JP2001283404A - 熱アシスト磁気記録ヘッド及びその製造方法と熱アシスト磁気記録装置 - Google Patents

熱アシスト磁気記録ヘッド及びその製造方法と熱アシスト磁気記録装置

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JP2001283404A
JP2001283404A JP2000094097A JP2000094097A JP2001283404A JP 2001283404 A JP2001283404 A JP 2001283404A JP 2000094097 A JP2000094097 A JP 2000094097A JP 2000094097 A JP2000094097 A JP 2000094097A JP 2001283404 A JP2001283404 A JP 2001283404A
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English (en)
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Katsutaro Ichihara
原 勝太郎 市
Junichi Akiyama
山 純 一 秋
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 媒体を加熱するに足るエネルギー密度を損う
ことなく、加熱ビームと記録磁極を近接配置可能な構造
を有する熱アシスト磁気記録装置及びその製造方法を提
供することを目的とする。 【構成】 レーザ素子などの加熱源を媒体からリセスさ
せ、記録磁極の先端をその前方にせり出させるという独
特の構成により、媒体の加熱と磁気記録とを最適のタイ
ミングで行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱アシスト磁気記
録ヘッド及びその製造方法と熱アシスト磁気記録装置に
関し、より詳細には、媒体を加熱して磁気的情報の記録
を行う熱アシスト磁気記録において加熱ビームと記録磁
極とを近接して設けることにより加熱と磁気書き込みと
を最適なタイミングで行うことができる熱アシスト磁気
記録ヘッド及びその製造方法とそれを用いた熱アシスト
磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気的に情報の記録再生を行う磁気記録
装置は、大容量、高速、安価な情報記憶手段として発展
を続けている。特に、近年のハードディスクドライブ
(HDD)の進展は著しく、製品レベルで記録密度は1
0Gbpsi(Giga bits per squre inch)を、内部デ
ータ転送速度は100Mbps(Mega bits per secon
d)を超え、メガバイト単価は数円/MBに低価格化し
ている。HDDの高密度化は、信号処理、メカ・サー
ボ、ヘッド、媒体、HDIなど複数の要素技術の集大成
として進展してきているが、近年、媒体の熱擾乱問題が
HDDの高密度化の阻害要因として顕在化しつつある。
【0003】磁気記録の高密度化は、記録セル(記録ビ
ット)サイズの微細化により実現するが、記録セルの微
細化により媒体からの信号磁界強度が減少するため、所
定の信号対雑音比(S/N)を確保する上では、媒体ノ
イズの低減化が必須となる。媒体ノイズの主因は、磁化
転移部の乱れであり、乱れの大きさは媒体の磁化反転単
位に比例する。磁気媒体には多結晶磁性粒子からなる薄
膜(本願明細書においては、「多粒子系薄膜」あるいは
「多粒子系媒体」と称する)が用いられているが、多粒
子系薄膜の磁化反転単位は、粒子間に磁気的な交換相互
作用が作用する場合は、交換結合された複数の磁性粒子
から構成される。
【0004】従来、例えば数100Mbpsiから数G
bpsiの記録密度においては、媒体の低ノイズ化は、
主に磁性粒子間の交換相互作用を低減し磁化反転単位を
小さくすることにより実現してきた。最新の10Gbp
si級の磁気媒体では、磁化反転単位は磁性粒子2−3
個分にまで縮小されており、近い将来、磁化反転単位は
磁性粒子一つに相当するまで縮小するものと予測され
る。
【0005】従って今後さらに磁化反転単位を縮小して
所定のS/Nを確保するためには、磁性粒子の大きさ自
身を小さくする必要がある。磁性粒子の体積をVとおく
と粒子の持つ磁気的エネルギーはKuVで表わされる。
ここでKuは粒子の磁気異方性エネルギー密度である。
低ノイズ化のためにVを小さくするとKuVが小さくな
り室温付近の熱エネルギーによって記録情報が乱れる、
という熱擾乱問題が顕在化する。
【0006】Shallokらの解析によれば、粒子の
磁気的エネルギーと熱エネルギー(kT;k:ボルツマ
ン定数、T:絶対温度)の比、KuV/kTは100程
度の値でないと記録寿命の信頼性を損ねる。従来から媒
体磁性膜に用いられてきたCoCr基合金のKu(2−
3×10erg/cc)では、低ノイズ化のために粒
径微細化を進めると熱擾乱耐性の確保が困難な状況に至
りつつある。
【0007】そこで近年、CoPt,FePdなど10
erg/cc以上のKuを示す磁性膜材料が注目を浴
びてきているが、粒径微細化と熱擾乱耐性を両立するた
めに、単純にKuを上げると別の問題が顕在化する。そ
れは記録感度の問題である。すなわち、媒体磁性膜のK
uを上げると媒体の記録保磁力Hc0(Hc0=Ku/
Isbと定義され、ここでIsbは媒体磁性膜の正味の
磁化を表す)が上昇し、Hc0に比例して飽和記録に必
要な磁界が増加する。
【0008】記録ヘッドから発生し媒体に印加される記
録磁界は記録コイルへの通電電流の他に、記録磁極材
料、磁極形状、スペーシング、媒体の種類、膜厚などに
依存するが、高密度化に伴い記録磁極先端部のサイズが
縮小することを考慮すると、発生磁界の大きさには限界
がある。
【0009】例えば、最も発生磁界の大きな単磁極ヘッ
ドと軟磁性裏打ち垂直媒体の組合せでも、記録磁界の大
きさは高々10kOe(Oe:エルステッド)程度が限
界である。一方で将来の高密度・低ノイズ媒体に必要な
5nm程度の粒径で、十分な熱擾乱耐性を得る上では、
10erg/cc以上のKuを示す磁性膜材料を採用
する必要があるが、その場合、室温付近における媒体の
記録に必要な磁界は10kOeを軽く上回るため、記録
ができなくなる。従って単純に媒体のKuを増加させて
しまうと、記録自体ができないという問題が顕在化する
のである。
【0010】以上説明したように、従来の多粒子系媒体
を用いた磁気記録では、低ノイズ化、熱擾乱耐性の確
保、記録感度の確保がトレードオフの関係にあり、これ
が記録密度の限界を決定する本質的な問題となっいた。
【0011】この問題を解決する方法として、熱アシス
ト磁気記録方式が考えられる。多粒子系媒体を用いる熱
アシスト磁気記録方式では、十分にノイズが低くなる程
度に微細な磁性粒子を用い、熱擾乱耐性を確保するため
に室温付近で高いKuを示す記録層を用いることが望ま
しい。このような大きなKuを有する媒体は、室温付近
では記録に必要な磁界が記録ヘッドの発生磁界を上回り
記録不能である。これに対して、熱アシスト磁気記録方
式においては、記録磁極の近傍に光ビームなどを用いた
媒体加熱手段を配し、記録時に局所的に媒体を加熱し加
熱部のHc0をヘッドからの記録磁界以下に低下させて
記録する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この基本コンセプトを
実現する上での重要なポイントは、(1)加熱中もしく
は加熱直後の媒体が冷却する前のタイミングで記録磁界
を供給して記録を完了すること、(2)記録完了後、媒
体が十分に冷却するまでに熱擾乱の影響で記録磁化が再
反転するのを防止すること、(3)隣接トラックを加熱
して隣接磁化転移を熱擾乱で破壊することの無いように
記録磁極の幅程度の微小領域のみを選択的に加熱するこ
と、である。
【0013】上記要求を満たすためには、第1に、熱源
から放出される熱線のエネルギー密度が、媒体を所定の
温度(Hc0が記録磁界よりも小さくなる温度)に昇温
可能な程度に十分大きいこと、第2に、熱源から放出さ
れる熱線を媒体に照射する部分(開口)と記録磁極先端
部とが、開口の記録トラック方向の長さの数倍程度以下
の距離に近接して配置されること、が必須である。
【0014】上記第1の要求を満たすためには、高出力
の端面発光レーザ素子もしくは電子ビームエミッターを
熱源として採用するのが良いが、特にこの中、端面発光
レーザ素子を用いる場合には、上記第2の要求を満たす
のが困難であった。何故ならば、端面発光レーザ素子の
基本構造は、基板上に第1の電極、膜厚1μm程度の第
1クラッド層、膜厚数10〜数100nmの活性層、膜
厚1μm程度の第2クラッド層を有し、活性層を中心に
光を放出するため、光放出部と記録磁極先端部を近接配
置させるためには、例えば第2クラッド層中に記録磁極
を埋め込む必要性が有る。しかしながら、クラッド層中
に金属が配される形態では、レーザ素子の発光性能を低
下させてしまうおそれがある。
【0015】また、高密度記録を行うためには、レーザ
素子の発光面側に微小光学開口を設けるのが好ましい
が、レーザ素子と記録磁極部を薄膜工程で作成した後
に、劈開し必要に応じてデプスエンド制御のための研磨
を行う形態では、光学開口を設けるための金属膜を劈開
もしくは研磨後に形成する必要があるため、この金属膜
厚分だけ記録磁極と媒体の磁気的スペーシングが広が
り、記録分解能を低下させてしまうおそれもある。
【0016】本発明は、かかる課題の認識にもとづいて
なされたものである。すなわち、その目的は、熱アシス
ト磁気記録装置、例えば端面発光レーザ素子を熱源とす
る熱アシスト磁気記録装置において、媒体を加熱するに
足るエネルギー密度を損うことなく、加熱ビームと記録
磁極を近接配置可能な構造を有する熱アシスト磁気記録
ヘッド及びその製造方法とそれを用いた熱アシスト磁気
記録装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録層を有
する記録媒体に沿って配置される加熱源から放出される
熱線により前記記録媒体を加熱昇温して前記記録層の保
磁力を低下させ、この保磁力が低下した前記記録層に記
録磁極から記録磁界を印加することにより磁気的情報を
記録可能とした熱アシスト磁気記録ヘッドであって、前
記記録媒体に対して前記加熱源の前記熱線を放出する放
出部が前記記録磁極の先端よりも後退して設けられ、前
記記録磁極の前記先端が前記加熱源と前記媒体との間に
突出して設けられたことを特徴とする。
【0018】ここで、前記加熱源から放出される前記熱
線の少なくとも一部を前記記録媒体方向に通過させる開
口が前記記録磁極の前記先端の近傍に設けられたものと
しても良い。
【0019】また、前記加熱源は、活性層とクラッド層
とを有する端面発光型の半導体レーザ素子であり、前記
記録磁極の前記先端は、前記半導体レーザ素子のクラッ
ド層と前記記録媒体との間に突出して設けられたものと
しても良い。
【0020】また、前記加熱源と前記記録媒体との間
に、前記熱線を集束させる集束手段を設けても良い。
【0021】また、本発明の熱アシスト磁気記録装置
は、磁気記録媒体と、前記したいずれかの記録ヘッドと
を備えたことを特徴とする。
【0022】または、加熱素子部から放出される熱線に
より記録媒体を加熱昇温して記録部の保磁力を低下さ
せ、この保磁力が低下した記録部に記録磁極からの記録
磁界を印加することにより前記記録媒体に磁気的情報を
記録可能とした熱アシスト磁気記録装置であって、前記
磁気ヘッド部を形成するための第1の基板上の一部に前
記加熱素子部を形成するための第2の基板が接合され、
前記第2の基板の上に前記加熱素子部が形成され、前記
加熱素子部の上及びその周囲の前記第1の基板の上に前
記磁気ヘッド部が形成されてなる。
【0023】一方、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッド
の製造方法は、記録層を有する記録媒体に加熱素子部か
ら放出される熱線により前記記録媒体を加熱昇温して前
記記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した前
記記録層に記録磁極からの記録磁界を印加することによ
り磁気的情報を記録可能とした熱アシスト磁気記録ヘッ
ドの製造方法であって、前記記録磁極を形成するための
第2の基板の上の一部に、前記加熱素子部を形成するた
めの第1の基板を、接合する工程と、前記第1の基板の
上に前記加熱素子部を形成する工程と、前記加熱素子部
の前記熱線の放出経路に透光性部材を形成する工程と、
前記加熱素子部上、前記透光性部材上及びその周囲の前
記第2の基板上に、前記記録磁極を形成する工程と、を
備え、前記透光性部材は、前記磁気記録素子部の記録磁
極の先端が前記加熱素子部と記録媒体との間に突出する
ようにその厚みが分布を有することを特徴とする。
【0024】または、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッ
ドの製造方法は、記録層を有する記録媒体に加熱素子部
から放出される熱線により前記記録媒体を加熱昇温して
前記記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した
前記記録層に記録磁極からの記録磁界を印加することに
より磁気的情報を記録可能とした熱アシスト磁気記録ヘ
ッドの製造方法であって、第1の基板の上に前記加熱素
子部を形成する工程と、前記記録磁極を形成するための
第2の基板の上に、前記加熱素子部が形成された前記第
1の基板を接合する工程と、前記第1の基板あるいは前
記第2の基板の少なくともいずれかの上において透光性
部材を前記加熱素子部の前記熱線の放出経路に形成する
工程と、前記加熱素子部上、前記透光性部材上及びその
周囲の前記第2の基板の上に前記記録磁極を形成する工
程と、を備え、前記透光性部材は、前記記録磁極の記録
磁極の先端が前記加熱素子部と記録媒体との間に突出す
るようにその厚みが分布を有することを特徴とする。
【0025】または、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッ
ドの製造方法は、記録層を有する記録媒体に加熱素子部
から放出される熱線により前記記録媒体を加熱昇温して
前記記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した
前記記録層に記録磁極からの記録磁界を印加することに
より磁気的情報を記録可能とした熱アシスト磁気記録ヘ
ッドの製造方法であって、第1の基板の上に、前記加熱
素子部を形成する工程と、第2の基板の上に、先端を上
方にした記録磁極を形成する工程と、前記第1の基板と
前記第2の基板とを対向させ、前記記録磁極の前記先端
が前記加熱素子部と記録媒体との間に突出するように前
記加熱素子部と前記記録磁極とを接合する工程と、を備
えたことを特徴とする。
【0026】本願明細書において、「加熱源」あるいは
「加熱素子部」とは、加熱手段として通常一体的に観念
される部分であって、隣接して形成される記録磁極と
は、材料的あるいは構造的に異なる部分をいう。例え
ば、半導体レーザを「加熱源」あるいは「加熱素子部」
として用いる場合には、活性層の上下に積層された光ガ
イド層やクラッド層あるいはコンタクト層や電流ブロッ
ク層などの半導体層は、「加熱源」あるいは「加熱素子
部」に含まれる。これらは、半導体レーザとして通常一
体的に形成されるものであり、隣接する磁気ヘッドに用
いられる磁性材料などとは、明確に異なるものであるか
らである。
【0027】また、電子ビームエミッタを「加熱源」あ
るいは「加熱素子部」として用いる場合は、電子ビーム
が放出される先端の一体的な部分をいう。例えば、電子
ビームがエミッタコーンから放出される場合には、エミ
ッタコーン全体が「加熱源」あるいは「加熱素子部」に
含まれる。また、電子ビームが開口を有するウエンネル
トから放出される場合には、ウエンネルトは「加熱源」
あるいは「加熱素子部」に含まれる。
【0028】また、「熱線を放出する放出部」とは、レ
ーザ素子の場合はレーザ光が放出される発光部を意味
し、エミッタコーンを有する電子エミッタの場合はエミ
ッタコーン先端部を意味する。
【0029】本発明において、記録磁極の先端は、媒体
面から、媒体保護膜+グライドハイト+浮上量+ヘッド
保護膜分(スペーシング)離れているが、これらの総和
は高々数10nm、将来的には10nmあるいはそれ以
下である。本発明においては、熱線の放出部と記録媒体
との間の距離は、前記したスペーシングよりも長く規定
され、熱線放出部と媒体間の距離と、記録磁極先端部と
媒体間の距離の差が熱線放出部のリセス(後退)に相当
する。加熱源から放出した熱線はこのリセス空間とスペ
ーシング空間を伝播し、媒体に照射される。
【0030】リセス空間とスペーシング空間の間には開
口を有する隔壁を設けて、熱線の一部を開口を通じて媒
体に照射しても良いし、特に隔壁を設けずに、熱線の殆
ど全てを媒体に照射しても良い。開口を有する隔壁を設
けた方が、高密度化には有利であり、特には隔壁を設け
ない形態では加熱効率的には有利である。開口を有する
隔壁を設ける場合には、開口は特にリセスせずに記録磁
極先端部面と略同一面をなすように形成される。開口も
しくは熱線の中心と記録磁極先端部は、開口もしくは熱
線の記録トラック方向の距離の数倍以下程度に近接配置
するのが良い。この様にする事で媒体が十分に昇温しH
c0が十分に低下しているタイミングで記録磁界を印加
することが可能となる。
【0031】本発明の効果が最も顕著なのは、熱源とし
て高出力の端面発光レーザ素子を用いる形態である。本
発明を端面発光レーザ素子に適用すれば、レーザ素子自
身には何ら加工を施すことなく、レーザビーム中心と記
録磁極先端部の距離を縮めることが可能なため、十分に
高い発光エネルギー密度を損うことなく、確実な記録動
作が実現できる。
【0032】リセス空間は熱線に対して透過性を有する
材料で充填されるのが良い。リセス空間とスペーシング
空間の間に隔壁を設けない場合でも、透過性材料で充填
する事によって記録磁極の形成が容易となる。隔壁を設
ける場合は、透過性材料の開口が設けられる面に非透過
性(反射性が良い)材料を形成して、この非透過性材料
の熱線中心部付近に微小開口を設ければ良い。非透過性
材料の形成は、光素子一体型の磁気素子を薄膜工程で形
成しチッピングした後にABS(air bearingsurface)
面(媒体対向面)側から行っても、熱源素子を薄膜工程
で形成し、熱源素子のABS面側に透過性材料を形成し
た後に行っても良い。後者の形態の方が、非透過性材料
の厚みがスペーシングに含まれることが無いので、記録
分解能を高める上では好ましい。
【0033】本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造
は、磁気記録素子基板と熱源素子基板を接合した後、薄
膜工程をモノリシックに行う方法と、熱源素子を形成し
た後に、磁気記録素子基板に熱源素子を接合し、その
後、磁気記録素子を薄膜工程で形成する方法と、磁気記
録素子を形成した後に、熱源素子の形成された基板を自
己整合的に接合する方法が挙げられる。いづれの方法に
おいても、熱源素子の熱線放出部(レーザ素子の場合に
は発光面)の加工は好ましくはRIE(reactiveion et
ching)などの薄膜加工プロセスで形成される。
【0034】発光面をRIEなどの薄膜プロセスで実施
する場合は、例えば磁気記録素子の形成されるべき基
板、代表的にはアルチックウェファー基板などの上に、
熱源素子の設けられる基板、熱源がレーザ素子の場合は
代表的にはGaAsウェーハもしくはC面サファイア基
板などを接合する。二つの基板の接合は、熱源素子の成
長温度以上の耐熱性を有する接合層を介して行われる。
例えば、熱拡散接合、金属溶着、セラミクス系ボンディ
ングなどを用いることができる。
【0035】次に、熱源素子基板上に熱源素子を成長さ
せてウェファー上で熱源素子を島状に分離する。前記し
た島状分離の際に発光面を例えばRIE加工で形成す
る。その後に発光面とABSになる面の間のリセス部に
レーザ波長に対して透明な部材を形成し加工後、ABS
面に例えば反射性材料からなる隔壁を形成する。
【0036】リセスの長さはその部分に記録主磁極が埋
設される程度の大きさとするのが良く、好ましくは1−
6μm程度、さらに好ましくは2−4μm程度とする。
隔壁の厚みは最終的にデプスエンド加工を施す事を考慮
して設計値よりも厚く形成しておく。光学開口はこの時
点で隔壁中央部付近に例えばFIB加工などで設けても
良い。開口部は空隙のままでも透明部材で充填しても良
い。その後、リセス部と隔壁部を加工して記録主磁極先
端部と開口が近接配置される様にする。
【0037】その後は記録素子部、再生素子部を順次薄
膜工程で作成する。薄膜工程完了後はアルチック基板を
チップ切断しスライダー加工を施し、デブスエンド加工
すれば本発明の熱磁気記録装置に搭載される熱源一体型
磁気ヘッド素子が完成する。
【0038】2番目の熱源素子を形成した後に、磁気記
録素子基板に熱源素子を自己整合的に接合し、その後、
磁気記録素子を薄膜工程で形成する方法の利点は、磁気
記録素子基板と熱源素子基板の接合材料、接合方法の選
択肢が広い所にある。
【0039】熱源素子としてレーザ素子を用いる場合、
レーザ素子の結晶成長温度は1000℃以下程度、一方
で磁気記録素子の形成温度は300℃以下程度なので、
前記した一番目の方法では、接合部はレーザ素子の成長
温度に耐える必要が有るが、この二番目の方法を採用す
れば、接合部は磁気記録素子の形成温度に耐えられれば
良い事になる。熱源素子、例えば端面レーザ素子を成長
して島状に素子分離後、レーザ素子基板を、磁気記録素
子基板に接合し、磁気記録素子をレーザ素子上に形成し
ていけば良い。
【0040】3番目の、磁気記録素子を形成した後に、
熱源素子の形成された基板を自己整合的に接合する方法
では、基板同士の接合は不要である。この場合は、磁気
記録素子と熱源素子は個別に薄膜形成するハイブリッド
型のプロセスに相当し、磁気記録素子は最表面に記録主
磁極を配する構成にして、主磁極上に二次元的な例えば
凸状の接合パターンを形成する。
【0041】この凸パターンを形成する際に用いたマス
クを用いて、熱元素子の表面に例えば凹状のパターンを
形成し、前記凸パターンと凹パターンがアラインする様
に接合する。この様な自己整合的な接合を行う事によ
り、ハイブリッドタイプの素子でありながら、PEPと
同等の高い精度で二つの素子を接合することが可能とな
る。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、具体例を参照しつつ本発明
の実施の形態について詳細に説明する。
【0043】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態にかかる熱アシスト磁気記録ヘッドの要
部構成を概念的に表す断面図である。図中の符号1は光
・磁気一体型ヘッド素子の基板、2は端面発光レーザ素
子部、3は磁気記録再生素子部、4は磁気媒体部をそれ
ぞれ表す。
【0044】本発明の熱アシスト磁気記録装置のひとつ
の特徴は、熱源としてのレーザ素子部2が媒体4からリ
セス(後退)して設けられ、このリセスにより生じた空
間に磁気記録再生素子部3から記録ヘッドの主磁極31
の先端31Tが突出している点にある。つまり、レーザ
素子2は同図中に矢印Yで表した方向に媒体4からリセ
スしている。そして、レーザ素子2の前方に主磁極の先
端31Tが符号Xで表した方向に突出するように形成さ
れている。
【0045】このような独特の構成を採ることにより、
レーザ素子2から放出されるレーザ光Bと記録ヘッド主
磁極の先端31Tとをごく近傍に近接させることができ
る。その結果として、レーザ光Bにより加熱された媒体
が冷却される前の最適なタイミングで主磁極31により
磁気的情報を確実に媒体に書き込むことができるように
なる。
【0046】本発明者の検討の結果、例えば媒体40の
線速度が10m/秒で媒体の冷却速度が2〜3×10
10K/秒(20〜30K/nsec)とすると、レーザ光
Bと主磁極先端31Tとを、0.05μm以下の間隔に
近接して設ける必要があることが分かった。
【0047】すなわち、熱アシスト磁気記録において
は、加熱部近傍に記録磁界を印加できなければ意味がな
い。光記録系の相変化媒体や光磁気記録媒体の熱応答速
度は、数10(K/nsec)である。光記録媒体と磁気記
録媒体では熱応答速度が若干異なるが、この光記録系の
熱応答速度を目安に説明すると、以下の如くである。
【0048】例えば、熱アシスト磁気記録における記録
温度を、光磁気媒体並みの250℃付近に選ぶとする
と、加熱後10ナノ秒程度の時間の経過で、媒体は室温
付近まで冷却されてしまう。線速が10(m/秒)の場
合、加熱位置と記録磁界印加位置とが100ナノメータ
も離れてしまうと、熱アシスト磁気記録が不能というこ
とになる。
【0049】両者の間隔がこれよりも大きくなると、レ
ーザ光Bにより加熱された媒体は主磁極先端31Tに到
達する前に冷却されてしまい、記録が不完全となる虞が
ある。記録再生システムのパフォーマンスを改善するた
めには、媒体の線速度はさらに早くすることが望ましい
ため、レーザ光Bと主磁極先端31Tは、さらに近接さ
せる必要も生じ得る。
【0050】レーザ素子2として、いわゆる端面発光型
の半導体レーザを用いた場合には、従来技術に関して前
述したように、レーザ光Bを放出する活性層22の上下
にはクラッド層23などの層厚が数μmの半導体層を設
ける必要がある。従って、レーザ素子2と主磁極31と
を単に並列させただけでは、上述したように近接させる
ことは難しい。
【0051】本発明においては、レーザ素子2を媒体4
からリセスさせ、その前方に主磁極の先端31Tが突出
するように構成することによって、レーザ光Bと主磁極
先端31Tとを十分に近接して配置することが可能とな
る。
【0052】なお、図1においては、一例として端面発
光型のレーザ素子2を例示したが本発明は、これに限定
されるものではなく、この他にも例えば、面発光型のレ
ーザ素子あるいはその他の発光素子であっても良く、ま
たは、加熱源としての電子ビーム放出部であっても良
い。これらいずれの場合にも、発光素子あるいは、電子
ビーム放出部を媒体からリセスさせ、その前方に記録ヘ
ッドの主磁極先端31Tをせり出すように構成すること
により、加熱ビームと主磁極先端31Tとを十分に近接
させ、媒体の加熱と磁気書き込みとを最適なタイミング
で実行することが可能となる。
【0053】以下、図1の構成の詳細について具体例を
挙げつつ説明する。
【0054】まず、ヘッド素子基板1としては、モノリ
シックプロセスで素子形成する場合には、例えばC面サ
ファイアやGaAsなどのレーザ素子用の基板1Bを磁
気ヘッド用のアルチック基板1Aに接合したものを用い
ることができる。なお、図1においては一部のみを表し
たが、基板1は、同図に表されていない外側において
は、レーザ素子用の基板1Bが積層されずにアルチック
基板1Aのみの部分が殆どを占めている場合もある。す
なわち、磁気記録素子部を形成するためのアルチック基
板1Aの上の限られた部分のみにレーザ素子用の基板1
Bが積層されている。
【0055】端面発光レーザ素子2については、本発明
に関わる主要部のみを図示したが、第1のクラッド層2
1、活性層22、第2のクラッド層23、第2電極2
4、透過性部材25、隔壁26、開口27を有する。
【0056】レーザ素子2の材料としては、例えば、I
nGaN系、InAlGaAs系などを用いることがで
き、InGaN系の場合、基板1にはC面サファイアを
用いることが可能である。InGaNレーザ素子の詳細
構成は、例えば基板面から順番に、GaNバッファ層、
n型GaN下部電極接合層とこれに連結し接合層と隣接
配置されるn型第1電極、n型InGaN,n型AlG
aN格子整合層、n型GaN第1クラッド層21、In
GaN多重量子井戸型活性層22、p型AlGaN格子
整合層、p型GaN第2クラッド層23、p型AlGa
N中間層、p型GaN上部電極接合層、p型第2電極2
4を積層したものとすることができる。
【0057】レーザビームは、図1において、21,2
2,23の下側端面から下向きに放出され、透過性部材
25を通過し、隔壁26に設けられた開口27を通じ
て、媒体4側へ伝播する。
【0058】磁気記録再生素子部3は、例えば、記録主
磁極31、記録リターンパスと再生素子第1シールドを
兼ねるポール32、記録コイル33、レジスト等からな
る埋め込み部材34、GMR再生素子35、再生ギャッ
プ36、第2シールド37からなる。記録コイル33は
主磁極31とリターンパス32の接続部を巻く様に形成
され、図1には示していないが、紙面上方にコイルが巻
付き形成されたものとすることができる。
【0059】また、GMR再生素子部の詳細は図には示
していないが、例えば、第1シールド32面から右側へ
順番に、誘電体からなる下部再生ギャップ36、ハード
バイアス層、NiFe/CoFe/Cu/CoFe/F
eMnからなるGMR素子35、Cu電極、上部再生ギ
ャップ36、第2シールド37という構成を用いること
が可能である。
【0060】記録コイル33に信号変調された高周波電
流を通電すると、主磁極31から媒体4側へ記録磁界が
供給され、媒体4に磁化転移部として記録される。ま
た、このように媒体4に記録された磁化転移部からの信
号磁界は、GMR素子35で再生することができる。
【0061】媒体4は、媒体基板41の両面もしくは片
面上に磁性媒体膜部42を有する。媒体基板41として
は、ガラス、Si、AlPコート付Al合金を用いるこ
とができる。図1において、媒体は左側から右側へ移動
する。従って、図面に向かって左側が「リーディング
側」、右側が「トレーリング側」と定義される。磁性媒
体膜部42の詳細は、媒体基板41面から順番に、例え
ばNiFe軟磁性裏打ち層、CoPt垂直磁化記録層、
C保護層、潤滑層とすることができる。
【0062】このような媒体膜部42に対して、開口2
7から出射する光ビームにより昇温してHc0を低下さ
せる。Hc0の低下した部分は、主磁極31の下部に移
動し、主磁極から発生する記録磁界によって磁化方向が
決定される。垂直磁化膜を用いた場合は、媒体の磁化方
向は上向きか下向きであってこれらがデジタル信号の”
1”,”0”に対応して記録が実施される。
【0063】記録後、媒体は冷却しながらトレーリング
側へ移動し、室温では十分に大きなKuV/kT値を示
し記録安定性が保証される。上向き磁化と下向き磁化の
境界部(磁化転移部)から信号磁界が発生する。この信
号磁界の向きによってGMR再生素子35の磁化回転膜
の磁化の向きが変化し、電気抵抗が変化して最終的に電
圧変化として信号が再生される。
【0064】図1に例示したような本発明の構成は、そ
の製造も容易であるという利点を有する。
【0065】図1の構成の熱アシスト磁気記録装置は、
例えば以下の手順で作成することが可能である。先ず、
アルチック基板(Al2O3・TiC)とサファイア基板とを接
合する。具体的には、両者の接合面に、Au,Ag,C
u,Sr,PbOなど、レーザ素子の成長温度よりも融
点が高い金属をコートし、接合面同士を接触させて必要
に応じて圧力を印加し、接合メタルの融点付近に加熱す
ると、金属が溶融して接合が完了する。接合温度と圧力
条件によっては、接合部にメタルを配さずとも、固相拡
散によって接合が可能である。
【0066】次に、サファイア基板上に、代表的にはM
OCVD(metal-organic chemicalvapor deposition:
有機金属化学気相成長)法によりレーザ素子2を成長す
る。用いる有機金属化合物原料ガスは、トリメチルガリ
ウム、窒素もしくはアンモニアもしくは笑気ガス、トリ
メチルインジウム、トリメチルアルミニウムを例示する
ことができ、各層の構成元素と組成比に合わせて導入ガ
スの成分と比率を調整する。
【0067】電極層としてはAl,Cu,Auあるいは
それらの合金を適宜用いることができ、成膜はCVD
法、スパッタ法が適用可能である。
【0068】レーザ素子各層を結晶成長後、レーザ素子
を島状に分離し、電極パターンを形成して後工程の実装
プロセスでワイアを取付けるためのパッド部を形成して
おく。レーザ素子の島状分離は、例えば、塩素系ガス
(Cl,BClなど)もしくはメタン系ガスを用い
たRIE法で実施可能である。
【0069】次に、レーザ素子の発光面と発光面と反対
側の面に反射膜をコートし共振器部を形成する。反射膜
コートは斜めスパッタ法、フレームメッキ法を適用する
ことができる。次に透過性部材として例えば、Si
,Si,Al,AlN,ZnS,Ti
,BN,もしくは有機膜をCVD法、スパッタ法な
どで形成し所定の形状に例えばRIE加工する。所定の
形状とは、記録主磁極先端部が開口に近接して配置され
る様な形状を意味する。
【0070】次に、透過性部材25の上に斜めスパッタ
法もしくはフレームメッキ法により隔壁26を形成す
る。隔壁26としてはAu,Ag,Cu,Al,TiN
など用いるレーザ波長に合せて高反射率材料を用いるの
が良く、本具体例のような青色レーザの場合には、A
g,Al及びそれらの合金が選択されるのが良い。Al
InGaAs系の赤色レーザの場合は、これらに加えて
Au,Cu,TiNなどを用いても良い。
【0071】次に、隔壁のレーザビーム強度の高い位置
に光学開口27を例えば斜めFIB加工で形成する。開
口サイズは記録装置としての記録密度仕様によって異な
るが、例えば数100Gb/inの面密度のシステム
の場合、例えばトラック方向には300−500nm、
トラック幅方向には50−200nmとすれば良い。ト
ラック方向の開口長は線密度には無関係で、むしろ媒体
の予熱を十分に行う上では長い方が良い。レーザ光のモ
ードはトラック幅方向に光電界が向く様にするのが、伝
播損失を少なくする上で好ましい。
【0072】開口形成後、必要に応じてSiO,Si
,Al,AlN,ZnS,TiO,B
N,もしくは有機膜をCVD法もしくはコリメーション
スパッタ法により開口中に形成する。ここで各部材を形
成する際には、部材が形成されるべき部分以外の部位は
レジストなどで覆っておき、部材の形成が完了した後、
レジストを剥離して次のプロセスに進むのが良い。
【0073】次に、必要に応じてレーザ素子の周囲をS
iOなどで保護コートし、メッキ用の金属シード層を
形成後、記録主磁極パターンに合せてレジストフレーム
を形成して、NiFe,CoFeNiなどの記録磁極材
料をフレーム中にメッキ成長させる。主磁極31とリタ
ーンパス32の連結部までメッキ成長させた後、記録コ
イル33のパターンでレジストフレームを形成し、Cu
メッキ法などによりコイル部を形成する。
【0074】その後、主磁極とリターンパス間連結部と
リターンパスをレジストフレームメッキ法で形成し、必
要に応じてリターンパスのトレーリングエッジ側の面を
CMP法などで研磨する。この研磨は、この面の上にG
MR素子を形成する際のGMR特性を良好にする目的で
ためされるもので、リターンパスのトレーリングエッジ
側の面が十分に平滑であれば特に研磨を施さずとも良
い。また、リターンパスとGMR再生素子の第1シール
ドは兼用せずに別々に設けても構わない。
【0075】平坦化されたリターンパスのトレーリング
エッジ側の面上に薄膜プロセスを利用してGMR再生素
子部を形成する。先ずSiO,Si,BN,A
,AlN,TiOなどの非磁性、非導電性の
誘電体からなる下部再生ギャップ36を成膜し、ハード
バイアス層パターンを形成、NiFe/CoFe/Cu
/CoFe/FeMnからなるGMR素子35を島状パ
ターンに形成、続いてCu電極をパターニング形成して
パッド部に連結、続いて上部再生ギャップ36、第2シ
ールド37を順次積層し、最後にAlなどの保護
膜をコートし、ワイアボンディングパッド部を露出させ
て薄膜工程を完了する。
【0076】薄膜工程完了後、素子をチップ切断し、ア
ルチック基板部をスライダー加工に供し、主磁極ポール
長を所定の長さに追い込むためのデプスエンド研磨を行
い、パッド部にリードワイアを取付けてスライダー工程
を完了する。リードワイアは、レーザ素子に二本、記録
コイル通電用に二本、GMR電極用に二本、計六本接続
する。完成したスライダーを磁気ヘッドサスペンション
のジンバル部に接合し、リードワイアをサスペンション
の爪部で押えれば、ヘッドジンバルアセンブリーが完成
する。
【0077】次に、媒体4の作成方法の一例を説明す
る。媒体基板41として、ガラス、Si、NiP付きA
l合金を用意し、多室マグネトロンスパッタ装置の基板
ホルダーに装着し、真空排気後、各層を個別のスパッタ
室で成膜する。垂直記録媒体の場合は、記録層下部に軟
磁性裏打ち層が設けられる。軟磁性裏打ち層としては、
NiFe,CoZrNb,CoFeNiなどが使用可能
である。
【0078】記録層としては、CoPt,FePt,F
eAuなどの高Ku材料が本発明の実施には好適であ
り、低ノイズ化のために磁性粒子サイズは例えば3nm
程度に微細化する。微細化の方法は、記録層成膜条件
(基板温度、ガス圧力など)、記録層中への微量元素の
添加(Cr,Ta,Nbなど)、軟磁性層と記録層の間
に薄い結晶制御用シード層(Cr,V及びそれらの合金
など)の挿入、記録層形成時に磁性材料と誘電体材料
(SiO2,Si3N4,AlN,Al,BN,
Cなど)を同時スパッタして、誘電体マトリクス中に微
細磁性粒子が分散した構造の所謂グラニュラー構造化、
などを例示することができる。
【0079】本具体例では、グラニュラー構造を採用し
て、平均粒径が3nm程度の記録層を形成した。記録層
に続いてC保護層をスパッタ形成して取りだし、潤滑層
をコートし、必要に応じてバニッシュ工程に供すれば、
本発明の熱アシスト磁気記録装置に搭載可能な磁気記録
媒体が完成する。
【0080】媒体の特性を調べた結果、室温のKuは5
×10E7(erg/cc)程度と十分に高く、3nm
の微細粒子でも室温付近の熱擾乱耐性は十分であった。
又、室温のHc0は40kOe程度と高く、室温で記録
する事は不能であった。Hc0は記録膜温度上昇と共に
低下し、250−300℃で、記録磁界強度程度(10
kOe)に低下した。
【0081】上記した構成のレーザ素子一体型磁気ヘッ
ドと、磁気媒体をスピンスタンドタイプの磁気記録再生
評価機に設置して、記録試験を試みた所、レーザ光出力
が10mW程度で飽和記録特性が得られると共に、記録
特性の安定性、再現性も良好であった。
【0082】次に、本発明の熱アシスト磁気記録装置の
全体構成を説明する。
【0083】図1に例示したような記録再生ヘッド部
は、例えば、記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブリに
組み込まれ、熱アシスト磁気記録装置として実現され
る。
【0084】図2は、このような磁気記録装置の概略構
成を例示する要部斜視図である。すなわち、本発明の熱
アシスト磁気記録装置150は、ロータリーアクチュエ
ータを用いた形式の装置である。同図において、長手記
録用または垂直記録用磁気ディスク200は、スピンド
ル152に装着され、図示しない駆動装置制御部からの
制御信号に応答する図示しないモータにより矢印Aの方
向に回転する。磁気ディスク200は、長手記録用また
は垂直記録用の記録層を有し、さらに、その上に積層さ
れた軟磁性層とを有する「キーパードメディア」の構成
を有しても良い。磁気ディスク200は、磁気ディスク
200に格納する情報の記録再生を行うヘッドスライダ
153は、薄膜状のサスペンション154の先端に取り
付けられている。ここで、ヘッドスライダ153は、図
1に表した記録再生ヘッド部をその先端付近に搭載して
いる。
【0085】磁気ディスク200が回転すると、ヘッド
スライダ153の媒体対向面(ABS)は磁気ディスク
200の表面から所定の浮上量をもって保持される。
【0086】サスペンション154は、図示しない駆動
コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータ
アーム155の一端に接続されている。アクチュエータ
アーム155の他端には、リニアモータの一種であるボ
イスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイ
ルモータ156は、アクチュエータアーム155のボビ
ン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、このコ
イルを挟み込むように対向して配置された永久磁石およ
び対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。
【0087】アクチュエータアーム155は、固定軸1
57の上下2箇所に設けられた図示しないボールベアリ
ングによって保持され、ボイスコイルモータ156によ
り回転摺動が自在にできるようになっている。
【0088】図3は、アクチュエータアーム155から
先の磁気ヘッドアセンブリをディスク側から眺めた拡大
斜視図である。すなわち、磁気ヘッドアッセンブリ16
0は、例えば駆動コイルを保持するボビン部などを有す
るアクチュエータアーム151を有し、アクチュエータ
アーム155の一端にはサスペンション154が接続さ
れている。
【0089】サスペンション154の先端には、図1に
関して前述した記録再生ヘッド部を具備するヘッドスラ
イダ153が取り付けられている。サスペンション15
4は信号の書き込みおよび読み取り用のリード線164
を有し、このリード線164とヘッドスライダ153に
組み込まれた磁気ヘッドの各電極とが電気的に接続され
ている。図中165は磁気ヘッドアッセンブリ160の
電極パッドである。
【0090】図4は、本発明の熱アシスト磁気記録装置
の全体構成を例示するブロック図である。図4におい
て、Ioは発光素子駆動入力、Isは信号入力、Osは
信号出力、201は発光素子駆動回路系、202はヘッ
ドに内蔵された発光素子、203はECC(誤り訂正コ
ード)附加回路系、204は変調回路系、205は記録
補正回路系、206はヘッドに内蔵された記録素子部、
207は媒体、208はヘッドに内蔵された再生素子
部、209は等価回路系、210は復号回路系、211
は復調回路系、212はECC回路系である。
【0091】本発明の熱アシスト磁気記録装置は、従来
の磁気ディスク装置に、発光素子駆動入力Io、発光素
子駆動回路系201、発光素子202が附加されたブロ
ック構成を為す点、図1に例示したような独特の記録再
生ヘッド部が設けられた点が特徴である。
【0092】発光素子駆動入力はレーザ素子へのDC電
圧の供給で構わず、発光素子駆動回路系は特に設けずに
発光素子をDC駆動しても構わない。変調回路の出力に
同期させてパルス的に駆動しても良く、パルス駆動の方
が回路構成は複雑化するが、レーザの寿命を長期化する
上では好ましい。ECC附加回路系203とECC回路
系212は特に設けなくても構わない。変復調の方式、
記録補正の方式は自由に選定することが可能である。
【0093】媒体への情報入力は、発光素子部202か
らの光照射と、この光照射でHc0が低下している媒体
位置に、記録素子部206から記録信号変調された記録
磁界を印加することにある。記録情報が媒体面上の磁化
転移列として形成される点は従来の磁気記録装置と同等
である。この時に、図1に関して前述したように本発明
によれば、加熱のためのレーザ光と記録ヘッドの主磁極
先端とを極めて近接させることができるので、媒体を高
速で走行させた場合でも、加熱と磁気書き込みとを最適
なタイミングで行うことができる。つまり、超高密度の
磁気記録を超高速に行うことが可能となる。
【0094】磁化転移列から発生する媒体からの漏洩磁
界を信号磁界として再生素子部208が検出する。再生
素子部はGMR型が典型的であるが、通常のAMR(an
isotropic magnetoresistance)型でも良く、将来的に
はTMR(tunneling magnetoresistance)型を採用し
ても良い。
【0095】また、本発明の熱アシスト磁気記録装置に
おいて用いる記録媒体は、いわゆるハードディスクには
限定されず、その他フレキシブルディスクや磁気カード
などの磁気的記録が可能なあらゆる媒体を用いることが
できる。光ディスクと磁気ディスクとを組み合わせたも
のを用いることも可能である。
【0096】さらに、本発明の熱アシスト磁気記録装置
は、磁気記録のみを実施するものでも良く、記録・再生
を実施するものでも良い。磁気ヘッドと媒体との位置関
係についても、いわゆる「浮上走行型」でも「接触走行
型」でも良い。さらに、記録媒体を磁気記録装置から取
り外し可能とした、いわゆる「リムーバブル」の形式の
磁気記録装置であっても良い。
【0097】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態として、熱源素子の基板上に予め熱源素子
としての端面発光レーザ素子を形成した後に、磁気ヘッ
ド基板上に熱源素子基板を接合する構成について説明す
る。
【0098】本実施形態における熱アシスト磁気記録装
置の要部構成は、図1に表したものと同様である。ま
た、その素子製造工程の殆どは前記した第1実施形態と
同様とすることができる。従って、ここでは第1実施形
態と異なる部分、即ち接合材料と方法についてのみ説明
する。
【0099】まず、第1実施形態と同様の方法で熱源素
子2を熱源素子基板1Bに成長させて島状分離する。例
えば、サファイア基板上に窒化ガリウム系の材料からな
るレーザ素子を形成し、島状に分離する。但し、島状分
離工程は、後の基板接合工程の後に行っても良い。
【0100】島状分離後、リセス部25、隔壁部26の
形成を行う。但し、このリセス部と隔壁部の形成工程
は、次に説明する基板接合工程の後に行っても構わな
い。
【0101】次に、この熱源素子2の形成された基板1
Bの裏面に、例えばIn,Sn,Pb,Te,Gaもし
くはそれらの合金などの比較的、低融点の金属接合層を
設ける。磁気記録素子基板1Aの接合面にも同種接合層
を設けた後に、接合面同士を貼り合せて基板1Aと1B
とを溶融接合する。ここで、接合面への金属接合層の形
成はどちらか片側にのみ行っても良い。
【0102】しかる後に、レーザ素子2の上に磁気記録
素子部3を形成する。この工程の詳細は、第1実施例に
関して前述したものと同様とすることができる。
【0103】本実施形態によれば、レーザ素子用の基板
1Bの上に予めレーザ素子2を形成できるので、従来の
レーザ素子の製造工程及び製造装置をそのまま流用でき
るという利点がある。また、磁気ヘッド用の基板1Aを
レーザ素子の半導体成長装置などに導入する必要がなく
なり、装置の汚染なども容易に回避できる。
【0104】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態として、熱源素子の薄膜工程と、磁気記録
素子の薄膜工程を独立に実施した後、これらの素子を自
己整合的に接合するハイブリッドプロセスの実施形態を
説明する。
【0105】熱源素子(半導体レーザ)と磁気記録素子
各々の薄膜工程は、第1実施形態に関し前述したものと
ほぼ同等であるが、磁気記録素子の形成の順序は、基板
側から再生素子部、記録素子部の順番とし、磁気記録素
子の最表面に記録主磁極が配される構成とした。完成し
た素子構造は、図1と同等であるが、リーディング側か
らトレーリング側へ向けた配置が逆転する構成となる。
【0106】本実施例を特徴付ける点は、自己整合的な
接合プロセスにあるので、そのプロセスについて以下に
説明する。自己整合パターンは、素子機能上重要な部
分、例えば主磁極近傍、レーザ発光素子主要部は避け
て、素子間の分離領域に設けるのが好ましい。
【0107】図5は、各素子の構成と素子間に設けられ
る自己整合的パターンの一例を素子形成方向上面から見
た図である。すなわち、図5(a)は磁気記録素子の配
置構成例を示す図、図5(b)は磁気記録素子一つの拡
大図、図5(c)はレーザ素子の配置構成例を示す図、
図5(d)はレーザ素子一つの拡大図である。 図5
(a)において、11は磁気記録素子基板、3は磁気記
録素子、51は第1の自己整合的接合部をそれぞれ表
す。また、図5(b)において、31は記録主磁極部、
32はリターンパス部、33は記録コイル部、381,
382,383,384は電極部をそれぞれ表す。ま
た、図5(c)において、12はレーザ素子基板、2は
レーザ素子、52は第2の自己整合的接合部をそれぞれ
表す。また、図5(d)において、23は第2のクラッ
ド層部、24は第2の電極部、251はリセス部の主要
部、252はリセス部中心に設けられ主磁極が埋設され
る凹部、26は隔壁部、27は光学開口部、28は第1
の電極部をそれぞれ表す。活性層22は、図面上でクラ
ッド層23の奥側に設けられている。ここで、図1に表
したものと同一の機能を有する要素には、同一の符号を
付した。
【0108】本実施形態においては、まず、第1実施形
態で説明した磁気記録素子形成プロセスに従って、磁気
記録素子基板11上に磁気記録素子3を形成する。素子
の構造は、図5(b)に表したように、上面から主磁
極、記録コイルを介してリターンパス、その下部にGM
R再生素子部が埋設された構成であり、主磁極先端とリ
ターンパス先端の間は図1に示した形状で埋め込み部3
4が形成されている。電極381〜384は、記録コイ
ル通電用の2本の電極とGMR再生素子用の2本の電極
を表わし、コンタクトパッドに連結されている。
【0109】一方のレーザ素子2は、図5(d)に表し
たように、レーザ素子基板12上に、前記した磁気記録
素子と整合するように配置される。ここで、ヘッド素子
と整合するように、というのは、二つの素子を自己整合
的に接合した後に、レーザ素子に設けられた凹部252
に、ヘッド素子の記録主磁極先端部31が埋め込まれる
ことを表わしている。
【0110】磁気記録素子とレーザ素子とを整合性良く
形成した後、これらの素子の高さ調整を行い、レーザ素
子に設けられた凹部252に、ヘッド素子の記録主磁極
先端部31が埋め込まれるようにする。高さ調整は、具
体的には例えば、レジスト埋め込み、もしくは誘電体埋
め込みによって行う。この必要に応じて設けられる埋め
込み部に、第1の自己整合的接合部51と、第2の自己
整合的接合部52を同じマスクを用いたPEP工程によ
り形成する。自己整合的接合部の配置、形状には特に制
約はないが、図5(a)あるいは(c)に表したように
各素子間の分離領域に設けるのが、素子機能上もプロセ
スの利便性上も好ましい。
【0111】最後に、2つの素子基板11及び12を、
素子が設けられている面同士を対向配置させ、例えばウ
ェーハ端部に設けられた比較的大きな接合パターンを目
印にして、慎重に二つの素子を接合し、必要に応じて圧
着するなどすれば、図1の断面構造の素子が完成する。
【0112】(第4の実施の形態)次に、本発明の第4
の実施の形態として、レーザ素子2の前方に設けられる
透過性部材25に集光機能を付与した構成について説明
する。
【0113】本発明においては、例えば、第1実施形態
に関して前述したように、端面発光型のレーザ素子2を
形成した後に、そのリセス部にSiO2などの透過性部
材25を形成する。この際に、透過性部材25に集光作
用を付与すれば、レーザ素子2から放出されるレーザ光
の利用効率を上げることができる。
【0114】集光作用を付与する方法としては、例え
ば、透過性部材に屈折率の分布を設ける方法がある。
【0115】図6(a)は、図1に表した熱アシスト磁
気記録装置の透過性部材25の周囲を表す要部拡大図で
ある。また、図6(b)は、透過性部材25の矢印Sに
沿った方向の屈折率分布を表すグラフ図である。
【0116】すなわち、透過性部材25に、レーザ光B
の光軸をピークとする屈折率分布を設けると、レーザ光
を開口27に集光して利用効率を大幅に向上させること
が可能となる。
【0117】透光性部材25にこのような屈折率分布を
付与する方法としては、例えば、透光性部材25を、屈
折率が徐々に変化する多数の層の積層体とする方法があ
る。すなわち、図6(a)において矢印Sの方向に沿っ
て透光性部材25を堆積する際に、屈折率が低い材料か
ら開始して、活性層22の位置で屈折率が最も高くな
り、その後屈折率が低くなるように適宜材料を調節しな
がら積層する。透明で屈折率が低い材料としては、Mg
FやCaFなどがあり、中間的な屈折率を有する材料と
してはSiOがあり、屈折率が高い材料としてはSi
N、TiO、ZnSなどがある。
【0118】このような材料を適宜選択して積層するこ
とにより、図6(b)に表したような屈折率分布を得る
ことができる。
【0119】一方、CVD法などにより透過性部材25
を堆積する際に、その材料の組成を順次変化させたり、
添加元素の種類や添加量を順次変化させることによって
も、図6(b)に表したような屈折率分布を得ることが
できる。例えば、レーザ素子2を形成した後に、その成
長基板1Bの上に、例えば、再度MOCVD法により透
過性部材25を形成する。この材料としては、レーザ光
Bに対して透明な半導体などを用いることができ、例え
ば、レーザ光Bの波長が650nmの場合には、それよ
りも光学的バンドギャップが広いInGaNなどを用い
て透過性部材25を形成することができる。この時に、
その組成やドーパント量を順次変化させながら堆積する
ことにより、屈折率分布を設けることができる。例え
ば、一般的にドーパントの添加量が多いと屈折率は高く
なる傾向があるので、基板1Bから堆積を開始した場合
に、活性層22の位置でドーパントの添加量がピークと
なるように調節すれば良い。
【0120】また、以上説明した方法によれば、図6に
おいて矢印Sの方向に沿った屈折率の分布を実現するこ
とができるが、これと垂直な方向の屈折率を変化させる
ことはできない。そこで、上述したように透光性部材2
5を堆積する際に、レーザ光Bの光軸中心付近に屈折率
のピークが設けられるように、イオン注入を施したり、
マスク堆積を実施したりして、透光性部材25に対し
て、矢印Sと垂直な方向にも屈折率分布を設けることが
できる。
【0121】以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の
形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具
体例に限定されるものではない。
【0122】例えば、前述した具体例においては、加熱
源として端面発光レーザ素子を用いる構成について説明
したが、本発明は、端面発光素子に限定されず、加熱源
としては、面発光素子や電子ビームエミッターなども同
様に用いることができる。
【0123】加熱源として面発光レーザ素子を用いる場
合には、プラナー構造の磁気ヘッドに適用するのが製造
上好ましい。その一例を説明すると、磁気記録素子基板
に面発光レーザ素子を成長する基板を接合した後、レー
ザ素子を結晶成長させて島状分離する。面発光レーザで
は成長面が発光面になるので、島状分離の際のRIE加
工精度に対する要求は厳しくない。島状分離後、素子間
を適当な埋め込み部材で埋め込み、発光面からABS
(air bearing surface)面(媒体対向面)までのリセ
ス領域をSiOのテーパ状の島で形成する。光利用効
率を高めるためには、発光面付近に、薄膜レンズを形成
しておくのが良い。リセス領域のABS面には必要に応
じて隔壁と光学開口を設ける。リセス部のテーパ状側壁
部の一方(垂直記録の場合)、もしくは両方(長手記録
の場合)に記録主磁極を配置し、側壁長をポール長とす
る。素子の形成は上記した様に基板接合後モノリシック
に実施する他、前記実施例に述べた残る二通りの方法も
実施可能である。
【0124】一方、加熱源として電子ビームエミッター
を用いる場合には、例えばC,Si,Taなどからなる
エミッターコーン先端を主磁極から必要に応じてリセス
させ、記録ヘッドの主磁極をせり出させて電子ビームに
近接させる構造とする。
【0125】また、本発明により、磁気素子基板と電子
ビームエミッター基板を接合する形態だけでも十分に効
果的である。具体的には、例えばSiの面方位によるエ
ッチング選択性を利用してエミッターコーンアレーを用
いる場合、アルチックの様な磁気ヘッド基板そのままで
はエミッターアレーの作成は困難であるが、アルチック
上にSi単結晶ウェファーを接合すれば、所定のエミッ
ターコーンを簡単に形成することが可能となる。
【0126】また、電子ビームエミッターをリセスさせ
ると、エミッター先端部とABS面との間に、電子ビー
ム放出量を制御するためのゲート電極を配することがで
きるので、エミッターに印加する電圧以外にゲート電圧
による放出量制御が可能となり、動作環境温度変動、線
速変動などに対する動作安定性が向上する。
【0127】また、リセス部にメタル電極パターンから
なる電子レンズを設ける事も可能足らしめるので、電子
ビームサイズの制御性が向上する他、電子ビームの利用
効率を改善することも可能となる。
【0128】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
レーザ素子などの加熱源を媒体からリセスさせ、記録磁
極の先端をその前方にせり出させるという独特の構成に
より、媒体の加熱と磁気記録とを最適のタイミングで行
うことができる。
【0129】つまり、熱アシスト磁気記録装置におい
て、熱源特に高出力の端面発光レーザ素子の放射エネル
ギーを損うことなく、熱線照射位置と記録磁界印加位置
を近接配置できるため、室温付近では巨大Kuを有し磁
気記録が困難な媒体に対しても、効率良くかつ安定性良
く記録を行うことが可能となる。
【0130】すなわち、本発明によれば、現行の室温記
録方式の磁気記録装置が抱えている、媒体ノイズ低減化
(磁性粒子微細化)、媒体熱擾乱耐性確保(高Ku
化)、記録感度確保(低Hc0化)のトレードオフの問
題を解決することができる。
【0131】さらに、媒体を高速に走行させる場合に
も、確実に熱アシスト磁気記録を行うことが可能とな
り、超高密度で超高速の熱アシスト磁気記録装置を実現
することができ、産業上のメリットは多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる熱アシスト
磁気記録装置の要部構成を概念的に表す断面図である。
【図2】本発明の熱アシスト磁気記録装置の概略構成を
例示する要部斜視図である。
【図3】アクチュエータアーム155から先の磁気ヘッ
ドアセンブリをディスク側から眺めた拡大斜視図であ
る。
【図4】本発明の熱アシスト磁気記録装置を例示するブ
ロック図である。
【図5】ヘッド部を構成する各素子の構成と素子間に設
けられる自己整合的パターンの一例を素子形成方向上面
から見た図である。
【図6】図6(a)は、図1に表した熱アシスト磁気記
録装置の透過性部材25の周囲を表す要部拡大図であ
る。また、図6(b)は、透過性部材25の矢印Sに沿
った方向の屈折率分布を表すグラフ図である。
【符号の説明】 1 光・磁気一体型ヘッド素子の基板 2 レーザ素子部 3 磁気記録再生素子部 4 磁気媒体部 21 第1のクラッド層 22 活性層 23 第2のクラッド層 24 第2電極 25 透過性部材 26 隔壁 27 開口 32 ポール 33 記録コイル 34 埋め込み部材 35 GMR再生素子 36 再生ギャップ 37 第2シールド 41 媒体基板 42 磁性媒体膜部 150 熱アシスト磁気記録装置 152 スピンドル 153 ヘッドスライダ 154 サスペンション 155 アクチュエータアーム 156 ボイスコイルモータ 160 磁気ヘッドアセンブリ 200 媒体(磁気記録ディスク) Io 発光素子駆動入力 Is 信号入力 Os 信号出力 201 電子放出源駆動回路系 202 電子放出素子 203 ECC(誤り訂正コード)附加回路系 204 変調回路系 205 記録補正回路系 206 記録素子部 207 媒体 208 再生素子部 209 等価回路系 210 復号回路系 211 復調回路系 212 ECC回路系

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録層を有する記録媒体に沿って配置され
    る加熱源と記録磁極とを備え、前記加熱源から放出され
    る熱線により前記記録媒体を加熱昇温して前記記録層の
    保磁力を低下させ、この保磁力が低下した前記記録層に
    前記記録磁極から記録磁界を印加することにより磁気的
    情報を記録可能とした熱アシスト磁気記録ヘッドであっ
    て、 前記加熱源の前記熱線を放出する放出部は前記記録媒体
    からみて前記記録磁極の先端よりも後退して設けられ、
    前記記録磁極の前記先端は前記加熱源と前記媒体との間
    に突出して設けられたことを特徴とする熱アシスト磁気
    記録ヘッド。
  2. 【請求項2】前記加熱源から放出される前記熱線の少な
    くとも一部を前記記録媒体方向に通過させる開口が前記
    記録磁極の前記先端の近傍に設けられたことを特徴とす
    る請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
  3. 【請求項3】前記加熱源は、活性層とクラッド層とを有
    する端面発光型の半導体レーザ素子であり、 前記記録磁極の前記先端は、前記半導体レーザ素子のク
    ラッド層と前記記録媒体との間に突出して設けられたこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の熱アシスト磁
    気記録ヘッド。
  4. 【請求項4】前記加熱源と前記記録媒体との間に、前記
    熱線を集束させる集束手段が設けられたことを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱アシスト磁気
    記録ヘッド。
  5. 【請求項5】磁気記録媒体と、 請求項1〜4のいずれか1つに記載の熱アシスト磁気記
    録ヘッドと、 を備えたことを特徴とする熱アシスト磁気記録装置。
  6. 【請求項6】記録層を有する記録媒体に加熱素子部から
    放出される熱線により前記記録媒体を加熱昇温して前記
    記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した前記
    記録層に記録磁極から記録磁界を印加することにより磁
    気的情報を記録可能とした熱アシスト磁気記録ヘッドの
    製造方法であって、 前記記録磁極を形成するための第2の基板の上の一部
    に、前記加熱素子部を形成するための第1の基板を接合
    する工程と、 前記第1の基板の上に前記加熱素子部を形成する工程
    と、 前記加熱素子部の前記熱線の放出経路に透光性部材を形
    成する工程と、 前記加熱素子部上、前記透光性部材上及びその周囲の前
    記第2の基板上に、前記記録磁極を形成する工程と、 を備え、 前記透光性部材は、前記記録磁極の先端が前記加熱素子
    部と記録媒体との間に突出するようにその厚みが分布を
    有することを特徴とする熱アシスト磁気記録ヘッドの製
    造方法。
  7. 【請求項7】記録層を有する記録媒体に加熱素子部から
    放出される熱線により前記記録媒体を加熱昇温して前記
    記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した前記
    記録層に記録磁極から記録磁界を印加することにより前
    記記録媒体に磁気的情報を記録可能とした熱アシスト磁
    気記録ヘッドの製造方法であって、 第1の基板の上に前記加熱素子部を形成する工程と、 前記記録磁極を形成するための第2の基板の上に、前記
    加熱素子部が形成された前記第1の基板を接合する工程
    と、 前記第1の基板あるいは前記第2の基板の少なくともい
    ずれかの上において透光性部材を前記加熱素子部の前記
    熱線の放出経路に形成する工程と、 前記加熱素子部上、前記透光性部材上及びその周囲の前
    記第2の基板の上に前記記録磁極を形成する工程と、 を備え、 前記透光性部材は、前記記録磁極の先端が前記加熱素子
    部と記録媒体との間に突出するようにその厚みが分布を
    有するように形成されることを特徴とする熱アシスト磁
    気記録ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】記録層を有する記録媒体に加熱素子部から
    放出される熱線により前記記録媒体を加熱昇温して前記
    記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した前記
    記録層に記録磁極から記録磁界を印加することにより前
    記記録媒体に磁気的情報を記録可能とした熱アシスト磁
    気記録装置の製造方法であって、 第1の基板の上に、前記加熱素子部を形成する工程と、 第2の基板の上に、先端を上方にした記録磁極を形成す
    る工程と、 前記第1の基板と前記第2の基板とを対向させ、前記記
    録磁極の前記先端が前記加熱素子部と記録媒体との間に
    突出するように前記加熱素子部と前記記録磁極とを接合
    する工程と、 を備えたことを特徴とする熱アシスト磁気記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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