JP2001277250A - 成形金型用薄膜及び金型 - Google Patents

成形金型用薄膜及び金型

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JP2001277250A
JP2001277250A JP2000090565A JP2000090565A JP2001277250A JP 2001277250 A JP2001277250 A JP 2001277250A JP 2000090565 A JP2000090565 A JP 2000090565A JP 2000090565 A JP2000090565 A JP 2000090565A JP 2001277250 A JP2001277250 A JP 2001277250A
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mold
thin film
film
gas
molding die
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JP2000090565A
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Yukihiro Kusano
行弘 草野
Takeshi Oba
丈司 大場
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Bridgestone Corp
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 BCxy(但し、x,yは10-6<x<
106、かつ10-6<y<106を満たす数である。)で
表される組成を有し、金型表面に成膜されてなることを
特徴とする樹脂成形金型用又はゴム成形金型用薄膜及び
この薄膜を表面に形成してなる金型。 【効果】 高硬度、高耐磨耗性、低摩擦係数の特性をも
つ極めて有効な成形金型用薄膜であり、この薄膜を金型
表面に成膜することにより、高い耐久性と良好な離型性
を兼ね備えた高品質な樹脂成形用金型又はゴム成形用金
型が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形金型用薄膜及
び金型に関し、更に詳述すると、高硬度、高耐磨耗性、
低摩擦係数の優れた特性をもつ樹脂成形金型用又はゴム
成形金型用薄膜、及びこの薄膜を表面に形成してなる高
い耐久性と良好な離型性を兼ね備えた樹脂成形用又はゴ
ム成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】樹脂成
形用又はゴム成形用金型には、一般に耐磨耗性、高精
度、離型性及び耐蝕性等の性能が必要とされる。特に樹
脂成形用金型では、成形品の品質及びコストを高い次元
で維持するため、耐磨耗性が最も重要な性能であるとさ
れている。
【0003】このため、金型表面を種々の薄膜で被覆し
て保護することにより、金型の耐磨耗性を向上させるこ
とが行われている。例えば、一般にB,C,N等の軽い
元素又はそれらの化合物は低イオン性であり、原子間距
離が短く、超硬質薄膜材料として適していることが知ら
れている(T Lundsteum,YG Andre
ev,Mater.Sci.Eng.A209(199
6)p16−22.)。また、ダイアモンドは現存する
最も硬い材料であり、cubic−BNはダイアモンド
に次ぐ硬い材料として知られている。更に近年、ダイア
モンド様カーボン(DLC:Diamond Like
Carbon)を金型保護膜とすることが提案されて
いる(特開平5−117856号公報、特開平5−12
4825号公報)。
【0004】しかしながら、上記ダイアモンド及びDL
C保護膜は、その内部ストレスが大きいことに起因して
金型基体表面への結合力が比較的弱いと共に、熱膨張率
が金型金属と大きく異なることが多いため、外力及び加
熱と冷却との繰返しにより、金型表面から膜が剥離し易
くなる。また、ダイアモンド及びDLC保護膜はほぼ1
00%炭素で構成されているため高温環境で酸化され易
く、金型保護膜として十分な効果を発揮し得ないという
問題がある。更に、上記cubic−BNは合成するこ
とが難しい上に、金型基体表面に形成した場合、膜が基
体から剥がれ易いという問題がある。
【0005】一方、ゴム成形用金型においては、耐久性
と同時に離型性にも優れていることが要求されている。
この場合、耐久性を高める目的で金型表面にカーボンコ
ーティングを施すことが可能であるが、離型性は不十分
であり、耐久性と離型性とを同時に満たす金型保護膜は
得られていない。
【0006】このように従来の金型用保護薄膜は、いず
れも耐久性及び離型性の点で十分満足できる性能を有す
るものではなく、更なる高性能な成形用金型薄膜の改
良、開発が望まれている。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、高硬度、高耐磨耗性、低摩擦係数の優れた特性をも
つ樹脂成形金型用又はゴム成形金型用薄膜、及びこの薄
膜を表面に形成してなる高い耐久性と良好な離型性を兼
ね備えた樹脂成形用又はゴム成形用金型を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結
果、ホウ素と炭素と窒素とからなる組成を有するBCx
y薄膜が、高硬度、高耐磨耗性、低摩擦係数の優れた
特性を備え、この薄膜を表面に形成してなる樹脂成形用
金型又はゴム成形用金型が優れた耐久性及び離型性を兼
ね備えており、高品質の成形品を効率よく成形できるこ
とを知見した。
【0009】即ち、本発明は、下記の成形金型用薄膜及
び金型を提供する。 請求項1:BCxy(但し、x,yは10-6<x<10
6、かつ10-6<y<106を満たす数である。)で表さ
れる組成を有し、金型表面に成膜されてなることを特徴
とする樹脂成形金型用又はゴム成形金型用薄膜。 請求項2:押し込み硬さ試験による硬度が0.05〜1
20GPa、弾性率が1〜500GPaである請求項1
記載の成形金型用薄膜。 請求項3:厚みが1nm〜0.1mmである請求項1又
は2記載の成形金型用薄膜。 請求項4:金型表面にCVD法(化学的気相成長法)に
より成膜して得られる請求項1乃至3のいずれか1項記
載の成形金型用薄膜。 請求項5:金型表面にPVD法(物理的気相成長法)に
より成膜して得られる請求項1乃至3のいずれか1項記
載の成形金型用薄膜。 請求項6:金型表面にスパッタ法により成膜して得られ
る請求項5記載の成形金型用薄膜。 請求項7:請求項1乃至6のいずれか1項記載の薄膜を
表面に形成してなることを特徴とする樹脂成形用又はゴ
ム成形用金型。
【0010】本発明のBCxy(但し、x,yは10-6
<x<106、かつ10-6<y<106を満たす数であ
る。)で表される組成を有する薄膜は、従来のDLC膜
に比べると内部ストレスが小さく、金型基材表面との接
着性が良好で剥離し難いものであると共に、熱膨張率が
カーボンほぼ100%のDLC膜に比べて金型基材の金
属に近いため、加熱と冷却とを繰り返す熱サイクルによ
る膜剥離の発生が起こりにくいものである。しかも、本
発明薄膜は、摩擦係数が比較的小さく、従来のカーボン
膜、DLC膜に比べて離型性に優れたものである。従っ
て、本発明のBCxy膜を表面に形成した金型は、高い
耐久性と良好な離型性を兼ね備えており、樹脂成形用又
はゴム成形用として好適なものである。
【0011】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明の樹脂成形金型用又はゴム成形金型用薄膜
は、BCxy(但し、x,yは10-6<x<106、か
つ10-6<y<106を満たす数である。)で表される
組成を有し、金型表面(特にキャビティ表面)に成膜さ
れてなるものである。この場合、金型基材としては、特
に制限されず、通常の樹脂成形用金型又はゴム成形用金
型に用いられる炭素鋼S50C,S55C等、クロムモ
リブデン鉄鋼SCM4等、炭素工具鋼SK7等、一般構
造用圧延鋼SS34,SS41などを目的に合せて用い
ることができる。
【0012】ここで、BCxyのxは炭素原子の存在割
合、yは窒素原子の存在割合を示し、10-6<x<10
6、かつ10-6<y<106を満たすことが必要である。
好ましくは10-3<x<103、かつ10-3<y<1
3、より好ましくは10-2<x<102、かつ10-2
y<102である。x及びyが上記範囲を下回ると膜の
剥離が生じ易くなる。一方、上記範囲を上回ると化学的
に不安定な組成の膜となる。
【0013】本発明のBCxy膜は、上記組成からなる
が、成膜方法及び成膜条件によっては10重量%以下の
割合で不純物が混入する場合がある。特に後述するCV
D法において原料ガスに水素を含むガスを用いた場合に
は、膜中に水素が混入し易い。また水素以外の不純物元
素としては、酸素、鉄、フッ素、クロム、銅、硫黄など
が挙げられるがこれらに限られるものではない。
【0014】本発明薄膜は、押し込み硬さ試験による硬
度が0.05〜120GPa、好ましくは4〜80GP
a、より好ましくは5〜50GPaである。また押し込
み硬さ試験による弾性率が1〜500GPa、好ましく
は20〜400GPa、より好ましくは50〜300G
Paである。薄膜の硬度及び弾性率が上記範囲を下回る
と薄膜の強度、耐久性が不十分となり、本発明の目的及
び作用効果を奏し得ない場合がある。
【0015】ここで、押し込み硬さ試験による硬度及び
弾性率は、通常ナノインデンテーションと呼ばれる方法
で測定した値である。この方法は、圧子(インデンタ
ー)を測定材料(薄膜)表面に押し付けて荷重を準静的
に変化させたときの荷重と圧子の位置(変位)を正確に
測定することにより硬度及び弾性率を求めるものであ
る。
【0016】この硬度(H)及び弾性率(E)は下記式
で定義される。 H=Pmax/A …(1) E=(π/2A)1/2dP/dh …(2) (但し、Pmaxは最大荷重(最大変位時の荷重)、Aは
最大荷重時の圧子の接触面積、hは圧子の変位(押し込
み深さ)を示す。)
【0017】具体的には、圧子を最大荷重まで測定材料
表面に押し付け(loading)てから離す(unl
oading)までの荷重(Load)−変位(dis
placement)曲線において、unloadin
gでの最大荷重時の傾きをdP/dhとする。従って、
最大荷重時の圧子の接触面積(A)を求めることができ
れば、荷重(Load)−変位(displaceme
nt)曲線から求めたPmax値及びdP/dh値と上記
(1),(2)式から硬さ及び弾性率を求めることがで
きる。この場合、接触面積(A)を求める方法としては
公知のいかなる方法でもよいが、特に下記〜に示し
た方法が好ましい。 unloading後の材料表面の圧子の痕跡から接
触面積を求める方法。 最大荷重時の圧子(インデンタ)の変位から接触面積
を見積もる方法〔Depth sensing met
hod(N.Axen,GA Botton,HQ L
ou,RE Somekh,IM Hutching
s,Surf.Coat.Technol.,81(1
996)262−268.)〕。 unloading初期の接線とDisplacem
ent軸との交わる点heから接触面積を求める〔Do
erner&Nixの方法(MF Doerner,W
D Nix,J.Mater.Res.,1(198
6)601−609.〕。 unloading曲線をn次関数で近似して接触面
積を求める方法〔Oliver&Pharrの方法(W
C Oliver,GM Pharr J.Mate
r.Res., (1992)1564−158
3.)〕。
【0018】この場合、圧子としてはビッカース、ヌー
プ、ベルコビッチ型、球状等の汎用のいずれのタイプの
圧子を用いてもほぼ同様の結果が得られる。また、圧子
の最大変位(圧子が測定材料表面に接触してから最大荷
重をかけた位置までの圧子の変位)を100nmとして
測定した。なお、膜厚が1000nm未満の場合には下
地の金型金属基材の影響が無視できなくなるので、膜厚
が1000nm未満のときは測定せず、同一条件で膜厚
が1000nmのときの値と同じであると仮定した。
【0019】上記BCxyの成膜方法としては、金型基
材上に薄膜を形成できれば特に制限されず、固相(hi
gh pressure and high temp
erature synthesis,pyrolys
is,shock compression)、固相/
液相(反応性クエンチング)、液相、気相での合成、及
び炭素材料表面へのイオン照射又は打ち込みなどの薄膜
形成技術を用いることができる。例えばCVD法、PV
D法、スパッタ法、レーザーアブレーション法、イオン
ビーム蒸着法、アクティべィティドリアクティブ蒸着
法、分子線エピキタシー(MBE)、電子ビーム(E
B)加熱蒸着、真空蒸着法、イオンプレーティング法、
アーク蒸着法、反応性蒸着法などの公知の薄膜形成技術
を目的に応じて適宜採用することができる。これらの中
でも、結晶性の高い膜を得るためには化学的気相成長
(CVD)法が好ましい。また、均一低温成膜性、基材
の自由度、制御性の点からグロー放電スパッタ(単にス
パッタ又はスパッタリングともいう)法が好ましい。
【0020】上記CVD法には、熱CVD(単にCVD
とも呼ばれる)、ホットフィラメントCVD、プラズマ
エンハンストCVD(プラズマアシステッドCVD、プ
ラズマCVDとも呼ばれる)、プラズマエンハンストホ
ットフィラメントCVD、レーザーエンハンストCVD
(レーザーCVDとも呼ばれる)などがある。
【0021】この場合、ホットフィラメントCVDは、
フィラメント温度が1200〜3000℃、より好まし
くは2000〜2500℃であり、フィラメントの熱に
より原料ガスの分解を促進するものである。プラズマエ
ンハンストCVD(PECVD)は、プラズマの励起に
は通常高周波(RF)が好適に用いられるが、低周波、
マイクロ波(MW)又は直流(DC)を用いることもで
き、このプラズマにより原料ガスの分解を促進するもの
である。高周波プラズマの出力は0.1〜1000W/
cm3程度である。その他リモートPECVD、ホロー
カソードPECVD、ヘリカルリソネータPECVD、
RFプラズマジェットCVD、インダクティブトーチ、
DCアークプラズマジェットCVD、エクスパンディン
グ サーマルプラズマなどもプラズマエンハンストCV
D(PECVD)の一種である。レーザーエンハンスト
CVDは、炭酸ガスレーザー、エキシマ(KrF,Ar
F)レーザー、copper bromide vap
our レーザーなどを用いて原料ガスの分解を促進す
るものである。
【0022】具体的には、CVD法では、炭素源として
は公知の炭素含有ガスを用いることができるが、特にメ
タン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、ブタン、イソ
プロパノール、C1016、CS2、C60等の炭素材料を
用いることが好ましい。窒素源としてはNH3、N2など
が好適に用いられる。この場合、NCN3、NCCN,
シアン化ハロゲン(ClCN、BrCN等)などを用い
て炭素と窒素とを単一の材料で同時供給することもでき
る。また、ホウ素源としてはBH3、BCl3、B26
どを用いることができる。これら炭素源、窒素源ガス及
びホウ素源ガスは、必要に応じてアルゴン、ヘリウム等
の不活性ガス、水素などで希釈して用いることが好まし
い。
【0023】上記スパッタリング法としては、イオンビ
ームスパッタ、グロー放電スパッタ、2極スパッタ、マ
グネトロンスパッタ、アイオナイズドマグネトロンスパ
ッタなどがある。
【0024】具体的には、ターゲットとしてグラファイ
ト、B(ホウ素)、BCなどから選ばれる単一ターゲッ
ト、又はグラファイトとホウ素の混合ターゲット(デュ
アルカソードマグネトロンスパッタリング)を用いるこ
とができる。窒素源として公知の窒素含有ガスを用いる
ことができるが、特に窒素ガス、窒素イオン、NH3
はこれらの混合ガスを用いることが好ましい。必要に応
じ炭素源としてメタン、エタン、プロパン、エチレン、
アセチレン又はこれらの混合ガスを用いることができる
(Bをターゲットに用いた場合は必須)。必要に応じて
ホウ素源としてBH3、BCl3、B26などを用いるこ
とができる(グラファイトをターゲットに用いた場合は
必須)。これら窒素源,炭素源,ホウ素源ガスは、必要
に応じて、Ar、He、Ne、Kr等の不活性ガスで希
釈して用いることができる。
【0025】ホウ素をターゲットに用いる場合には、窒
素ガスとメタンガス等の炭素源ガスとを、体積比で、窒
素ガス:メタンガス=1:106〜106:1、好ましく
は1:104〜104:1、より好ましくは1:102
102:1で用いることが好ましい。また、窒素ガスと
メタンガス等の炭素源ガスとアルゴンガス等の不活性ガ
スとの混合ガス(窒素とメタンガスの合計分圧が0.0
01〜100体積%、アルゴンガスの分圧が99.99
9〜0体積%、この場合、窒素とメタンガスの体積比は
上記の通りである。)を用いることもできる。
【0026】グラファイトをターゲットに用いる場合に
は、窒素ガスとB26等のホウ素源ガスとを、体積比
で、窒素ガス:B26ガス=1:106〜106:1、好
ましくは1:104〜104:1、より好ましくは1:1
2〜102:1で用いることが好ましい。また、窒素ガ
スとB26等のホウ素源ガスとアルゴンガス等の不活性
ガスとの混合ガス(窒素とB26ガスの合計分圧が0.
001〜100体積%、アルゴンガスの分圧が99.9
99〜0体積%、この場合、窒素とB26ガスとの体積
比は上記の通りである。)を用いることもできる。
【0027】BC又はグラファイトとホウ素をターゲッ
トに用いる場合には、窒素ガス、又は窒素ガスとアルゴ
ンガスとの混合ガス(窒素分圧0.001〜100体積
%、特に1〜100体積%)を用いることが好ましい。
混合ガス中の窒素分圧が高すぎると、生成するBCxy
膜中のsp及びsp2混成軌道炭素が増加して膜が軟ら
かくなる傾向がある。必要に応じて、基材に直流又は交
流バイアス電圧を印加してもよい。直流電源の場合に
は、−1kV〜+1kVの電圧が好ましい。交流電源の
場合には、パルス電源又は高周波(RF)電源が好まし
い。
【0028】ガス圧はスパッタできる圧力であればいか
なる値でも構わないが、0.01〜500Pa、特に
0.1〜300Paであることが好ましい。電源周波数
(ターゲットへの供給)は、公知の直流、交流のいずれ
を用いてもよい。一般に、直流電源、高周波(RF)電
源などが用いられるが、パルス電源を用いることもでき
る。
【0029】上記アイオナイズドマグネトロンスパッタ
は、ターゲットと基材との間に誘導性プラズマを発生さ
せてスパッタ中の粒子や雰囲気ガスを活性化することに
より、成膜するものである。このスパッタ法によれば、
窒素/不活性ガス混合系では基材へのバイアス効果がよ
り顕著になる。
【0030】上記レーザーアブレッション法は、大出力
紫外線レーザー(Nd:YAGレーザー,CO2レーザ
ー)、エキシマレーザー(ArF,KrF,XeCl)
などにより固体を気化して成膜する方法である。例えば
ホウ素ガス、及び窒素ガス又はアンモニアガス雰囲気下
でレーザー照射することによりグラファイトを気化して
BCxyを合成する。更にカーボンナイトライドのポリ
マーを直接気化してBCxy膜を成膜することもでき
る。
【0031】上記真空蒸着法は、真空中でB,C及びN
を含むプリカーサを抵抗加熱又は電子線加熱により気化
してBCxy膜を成膜する方法である。
【0032】上記アクティべィティドリアクティブ蒸着
法は、グラファイトを電子線加熱により気化し、窒素プ
ラズマと反応させてBCxy膜を成膜する方法である。
【0033】上記アーク蒸着(アークイオンプレーティ
ング)法は、カーボン製の電極にアーク放電を起こして
カーボンを気化し、ホウ素、窒素、アンモニア、ピロー
ル(C45N)等を含む雰囲気下で窒化して、BCxy
を合成する。
【0034】上記イオンアシステッド蒸着法は、グラフ
ァイトをレーザーアブレーション、スパッタリング、マ
グネトロンスパッタリング、電子ビーム蒸着法、陽極ア
ーク蒸着法等により気化し、金型基材表面にカーボンを
成膜すると同時に、ホウ素イオン、窒素イオンを照射し
てBCxy膜を形成するものである。
【0035】上記イオンプレーティング法は、生成した
蒸着粒子(窒素原子、炭素原子、ホウ素原子)の一部を
イオン化して加速し、真空中の金型基材に蒸着粒子とそ
のイオンを照射してBCxy膜を成膜するものである。
【0036】上記イオンビーム蒸着法には、イオンプレ
ーティング法とクラスタイオンビーム蒸着法とがあり、
炭素源、窒素源としてイオン(窒素イオン、炭素イオ
ン、CN分子イオン)、ホウ素イオンを金型基材表面に
照射することにより、BCxy膜を成膜するものであ
る。
【0037】上記プラズマ処理は、初めに金型基材表
面にBC膜を成膜し、このBC膜を窒素、アンモニア等
の窒素源を含むガスのプラズマで表面処理することによ
り、BCxy膜を成膜することができる。初めに金型
基材表面にBN膜を成膜し、このBN膜を炭素を含むガ
ス(例えばメタン、エタン、プロパン、エチレン、アセ
チレン等の脂肪族炭化水素)のプラズマで表面処理する
ことにより、BCxy膜を成膜することができる。な
お、初めに準備しておく薄膜は、スパッタリング、蒸
着、CVD等の公知の方法で形成することができる。ま
た、何れかの方法で成膜したBCxy膜をプラズマ処理
することにより、BCxy膜の材料物性を改質すること
もできる。
【0038】このようにして形成される薄膜の厚みは1
nm〜0.1mm、好ましくは50nm〜0.01mm
である。薄すぎると膜としての強度が不十分となる場合
がある。一方、厚すぎると金型基材から剥がれ易くなる
場合がある。
【0039】なお、上記成膜前には、金型表面を十分に
清浄化することが望ましい。クリーニング方法として
は、溶剤洗浄の他、コロナ処理、プラズマ処理、プラズ
マ灰化などの放電処理が好適に用いられる。またいくつ
かのクリーニング方法を組み合わせて、洗浄効果を上げ
ることもできる。
【0040】本発明のBCxy薄膜が表面に形成された
金型は、高い耐久性と良好な離型性を兼ね備えており、
樹脂成形用金型又はゴム成形用金型として好適なもので
ある。例えばポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン、66ナイロ
ン、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系ポリマー、シ
クロオレフィン系ポリマー等の樹脂成形、SBR、NB
R、NR等のゴム成形に用いることができるものであ
る。
【0041】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。
【0042】〔実施例1〜28、比較例1〜8〕表1
(スパッタ法)及び表2(プラズマエンハンストCVD
法)の条件で、通常スパッタ法、CVD法に使用される
装置を使用して、常法により金型(一般構造用圧延鋼:
SS41)表面にBCxy膜を形成した。膜厚モニタ用
サンプル上に堆積した膜を接触式表面粗さ計で測定し、
膜厚を求めた。なお、成膜前に金型表面に付着している
油分等の汚れを取り除くため、アセトンとアルコールで
拭いた後、アルゴンガスの高周波プラズマ(13.56
MHz、10Pa)で充分にクリーニングを行った。
【0043】
【表1】 スパッタ法 注:成膜中、金型は故意には加熱しなかった。また、金
型基板及び基板ホルダの電位はフローティングとした。
【0044】
【表2】 プラズマエンハンストCVD法
【0045】得られた薄膜の硬度、弾性率を下記方法に
より測定した。結果を表4に示す。また、実施例1〜2
8及び比較例1〜8の薄膜を形成した金型を用いて樹脂
成形時の耐久性、離型性を下記基準で評価した。結果を
表3に示す。またゴム成形時の耐久性、離型性を下記基
準で評価した。結果を表4に示す。
【0046】硬度、弾性率 ベルコビッチ型インデンターを用いて上記ナノインデン
テーション法により硬度と弾性率を測定した。なお、最
大荷重時の接触面積の見積りは、Oliver&Pha
rrの方法(WC Oliver,GM Pharr
J.Mater.Res., (1992)1564
−1583.)で行った。
【0047】樹脂成形時の耐久性、離型性 得られた金型を用いて、ポリカーボネート樹脂を樹脂温
度290℃、金型温度100℃の条件で1000回繰返
して射出成形後、金型及び成形品の耐久性及び離型性を
下記基準で評価した。なお、ポリカーボネート樹脂以外
のメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピ
レン、66ナイロン、ポリエーテルイミド、ノルボルネ
ン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマーについても
同様の結果が得られた。耐久性 ○:金型表面の薄膜の剥離が全く見られない △:金型表面の2%程度の領域に薄膜の剥離が見られる離型性 ○:成形品がスムーズに脱型できる △:脱型時に成形品表面に時々キズがついたり、剥離し
た薄膜が付着する ×:脱型時に成形品にキズがつきやすい
【0048】ゴム成形時の耐久性、離型性 得られた金型を用いて、下記ゴム配合1及びゴム配合2
のゴム組成物を下記加硫条件で100回繰り返して加硫
成形後、金型及び加硫ゴム成形体の耐久性及び離型性を
下記基準で評価した。 〔ゴム配合1〕 SBR(日本合成ゴム社製、1502) 50重量部 NR 50重量部 カーボンブラック 60重量部 硫黄 2重量部 亜鉛華 5重量部 老化防止剤*1 1重量部 加硫促進剤*2 1重量部 *1:N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD) *2:N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾール(NOBS) 加硫条件:150℃、30分 〔ゴム配合2〕 NBR(日本合成ゴム社製、N2305) 100重量部 カーボンブラック 60重量部 硫黄 2重量部 亜鉛華 5重量部 老化防止剤*3 1重量部 加硫促進剤*4 1重量部 鉱物油 2重量部 *3:N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン (NOCRAC 810−NA) *4:テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM) 加硫条件:150℃、20分耐久性 ○:膜の剥離なし △:金型表面の一部に膜の剥離が見られる離型性 ○:正常な加硫成形品ができる △:金型表面の一部に加硫ゴムが残り、加硫成形品表面
の一部(5%程度)に傷がついたり、薄膜の一部が付着
する ×:金型表面の一部に加硫ゴムが残り、加硫成形品表面
の一部(10%程度)に傷がついたり、薄膜の一部が付
着する
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【発明の効果】本発明のBCxyの組成を有する薄膜
は、高硬度、高耐磨耗性、低摩擦係数の特性をもつ極め
て有効な成形金型用薄膜であり、この薄膜を金型表面に
成膜することにより、高い耐久性と良好な離型性を兼ね
備えた高品質な樹脂成形用金型又はゴム成形用金型が得
られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 101:00 B29K 101:00 Fターム(参考) 4F202 AA28 AA47 AJ01 AJ09 AJ14 CA11 CB01 CD22 4K029 AA02 BA53 BC00 BC02 BD04 BD05 CA06 DC05 DC39 FA04 4K030 AA05 AA09 BA49 CA02 FA01 FA02 KA30 LA01 LA21 LA23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BCxy(但し、x,yは10-6<x<
    106、かつ10-6<y<106を満たす数である。)で
    表される組成を有し、金型表面に成膜されてなることを
    特徴とする樹脂成形金型用又はゴム成形金型用薄膜。
  2. 【請求項2】 押し込み硬さ試験による硬度が0.05
    〜120GPa、弾性率が1〜500GPaである請求
    項1記載の成形金型用薄膜。
  3. 【請求項3】 厚みが1nm〜0.1mmである請求項
    1又は2記載の成形金型用薄膜。
  4. 【請求項4】 金型表面にCVD法(化学的気相成長
    法)により成膜して得られる請求項1乃至3のいずれか
    1項記載の成形金型用薄膜。
  5. 【請求項5】 金型表面にPVD法(物理的気相成長
    法)により成膜して得られる請求項1乃至3のいずれか
    1項記載の成形金型用薄膜。
  6. 【請求項6】 金型表面にスパッタ法により成膜して得
    られる請求項5記載の成形金型用薄膜。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項記載の薄
    膜を表面に形成してなることを特徴とする樹脂成形用又
    はゴム成形用金型。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001277251A (ja) * 2000-03-29 2001-10-09 Bridgestone Corp 成形金型用薄膜及び金型
JP2010207922A (ja) * 2009-03-06 2010-09-24 Mitsubishi Materials Corp 表面被覆立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料製切削工具
JP2013189674A (ja) * 2012-03-13 2013-09-26 Lightech Kenkyusho:Kk 硬質皮膜被覆部材およびその製造方法

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