ
ンや過酸化水素等と同様の作用効果を持つものであれば
他の物質でもよい。同様に、アルカリ系薬剤は、重炭酸
ナトリウム、炭酸ナトリウム、消石灰、生石灰等と同様
の作用効果を持つものであれば他の物質でもよい。一例
として、煙道22にSO2、O3及びNaHCO3を吹き
込んだ場合、集塵機16で捕集された飛灰には、Cuが
反応性の高いSO3(O3の強い酸化力によってSO2
SO3への酸化が促進される)によって硫酸塩化された
CuSO4、HClがNaHCO3によって除去され生成
したNaCl、過剰のSO2がNaHCO3によって除去
され生成したNa2SO4などが含まれる。
【0014】図2は、本発明の実施の第2形態による排
ガス中の有害物質生成抑制方法を実施する装置を示して
いる。図2に示すように、ごみ焼却炉10から排出され
た排ガスは、ボイラ12で熱回収された後、その後の冷
却過程で有害物質が生成する前に煙道24に複数の薬剤
が吹き込まれて有害物質の生成が抑制される。この排ガ
スは減温塔14で減温された後、バグフィルタ、電気集
塵機等の集塵機16により排ガス中の飛灰が除去されて
煙突20から排出される。本実施の形態では、排ガス中
の有害物質の生成そのものが抑制されるので、活性炭等
の炭素質系の吸着剤を煙道中に吹き込んだり、活性炭等
の吸着剤を充填させた装置を通過させる必要はない。図
2では、一例として、ごみ焼却炉10からの排ガスが8
50℃前後でボイラ12に導入され、ボイラ12で熱回
収されて300℃前後になり、減温塔14で180℃前
後に冷却される過程(特に、400〜200℃前後の冷
却過程)において、上述したような生成メカニズムでダ
イオキシン類などの有機ハロゲン化合物が生成し易いこ
とから、排ガスが減温塔14に導入される前の煙道24
に、例えば、硫黄系薬剤としてのSO2に加えて、酸化
剤としてのO3又は/及びアルカリ系薬剤としてのNa
HCO3を吹き込む構成としている。なお、煙道22に
も同様に薬剤を吹き込む構成とすることも可能である。
他の構成及び作用は、実施の第1形態の場合と同様であ
る。
【0015】図3は、本発明の実施の第3形態による排
ガス中の有害物質生成抑制方法を実施する装置を示して
いる。本実施の形態は、煙道22、煙道24に適宜、硫
黄系薬剤、酸化剤及びアルカリ系薬剤の少なくともいず
れかを吹き込むようにしたものであり、図3に示す構成
に限定されるものではない。なお、例えば、図3におい
て、煙道22に、酸化剤としてのO3のみを吹き込む場
合や、酸化剤としてのO3及びアルカリ系薬剤としての
NaHCO3のみを吹き込む場合のように、酸化剤のみ
又は酸化剤及びアルカリ系薬剤のみを吹き込む構成とす
ることもできる。酸化剤単独の効果として、強い酸化力
によって有害物質生成の原料となる物質(未燃炭素、前
駆体物質等)を低減させることができる。また、アルカ
リ系薬剤単独の効果として、排ガス中のHCl等と反応
することで前駆体物質が生成する前にHCl等を低減さ
せ、有機ハロゲン化合物等の生成を抑制することができ
る。他の構成及び作用は、実施の第1、第2形態の場合
と同様である。
【0016】
【実施例】つぎに、本発明の実施例及び比較例を説明す
る。図4に示すような実験装置を用いて、SO2、O3
各単独、又は同時吹き込みによる有害物質の生成抑制効
果を調べた。図4の実験装置について簡単に説明する
と、模擬ガス供給部26は、ガスボンベと液体蒸発器な
どを流量計に接続し、ごみ焼却炉の排ガスを模擬したガ
スを発生させる装置であり、予熱部28は、反応温度
(実験温度)と同じ温度に加熱した管状炉30で模擬排
ガスを加熱する装置である。なお、32は、ガスの攪
拌、蓄熱のための石英ビーズである。反応部34は、管
状炉36で反応温度に加熱されており、飛灰等が充填さ
れた固定層38で模擬排ガスを反応させる装置である。
ガスサンプリング部40は、トルエン等の有機溶剤を入
れたガス吸収瓶42でガス中の有機物を吸収し、液中の
有機物の量と通過したガス量の測定を行う装置である。
【0017】ごみ焼却炉模擬排ガスについて、SO2
びO3を吹き込まない場合、SO2を単独で吹き込む場
合、O3を単独で吹き込む場合、SO2、O3を同時に吹
き込む場合の有害物質の生成量をそれぞれ測定したとこ
ろ、図5に示すような実験結果が得られた。なお、排ガ
ス中の有害物質のモデルとして、実験によって生成する
総クロロベンゼン量を薬剤吹き込み効果の指標とした。
また、総クロロベンゼン量を決定する際は、ガスサンプ
リング部で排ガス中のクロロベンゼン量を測定する他、
反応部に充填した飛灰中にも残存する可能性があるた
め、飛灰中のクロロベンゼン量も測定した。実験で使用
した模擬ガスの組成は、O2=10vol%、CO2=10v
ol%、HCl=500ppmv、SO2=500ppmv、ベン
ゼン=60ppm、N2(バランス)であった。また、SO
2、O3の吹き込み位置は予熱部入口であり、SO2、O3
を吹き込む場合の濃度は100(500ppmに相当)と
した。また、模擬排ガスの反応は400℃に加熱して行
った。図5の結果からわかるように、SO2及びO3を吹
き込まない条件で生成する総クロロベンゼン量(異性体
の総和)を100とした場合、SO2を一定量吹き込む
ことによって総クロロベンゼン量は80程度となり2割
程度の低減効果が確認された。また、O3を単独で吹き
込むことによって、生成する総クロロベンゼン量は6割
程度まで減少した。そして、SO2及びO3を同量吹き込
むことによって、生成する総クロロベンゼン量は2割程
度まで減少し、SO2、O3を同時に吹き込む効果が認め
られた。
【0018】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 (1) ごみ焼却炉等の排ガス中に複数(又は単独)の
薬剤を吹き込むことにより、排ガス中に含まれるダイオ
キシン類、PCB、多環芳香族化合物(ハロゲン化物を
含む)、その他有機ハロゲン化合物などの有害物質の生
成を抑制することができ、かつ、未燃炭素、一酸化炭素
などの不完全燃焼に起因する生成物を低減させることが
できる。 (2) 従来のろ過式集塵機等でダイオキシン類等の有
害有機ハロゲン化合物を含む飛灰を捕集する方法や、活
性炭等の炭素質系吸着剤でダイオキシン類等を吸着する
方法では、ガス中のダイオキシン類等の濃度は低減され
るが、ダイオキシン類等が集塵灰や吸着剤に移行するだ
けであり、これらの固体を溶融、加熱脱塩素化など無害
化処理しなくてはならなかった。これに対して、本発明
の方法では、ろ過式集塵機より上流工程(排ガスの冷却
過程)でのダイオキシン類等の発生自体を抑制できるの
で、集塵灰の無害化処理(例えば、熱分解装置、灰溶融
炉等)がコンパクト(又は不要)になる。また、活性炭
等の吸着剤の吹込みや吸着塔が不要になる。これらによ
り、装置等の低コスト化が図れる。 (3) 従来の薬剤吹き込み技術は、活性炭等の炭素質
系吸着剤を吹き込んで有害有機ハロゲン化合物を吸着し
その後熱分解等するものであったが、本発明の方法は有
害有機ハロゲン化合物の生成そのものを抑制するもので
あり、設備全体での有害有機ハロゲン化合物の発生量を
低減させることができる。 (4) 従来の硫黄系又はアミン系等の薬剤を単独で吹
き込んで有害有機ハロゲン化合物の生成を抑制する技術
では、例えば、ダイオキシン類等の生成メカニズムは複
雑で多数の反応によるため、反応率が低く効率が悪かっ
たが、本発明の方法では必要に応じて複数の薬剤を吹き
込むため、反応の効率を高くすることができ、有害有機
ハロゲン化合物の生成抑制効果が高い。 (5) 従来の有害有機ハロゲン化合物の生成抑制技術
では、反応薬剤である硫黄系薬剤の余剰分がリークして
しまうおそれがあったが、本発明の方法では、余剰分の
薬剤についてアルカリ系薬剤で無害化処理が可能であ
り、排ガスに含まれる酸性ガスの負荷を低減させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態による排ガス中の有害
物質生成抑制方法を実施する装置を示す系統的概略構成
図である。
【図2】本発明の実施の第2形態による排ガス中の有害
物質生成抑制方法を実施する装置を示す系統的概略構成
図である。
【図3】本発明の実施の第3形態による排ガス中の有害
物質生成抑制方法を実施する装置を示す系統的概略構成
図である。
【図4】本発明の実施例で使用する実験装置を示す系統
的概略構成図である。
【図5】本発明の実施例におけるSO2、O3の各単独、
又は同時吹き込みによる有害物質生成抑制効果を示すグ
ラフである。
【図6】従来の排ガス中の有害物質生成抑制技術を適用
したごみ焼却設備の一例を示す系統的概略構成図であ
る。
【符号の説明】
10 ごみ焼却炉 12 ボイラ 14 減温塔 16 集塵機 18 活性炭吸着塔 20 煙突 22、24 煙道 26 模擬ガス供給部 28 予熱部 30、36 管状炉 32 石英ビーズ 34 反応部 38 固定層 40 ガスサンプリング部 42 ガス吸収瓶
フロントページの続き (72)発明者 岡島 重伸 神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号 川 崎重工業株式会社神戸本社内 (72)発明者 尾崎 弘憲 神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号 川 崎重工業株式会社神戸本社内 Fターム(参考) 3K070 DA05 DA06 DA15 DA16 DA25 DA30 DA32 4D002 AA19 AA21 AA28 AC04 BA03 BA14 DA02 DA05 DA11 DA12 DA16 DA51 DA52 DA70

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ごみ焼却炉を含む焼却設備の排ガス中に
    硫黄系薬剤とともに酸化剤を供給し、有害物質生成の触
    媒として作用している金属類を硫酸塩化又は硫化して触
    媒を被毒する作用を促進させることを特徴とする排ガス
    中の有害物質生成抑制方法。
  2. 【請求項2】 ごみ焼却炉を含む焼却設備の排ガス中に
    硫黄系薬剤とともにアルカリ系薬剤を供給し、有害物質
    生成の触媒として作用している金属類を硫酸塩化又は硫
    化して触媒を被毒する作用を促進させることを特徴とす
    る排ガス中の有害物質生成抑制方法。
  3. 【請求項3】 ごみ焼却炉を含む焼却設備の排ガス中に
    硫黄系薬剤とともに酸化剤及びアルカリ系薬剤を供給
    し、有害物質生成の触媒として作用している金属類を硫
    酸塩化又は硫化して触媒を被毒する作用を促進させるこ
    とを特徴とする排ガス中の有害物質生成抑制方法。
  4. 【請求項4】 アルカリ系薬剤により過剰の硫黄系薬剤
    を除去する請求項2又は3記載の排ガス中の有害物質生
    成抑制方法。
  5. 【請求項5】 ごみ焼却炉を含む焼却設備の排ガス中に
    酸化剤を供給し、有害物質生成の原料となる物質を低減
    させることを特徴とする排ガス中の有害物質生成抑制方
    法。
  6. 【請求項6】 ごみ焼却炉を含む焼却設備の排ガス中に
    酸化剤及びアルカリ系薬剤を供給し、酸化剤で有害物質
    生成の原料となる物質を低減させ、かつ、アルカリ系薬
    剤で排ガス中の酸性ガスを除去することを特徴とする排
    ガス中の有害物質生成抑制方法。
  7. 【請求項7】 硫黄系薬剤が、SO2及びSを含みSO2
    を生成させる物質のいずれか、又はSO2及びSを含み
    SO2を生成させる物質のいずれかを含む薬剤である請
    求項1〜4のいずれかに記載の排ガス中の有害物質生成
    抑制方法。
  8. 【請求項8】 酸化剤が、オゾン及び過酸化水素のいず
    れか、又はオゾン及び過酸化水素のいずれかを含む薬剤
    である請求項1、3、5又は6記載の排ガス中の有害物
    質生成抑制方法。
  9. 【請求項9】 アルカリ系薬剤が、消石灰、生石灰、炭
    酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムのいずれか、又は消
    石灰、生石灰、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの
    いずれかを含む薬剤である請求項2、3、4又は6記載
    の排ガス中の有害物質生成抑制方法。
  10. 【請求項10】 排ガス中の有害物質が、ダイオキシン
    類に代表される有機ハロゲン化合物である請求項1〜9
    のいずれかに記載の排ガス中の有害物質生成抑制方法。
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