JP2001280108A

JP2001280108A - 内燃機関の動弁装置

Info

Publication number: JP2001280108A
Application number: JP2000094293A
Authority: JP
Inventors: Haruki Kobayashi; 治樹小林; Sei Abe; 聖阿部; Takeshi Sasa; 猛志佐々
Original assignee: Fuji Oozx Inc; Fuji Valve Co Ltd
Current assignee: Fuji Oozx Inc
Priority date: 2000-03-30
Filing date: 2000-03-30
Publication date: 2001-10-10

Abstract

(57)【要約】【課題】スプリングリテーナの下端よりのコッタの押
し抜き荷重を増大させる。【解決手段】中心に逆テーパ状の嵌合孔１０を有する
軽合金製のスプリングリテーナ９と、外周面が嵌合孔１
０と同一傾斜の逆テーパ面をなす半割円筒形の１対の鉄
製のコッタ７と、スプリングリテーナ９とシリンダヘッ
ド間に縮設されたバルブスプリング５とを備え、１対の
コッタ７を嵌合孔１０に挿入するとともに、それらの内
周面のビード７ａをエンジンバルブ１の軸端部の環状溝
１ａに嵌合することにより、スプリングリテーナ９を、
バルブスプリング５を圧縮させた状態で、エンジンバル
ブ１の軸端部に止着してなる内燃機関の動弁装置におい
て、両コッタ７の外周面を粗面８とすることにより、両
コッタ７とスプリングリテーナ９の嵌合孔１０との接触
面の摩擦抵抗を大とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばアルミニウ
ム合金よりなる軽合金製のスプリングリテーナを、鉄製
のコッタを介してエンジンバルブに止着してなる内燃機
関の動弁装置に係り、特に、スプリングリテーナの下端
よりのコッタの押し抜き荷重を増大しうるようにした動
弁装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４は、内燃機関の動弁装置の一例を示
すもので、エンジンバルブ(１)の上端部には、中心に逆
テーパ状の嵌合孔(２)を有するとともに、上端にばね受
けフランジ(3a)を有するアルミニウム合金製のスプリン
グリテーナ(３)が、嵌合孔(２)に挿入した半割円筒形を
なす１対の鋼製のコッタ(４)を介して嵌合され、かつこ
のコッタ(４)の内周面に設けたビード(4a)を、エンジン
バルブ(１)の環状溝(1a)に嵌合することにより、スプリ
ングリテーナ(３)は、上方に抜け止めして止着されてい
る。

【０００３】上記ばね受けフランジ(3a)の下面とシリン
ダヘッド(図示略)との間には、バルブスプリング(５)が
縮設され、エンジンバルブ(１)は、スプリングリテーナ
(３)を介して常時上向きに付勢されている。(６)は、エ
ンジンバルブ(１)の上端に当接しているロッカアーム
で、これが回転カム(図示略)により上下に揺動させられ
ることにより、エンジンバルブ(１)は開閉される。

【０００４】このような動弁装置において、コッタ(２)
及びスプリングリテーナ(３)は、嵌合孔(２)とそれに嵌
合されたコッタ(４)とのくさび作用によりエンジンバル
ブ(１)に一体的に止着されている。

【０００５】この止着力を大きくするために、従来の動
弁装置においては、嵌合孔(２)のテーパ角を小さ目に設
定するとともに、嵌合孔(２)とコッタ(４)との接触面の
表面粗さを小さくして、摩擦抵抗を減らし、くさび効果
を高めるようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、機械的強度の
小さいアルミニウム合金製のスプリングリテーナ(３)を
備える動弁装置において、上述のようにしてくさび効果
を高くすると、図５に示すように、嵌合孔(２)が塑性変
形して拡径させられた際に、嵌合孔(２)とコッタ(４)と
の接触面の摩擦抵抗が小さいため、コッタ(４)は徐々に
沈み込むようになる。このようになると、スプリングリ
テーナ(３)が相対的に上方に変位するため、バルブスプ
リング(５)のセット荷重が小さくなり、そのサージング
限界回転数が低下してエンジン性能に悪影響を及ぼす。

【０００７】また、コッタ(４)の沈み込み量が大きくな
ると、最悪の場合、スプリングリテーナ(３)の下端部に
亀裂が発生したり、破損するなどして、コッタ(４)が抜
け出すこともある。

【０００８】このような問題に対処するためには、スプ
リングリテーナ(３)全体、特に、下端部の外径を大きく
して剛性を高め、コッタ(４)の押し抜き荷重を大きくす
る必要がある。

【０００９】しかし、このようにすると、スプリングリ
テーナ(３)が大型化するため、動弁系を軽量化するため
にアルミニウム合金製のリテーナとした効果が失なわれ
る。

【００１０】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、スプリングリテーナを大型化することなく、簡単
な手段でコッタの押し抜き荷重を増大させうるようにし
た内燃機関の動弁装置を提供することを目的としてい
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、次のようにして解決される。 (１) 中心に逆テーパ状の嵌合孔を有する軽合金製のス
プリングリテーナと、外周面が前記嵌合孔と同一傾斜の
逆テーパ面をなす半割円筒形の１対の鉄製のコッタと、
前記スプリングリテーナとシリンダヘッド間に縮設され
たバルブスプリングとを備え、前記１対のコッタを前記
嵌合孔に挿入するとともに、それらの内周面のビードを
エンジンバルブの軸端部の環状溝に嵌合することによ
り、前記スプリングリテーナを、バルブスプリングを圧
縮させた状態で、エンジンバルブの軸端部に止着してな
る内燃機関の動弁装置において、前記両コッタの外周面
を粗面とすることにより、両コッタと前記スプリングリ
テーナの嵌合孔との接触面の摩擦抵抗を大とする。

【００１２】(２) 前項において、粗面を、鋭利な多数
の突起を有する凹凸面とする。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、図
面に基づいて説明する。図１は、本発明の動弁装置に用
いられる半割円筒形をなす鋼製の１対のコッタ(７)(７)
を示すもので、それらの逆テーパ状をなす外周面は、ブ
ラスト処理により粗面(８)としてある。上記粗面(８)
は、ブラスト材に、尖鋭な角を有する鋳鋼等の硬質の破
砕グリットを用いることにより、鋭利な多数の突起を有
する凹凸面とするのが好ましい。

【００１４】図２は、上記コッタ(７)が組付けられた動
弁装置の半断面図を示すもので、コッタ(７)は、従来と
同様、アルミニウム合金よりなるスプリングリテーナ
(９)における逆テーパ状の嵌合孔(10)に嵌合され、かつ
そのビード(7a)は、エンジンバルブ(１)の環状溝(1a)に
嵌合されている。

【００１５】このようなコッタ(７)を備える動弁装置に
おいて、エンジン運転中のバルブスプリング(５)の荷重
が、スプリングリテーナ(９)のばね受けフランジ(9a)に
繰り返し上向きに作用し、コッタ(７)が嵌合孔(10)内を
相対的に下方に移動しようとすると、その粗面(８)とし
た外周面の鋭利な突起が、比較的軟質のスプリングリテ
ーナ(９)の嵌合孔(10)の内周面に食い込み、大きな摩擦
抵抗が生じる。

【００１６】従って、従来のように、コッタ(７)が徐々
に沈み込むのが防止され、バルブスプリング(５)のセッ
ト荷重が小さくなって、そのサージング限界回転数を低
下させることはなくなる。また、スプリングリテーナ
(９)の下端部に亀裂等を発生させて、コッタ(７)が抜け
出すという恐れもない。

【００１７】本願の発明者らは、図３に示すような円筒
形の治具(11)により、スプリングリテーナ(９)のばね受
けフランジ(9a)の下面を支持し、エンジンバルブ(１)の
上端を油圧シリンダ等のプレス機の押圧ロッド(12)によ
り押圧した際のコッタ(７)のスプリングリテーナ(９)よ
りの押し抜き荷重を調べた。

【００１８】その結果、外周面を平滑とした従来のコッ
タを備える動弁装置の押し抜き荷重が、約９ＫＮである
のに対し、本発明のそれは、約１５ＫＮまで高まり、鋼
製のスプリングリテーナに匹敵する押し抜き荷重を有す
ることが確認された。

【００１９】このように、コッタ(７)の押し抜き荷重が
増大すると、スプリングリテーナ(９)の下端部の外径を
大きくするなどして、その部分の剛性を高める必要がな
くなり、その分、スプリングリテーナ(９)の小型、軽量
化が図れる。

【００２０】また、粗面(８)が、嵌合孔(10)の内周面に
食い込むようにして、コッタ(７)が嵌合孔(10)に嵌合さ
れているため、エンジン運転中において潤滑油が嵌合孔
(10)内に流入しても、互いの接触面の摩擦力が低下する
ことはなく、従って、バルブスプリング(５)にサージン
グが発生した際に、コッタ(７)が嵌合孔(10)の上方より
脱落する問題も解消しうる。

【００２１】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、コッタの
沈み込み量が小さくなるので、バルブスプリングのセッ
ト荷重が小さくなって、そのサージング限界回転数を低
下させ、エンジン性能を悪化させる恐れはない。

【００２２】請求項２記載の発明によれば、コッタ外周
面の鋭利な突起が、スプリングリテーナの嵌合孔の内周
面に食い込み、大きな摩擦抵抗が得られるので、コッタ
の沈み込みが防止されるか、極めて小さくなる。その結
果、スプリングリテーナの下端よりのコッタの押し抜き
荷重が増大するため、スプリングリテーナの下端部の外
径を大として、その部分の剛性を高める必要はなく、ス
プリングリテーナの小型、軽量化が図れる。また、バル
ブスプリングにサージングが発生するなどしても、コッ
タがスプリングリテーナの嵌合孔の上方より脱落するこ
とはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に用いられるコッタの斜視図である。

【図２】本発明の半断面図である。

【図３】同じく、押し抜き荷重の試験要領を示す中央縦
断正面図である。

【図４】従来の動弁装置の一例を示す中央縦断正面図で
ある。

【図５】同じく、コッタが沈み込んだ状態の中央縦断正
面図である。

【符号の説明】

(１)エンジンバルブ (1a)環状溝 (５)バルブスプリング (７)コッタ (7a)ビード (８)粗面 (９)スプリングリテーナ (9a)ばね受けフランジ (10)嵌合孔 (11)治具 (12)押圧ロッド

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】中心に逆テーパ状の嵌合孔を有する軽合
金製のスプリングリテーナと、外周面が前記嵌合孔と同
一傾斜の逆テーパ面をなす半割円筒形の１対の鉄製のコ
ッタと、前記スプリングリテーナとシリンダヘッド間に
縮設されたバルブスプリングとを備え、前記１対のコッ
タを前記嵌合孔に挿入するとともに、それらの内周面の
ビードをエンジンバルブの軸端部の環状溝に嵌合するこ
とにより、前記スプリングリテーナを、バルブスプリン
グを圧縮させた状態で、エンジンバルブの軸端部に止着
してなる内燃機関の動弁装置において、前記両コッタの外周面を粗面とすることにより、両コッ
タと前記スプリングリテーナの嵌合孔との接触面の摩擦
抵抗を大としたことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
【請求項２】粗面を、鋭利な多数の突起を有する凹凸
面とした請求項１記載の内燃機関の動弁装置。