JP2001277249A - 成形金型用薄膜及び金型 - Google Patents

成形金型用薄膜及び金型

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JP2001277249A
JP2001277249A JP2000090560A JP2000090560A JP2001277249A JP 2001277249 A JP2001277249 A JP 2001277249A JP 2000090560 A JP2000090560 A JP 2000090560A JP 2000090560 A JP2000090560 A JP 2000090560A JP 2001277249 A JP2001277249 A JP 2001277249A
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mold
thin film
film
molding die
molding
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JP2000090560A
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Takeshi Oba
丈司 大場
Yukihiro Kusano
行弘 草野
Kunio Machida
邦郎 町田
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Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 CNx(但し、0.0000001<x
<5である。)で表される組成を有し、金型表面に成膜
されてなることを特徴とする樹脂成形金型用又はゴム成
形金型用薄膜及びこの薄膜を表面に形成してなる成形用
金型。 【効果】 高硬度、高耐磨耗性、低摩擦係数の特性をも
つ極めて有効な成形金型用薄膜であり、この薄膜を金型
表面に成膜することにより、高い耐久性と良好な離型性
を兼ね備えた高品質な樹脂成形用金型又はゴム成形用金
型が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形金型用薄膜及
び金型に関し、更に詳述すると、高硬度、高耐磨耗性、
低摩擦係数の優れた特性をもつ樹脂成形金型用又はゴム
成形金型用薄膜、及びこの薄膜を表面に形成してなる高
い耐久性と良好な離型性を兼ね備えた樹脂成形用又はゴ
ム成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】樹脂成
形用又はゴム成形用金型には、一般に耐磨耗性、高精
度、離型性及び耐蝕性等の性能が必要とされる。特に樹
脂成形用金型では、成形品の品質及びコストを高い次元
で維持するため、耐磨耗性が最も重要な性能であるとさ
れている。
【0003】このため、金型表面を種々の薄膜で被覆し
て保護することにより、金型の耐磨耗性を向上させるこ
とが行われている。例えば、一般にB,C,N等の軽い
元素又はそれらの化合物は低イオン性であり、原子間距
離が短く、超硬質薄膜材料として適していることが知ら
れている(T Lundsteum,YG Andre
ev,Mater.Sci.Eng.A209(199
6)p16−22.)。また、ダイアモンドは現存する
最も硬い材料であり、cubic−BNはダイアモンド
に次ぐ硬い材料として知られている。更に近年、ダイア
モンド様カーボン(DLC:Diamond Like
Carbon)を金型保護膜とすることが提案されて
いる(特開平5−117856号公報、特開平5−12
4825号公報)。
【0004】しかしながら、上記ダイアモンド及びDL
C保護膜は、その内部ストレスが大きいことに起因して
金型基体表面への結合力が比較的弱いと共に、熱膨張率
が金型金属と大きく異なることが多いため、外力及び加
熱と冷却との繰返しにより、金型表面から膜が剥離し易
くなる。また、ダイアモンド及びDLC保護膜はほぼ1
00%炭素で構成されているため高温環境で酸化され易
く、金型保護膜として十分な効果を発揮し得ないという
問題がある。更に、上記cubic−BNは合成するこ
とが難しい上に、金型基体表面に形成した場合、膜が基
体から剥がれ易いという問題がある。
【0005】一方、ゴム成形用金型においては、耐久性
と同時に離型性にも優れていることが要求されている。
この場合、耐久性を高める目的で金型表面にカーボンコ
ーティングを施すことが可能であるが、離型性は不十分
であり、耐久性と離型性とを同時に満たす金型保護膜は
得られていない。
【0006】このように従来の金型用保護薄膜は、いず
れも耐久性及び離型性の点で十分満足できる性能を有す
るものではなく、更なる高性能な成形用金型薄膜の改
良、開発が望まれている。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、高硬度、高耐磨耗性、低摩擦係数の優れた特性をも
つ樹脂成形金型用又はゴム成形金型用薄膜、及びこの薄
膜を表面に形成してなる高い耐久性と良好な離型性を兼
ね備えた樹脂成形用又はゴム成形用金型を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結
果、炭素と窒素とからなる組成を有するCNx薄膜が、
高硬度、高耐磨耗性、低摩擦係数の優れた特性を備えて
おり、この薄膜を表面に形成してなる樹脂成形用金型又
はゴム成形用金型は優れた高い耐久性と良好な離型性を
兼ね備えており、高品質の成形品を効率よく成形できる
ことを知見した。
【0009】即ち、本発明は、下記の成形金型用薄膜及
び金型を提供する。 請求項1:CNx(但し、0.0000001<x<5
である。)で表される組成を有し、金型表面に成膜され
てなることを特徴とする樹脂成形金型用又はゴム成形金
型用薄膜。 請求項2:押し込み硬さ試験による硬度が0.1〜12
0GPa、弾性率が1〜500GPaである請求項1記
載の成形金型用薄膜。 請求項3:厚みが1nm〜0.1mmである請求項1又
は2記載の成形金型用薄膜。 請求項4:金型表面にCVD法(化学的気相成長法)に
より成膜して得られる請求項1乃至3のいずれか1項記
載の成形金型用薄膜。 請求項5:金型表面にPVD法(物理的気相成長法)に
より成膜して得られる請求項1乃至3のいずれか1項記
載の成形金型用薄膜。 請求項6:金型表面にスパッタ法により成膜して得られ
る請求項5記載の成形金型用薄膜。 請求項7:請求項1乃至6のいずれか1項記載の薄膜を
表面に形成してなることを特徴とする樹脂成形用又はゴ
ム成形用金型。
【0010】本発明のCNx(但し、0.000000
1<x<5である。)で表される組成を有する薄膜は、
従来のDLC膜に比べると内部ストレスが小さく、金型
基材表面との接着性が良好で剥離し難いものであると共
に、熱膨張率がカーボンほぼ100%のDLC膜に比べ
て金型基材の金属に近いため、加熱と冷却とを繰り返す
熱サイクルによる膜剥離の発生が起こりにくいものであ
る。しかも、本発明薄膜は、摩擦係数が比較的小さく、
従来のカーボン膜、DLC膜に比べて離型性に優れたも
のである。従って、本発明のCNx膜を表面に形成した
金型は、高い耐久性と良好な離型性を兼ね備えており、
樹脂成形用又はゴム成形用として好適なものである。
【0011】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明の樹脂成形金型用又はゴム成形金型用薄膜
は、CNx(但し、0.0000001<x<5であ
る。)で表される組成を有し、金型表面(特にキャビテ
ィ表面)に成膜されてなるものである。この場合、金型
基材としては、特に制限されず、通常の樹脂成形用金型
又はゴム成形用金型に用いられる炭素鋼S50C,S5
5C等、クロムモリブデン鉄鋼SCM4等、炭素工具鋼
SK7等、一般構造用圧延鋼SS34,SS41などを
目的に合せて用いることができる。
【0012】ここで、CNxのxは窒素原子の存在割合
を示し、0.0000001<x<5、好ましくは0.
001<x<4、より好ましくは0.01<x<1.4
であり、本発明のCNx膜は理想的にはC34(x=
1.33)に限りなく近い組成を有することが好まし
い。xが上記範囲を下回るとダイヤモンド膜、DLC
膜、カーボン膜としての物性を示し、従来の薄膜との差
異が明らかにならない。一方、xが上記範囲を上回ると
化学的に不安定な組成の膜となる。
【0013】本発明のCNx膜は、上記組成からなる
が、成膜方法及び成膜条件によっては10重量%以下の
割合で不純物が混入する場合がある。特に後述するCV
D法において原料ガスに水素を含むガスを用いた場合に
は、膜中に水素が混入し易い。また水素以外の不純物元
素としては、酸素、鉄、フッ素、クロム、銅、硫黄など
が挙げられるがこれらに限られるものではない。
【0014】本発明薄膜は、押し込み硬さ試験による硬
度が0.1〜120GPa、好ましくは4〜80GP
a、より好ましくは5〜50GPaである。また押し込
み硬さ試験による弾性率が1〜500GPa、好ましく
は20〜400GPa、より好ましくは50〜300G
Paである。薄膜の硬度及び弾性率が上記範囲を下回る
と薄膜の強度、耐久性が不十分となり、本発明の目的及
び作用効果を奏し得ない場合がある。
【0015】ここで、押し込み硬さ試験による硬度及び
弾性率は、通常ナノインデンテーションと呼ばれる方法
で測定した値である。この方法は、圧子(インデンタ)
を測定材料(薄膜)表面に押し付けて荷重を準静的に変
化させたときの荷重と圧子の位置(変位)を正確に測定
することにより硬度及び弾性率を求めるものである。
【0016】この硬度(H)及び弾性率(E)は下記式
で定義される。 H=Pmax/A …(1) E=(π/2A)1/2dP/dh …(2) (但し、Pmaxは最大荷重(最大変位時の荷重)、Aは
最大荷重時の圧子の接触面積、hは圧子の変位(押し込
み深さ)を示す。)
【0017】具体的には、圧子を最大荷重まで測定材料
表面に押し付け(loading)てから離す(unl
oading)までの荷重(Load)−変位(dis
placement)曲線において、unloadin
gでの最大荷重時の傾きをdP/dhとする。従って、
最大荷重時の圧子の接触面積(A)を求めることができ
れば、荷重(Load)−変位(displaceme
nt)曲線から求めたPmax値及びdP/dh値と上記
(1),(2)式から硬さ及び弾性率を求めることがで
きる。この場合、接触面積(A)を求める方法としては
公知のいかなる方法でもよいが、特に下記〜に示し
た方法が好ましい。 unloading後の材料表面の圧子の痕跡から接
触面積を求める方法。 最大荷重時の圧子(インデンタ)の変位から接触面積
を見積もる方法〔Depth sensing met
hod(N.Axen,GA Botton,HQ L
ou,RE Somekh,IM Hutching
s,Surf.Coat.Technol.,81(1
996)262−268.)〕。 unloading初期の接線とDisplacem
ent軸との交わる点heから接触面積を求める〔Do
erner&Nixの方法(MF Doerner,W
D Nix,J.Mater.Res.,1(198
6)601−609.〕。 unloading曲線をn次関数で近似して接触面
積を求める方法〔Oliver&Pharrの方法(W
C Oliver,GM Pharr J.Mate
r.Res., (1992)1564−158
3.)〕。
【0018】この場合、圧子としてはビッカース、ヌー
プ、ベルコビッチ型、球状等の汎用のいずれのタイプの
圧子を用いてもほぼ同様の結果が得られる。また、圧子
の最大変位(圧子が測定材料表面に接触してから最大荷
重をかけた位置までの圧子の変位)を100nmとして
測定した。なお、膜厚が1000nm未満の場合には下
地の金型金属基材の影響が無視できなくなるので、膜厚
が1000nm未満のときは測定せず、同一条件で膜厚
が1000nmのときの値と同じであると仮定した。
【0019】上記CNxの成膜方法としては、金型基材
上に薄膜を形成できれば特に制限されず、固相(hig
h pressure and high tempe
rature synthesis,pyrolysi
s,shock compression)、固相/液
相(反応性クエンチング)、液相、気相での合成、及び
炭素材料表面へのイオン照射又は打ち込みなどの薄膜形
成技術を用いることができる。例えばCVD法、PVD
法、スパッタ法、電気分解法(electrolysi
s,electrodeposition)、レーザー
アブレーション法、イオンビーム蒸着法、アクティべィ
ティドリアクティブ蒸着法、分子線エピキタシー(MB
E)、電子ビーム(EB)加熱蒸着、真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法、アーク蒸着法、反応性蒸着法など
の公知の薄膜形成技術を目的に応じて適宜採用すること
ができる。これらの中でも、結晶性の高い膜を得るため
には化学的気相成長(CVD)法が好ましい。また、均
一低温成膜性、基材の自由度、制御性の点からグロー放
電スパッタ(単にスパッタ又はスパッタリングともい
う)法が好ましい。
【0020】上記CVD法には、熱CVD(単にCVD
とも呼ばれる)、ホットフィラメントCVD、プラズマ
エンハンストCVD(プラズマアシステッドCVD、プ
ラズマCVDとも呼ばれる)、プラズマエンハンストホ
ットフィラメントCVD、レーザーエンハンストCVD
(レーザーCVDとも呼ばれる)などがある。
【0021】この場合、ホットフィラメントCVDは、
フィラメント温度が1200〜3000℃、より好まし
くは2000〜2500℃であり、フィラメントの熱に
より原料ガスの分解を促進するものである。プラズマエ
ンハンストCVD(PECVD)は、プラズマの励起に
は通常高周波(RF)が好適に用いられるが、低周波、
マイクロ波(MW)又は直流(DC)を用いることもで
き、このプラズマにより原料ガスの分解を促進するもの
である。高周波プラズマの出力は0.1〜1000W/
cm3程度である。その他リモートPECVD、ホロー
カソードPECVD、ヘリカルリソネータPECVD、
RFプラズマジェットCVD、インダクティブトーチ、
DCアークプラズマジェットCVD、エクスパンディン
グ サーマルプラズマなどもプラズマエンハンストCV
D(PECVD)の一種である。レーザーエンハンスト
CVDは、炭酸ガスレーザー、エキシマ(KrF,Ar
F)レーザー、copper bromide vap
our レーザーなどを用いて原料ガスの分解を促進す
るものである。
【0022】具体的には、CVD法では、炭素源として
は公知の炭素含有ガスを用いることができるが、特にメ
タン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、ブタン、イソ
プロパノール、C1016、CS2、C60等の炭素材料を
用いることが好ましい。窒素源としてはNH3、N2など
が好適に用いられる。またNCN3、NCCN,シアン
化ハロゲン(ClCN、BrCN等)などを用いて炭素
と窒素とを単一の材料で同時供給することもできる。こ
れら炭素源及び窒素源ガスは、必要に応じてアルゴン、
ヘリウム等の不活性ガス、水素などで希釈して用いるこ
とが好ましい。
【0023】上記スパッタリング法としては、イオンビ
ームスパッタ、グロー放電スパッタ、2極スパッタ、マ
グネトロンスパッタ、アイオナイズドマグネトロンスパ
ッタなどがある。
【0024】具体的には、ターゲットとしてグラファイ
ト又はカーボンを用い、窒素源として公知の窒素含有ガ
スを用いることができるが、特に窒素ガス、窒素イオ
ン、NH3又はこれらの混合ガスを用いることが好まし
い。必要に応じて窒素源ガスをAr、He、Ne、Kr
等の不活性ガスで希釈しても構わない。中でも、窒素ガ
ス、又は窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガス(窒素分
圧0.001〜100体積%、特に1〜100体積%)
を用いることが好ましい。窒素ガスとアルゴンガスとの
混合ガス中の窒素分圧が高すぎると、生成するCNx
中のsp及びsp2混成軌道炭素が増加して膜が軟らか
くなる傾向がある。必要に応じて、基材に直流電圧又は
交流バイアス電圧を印加してもよい。直流電源の場合に
は、−1kV〜+1kVの電圧が好ましい。交流電源の
場合には、パルス電源又は高周波(RF)電源が好まし
い。
【0025】ガス圧はスパッタできる圧力であればいか
なる値でも構わないが、通常0.01〜500Pa、特
に0.1〜300Paであることが好ましい。電源周波
数(ターゲットへの供給)は、公知の直流、交流のいず
れを用いてもよい。一般に、直流電源、高周波(RF)
電源などが用いられるが、パルス電源を用いることもで
きる。
【0026】上記アイオナイズドマグネトロンスパッタ
は、ターゲットと基材との間に誘導性プラズマを発生さ
せてスパッタ中の粒子や雰囲気を活性化することによ
り、成膜するものである。このスパッタ法によれば、窒
素/不活性ガス混合系では基材へのバイアス効果がより
顕著になる。
【0027】上記電気分解法(electrolysi
s,electrodeposition)は、例えば
メタノール/アンモニア溶液、アセトニトリル等を電解
液として用い、金型基材表面に電圧を印加することによ
りCNx膜を成膜することができる。
【0028】上記レーザーアブレッション法は、大出力
紫外線レーザー(Nd:YAGレーザー,CO2レーザ
ー)、エキシマレーザー(ArF,KrF,XeCl)
などにより固体を気化して成膜する方法である。例えば
窒素ガス又はアンモニアガス雰囲気下でレーザー照射す
ることによりグラファイトを気化してCNxを合成す
る。更にカーボンナイトライドのポリマーを直接気化し
てCNx膜を成膜することもできる。
【0029】上記真空蒸着法は、真空中でC及びNを含
むプリカーサを抵抗加熱又は電子線加熱により気化して
CNx膜を成膜する方法である。
【0030】上記アクティべィティドリアクティブ蒸着
法は、グラファイトを電子線加熱により気化し、窒素プ
ラズマと反応させてCNx膜を成膜する方法である。
【0031】上記アーク蒸着(アークイオンプレーティ
ング)法は、カーボン製の電極にアーク放電を起こして
カーボンを気化し、窒素、アンモニア、ピロール(C4
5N)等を含む雰囲気下で窒化して、CNxを合成す
る。
【0032】上記イオンアシステッド蒸着法は、グラフ
ァイトをレーザーアブレーション、スパッタリング、マ
グネトロンスパッタリング、電子ビーム蒸着法、陽極ア
ーク蒸着法等により気化し、金型基材表面にカーボンを
成膜すると同時に、窒素イオンを照射してCNx膜を成
膜するものである。
【0033】上記イオンプレーティング法は、生成した
蒸着粒子(炭素原子、窒素原子)の一部をイオン化して
加速し、真空中の金型基材に蒸着粒子とそのイオンを照
射してCNx膜を成膜するものである。
【0034】上記イオンビーム蒸着(Ion Beam
Deposition)には、イオンビーム蒸着法と
イオン化クラスタビーム蒸着法とがあり、炭素源、窒素
源としてイオン(窒素イオン、炭素イオン、CN分子イ
オン)を金型基材表面に照射することにより、CNx
を成膜するものである。
【0035】上記プラズマ処理は、初めに金型基材表面
にカーボン膜を成膜し、このカーボン膜を窒素、アンモ
ニア等の窒素源を含むガスのプラズマで表面処理するこ
とにより、CNx膜を成膜することができる。また、何
れかの方法で成膜したCNx膜をプラズマ処理すること
により、CNx膜の材料物性を改質することもできる。
【0036】このようにして形成される本発明の薄膜の
厚みは1nm〜0.1mm、好ましくは50nm〜0.
01mmである。薄すぎると膜としての強度が不十分と
なる場合がある。一方、厚すぎると金型基材から剥がれ
易くなる場合がある。
【0037】なお、上記成膜前には、金型表面を十分に
清浄化することが望ましい。クリーニング方法として
は、溶剤洗浄の他、コロナ処理、プラズマ処理、プラズ
マ灰化などの放電処理が好適に用いられる。またいくつ
かのクリーニング方法を組み合わせて、洗浄効果を上げ
ることもできる。
【0038】本発明のCNx薄膜が表面に形成された金
型は、高い耐久性と良好な離型性を兼ね備えており、樹
脂成形用金型又はゴム成形用金型として好適なものであ
る。例えばポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリプロピレン、66ナイロン、
ポリエーテルイミド、ノルボルネン系ポリマー、シクロ
オレフィン系ポリマー等の樹脂成形、SBR、NBR、
NR等のゴム成形に用いることができるものである。
【0039】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。
【0040】〔実施例1〜47、比較例1〜10〕表1
(スパッタ法)及び表2(レーザーエンハンストCVD
法)の条件で、通常スパッタ法、CVD法に使用される
装置を使用して、常法により金型(一般構造用圧延鋼:
SS41)表面にCNx膜を成膜した。膜厚モニタ用サ
ンプル上に堆積した膜を接触式表面粗さ計で測定し、膜
厚を求めた。なお、成膜前に金型表面に付着している油
分等の汚れを取り除くため、アセトンとアルコールで拭
いた後、アルゴンガスの高周波プラズマ(13.56M
Hz、10Pa)で充分にクリーニングを行った。
【0041】
【表1】 スパッタ法 注:成膜中、金型は故意には加熱しなかった。また、金
型基板及び基板ホルダの電位はフローティングとした。
実施例37〜40のアイオナイズドマグネトロンスパッ
タにおいて、コイルによるRFプラズマは周波数13.
56MHz、100Wである。
【0042】
【表2】 レーザーエンハンストCVD法 *レーザー光エネルギー密度は、レーザーの種類等によ
り異なり一概には規定できないが通常〜109W/cm2
であり、レーザー照射時間は膜厚1000nmになるよ
うに調整した。
【0043】得られた薄膜の硬度、弾性率を下記方法に
より測定した。結果を表4,5に示す。また、実施例1
〜47及び比較例1〜10の薄膜を形成した金型を用い
て樹脂成形時の耐久性、離型性を下記基準で評価した。
結果を表3に示す。またゴム成形時の耐久性、離型性を
下記基準で評価した。結果を表4,5に示す。
【0044】硬度、弾性率 ベルコビッチ型インデンターを用いて上記ナノインデン
テーション法により硬度と弾性率を測定した。なお、最
大荷重時の接触面積の見積りは、Oliver&Pha
rrの方法(WC Oliver,GM Pharr
J.Mater.Res., (1992)1564
−1583.)で行った。
【0045】樹脂成形時の耐久性、離型性 得られた金型を用いて、ポリカーボネート樹脂を樹脂温
度290℃、金型温度100℃の条件で1000回繰返
して射出成形後、金型及び成形品の耐久性及び離型性を
下記基準で評価した。なお、ポリカーボネート樹脂以外
のメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピ
レン、66ナイロン、ポリエーテルイミド、ノルボルネ
ン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマーについても
同様の結果が得られた。耐久性 ○:金型表面の薄膜の剥離が全く見られない △:金型表面の2%程度の領域に薄膜の剥離が見られる離型性 ○:成形品がスムーズに脱型できる △:脱型時に成形品表面に時々キズがついたり、剥離し
た薄膜が付着する ×:脱型時に成形品にキズがつきやすい
【0046】ゴム成形時の耐久性、離型性 得られた金型を用いて、下記ゴム配合1及びゴム配合2
のゴム組成物を下記加硫条件で100回繰り返して加硫
成形後、金型及び加硫ゴム成形体の耐久性及び離型性を
下記基準で評価した。 〔ゴム配合1〕 SBR(日本合成ゴム社製、1502) 50重量部 NR 50重量部 カーボンブラック 60重量部 硫黄 2重量部 亜鉛華 5重量部 老化防止剤*1 1重量部 加硫促進剤*2 1重量部 *1:N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD) *2:N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾール(NOBS) 加硫条件:150℃、30分 〔ゴム配合2〕 NBR(日本合成ゴム社製、N2305) 100重量部 カーボンブラック 60重量部 硫黄 2重量部 亜鉛華 5重量部 老化防止剤*3 1重量部 加硫促進剤*4 1重量部 鉱物油 2重量部 *3:N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン (NOCRAC 810−NA) *4:テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM) 加硫条件:150℃、20分耐久性 ○:膜の剥離なし △:金型表面の一部に膜の剥離が見られる離型性 ○:正常な加硫成形品ができる △:金型表面の一部に加硫ゴムが残り、加硫成形品表面
の一部(5%程度)に傷がついたり、薄膜の一部が付着
する ×:金型表面の一部に加硫ゴムが残り、加硫成形品表面
の一部(10%程度)に傷がついたり、薄膜の一部が付
着する
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】本発明のCNxの組成を有する薄膜は、
高硬度、高耐磨耗性、低摩擦係数の特性をもつ極めて有
効な成形金型用薄膜であり、この薄膜を金型表面に成膜
することにより、高い耐久性と良好な離型性を兼ね備え
た高品質な樹脂成形用金型又はゴム成形用金型が得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 101:00 B29K 101:00 Fターム(参考) 4F202 AA28 AA47 AJ01 AJ09 AJ14 CA11 CB01 CD22 4K029 AA02 BA54 BC00 BC02 BD04 BD05 CA05 DC34 DC35 DC39 FA04 4K030 AA03 AA09 AA13 BA41 CA02 DA03 FA07 LA01 LA21 LA23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CNx(但し、0.0000001<x
    <5である。)で表される組成を有し、金型表面に成膜
    されてなることを特徴とする樹脂成形金型用又はゴム成
    形金型用薄膜。
  2. 【請求項2】 押し込み硬さ試験による硬度が0.1〜
    120GPa、弾性率が1〜500GPaである請求項
    1記載の成形金型用薄膜。
  3. 【請求項3】 厚みが1nm〜0.1mmである請求項
    1又は2記載の成形金型用薄膜。
  4. 【請求項4】 金型表面にCVD法(化学的気相成長
    法)により成膜して得られる請求項1乃至3のいずれか
    1項記載の成形金型用薄膜。
  5. 【請求項5】 金型表面にPVD法(物理的気相成長
    法)により成膜して得られる請求項1乃至3のいずれか
    1項記載の成形金型用薄膜。
  6. 【請求項6】 金型表面にスパッタ法により成膜して得
    られる請求項5記載の成形金型用薄膜。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項記載の薄
    膜を表面に形成してなることを特徴とする樹脂成形用又
    はゴム成形用金型。
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