JP2001277875A - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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JP2001277875A
JP2001277875A JP2000097600A JP2000097600A JP2001277875A JP 2001277875 A JP2001277875 A JP 2001277875A JP 2000097600 A JP2000097600 A JP 2000097600A JP 2000097600 A JP2000097600 A JP 2000097600A JP 2001277875 A JP2001277875 A JP 2001277875A
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H45/00Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches
    • F16H2045/005Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches comprising a clutch between fluid gearing and the mechanical gearing unit

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  • Arrangement Of Transmissions (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチ断時の応答性を確保しつつ、油圧ポ
ンプの容量を必要最小限にすることができる湿式摩擦ク
ラッチを備えた動力伝達装置を提供することにある。動
力伝達装置を提供する。 【解決手段】 エンジンと変速機との間に湿式摩擦クラ
ッチを配設した動力伝達装置であって、湿式摩擦クラッ
チに作動流体を供給するための流体作動手段は、油圧ポ
ンプと、該油圧ポンプと湿式摩擦クラッチの液圧室を連
通する通路に配設されパイロット圧の作用によって作動
せしめられる摩擦クラッチ用方向制御弁と、該摩擦クラ
ッチ用方向制御弁と油圧ポンプ間を結ぶ通路に配設され
た絞りとを具備している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載される
動力伝達装置、更に詳しくはエンジンと変速機との間に
湿式摩擦クラッチを配設した動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両に搭載されたエンジンと変速機との
間には、発進および変速動作を円滑に行うために摩擦ク
ラッチが配設されている。また、エンジンの回転変動お
よび振動を吸収する目的で駆動系に流体継手を配設した
車両用動力伝達装置が、例えば特開昭55ー16473
0号公報に開示されている。この流体継手を備えた車両
用動力伝達装置は、車両に搭載されたエンジンと、流体
継手と、摩擦クラッチおよび変速機が直列に配設されて
いる。このような車両用動力伝達装置に装備される流体
継手は、例えばディーゼルエンジンのクランク軸(流体
継手としての入力軸)に連結されたケーシングと、該ケ
ーシングと対向して配設されケーシングに取り付けられ
たポンプと、該ポンプと対向して配設され入力軸と同一
軸線上に配置された出力軸に取り付けられたタービンと
を具備しており、トルク伝達用の作動流体が収容されて
いる。また、上記ケーシングとタービンとを摩擦係合し
て入力軸と出力軸とを直結するロックアップクラッチを
備えた流体継手も提案されている。このロックアップク
ラッチは、ケーシングとタービンとの間に配設されケー
シングとの間に外側室を形成するとともにタービンとの
間に内側室を形成するクラッチディスクを備え、流体継
手を循環する作動流体の内側室側と外側室側との圧力差
によってケーシングとタービンとを係合または係合解除
するように構成されている。このようなロックアップク
ラッチを備えた流体継手においては、ロックアップクラ
ッチの作動時(ロックアップクラッチ接)と非作動時
(ロックアップクラッチ断)とによって流体継手を循環
する作動流体の循環方向を変更する。
【0003】上記摩擦クラッチは、一般に乾式単板クラ
ッチが使用されているが、クラッチフェーシングの摩耗
等を考慮して大型車両や建設車両等においては湿式摩擦
クラッチを用いる例がある。このような湿式摩擦クラッ
チを備えた動力伝達装置においては、湿式摩擦クラッチ
に作動流体を供給するための流体作動手段を具備する必
要がある。この流体作動手段は、流体圧源としての油圧
ポンプと、該油圧ポンプと湿式摩擦クラッチの液圧室を
連通する通路と、該通路を切り換える切換手段を備えて
いる。この切換手段によって液圧室を開放するとクラッ
チが断され、液圧室を油圧ポンプに連通するとクラッチ
が接されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】而して、上述した湿式
摩擦クラッチにおいて、クラッチの断・接動作の応答性
を良好にするためには、油圧ポンプと湿式摩擦クラッチ
の液圧室を連通する通路は所定の断面積を確保する必要
がある。しかるに、通路を切換える切換手段がパイロッ
ト圧によって作動せしめられる方向制御弁と、該方向制
御弁に作用せしめるパイロット圧を制御する電磁制御弁
ととによって構成されている場合には、クラッチを接す
るために方向制御弁にパイロット圧を作用せしめて、湿
式摩擦クラッチの液圧室を油圧ポンプ側と連通すると、
ライン圧力が一時低下する。このとき、容量が大きい油
圧ポンプを使用している場合には上記ライン圧力の低下
は少なく問題ないが、油圧ポンプの容量が小さいと一時
的なライン圧力の低下が大きくなるため、パイロット圧
も低下して上記方向制御弁を所要のとおり制御すること
ができない場合がある。このような不具合を解消するた
めには、容量の大きな油圧ポンプを使用すればよいが、
油圧ポンプの容量を大きくすると油圧ポンプを駆動する
エンジンの駆動損失が増大する。
【0005】湿式摩擦クラッチの断・接動作の応答性に
おいては、特にクラッチ断の応答性が重要である。即
ち、変速操作時に変速開始信号によってクラッチ断動作
が実行されるが、このときクラッチ断の応答性が悪くク
ラッチが完全に断されていない半クラッチ状態で変速機
のギヤ抜き操作が行われると、クラッチスリーブとドッ
グ歯との間に駆動力が作用しているために両者間に引っ
掛かりが生ずる。一方、クラッチを接する際には応答性
がそれほど早くなくてもクラッチを断する際のような大
きな不具合は発生しない。
【0006】本発明は上記事実に鑑みてなされたもの
で、その主たる技術的課題は、クラッチ断時の応答性を
確保しつつ、油圧ポンプの容量を必要最小限にすること
ができる湿式摩擦クラッチを備えた動力伝達装置を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記主
たる技術的課題を解決するために、エンジンと変速機と
の間に配設された湿式摩擦クラッチと、該湿式摩擦クラ
ッチに作動流体を供給するための流体作動手段とを具備
する動力伝達装置において、該流体作動手段は、該エン
ジンの駆動力によって作動せしめられる油圧ポンプと、
該油圧ポンプと該湿式摩擦クラッチの液圧室を連通する
通路に配設され、パイロット圧が作用していない状態で
は該湿式摩擦クラッチの液圧室を開放し、パイロット圧
が作用すると該油圧ポンプと該湿式摩擦クラッチの液圧
室とを連通するように切換わる摩擦クラッチ用方向制御
弁と、該摩擦クラッチ用方向制御弁に作用せしめるパイ
ロット圧を制御する摩擦クラッチ用電磁切換弁と、該摩
擦クラッチ用方向制御弁と該油圧ポンプ間を結ぶ通路に
配設された絞りと、を具備している、ことを特徴とする
動力伝達装置が提供される。
【0008】上記絞りと摩擦クラッチ用方向制御弁とを
結ぶ通路には、アキュームレータが配設されている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従って構成された
動力伝達装置の好適実施形態を図示している添付図面を
参照して、更に詳細に説明する。
【0010】図1には、本発明に従って構成された動力
伝達装置の縦断面図が示されている。図1に示す動力伝
達装置は、原動機としてのディーゼルエンジン2と、流
体継手(フルードカップリング)4と、湿式多板摩擦ク
ラッチ8および手動変速機10とから構成され、これら
は直列に配設されている。
【0011】図示の実施形態における動力伝達装置は、
上記流体継手4および湿式多板摩擦クラッチ8を収容す
る継手ハウジング3を具備している。継手ハウジング3
は、エンジン側である一端側(図1において左端側)が
開放され、変速機側である他端側(図1において右端
側)に仕切り壁31を備えている。この継手ハウジング
3は、図示の実施形態においてはアルミダイキャストに
よって一体成形され、軸方向中央部に中間壁32が設け
られており、該中間壁32および後述するポンプハウジ
ングによって流体継手収容室3aと摩擦クラッチ収容室
3bに区画されている。このように構成された継手ハウ
ジング3は、エンジン2側(図1において左端側)がデ
ィーゼルエンジン2に装着されたハウジング22にボル
ト23等の締結手段によって取り付けられており、変速
機側(図1において右端側)が手動変速機10のケース
100にボルト24によって取り付けられている。な
お、図示の実施形態においては継手ハウジング3を一体
形成した例を示したが、継手ハウジング3は分割して形
成し連結した構成でもよい。
【0012】次に、流体継手4について図2を参照して
説明する。流体継手4は、上記継手ハウジング3の流体
継手収容室3a内に配設されている。図示の実施形態に
おける流体継手4は、ケーシング41とポンプ42およ
びタービン43を具備している。ケーシング41は、上
記ディーゼルエンジン2のクランク軸21にボルト24
によって内周部が装着されたドライブプレート44の外
周部にボルト441、ナット442等の締結手段によっ
て装着されている。なお、上記ドライブプレート44の
外周には、図示しないスタータモータの駆動歯車と噛合
する始動用のリングギヤ45が装着されている。
【0013】ポンプ42は上記ケーシング41と対向し
て配設されている。このポンプ42は、椀状のポンプシ
ェル421と、該ポンプシェル421内に放射状に配設
された複数個のインペラ422とを備えており、ポンプ
シェル421が上記ケーシング41に溶接等の固着手段
によって取り付けられている。従って、ポンプ42のポ
ンプシェル421は、ケーシング41およびドライブプ
レート44を介してクランク軸21に連結される。この
ため、クランク軸21は流体継手4の入力軸として機能
する。
【0014】タービン43は上記ポンプ42とケーシン
グ41によって形成された室にポンプ42と対向して配
設されている。このタービン43は、上記ポンプ42の
ポンプシェル421と対向して配設された椀状のタービ
ンシェル431と、該タービンシェル431内に放射状
に配設された複数個のランナ432とを備えている。タ
ービンシェル431は、上記入力軸としての上記クラン
ク軸21と同一軸線上に配設された出力軸46にスプラ
イン嵌合されたタービンハブ47に溶接等の固着手段に
よって取り付けられている。
【0015】図示の実施形態における流体継手4は、上
記ケーシング41とタービン43とを直接伝動連結する
ためのロックアップクラッチ50を具備している。ロッ
クアップクラッチ50は、ケーシング41とタービン4
3との間に配設されケーシング41との間に外側室40
aを形成するとともにタービン43との間に内側室40
bを形成するクラッチディスク51を備えている。この
クラッチディスク51は、内周縁が上記タービンハブ4
7の外周に相対回転可能でかつ軸方向に摺動可能に支持
されており、その外周部には上記ケーシング41と対向
する面にクラッチフェーシング52が装着されている。
また、クラッチディスク51の外周部における内側室4
0b側には、環状の凹部53が形成されており、この凹
部53にそれぞれ支持片54によって支持された複数個
のダンパースプリング55が所定の間隔を置いて配設さ
れている。この複数個のダンパースプリング55の両側
には上記クラッチディスク51に取り付けられた入力側
リテーナ56が突出して配設されているとともに、各ダ
ンパースプリング55間には上記タービン43のタービ
ンシェル431に取り付けられた出力側リテーナ57が
突出して配設されている。
【0016】図示の実施形態におけるロックアップクラ
ッチ50は以上のように構成されており、その作動につ
いて説明する。上記内側室40b側の作動流体の圧力が
外側室40aの作動流体の圧力より高い場合、即ち後述
する流体作動手段6によって供給される作動流体がポン
プ42とタービン43とによって形成される作動室4a
から内側室40bを通して外側室40aに流れる場合に
は、上記クラッチディスク51が図1において左方に押
圧されるので、クラッチディスク51に装着されたクラ
ッチフェーシング52がケーシング41に押圧されて摩
擦係合する(ロックアップクラッチ接)。従って、ケー
シング41とタービン43は、クラッチフェーシング5
2、クラッチディスク51、入力側リテーナ56、ダン
パースプリング55、出力側リテーナ57を介して直接
伝動連結される。一方、上記外側室40aの作動流体の
圧力が内側室40b側の作動流体の圧力より高い場合、
即ち後述する流体作動手段6によって供給される作動流
体が外側室40aから内側室40bを通してポンプ42
とタービン43とによって形成される作動室4aに循環
する場合には、上記クラッチディスク51が図1におい
て右方に押圧されるので、クラッチディスク51に装着
されたクラッチフェーシング52はケーシング41と摩
擦係合せず(ロックアップクラッチ断)、従って、ケー
シング41とタービン43との伝動連結は解除されてい
る。
【0017】上記継手ハウジング3の中間壁32には、
ポンプハウジング61、62がボルト63等の固着手段
によって取り付けられている。従って、ポンプハウジン
グ61、62は、継手ハウジング3に形成された流体継
手収容室3aと摩擦クラッチ収容室3bを区画してい
る。このポンプハウジング61、62内には、後述する
流体作動手段6の流体圧源としての油圧ポンプ60が配
設されている。また、ポンプハウジング61、62に
は、後述する流体作動手段6を構成する各制御弁が配設
されているとともに、作動流体通路が形成されている。
ポンプハウジング61、62内に配設された油圧ポンプ
60は、上記ポンプ42のポンプシェル421に取り付
けられポンプハウジング61に軸受481を介して回転
可能し支持されたポンプハブ48によって回転駆動され
るように構成されている。また、ポンプハウジング6
1、62には、油圧ポンプ60の吸入口に連通する吸入
通路66aが形成されている。この吸入通路66aは継
手ハウジング3の中間壁32に設けられた吸い込み通路
32aに連通している。吸い込み通路32aは継手ハウ
ジング3に一体に形成されており、吸い込み口32bが
摩擦クラッチ収容室3bの底壁部に向けて開口されてお
り、この吸い込み口32bにフィルタ67が装着されて
いる。
【0018】図示の実施形態においては、摩擦クラッチ
収容室3bの底部に規定される流体貯留部30bには作
動流体が収容されており、この作動流体が上記油圧ポン
プ60の作動によりフィルタ67を通して吸い込まれる
ようになっている。従って、摩擦クラッチ収容室3bの
流体貯留部30bは、作動流体を貯留するリザーブタン
クとして機能する。このように図示の実施形態において
は、吸い込み通路32aがポンプハウジング61、62
を装着する継手ハウジング3の中間壁32に設けられて
いるので、流体貯留部30bに収容された作動流体を吸
い込むための吸い込み機構を別途設ける必要がなく、部
品点数を低減することができる。また、吸い込み機構を
構成する部品の接合部は継手ハウジング3の中間壁32
とポンプハウジング61、62との接合のみであるた
め、接合部が少なく空気の吸い込み性が改善される。
【0019】なお、上記ポンプハブ48の外周面とポン
プハウジング61の端部との間には、オイルシール48
2が配設されている。また、ポンプハブ48と上記出力
軸46との間には、筒状部材64が配設されており、該
筒状部材64とポンプハブ48との間に上記上記流体継
手4のポンプ42とタービン43とによって形成される
作動室4aと連通する通路641が形成されている。な
お、上記出力軸46には作動流体の通路461が設けら
れている。この通路461は、その一端が出力軸46の
図において左端面に開口し上記外側室40aと連通して
おり、その他端が出力軸46の外周面に開口している。
【0020】次に、上記湿式多板摩擦クラッチ8につい
て図2を参照して説明する。湿式多板摩擦クラッチ8
は、上記継手ハウジング3の摩擦クラッチ収容室3b内
に配設されており、クラッチアウタ81とクラッチセン
タ82とを備えている。クラッチアウタ81はドラム状
に形成されており、その内周部には上記流体継手4の出
力軸46とスプライン嵌合するハブ811が設けられて
いる。クラッチアウタ81の外周部内面には内歯スプラ
イン812が設けられており、この内歯スプライン81
2に複数枚の摩擦板83が軸方向に摺動可能に嵌合され
ている。また、クラッチアウタ81の中間部には環状の
シリンダ813が形成されており、該環状のシリンダ8
13を構成する内周壁814が上記ポンプハウジング6
2のボス部621の外周面に相対回転可能に嵌合されて
いる。環状のシリンダ813内には、上記摩擦板83と
後述する摩擦板87を押圧するための押圧ピストン84
が配設されている。この環状のシリンダ813と押圧ピ
ストン84とによって形成される液圧室815は、環状
のシリンダ813を構成する内周壁814に設けられた
通路816および上記ポンプハウジング62のボス部6
21に設けられた通路622を介して後述する流体作動
手段6に連通している。なお、クラッチアウタ81のハ
ブ811と押圧ピストン84との間にはプレート85が
装着されており、このプレート85と押圧ピストン84
との間に圧縮コイルばね86が配設されている。従っ
て、押圧ピストン84は、圧縮コイルばね86のばね力
によって常に図2において左方に移動すべく押圧されて
いる。
【0021】上記クラッチセンタ82は円盤状に形成さ
れており、その内周部には変速機10の入力軸101と
スプライン嵌合するハブ821が設けられている。クラ
ッチセンタ82の外周面には外歯スプライン822が設
けられており、この外歯スプライン822に複数枚の摩
擦板87が軸方向に摺動可能に嵌合されている。クラッ
チセンタ82に装着された複数枚の摩擦板87と上記ク
ラッチアウタ81に装着された複数枚の摩擦板83と
は、それぞれ交互に配設されている。なお、クラッチセ
ンタ82のハブ821とクラッチアウタ81のハブ81
1との間およびクラッチアウタ81のハブ811とポン
プハウジング62のボス部621との間には、それぞれ
スラスト軸受881、882が配設されている。
【0022】図示の実施形態における湿式多板摩擦クラ
ッチ8は以上のように構成されており、後述する流体作
動手段6によって作動流体が液圧室815に供給されな
い図1および図2に示す状態においては、押圧ピストン
84は圧縮コイルばね86のばね力によって左方位置
(係合解除位置)に位置付けられている。このため、複
数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とは押圧されな
いので、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とが
摩擦係合せず、流体継手4の出力軸46から変速機10
の入力軸101への動力伝達が遮断されている。後述す
る流体作動手段6によって作動流体が液圧室815に供
給されると、押圧ピストン84が圧縮コイルばね86の
ばね力に抗して図1および図2において右方の移動せし
められる。この結果、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩
擦板87とが押圧され互いに摩擦係合するので、流体継
手4の出力軸46に伝達された動力はクラッチアウタ8
1、複数枚の摩擦板83、87およびクラッチセンタ8
2を介して変速機10の入力軸101に伝達される。
【0023】図示の実施形態における湿式多板摩擦クラ
ッチ8は、複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板8
7を冷却するために、上記流体継手4を循環する作動流
体が後述する流体作動手段6によって供給されるように
構成されている。流体継手4の出力軸46の外周面と上
記ポンプハウジング62のボス部621との間には通路
891が形成されており、この通路891が後述する流
体作動手段6に連通している。通路891に供給された
作動流体は、出力軸46とクラッチアウタ81のハブ8
11とのスプライン嵌合部を潤滑し、出力軸46とクラ
ッチセンタ82のハブ821との間に入り、スラスト軸
受881を潤滑した後に複数枚の摩擦板83および複数
枚の摩擦板87に供給される。また、通路891に供給
された作動流体は、スラスト軸受882を潤滑した後
に、クラッチアウタ81の設けられた通路817を通っ
て複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板87に供給
される。なお、流体継手4の出力軸46には上記通路8
91と変速機10の入力軸101を支持する支持部とを
連通する通路463が設けられている。従って、通路8
91に供給された作動流体は、通路891を通して上記
入力軸101を回転自在に支持する軸受108を潤滑
し、更に変速機10の入力軸101とクラッチセンタ8
2のバブ821とのスプライン嵌合部を潤滑する。この
ように湿式多板摩擦クラッチ8の各部を潤滑ないし冷却
した作動流体は、摩擦クラッチ収容室3bに放出され、
リザーブタンクとして機能する流体貯留部30bに貯留
される。
【0024】次に、流体作動手段6について、図3を参
照して説明する。流体作動手段6は、上述したポンプハ
ウジング61、62を具備している。このポンプハウジ
ング61、62には、流体作動手段6を構成する油圧ポ
ンプ60と、該油圧ポンプ60と各制御弁が配設されて
いるとともに、作動流体通路が形成されている。ポンプ
ハウジング61、62は、円形に形成されており、中央
部に油圧ポンプ60が配設されている。油圧ポンプ60
は上述したように摩擦クラッチ収容室3bの底部に規定
される流体貯留部30bに収容された作動流体をフィル
タ67、吸い込み通路32aおよび吸入通路66aを通
して吸い込み、通路66bに吐出する。
【0025】油圧ポンプ60によって通路66bに吐出
された作動流体は、通路66cおよびロックアップクラ
ッチ用電磁切換手段68を介して上記出力軸46に設け
られた通路461と連通する通路66d、または上記流
体継手4の作動室4aに連通する通路641と連通する
通路66eに供給される。ロックアップクラッチ用電磁
切換手段68は、図3に示す実施形態においてはロック
アップクラッチ用方向制御弁681とロックアップクラ
ッチ用電磁切換弁682とからなっている。ロックアッ
プクラッチ用方向制御弁681は、ロックアップクラッ
チ用電磁切換弁682によって制御されるパイロット圧
の作用で切換わるように構成されており、パイロット圧
が作用していない図3に示す状態ではロックアップクラ
ッチ50が断となるように作動流体を循環するようにな
っている。そして、ロックアップクラッチ用方向制御弁
681は、パイロット圧が作用するとロックアップクラ
ッチ50が接となるように作動流体を循環するように切
換わる。
【0026】上記ロックアップクラッチ用方向制御弁6
81とともにロックアップクラッチ用電磁切換手段68
を構成するロックアップクラッチ用電磁切換弁482
は、上記通路66bとロックアップクラッチ用方向制御
弁681とを連絡するパイロット通路66fに配設され
ている。なお、ロックアップクラッチ用電磁切換弁68
2は、車両の走行速度に基づいて車両の走行速度が所定
値以上になると図示しない制御手段によって付勢(O
N)される。
【0027】ロックアップクラッチ用電磁切換弁682
が除勢(OFF)している図3に示す状態のときには、
パイロット通路66fが開放されており、ロックアップ
クラッチ用方向制御弁681にはパイロット圧が作用し
ない。従って、ロックアップクラッチ用方向制御弁68
1は図3に示す状態に位置付けられており、通路66c
と通路66dが連通するとともに、通路66eと戻り通
路66gが連通している。この結果、油圧ポンプ60に
よって通路66bに吐出された作動流体は、通路66
c、通路66d、通路461、流体継手4の外側室40
a、内側室40b、ポンプ42とタービン43とによっ
て形成される作動室4a、通路641、通路66e、戻
り通路66g、該戻り通路66gに配設された逆止弁7
0および冷却器71を通して流体貯留部30bに循環さ
れる。このように作動流体が循環するときは、外側室4
0aの流体圧が内側室40bの流体圧より高いので、ロ
ックアップクラッチ50は上述したように摩擦係合しな
い(ックアップクラッチ断)。
【0028】一方、ロックアップクラッチ用電磁切換弁
682が付勢(ON)されると、パイロット通路66f
が連通されロックアップクラッチ用方向制御弁681に
はパイロット圧が作用してロックアップクラッチ用方向
制御弁681が作動せしめられて、通路66cと通路6
6eが連通するとともに、通路66dと流体貯留部30
bが連通する。この結果、油圧ポンプ60によって通路
66bに吐出された作動流体は、通路66c、通路66
e、通路641、ポンプ42とタービン43とによって
形成される作動室4a、内側室40b、外側室40a、
通路461、通路66dを通して流体貯留部30bに循
環される。このように作動流体が循環するときは、内側
室40bの流体圧が外側室40aの流体圧より高いの
で、ロックアップクラッチ50は上述したように摩擦係
合する(ロックアップクラッチ接)。なお、ロックアッ
プクラッチ用電磁切換弁682は、付勢(ON)された
状態において通路66bの作動流体圧力が所定値より低
くロックアップクラッチ用方向制御弁681に作用する
パイロット圧が低い場合には、ロックアップクラッチ用
方向制御弁681が中間位置に位置付けられて、通路6
6cが通路66dおよび通路66eと連通するように構
成されている。この作動形態に関連して、通路66eと
戻り通路66gとを連通するバイパス通路66hが設け
られており、このバイパス通路66hに絞り72が配設
されている。従って、油圧ポンプ60の回転速度が低く
通路66bの作動流体圧力が所定値より低い場合には、
通路66bに吐出された作動流体は、通路66c、通路
66e、絞り72を備えたバイパス通路66hを通して
循環される。
【0029】図示の実施形態における流体作動手段6
は、上記通路66aと通路66bを結ぶリリーフ通路6
6jを備えており、このリリーフ通路66jにリリーフ
弁73が配設されている。なお、リリーフ弁73は、開
弁圧が上記ロックアップクラッチ50のON時において
上記クラッチディスク51に装着されたクラッチフェー
シング52がケーシング41に押圧されて摩擦係合する
に必要な流体圧である例えば6kg/cm2 に設定さ
れており、通路66b内の作動流体圧が6kg/cm2
を越えると作動流体をリリーフ通路66jを介して通
路66aに戻す。
【0030】図示の実施形態における流体作動手段6
は、上記湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815に連通
された通路816、622と上記通路66bとを連絡す
る通路66kおよび通路66mを備えている。この通路
66kと通路66mとの間に摩擦クラッチ用電磁切換手
段74が配設されている。摩擦クラッチ用電磁切換手段
74は、図3に示す実施形態においては摩擦クラッチ用
方向制御弁741と摩擦クラッチ用電磁切換弁742と
からなっている。摩擦クラッチ用方向制御弁741は、
摩擦クラッチ用電磁切換弁742によって制御されるパ
イロット圧の作用で切換わるように構成されており、パ
イロット圧が作用していない状態では湿式多板摩擦クラ
ッチ8の液圧室815を開放している。そして、摩擦ク
ラッチ用方向制御弁741は、パイロット圧が作用する
と上記通路66kと通路66mとが連通するように、即
ち油圧ポンプ60と湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室8
15とを連通するように切換わる。なお、パイロット圧
によって切換わる摩擦クラッチ用方向制御弁741の切
換圧力は、図示の実施形態においてはディーゼルエンジ
ン2の始動時におけるスタータモータによるクランキン
グ回転速度で油圧ポンプ60が駆動された状態で発生す
る作動流体圧力より高い値に設定されている。
【0031】上記摩擦クラッチ用方向制御弁741とと
もに摩擦クラッチ用電磁切換手段74を構成する摩擦ク
ラッチ用電磁切換弁742は、上記通路66bと摩擦ク
ラッチ用方向制御弁741とを連絡するパイロット通路
66nに配設されている。摩擦クラッチ用電磁切換弁7
42は、除勢(OFF)されているときには図3に示す
ようにパイロット通路66nを連通しており、付勢(O
N)されるとパイロット通路66nの開放するように構
成されている。なお、上記摩擦クラッチ用方向制御弁7
41はパイロット圧が作用していない状態では通路66
kと通路66mとの連通を遮断しており、パイロット圧
が作用すると通路66kと通路66mとを連通するよう
に構成されている。従って、摩擦クラッチ用電磁切換弁
742が除勢(OFF)されているときには、摩擦クラ
ッチ用方向制御弁741にパイロット圧が作用している
ので、摩擦クラッチ用方向制御弁741は通路66kと
通路66mとを連通する。この結果、油圧ポンプ60に
よって通路66bに吐出された作動流体が通路66k、
通路66m、通路622、816を介して湿式多板摩擦
クラッチ8の液圧室815に供給されるので、上記のよ
うに押圧ピストン84が圧縮コイルばね86のばね力に
抗して図1および図2において右方の移動せしめられ、
複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とが押圧され
互いに摩擦係合する。一方、摩擦クラッチ用電磁切換弁
742が付勢(ON)されるとパイロット通路66nの
連通が遮断され、摩擦クラッチ用方向制御弁741にパ
イロット圧が作用しないので、通路66kと通路66m
との連通が遮断されるとともに、通路66mが流体貯留
部30bに開放される。この結果、湿式多板摩擦クラッ
チ8の押圧ピストン84は圧縮コイルばね86のばね力
によって図1および図2において左方移動せしめられる
ため、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87との擦
係合が解除される。
【0032】なお、摩擦クラッチ用電磁切換弁742の
付勢(ON)および除勢(OFF)の制御は、手動変速
機10の変速時に図示しない制御手段によって行われ
る。即ち、図示の実施形態における湿式多板摩擦クラッ
チ8は自動クラッチシステムを構成しており、図示しな
い制御手段は運転者が手動変速機10の変速操作を行う
際に、図示しない変速レバーに装着された変速指示スイ
ッチをONしたことによる信号に基づいて摩擦クラッチ
用電磁切換弁742を付勢(ON)し、湿式多板摩擦ク
ラッチ8による動力伝達を遮断する。そして、図示しな
い制御手段は変速機のシフト操作が終了した時点で、図
示しないシフトストロークセンサからのシフト終了信号
に基づいて摩擦クラッチ用電磁切換弁742を除勢(O
FF)し、湿式多板摩擦クラッチ8を擦係合する。
【0033】図示の実施形態における流体作動手段6
は、上記摩擦クラッチ用方向制御弁741と油圧ポンプ
60と連通された通路66bとを結ぶ通路66kに配設
された絞り76を備えている。この絞り76の作用効果
について説明する。先ず、湿式多板摩擦クラッチ8を接
状態から断する場合は、摩擦クラッチ用電磁切換弁74
2を付勢(ON)してパイロット通路66nを開放す
る。パイロット通路66nが開放されると、上述したよ
うに摩擦クラッチ用方向制御弁741が湿式多板摩擦ク
ラッチ8の液圧室815を開放するように切換わる。こ
の結果、湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815内の作
動流体は、通路816、622、66mおよび摩擦クラ
ッチ用方向制御弁741と介して流出するため、迅速に
クラッチが断される。このクラッチ断時においては、上
記絞り76は摩擦クラッチ用電磁切換弁742より油圧
ポンプ60側に配設されているので、クラッチの断動作
に影響を及ぼさない。
【0034】次に、湿式多板摩擦クラッチ8を断状態か
ら接する場合は、摩擦クラッチ用電磁切換弁742を除
勢(OFF)してパイロット通路66nを連通して摩擦
クラッチ用方向制御弁741にパイロット圧を作用せし
める。この結果、摩擦クラッチ用方向制御弁741は通
路66kと通路66mとが連通するように、即ち油圧ポ
ンプ60と湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815とを
連通するように切換わる。このとき、油圧ポンプ60の
容量が小さいと通路66bおよび66kのライン圧が一
時低下するため、パイロット通路66nの圧力も低下す
るので、摩擦クラッチ用方向制御弁741の作動が不安
定となる。しかるに、図示の実施形態においては、摩擦
クラッチ用方向制御弁741と油圧ポンプ60と連通さ
れた通路66bとを結ぶ通路66kに絞り76が配設さ
れているので、通路66kが湿式多板摩擦クラッチ8の
液圧室815と連通しても、絞り効果によって通路66
bのライン圧の急激な低下はない。従って、パイロット
通路66nの圧力変動も少ないので、摩擦クラッチ用方
向制御弁741を図3に示す切換え状態に維持すること
ができる。このように、摩擦クラッチ用方向制御弁74
1と油圧ポンプ60と連通された通路66bとを結ぶ通
路66kに絞り76を配設することにより、クラッチ接
続時におけるライン圧の急激な低下を防ぐことができる
ので、油圧ポンプ60を必要最小限の容量にすることが
可能となる。
【0035】図示の実施形態における流体作動手段6
は、上記通路66bと上記流体継手4の出力軸46の外
周面と上記ポンプハウジング62のボス部621との間
に形成された通路891とを連絡する通路66pを備え
ている。このため、油圧ポンプ60によって通路66b
に吐出された作動流体は、通路66pを通して通路89
1に常時供給される。従って、油圧ポンプ60の作動時
には通路891に供給された作動流体が上述したように
上記スプライン嵌合部および上記各軸受を潤滑するとと
もに、湿式多板摩擦クラッチ8の複数枚の摩擦板83お
よび複数枚の摩擦板87に供給される。このように、流
体継手4に作動流体を循環せしめる流体作動手段6は、
作動流体を湿式多板摩擦クラッチ8の各軸受等を潤滑す
るとともに、複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板
87に冷却液として供給する。従って、湿式多板摩擦ク
ラッチ8の摩擦板を冷却するために冷却液供給装置を別
途設ける必要はないとともに、摩擦板に供給される流体
継手4の作動流体は摩擦特性が良好であるため良好な摩
擦クラッチ特性を維持することができる。
【0036】次に、手動変速機10について図1を参照
して説明する。図示の実施形態における手動変速機10
は、平行軸式歯車変速機からなり、ケース100と、該
ケース100内に配設され上記湿式多板摩擦クラッチ8
のクラッチセンタ82を装着した入力軸101と、該入
力軸101と同一軸上に配設された出力軸122と、該
出力軸102と平行に配設されたカウンターシャフト1
03とを具備している。入力軸101には駆動歯車10
4が配設され、出力軸12には変速歯車105a、10
5b、・・・が配設されているとともに、同期噛合装置
106a、106b、・・・が配設されている。また、
カウンターシャフト103には、上記駆動歯車104お
よび変速歯車105a、105b、・・・と常時噛み合
うカウンター歯車107a、107b、107c、・・
・が設けられている。なお、上記入力軸101は、上記
継手ハウジング3の仕切り壁31に設けられた穴311
を貫通して配設され、その一端部が上記流体継手4の出
力軸46に軸受108を介して回転自在に支持されてお
り、その中間部が軸受109を介して継手ハウジング3
に回転自在に支持されている。上記継手ハウジング3の
仕切り壁31に設けられた穴311の内周面と入力軸1
01との間には、オイルシール110が配設されてい
る。このオイルシール110により継手ハウジング3の
摩擦クラッチ収容室3b内のクラッチ冷却液が手動変速
機10のケース100内に侵入すること、および手動変
速機10のケース100内の潤滑油が摩擦クラッチ収容
室3b内に侵入することが防止される。
【0037】図示の実施形態における車両用動力伝達装
置は以上のように構成されており、以下その作動につい
て説明する。先ず、車両の発進動作について説明する。
ディーゼルエンジン2が始動されアイドリング状態にお
いては摩擦クラッチ用電磁切換弁742は除勢(OF
F)されており、湿式多板摩擦クラッチ8は上述したよ
うに摩擦係合されている。なお、ロックアップクラッチ
用電磁切換弁682は除勢(OFF)されており、上述
したように流体継手4のロックアップクラッチ50は摩
擦係合しない(ロックアップクラッチ断)。従って、エ
ンジン2は流体継手4の滑りによってアイドリング回転
が維持されている。車両を発進するために運転者が図示
しない変速レバーに装着された変速指示スイッチをON
すると、上述したように摩擦クラッチ用電磁切換弁74
2が付勢(ON)され、湿式多板摩擦クラッチ8による
動力伝達が遮断される。湿式多板摩擦クラッチ8による
動力伝達が遮断されている間に変速レバーによる変速操
作が行われ、手動変速機10が発進段に投入されると、
上述したように摩擦クラッチ用電磁切換弁742が除勢
(OFF)され、湿式多板摩擦クラッチ8を摩擦係合す
る。この状態で図示しないアクセルペダルを踏み込みエ
ンジン回転速度を増大すると、ディーゼルエンジン2の
クランク軸21(入力軸)に発生した駆動力は、上述し
たようにドライブプレート44を介して流体継手4のケ
ーシング41に伝達される。ケーシング41とポンプ4
2のポンプシェル421は一体的に構成されているの
で、上記駆動力によってポンプ42が回転せしめられ
る。ポンプ42が回転するとポンプ42内の作動流体は
遠心力によりインペラ422に沿って外周に向かって流
れ、矢印で示すようにタービン43側に流入する。ター
ビン43側に流入した作動流体は、中心側に向かって流
れ矢印で示すようにポンプ42に戻される。このよう
に、ポンプ42とタービン43とによって形成される作
動室4a内の作動流体がポンプ42とタービン43内を
循環することにより、ポンプ42側の駆動トルクが作動
流体を介してタービン43側に伝達される。タービン4
3側に伝達された駆動力は、タービンシェル431およ
びタービンハブ47を介して出力軸46に伝達され、更
に上記湿式多板摩擦クラッチ8を介して変速機10に伝
達され、車両を発進することができる。
【0038】次に、車両用動力伝達装置の変速時の動作
について説明する。車両が走行中に手動変速機10を所
定の変速段へ変速する場合は、運転者が図示しない変速
レバーに装着された変速指示スイッチをONすると、上
述したように摩擦クラッチ用電磁切換弁742が付勢
(ON)され、上述したように湿式多板摩擦クラッチ8
による動力伝達が遮断される。湿式多板摩擦クラッチ8
による動力伝達が遮断されている間に変速レバーによる
変速操作が行われ、手動変速機10のが所定の変速段へ
投入される。このとき、同期噛合装置106によって出
力軸102の回転速度と所定の変速歯車105の回転速
度を同期させるが、この同期作用は変速歯車105と伝
動連結されている摩擦クラッチの構成部材の回転慣性が
大きい(同期負荷が大きい)と長時間を要し、回転慣性
が小さい(同期負荷が小さい)程短時間で同期させるこ
とができる。しかるに、図示の実施形態においては、変
速歯車105と伝動連結されている入力軸101には回
転慣性の小さい(同期負荷が小さい)クラッチセンタ8
2が装着されているので、同期作用が短時間で行われ変
速時間を短縮することができる。
【0039】上記のようにして出力軸102の回転速度
と所定の変速歯車105の回転速度が同期して所定の変
速段へのシフトが完了したら、上述したように摩擦クラ
ッチ用電磁切換弁742が除勢(OFF)され、湿式多
板摩擦クラッチ8が摩擦係合せしめられる。このとき、
パイロット圧の作用で摩擦クラッチ用方向制御弁741
は通路66kと通路66mとが連通するように切換わり
油圧ポンプ60と湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室81
5とを連通するが、摩擦クラッチ用方向制御弁741と
油圧ポンプ60と連通された通路66bとを結ぶ通路6
6kに絞り76が配設されているので、絞り効果によっ
て通路66bのライン圧の急激な低下はない。従って、
パイロット通路66nの圧力変動も少ないので、摩擦ク
ラッチ用方向制御弁741を図3に示す切換え状態に維
持することができ、安定したクラッチ接続動作が実行さ
れる。
【0040】次に、上記流体作動手段6の他の実施形態
について、図4を参照して説明する。図4に示す実施形
態は、図3に示す実施形態における絞り76と摩擦クラ
ッチ用方向制御弁741とを結ぶ通路にアキュームレー
タ77を配設したものであり、他の構成は図3に示す実
施形態と実質的に同一である。図4に示す実施形態にお
いては、絞り76と摩擦クラッチ用方向制御弁741と
を結ぶ通路にアキュームレータ77を配設したので、湿
式多板摩擦クラッチ8を断状態から接操作する場合に摩
擦クラッチ用方向制御弁741を切換えて通路66kと
通路66mとを連通したとき、アキュームレータ77に
蓄圧された作動流体が湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室
815に供給される。従って、クラッチ接続時における
応答性を確保することができる。このようにしてクラッ
チ接続時にアキュームレータ77に蓄圧された作動流体
は消費されるが、アキュームレータ77には次の変速操
作が実行されるまでの間に作動流体が蓄圧される。
【0041】以上、本発明を図示の実施形態に基づいて
説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるもので
はなく、本発明の主旨の範囲で種々の変形は可能であ
る。実施形態においては、エンジンと湿式摩擦クラッチ
との間に流体継手を配設した動力伝達装置に本発明を適
用した例を示したが、流体継手を有しない動力伝達装置
に本発明を適用しても同様の作用効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】本発明による動力伝達装置は以上のよう
に構成されているので、以下に述べる作用効果を奏す
る。
【0043】即ち、本発明によれば、油圧ポンプと湿式
摩擦クラッチの液圧室を連通する通路に配設されパイロ
ット圧の作用によって作動せしめられる摩擦クラッチ用
方向制御弁と油圧ポンプ間を結ぶ通路に絞りを配設した
ので、湿式摩擦クラッチを接状態から断する場合は、パ
イロット圧が開放され摩擦クラッチ用方向制御弁が湿式
摩擦クラッチの液圧室を開放するように切換わるので、
絞りの影響を受けることなく、クラッチが迅速に断され
る。また、湿式摩擦クラッチを断状態から接する場合
は、摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧が作用し
て油圧ポンプと湿式摩擦クラッチの液圧室とを連通する
ように切換わるが、上記絞りの作用により該絞りから油
圧ポンプまでのライン圧が急激に大きく低下することは
ない。従って、パイロット圧の変動も少ないので、摩擦
クラッチ用方向制御弁の切換え状態を安定して維持する
ことができる。このように、上記絞りの効果によりクラ
ッチ接続時におけるライン圧の急激な低下を防ぐことが
できるので、油圧ポンプを必要最小限の容量にすること
が可能となる。
【0044】また本発明においては、上記絞りと摩擦ク
ラッチ用方向制御弁とを結ぶ通路にアキュームレータを
配設したので、湿式摩擦クラッチを断状態から接操作す
る場合に摩擦クラッチ用方向制御弁を切換えて油圧ポン
プと湿式摩擦クラッチの液圧室を連通したとき、アキュ
ームレータに蓄圧された作動流体が湿式摩擦クラッチの
液圧室に供給される。従って、クラッチ接続時における
応答性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された動力伝達装置の縦断
面図。
【図2】図1に示す動力伝達装置の要部拡大断面図。
【図3】図1の動力伝達装置に装備される流体作動手段
の一実施形態を示す流体回路図。
【図4】図1の動力伝達装置に装備される流体作動手段
の他の実施形態を示す流体回路図。
【符号の説明】
2:内燃機関 21:クランク軸 3:継手ハウジング 3a:継手ハウジングの仕切り壁 3b:継手ハウジングの中間壁 3a:流体継手収容室 3b:摩擦クラッチ収容室 30b:流体貯留部 4:流体継手 40:流体継手ハウジング 41:ケーシング 42:ポンプ 421:ポンプシェル 422:インペラ 43:タービン 431:タービンシェル 432:ランナ 44:ドライブプレート 45:リングギヤ 46:流体継手の出力軸 47:タービンハブ 48:ポンプハブ 50:ロックアップクラッチ 51:クラッチディスク 55:ダンパースプリング 56:入力側リテーナ 57:出力側リテーナ 6:流体作動手段 60:油圧ポンプ 61、62:ポンプハウジング 67:フィルタ 68:ロックアップクラッチ用電磁切換手段 681:ロックアップクラッチ用方向制御弁 682:ロックアップクラッチ用電磁切換弁 70:逆止弁 71:冷却器 72:絞り 73:リリーフ弁 74:摩擦クラッチ用電磁切換手段 741:摩擦クラッチ用方向制御弁 742:摩擦クラッチ用電磁切換弁 76:絞り 77:アキュームレータ 8:湿式多板擦クラッチ 81:クラッチアウタ 82:クラッチセンタ 83:擦板 84:押圧ピストン 86:圧縮コイルばね 87:擦板 10:変速機 100:変速機のケース 101:変速機の入力軸 102:変速機の出力軸 103:変速機のカウンターシャフト 104:駆動歯車 105a、105b、・・・:変速歯車 107a、107b、107c、・・・:カウンター歯

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンと変速機との間に配設された湿
    式摩擦クラッチと、該湿式摩擦クラッチに作動流体を供
    給するための流体作動手段とを具備する動力伝達装置に
    おいて、 該流体作動手段は、該エンジンの駆動力によって作動せ
    しめられる油圧ポンプと、 該油圧ポンプと該湿式摩擦クラッチの液圧室を連通する
    通路に配設され、パイロット圧が作用していない状態で
    は該湿式摩擦クラッチの液圧室を開放し、パイロット圧
    が作用すると該油圧ポンプと該湿式摩擦クラッチの液圧
    室とを連通するように切換わる摩擦クラッチ用方向制御
    弁と、 該摩擦クラッチ用方向制御弁に作用せしめるパイロット
    圧を制御する摩擦クラッチ用電磁切換弁と、 該摩擦クラッチ用方向制御弁と該油圧ポンプ間を結ぶ通
    路に配設された絞りと、を具備している、 ことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 該絞りと該摩擦クラッチ用方向制御弁と
    を結ぶ通路には、アキュームレータが配設されている、
    請求項1記載の動力伝達装置。
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