JP2001281661A - 液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】配向膜への異物の付着等に起因する表示品位の
低下を好適に抑制することのできる液晶表示装置を提供
する。 【解決手段】基板１上には、透明電極２及びポリイミド
からなる配向膜３が形成されている。同配向膜３形成
後、その表面に、液晶状態にあるリオトロピック液晶が
塗布される。配向膜３の配向方向へリオトロピック液晶
を配向させた後、このリオトロピック液晶の溶媒を蒸発
させることで、固体化された配向膜４が形成される。こ
の液晶物質からなる配向膜４は液晶層５に接する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置に係
り、詳しくは液晶分子の配向を好適に行うための装置構
造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、外部から電圧を印加
し、液晶の特定の分子配列（配向）を別の異なる分子配
列に状態変化させることで、同液晶に照射される光の特
性を変化させ、この変化を偏光板で顕在化させるもので
ある。

【０００３】そして、この液晶を特定方向へ配向させる
手段として、従来より配向膜が用いられている。この配
向膜は、レーヨン等の布でこする（ラビング法）などに
よって、その表面にストライプ状の細かい溝が形成され
たものであり、同配向膜に接する液晶は、この溝の方向
（配向方向）に配列されるようになる。このため、この
ように配列された液晶に外部から電圧を印加するととも
に、この印加する電圧を調整することで、その配列を変
化させることができ、ひいては、液晶基板の表面に設け
られた偏光板を透過する光の光量を変化させることがで
きるようになる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記液晶表
示装置の製造に際し、特に上記配向膜に傷（ラビングす
じ）がついたり異物が付着したりするような場合には、
上記液晶の配向に乱れが生じ、輝度むらの原因となるこ
とがある。具体的には、異物が存在する基板上に配向膜
を塗布したり、配向膜の塗布の後、これを布でこする際
にその表面に異物が付着したり、更にはこの異物が付着
した状態でラビングが行われるなどにより配向膜表面に
傷（ラビングすじ）をつけてしまったような場合には、
それら異物やラビングすじに対応する部分で液晶分子の
配向が乱れを生じるようになる。

【０００５】図３に、こうして異物が付着したりラビン
グすじが生じた配向膜についてその断面構造を拡大して
示す。同図３に示されるように、基板１０１上には、透
明電極１０２、及び配向膜１０３が順次堆積形成される
が、この配向膜１０３の背面にその膜厚と同等以上の異
物１０６ａが存在する場合には、同配向膜１０３の表面
に盛り上がり、すなわち配向膜はじき１０７が発生す
る。そして、こうして配向膜はじき１０７が発生する
と、同配向膜１０３上に形成される液晶層１０５におい
ては、同図３に示される態様で液晶分子１０５ａの配向
に乱れが生じるようになる。また、同配向膜１０３の表
面に異物１０６ｂやラビングすじ１０８が存在する場合
にも同様に、液晶分子１０５ａの配向に乱れが生じる。
このような配向の乱れは輝度むらの原因となり、ひいて
は、液晶表示装置としての表示品位を著しく低下させる
原因となる。

【０００６】なお、特に異物の付着に関しては、上記ラ
ビング法によって配向膜に配向処理を行う場合に限ら
ず、他に例えば、光配向膜に光を照射して配向処理を行
う場合等にあっても、こうした実情は概ね共通したもの
となっている。

【０００７】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、配向膜への異物の付着等に起因する
表示品位の低下を好適に抑制することのできる液晶表示
装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項１記載の発明は、第１及び第２の２つの基板が液晶層
を介して対向配設されるとともに、それら基板の液晶層
との界面にはそれぞれ配向膜が形成されてなる液晶表示
装置において、前記第１及び第２の基板に形成された配
向膜の少なくとも一方は、複数層の膜からなることをそ
の要旨とする。

【０００９】配向膜が単層の場合には前述のように、こ
れに接する液晶分子も、その配向に際しては配向膜に対
する傷や異物付着等の影響を受け易い。この点、同配向
膜が複数層形成される上記構成によれば、液晶分子の配
向に際してのこうした影響を緩和することができ、ひい
ては、液晶表示装置としての表示品位の低下も好適に抑
制することができるようになる。

【００１０】請求項２に記載の発明は、請求項１記載の
発明は、前記複数層の膜からなる配向膜の前記液晶層に
接する膜が液晶物質からなることをその要旨とする。上
記構成によれば、請求項１記載の発明による上記作用効
果に加えて、次のような作用効果も併せ得られるように
なる。すなわち、いかなる手法を用いて配向膜への配向
処理を施した場合であれ、液晶層に接する配向膜自体を
液晶物質とすることで、その固体化に伴い、同膜に自動
的に下地配向膜の配向方向に従った配向を付与すること
ができるようになる。しかも、この液晶物質は、下地配
向膜の表面にラビングすじがある等の理由から、同表面
ではその配向に乱れを生じていても、同下地配向膜から
離れるに従いその乱れが緩和されていく傾向にあるた
め、同固体化される液晶物質の表面を良好な配向膜とし
て利用することができる。

【００１１】請求項３記載の発明は、請求項２記載の発
明において、前記液晶物質からなる配向膜がリオトロピ
ック液晶物質からなることをその要旨とする。上記構成
によれば、溶媒との比率により液晶状態から固体へ容易
に移行するリオトロピック液晶物質を用いることで、上
記固体化される液晶物質の形成を室温で行うことができ
る等、その実現も容易となる。

【００１２】請求項４記載の発明は、請求項１〜３のい
ずれかに記載の発明において、前記複数層の膜からなる
配向膜の基板側の膜がラビング処理による配向が施され
たものであることをその要旨とする。

【００１３】上記構成によれば、特に傷や異物付着等の
生じ易いラビング処理により配向が施された配向膜に対
して、上述した配向膜の積層が行われることで、上記各
発明の作用効果もより顕著なものとなる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる液晶表示装
置の一実施形態について図１及び図２に従って説明す
る。図１は、本実施形態の液晶表示装置の断面図であ
る。

【００１５】図１に示されるように、この液晶表示装置
は、基板（ガラス基板）１側に、ＩＴＯ（Indium Tin
Oxide）からなる透明電極２、ポリイミドからなる配向
膜３、及び液晶物質が固体化された配向膜４が順次堆積
形成されている。すなわち、この基板１側においては、
最後に堆積形成された液晶物質が固体化された配向膜４
が、液晶層５に接するようになる。

【００１６】一方、液晶層５を介してこれと対向する基
板（ガラス基板）１１側には、Ｒ（赤），Ｇ（緑），Ｂ
（青）の各色版を有するカラーフィルタ１２、ポリイミ
ドからなる配向膜１３、及び液晶物質が固体化された配
向膜１４が順次堆積形成されている。そして、この基板
１１側においても、液晶物質が固体化された配向膜１４
が液晶層５に接するようになる。

【００１７】その他、これら基板１及び１１の外側に
は、それぞれ第１の偏光板３１と第２の偏光板３２とが
配設されている。液晶表示装置としてのこのような構造
によれば、配向膜３、４及び配向膜１３、１４によって
液晶層５の液晶分子５ａにそれぞれ所定の配向が付与さ
れるとともに、配向膜４及び配向膜１４によって、それ
ぞれ配向膜３及び配向膜１３の傷、あるいはそれら配向
膜３及び１３への異物付着等が上記液晶分子５ａの配向
に及ぼす影響を緩和することができるようになる。

【００１８】図２は、図１に示した液晶表示装置におけ
る特に上記配向膜４について、その作用を強調して示す
拡大図である。同図２に示されるように、基板１側にお
いて、配向膜３の背面には異物６ａが存在するため、同
配向膜３の表面には盛り上がり、すなわち配向膜はじき
７が生じている。また、同配向膜３の表面にも、異物６
ｂやラビングすじ８が存在している。しかし、本実施形
態においては、この配向膜３の表面に、液晶物質が固体
化された配向膜４が形成されるとともに、その表面が平
坦化されることで、同表面に接する液晶分子５ａの配向
の乱れが緩和されるようになる。また、この配向膜４の
表面は、下地としての配向膜３の表面のように顕著な配
向の乱れもなく良好な配向を有している。なお、基板１
１側の配向膜１４についても、これと同様のことがいえ
る。

【００１９】このため、図１にその断面構造が示される
本実施形態の液晶表示装置によれば、その表示品位が高
く維持されるようになる。次に、この液晶表示装置の製
造方法について、再び図１を参照してその概略を説明す
る。

【００２０】まず、基板１側については、これに透明電
極２が形成された後、ポリイミドからなる配向膜３がフ
レキソ印刷により印刷される。その後、配向処理とし
て、配向膜３にレーヨン布等を用いたラビング処理が行
われる。

【００２１】こうして配向処理が終了すると、水溶性が
付与された芳香環を有する低分子化合物の溶液からなる
クロモニック液晶（リオトロピック液晶）がスピンナー
を用いて塗布され、６時間室温で放置される。これによ
り溶媒が蒸発し、固体化された配向膜４が形成される。

【００２２】この室温で放置されている間に、同クロモ
ニック液晶は、配向膜３によってその配向方向に従った
所定の配向が自動的に付与される。またこの際、異物６
や配向膜はじき７、更には、ラビングすじ８の近辺（図
２参照）においては、このクロモニック液晶の配向に乱
れが生じているが、この乱れは、周囲のクロモニック液
晶の影響などにより配向膜３から離れるほど緩和され
る。すなわち、クロモニック液晶表面においては、その
配向の乱れは好適に是正されるようになる。この状態で
同クロモニック液晶が固体化されることで、その表面に
おいて配向方向に大きな乱れがなく、平坦化された配向
膜４が形成される。

【００２３】一方、基板１１側の配向膜１４についても
同様に形成される。上記配向膜４、１４の形成が終了す
ると、基板１、１１が図１に示される態様にて貼り合わ
され、その間に液晶層５となる液晶が封入されることで
本実施形態の液晶表示装置が完成される。

【００２４】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、以下のような効果が得られるようになる。 （１）ラビングによる配向処理が施された配向膜３、１
３の表面に、配向膜４、１４が形成されることで、配向
膜３、１３に生じるラビングすじや配向膜はじきなどを
補償することができ、輝度むらなどが好適に緩和された
表示品位の高い液晶表示装置を実現することができる。

【００２５】（２）液晶物質を用いてこれを固体化する
ことで、配向膜４、１４を形成するため、同配向膜４、
１４に特別な配向処理を施さなくとも、配向膜３、１３
の配向方向へ自動配向させることができる。

【００２６】（３）ラビングによる配向処理が施された
配向膜３、１３の表面に、リオトロピック液晶を塗布
し、これを固体化することで、配向膜４、１４を室温に
て容易に形成することができる。

【００２７】なお、上記実施形態は以下のように変更し
て実施してもよい。 ・上記実施形態においては、配向膜３、１３の配向処理
としてラビング法を用いたが、これに限られない。

【００２８】・上記実施形態においては、配向膜４、１
４とするリオトロピック液晶として、クロモニック液晶
を用いたがこれに限られない。要は、リオトロピック液
晶であれば、上記実施形態に準じた効果を得ることはで
きる。

【００２９】・また、液晶層に接する配向膜の素材とし
ては、リオトロピック液晶の代わりにサーモトロピック
液晶を用いることもできる。ただし、ある温度のみで液
晶状態となるサーモトロピック液晶をこの液晶層に接す
る配向膜として用いる場合、室温を含む液晶表示装置と
しての使用温度範囲において固体化している必要があ
る。このため、このサーモトロピック液晶を用いる場合
には、まず、室温からかなり離れた温度環境下において
同液晶を液晶状態にし、これを配向膜に塗布した後、室
温に近づけることで同液晶を固体化することとなる。

【００３０】・上記実施形態においては、対向配設され
る各基板の配向膜を２層構造とする例について示した
が、３層以上からなる積層膜としてもよい。これによ
り、配向膜３表面に生じる形状の乱れに起因する液晶分
子の配向の乱れをいっそう好適に緩和することができ
る。更に、積層する配向膜は液晶物質であることが好ま
しいが、必ずしも液晶物質からなる膜である必要もな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる液晶表示装置の一実施形態の構
造を示す断面図。

【図２】同実施形態における液晶層に接する配向膜近傍
を拡大して示す断面図。

【図３】従来の液晶表示装置の配向膜近傍を拡大して示
す断面図。

【符号の説明】

１、１０１…基板、２、１０２…透明電極、３、１０３
…配向膜、４、…液晶層に接する配向膜、５、１０５…
液晶層、５ａ，１０５ａ…液晶分子、６ａ、６ｂ、１０
６、１０６ｂ…異物、１１…基板、１２…カラーフィル
タ、１３…配向膜、１４…液晶層に接する配向膜、３１
…第１の偏光板、３２…第２の偏光板。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第１及び第２の２つの基板が液晶層を介し
   て対向配設されるとともに、それら基板の液晶層との界
   面にはそれぞれ配向膜が形成されてなる液晶表示装置に
   おいて、 前記第１及び第２の基板に形成された配向膜の少なくと
   も一方は、複数層の膜からなることを特徴とする液晶表
   示装置。
2. 【請求項２】前記複数層の膜からなる配向膜の前記液晶
   層に接する膜が液晶物質からなる請求項１記載の液晶表
   示装置。
3. 【請求項３】前記液晶物質からなる配向膜がリオトロピ
   ック液晶物質からなる請求項２記載の液晶表示装置。
4. 【請求項４】前記複数層の膜からなる配向膜の基板側の
   膜がラビング処理による配向が施されたものである請求
   項１〜３の何れかに記載の液晶表示装置。