JP2007040470A - ピストンリング及びピストン装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れたガスシール特性及びオイルコントロール機能を維持しつつ、ピストンリングの剛性を向上させることにある。
【解決手段】 上側脚部と下側脚部とが基部を介して連結した断面U字状ピストンリングにおいて、上側脚部の下面と基部の内周面との連結部、又は下側脚部の上面と基部の内周面との連結部の少なくとも一方が曲面で形成されている(断面曲線となる)ことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関に適用されるピストンリング及びそれを取り付けるピストン装置に関するものである。
ピストンリングとシリンダ内壁のシール機能の向上及び燃焼室外に排出される未燃混合気量を減少させる目的で、ピストンのトップランド部に断面コ字状ピストンリングを取り付ける構成が報告されている。例えば、実開平5−47615号公報(特許文献1)では、断面コ字状ピストンリングをピストンのトップランド部に嵌合させる構成において、トップランド部の上面にピストンリングの上側脚部の下面を当接させると共に、外周側に突出した大径部をシリンダ壁に摺接させてガスシールを行うことが開示されている。
しかし、このような断面コ字状ピストンリングでは使用時に、燃焼室側からの高い圧縮圧力(燃焼圧)を受け、曲げ応力によるピストンリングの破損が問題となる。
この問題を解決するためには、ピストンリングの脚幅およびリング幅を大きくして燃焼圧による応力に対する剛性を向上させる方法が考えられる。
実開平5−47615号公報
しかし、ピストンリングの脚幅及びリング幅を増加させると、シリンダへの追従性が悪くなり、オイル消費量やブローバイ量が増加する。また、ピストンリング重量の増加に伴い、往復運動時にピストンリング自身に作用する慣性力が大きくなり、ピストンリング内周面及びピストンのトップランド部やリング溝の摩耗が懸念される。
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、優れたガスシール特性及びオイルコントロール機能を維持しつつ、ピストンリングの剛性を向上させることにある。
上記課題に鑑み、鋭意研究の結果、本発明者らは、上側脚部と下側脚部とが基部を介して連結した断面U字状ピストンリングでは、エンジンの作動時に燃焼圧により、上側脚部の下面と基部の内周面との連結部(内周上側角部)付近、又は下側脚部の上面と基部の内周面との連結部(内周下側角部)付近で、最も大きな応力が発生し、ピストンリングの破損の原因となること、及び内周上側角部又は内周下側角部の少なくとも一方を曲面形状とすることにより、ピストンリングの剛性が著しく向上することを見い出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、上側脚部と下側脚部とが基部を介して連結した断面U字状ピストンリングにおいて、上側脚部の下面と基部の内周面との連結部、又は下側脚部の上面と基部の内周面との連結部の少なくとも一方が曲面で形成されている(断面曲線となる)ことを特徴とする。ここで、ピストンリングの内周角部が曲面で形成されるとは、断面平坦な基部と脚部との連結部を曲面形状とすることのみならず、基部内周面全体を曲面形状とすることも含む。
本発明のピストン装置は、外周にトップランド部を残してリング溝が形成されたピストン本体と、トップランド部に取り付けられ、上側脚部と下側脚部とが基部を介して連結した断面U字状ピストンリングとを有し、断面U字状ピストンリングの上側脚部の下面と基部の内周面との連結部、又は下側脚部の上面と基部の内周面との連結部の少なくとも一方が曲面で連結されており、且つピストン本体のトップランド部の上面と外周面との連結部(外周上側角部)、又は下面と外周面との連結部(外周下側角部)の少なくとも一方が曲面で形成されていることを特徴とする。ここで、トップランド部の外周角部を曲面で形成するとは、断面平坦な外周面と上下面との連結部を曲面形状とすることのみならず、トップランドの外周面全体をバレル形状等の曲面形状とすることも含む。ピストンリングのみならず、それが取り付けられるピストン本体のトップランド部の外周角部を曲面とすることにより、ピストンリングとピストン本体との摩擦による摩耗が減少し、長期間に亘って優れたシール機能を発揮できる。また、本発明によれば、ピストン本体上部の温度を効果的にシリンダ側へ逃がし、ピストン本体のリング溝の耐摩耗性を向上させることもできる。
さらに、本発明のピストン装置は、ピストン本体に形成されるピストンリングの上側脚部を装着する溝(切り欠き部)の底面とトップランド部の上面との接続部、又はピストン本体に形成されるピストンリングの下側脚部を装着する溝の底面とトップランド部の下面との接続部の少なくとも一方が曲面で形成されていることが好ましい。
本発明のピストンリングでは、ピストンリングの脚幅及びリング幅を従来と同等として、優れたガスシール特性及びオイルコントロール機能を維持しつつ、ピストンリングの破壊強度を著しく向上することができる。また、ピストンリングの剛性が向上することにより、曲げ等の変形が抑えられ、ピストンリング外周形状の傾きが防止され、安定した摺動機能を発揮できる。さらに、剛性の向上に伴い、ピストンリング脚幅及び/又はリング幅を減少させることも可能となり、ピストンリングのシリンダ壁への追従性が向上し、より優れたガスシール特性及びオイルコントロール機能が得られる。また、ピストンリングの脚幅及び/又はリング幅を減少させることにより、リングの重量が減少し、往復運動時にリングに作用する慣性力が低下し、ピストンリング、トップランド部及びリング溝の摩耗を軽減できる。
本発明のピストン装置では、トップランド部の曲げ応力に対する剛性が向上するため、ピストンリングのリング幅の低減に合わせて、トップランド部の軸方向幅を低減することが可能となる。そのため、ピストンリングのシリンダへの追従性が向上し、より優れたガスシール特性及びオイルコントロール機能を実現できる。また、ピストンリングとピストンとの摩擦による摩耗が減少し、長期間に亘って優れたシール機能を発揮できる。
また、同一ガスシール性を保持するばらば、リング張力を低減でき、フリクションが減少することになる。
以下、図面を参照して本発明の詳細を説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る断面U字状ピストンリング(以下、ピストンリングと称する)20及びピストン装置30を示す。本実施形態では、上側脚部22と下側脚部23が基部21を介して連結されたピストンリング20がピストン本体10のトップランド部12に取り付けられている。ここで、ピストンリング20の上側脚部22の下面22aと基部21の内周面21aとの連結部、即ち、ピストンリング20の内周上側角部C1、及びピストンリング20の下側脚部23の上面23aと基部21の内周面21aとの連結部、即ち、ピストンリング内周下側角部C2が曲面形状となっている。
後述するように、ピストンリング20においては、エンジン作動時、燃焼圧により、ピストンリング20の内周角部付近に最大応力が発生し、ピストンリング20の破損の原因となっている。これに対して、図1のようにピストンリング20の内周角部C1,C2を曲面形状とすることにより、ピストンリング20に発生する曲げ応力が減少し、破壊強度が向上する。本実施形態の効果は、少なくとも最大応力の発生する内周角部を曲面形状とすることにより得られるが、内周上下角部C1,C2とも曲面形状とすることにより、ピストンリング20の剛性がさらに向上する。また、上下対称の形状とすることにより、ピストンリング20の装着性も向上するので、内周上下角部C1,C2とも曲面形状とするのが好ましい。
本実施形態の構成により、ピストンリング20の剛性が向上するため、曲げ等の変形が抑えられ、ピストンリング20の外周形状の傾きが防止され、安定した摺動機能を発揮できる。また、剛性の向上により、ピストンリング20の脚幅及びリング幅を低減させても十分な破壊強度を得ることができる。リング幅を小さくすることにより、ピストンリング20のシリンダ壁31への追従性がさらに向上し、より優れたガスシール特性及びオイルコントロール機能を発揮できる。また、ピストンリング20の脚幅及び/又はリング幅を減少させることにより、リングの重量が減少し、往復運動時にリングに作用する慣性力が低下し、ピストンリング20、トップランド部12及びリング溝13の摩耗を軽減できる。
本実施形態に係るピストンリング20では、外周摺動面の形状は特に限定されない。図1の構成では、ピストンリング20の外周面は上下角部C3,C4にR面取が施された断面ストレート形状であるが、例えばバレル形状の当たり面としてもよい。ここで、外周面の下側角部C4は0.1以下のC面取とすることが好ましい。これにより、外周面の漏れ面積が小さくなり、プローバイ量がより低減できる。また、上側脚部22の内周側角部C5,C6及び下側脚部23の内周側角部C7,C8にもC面取又は、R面取を施すことが好ましい。角部の摩耗を低減するためにはR面取とするのがより好ましい。
図1では、本実施形態に係るピストンリング20が取り付けられるピストン本体10のトップランド部12の上面12aと外周面12cとの連結部T1、すなわち外周上側角部、及びトップランド部12の下面12bと外周面12cとの連結部T2、すなわち外周下側角部が曲面で形成されている。このように、ピストンリング20のみならず、それが取り付けられるピストン本体10のトップランド部12の外周角部を曲面とすることにより、ピストンリング20とピストン本体10との摩擦による摩耗が減少し、長期間に亘り優れたシール特性を得ることができる。
また、図1では、ピストン本体10のトップランド部12に形成されるピストンリング20の上側脚部22を装着する溝25の底面とトップランド12の上面12aとの接続部T3及びピストン本体10のトップランド部12に形成されるピストンリング20の下側脚部23を装着するリング溝13の底面とトップランド部12の下面12bの接続部T4が曲面で形成されている。
この構成により、トップランド部12の曲げ応力に対する剛性が向上するため、ピストンリング20のリング幅の低減に合わせて、トップランド部12の軸方向幅を低減することが可能となる。そのため、ピストンリング20のシリンダへの追従性が向上し、より優れたガスシール特性及びオイルコントロール機能を実現できる。また、ピストンリング20とピストン本体10との摩擦による摩耗が減少し、長期間に亘って優れたシール機能を発揮できる。ここで、少なくともピストン本体10のトップランド部12に形成されるピストンリング20の上側脚部22を装着する溝25の底面とトップランド部12の上面12aとの接続部T3、又はピストン本体10のトップランド部12に形成されるピストンリング20の下側脚部23を装着するリング溝13の底面とトップランド部12の下面12bとの接続部T4のいずれか一方が曲面で形成されていれば、本実施形態の効果は得られるが、トップランド部12の剛性をより向上させ、ピストンリング20及びピストン本体10の摩耗を減少させるためには、いずれの接続部も曲面形状とするのが好ましい。
また、図1の実施形態においては、ピストンリング20の基部21と上側脚部22の境界部Pから下側脚部23の下面23bまでの軸方向幅h2が、トップランド部12の上面12aから下側脚部23が装着されるリング溝13の下面13aまでの軸方向幅h5より大きく設計されている。すなわち、ピストンリング20の基部21の軸方向幅h3と下側脚部23の軸方向幅との総和が、ピストン本体10のトップランド部12の軸方向幅と下側脚部23が装着されるリング溝13の軸方向幅の総和より大きく設定されている。この構成では、圧縮圧が作用するとピストンリング20の下側脚部23の下面23bとリング溝13の下面13aとが密着し、ピストンリング20の全内周面にクリアランスが生じる。そして、このクリアランスに圧縮ガスが入り込むことにより、ピストンリング20が外周側に張り出し、シール特性がさらに向上する。
図1では、ピストン本体10の冠面11に溝(切り欠き部)25が形成され、ピストンリング20の上側脚部22が、この切り欠き部25に装着される構成が示されているが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、ピストン本体10に切り欠き部が形成されず、ピストンリング20の上側脚部22が、ピストン本体10の冠面11より上に突出して装着される構成にも本発明は適用される。この場合も、ピストンリング20の基部21と上側脚部22の境界部Pから下側脚部23の下面23bまでの軸方向幅を、トップランド部12の上面(ここでは冠面11)から下側脚部23が装着されるリング溝13の下面13aまでの軸方向幅より大きく設定することにより、同様の効果が得られる。
(第二実施形態)
図2は、本発明の第二実施形態に係るピストンリング20及びピストン装置40を示す。本実施形態では、ピストンリング22の基部21の内周面21a全体及びピストン本体10のトップランド部12の外周面12c全体が曲面形状であることが図1の形態と異なる。
本実施形態においても、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第三実施形態)
図3には、本発明の第三実施形態に係るピストンリング20及びピストン装置50を示す。本実施形態では、トップランド部12の上下面12a,12bをテーパ形状とし、且つピストンリング20の上側脚部22の下面22a及び下側脚部23の上面23aを外周側に向かって、脚部の軸方向幅が大きくなるようなテーパ形状とした点で、第一、第二実施形態とは異なる。本実施形態では、ピストンリング20とトップランド12との間に挟まれたカーボン等を排出しやすいという利点がある。
また、この場合には、ピストンリング20の基部21と上側脚部22の境界部Pから下側脚部23の下面23bまでの軸方向幅h2が、トップランド12の外周側上端部Aから下側脚部23が装着されるリング溝13の下面13aまでの軸方向幅h5より大きく設計されるのが好ましい。さらに、ピストンリング20の上側脚部22の内周側下端部Qから下側脚部23の下面23bまでの軸方向幅h6がトップランド部12の内周側上端部Bから下側脚部23が装着されるリング溝13の下面13aまでの軸方向幅h7より大きく設計されるのが好ましい。この構成では、ピストン本体10に圧縮圧が作用すると、下側脚部23の下面23bがリング溝13の下面13aに沿って外周側に張り出し、シール性が向上する。さらに、ピストンリング20の全内周面とトップランド12の外周面との間に形成される隙間がラビリンス効果を持つため、セカンドランドからピストンリング20の下側面を通り背面に移動するオイルが燃焼室に到達しづらくなり、より優れたオイル消費低減効果が得られる。
(第四実施形態)
図4には、本発明の第四実施形態に係るピストンリング20及びピストン装置60を示す。本実施形態に係るピストン装置60は、トップランド部12の上下面12a,12b及びピストンリング溝13の下面13aを予めθだけ傾けている。この角度θはピストン本体10にかかる荷重と熱膨張による傾きを考慮したものであり、通常は5〜30分くらいが良い。
運転中に冠面11にかかる荷重と熱膨張によりトップランド部12及びピストンリング溝13は、10〜20分下側に傾く。このため、トップランド部12及びリング溝13に上述のように予め角度を持たせ、運転時に水平になるようにする。これにより、ピストンリング20の外周接触位置はほぼ中央となり外周面でのオイル掻き上げを防止できる。
また、荷重と熱膨張による傾きを考慮しピストンリング20の外周面を偏心バレル形状としてもよい。
(実施形態の補足説明)
本発明に係るピストン装置では、ピストン本体10のトップランド12のスラスト側に溝を設けてもよい。この溝は、例えば、ピストン本体10の冠面11からトップランド12の上側に沿ってトップランド12の外周面に至るように形成することができる。また、溝が形成される位置はスラスト側であれば、特に限定されないが、フロント側を0°、リア側を180°とした場合、45〜135°の範囲に形成されるのが好ましい。溝のサイズおよび個数は必要に応じて適宜設計できる。この構成では、エンジン実働中の油膜厚さが厚いスラスト側の膨張行程で燃焼圧の上昇に伴い、スラスト側に設けた溝を介してスラスト側のピストンリング20の背圧が増加する。このため、より効果的に油膜を薄くすることができ、より優れたオイルコントロール機能を発揮することができる。
また、本発明に係るピストン装置では、ピストン本体10のセカンドランド部に断面V字の環状溝を形成してもよい。環状溝によりセカンドランド部のオイル圧力の上昇が緩和されるため、オイルがトップランド12を経由して燃焼室に漏れ、オイル消費が増大する現象を防止することができる。ここで、断面V字形状とは、上面側が水平、若しくは内周側が上方に傾き、下面側は下方にいくに従って、径方向幅が小さくなる傾きを有する形状である。下面の傾きはピストン軸に対して15〜45°であるのが好ましい。環状溝形状として、断面V字形状を採用することにより、断面U字形状又は逆V形状等に比べ、オイル溜め効果に優れ、より優れたオイル消費低減効果が得られる。
以下、スチール製断面U字状ピストンリングを用いて本発明のピストンリングの効果を確認した結果を示す。
図5には比較例として、内周角部がほぼ直角の断面U字状ピストンリングの下側脚部下面を拘束した状態で、ピストンリング上面及び全内周面(上側脚部内周面、上側脚部下面、基部内周面、下側脚部上面、及び下側脚部内周面)に垂直な方向に18MPaの荷重を加えた時のFEM解析結果(応力分布図)を示す(比較例1)。ここで、ピストンリング幅h1は2.0mm、ピストンリング径方向幅a1は2.0mm、ピストンリング脚幅L1は0.65mmとした。本結果より、下側脚部下面が固定された状態では、燃焼室側からの燃焼圧を受けた場合に、ピストンリング内周下側角部付近に最大応力(795MPa)がかかることが確認された。
図6(a)〜(c)には、内周角部を曲面として曲率半径Rを変えた3種類のピストンリングにおいて、比較例1と同様に下側脚部下面を拘束した状態で、ピストンリング上面および全内周面に垂直な方向に18MPaの荷重を加えた時のFEM解析結果を示す。曲率半径はそれぞれ0.10mm(実施例1)、0.20mm(実施例2)、及び0.35mm(実施例3)とした。ここで、ピストンリング幅h1は1.5mm、ピストンリング径方向幅a1は1.5mm、ピストンリング脚幅L1は0.4mmとした。いずれの実施例においても、最大応力は内周下側角部付近で発生することが認められた。また、内周角部をほぼ直角の形状から曲面形状に換えることにより、ピストンリングのリング幅及び脚幅を比較例1に対して、それぞれ0.75および0.62と縮小しているにも関わらず、発生する最大応力が著しく減少することが確認された。
以上の結果から、断面U字状ピストンリングの内周角部を曲面形状とすることにより、ピストンリングの破壊強度を大幅に向上することができることがわかった。本実施例では圧縮圧により、ピストンリング内周下側角部に最大応力が発生することから、少なくともこの角部を曲面形状とすることにより、ピストンリングの破壊強度を上げることができると考えられる。また、角部の曲面形状の曲率半径Rが大きい程、ピストンリングに発生する最大応力値が低下し、破壊強度が高くなることがわかった。
図7に内周角部の曲率半径Rとピストンリングの上側脚部下面から下側脚部上面までの幅h3との比とピストンリングに発生する最大応力との関係をプロットした結果を示す。
R/h3は0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることが好ましい。特に、R/h3が0.5、すなわち、図2に示すようにピストンリング20の基部21の内周面21a全体が曲面形状である場合に発生する最大応力が小さく、ピストンリング20の破壊強度という観点からは、基部内周面全体を曲面とするのが好ましい。
比較例1及び実施例1〜3のピストンリングをピストンに装着し、ボア79mm、排気量1.8リットルの自然吸気式ガソリンエンジンを使用してオイル消費量とブローバイ量の測定を行った。ここで、ピストン本体のトップランド部の上面と外周面との連結部、トップランドの下面と外周面との連結部、トップランド部に形成されるピストンリングの上側脚部を装着する溝の底面とトップランド部の上面との接続部、及びピストンリングの下側脚部を装着するリング溝の底面とトップランド部の下面との接続部はピストンリングの内周角部とほぼ同一の曲率半径とした。
結果を図8に示す。ここで、実施例の値は、比較例1のオイル消費量及びブローバイ量をそれぞれ100として相対比で表した。オイル消費量とブローバイ量とも、比較例1に比べて、実施例1〜3の方が低いことが確認された。またテスト終了後のピストンリングの内周、及びピストンのトップランド部、リング溝の形状を観察したところ、比較例1に比べ、実施例1〜3の方が摩耗が少ないことがわかった。さらに、内周角部を曲面形状にした実施例1〜3のピストンリングでは、比較例1のピストンリングと比べてh1寸法及びa1寸法を0.5mmずつ小さくすることができ、比較例1ピストンリング重量の約50%の軽量化が可能となった。これらの結果から言い換えれば、ボアへの追従性向上に伴いリング張力を低減でき、結果としてフリクションが減少する効果も合わせもつ事になる。
本発明の第一実施形態に係るピストン装置を断面図である。 本発明の第二実施形態に係るピストン装置を断面図である。 本発明の第三実施形態に係るピストン装置を断面図である。 本発明の第四実施形態に係るピストン装置を断面図である。 比較例1のFEM解析結果を示す図である。 実施例1〜3のFEM解析結果を示す図である。 R/h3と最大応力値との関係を示す図である。 実施例1〜3及び比較例1のオイル消費量とブローバイ量を測定した結果を示す図である。
符号の説明
10 ピストン本体
11 冠面
12 トップランド部
12a トップランド部12の上面
12b トップランド部12の下面
12c トップランド部12の外周面
13 リング溝
20 ピストンリング
30,40,50 ピストン装置
21 基部
21a 基部21の内周面
22 上側脚部
22a 上側脚部22の下面
23 下側脚部
23a 下側脚部23の上面
23b 下側脚部23の下面
C1 ピストンリング20の内周上側角部
C2 ピストンリング20の内周下側角部
C3 ピストンリング20の外周上側角部
C4 ピストンリング20の外周下側角部
C5,C6 上側脚部22の内周側角部
C7,C8 下側脚部23の内周側角部
T1 トップランド部12の上面12aと外周面12cとの連結部
T2 トップランド部12の下面12bと外周面12cとの連結部
T3 溝25の底面とトップランド12の上面12aとの接続部
T4 リング溝13の底面とトップランド部12の下面12bの接続部

Claims (3)

  1. 上側脚部と下側脚部とが基部を介して連結される断面U字状ピストンリングにおいて、
    前記上側脚部の下面と前記基部の内周面との連結部、又は前記下側脚部の上面と前記基部の内周面との連結部の少なくとも一方が曲面で形成されていることを特徴とするピストンリング。
  2. 外周にトップランド部を残してリング溝が形成されたピストン本体と、
    前記トップランド部に取り付けられ、上側脚部と下側脚部とが基部を介して連結した断面U字状ピストンリングを有する内燃機関のピストン装置において、
    前記ピストンリングは、前記上側脚部の下面と前記基部の内周面との連結部、又は前記下側脚部の上面と前記基部の内周面との連結部の少なくとも一方が曲面で形成され、前記トップランドの上面と外周面との連結部、又は前記トップランド部の下面と外周面との連結部の少なくとも一方が曲面で形成されている
    ことを特徴とするピストン装置。
  3. 請求項2に記載のピストン装置において、
    前記ピストンのトップランド部に形成される前記ピストンリングの上側脚部を装着する溝の底面と前記トップランドの上面との接続部、又は前記ピストンのトップランド部に形成される前記ピストンリングの下側脚部を装着する溝の底面と前記トップランドの下面との接続部の少なくとも一方が曲面で形成されている
    ことを特徴とするピストン装置。
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