JP2001283720A - 電子放出素子および電子放出素子の駆動方法および電子源および画像形成装置 - Google Patents

電子放出素子および電子放出素子の駆動方法および電子源および画像形成装置

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JP2001283720A
JP2001283720A JP2000094775A JP2000094775A JP2001283720A JP 2001283720 A JP2001283720 A JP 2001283720A JP 2000094775 A JP2000094775 A JP 2000094775A JP 2000094775 A JP2000094775 A JP 2000094775A JP 2001283720 A JP2001283720 A JP 2001283720A
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electron
conductive layer
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electrons
emitting
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JP2000094775A
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Daisuke Sasakuri
大助 笹栗
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な構成で電子軌道の制御を可能として電
子放出効率の向上を図り、また、素子の長寿命化を実現
し得る電子放出素子および電子放出素子の駆動方法およ
び電子源および画像形成装置を提供する。 【解決手段】 絶縁層3上に電気的に分離された高電位
電極4aと高電位電極4bを設け、一方の側、例えば、
高電位電極4bと低電位電極2との間にのみ電圧を印加
して間隙6から電子を放出するようにし、他方の高電位
電極4aは低電位電極2と電気的に接続させて電子軌道
制御用の電極として機能させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子を放出する電
子放出素子及びその駆動方法、この電子放出素子を備え
た電子源、及びこの電子源を備えた画像形成装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては、大別して
熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類のものが
知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以
下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/金属型(以
下、「MIM型」という。)や表面伝導型電子放出素子
等がある。
【0003】FE型の例としてはW.P.Dyke &
W.W.Dolan,’Field Emissio
n’, Advance in Electron P
hysics,8,89(1956)あるいはC.A.
Spindt,’PHYSICAL Properti
es of thin−film field emi
ssion cathodes with molyb
denium cones’,J.Appl.Phy
s.,47,5248(1976)等に開示されたもの
が知られている。
【0004】MIM型の例としてはC.A.Mea
d,’Operation of Tunnel−Em
ission Devices’,J.Apply.P
hys.,32,646(1961)等に開示されたも
のが知られている。
【0005】また、最近の例では、Toshiaki.
Kusunoki,’Fluctuation−fre
e electron emission from
non−formed metal−insulato
r−metal(MIM)cathodes Fabr
icated by low current Ano
dic oxidation’,Jpn.J.App
l.Phys.vol.32(1993)pp.L16
95,Mutsumi suzuki etal’An
MIM−Cathode Array for Ca
thode luminescent Display
s’,IDW’96,(1996)pp.529等が研
究されている。
【0006】表面伝導型の例としては、エリンソンの報
告(M.I.Elinson Radio Eng.E
lectron Phys.,10(1965))に記
載のもの等があり、この表面伝導型電子放出素子は、基
板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を
流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するもの
である。
【0007】表面伝導型素子では、前記のエリソンの報
告に記載のSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜を用い
たもの(G.Dittmer.Thin Solid
Films,9,317(1972))、In23/S
nO2薄膜によるもの(M.Hartwell and
C.G.Fonstad, IEEE Trans.
ED Conf.,519(1983))等が報告され
ている。
【0008】これら表面伝導型のうち、図15,16に
示すような平面型、垂直型の電子放出素子については、
本出願人によって提案されている。また、これらの電子
放出素子を多数配列した例としては、例えば、特開昭6
4−31332号公報、特開平1−283749号公
報、特開平1−257552号公報等に開示されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、下記のような問題が生じて
いた。
【0010】上述した電子放出素子を利用して画像形成
装置を実現するためには、電子放出素子から放出した電
子を、電子放出素子に対向して配置した蛍光体に衝突、
発光させるが、高精細な画像形成装置においては、電子
軌道の制御、電子放出効率(ここで記述する効率とは、
電子放出素子間に流れる電流の内、素子上空の陽極もし
くは蛍光体に到達する量を示す。)の向上、素子サイズ
の縮小等が要求される。
【0011】特に、電子軌道の制御と電子放出効率の向
上は一般的にトレードオフの関係にあり、これらの関係
を同時に実現することは困難であった。更に、電子放出
素子では、素子の長寿命化が必要不可欠な要素であっ
た。
【0012】例えばFE型電子放出素子では、特開平7
−6714号公報では、電子放出電極、電子引き出し電
極の他に、電子を収束させるための電極を配置し、電子
軌道を収束する方法等が開示されているが、作製方法の
複雑さや、素子面積の増加、電子放出効率の低下等の課
題を残していた。
【0013】また、長寿命化に関しては、電子放出部を
構成する材料の検討等がなされているが、いまだ十分で
はない。
【0014】表面伝導型電子放出素子においては、特開
平3−20941号公報や特開平7−235256号公
報等で、素子サイズの小型化について、また、特開平9
−82214号公報等では、高効率化についての技術が
開示されているが、いずれの技術についても高精細な画
像形成装置を実現するためには不十分であった。
【0015】また、長寿命化に関しても、特開平5−1
2986号公報や特開平10−55746号公報でその
技術が開示されているが、いずれの技術も高効率化及び
電子軌道収束まで考慮してなされておらず、また、高精
細な画像形成装置を実現するためには必須条件となる素
子の高集積化という観点からも不十分であった。
【0016】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、簡易
な構成で電子軌道の制御を可能として電子放出効率の向
上を図り、また、素子の長寿命化を実現し得る電子放出
素子および電子放出素子の駆動方法および電子源および
画像形成装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、第1導電層と、該第1導電層上に
設けられる絶縁層と、該絶縁層上に設けられ、それぞれ
電気的に分離された第2導電層及び第3導電層と、を備
えた電子放出素子であって、前記絶縁層は、その両端側
に前記第1導電層が露出するように設けられると共に、
前記第2導電層あるいは第3導電層のうちのいずれか一
方と前記第1導電層との間に、該第1導電層側が低電位
となるような電圧を印加して、前記絶縁層の一方の端面
側で電子放出を行うことを特徴とする。
【0018】従って、絶縁層上に電気的に分離した導電
層(第2導電層及び第3導電層)を設け、一方に電圧を
印加するという簡易な構成によって、電圧が印加されて
いない導電層により、電圧を印加した側からの電界が、
この電圧が印加されていない導電層側に落ち込まないよ
うにする(等電位面を電圧が印加されていない導電層の
部分で内側に持ち上げるようにする)ことができ、絶縁
層の一方の端面側から放出された電子が、絶縁層の他方
の端面側に向かって落ち込むことを抑制するように電子
軌道を制御することができる。
【0019】前記第1導電層の表面上に、該表面領域よ
りも狭い領域内に前記絶縁層を積層形成して、該絶縁層
の両端側に前記第1導電層を露出させるとよい。
【0020】前記第2導電層と第3導電層との間の分離
された領域は、前記第1導電層の領域上にあるとよい。
【0021】素子本体に対向して配置された陽極上の対
応する領域に対して、放出する電子を照射するとよい。
【0022】前記第2導電層あるいは第3導電層のう
ち、電圧を印加されていない導電層は前記第1導電層と
電気的に接続されているとよい。
【0023】これにより、より一層、電圧を印加した側
からの電界が、電圧が印加されていない導電層側に落ち
込まないようにする(等電位面を電圧が印加されていな
い導電層の部分で内側に持ち上げるようにする)ことが
できる。
【0024】前記絶縁層の一端側に前記第2導電層と第
1導電層との間で電子放出を行う場合の第1電子放出部
が設けられ、前記絶縁層の他端側に前記第3導電層と第
1導電層との間で電子放出を行う場合の第2電子放出部
が設けられると共に、前記第2導電層側あるいは第3導
電層側に、電圧の印加を切り替える切替手段を備えると
よい。
【0025】これにより、切替手段の切り替えによって
電子放出部を切り替えることで長寿命化を図ることがで
きる。
【0026】前記切替手段は、電圧を印加する導電層を
切り替えると共に、電圧を印加しない導電層に対する前
記第1導電層との電気的接続も切り替えるとよい。
【0027】これにより、いずれの電子放出部を利用し
た場合でも、十分な電子制御を行うことができる。
【0028】表面伝導型電子放出素子であるとよい。
【0029】また、本発明の電子放出素子の駆動方法に
あっては、上記の電子放出素子を用いて、前記切替手段
による切り替えによって、第1電子放出部と第2電子放
出部とに順次交代させながら電子放出を行うことを特徴
とする。
【0030】従って、一方のみを集中的に利用すること
による劣化を防止できる。
【0031】また、本発明の電子源にあっては、上記の
電子放出素子を複数配列したことを特徴とする。
【0032】前記電子放出素子がマトリクス配線されて
いるとよい。
【0033】また、本発明の画像形成装置にあっては、
上記の電子源と、該電子源から放出された電子によって
画像を形成する画像形成部材と、を備えることを特徴と
する。
【0034】前記画像形成部材は、電子の衝突によって
発光する蛍光体であるとよい。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が
ない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣
旨のものではない。
【0036】図1〜図12を参照して、本発明の実施の
形態に係る電子放出素子について説明する。
【0037】まず、図1〜図3を参照して、発明の実施
の形態に係る電子放出素子の全体構成等について、詳細
に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る電子放出
素子の模式図であり、(a)は断面的模式図であり、
(b)は平面的模式図であり、図2は本発明の実施の形
態に係る電子放出素子の駆動状態を示す模式図である。
また、図3は本発明の実施の形態に係る電子放出素子の
製造方法を示す概略工程図である。
【0038】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の
製造方法の一例を説明すると、表面を洗浄した石英ガラ
ス、Na等の不純物を減少させたガラス、青板ガラス、
及びシリコン基板等に絶縁材料を積層した積層体、ある
いはアルミナ等のセラミックの絶縁性の基板1に第1導
電層としての素子電極(以下低電位電極と称する)2を
積層する。
【0039】低電位電極2は一般的に導電性を有してお
り、蒸着法、スパッタ法等の一般的真空成膜技術、フォ
トリソグラフィー技術により形成される。この低電位電
極2の厚さとしては、数十nmから数mmの範囲で設定
され、好ましくは数百nmから数μmの範囲で選択され
る。
【0040】次に、低電位電極2に続いて絶縁層3を堆
積する。絶縁層3は、スパッタ法等の一般的な真空成膜
法、熱酸化法、陽極酸化法等で形成され、その厚さとし
ては、3nmから1μmの範囲で設定され、好ましくは
数十nmから数百nmの範囲から選択される。
【0041】更に、絶縁層3に続き素子電極(以下、高
電位電極と称する)4を堆積する(以上、図3
(a))。本高電位電極4は、上記低電位電極2と同様
に導電性を有しており、低電位電極2と同様に一般的な
真空成膜技術及びフォトリソグラフィー工程により形成
される。選択される材料は、低電位電極2と同じ材料で
も、異種材料でも良く、厚さとしては、数nmから数m
mの範囲で選択され、好ましくは、数十nmから数百n
mの範囲から選択される。
【0042】次に、フォトリソグラフィー技術により、
上記各層の一部を取り除き(図3(b))、更に絶縁層
3及び高電位電極4の一部が基板1から取り除かれ、低
電位電極2上に絶縁層3と高電位電極4に段差構造が形
成される(以上、図3(c))。ただし、本エッチング
工程は、低電位電極2上で停止しても良いし、低電位電
極2の一部がエッチングされて停止しても良い。
【0043】続いて、フォトリソグラフィー工程によ
り、高電位電極4の一部を基板1から除去することによ
り電気的に分離し、複数の電極領域を形成する。ここ
で、図示の例では、本工程により高電位電極4aと高電
位電極4bが形成された。尚、本エッチング工程は、絶
縁層3上で停止してもよいし、絶縁層3の途中もしくは
低電位電極2上で停止してもよい。
【0044】以上のように形成された素子構造の場合に
は、低電位電極2が低電位となり、高電位電極4aおよ
び4bが高電位となるように、低電位電極2と高電位電
極4aとの間に電圧を印加して、第1電子放出部として
の間隙7から電子を放出するか、あるいは、低電位電極
2と高電位電極4bとの間に電圧を印加して、第2電子
放出部としての間隙6から電子を放出する。
【0045】また、以上のように構成された電子放出素
子では、高電位電極と低電位電極の距離の制御で電子を
放出する場合もあれば、低電位電極に電界が集中する構
造を形成し電子を放出しやすくする場合もある。
【0046】また、電子放出部6及び7を形成する際
に、所望の領域にのみ導電性薄膜9を配置することで、
電界の集中もしくは発熱効果により高電位電極と低電位
電極に挟まれた領域に選択的に間隙6及び7を形成する
場合もある。
【0047】この導電性薄膜9を用いた間隙6及び7の
形成は、図3(e)に示すように、まず所定領域に導電
性薄膜9を形成した後に、通電フォーミングと呼ばれる
工程で、導電性薄膜9に通電して、局所的に破壊、変質
もしくは変形させて間隙を形成する手法である。
【0048】この導電性薄膜9は、真空蒸着法やスパッ
タ法等により形成され、用いる材料としては、Pd,R
u,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Z
n,Sn,Ta,W,Pd等の金属やこれらの合金、P
dO,SnO2,In23,PbO,Sb23等の酸化
物、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB4,G
dB4等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,TaC,
SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,HfN等の
窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン、AgMg,
NiCu,Pb,Sn等であり、その抵抗値は、103
〜107Ω/□のシート抵抗値を示す。
【0049】さらに、本発明の実施の形態に係る電子放
出素子では、電子放出を容易にするために、有機材料の
存在下で、低電位電極2と高電位電極4a及び4bの間
に電圧を印加することによって、電子放出領域に炭素を
生成し電子放出点を形成する活性化と呼ばれる工程を行
う場合がある。
【0050】本活性化工程で用いる真空処理装置につい
て、図4を用いて説明する。図4は活性化工程を説明す
る概略構成図である。
【0051】図4において、45は真空容器であり、4
6は排気ポンプであり、47は本発明の実施の形態に係
る電子放出素子の高電位電極と低電位電極間の絶縁層側
壁において、炭素を生成する際に用いられる有機ガスの
供給源である。
【0052】真空容器45内には本発明の実施の形態に
係る素子が配置されている。即ち、1は基板、2は低電
位電極、3は絶縁層、4a及び4bは高電位電極、6及
び7は間隙、8は素子上空に配置した陽極(アノード電
極)、9は導電性薄膜、41は電子放出素子に素子電圧
Vfを印加するための電源、40は低電位電極2と高電
位電極4aあるいは4bとの間を流れる素子電流Ifを
測定するための電流計である。
【0053】43は陽極8に電圧を印加するための高電
圧源、42は電子放出素子より放出される放出電流を測
定するための電流計である。また、48及び49は、間
隙6と間隙7とを選択的に切り替えて電子放出させため
の、切替手段としての切り替えスイッチを示しており、
活性化工程においては、高電位電極4a及び4bの両方
に電圧を印加しておけば良い。
【0054】一例として、陽極8の電圧を0〜10kV
の範囲として、陽極8と電子放出素子との距離Hを10
0μm〜8mmの範囲として測定を行うことができる。
【0055】真空容器45内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。
【0056】本構成の場合には、高電位電極4a及び4
bをスイッチ48及び49を切り替えることで、間隙
6,7のいずれか一方からのみ電子を放出して、各々測
定評価を行うことができる。
【0057】排気ポンプ46は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプからなる通常の高真空装置系と、更にイオン
ポンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されてい
る。
【0058】以上の構成により、まず、真空容器45に
基板1を配置し、排気して、真空雰囲気にした後、有機
ガスの供給源47より有機ガスを真空容器45に導入
し、有機物質のガスを含有する雰囲気下で、高電位電極
4a,4b及び低電位電極2間に電圧を印加する。
【0059】電圧波形は、パルス波形で繰り返し印加さ
れる。これには、パルス波高値を定電圧としたパルスを
連続的に印加する方法や、パルス波高値を増加させなが
ら、電圧パルスを印加する方法がある。また、本炭素を
生成する工程は、必要に応じて数種類のガスを混合して
行なう場合がある。
【0060】以上の炭素生成工程により、雰囲気中に存
在する有機物資から、炭素が低電位電極2と高電位電極
4aの間と、低電位電極2と高電位電極4bの間、もし
くは、通電して形成した間隙に堆積して、低電圧で電子
放出が可能な構造となる。
【0061】次に、本発明の実施の形態に係る電子放出
素子について、その電子放出特性を、従来技術を参照し
つつ詳細に説明する。
【0062】最初に、比較のために、従来の表面伝導型
電子放出素子について述べる。図15は従来の平面型、
図16は従来の垂直型の素子構造である。なお、説明簡
単のため本実施の形態で説明した構成と同一の構成につ
いては同一の符号を付している。図16中、33は段差
を設けるために絶縁性の材料で堆積した堆積物である。
【0063】SID’98 Digest,Okud
a,et alによると、この種の表面伝導型電子放出
素子においては、電子放出部には間隙があり、この間隙
に駆動電圧Vfを印加すると、低電位電極の先端から電
子がトンネル現象により放出され、その電子が高電位電
極の先端部で等方的に散乱することが記述されている。
【0064】より詳しくは、高電位電極の先端部で電子
が等方的に散乱することが、実験と数値計算予測が矛盾
なく一致することについて記述されている。
【0065】この場合、低電位電極から放出された電子
の大多数は高電位電極上で数回の弾性散乱(多重散乱)
が繰り返され、低電位電極と高電位電極とで形成される
電界で束縛される特徴距離Xsを越えた電子がアノード
電極(蛍光体)に到達すると説明されている。
【0066】この特徴距離Xsは、 Xs=D/2√[1+(2H×Vf/(π×Va×D))×2] ≒(H×Vf)/(π×Va) で表される。ここで、Hは電子放出素子とアノード電極
間の距離、πは円周率、Dは電子放出部に形成された間
隙幅、Vfは駆動電圧、Vaはアノード電極の電圧であ
る。
【0067】この式の2番目の近似式は、Vf/D≫V
a/Hの場合に成立するが、通常の表面伝導型電子放出
素子の場合では十分に成立する。
【0068】電子放出効率は、電子放出部から放出され
た電子が、上述した特徴距離Xsを越えるまでの間に、
多重散乱によって高電位電極に一部吸収されることによ
る電子数の減少に支配されている。
【0069】数十eV程度の電子の衝突に伴い散乱され
る割合(散乱係数)βについては明らかでないが、一回
の散乱につき0.1〜0.5程度と見積もられている。
このような散乱機構で、βが1以下であることから、真
空中に取り出される電子の量(存在確率)は、散乱回数
の増加に従い、べき乗で減少していくことが分かる。
【0070】従って、図15,16に示すような従来技
術に係る表面伝導型電子放出素子では、間隙から放出し
た電子が、特徴距離Xs内で高電位電極上を少なくとも
一回、多くの電子は複数回散乱するため、高電位電極中
に取り込まれて消滅する電子の数が増大し電子放出効率
が低下する。
【0071】一方ビーム径について記述すると、従来の
図15に示す素子ではSID’98Digest, O
kuda,et alより Lh≒2Kh×H√(Vf/Va) Lw≒2Kw×H√(Vf/Va) で表記できることが知られている。
【0072】ここで、Lhはビームの縦方向、Lwはビ
ームの横方向のサイズを示している。また、Kh,Kw
は素子構造によって若干異なる場合があるが約1で近似
できることが示されている。
【0073】図15に示す従来の構造では、図17に示
すように、高電位電極4上を特徴距離Xs内で複数回の
等方散乱を繰り返すため、その散乱過程で電子の進行方
向の均一性が失われる。
【0074】その結果、電子軌道の制御が困難となりビ
ーム径の縮小に不利で、高精細な画像形成装置に利用す
ることは困難であった。
【0075】また、特開平10−55746号公報に開
示されている方法によれば、図18に示すような複数の
電子放出部を有する構造で、素子の長寿命化が提案され
ているが、上記の理由により、電子放出効率の高効率化
と電子ビームの収束の両立は困難であった。
【0076】また、従来の図18に示す素子をマトリク
ス配置すると、図19に示すように、一つの電子放出素
子の面積が増大し、高精細な画像形成装置を実現するこ
とは困難であった。
【0077】更に、特開平10−55746号公報で
は、図20に示すような素子構造も開示されているが、
本構造では、例えば上部電極4cを正に印加すると、電
子軌道が広がってしまい、また、下部電極2aを正に印
加すると、大多数の電子は下部電極2a上で複数回散乱
され、大幅な効率の低下になってしまう。
【0078】本発明の実施の形態に係る電子放出素子で
は、上述の問題を検討し、電子放出効率の向上とビーム
径の縮小を同時に実現するものである。以下に、本発明
の実施の形態に係る電子放出素子について詳述する。
【0079】本発明の実施の形態に係る電子放出素子に
おいても、先述のSID’98 Digest,Oku
da,et alにより報告されている表面伝導型電子
放出素子と同様の機構で電子放出されているものと推察
すると、低電位電極から放出された電子は高電位電極先
端で等方的に散乱し、その後、高電位電極上を数回の散
乱の後、素子上部の陽極に到達する。
【0080】実際に本発明の実施の形態に係る電子放出
素子を駆動した様子を図5に示し、また、電子放出部近
傍の様子を図6に示す。
【0081】図6に示すように、基板1上に高電位電極
4a及び4bが絶縁層3を介して低電位電極2の略上方
に配置された構造とすることで、真空中に放出された電
子は、高電位電極4aあるいは4bの側壁を散乱し、素
子上空の陽極8へ到達する。
【0082】従って、電子の散乱回数は、高電位電極4
a,4bの厚さに依存することが明らかである。
【0083】電子が高電位電極4a,4bに衝突し、次
に衝突するまでの距離を電子の飛行距離と呼ぶとする
と、飛行距離は電子放出部に形成された間隙6,7の幅
Dのおよそ200倍程度であると見積もられている。
【0084】従って、高電位電極4a,4bの厚さT1
を、D×200よりも薄くすることで、電子は一回の散
乱のみで陽極8に到達することができ、大幅な電子放出
効率の向上が実現できる。実際は、高電位電極材料の抵
抗率等の問題を考慮して設計する必要があるが、数nm
から数百nmの範囲から選択され、更に好ましくは数十
nm程度の範囲から選択される。
【0085】また、図5に示すように、高電位電極4b
と低電位電極2との間の間隙6から放出された電子は、
高電位電極4bの側壁での散乱を経て素子上空に配置さ
れた陽極8に到達するが、その過程で、低電位電極2と
電気的に接続された高電位電極4a(この場合、高電位
電極4aは低電位となる)により、電子を反発する方向
の電界が形成され、この効果により電子軌道を、素子上
空へと集向するように制御することができる。
【0086】すなわち、絶縁層3の両端のうち、電子が
放出された側とは反対側への電子の落下を低減すること
ができる。
【0087】図9には、本発明の実施の形態に係る電子
放出素子と、図15に示す従来構造の電子放出素子とを
実際に駆動した場合の素子上空の陽極8上における、電
子ビームの広がりの比較を示した。
【0088】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の
場合には、電子の集向という観点から考えると、図1に
示すように、高電位電極4の開口領域幅L2(高電位電
極4aと4bとの間の幅)よりも高電位電極4a,4b
自体の幅L3のほうが重要であり、最適なL3の幅は数
百nmから数十μmの範囲から選択され、更に好ましく
は数μm程度が選択される。
【0089】この場合、高電位電極4aの端部から高電
位電極4bの端部までの距離すなわち、絶縁層3の幅L
1の幅も数μm程度が選択される。また、この場合の絶
縁層3の幅L1は、先述のL2,L3の設計により電子
軌道を考慮して選択すれば良く、数百nmから数十μm
の範囲から選択される。
【0090】次に、電子放出部の切り替えについて説明
する。本発明の実施の形態に係る電子放出素子では、複
数の電子放出部を電気的に切り替えて選択することで、
電子放出素子の長寿命化を実現するものである。
【0091】まず、図7(a)に示すように、高電位電
極5b側に駆動電圧Vfを印加して、この場合は間隙6
から電子を放出させる。
【0092】一方、電圧を印加しない高電位電極5a
を、低電位電極2と電気的に接続することで、高電位電
極5aを低電位として、この高電位電極5aを電子軌道
制御用電極として用いることができる。また、電子を放
出しない高電位電極5aは、低電位電極2、高電位電極
5bとは独立に電子が放出しない電圧を印加すること
で、電子軌道の制御電極として用いることができる。
【0093】次に、必要な電子放出量が得られるなくな
った時点で、図7(b)に示すように、駆動電圧Vfを
印加する高電位電極を高電位電極5aに切り替えること
で、間隙7から電子を放出させるようにして、再び十分
な電子放出量を得ることができる。
【0094】なお、この場合には、電圧を印加しない高
電位電極5bを、低電位電極2と電気的に接続すること
で、高電位電極5bを低電位として、この高電位電極5
bを電子軌道制御用電極として用いることができる。
【0095】この結果、電子放出部を切り替えること
で、例えば、図8に示すような特性が得られ、素子の長
寿命化を実現できる。図8はアノード電極に到達した電
子による電流Ieの経時的な変化について、従来技術に
係る素子と本実施の形態に係る素子との比較を示す図で
ある。
【0096】電子放出部を切り替えるタイミングについ
ては、図10(a)に示すように、必要な電子放出量が
得られなくなった時点で切り替えてもよいし、また、図
10(b)に示すように、交互に切り替えることによ
り、複数の電子放出部から順次電子放出を行うようにし
てもよい。
【0097】次に、本発明の実施の形態に係る電子放出
素子の好ましい駆動条件について説明する。
【0098】図5に示した電子軌道は、電子放出部にV
f=15V、素子上空の陽極8に距離H=2mm隔て
て、Va=10kVを印加した。なお、本発明の実施の
形態に係る素子では、Vfには特に制約はないが、高電
位電極4a及び4bの設計値から、必要な駆動電圧を選
択すれば良い。また、Vaは真空耐圧の保持できる領域
から選択され、その範囲は数百Vから数十kVで選択さ
れる。
【0099】次に、本発明の実施の形態に係る電子放出
素子において、その他の構造例を挙げる。
【0100】本発明の実施の形態に係る電子放出素子に
おいて、より低電圧で電子放出可能にするために、電子
放出部を先鋭な構造に形成し、電界強度を向上させる方
法がある。
【0101】例えば、図11に示すように、低電位電極
2の一部まで除去したり(図11(a))、低電位電極
2上に突起構造を形成する場合(図11(b))等が挙
げられる。
【0102】更に、電子放出素子をより長寿命化するた
めに、図12に示すように、多くの電子放出部を形成す
ることも可能である。すなわち、第2導電層として高電
位電極4a,4cを設け、第3導電層として高電位電極
4b、4dを設けることで、各高電位電極4a,4b,
4c,4dと低電位電極2との間の間隙をそれぞれ電子
放出部とする。
【0103】このように構成することで、順次電子放出
部を切り替えることで長寿命化を図ることができる。
【0104】次に、本発明の実施の形態に係る電子放出
素子を用いた電子源について図13を参照して説明す
る。図13は本発明の実施の形態に係る電子源の模式図
である。
【0105】図13において1011は電子源基体、1
012はX方向配線、1013はY方向配線である。ま
た、1014は本発明の実施の形態に係る電子放出素
子、1015は結線である。
【0106】X方向配線1012には、X方向に配列し
た本発明の実施の形態に係る電子放出素子1014の行
を、選択するための走査信号を印加する不図示の走査信
号印加手段が接続される。
【0107】一方、Y方向配線1013には、Y方向に
配列した本発明の実施の形態に係る電子放出素子101
4の各列を入力信号に応じて、変調するための不図示の
変調信号発生手段が接続される。
【0108】各電子放出素子に印加される駆動電圧は、
当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧とし
て供給される。また、Y方向配線は、一つの素子に複数
ある電子放出部のそれぞれに対して、独立で設けられ、
それぞれ電気的に切り替えることが可能となっている。
【0109】本発明の実施の形態においては、Y方向配
線は高電位、X方向配線は低電位になるように接続され
ている。
【0110】次に、このような単純マトリクス配置の電
子源を用いて構成した画像形成装置について、図14を
用いて説明する。図14は本実施の形態に係る画像形成
装置の模式的斜視図であり、ガラス材料としてソーダラ
イムガラスを用いた画像形成装置の表示パネルを示す図
である。
【0111】図14において、1111は電子放出素子
を複数配した電子源基体、1121は電子源基体111
1を固定したリアプレート、1126はガラス基体11
23の内面に画像形成部材としての蛍光膜(蛍光体)1
124と陽極(アノード電極)として機能するメタルバ
ック1125等が形成されたフェースプレートである。
【0112】また、1122は支持枠であり、この支持
枠1122には、リアプレート1121、フェースプレ
ート1126がフリットガラス等を用いて接続されてい
る。
【0113】1127は外囲器であり、真空中で、45
0度の温度範囲で10分焼成することで、封着して構成
される。
【0114】1114は、図5における電子放出部6あ
るいは7に相当する。1112,1113は、各素子電
極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。本実
施の形態に係る電子放出素子を用いた場合には、Y方向
配線は一素子中に存在する電子放出部の数に応じて複数
設けられる。
【0115】外囲器1127は、上述の如く、フェース
プレート1126、支持枠1122、リアプレート11
21で構成されるが、フェースプレート1126、リア
プレート1121間に、スペーサーとよばれる不図示の
支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強
度をもつ外囲器1127を構成することもできる。
【0116】尚、本発明の実施の形態に係る電子放出素
子を用いた画像形成装置においては、放出した電子軌道
を考慮して素子上部に設ける蛍光体をアライメントして
配置する。
【0117】
【実施例】以下、上記実施の形態に基づくより具体的な
実施例を示す。
【0118】[実施例1]まず、本実施例の製造工程を
説明する。
【0119】十分洗浄した石英基板1に、低電位電極2
として厚さ200nmのTa、絶縁層3として厚さ50
nmのSiO2をそれぞれスパッタ法により堆積した。
【0120】次に、高電位電極4として厚さ50nmの
Taをスパッタ法により成膜した。
【0121】次に、フォトリソグラフィー工程でマスク
パターンを転写した。その後、パターニングしたレジス
トをマスクとし、高電位電極4、絶縁層3をドライエッ
チングして段差を形成した。ここでの高電位電極4及び
絶縁層3の幅は8μmとした。
【0122】次に、フォトリソグラフィー工程により、
高電位電極に2μmのスリット状の開口領域を形成し、
二つの高電位電極領域を形成した。この結果、二つの高
電位電極幅L2は4μmとなった。
【0123】以上のようにして作製した素子を、図4に
示すような真空容器に配置し駆動した。駆動電圧は、V
f=30V、Va=10kV、電子放出素子とアノード
電極との距離HをH=2mmとした。ここで、アノード
電極として蛍光体を塗布した電極を用い、電子ビームの
サイズを観察した。ここで言う電子ビームサイズとは、
発光した蛍光体におけるピーク輝度の10%の領域まで
のサイズとした。
【0124】その結果、ビーム径100μmの収束した
電子ビームが得られ、電子放出素子の高電位電極と低電
位電極間に流れる電流Ifと、素子上部のアノード電極
に到達した電子による電流Ieの比で表される電子放出
効率Ie/Ifは2.3%であった。
【0125】また、ビームのスポット径を100μmに
収束することができた。これに対して、従来の平面型の
場合には、ビーム径はおよそ200μmで効率はおよそ
1%程度であった。
【0126】さらに、本発明の実施例に係わる電子放出
素子においては、電子放出部を切り替えることで寿命を
2倍に延ばすことができた。
【0127】[実施例2]実施例1と同様にして素子を
作製し、電子放出特性を評価した。ここでは、二つに分
離した高電位電極のうち、電子放出を行う方の高電位電
極に駆動電圧Vfを印加し、電子放出を行わない側の高
電位電極を低電位電極に電気的に接続した。
【0128】この結果、電子放出部から放出された電子
は、低電位電極と電気的に接続された高電位電極によ
り、軌道が変化し、より高精細な電子ビームが得られ、
ビーム径を90μmに収束できた。
【0129】[実施例3]上記実施例1と同様の構造の
電子放出素子を作製した。本実施例では、低電位電極に
突起状の構造を形成し、低電圧で電子放出可能な構造を
形成した。形成方法は、高電位電極と低電位電極の段差
領域にMoを20nm堆積し、斜方よりArイオンミリ
ング工程により形成した。
【0130】この結果、Vf=15Vで駆動でき、実施
例1と同様に、2.4%の電子放出効率が得られた。ま
た、ビームのスポット径を100μmとすることができ
た。また、電子放出部を切り替えることで素子の寿命が
2倍に延びた。
【0131】[実施例4]実施例1と同様の構造の電子
放出素子を作製した。本実施例では、より低電圧で電子
放出可能にするため、フォーミング工程と活性化工程を
行なった。用いた導電性薄膜は、厚さ4nmのPt−P
dで、本Pt−Pdを電気的に分離した高電位電極と低
電位電極に跨るように成膜した。
【0132】次に、真空容器内でそれぞれの高電位電極
と低電位電極とにパルス電圧を印加し、電流が観測され
なくなった時点で停止した。更に、真空容器内にベンゾ
ニトリルを1.3×10-4Paまで導入し、高電位電極
と低電位電極の間にパルス電圧を印加した。
【0133】この結果、駆動電圧Vf=15Vで電子放
出可能となり、このとき、2.4%の電子放出効率が得
られ、100μmのビームスポット径とすることができ
た。また、電子放出部を切り替えることで、寿命を2倍
にすることができた。
【0134】[実施例5]実施例3で作製した電子放出
素子において、二つの電子放出部から交互に電子放出を
行なうように電圧を印加した。この結果、素子の寿命を
2.2倍に延ばすことができた。
【0135】[実施例6]実施例1と同様の手順で素子
を作製した。ただし、ここでは、高電位電極を電気的に
分離する工程で、4μmの開口領域を形成した。この結
果、二つの高電位電極幅L2は2μmとなった。この素
子を先述と同様に、フォーミング工程と活性化工程を行
なった。
【0136】この結果、Vf=15Vで駆動でき、効率
2.1%、ビーム径75μmという結果が得られた。ま
た、放出部を切り替えて電子放出させることで、寿命を
2倍にできた。
【0137】[実施例7]実施例1と同様の方法で素子
を作製した。ただし、ここでは、高電位電極Taの厚さ
を20nmとし、フォーミング工程、活性化工程を行な
った。その結果、Vf=15Vで、効率2.8%が得ら
れた。また、素子の寿命は2倍に延びた。
【0138】[実施例8]実施例1と同様の手順で素子
を作製した。ただし、ここでは、高電位電極を図12に
示すように4つの領域に分割した。その結果実施例1と
同様の効率及びビーム径で、素子の寿命を4倍に延ばす
ことができた。
【0139】[実施例9]実施例1から7で作製した電
子放出素子を用いて画像形成装置を作製した。一例とし
て、実施例1の素子を用いた場合について説明する。
【0140】実施例1の電子放出素子を10×10のマ
トリクス上に配置し、Y方向配線を高電位電極に、X方
向配線を低電位電極に接続した。素子の上部には、2m
mの距離を隔てて蛍光体を配置した。尚、Y方向配線
は、二つに分割した高電位電極のそれぞれに、電気的に
独立に設置した。
【0141】この結果、駆動条件をVa=10kV、V
f=30Vに設定したところ、高精細な画像表示ができ
た。また、画像形成装置の寿命を2倍に延ばすことがで
きた。
【0142】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、絶縁層
上に電気的に分離した導電層を設け、一方に電圧を印加
するという簡易な構成によって、絶縁層の一方の端面側
から放出された電子が、絶縁層の他方の端面側に向かっ
て落ち込むことを抑制するように電子軌道の制御を行う
ことができ、電子放出効率の向上を図ることができる。
【0143】絶縁層上に電気的に分離した導電層のうち
電圧を印加しない側は、低電位である第1導電層と電気
的に接続することで、より一層電子放出効率の向上を図
ることができる。
【0144】電圧の印加を切り替える切替手段を備える
ことによって、素子の長寿命化を図ることができる。
【0145】また、上記のような電子放出素子を適用す
ることによって、高精細で長寿命な電子源あるいは画像
形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の模式
図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の駆動
状態を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の製造
方法を示す概略工程図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の活性
化工程を説明する概略構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子放出素子を駆動
した様子を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の電子
放出部近傍の様子を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電子放出素子を駆動
した様子を示す模式図である。
【図8】アノード電極に到達した電子による電流Ieの
経時的な変化について、従来技術に係る素子と本実施の
形態に係る素子との比較を示す図である。
【図9】電子ビームの広がりの比較図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る電子放出素子にお
ける電子放出部の切替タイミング例を示すタイミング図
である。
【図11】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の構
造変形例を示す模式的断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の構
造変形例を示す模式的断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る電子源の模式図で
ある。
【図14】本実施の形態に係る画像形成装置の模式的斜
視図である。
【図15】従来技術に係る電子放出素子の模式図であ
る。
【図16】従来技術に係る電子放出素子の模式図であ
る。
【図17】従来技術に係る電子放出素子の放出された電
子の散乱の様子を示す模式図である。
【図18】従来技術に係る電子放出素子の模式図であ
る。
【図19】従来技術に係る電子放出素子をマトリクス配
線した様子を示す模式図である。
【図20】従来技術に係る電子放出素子の模式図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 低電位電極(素子電極) 3 絶縁層 4,4a,4b 高電位電極(素子電極) 6,7 間隙 8 陽極(アノード電極) 9 導電性薄膜 40 電流計 41 電源 42 電流計 45 真空容器 46 排気ポンプ 47 有機ガスの供給源 48,49 スイッチ 1011 電子源基体 1012 X方向配線 1013 Y方向配線 1014 電子放出素子 1015 結線 1124 蛍光膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 31/12 H01J 1/30 E

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1導電層と、 該第1導電層上に設けられる絶縁層と、 該絶縁層上に設けられ、それぞれ電気的に分離された第
    2導電層及び第3導電層と、を備えた電子放出素子であ
    って、 前記絶縁層は、その両端側に前記第1導電層が露出する
    ように設けられると共に、 前記第2導電層あるいは第3導電層のうちのいずれか一
    方と前記第1導電層との間に、該第1導電層側が低電位
    となるような電圧を印加して、前記絶縁層の一方の端面
    側で電子放出を行うことを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】前記第1導電層の表面上に、該表面領域よ
    りも狭い領域内に前記絶縁層を積層形成して、該絶縁層
    の両端側に前記第1導電層を露出させることを特徴とす
    る請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】前記第2導電層と第3導電層との間の分離
    された領域は、前記第1導電層の領域上にあることを特
    徴とする請求項1または2に記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】素子本体に対向して配置された陽極上の対
    応する領域に対して、放出する電子を照射することを特
    徴とする請求項1,2または3に記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】前記第2導電層あるいは第3導電層のう
    ち、電圧を印加されていない導電層は前記第1導電層と
    電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか一つに記載の電子放出素子。
  6. 【請求項6】前記絶縁層の一端側に前記第2導電層と第
    1導電層との間で電子放出を行う場合の第1電子放出部
    が設けられ、前記絶縁層の他端側に前記第3導電層と第
    1導電層との間で電子放出を行う場合の第2電子放出部
    が設けられると共に、 前記第2導電層側あるいは第3導電層側に、電圧の印加
    を切り替える切替手段を備えたことを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか一つに記載の電子放出素子。
  7. 【請求項7】前記切替手段は、電圧を印加する導電層を
    切り替えると共に、電圧を印加しない導電層に対する前
    記第1導電層との電気的接続も切り替えることを特徴と
    する請求項6に記載の電子放出素子。
  8. 【請求項8】表面伝導型電子放出素子であることを特徴
    とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の電子放出素
    子。
  9. 【請求項9】請求項6または7の電子放出素子を用い
    て、前記切替手段による切り替えによって、第1電子放
    出部と第2電子放出部とに順次交代させながら電子放出
    を行うことを特徴とする電子放出素子の駆動方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれか一つに記載の電
    子放出素子を複数配列したことを特徴とする電子源。
  11. 【請求項11】前記電子放出素子がマトリクス配線され
    ていることを特徴とする請求項10に記載の電子源。
  12. 【請求項12】請求項10または11に記載の電子源
    と、該電子源から放出された電子によって画像を形成す
    る画像形成部材と、を備えることを特徴とする画像形成
    装置。
  13. 【請求項13】前記画像形成部材は、電子の衝突によっ
    て発光する蛍光体であることを特徴とする請求項12に
    記載の画像形成装置。
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