JP2001278794A - 変異原性低下剤 - Google Patents

変異原性低下剤

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JP2001278794A JP2000094585A JP2000094585A JP2001278794A JP 2001278794 A JP2001278794 A JP 2001278794A JP 2000094585 A JP2000094585 A JP 2000094585A JP 2000094585 A JP2000094585 A JP 2000094585A JP 2001278794 A JP2001278794 A JP 2001278794A
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mutagenicity
bifidobacterium longum
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bifidobacterium
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Shigeru Fujiwara
茂 藤原
Yasuyuki Seto
泰幸 瀬戸
En Hashiba
炎 橋場
Yutaka Suzuki
豊 鈴木
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飲食品等の変異原性を低減させることのでき
る変異原性低下剤を提供すること。 【解決手段】 多糖生産性ビフィドバクテリウム・ロン
ガム菌体及び/又は菌体成分を有効成分とする変異原性
低下剤。変異原性低下作用を有する多糖生産性ビフィド
バクテリウム・ロンガム。及び多糖生産性ビフィドバク
テリウム・ロンガム菌体及び/又は菌体成分を配合した
飲食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多糖生産性のビフ
ィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacteriumlongum)
菌体及び/又は菌体成分を有効成分とする変異原性低下
剤に関する。また、本発明は変異原性低下作用を有する
多糖生産性ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobac
terium longum) に関する。さらに、本発明は、多糖生
産性のビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacteri
um longum) 菌体及び/又は菌体成分を配合して変異原
性低下作用を賦与した飲食品に関する。
【0002】本発明の変異原性低下剤や変異原性低下作
用を賦与した飲食品は、通常、発酵乳等に含まれている
ビフィドバクテリウム属菌の菌体や菌体成分を使用する
ので、安全性が高いという特徴を有する。
【0003】
【従来の技術】近年の健康意識の高まりにより、日常生
活で接触する有害物質に対する関心が高まってきてい
る。この有害物質の一つに変異原性物質が含まれる。変
異原性物質とは、細胞のDNAに変異を生じさせる性質
を有する物質をいう。そして、変異原性の高い物質を長
期間にわたって摂取すると、細胞にDNAの変異が蓄積
し、発癌を促進することが指摘されている。また、消化
器系の癌は、その発生が食事にも起因しており、近年の
大腸癌の増加は、食事スタイルの欧米化によるものであ
ると指摘されている。
【0004】乳酸菌を利用した食品の消費が、近年の健
康志向の高まりと共に、著しい伸びを見せている。特
に、健康を積極的に支援することを目的とした乳酸菌株
(プロバイオティクス)は、これからさらに注目を集め
て行くものと予想される。現在、日本人の死亡原因の第
1位は癌によるものであり、癌の予防に対する人々の意
識は非常に高い。そして、大腸癌の増加により、食品に
含まれる有害物質に対しても関心が高まっている。かつ
て、食品添加物の発癌性が問題になったこともあるが、
現在は食品添加物の表示が義務づけられており、消費者
で食品添加物を含まない製品を選択することが可能とな
っている。
【0005】しかし、日常的に摂取している食品中に微
量含まれる変異原性物質も発見されている。特に、焼き
肉や焼き魚等、加熱した蛋白質に含まれる3-アミノ-1,4
ジメチル-5H-ピリド[4,3] インドール(Trp-P1)や3-アミ
ノ- メチル-5H-ピリド[4,4-b] インドール(Trp-P2)等は
高い変異原性を有する物質として知られている。これら
の変異原性物質についても摂取を避けることが望ましい
が、栄養学的な見地からすると蛋白質の摂取は健康に不
可欠であり、また、加熱調理することも多いために、必
然的にTrp-P1やTrp-P2等を摂取する結果となっている。
【0006】そして、これらの変異原性物質は消化管細
胞の遺伝子の変異を引き起こし、発癌の原因になると考
えられており、採取したこれらの変異原性物質の変異原
性を低下させる方法を確立することが、ヒトの健康を維
持する上で、非常に意義があるといえる。消化管内で変
異原性物質の変異原性を低減させる方法については、食
物繊維やキチン類等の変異原性物質に対する吸着作用を
利用する方法が提案されており、また、ラクトバチルス
属菌、ストレプトコッカス属等の乳酸菌にも、変異原性
物質に対する吸着作用があり、変異原性低下作用を有す
ることが報告されている。
【0007】しかし、腸内定住性乳酸菌として知られて
いるビフィドバクテリウム属菌の変異原性低下作用につ
いては、ほとんど検討されておらず、また、ビフィドバ
クテリウム属菌の多糖生産性を高めた育種株の変異原性
低下作用については全く報告されていない。さらに、菌
株の多糖生産性を高めることにより変異原性低下作用を
高めるという試みも行われておらず、これらを可食性の
変異原性低下剤として利用した例も知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、飲食品等、
日常の環境に存在する変異原性物質の変異原性を低減す
ることにより、細胞の遺伝子変異を抑制し、発癌のリス
クを低下させると共に、健康維持に貢献することを目的
として、摂食することにより、消化管内に滞留する変異
原性物質の変異原性を低下させることができる変異原性
低下剤を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、変異原性
物質を吸着することにより変異原性を低下させる素材を
広く探索していたところ、一般に食用として使用されて
いて安全性に優れており、培養も容易である乳酸菌が、
変異原性物質の吸着素材として好ましいという結論に至
った。その後、胃酸耐性、胆汁酸耐性、大腸における腸
内浄化の必要性等を考慮して、大腸への定着性を有する
ビフィドバクテリウム属菌に着目し、鋭意研究を重ねて
きたところ、あるビフィドバクテリウム属菌に変異原性
低下作用が存在することを見出した。そして、このビフ
ィドバクテリウム属菌の菌体外への多糖生産性育種株に
おいて、変異原性低下作用がさらに高まることを見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0010】つまり、本発明は、腸内定住性が高いビフ
ィドバクテリウム属菌を用いることで腸管内で高い変異
原性低下作用を発揮できる変異原性低下剤に関する。さ
らに詳しくは、本発明は、菌体外への多糖生産性の高い
ビフィドバクテリウム属菌の菌体及び/又は菌体成分を
有効成分とした変異原性低下剤に関する。また、本発明
は、変異原性低下作用を有する多糖生産性ビフィドバク
テリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) に関す
る。さらに、本発明は、菌体外への多糖生産性の高いビ
フィドバクテリウム属菌の菌体及び/又は菌体成分を配
合して変異原性低下作用を賦与した飲食品に関する。本
発明において、菌体成分とは、菌体が生産する菌体外多
糖のことである。
【0011】ビフィドバクテリウム属菌は、生きたまま
腸まで届くことが一般に認められているので、本発明の
変異原性低下剤を摂取することにより、消化管内での変
異原性を低下させることができ、これによって、大腸癌
に罹患する危険性を低下させるような目的に使用するの
に最適であるといえる。
【0012】このような観点から、優れた機能性を有す
るビフィドバクテリウム属菌をスクリーニングし、目的
とする菌株を取得することに成功した(図1参照)。ス
クリーニングに供したビフィドバクテリウム属菌の菌種
は、図1に示す5種で、雪印乳業技術研究所においてヒ
ト糞便より分離し、同定後、保存を行っている保有株で
ある。また、変異原性物質の吸着率は次のようにして求
めた。変異原性物質であるTrp-P1、Trp-P2、2-アミノ-3
- メチルイミダゾ[4,5-5] イノリン(IQ)、 2- アミノ-
3,8- ジメチルイミダゾ[4,5-5] キノキサリン(MeIQ)、2
-アミノ-6- メチルジピリド〔1,2- a: 3', 2'-d〕イミ
ダゾール(Glu-P1) (和光純薬工業社製) は、それぞれ純
水あるいは20%メタノールにて、終濃度2mg/mlに溶解し
た。ビフィドバクテリウム属菌をブリッグス肝臓培地あ
るいはGPV 培地を用いて48時間培養して得られた培養液
を、4℃で遠心分離 (10,000×G 15分間) して、菌体を
回収し、PBS で2回、純水で1回洗浄した後、凍結乾燥
し、使用時まで−80℃にて保存した。
【0013】2mg の凍結乾燥菌体を0.95mlの純水に懸濁
し、0.05mlの変異原性物質溶液を加え、37℃にて30分間
振とうし、遠心分離 (10,000×G 15分間)して菌体を除
去し、得られた上清を液体クロマトグラフィー用フィル
ターを用いて濾過し、半量のアセトニトリルを加え、そ
の20μl を以下の条件のHPLCで分析した。 HPLCシステム: Millipore Waters社製 カラム: ODS 移動相: 0.1M Citrate-0.2M Na2HPO4: acetonitrile :
triethylamine 50:50:0.05 (Trp-PI 及び Trp-P2) 63:35:0.05 (Glu-PI,IQ 及び MeIQ) 流速: 1 ml/min 検出波長: 254nm 対象として菌体を加えていないものを同様に調製、分析
して、変異原性物質によるピークのエリア比を算出して
各菌株の変異原性吸着率を求めた。その結果を図1に示
した。
【0014】その結果、優れた変異原性物質吸着能を有
する菌株は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidob
acterium longum) SBT2928 (FERM P-10657)であり、特
に、Trp-P1、Trp-P2、IQ、MeIQに高い吸着能を示すこと
が分かった。なお、このビフィドバクテリウム・ロンガ
(Bifidobacterium longum) SBT2928 (FERM P-10657)
は、発酵乳の製造に使用されており、風味等も良好であ
り、食品への利用という観点から好適であるといえる。
【0015】次に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B
ifidobacterium longum) SBT2928(FERM P-10657)を親
株として、多糖生産性に優れた菌株を育種し、その菌株
について変異原性低下作用を検討したところ、多糖生産
性と変異原性低下作用との間に相関があることが判っ
た。(図2参照)
【0016】図2では、B.longum SBT 2928 育種株が G
PV培地中に生産する菌体外多糖の量を横軸にとり、縦軸
にはこれらの菌株のもつ変異原性低下率を示した。変異
原性低下率は以下のとおり測定した。育種株を GPV培地
で培養した後、遠心分離して菌体と培養上清を分離回収
した。得られた培養上清を透析して培養上清に含まれる
低分子を除いた後、菌体と再混合し、凍結乾燥して菌体
乾燥物を得た。得られた菌体乾燥物の培養液 5ml相当分
を100 μl のPBS に分散し、50μl (100μg ) のTrp -P
1 あるいはTrp-P2を加え、さらに100 μl の被検菌培養
液の 1000 倍希釈液を加えて37℃で30分間振とうした
後、軟寒天 2mlを加え、ニュートリエントアガー上に重
層し、37℃にて48時間培養し、復帰変異株を計数した。
対照として、菌体乾燥物を含まないものについて、同様
に復帰変異株を計数し、この対照との復帰変異株数の比
較により、変異原性低下率を求めた。
【0017】なお、上記の育種法について説明する。BL
A 培地で培養した培養終了後のビフィドバクテリウム・
ロンガム(Bifidobacterium longum) SBT2928 (FERM P-
10657)を低温(4℃、pH4程度) に保持し、経時的にサン
プリングをしながら、生菌体を回収するという酸性環境
でのストレスを繰り返して70代まで育種し、酸性条件下
で生残性の高まった育種株を単離した。酸性条件下で生
残性の高まった育種株の中には、多糖生産性を全く喪失
してしまった菌株も存在したが、親株と比較して多糖生
産性が高まった菌株も多く存在した。そして、最も多糖
生産性の高い菌株を選択し、ビフィドバクテリウム・ロ
ンガム(Bifidobacterium longum) SBT10765 (FERM-P17
783)とした。このビフィドバクテリウム・ロンガム(Bif
idobacte rium longum) SBT10765 (FERM-P17783)は工業
技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-17783 として
寄託されているものであり、その分類学的性状は以下の
通りである。
【0018】分類学的性状 BL血液寒天平板培地を用いて37℃、48時間嫌気培養後
の結果を示す。 (1) 菌形 形状:桿菌 大きさ: 0.5〜1×3〜4μm 連鎖したもの多数 (2) グラム染色性 陽性 (3) コロニー形態 形状:円形 周縁:滑状 大きさ:直径2〜3mm 色調:茶色 表面:円滑 (4) 芽胞形成 陰性
【0019】(5) ガス産生 なし (6) 運動性 なし (7) カタラーゼ活性 陰性 (8) 脱脂乳凝固性 凝固 (9) ゼラチン液化性 なし (10) 硝酸塩還元性 なし (11) インドール産生 なし (12) 硫化水素産生 なし
【0020】(13) 糖の発酵性 市販の細菌同定用キット(アピ50CH、ビオメリュー社
製)にて糖の発酵性を検討した結果を以下に記載する。 L−アラビノース + L−リボース + ソルビトール − セロビオース − ラクトース + メレジトース + ラフィノース + スターチ − グルコネート − (+は発酵性有りを示し、−は発酵性なしを示す。) 上記の分類学的性状は、典型的なビフィドバクテリウム
・ロンガム(Bifidobacterium longum) の性状を示した
(Bergy's Manual of Systematic BactriologyVol.2 p.1
418参照) 。
【0021】ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidob
acterium longum) SBT10765 (FERM-P17783)を水に懸濁
した懸濁液は、37℃、30分間の静置条件で、凍結乾燥菌
体2mg当たり約 0.1mgのTrp-P1を吸着し、この吸着量
は、Trp-P1濃度に関わらずほぼ一定であった。これに対
し、親株のビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobac
terium longum SBT2989 (FERM P-10652) 凍結乾燥菌体
2mg 当たりのTrp-P1の吸着量は0.02mg以下であった。ビ
フィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacteriumlongu
m) SBT10765 (FERM-P17783)は、多糖生産性で、変異原
性低下率が高いという点でビフィドバクテリウム・ロン
ガム(Bifidobacterium longum SBT2989 (FERM P-1065
2) とは異なっている。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明で使用するビフィドバクテ
リウム属菌は、通常の自然界、あるいは動物糞便中、発
酵乳中等から分離することができるビフィドバクテリウ
ム・ロンガム(Bifidobacterium longum) であり、腸内
に常在し、健常なヒトの腸内から多く検出されている菌
種である。
【0023】ビフィドバクテリウム属菌がヒトの健康に
問題があるという報告はなく、安全性は極めて高いの
で、本発明の変異原性低下剤は、食品素材としても安心
して使用することができる。また、使用するビフィドバ
クテリウム属菌を培養した培養物やその乾燥物等の形態
として使用することもできる。つまり、使用するビフィ
ドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)
は、培養後、集菌した濃縮菌体という形態や噴霧乾燥、
凍結乾燥等を行った乾燥菌体という形態で利用すること
ができる。そして、これらの菌体や菌体成分を目的とす
る飲食品に添加するだけで変異原性低下作用を発揮させ
ることができる。
【0024】なお、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B
ifidobacterium longum) の菌体を使用する場合、必ず
しも生菌体である必要はなく、死菌体であっても変異原
性低下作用を発揮させることができる。また、本発明の
多糖生産性ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobac
teriumlongum) を配合した飲食品には、発酵乳、果汁、
ゼリー、プリン、ババロア等を例示することができる
が、これに限らない。
【0025】次に実施例を示し、本発明をさらに詳しく
説明する。
【実施例1】ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidob
acterium longum) SBT10765 (FERM-P17783)をブリッグ
ス肝臓培地を用いて37℃で48時間培養して得られた培養
液を遠心分離して菌体を回収し、生理食塩水で3回洗浄
した後凍結乾燥して変異原性低下剤の有効成分である凍
結乾燥菌体を製造した。
【0026】リン酸緩衝液(pH 7)にTrp-P1を0.1mg/mlの
濃度で溶解させたTrp-P1溶液1mlに、上記の凍結乾燥菌
体を 0.1〜10mgの範囲で加えて懸濁し、37℃で30分間静
置後、遠心分離して得られた上清に残存しているTrp-P1
をサルモネラ菌の変異株出現頻度で評価する Shashikan
thらの方法(Shashikanth, K.N. and A.Hosono. 1986.In
vitro mutagenicity of tropical species to strepto
mycin dependent strains of Salmonella typhimurium
TA98. Agric, Biol.Chem.50:2947-2948) で評価し、変
異原性低下率を求めた。その結果を図3に示す。これに
よると、この凍結乾燥菌体は、変異原性低下作用を有す
ることが確認された。なお、変異原性低下率は、以下の
計算式により求めた。 変異原性低下率(%)={(N(0)-N(G))/N(0) }×
100 (但し、N(0) =無処理時の変異原出現度を示し、N
(G) =菌体処理時の変異原出現度を示す。)
【0027】
【実施例2】ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidob
acterium longum) SBT10765 (FERM-P17783)をブリッグ
ス肝臓培地を用いて37℃で培養し、対数増殖期にある培
養液を、 0.3%の酵母エキスを添加した10%還元脱脂乳
(115℃、20分間滅菌) に1%接種してマザーカルチャー
を調製した。一方、生乳に2%の脱脂乳を添加し、 100
℃で10分間加熱してヨーグルトミックスを調製した。そ
して、このヨーグルトミックスにマザーカルチャーを5
%添加し、37℃で発酵を行い、乳酸酸度が0.75に到達し
た時点で冷却し、変異原性低下作用を賦与した発酵乳を
製造した。この発酵乳をNaOHで中和した後、その 100μ
l を実施例1で調製したTrp-P1溶液又はTrp-P2溶液 1ml
と混合し、37℃で30分間静置した後、実施例1と同様に
して変異原性低下率を求めた。その結果を図4に示す。
また、図4には培養時間中の菌数、pH及び乳酸酸度も同
時に示した。これによると、この発酵乳は、変異原性低
下作用を有することが確認された。
【0028】また、中和した発酵乳の添加量を 0〜100
μl と変化させて(100μl に満たない分はPBS で補充)
Trp-PIに対する変異原性低下率を同様にして求めた。そ
の結果を図5に示す。これによると、発酵乳の添加量と
変異原性低下作用の間には、良好な用量依存性があるこ
とが確認された。(図5参照)
【0029】
【実施例3】市販のリンゴ果汁又はオレンジ果汁50mlに
実施例1で得られたビフィドバクテリウム・ロンガム(B
ifidobacterium longum) SBT10765 (FERM-P17783)の凍
結乾燥菌体1gを添加して十分懸濁し、変異原性低下作用
を賦与したリンゴ果汁又はオレンジ果汁を製造した。こ
のリンゴ果汁又はオレンジ果汁にTrp-P1を添加して混合
し、37℃で10分間静置した後、遠心分離し、無菌濾過を
行った。そして、濾液に残存するTrp-P1をエイムスらの
方法で測定し、変異原性低下率を算出したところ、それ
ぞれ87.3%及び81.0%であった。なお、ビフィドバクテ
リウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) の凍結乾
燥菌体を添加したリンゴ果汁及びオレンジ果汁は、風味
の点で凍結乾燥菌体無添加の果汁と全く差違は認められ
なかった。
【0030】
【実施例4】実施例2で製造した発酵乳70kgと液糖30kg
を混合し、均質化して、変異原性低下作用を賦与した乳
酸菌飲料を製造した。
【0032】
【実施例5】ペクチン1kg、キウイ果肉20kg、砂糖25kg
及び水54kgを混合し、溶解した後、95℃で10分間加熱殺
菌し、20℃まで冷却して、フルーツミックスを調製し
た。そして、実施例2で製造した発酵乳 2.5部に対して
フルーツミックス1部を混合し、変異原性低下作用を賦
与した果肉入りヨーグルトを製造した。
【0033】
【実施例6】ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidob
acterium longum) SBT10765 (FERM-P17783)をブリッグ
ス肝臓培地を用いて37℃で培養し、対数増殖期にある培
養液を遠心分離(4℃、7,000rpm、15分間) して菌体を回
収し、生理食塩水で3回洗浄した後、凍結乾燥して、菌
体粉末を得た。この菌体粉末1部に乳糖4部を混合し、
これを1gずつ打錠機で打錠して、変異原性低下剤の錠剤
を製造した。
【0034】
【実施例7】液糖25kg、ゼラチン 1.5kg、果汁2kg、ク
エン酸 0.8kg及び水69.7kgを80℃に加温して溶解した
後、40℃まで冷却して保持し、これに実施例6で得られ
た洗浄菌体を 0.1%添加し、ゼリーカップに100gずつ充
填して直ちに10℃まで冷却し、変異原性低下作用を賦与
したゼリーを製造した。
【0035】
【実施例8】表1に示した配合で原材料を混合して60℃
で均質化した後、 110℃で15秒間加熱殺菌した。そし
て、40℃まで冷却した後、実施例6で得られた洗浄菌体
を 0.1%添加し、容器に充填して直ちに10℃まで冷却
し、変異原性低下作用を賦与したプリンを製造した。
【0036】
【表1】 ───────────────────── 脱脂粉乳 8 (%) 植物性油脂 8 砂糖 11.5 水飴 2.5 卵黄 1 ゼラチン 1 カラギーナン 0.05 乳化剤 0.3 着色・着香料 0.2 水 67.35 ─────────────────────
【0037】
【実施例9】表2に示した配合で原材料を混合して60℃
で均質化した後、 110℃で15秒間加熱殺菌した。そし
て、40℃まで冷却した後、実施例6で得られた洗浄菌体
を 0.1%添加し、オーバーランが90%になるようホイッ
プしてから容器に充填して冷却・固化し、変異原性低下
作用を賦与したババロアを製造した。
【0038】
【表2】 ───────────────────── 砂糖 14 (%) 脱脂粉乳 8 植物油脂 5 ゲル化剤・起泡剤 3 着色・着香料 0.1 水 69.8 ─────────────────────
【0039】
【発明の効果】本発明によると、発酵乳の製造等に使用
されていて極めて安全性の高く、消化管内で滞留するこ
とのできる多糖生産性ビフィドバクテリウム・ロンガム
(Bifidobacterium longum) の菌体や菌体成分により、
飲食品等日常の環境に存在する変異原性物質の変異原性
を低下することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種ビフィドバクテリウム属菌の変異原性物質
吸着率の差異を表す。
【符号の説明】
1:Trp-P1 2:Trp-P2 3:I Q 4:MeIQ 5:Glu-P1
【図2】多糖生産量と変異原性低下率との関係を示す。
【図3】菌体添加量と変異原性低下率との関係を示す。
【図4】発酵乳の製造における変異原性低下率、乳酸菌
数、乳酸酸度及びpHの経時変化を示す。
【図5】発酵乳の添加量と変異原性低下率との関係を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/00 C12N 1/20 A 1/20 E (C12N 1/00 //(C12N 1/00 C12R 1:01) C12R 1:01) (C12N 1/20 (C12N 1/20 C12R 1:01) C12R 1:01) A23L 2/00 F (72)発明者 鈴木 豊 埼玉県入間市仏子603−1−16−304 Fターム(参考) 4B017 LC03 LE04 LE05 LE08 LG01 LG04 LK21 LK25 4B018 LB07 LB08 LE05 MD87 MD91 ME08 4B065 AA21X AC12 AC20 BA22 CA42 4C087 AA01 AA02 BC60 MA52 NA14 ZB26

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多糖生産性ビフィドバクテリウム・ロン
    ガム(Bifidobacterium longum) 菌体及び/又は菌体成
    分を有効成分とする変異原性低下剤。
  2. 【請求項2】 多糖生産性ビフィドバクテリウム・ロン
    ガム(Bifidobacterium longum) が、ビフィドバクテリ
    ウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)SBT10765 (F
    ERM-P17783)である請求項1記載の変異原性低下剤。
  3. 【請求項3】 変異原性低下作用を有する多糖生産性ビ
    フィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium long
    um) 。
  4. 【請求項4】 変異原性低下作用を有する多糖生産性ビ
    フィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium long
    um) SBT 10765 (FERM-P17783) 。
  5. 【請求項5】 多糖生産性ビフィドバクテリウム・ロン
    ガム(Bifidobacterium longum) 菌体及び/又は菌体成
    分を配合して変異原性低下作用を賦与した飲食品。
  6. 【請求項6】 多糖生産性ビフィドバクテリウム・ロン
    ガム(Bifidobacterium longum) が、ビフィドバクテリ
    ウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)SBT10765 (F
    ERM-P17783)である請求項5記載の飲食品。
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