JP2001280480A - 車両の自動変速装置 - Google Patents

車両の自動変速装置

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JP2001280480A
JP2001280480A JP2000101292A JP2000101292A JP2001280480A JP 2001280480 A JP2001280480 A JP 2001280480A JP 2000101292 A JP2000101292 A JP 2000101292A JP 2000101292 A JP2000101292 A JP 2000101292A JP 2001280480 A JP2001280480 A JP 2001280480A
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16H37/00Combinations of mechanical gearings, not provided for in groups F16H1/00 - F16H35/00
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    • F16H37/04Combinations of toothed gearings only
    • F16H37/042Combinations of toothed gearings only change gear transmissions in group arrangement
    • F16H37/046Combinations of toothed gearings only change gear transmissions in group arrangement with an additional planetary gear train, e.g. creep gear, overdrive

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  • Structure Of Transmissions (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレーキ作動状態から非作動状態に切り換わ
ったときにシンクロ制御によってメインギヤをギヤイン
することによる不具合を防止する。 【解決手段】 機械的なシンクロ機構を有しないメイン
ギヤを含む変速機と、変速機の変速を制御するコントロ
ールユニットと、コントロールユニットの信号に基づき
変速機の変速を実行するアクチュエータとを備え、上記
メインギヤの変速の際に所定のシンクロ制御を実行する
ものにあって、ブレーキの作動状態を検出するためのブ
レーキ検出手段と、ブレーキが作動状態から非作動状態
に切り換わったとき、シンクロ終了の是非に拘らず一定
時間メインギヤのギヤインを禁止するギヤイン禁止手段
とを備える。上記ブレーキ検出手段はブレーキスイッチ
を含んでもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にトラクタ等の
大型車両に適用される車両の自動変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近ではドライバの負担を軽減するた
め、トラクタやトラック等の大型車両においても自動変
速装置を採用する例が多く見られる。このような大型車
両では、メインギヤの他に、副変速機としてのスプリッ
タ及びレンジギヤを有する多段変速機が装備される。こ
の場合、部品数及びコストの低減を図るため、メインギ
ヤから機械的シンクロ機構を省略し、代わりにシンクロ
制御なるものを行ってギヤインの際の同期を図ることが
考えられる。ここでシンクロ制御とは、主に、シフトア
ップのときはカウンタシャフトブレーキ制御を行うこと
であり、シフトダウンのときはダブルクラッチ制御を行
うことである。また、シンクロ状態とは、次回変速先の
目標メインギヤ段において、ドグギヤ回転とスリーブ回
転とが略一致していることをいう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる自動
変速装置では変速機のカウンタシャフト回転とアウトプ
ットシャフト回転とから目標メインギヤ段のドグギヤ回
転とスリーブ回転とを割り出し、シンクロ状態を判断す
るようになっている。しかし、車両走行中、ブレーキ作
動状態からブレーキ非作動状態に移ったとき、車速の変
化率が比較的急激に変化するので、これに伴ってアウト
プットシャフト回転にも変曲点をもつようになる。こう
なるとアウトプットシャフト回転、ひいてはスリーブ回
転を正確に計算できず、このような不正確な値に基づい
てシンクロ状態を判断し、ギヤインを許容すると、実際
にはシンクロ状態でないのに無理にギヤインする可能性
があり、ギヤ鳴り等の不具合が懸念される。
【0004】そこで、本発明の目的は、ブレーキ作動状
態から非作動状態に移行したときにシンクロ制御を行う
ことに起因するギヤ鳴り等の不具合を防止することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る車両の自動
変速装置は、機械的なシンクロ機構を有しないメインギ
ヤを含む変速機と、変速機の変速を制御するコントロー
ルユニットと、コントロールユニットの信号に基づき変
速機の変速を実行するアクチュエータとを備え、上記メ
インギヤの変速の際に所定のシンクロ制御を実行するも
のにあって、ブレーキの作動状態を検出するためのブレ
ーキ検出手段と、ブレーキが作動状態から非作動状態に
切り換わったとき、一定時間メインギヤのギヤインを禁
止するギヤイン禁止手段とを備えたものである。
【0006】ここで、上記ブレーキ検出手段が、ブレー
キペダルの踏込み・解放に応じてON/OFFするブレーキス
イッチを含むのが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳述する。
【0008】図1に本実施形態に係る車両の自動変速装
置を示す。ここでは車両がトレーラを牽引するトラクタ
であり、エンジンがディーゼルエンジンである。図示す
るように、エンジン1にクラッチ2を介して変速機3が
取り付けられ、変速機3のアウトプットシャフト4(図
2参照)が図示しないプロペラシャフトに連結されて後
輪(図示せず)を駆動するようになっている。エンジン
1はエンジンコントロールユニット(ECU)6によっ
て電子制御される。即ち、ECU6は、エンジン回転セ
ンサ7とアクセル開度センサ8との出力から現在のエン
ジン回転速度及びエンジン負荷を読取り、主にこれらに
基づいて燃料噴射ポンプ1aを制御し、燃料噴射時期及
び燃料噴射量を制御する。
【0009】一方、変速中は、アクセル開度センサ8に
よって検知される実アクセル開度と無関係にECU6自
らが加工した疑似アクセル開度なるものに基づいてエン
ジン制御を実行する。これは特に後述するダブルクラッ
チ制御において必要である。
【0010】図2に示すように、エンジンのクランク軸
にフライホイール1bが取り付けられ、フライホイール
1bの外周にリングギヤ1cが形成され、リングギヤ1
cの歯が通過する度にエンジン回転センサ7がパルスを
出力し、ECU6が単位時間当たりのパルス数をカウン
トしてエンジン回転数を算出する。
【0011】図1に示すように、ここではクラッチ2と
変速機3とがトランスミッションコントロールユニット
(TMCU)9の制御信号に基づいて自動制御される。
即ちかかる自動変速装置には自動クラッチ装置と自動変
速機とが備えられる。ECU6とTMCU9とは互いに
バスケーブル等を介して接続され、相互に連絡可能であ
る。
【0012】図1、図2、図3に示すように、クラッチ
2は機械式摩擦クラッチであり、入力側をなすフライホ
イール1b、出力側をなすドリブンプレート2a、及び
ドリブンプレート2aをフライホイール1bに摩擦接触
或いは離反させるプレッシャプレート2bから構成され
る。そしてクラッチ2は、クラッチブースタ(クラッチ
アクチュエータ)10によりプレッシャプレート2bを
軸方向に操作し、基本的には自動断接され、ドライバの
負担を軽減し得るものとなっている。一方、微低速バッ
クに際しての微妙なクラッチワークや、非常時のクラッ
チ急断等を可能とするため、ここではクラッチペダル1
1によるマニュアル断接も可能となっている。所謂セレ
クティブオートクラッチの構成である。クラッチ位置
(即ちプレッシャプレート2bの位置)を検知するため
のクラッチストロークセンサ14と、クラッチペダル1
1の位置を検知するためのクラッチペダルストロークセ
ンサ16とが設けられ、それぞれTMCU9に接続され
る。
【0013】図3に分かりやすく示すが、クラッチブー
スタ10は実線で示す二系統の空圧通路a,bを通じて
エアタンク5に接続され、エアタンク5から供給される
空圧で作動する。一方の通路aがクラッチ自動断接用、
他方の通路bがクラッチマニュアル断接用である。一方
の通路aが二股状に分岐され、そのうちの一方に自動断
接用の電磁弁MVC1,MVC2が直列に設けられ、他
方に非常用の電磁弁MVCEが設けられる。分岐合流部
にダブルチェックバルブDCV1が設けられる。他方の
通路bに、クラッチブースタ10に付設される油圧作動
弁12が設けられる。両通路a,bの合流部にもダブル
チェックバルブDCV2が設けられる。ダブルチェック
バルブDCV1,DCV2は差圧作動型の三方弁であ
る。
【0014】上記電磁弁MVC1,MVC2,MVCE
はTMCU9によりON/OFF制御され、ONのとき上流側を
下流側に連通し、OFF のとき上流側を遮断して下流側を
大気開放する。まず自動側を説明すると、電磁弁MVC
1は単にイグニッションキーのON/OFFに合わせてON/OFF
されるだけである。イグニッションキーOFF 、つまり停
車中はOFF となり、エアタンク5からの空圧を遮断す
る。電磁弁MVC2は比例制御弁で、供給又は排出エア
量を自由にコントロールできる。これはクラッチの断接
速度制御を行うためである。電磁弁MVC1,MVC2
がともにONだとエアタンク5の空圧がダブルチェックバ
ルブDCV1,DCV2をそれぞれ切り換えてクラッチ
ブースタ10に供給される。これによりクラッチが分断
される。クラッチを接続するときはMVC2のみがOFF
され、これによりクラッチブースタ10の空圧がMVC
2から排出されてクラッチが接続される。
【0015】ところでもし仮にクラッチ分断中に電磁弁
MVC1又はMVC2に異常が生じ、いずれかがOFF と
なると、ドライバの意思に反してクラッチが急接されて
しまう。そこでこのような異常がTMCU9の異常診断
回路で検知されたら、即座に電磁弁MVCEをONする。
すると電磁弁MVCEを通過した空圧がダブルチェック
バルブDCV1を逆に切り換えてクラッチブースタ10
に供給され、クラッチ分断状態が維持され、クラッチ急
接が防止される。
【0016】次にマニュアル側を説明する。クラッチペ
ダル11の踏込み・戻し操作に応じてマスタシリンダ1
3から油圧が給排され、この油圧が破線で示す油圧通路
13aを介して油圧作動弁12に供給される。これによ
って油圧作動弁12が開閉され、クラッチブースタ10
への空圧の給排が行われ、クラッチ2のマニュアル断接
が実行される。油圧作動弁12が開くと、これを通過し
た空圧がダブルチェックバルブDCV2を切り換えてク
ラッチブースタ10に至る。
【0017】図2に詳細に示すように、変速機3は基本
的に常時噛み合い式の多段変速機で、前進16段、後進
2段に変速可能である。変速機3はメインギヤ18と、
その入力側及び出力側にそれぞれ副変速機としてのスプ
リッタ17及びレンジギヤ19を備える。そして、イン
プットシャフト15に伝達されてきたエンジン動力をス
プリッタ17、メインギヤ18、レンジギヤ19へと順
に送ってアウトプットシャフト4に出力する。
【0018】変速機3を自動変速すべくギヤシフトユニ
ットGSUが設けられ、これはスプリッタ17、メイン
ギヤ18、レンジギヤ19それぞれの変速を担当するス
プリッタアクチュエータ20、メインアクチュエータ2
1及びレンジアクチュエータ22から構成される。これ
らアクチュエータもクラッチブースタ10同様空圧作動
され、TMCU9によって制御される。各ギヤ17,1
8,19の現在ポジションはギヤポジションスイッチ2
3(図1参照)で検知される。カウンタシャフト32の
回転速度がカウンタシャフト回転センサ26で検知さ
れ、アウトプットシャフト4の回転速度がアウトプット
シャフト回転センサ28で検知される。これら検知信号
はTMCU9に送られる。
【0019】この自動変速機ではマニュアルモードが設
定され、ドライバのシフトチェンジ操作に基づくマニュ
アル変速が可能である。この場合、図1に示すように、
クラッチ2の断接制御及び変速機3の変速制御は運転席
に設けられたシフトレバー装置29からの変速指示信号
を合図に行われる。即ち、ドライバが、シフトレバー装
置29のシフトレバー29aをシフト操作すると、シフ
トレバー装置29に内蔵されたシフトスイッチが作動
(ON)し、変速指示信号がTMCU9に送られ、これを
基にTMCU9はクラッチブースタ10、スプリッタア
クチュエータ20、メインアクチュエータ21及びレン
ジアクチュエータ22を適宜作動させ、一連の変速操作
(クラッチ断→ギヤ抜き→ギヤ入れ→クラッチ接)を実
行する。そしてTMCU9は現在のシフト段をモニター
31に表示する。
【0020】図示するシフトレバー装置29において、
Rはリバース、Nはニュートラル、Dはドライブ、UP
はシフトアップ、DOWNはシフトダウンをそれぞれ意
味する。シフトスイッチはこれら各ポジションに応じた
信号を出力する。また運転席に、変速モードを自動とマ
ニュアルに切り換えるモードスイッチ24と、変速を1
段ずつ行うか段飛ばしで行うかを切り換えるスキップス
イッチ25とが設けられる。
【0021】自動変速モードのとき、シフトレバー29
aをDレンジに入れておけば車速に応じて自動的に変速
が行われる。またこの自動変速モードでも、ドライバが
シフトレバー29aをUP又はDOWNに操作すれば、
マニュアルでのシフトアップ又はシフトダウンが可能で
ある。この自動変速モードにおいて、スキップスイッチ
25がOFF (通常モード)なら、シフトレバー29aの
1回のUP又はDOWNの操作により、変速は1段ずつ
行われる。これはトレーラ牽引時等、積載荷重が比較的
大きいときに有効である。またスキップスイッチ25が
ON(スキップモード)なら変速は1段飛ばしで行われ
る。これはトレーラを牽引してないときや荷が軽いとき
などに有効である。
【0022】一方、マニュアル変速モードのときは、変
速は完全にドライバの意思に従う。シフトレバー29a
がDレンジのときは変速は行われず、現在ギヤが保持さ
れ、ドライバの積極的な意思でシフトレバー29aをU
P又はDOWNに操作したときのみ、シフトアップ又は
シフトダウンが可能である。このときも前記同様、スキ
ップスイッチ25がOFF なら1回の操作につき変速は1
段ずつ行われ、スキップスイッチ25がONなら変速は1
段飛ばしで行われる。このモードではDレンジは現ギヤ
段を保持するH(ホールド)レンジとなる。
【0023】なお、運転席に非常用変速スイッチ27が
設けられ、GSUの電磁弁等が故障したときはスイッチ
27の手動切換により変速できるようになっている。
【0024】また、運転席にブレーキペダル52が設け
られ、ドライバによるブレーキペダル52の踏込み・解
放に応じてマスタシリンダ53から油圧が給排され、車
両のブレーキが作動・非作動となる。このブレーキの作
動・非作動状態を検知するため二つのブレーキスイッチ
53a,53bが設けられる。これらブレーキスイッチ
はマスタシリンダ53の液圧に応じてON/OFFが切り替わ
る。一方のブレーキスイッチ53aは低圧用で、比較的
小さいペダル踏力でONとなる。ブレーキの初期の作動を
検知するためである。他方のブレーキスイッチ53bは
高圧用で、比較的大きいペダル踏力でONとなる。ブレー
キの後期の作動を検知するためである。
【0025】図2に示すように、変速機3にあっては、
インプットシャフト15、メインシャフト33及びアウ
トプットシャフト4が同軸上に配置され、カウンタシャ
フト32がそれらの下方に平行配置される。インプット
シャフト15がクラッチ2のドリブンプレート2aに接
続され、インプットシャフト15とメインシャフト33
とが相対回転可能に支持される。
【0026】まずスプリッタ17とメインギヤ18の構
成を説明する。インプットシャフト15にインプットギ
ヤSHが回転可能に取り付けられる。またメインシャフ
ト33にも前方から順にギヤM4,M3,M2,M1,
MRが回転可能に取り付けられる。MRを除くギヤS
H,M4,M3,M2,M1は、それぞれカウンタシャ
フト32に固設されたカウンタギヤCH,C4,C3,
C2,C1に常時噛合される。ギヤMRはアイドルリバ
ースギヤIRに常時噛合され、アイドルリバースギヤI
Rはカウンタシャフト32に固設されたカウンタギヤC
Rに常時噛合される。
【0027】インプットシャフト15及びメインシャフ
ト33に取り付けられた各ギヤSH,M4…に、当該ギ
ヤを選択し得るようドグギヤ36が一体的に設けられ、
これらドグギヤ36に隣接してインプットシャフト15
及びメインシャフト33に第1〜第4ハブ37〜40が
固設される。第1〜第4ハブ37〜40には第1〜第4
スリーブ42〜45が嵌合される。ドグギヤ36及び第
1〜第4ハブ37〜40の外周部と、第1〜第4スリー
ブ42〜45の内周部とにスプラインが形成されてお
り、第1〜第4スリーブ42〜45は第1〜第4ハブ3
7〜40に常時係合してインプットシャフト15又はメ
インシャフト33と同時回転すると共に、前後にスライ
ド移動してドグギヤ36に対し選択的に係合・離脱す
る。この係合・離脱によりギヤイン・ギヤ抜きが行われ
る。第1スリーブ42の移動をスプリッタアクチュエー
タ20で行い、第2〜第4スリーブ43〜45の移動を
メインアクチュエータ21で行う。
【0028】このように、スプリッタ17とメインギヤ
18とは各アクチュエータ20,21によって自動変速
され得る常時噛み合い式の構成とされる。特に、スプリ
ッタ17のスプライン部には通常の機械的なシンクロ機
構が存在するものの、メインギヤ18の各スプライン部
にはシンクロ機構が存在しない。このため、後述のシン
クロ制御なるものを行ってドグギヤ回転とスリーブ回転
とを同期させ、シンクロ機構なしで変速できるようにし
ている。ここではメインギヤ18以外にスプリッタ17
にもニュートラルポジションが設けられ、所謂ガラ音対
策がなされている(特願平11-319915 号参照)。
【0029】次にレンジギヤ19の構成を説明する。レ
ンジギヤ19は遊星歯車機構34を採用しており、ハイ
・ローいずれかのポジションに切り替えることができ
る。遊星歯車機構34は、メインシャフト33の最後端
に固設されたサンギヤ65と、その外周に噛合される複
数のプラネタリギヤ66と、プラネタリギヤ66の外周
に噛合される内歯を有したリングギヤ67とからなる。
各プラネタリギヤ66は共通のキャリア68に回転可能
に支持され、キャリア68はアウトプットシャフト4に
連結される。リングギヤ67は管部69を一体的に有
し、管部69はアウトプットシャフト4の外周に相対回
転可能に嵌め込まれてアウトプットシャフト4とともに
二重軸を構成する。
【0030】第5ハブ41が管部69に一体的に設けら
れる。また第5ハブ41の後方に隣接して、アウトプッ
トシャフト4にアウトプットシャフトドグギヤ70が一
体的に設けられる。第5ハブ41の前方に隣接して、ミ
ッションケース側に固定ドグギヤ71が設けられる。第
5ハブ41の外周に第5スリーブ46が嵌合される。こ
れら第5ハブ41、アウトプットシャフトドグギヤ7
0、固定ドグギヤ71及び第5スリーブ46にも前記同
様にスプラインが形成され、第5スリーブ46が第5ハ
ブ41に常時係合すると共に、前後にスライド移動して
アウトプットシャフトドグギヤ70又は固定ドグギヤ7
1に対し選択的に係合・離脱する。第5スリーブ46の
移動がレンジアクチュエータ22で行われる。レンジギ
ヤ19のスプライン部には機械的なシンクロ機構が存在
する。
【0031】第5スリーブ46が前方に移動するとこれ
が固定ドグギヤ71に係合し、第5ハブ41と固定ドグ
ギヤ71とが連結される。これによりリングギヤ67が
ミッションケース側に固定され、アウトプットシャフト
4が1より大きい比較的大きな減速比(ここでは4.5 )
で回転駆動されるようになる。これがローのポジション
である。
【0032】一方、第5スリーブ46が後方に移動する
とこれがアウトプットシャフトドグギヤ70に係合し、
第5ハブ41とアウトプットシャフトドグギヤ70とが
連結される。これによりリングギヤ67とキャリア68
とが互いに固定され、アウトプットシャフト4が1の減
速比で直結駆動されるようになる。これがハイのポジシ
ョンである。このようにかかるレンジギヤ19ではハイ
・ロー間の減速比が比較的大きく異なる。
【0033】結局、この変速機3では、前進側におい
て、スプリッタ17でハイ・ローの2段、メインギヤ1
8で4段、レンジギヤ19でハイ・ローの2段に変速可
能であり、計2×4×2=16段に変速することができ
る。また後進側では、スプリッタ17のみでハイ・ロー
を切り替えて2段に変速することができる。
【0034】次に、各アクチュエータ20,21,22
について説明する。これらアクチュエータはエアタンク
5の空圧で作動する空圧シリンダと、空圧シリンダへの
空圧の給排を切り替える電磁弁とで構成される。そして
これら電磁弁がTMCU9で選択的に切り替えられ、空
圧シリンダを選択的に作動させるようになっている。
【0035】スプリッタアクチュエータ20は、ダブル
ピストンを有した空圧シリンダ47と三つの電磁弁MV
H,MVF,MVGとで構成される。スプリッタ17を
ニュートラルにするときはMVH/ON,MVF/OF
F,MVG/ONとされる。スプリッタ17をハイにす
るときはMVH/OFF,MVF/OFF,MVG/O
Nとされる。スプリッタ17をローにするときはMVH
/OFF,MVF/ON,MVG/OFFとされる。
【0036】メインアクチュエータ21は、ダブルピス
トンを有しセレクト側の動作を担当する空圧シリンダ4
8と、シングルピストンを有しシフト側の動作を担当す
る空圧シリンダ49とを備える。各空圧シリンダ48及
び49に対し複数ずつ電磁弁MVC,MVD,MVE及
びMVB,MVAが設けられる。
【0037】セレクト側空圧シリンダ48は、MVC/
OFF,MVD/ON,MVE/OFFのとき図の下方
に移動し、メインギヤの3rd、4th又はN3を選択
可能とし、MVC/ON,MVD/OFF,MVE/O
Nのとき中立となり、メインギヤの1st、2nd又は
N2を選択可能とし、MVC/ON,MVD/OFF,
MVE/OFFのとき図の上方に移動し、メインギヤの
Rev又はN1を選択可能とする。
【0038】シフト側空圧シリンダ49は、MVA/O
N,MVB/ONのとき中立となり、メインギヤのN
1、N2又はN3を選択可能とし、MVA/ON,MV
B/OFFのとき図の左側に移動し、メインギヤの2n
d,4th又はRevを選択可能とし、MVA/OF
F,MVB/ONのとき図の右側に移動し、メインギヤ
の1st又は3rdを選択可能とする。
【0039】レンジアクチュエータ22は、シングルピ
ストンを有した空圧シリンダ50と二つの電磁弁MV
I,MVJとで構成される。空圧シリンダ50は、MV
I/ON,MVJ/OFFのとき図の右側に移動し、レ
ンジギヤをハイとし、MVI/OFF,MVJ/ONの
とき図の左側に移動し、レンジギヤをローとする。
【0040】ところで、後述するシンクロ制御に際して
カウンタシャフト32を制動するため、カウンタシャフ
ト32にはカウンタシャフトブレーキ27が設けられ
る。カウンタシャフトブレーキ27は湿式多板ブレーキ
であって、エアタンク5の空圧で作動する。この空圧の
給排を切り替えるため電磁弁MV BRKが設けられ
る。電磁弁MV BRKがONのときカウンタシャフト
ブレーキ27に空圧が供給され、カウンタシャフトブレ
ーキ27が作動状態となる。電磁弁MV BRKがOF
Fのときにはカウンタシャフトブレーキ27から空圧が
排出され、カウンタシャフトブレーキ27が非作動とな
る。
【0041】次に、自動変速制御の内容を説明する。T
MCU9には図4に示すシフトアップマップと図5に示
すシフトダウンマップとがメモリされており、TMCU
9は、自動変速モードのとき、これらマップに従って自
動変速を実行する。例えば図4のシフトアップマップに
おいて、ギヤ段n(nは1から15までの整数)からn
+1へのシフトアップ線図がアクセル開度(%)とアウ
トプットシャフト回転(rpm )との関数で決められてい
る。そしてマップ上では現在のアクセル開度(%)とア
ウトプットシャフト回転(rpm )とからただ1点が定ま
る。車両加速中は、車輪に連結されたアウトプットシャ
フト4の回転が次第に増加していく。そこで通常の自動
変速モードでは、現在の1点が各線図を越える度に1段
ずつシフトアップを行うこととなる。このときスキップ
モードであれば線図を交互に1本ずつ飛ばして2段ずつ
シフトアップを行う。
【0042】図5のシフトダウンマップにおいても同様
に、ギヤ段n+1(nは1から15までの整数)からn
へのシフトダウン線図がアクセル開度(%)とアウトプ
ットシャフト回転(rpm )との関数で決められている。
そしてマップ上では現在のアクセル開度(%)とアウト
プットシャフト回転(rpm )とからただ1点が定まる。
車両減速中はアウトプットシャフト4の回転が次第に減
少していくので、通常の自動変速モードでは、現在の1
点が各線図を越える度に1段ずつシフトダウンを行う。
スキップモードであれば線図を交互に1本ずつ飛ばして
2段ずつシフトダウンする。
【0043】一方、マニュアルモードのときは、これら
マップと無関係にドライバが自由にシフトアップ・ダウ
ンを行える。通常モードなら1回のシフトチェンジ操作
で1段変速でき、スキップモードなら1回のシフトチェ
ンジ操作で2段変速できる。
【0044】なおTMCU9は、アウトプットシャフト
回転センサ28により検知される現在のアウトプットシ
ャフト回転の値から現在の車速を換算し、これをスピー
ドメータに表示する。つまり車速がアウトプットシャフ
ト回転から間接的に検知され、アウトプットシャフト回
転と車速とは比例関係にある。
【0045】次に、シンクロ制御の内容を説明する。
【0046】図6、図7に示すように、TMCU9に
は、スプリッタ17及びメインギヤ18における各ギヤ
の歯数ZSH,Z1 〜Z4 ,ZR ,ZCH,ZC1〜ZC4,Z
CRと、レンジギヤ19におけるハイ・ローの減速比とが
予め記憶されている。そこでTMCU9は、メインギヤ
18のギヤ歯数と、カウンタシャフト回転センサ26に
よって検知されるカウンタシャフト回転(rpm) とに基づ
き、次回変速先となるメインギヤ18のギヤ段(目標メ
インギヤ段)におけるドグギヤ回転(rpm) を算出する。
またTMCU9は、次回変速先となるレンジギヤ19の
ギヤ段(目標レンジギヤ段)の減速比と、アウトプット
シャフト回転センサ28によって検知されるアウトプッ
トシャフト回転(rpm) とに基づき、メインギヤ18にお
けるスリーブ回転(rpm) を算出する。
【0047】図7の表の左欄において、左端に記載され
た「1st」、「2nd」…「Rev」の語は目標メイ
ンギヤ段を示している。また括弧内の「1st」、「2
nd」…の語は各目標メインギヤ段が担当する変速機全
体としての目標ギヤ段を示している。例えば、メインギ
ヤ18の「1st」(ギヤM1)が担当する変速機全体
のギヤ段は「1st」、「2nd」、「9th」、「1
0th」である。括弧内の語は最初の二つと後の二つと
がレンジギヤ19のロー・ハイで切り分けられる。例え
ばメインギヤ「1st」だと「1st」、「2nd」が
レンジギヤロー、「9th」、「10th」がレンジギ
ヤハイである。そして最初の二つ又は後の二つの中にお
いて、先と後とがスプリッタ17のロー・ハイで切り分
けられる。例えばメインギヤ「1st」でレンジギヤロ
ーだと、スプリッタローで変速機は「1st」、スプリ
ッタハイで変速機は「2nd」となる。またメインギヤ
「1st」でレンジギヤハイだと、スプリッタローで変
速機は「9th」、スプリッタハイで変速機は「10t
h」となる。目標メインギヤ段の「2nd」、「3r
d」、「4th」についても同様である。
【0048】目標メインギヤ段「Rev」ではレンジギ
ヤ19による切り分けは行われず、スプリッタ17のみ
で切り分けがなされる。スプリッタハイでリバース「h
igh」、スプリッタローでリバース「low」とな
る。
【0049】図7の表の右欄はドグギヤ回転(rpm) の算
出式を示している。例えば目標メインギヤ段「1st」
だと、カウンタシャフト回転センサ26による検出値
(カウンタシャフト回転(rpm) )に、ギヤ比ZC1/Z1
を乗じた値が、ギヤM1に固設されたドグギヤ36の回
転即ちドグギヤ回転(rpm) となる。目標メインギヤ段
「Rev」では、カウンタシャフト回転(rpm) にギヤ比
Rev (ここでは0.45)を乗じた値がドグギヤ回転(rp
m) となる。
【0050】一方、図7の下段は、メインギヤ18のス
リーブ43、44、45の回転即ちスリーブ回転(rpm)
の算出式を示している。次回変速先の目標レンジギヤ段
がHighのときは、減速比が1なので、アウトプットシャ
フト回転センサ28の検出値(アウトプットシャフト回
転(rpm) )がそのままスリーブ回転(rpm) となる。また
目標レンジギヤ段がLow のときは、減速比がCRG=4.5
なので、アウトプットシャフト回転(rpm) に減速比CRG
を乗じた値がスリーブ回転(rpm) となる。
【0051】シンクロ制御では、これらドグギヤ回転と
スリーブ回転とをギヤイン可能な範囲内に近付ける制御
を行う。具体的には回転差ΔN=(ドグギヤ回転−スリ
ーブ回転)を計算し、この値をギヤイン可能な範囲に入
れる制御を行う。シフトアップでは、通常ギヤイン直前
でドグギヤ回転>スリーブ回転となっているので、カウ
ンタシャフトブレーキ(以下CSBという)制御を行
い、ドグギヤ回転を下げる。逆に、シフトダウンでは、
通常ギヤイン直前でドグギヤ回転<スリーブ回転となっ
ているので、ダブルクラッチ制御を行い、ドグギヤ回転
を上げる。
【0052】ダブルクラッチ制御は以下の如きである。
図8に示すように、時刻t1 で変速指示信号があった場
合、まずクラッチ断し、ギヤ抜きを行う。ギヤ抜きは、
クラッチが切れ始めた直後の位置、言い換えれば半クラ
ッチ領域に入った直後の位置p1 で開始する。エンジン
制御は、クラッチ位置がp1 となった時点から、実アク
セル開度から離れた疑似アクセル開度に基づく制御に移
行する。このときエンジン回転は、カウンタシャフトを
加速させるのに十分で、且つ目標メインギヤ段において
ドグギヤ回転をスリーブ回転に略一致させることができ
るような回転(目標エンジン回転)まで上昇され、この
回転に達すると回転が一定に保持される。
【0053】ギヤ抜き後、クラッチが一瞬接続され、こ
れによりドグギヤ回転がギヤイン可能な回転まで上昇す
る。この直後クラッチが再び断され、ギヤインが実行さ
れる。ギヤインは、クラッチ切り終わり直前となる位
置、言い換えれば半クラッチ領域から抜け出る直前の位
置p2 から開始される。ギヤイン終了後、直ちにクラッ
チが再接続され、クラッチが完接されるとダブルクラッ
チ制御が終了し、エンジン及びカウンタシャフト回転が
実アクセル開度に従った回転に移行する。
【0054】ところで、変速機全体のシフトダウンのと
き、レンジギヤのシフトダウンとダブルクラッチ制御と
を両方実行するときがある。図7の表でいえば9th→
7th、9th→8th、10th→8thの場合であ
る。このときこれらの順番を適当に定めないと全体の変
速時間を徒に長くしてしまう。
【0055】即ち、レンジギヤはハイ・ロー間の減速比
が比較的大きく異なるので、機械的シンクロ機構を有し
ていてもシフトダウンに時間がかかる。またダブルクラ
ッチ制御も、ギヤ抜き・ギヤイン間で一回クラッチをつ
なぎ、回転合わせするので、比較的時間がかかる。よっ
てこれらを順番に行っていたのでは全体の変速時間が長
くなる。
【0056】そこで、本装置では、レンジギヤのシフト
ダウンを伴う変速機全体のシフトダウンのとき、レンジ
ギヤのシフトダウンとダブルクラッチ制御とを同時に行
い、全体の変速時間を短縮するようにしている。以下こ
れについて説明する。
【0057】本装置では、レンジギヤのシフトダウンを
伴う変速機全体のシフトダウンのときと、そうでないと
きとで変速パターンを分けている。図9はこの変速パタ
ーン判別のためのプログラムを示す。変速指示があると
TMCU9はまずステップ101でレンジギヤの変速の
有無を判断する。レンジギヤ変速無のときはステップ1
04に進んで変速Aパターンを選択する。変速Aパター
ンとは図10のチャートに従って変速するパターンのこ
とで、通常の変速パターンである。レンジギヤ変速有の
ときはステップ102に進んでその変速がシフトダウン
(H→L)か否かを判断する。シフトアップならステッ
プ104に進んで変速Aパターンを選択し、シフトダウ
ンならステップ103に進んで変速Bパターンを選択す
る。変速Bパターンとは図11のチャートに従って変速
するパターンのことで、比較的特殊なケースにおいて行
われる変速パターンである。
【0058】図10、図11においては、図の上方から
下方に向かう時間軸があり、横並びに示されている項目
は同時ないし同時期に行うことを示している。例えば図
10でステップ201とステップ202とは同時に行
う。
【0059】レンジギヤのシフトダウンを伴わない変速
Aパターンについて。図10に示すように、まず、メイ
ンギヤ変速有のときはステップ201に進んでメインギ
ヤ抜きを行う。このときスプリッタの変速も有るとき
は、ステップ202に進んでスプリッタのギヤ抜き(シ
フト抜き)を行う。このときの条件はクラッチ位置がp
1 より断側にあることである。なおこれを「クラッチ位
置>p1 」と表示する。勿論、メインギヤ又はスプリッ
タの一方しか変速しない場合は両ステップのうち一方が
省略される。なおレンジギヤのみの変速の場合は無い。
図7の表に示すように、一気に7段飛ばし(ex.2nd→10
th)になってしまうからである。
【0060】次に、ステップ203、204、205を
同時に行う。ステップ203では次にギヤインするギヤ
M1,M2…に合わせてメインギヤのセレクトを行う。
条件はメインギヤがニュートラルにあることである。ス
テップ204では、レンジギヤの変速があるときは、そ
のギヤ抜きとギヤインとを同時に行う。これは図2に示
したようにレンジアクチュエータ22の構造上、抜きと
インとが同時に行われてしまうからである。このときの
条件はクラッチ位置がp2 より断側にあるか(「クラッ
チ位置>p2 」と表示する)、又はメインギヤがニュー
トラルであることである。ステップ205ではスプリッ
タのギヤイン(シフトイン)を行う。条件はステップ2
04と同様クラッチ位置>p2 又はメインギヤ=Nであ
る。これによりエンジン動力がカウンタシャフト32ま
で伝達可能となり、ダブルクラッチ制御可能となる。な
お、スプリッタのみの変速の場合はここで変速完了とな
る。
【0061】ステップ206ではシンクロ制御を実行す
る。ここでの条件はメインギヤがNで、且つスプリッタ
とレンジギヤとがシフト完了していることである。ドグ
ギヤ回転−スリーブ回転>M1 (設定値)のとき、即ち
シフトアップのときは、カウンタシャフトブレーキ制御
を行い、ドグギヤ回転をスリーブ回転付近まで下げる。
一方、ドグギヤ回転−スリーブ回転<M2 (設定値)の
ときは、ダブルクラッチ制御を行い、ドグギヤ回転をス
リーブ回転付近まで上げる。
【0062】こうしてメインギヤの同期を終えたらステ
ップ207に進んでメインギヤをギヤインする。ここで
の条件は、メインギヤがセレクト完了しており(ステッ
プ203)、目標カウンタシャフト回転と現カウンタシ
ャフト回転との差の絶対値がギヤイン可能な値α以下で
あり、且つクラッチ位置>p2 となっていることであ
る。以上により変速Aパターンを終了する。
【0063】次に、レンジギヤのシフトダウンを伴う変
速Bパターンについて。図11に示すように、ここでは
メインギヤの変速は必須なので(図7参照)、ステップ
302に進んでメインギヤ抜きを行う。条件はステップ
201同様クラッチ位置>p1 である。このときスプリ
ッタの変速も有るときは、ステップ302に先立ってス
テップ301でスプリッタをギヤ抜きし、ステップ30
2と同時にステップ303でスプリッタをギヤインす
る。ステップ301、303の実行条件はステップ20
2、205と同じである。
【0064】次に、ステップ304、305及び306
を同時に行う。ステップ304ではステップ203同様
メインギヤをセレクトする。ステップ305ではステッ
プ204同様、レンジギヤのギヤ抜き及びギヤイン即ち
シフトダウンを行う。ステップ306ではステップ20
6同様シンクロ制御を行う。
【0065】こうしてこれらステップを終えたら、ステ
ップ307でステップ207同様メインギヤをギヤイン
し、変速Bパターンを終了する。
【0066】このように、ここでは比較的長時間を要す
るレンジギヤのシフトダウンとダブルクラッチ制御とを
同時に行ってしまうので、全体の変速時間を短縮するこ
とができる。
【0067】ところで、かかる自動変速装置では変速機
のカウンタシャフト回転とアウトプットシャフト回転と
から目標メインギヤ段のドグギヤ回転とスリーブ回転と
を割り出し、シンクロ状態を判断するようになってい
る。しかし、車両走行中、ブレーキ作動状態からブレー
キ非作動状態に移ったとき、車速の変化率が比較的急激
に変化するので、これに伴ってアウトプットシャフト回
転も変曲点をもつようになる。
【0068】図12はかかるブレーキ終了時付近のアウ
トプットシャフト回転の変化の様子を示す。TMCU9
は所定の制御時間Δt(ex.32ms) 毎にアウトプットシャ
フト回転Nout (rpm) を計算し、前回値Nout n-1 と今
回値Nout n との平均値Nout m を今回のアウトプット
シャフト回転Nout の値として用いるようになってい
る。しかし、ブレーキが作動状態から非作動状態に移っ
たときは、車速ないしアウトプットシャフト回転の変化
率(=Nout n −Nout n-1 )が比較的急激に変化する
ので、アウトプットシャフト回転にも変曲点xが発生
し、アウトプットシャフト回転の値を正確に計算するこ
とができない。
【0069】こうなると、スリーブ回転を正確に計算す
ることができず、このような不正確な値に基づいてシン
クロ終了を判断し、ギヤインを許容すると、実際にはシ
ンクロ状態でないのに無理にギヤインする可能性があ
り、ギヤ鳴り等の不具合が懸念される。
【0070】そこで、本装置ではかかる不具合を防止す
べく、ブレーキが作動状態から非作動状態に切り換わっ
たときはシンクロ終了の是非に拘らず一定時間メインギ
ヤのギヤインを禁止している。以下この制御について説
明する。
【0071】図13はかかるギヤイン禁止制御の内容を
示すフローチャートである。このフローはTMCU9に
よって所定の制御時間Δt(ex.32ms) 毎に繰り返し実行
される。
【0072】TMCU9はまずステップ401でシンク
ロ制御中か否かを判断する。NOならステップ411に進
んでメインギヤのギヤインを許可する。つまり通常状態
の維持である。YES ならステップ402に進んでブレー
キスイッチがONか否かを判断する。ここでのブレーキス
イッチとは図1に示した低圧用ブレーキスイッチ53a
のことである。本ステップによりブレーキの作動・非作
動を判断している。
【0073】ブレーキスイッチON(ブレーキ作動)なら
ステップ403に進んでフラグをONし、ステップ404
でタイマをクリアし、ステップ405でギヤインを許可
する。ブレーキスイッチOFF (ブレーキ非作動)ならス
テップ406に進んでフラグがONか否かを判断する。フ
ラグONならステップ407でフラグをOFF し、ステップ
410でシンクロ終了の是非に拘らずメインギヤのギヤ
インを禁止する。フラグOFF ならステップ408でタイ
マをインクリメント(加算)し、ステップ409でタイ
マが設定時間t(ここでは5(s) )を越えたか否かを判
断する。越えてなければステップ410に進んでギヤイ
ン禁止、越えていればステップ411に進んでギヤイン
許可となる。
【0074】本フローを実際の車両運転状況に当てはめ
てみる。シンクロ制御中、ドライバによりブレーキペダ
ルが踏まれると、ブレーキスイッチONとなってステップ
402、403、404を辿り、フラグON、タイマクリ
アとされた後、ステップ405でギヤインが許可され
る。このようにブレーキング中はギヤインを許容してい
る。車速変化率(減速度)の変化がそれ程でもなく、シ
フトダウンの必要性もあるからである。
【0075】ブレーキング中はこれらステップを繰り返
すが、ブレーキペダルが解放されブレーキング終了とな
ると、ブレーキスイッチがOFF となる。こうなるとステ
ップ402からステップ406に移行する。最初はフラ
グONなのでステップ407に進み、ここでフラグがOFF
され、ステップ410でギヤインが禁止される。つまり
ブレーキ終了と同時に即ギヤイン禁止となるのである。
【0076】次回、フラグOFF なのでステップ406か
ら408に移行する。ここからタイマインクリメントが
開始される。最初はタイマ値<tなのでステップ409
でNOに進み、ステップ410のギヤイン禁止が維持され
る。このルートを繰り返すうちやがてタイマ値>tとな
る。するとステップ411に移行してギヤイン許可(禁
止解除)となる。こうして一定時間tが経過するまでメ
インギヤのギヤインは禁止される。
【0077】このように、ブレーキが作動状態から非作
動状態に切り換わったとき一定時間メインギヤのギヤイ
ンを強制的に禁止するので、たとえTMCU9側でシン
クロ終了という判断に至った場合でも、ギヤインは実行
されず、不正確な制御に基づくギヤイン及びこれに起因
するギヤ鳴り等の不具合を未然に防止できる。
【0078】以上、本発明の実施形態は上述のものに限
られない。例えば各値の変更は当然に可能である。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、ブレーキ作動状態から
非作動状態に切り換わったときにシンクロ制御によって
メインギヤをギヤインすることによる不具合を未然に防
止できるという優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る車両の自動変速装置を示す構成
図である。
【図2】自動変速機を示す構成図である。
【図3】自動クラッチ装置を示す構成図である。
【図4】シフトアップマップである。
【図5】シフトダウンマップである。
【図6】変速機内の各ギヤの歯数を示す。
【図7】ドグギヤ回転及びスリーブ回転の算出式を示
す。
【図8】ダブルクラッチ制御の内容を示すタイムチャー
トである。
【図9】変速パターン判別プログラムを示すフローチャ
ートである。
【図10】変速Aパターンの内容を示すフローチャート
である。
【図11】変速Bパターンの内容を示すフローチャート
である。
【図12】ブレーキ作動状態から非作動状態に切り換わ
ったときのアウトプットシャフト回転の変化の様子を示
す図である。
【図13】本発明に係るギヤイン禁止制御のフローチャ
ートである。
【符号の説明】
2 クラッチ 3 変速機 6 エンジンコントロールユニット 9 トランスミッションコントロールユニット 10 クラッチブースタ 17 スプリッタ 18 メインギヤ 19 レンジギヤ 20 スプリッタアクチュエータ 21 メインアクチュエータ 22 レンジアクチュエータ 26 カウンタシャフト回転センサ 27 カウンタシャフトブレーキ 28 アウトプットシャフト回転センサ 36 ドグギヤ 43,44,45 メインギヤのスリーブ 52 ブレーキペダル 53a,53b ブレーキスイッチ t 設定時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:70 F16H 59:70 Fターム(参考) 3J028 EA01 EA21 EB09 EB14 EB25 EB29 EB37 EB62 EB66 FA06 FB03 FC13 FC23 FC32 FC42 FC63 GA07 GA14 HB17 HC02 HC03 HC08 HC13 HC17 HC18 3J552 MA02 MA04 MA13 MA17 MA25 NA04 NA05 NB01 PA01 PA18 PA19 PA61 PA70 SA29 SB40 TB13 UA03 UA07 VA32Z VA37Z VA62Z VA74Z VB16W VC03Z VD11W

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械的なシンクロ機構を有しないメイン
    ギヤを含む変速機と、該変速機の変速を制御するコント
    ロールユニットと、該コントロールユニットの信号に基
    づき変速機の変速を実行するアクチュエータとを備え、
    上記メインギヤの変速の際に所定のシンクロ制御を実行
    するものにあって、ブレーキの作動状態を検出するため
    のブレーキ検出手段と、ブレーキが作動状態から非作動
    状態に切り換わったとき、一定時間メインギヤのギヤイ
    ンを禁止するギヤイン禁止手段とを備えたことを特徴と
    する車両の自動変速装置。
  2. 【請求項2】 上記ブレーキ検出手段が、ブレーキペダ
    ルの踏込み・解放に応じてON/OFFするブレーキスイッチ
    を含む請求項1記載の車両の自動変速装置。
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