JP2001272762A - 補強材と物理的保持手段を有する画像形成要素 - Google Patents

補強材と物理的保持手段を有する画像形成要素

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JP2001272762A JP2001080514A JP2001080514A JP2001272762A JP 2001272762 A JP2001272762 A JP 2001272762A JP 2001080514 A JP2001080514 A JP 2001080514A JP 2001080514 A JP2001080514 A JP 2001080514A JP 2001272762 A JP2001272762 A JP 2001272762A
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polymer sheet
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トーマス アイルワード ピーター
Paul Boadreis Robert
ポール ボードレイス ロバート
Alphonse D Camp
ドミニク キャンプ アルフォンス
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚いベースに付着させる必要のない画像形成
要素を提供すること。 【解決手段】 薄いポリマーシート上の画像と、補強材
と、前記画像及び補強材を被覆する透明ポリマーシート
とを有する少なくとも1つの画像要素を含む、物理的に
組み立てられたピクチャーであって、前記透明シート
が、前記補強材に前記画像を物理的に押しつけているピ
クチャー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真材料に関する
ものである。さらに詳細には、本発明は、写真のベース
となる材料と、補強材を用いてピクチャーを物理的に組
み立てる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー印画紙を製造する際に、ベース紙
にポリマー層、典型的にはポリエチレン層を適用するこ
とが知られている。この層は、印画紙を防水にするのに
役立つと同時に、表面を滑らかにしてその上に感光層を
形成するのにも役立つ。好適に滑らかな表面を形成する
のは難しい。というのも、非常に注意深く作業する必要
があり、しかもポリエチレン層を適量レイダウンして冷
却するにはコストがかかるからである。そのように滑ら
かな表面にするには、多大な注意力と、冷却ロールを用
意することに関わるコストがかかる。表面はポリエチレ
ンだが、光沢のある表面を形成するために冷却ロールを
必要としないカラー写真プリント材料が必要とされてい
る。
【0003】写真ペーパーでは、ポリエチレン層は、二
酸化チタンその他の白色材料や色味材料を載せる層とし
ても機能する。着色材料は、ポリエチレン層全体に分散
させるのではなく、その層の表面で、写真にとってより
効果的であると思われる場所の近くに集中させることが
できると望ましいであろう。
【0004】従来技術では、写真その他の画像形成要素
を製造する際に、紙やポリエステルなどのベースと基体
の上に複数のポリマー層をコーティングあるいは適用さ
せる方法や、複数の二軸延伸ポリマーシートを積層した
りする方法が知られている。従来技術ではさらに、アメ
リカ合衆国特許第4,355,099号に開示されているよう
に、ハロゲン化銀層を透明なフィルムの上に置いて、露
光し、現像し、処理した後、反射性ベースに接着剤を用
いて積層する方法が知られている。このような複合構造
には多くの利点があるとはいえ、接着剤を塗布して硬化
させ、2枚のウェブを貼り合わせるのは、非常に難しく
て手間がかかる。高価で手間のかかる接着剤を用いずに
反射性ベースに付着させることのできる画像受容層と、
薄い保護用ポリマーシートとを備えた画像形成要素を提
供することが、以前から必要とされている。
【0005】アメリカ合衆国特許第5,663,023号には、
ゼログラフィーとインクのための2つの部分からなるシ
ステムが開示されている。第1の部分は、透明な基板を
提供する。この基板上に反転読み取り画像を形成した
後、あらかじめ接着剤を塗布した反射性ベースと結合さ
せる。この方法だと、あらかじめ接着剤を塗布した基板
を用いることで、画像形成時に接着剤を用いることに伴
う問題点がいくつか解決するが、2枚の基板をしわなし
に合体させることに伴う別の問題や困難がある。しか
も、あらかじめ接着剤を塗布したところで手間がかかる
ことに変わりはなく、作業領域が汚れ、その汚れのため
に画像が無効になってしまう可能性がある。高価で手間
のかかる接着剤を使用することなく、反射性ベースに、
あるいは透明なベースにさえ付着させられる、画像の上
に透明なポリマーを有する画像形成要素を提供すること
が、以前から必要とされている。
【0006】アメリカ合衆国特許第5,866,282号では、
複数の二軸延伸ポリマーシートを写真用のベース基板上
に付着させることが提案されている。また、アメリカ合
衆国特許第5,888,714号では、接着剤としてメタロセン
を触媒としたエチレンプラストマーなどを用いて複数の
二軸延伸ポリオレフィンシートを貼り合わせることが提
案されている。この2つの発明のどちらも優れたプリン
ト材料を提供し、二軸延伸シートをベース基板に接着さ
せることができる。ベース基板は、さまざまな塗工機や
処理機の中を通過する支持体に十分な強度を与えてい
る。このシステムの1つの欠点は、ポリマーシートをベ
ース基板に接着せねばならず、しかもその製造から写真
仕上げまで、プロセス全体にわたってシートと基板を合
わせた重量を移動させなくてはならないので、コストが
かかることである。厚みが増したことでロールの長さに
制限が加わるため、ロールを頻繁に交換する必要があ
る。その結果、廃棄物が増え、コストが余計にかかるよ
うになる。厚いベース基板に接着する必要のない、実質
的に薄い画像支持体を提供することが以前から必要とさ
れている。
【0007】写真材料は、誕生日や休暇などの特別な出
来事を記録しておくためのプリントとして用いるものと
認識されている。写真材料は、広告に利用される大きな
ディスプレイ材料としても用いられてきた。写真材料
は、擦り傷、水、折り曲げなどによって簡単に見た目が
損なわれてしまうため、高価でいくぶんデリケートな高
品質の製品として認識されている。写真は折れやすくデ
リケートであると同時に価値ある物であるため、額に入
れたりアルバムに貼ったりするのが普通である。写真
は、自分の人生における重要な出来事を記録しておくた
めのぜいたくなアイテムと見なされている。プリントし
た写真は、アルバムに貼ったり額に入れたりすると、気
軽に手に取って眺めることができなくなる。取り返しの
つかないほどの傷を与えるのではないかという恐れを抱
くことなく、多くの人が気軽に写真を手に取って眺める
ことのできる形態が以前から必要とされている。
【0008】従来技術の反射性写真材料は、たいてい、
セルロース繊維からなる紙を備えていて、その紙が画像
形成層の支持体となっている。紙は画像形成層の支持体
として可能な材料であり、写真を見たときに好ましい印
象を与えるが、製造上の問題が多数ある。そのため、写
真ペーパーの製造効率が低下する。問題としては、例え
ば、紙の端部に処理用の化学薬品が侵入すること、写真
ペーパーを細断、切断したり写真ペーパーに孔を開けた
りするときに微細な紙屑が出ること、写真乳剤と紙の間
に湿度の勾配があるために乳剤の硬化効率が低下するこ
となどがある。反射性画像をセルロース紙を用いずに形
成できるならばそれが望ましい。
【0009】反射性写真ペーパーでは、画像形成層を、
引っかき傷、指紋、しみから保護する必要がある。現在
の反射性写真ペーパーでは、画像形成層を保護するのに
ゼラチンオーバーコートを用いている。ゼラチンだとあ
る程度までしか保護できないので、引っかいたりする
と、すぐに画質が低下してしまう。さらに、指紋や、家
庭内にあるありふれた液体、例えばコーヒー、水、果物
ジュースなどによるしみは、簡単に画像を汚したりゆが
めたりしてしまう可能性がある。画像が濡れているとき
にぬぐうと、ゼラチンオーバーコートに望ましからぬゆ
がみが生じる。画像形成層に対する保護用被覆を提供す
る、写真の後処理装置が存在している。普通は、個々の
画像の上からポリマーをコーティングして、あるいは重
ね合わせて、画像形成層を保護する。一般的な例は写真
入りの身分証バッジであり、このバッジは、たいていは
透明なポリマーシートで覆ってバッジ表面の画像を保護
している。保護層を後処理で適用させるとコストがかか
る。というのも、反射性印画紙を調製するときに追加操
作が必要とされ、しかもオーバーコートを施すための追
加材料が必要とされるからである。現像した画像に容易
に適用させることのできる保護被覆を有する反射性写真
画像が形成できることが望ましい。
【0010】一般に、反射性写真画像形成層は、ポリエ
チレンコーティングを施したセルロース紙の上に載せら
れる。ポリエチレンコートセルロース紙は画像形成層の
支持体として容認されているが、ポリエステルや織物な
どの別の支持体材料に対する要求もある。紙でない支持
体の問題点は、写真処理装置が、支持体の物理的特性の
変化に対する対応力に欠けることである。写真処理装置
は、従来の写真材料とは物理的特性が大きく異なる写真
材料だとうまく機能しない。反射性写真画像を紙以外の
支持体の表面に効率よく形成することができることが望
ましい。
【0011】消費者を相手にする産業においては、デリ
ケートな製品はパッケージに入れ、品質を保護又は保持
している。写真や画像は非常にデリケートな製品である
が、一般に、手で扱うことによる損傷、こぼれた液体、
指紋、その他の乱暴な取り扱いによる損傷から保護され
ていない。場合によっては、画像の上から透明なポリマ
ーシートが被せてあるが、この場合にも、その上貼りシ
ートは、画像に摘要させる前に接着剤を塗布しておく必
要がある。これらの上張りは、画像の支持体がカールし
たりゆがんだりするという望ましくない問題が発生させ
る。カールなどの問題のない、保護されたプリントを提
供することが以前から必要とされている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】写真画像は、たいてい
の場合、厚いポリマーコート紙ベースの上に形成され
る。印画紙に用いられるその紙ベースは、非常に高価で
ある。また、その紙ベースは、光活性のある物質を含ん
でいない非常に純度の高いものであり、また写真処理用
化学薬品に耐性を有しなければならない。これらの制約
やその他の設計上の制約のない写真プリント材料が要求
されている。
【0013】本発明の目的は、改良された画像形成要素
を提供することである。本発明の別の目的は、厚いベー
スに付着させる必要のない画像形成要素を提供すること
である。本発明のさらに別の目的は、容易に損傷を受け
ない画像を提供することである。本発明のさらに別の目
的は、シールされていて外部環境の影響を受けない画像
を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のこれらの目的
は、薄いポリマーシート上の画像と、補強材と、前記画
像及び補強材を被覆する透明ポリマーシートとを有する
少なくとも1つの画像要素を含む、物理的に組み立てら
れたピクチャーであって、前記透明シートが、前記補強
材に前記画像を物理的に押しつけているピクチャーによ
って達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、従来技術と比べて多数
の利点を有する。本発明の画像形成要素は、感光性ハロ
ゲン化銀層、又はインクジェットジェットもしくは感熱
画像形成用途の場合、画像又はテキストを形成するため
に表面にトナーが付着する色素受容層を備えている。一
般に、これらの要素はすべて、表面層と、画像に支持体
を提供する実質的なベースとからなる。ベースは、一般
に、白色で、反射性であり、厚いく、場合によっては透
明になっていることもある。ベースは、どのような構成
であれ実質的に厚い支持体を備えており、この支持体
が、画像形成要素の触感と印象を決める決定的に重要な
要素となっている。さらに、ベースは画像を支持するプ
ラットフォームでもある。本発明の画像形成要素は、薄
い反射性画像形成キャリング層又は薄い透明画像キャリ
ング層を備えることができる。キャリング層は薄いポリ
マーシートとなることができるので、製造作業を通じ
て、また、写真の仕上げ又はプリントの際に、従来より
も大きなロール状の材料を用いることができる。それぞ
れのロールを取り換えて1つのロールから別のロールに
移るごとに廃棄物が発生するわけだが、その廃棄物に伴
うコストを最少にするという点で、より大きなロールを
用いることは重要である。小さなロールだと、交換がよ
り頻繁になり、その操作に時間が取られることになる。
【0016】薄くて柔軟で丈夫なハロゲン化銀層を用い
ると、多くの優れた性質を持った画像形成要素が得られ
る。この画像形成要素は、明るく、シャープで、色彩が
鮮やかであり、また、擦り傷、こぼれた液体、引っかき
傷、指紋や、取り扱う際に発生するそれ以外の損傷に対
する抵抗力がある。本発明の画像形成要素は、既存の材
料を超えられなかった画像の奥行きを有する。本発明の
画像形成要素は、優れた画像が得られるという利点を生
かしたままで、不透明性と強度に優れていながら低コス
トである薄いベース材料の上に載せることができる。
【0017】この明細書で用いる“上面”、“上側”、
“乳剤側”、“表面”という用語は、画像形成層を載せ
る、写真パッケージのラベル側又は側方向を意味する。
“環境保護層”という用語は、画像形成層を処理した後
に適用させる層のことを意味する。”フェイスストッ
ク”と“基板”という用語は、ハロゲン化銀層を適用さ
せる材料のことを意味する。“下面”、“下側”、“ラ
イナー”、“裏面”という用語は、感光性画像形成層又
は現像された画像を載せた側とは反対側で、写真ラベル
又は写真パッケージ材料の側又は側方向を意味する。
“補強材”という用語は、画像が記録された薄いポリマ
ーシートと接触させる補強材料のことを意味する。補強
材は、重要な機能を提供する。補強材は、画像が記録さ
れた薄いポリマーシートに実質的な厚さと剛性を与え
る。また、補強材のおかげで、プリントされた画像を手
に取ったときの触感がよくなる。一般に、補強材は、画
像と、キャリングポリマー層を支持するのに用いられ
る。補強材の代表的な材料は、紙、ボール紙、発泡材、
木、金属、金属化基板、織物、布、その他のプラスチッ
クである。これらの材料は、実質的に不透明であっても
実質的に透明であってよく、滑らかでも粗くてもよい。
補強材は、どのような形をしていてもよい。というの
も、画像が記録された透明なポリマーシートは、ほとん
どすべての形状又は物理的構成に一致することができ、
透明なシートによって補強材に物理的に保持されるから
である。“ピクチャー”という用語は、画像、又はテキ
ストと画像を意味する。画像は、感光性ハロゲン化銀、
写真用色素、インクジェット、熱昇華型色素、電子写真
術で形成することができる。
【0018】支持体材料と接触させて画像を保持するた
めに接着剤を有する必要なく、本発明の画像形成要素は
任意の基板と接合することができる。図1〜図4は、接
着剤を使わずに、シールされたパッケージにピクチャー
を入れる基本的な操作を示している。図1は、ピクチャ
ーを物理的に組みたてるのに必要とされる個々の要素を
示している。本発明の透明なポリマーシート10が上側の
画像形成要素12を覆っており、透明シート16が下側から
補強材14を覆っている。透明シート16は、補強材の下に
ある。画像形成要素12は、画像層11と、薄いベースポリ
マーシート13を含む。図2は、個々の要素が自らの重量
だけを利用して組み立てる様子を示している。透明なポ
リマーシート10は画像形成要素12と物理的に接触してお
り、画像形成要素12は補強材14と物理的に接触してお
り、補強材14は下面の透明なポリマーシート16と接触し
ている。図2においては、透明なポリマーシート10と16
が、画像形成要素12と補強材14の端部を超えて延びてい
ることに注意されたい。
【0019】図3では、上面と下面にある透明なポリマ
ーシート10と16の一端を、画像形成要素12と補強材14の
端部を覆うように接合してシール状態28にする一方で、
他端では真空36が適用されている。真空にすることによ
り、このパッケージ及び層の間から空気を外に出し、層
同士を密着させている。図4は、物理的に組み立てて完
成したピクチャーであり、透明なポリマーシート10と16
が、両端部28と38でシールされている。内部を真空にし
てシールしてあるため、透明なポリマーシート10と16
が、画像形成要素12を補強材14に押しつける。
【0020】支持用補強材は、画像が記録された薄いポ
リマーシートと接触状態にされ、切断され、物理的に組
み立てられ、透明シートを用いて所定の場所に収められ
る。薄いポリマーシートと補強材の切断は、実際には同
時に行なうことができる。そのとき補強材は、切断作業
の間、実質的な支持体となる。補強材の切断と、画像が
記録された薄いポリマーシートの切断は、別々に行なう
こともできる。その場合、次に、それら2つの切断部を
好適な配置にして薄くて透明なシートを被せることで、
それら切断部を物理的に組み立てる。このようにしてピ
クチャーは、高価で手間のかかる接着剤を使うことなく
物理的に組み立てられる。接着剤が好ましくないのは、
時間が経過すると黄色くなること、また、紫外線に対し
て長期間にわたって安定ではないことが理由である。接
着剤によっては、十分に硬化しなかったり架橋しなかっ
たりするため、大きさが変化したり、中に含まれる化学
物質が気化したりする。白黒写真の場合には、そうした
ガス中の一部の成分が画像色素や銀と相互作用して写真
を劣化させることがある。
【0021】本発明の好ましい一態様は、薄いポリマー
シート上の画像と、補強材と、補強材及び画像形成され
た薄いポリマーシートの上に被せる透明なポリマーシー
トとを備えた、物理的に組み立てたピクチャーである。
上に被せる透明なポリマーシートは、画像を補強材に対
して物理的に押しつけられる。別の態様では、上に被せ
る透明なポリマーシートは、組み立てたピクチャーの上
面と低面と端部をすべて覆う。この透明なポリマーシー
トは収縮して、画像及び補強材を保持する。
【0022】本発明のさらに別の態様として、シールさ
れて画像と補強材を物理的に保持するポリマーシート製
の袋が提供される。さらに別の態様では、シールする前
に袋を真空にする。真空にすることにより、画像が記録
されたポリマーシートと補強材の間の光学的接触がよく
なる。シールされた袋の中にはガスがいくらか残留する
可能性があるので、画像が記録されたポリマーシートと
補強材を収容した袋を不活性ガスでパージしてから真空
にするとよい。補強材の材料が例えば紙、織物、ボール
紙などである場合には、補強材内のすべての空気ポケッ
トに不活性ガスを充填する。画像形成層の画像用色素、
顔料、あるいはその他の化学物質が酸素に感受性を有す
る場合には、こうすることが重要である。不活性ガスと
しては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、ある
いはその他の好適なガスを、単独で、あるいはガス混合
物として用いることができる。物理的に組み立てたピク
チャーに対して透明な袋を用い、その袋を真空にした後
にシールして収縮させることができる。
【0023】本発明の透明なポリマーシートは、酸素透
過率が、1気圧のときに1時間あたり8.0cc/m2未満であ
ることが好ましい。これは、ポリマーを選択することに
よって、あるいは、透明なポリマーシートの上側又は下
側に層を設けることによって実現できる。なおこの層
は、このポリマーシートと一体化した一部分でもよい。
この酸素バリア層は、酸素透過率が、1気圧のときに1
時間あたり8.0cc/m2未満であるような酸素バリア層の中
から選択することができる。酸素バリア層は、二軸延伸
にする前に、1つの層として、共押し出しにより、画像
と補強材の上に被せる透明なポリマーシートに層として
組み込むことができる。
【0024】酸素バリア層は、以下材料のホモポリマー
及びコポリマーからなる群の中から選択した少なくとも
1つの物質を含んでなる。その材料とは、アクリロニト
リル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチルなどのアクリル酸アルキル;メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチルなどのメタクリル酸アルキル;
メタクリロニトリル;酢酸ビニル、ビニルプロピオネー
ト、酪酸ビニルエチル、酢酸ビニルフェニルなどのアル
キルビニルエステル;メチルビニルエーテル、ブチルビ
ニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなどのアル
キルビニルエーテル;ビニルアルコール;塩化ビニル;
塩化ビニリデン;フッ化ビニル;スチレン;酢酸ビニル
(コポリマーの場合、エチレン、及び/又は、プロピレ
ンをコモノマーとして使用できる);ジアセチルセルロ
ース、トリアクリルセルロースなどの酢酸セルロース;
テレフタル酸ポリエチレン;フッ素樹脂;ポリアミド
(ナイロン);ポリカーボネート;ポリサッカリド;脂
肪族ポリケトン;ブルーデキストラン;セロファンであ
る。酸素バリア層は、上側の透明なポリマーシートと画
像形成層との間、並びに下側の補強材との間にある界面
で、シート構造の中に位置していることが好ましい。こ
の位置だと、画像の安定性にプラスの効果をもたらす一
方で、画像全体の品質に及ぼす影響は最少となるであろ
う。この構造において酸素バリア層に用いるのが好まし
い2つの材料は、1)脂肪族ポリケトンポリマーと、
2)ビニルアルコールとエチレンのコポリマーである。
後者は、低コストで、しかも酸素バリア層として効果的
であるために非常に好ましい。これらの材料は、酸素の
透過率が非常に小さく、プロセスに最小限の変更を施す
だけで多層共押し出し装置を用いて押し出すことが可能
である。本発明の酸素バリア層の厚さは、酸素透過率が
1気圧のときに1時間あたり8.0cc/m2を超えない、さら
に好ましくは2.0cc/m2を超えない限りは、重要ではな
い。このレベルが、材料のコストと使用上の便益のバラ
ンスが取れていると思われるからである。酸素バリア層
の材料として好ましいのはビニルアルコールとエチレン
のコポリマーであり、それを、延伸する前に、共押し出
しにより透明なポリマーシートの中に組み込む。酸素透
過率が1気圧のときに1時間あたり8.0cc/m2未満の酸素
バリア層を組み込む第2の方法は、押し出し後に、この
酸素バリア層を透明なポリマーシートの上に適用するこ
とである。押し出し後に被せるこの層は、ポリビニルア
ルコール、ポリ塩化ビニリデン、脂肪族ポリケトン、化
学的に硬化させたゼラチン、ならびにこれらの混合物か
らなる群の中から選択した少なくとも1つの材料を含ん
でいる。本発明で用いることのできる液体コーティング
法には、ポリマーを水又は有機溶媒に溶かし、透明なポ
リマーシートに均一にコーティングし、熱風によって乾
燥させる方法と、ポリマーエマルジョンをコートし、そ
れを乾燥させる方法がある。これらの方法は、当業者に
は周知である。好ましい態様では、押し出し後に被せる
層は、シートに対して水性コーティングとして適用させ
るポリビニルアルコール層を含んでいる。水性コートポ
リビニルアルコールは、酸素の透過率が非常に低く、ハ
ロゲン化銀を用いた画像技術に対して悪い影響を及ぼさ
ないように製造することができる。
【0025】水蒸気の透過は、透明なポリマーシート又
は画像が記録された薄いポリマーシートを用いて制御す
ることができる。好ましい態様では、物理的に組み立て
たピクチャーの透明なシートは、水蒸気の透過率が1日
に0.85×10-5g/mm2未満である。他の層(複数可)を、
透明なポリマーシート又は画像が記録された薄いポリマ
ーシートと組み立てる、あるいは、こうしたポリマーシ
ートに付着させる、あるいは、こうしたポリマーシート
と結合させることによって水蒸気の透過率を調節し、望
ましい写真又は画像を得ることができる。画像が記録さ
れた薄いポリマーシートを含む1つ以上の層は、二酸化
チタン又はそれ以外の無機顔料を含むことができる。さ
らに、画像が記録された薄いポリマーシートを含む1つ
以上の層には、空隙を形成することができる。水蒸気の
透過率を小さくするのに用いることのできる他の材料
は、テレフタル酸ポリエチレン、テレフタル酸ポリブチ
ル、アセテート、セロファンポリカーボネート、ポリエ
チレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、メタクリル
酸、メタクリル酸ポリエチレン、アクリレート、アクリ
ロニトリル、ポリエステルケトン、アクリル酸ポリエチ
レン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフ
ルオロエチレン、アモルファスナイロン、ポリヒドロキ
シアミドエーテル、メタクリル酸エチレンのコポリマー
の金属塩のコポリマーからなる群の中から選択した少な
くとも1つの物質を含んでなる。
【0026】画像が記録された薄いポリマーシート又は
画像と補強材の上に被せる透明なポリマーシートの水蒸
気透過率を小さくする別の方法は、有機溶媒又は水性溶
媒の中に分散又は混合した水蒸気透過率の小さな材料か
らなる層を、ローラーコーティング、グラビアコーティ
ング、カーテンコーティング、ビードコーティングな
ど、従来技術で知られている任意の方法でコーティング
することである。水分透過率の小さな好適な層を形成す
る際には、疎水性で水不溶性合成ポリマーを用いること
が好ましい。そのようなポリマーは、有機溶媒又は溶媒
の混合物に溶かした溶液としてコーティングする。そう
したポリマーとして好ましいのは、例えば、付加タイプ
のポリマーと、エチレン系不飽和モノマーから調製され
たインターポリマーである。具体例としては、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸ヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸2-
エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキ
シル、メタクリル酸n-オクチルなどのアクリレート及び
メタクリレート、イタコン酸ジアルキル、マレイン酸ジ
アルキル、アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、
置換スチレンを含むスチレン、酢酸ビニル、ビニルエー
テル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ブタ
ジエンやイソプレンなどのオレフィンが挙げられる。本
発明の目的を達成するのに用いて効果のある他のポリマ
ーとしては、有機溶媒可溶性縮合ポリマー、例えば硝酸
セルロース、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロ
ース、酢酸酪酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポ
リカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、エポキ
シ、ポリアミドなどが挙げられる。
【0027】所望の水蒸気透過率を達成する第2の手段
は、従来技術で知られている任意の方法を用いて、画像
が記録された薄いポリマーシート又は透明なポリマーシ
ートを疎水性ポリマーの水性分散物又はラテックスでコ
ーティングすることである。この疎水性ポリマー層は、
画像及び補強材の上に被せた薄いポリマーシートに付着
させる場合には透明でなければならないが、画像が記録
された薄いポリマーシートに付着させるのであれば、透
明でも不透明でもよい。特に好ましい水性分散物の具体
例としては、水に分散させることのできるポリウレタン
及びポリエステルが挙げられる。好適なラテックスポリ
マーの具体例としては、付加タイプのポリマーと、上記
のエチレン系不飽和モノマーから調製されるインターポ
リマーが挙げられる。ラテックスポリマーは、従来のエ
マルション重合法で調製することができる。ラテックス
ポリマーとしては、アメリカ合衆国特許第4,497,917号
に記載されているコア−シェルポリマーが可能である。
【0028】有機溶媒又は水性媒体として適用させる疎
水性ポリマーは、分子間の架橋によって、あるいは架橋
剤(すなわち硬化剤)との反応によって共有結合を形成
することのできる反応性官能基を含むことができる。好
適な反応性官能基としては、ヒドロキシル基、カルボキ
シル基、カルボジイミド基、アミノ基、アミド基、アリ
ル基、エポキシド、アジリジン、ビニルスルホン、スル
フィン酸、活性メチレンなどが挙げられる。
【0029】上記材料を選択して望ましい水蒸気バリア
層とする適量をシートにコーティングするかあるいは付
着させることができる。画像が記録された薄いポリマー
シートの材料として好ましいのは、高性能バリア物質で
ある塩化ポリビニリデンを1.5〜6.2g/m2の範囲でコーテ
ィングした二軸延伸ポリオレフィンシートである。ポリ
ビニルアルコールも用いることができるが、湿度が比較
的高い条件では効果が劣る。これら材料のうちの少なく
とも1つを二軸延伸シート及び結合用ポリマー層と組み
合わせて用いることで、写真乳剤の硬化速度を向上させ
うることがわかった。透明なポリマーシートの材料とし
て好ましいのは、高性能バリア物質である塩化ポリビニ
リデンを1.5〜6.2g/m2の範囲でコーティングした非延伸
ポリマーシートである。
【0030】水蒸気透過率を制御するためのバリア層
は、補強材の上に重ね合わせた金属ホイル層を用いて、
あるいは、補強材にコーティングするか付着させるかし
た金属化層(複数可)を用いて実現することもできる。
金属ホイル層は、溶融ポリマー又はコーティングした接
着剤を用いて補強材に付着させることができる。金属層
(複数可)を感光層又は画像形成層(複数可)の下に付
着させる場合には、ポリエチレン層を付着させて画像形
成層がベースによりよく接着するようにした。金属化層
を、補強材の全体又は一部として機能する、あるいは、
画像が記録される薄いポリマーシートとして機能する二
軸延伸ポリプロピレンと共に導入する場合には、金属化
層は、画像が記録される薄いポリマーシートの上に真空
蒸着する。金属ホイル層又は金属被覆層は、アルミニウ
ム、ニッケル、鋼鉄、金、亜鉛、銅、チタン、合金のほ
か、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、アルミニウム酸化
物、チタン酸化物などの無機化合物の中から選択した少
なくとも1つの材料を含むことができる。好ましい材料
は、真空蒸着したアルミニウムと、1層以上のポリオレ
フィン層を含んでいる。この材料は水蒸気の透過率が1
日につき0.85×10-5g/cm 2未満である。金属被覆層をポ
リプロピレンフィルムと合わせて用い、他の物質をコー
ティングして水蒸気の透過率を制御するという従来技術
は、アメリカ合衆国特許第5,192,620号に記載されてい
る。この特許には、パッケージングへの応用が示してあ
る。
【0031】本発明の好ましい態様では、物理的に組み
立てたピクチャーは、透明なポリオレフィンシートを備
えており、そのシートが収縮して画像と補強材を覆う。
この透明なポリオレフィンは、配向性とアニールの程度
をいろいろと変えることができる。これらの特性を制御
することは、収縮プロセスにおいてサイズ変化の量を制
御する上で極めて重要である。収縮度が大きいと、物理
的に組み立てたピクチャーに過剰な応力が加わる可能性
がある。収縮後の応力又は力の程度によっては、補強材
に使用する材料をより厚くかつより丈夫にする必要があ
るかもしれない。ポリオレフィンと、ポリオレフィンの
コポリマーは、低コストで保護性能が優れているので好
ましい。引っかきに強くすること、指紋ができるだけつ
かないようにすること、全体として破れにくくすること
によって耐久性をさらに向上させる必要がある場合に
は、ポリエステルシートが好ましい。一般に、ポリエス
テルとコポリエステルのほうが、より耐久性がある。さ
らに別の利点は、ポリエステルは他のポリマーよりも弾
性率が大きいために、他のポリマーよりも丈夫になる可
能性があることである。本発明のさらに別の態様では、
収縮して画像が記録された薄いポリマーシートと補強材
を覆う透明なポリマーシートは、ポリアミドシートであ
る。ポリアミドは独特の触感と耐久性があるので、場合
によってはポリアミドのほうが好まれることがある。さ
らに、物理的に組み立てたピクチャーの完成品において
酸素と水蒸気の透過率を制御したい場合には、ポリアミ
ドを使う決断をすることになるかもしれない。引っかき
に対する究極的な耐久性を望む場合には、ポリカーボネ
ートシートを使うことができる。
【0032】ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ビニル、あるいはそれ以外の透
明なポリマーのいずれかでできたシートのどれを用いる
場合でも、さらに別の特性を有することが望ましかろ
う。消費者が不満に思うことの典型例は、指紋である。
ポリマーシートを被せてあるだけで、画像が記録された
従来の材料よりも指紋やこぼれた液体をぬぐい取れる性
能はいくぶん優れたものになる。ポリマーシートの中、
又はポリマーシートの上の層中に艶消し微粒子を混ぜる
ことは、指紋ができるだけつかないようにする上で大い
に望ましい。表面がざらざらしていると、指紋が接触す
る面積が小さくなって指紋が見えにくくなる。また、あ
る種の艶消し材料は指紋の油を吸収するのに役立つた
め、指紋に対する嫌悪感が少なくなる。艶消し微粒子を
混ぜることに加え、透明なポリマーシートを成形する際
に機械的にエンボス加工を施すことによって、その透明
なポリマーシートの表面をざらざらにすることや、ある
いは、透明なポリマーシートを補強材と画像が記録され
た薄いポリマーシートと組み立てる前又は後に、その透
明なポリマーシートの表面をざらざらにすることができ
る。透明なポリマーシートをざらざらにしたり、艶消し
外見にしたりするさらに別の手段は、複数の異なったポ
リマーの混合物を使用することである。
【0033】本発明のさらに別の態様では、画像と補強
材を覆う透明なポリマーシートは、紫外線吸収剤を含ん
でいる。紫外線のエネルギーによってポリマーの結合が
切れ、残留しているモノマー、触媒、その他の物質と反
応して、ヒドロぺルオキシド又はカルボニル基が形成さ
れる可能性がある。紫外線吸収剤としては任意のものを
用いることができる。代表的なものとしては、ヒドロキ
シベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾ
ール、ヒンダードアミン光安定剤、金属塩のほか、二酸
化チタン、酸化亜鉛といった顔料が挙げられる。本発明
のポリマーシートは透明であるため、顔料は望ましくな
い。本発明のポリマーシートは、紫外線吸収剤のほかに
さまざまな添加物を含んでいてもよい。添加物として
は、抗酸化剤、青や赤などに着色するための色素化合
物、蛍光増白剤、抗ブロック剤、スリップ剤などが挙げ
られる。ポリマーシートが白色顔料を含んでいて、その
シートの中の少なくとも1つの層が、ポリオレフィンと
ポリプロピレン、特にポリプロピレンを含んでいて、そ
の層の中にさらに二酸化チタンなどの白色顔料を含んで
いてもよい場合には、その層は、ポリプロピレンの熱的
安定化に一般に用いられる任意の第1のヒンダードフェ
ノール抗酸化剤を、単独で、あるいは第2の抗酸化剤と
合わせて含んでいてもよい。第1のヒンダードフェノー
ル抗酸化剤としては、ベンゼンプロパン酸, 3, 5-ビス
(1, 1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-,2, 2-ビス
[[3-[3, 5-ビス(1, 1-ジメチルエチル)-4-ヒドロ
キシフェニル]-1-オキソプロポキシ]メチル]-1, 3-
プロパンジイルエステル(例えばIrganox1010)、ベン
ゼンプロパン酸, 3, 5-ビス(1, 1-ジメチルエチル)-4
-ヒドロキシ-, オクタデシルエステル(例えばIrganox
1076)、(例えばIrganox 1035)、フェノール, 4, 4',
4"-[(2, 4, 6-トリメチル-1, 3, 5-ベンゼントリイ
ル)トリス(メチレン)]トリス[2, 6-ビス(1, 1-ジ
メチルエチル)](例えばIrganox 1330)などが挙げら
れるが、これだけに限定されるわけではない。第2の抗
酸化剤としては、有機アルキル亜リン酸塩やアリール亜
リン酸塩が挙げられる。具体例としては、亜リン酸, ビ
ス[2, 4-ビス(1, 1-ジメチルエチル)-6-メチルフェ
ニル]エチルエステル(例えばIrgafos 38)、エタンア
ミン, 2-[[2, 4, 8, 10-テトラキス(1, 1-ジメチル
エチル)ジベンゾ[d, f][1, 3, 2]-ジオキサフォス
フェピン-6-イル]オキシ]-N, N-ビス[2-[[2, 4,
8, 10-テトラキス(1, 1-ジメチルエチル)ジベンゾ
[d, f][1, 3, 2]-ジオキサフォスフェピン-6-イ
ル]オキシ]エチル](例えばIrgafos 12)、フェノー
ル, 2,4-ビス(1, 1-ジメチルエチル), 亜リン酸塩
(例えばIrgafos 168)が挙げられる。好ましいのは、I
rgafos 168を使用することである。
【0034】ピクチャーを完成させる際に画像と補強材
を覆う透明なシートは、弾性率が350MPaであることが好
ましい。透明なシートがこの弾性率を有することは、完
成したピクチャーが満足のゆく強度を持ち、透明なシー
トが画像と補強材を一体化しておくのに十分な強度を持
つようにするために重要である。弾性率が大きいシート
ほど、個々の要素を一体に保持することがよりよくで
き、より乱暴な取り扱いにも耐えられる。本発明の別の
態様では、透明なポリマーシートが袋になっている。こ
の好ましい態様では、袋をあらかじめ形成することによ
り、その袋の中に画像が形成されたプリントを素早く入
れ、次いで袋を真空にしてシールすることが可能にな
る。さらに別の態様では、次の段階として袋を熱して収
縮させ、ぴったりとフィットさせる。さらに別の態様で
は、透明なポリマーシート又は透明なポリマーの袋の少
なくとも一方の表面に、5ミクロン以上の空間周波数で
0.3ミクロン以上の凹凸を設ける。そのような凹凸があ
ることで、普通とは違った独特の感触が生まれる。凹凸
は、従来の写真ペーパーの凹凸に合わせ、完成したピク
チャーの表面がざらざらした感じ、あるいは艶消しの感
じになるようにする。こうすることにより、プリントの
光沢が減るだけでなく、摩擦係数が小さくなるためにプ
リントが袋の中に入りやすくもなる。袋又はポリマーシ
ートの外面もざらざらにすることが好ましい。外面及び
前面が好ましいのは、プリントに指紋がつきにくくなる
とともに、過度の光沢がなくなるからである。プリント
を高速でパッケージする場合には、裏側にもある程度の
凹凸があることが望ましい。これは、プリントに引っか
き傷がつくのをできるだけ防ぐとともに、裏側の摩擦係
数を最適にしてプリントがパッケージング装置に引っか
かることを防止し、うまく重ねられるようにするためで
ある。場合によっては、プリントを入れたり、シールし
たり、空気を抜いたり、収縮させたりする前に、シート
又は袋の表面をざらざらにすることができる。この方法
の変化形としては、画像要素と補強材の一方又は両方を
ざらざらにすることが考えられる。透明なポリマーシー
ト又は袋が熱によって収縮すると、ざらざらした表面の
様子が透けて見えるようになる。たいていの場合、その
ようにしてもポリマーシートにはまだかなりの光沢があ
る。別の態様は、光沢を減らす層を有する実質的に透明
なシート又は袋を含んでなる。そのような層には、シリ
カ、シリカゲル、ゾルゲル、ガラスビーズ、ポリマービ
ーズ、顔料、などの光散乱物質及び空隙を含有させるこ
とができる。光沢をできるだけ少なくした粗い表面にす
るためには、不混和性のポリマーの混合物を用いること
もできる。一般に、結合剤として使用することのできる
ポリマーとしては、ビニル、ビニルアルコール、酢酸ビ
ニルコポリマー、塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデ
ン、トリ酢酸セルロース、セルロースプロピオナート、
ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、メタクリル酸
スチレンブチルコポリマー、スチレンアリルアルコール
コポリマー、ゼラチン、ポリエステルとコポリエステ
ル、ビニルピリジン及びその他の誘導体、アクリレート
及びアクリレートのコポリマー(例えばポリ(メタクリ
ル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)が挙げられ
るが、これだけではない)、ポリアミド樹脂、ポリスル
ホン、芳香族エステルカーボネートコポリマー、ポリカ
ーボネート、メチルスチレン-ジメチルシロキサンブロ
ックコポリマー、ジメチルシロキサン-ビスフェノール
コポリマー、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0035】本発明の別の好ましい態様は、透明なポリ
マーの袋がタブをさらに備えている。例えば物理的に組
み立てたピクチャーを写真アルバム又はノートに収める
ことができるよう、タブは、リングを通すためにあらか
じめ開けた穴、あるいはそれ以外の留め具を備えること
が可能である。
【0036】本発明の別の態様では、補強材は、透過し
て見えてしまうことがないよう、実質的に不透明になっ
ているべきである。また、補強材は、画像形成要素と接
触する白い面をさらに備えていてもよい。補強材が白い
と、画像を眺めるときに背景がよく反射する。画像を載
せた薄いポリマーシートも白色かつ不透明になっている
態様では、補強材の材料を透明にすることができる。そ
うすることで、補強材材料の選択肢が増える。茶色又は
漂白していないクラフト紙でできた補強材を用いても、
白を反射する満足のゆくピクチャーを得ることが可能で
あろう。これは重要なことである。というのも、コスト
がより低い材料を使うことができるからである。任意選
択のフィラー材料は、二酸化チタン、コロイド状シリ
カ、硫酸バリウム、硫化亜鉛、アルミナ水和物、ケイ酸
カルシウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、これ
らのフィラーの混合物、微粒子からなる群の中から選択
する。
【0037】本発明では、補強材の材料は少なくとも15
0ニュートンの剛性を有することが好ましい。それだけ
の剛性があると丈夫な補強材になり、透明なポリマーシ
ートが収縮するときの力に耐えることができる。本発明
の別の態様では、物理的に組み立てたピクチャーは150
ニュートンを超える剛性を有することができる。ほとん
どの写真材料及び画像材料は、独特の感触を有する。ほ
とんどの消費者は、実質的に丈夫で感触のよいプリント
に優れた品質を感じ取る。したがって、物理的に組み立
てたピクチャーが十分に剛性を有することは、本発明の
1つの重要な側面である。
【0038】物理的に組み立てたピクチャーの別の態様
は、補強材及び/又は透明なポリマーシートを備えてお
り、透明なポリマーシートにはさらに芳香が含まれてい
る。芳香材料は、以下の物質からなる群の中から選択す
る。すなわち、酢酸イソアミル、酪酸エチル-2-メチ
ル、n-ヘキサナール、ダマシーノン(damascenone)、
ムスコン、ブラシル酸エチレン、エチレンドデカンジオ
アート、エレモフィロン、アネトール、イソブチル-2-
ブテンジオアート、2, 5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2
H)-フラノン、カルボン、ベンズアルデヒド、チリルア
ルデヒド、酢酸ベジル、5-メチル-2-フェニル-2-ヘキサ
ナール、酪酸イソアミル、バニリン、酢酸フェニルイソ
アミル、フルフリルメルカプタン、フルフリルチオプロ
ピオナート、α-ノナラクトン、2-メトキシ-5-メチルピ
ラジン、桂皮アルデヒド、エチルエナンタート、2-メチ
ル-2-ペンテン酸、メチルアントラニラート、酪酸エチ
ル-3-ヒドロキシ、ヌートクトン、メチル(メチルチ
オ)ピラジン、酢酸ベジラート、インドール、シトラー
ル、α-テルピネオール、β-シネンサル、エチルアント
ラニラート、チモール、オクチルアルデヒド、デシルア
ルデヒド、2-メチル-3-92-トリプロピオンアルデヒド、
ヒドロキシシトロネラジメチル-2-フェニルプロピオン
アルデヒド、2-メチル-3-(4-イソプピルフェニル)プ
ロピオンアルデヒド、3-メチル-1, 2-シクロペンタンジ
オン、メントール、3-メチルチオ-1, 2-ヘキサノール、
a-ウンデカラクトン、6-アミル-60-ピロン、2, 5-ジメ
チルピラジン、エチデカン-シス-4-トランス-2-チオプ
ロピオナート、アリルシクロヘキサンプロピオナート、
6-メチル-60-イオノン、トランス-60-イオノン、4-(4-
ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、エチルマルトー
ル、メチルシンナマート、4-ヒドロキシ-2, 5-ジメチル
-3(2H)-フラノン、エチメチフェニルグリシダート、
エチルバニリン、プロペニルクアトール、ならびにこれ
らの混合物からなる群より選ばれる。芳香材料は、透明
なポリマー層、補強材、又は画像が記録されたポリマー
シートに適用することができる。
【0039】薄いポリマーシート上の画像と補強材を有
する少なくとも1つの画像形成要素を備え、透明なシー
トが物理的に画像と補強材を保持する本発明のピクチャ
ーの別の態様は、乾燥剤をさらに含むことができる。乾
燥剤は、水をその内部に吸収又は保持する任意の物質と
なることが可能である。代表的な乾燥剤は吸湿性物質で
あり、例えば、活性化アルミナ、塩化カルシウム、シリ
カゲル、塩化亜鉛、多孔性物質が挙げられる。多孔性物
質は、粘土や長石と化学的に似たケイ酸アルミニウム、
ゼオライト、あるいは有機アミン又は第4アンモニウム
塩を含む混合物に由来する結晶性リン酸アルミニウムで
ある。多孔性物質は、水の吸収が最適になるよう、孔の
サイズが5〜10オングストロームとなっているのがよ
い。
【0040】本発明の1つの好ましい態様は、セルロー
ス繊維を含む補強材を備えている。補強材としては、写
真ペーパー、普通紙、コート紙、ポリマーコート紙、ク
ラフト紙、不織セルロース、ボール紙、木、木の誘導物
などが可能である。本発明のさらに別の態様では、補強
材は、空隙を有するポリマーシートを含んでもよい。そ
のようなシートは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリカーボネート、又はポリスチレンからな
る二軸延伸ポリマーシートを含むことができるが、それ
だけに限定されるわけではない。そのようなシートはさ
らに、顔料その他の添加物を含んだ同種の複数のポリマ
ー又は異種の複数のポリマーからなる層を含むことがで
きる。空隙を有するシートがポリオレフィンである場合
には、好適な任意の二軸延伸ポリマーシートを用いるこ
とができる。微細な空隙を有する二軸延伸複合シートを
使用することが好ましい。そのようなシートは、中心層
と表面層を共押し出しし、次に二軸延伸にするという従
来法で製造される。その結果、空隙が、中心層に含まれ
る空隙形成物質の周囲に形成される。このような複合シ
ートは、例えば、アメリカ合衆国特許第4,377,616号、
第4,758,462号、第4,632,869号に開示されている。
【0041】好ましい複合シートの中心部は、そのシー
トの厚さ全体の15〜95%、好ましくは30〜85%であるの
がよい。したがって、空隙のないスキン(複数可)は、
シートの厚さの5〜85%、好ましくは15〜70%であるの
がよい。
【0042】複合シートの密度(比重)を“中実密度の
割合”として表わした値は、以下のように計算される。
【0043】
【数1】
【0044】中実密度の割合は、45%〜100%、好まし
くは67%〜100%であるのがよい。中実密度の割合が67
%未満になると、引っ張り強さが低下し複合シートが製
造しにくくなり、物理的に傷つきやすくなる。
【0045】“空隙”という用語は、この明細書では、
添加した固体材料及び液体材料が欠けている部分を意味
する。ただし、“空隙”にはガスが含まれる可能性があ
る。完成したパッケージ用シートの中心部に残っている
空隙形成粒子は、直径が0.1〜10μmであるのがよく、形
は球が好ましく、望みの形とサイズの空隙を生み出せる
ようになっているのがよい。空隙のサイズは、縦方向と
横方向の延伸の程度にも依存する。理想的には、空隙
は、対向していて端部が互いに接触する2つの凹型の円
板によって規定される形を取ることになる。言い換える
ならば、空隙は、レンズのような形、すなわち両凸形に
なる傾向がある。空隙は、主要な2つの次元が縦方向な
らびにシートの横方向と揃うような方向を向く。Z軸方
向は主要でない次元であり、空隙形成粒子の直径とほぼ
等しい長さになっている。空隙は、一般に閉じたセルに
なる傾向があり、したがって、空隙を有する中心部の一
方の側から他方の側へガス又は液体が通過できるような
開放経路は実質的に存在していない。
【0046】空隙形成物質は、さまざまな物質の中から
選択することができる。量は、コアマトリックスとなる
ポリマーの約5〜50質量%存在しているのがよい。空隙
形成物質は、ポリマー材料を含んでいることが好まし
い。ポリマー材料を用いる場合、コアマトリックスを構
成しているポリマーと溶融混合できて、冷却すると球状
粒子が分散した分散液になるポリマーにするとよい。そ
うしたポリマー材料の具体例としては、ポリプロピレン
に分散させたナイロン、ポリプロピレンに分散させたテ
レフタル酸ポリブチレン、テレフタル酸ポリエチレンに
分散させたポリプロピレンを挙げることができよう。も
しポリマーがあらかじめ成形され、マトリックスとなる
ポリマーと混合されている場合には、重要な特徴は、ポ
リマー粒子のサイズと形である。粒子は球形であること
が好ましいが、中空でも中が詰まっていてもよい。球状
のポリマー粒子は、架橋ポリマーから作ることができ
る。架橋したポリマーは、以下の群の中から選択する。
すなわち、一般式Ar-C(R)=CH2で表わされるアルキル
芳香族化合物(ただし、Arは、芳香族炭化水素基又はベ
ンゼン系列の芳香族ハロ炭化水素基を表わし、Rは、水
素又はメチル基を表わす);一般式CH2=C(R')-C
(O)(OR)で表わされるモノマーを含むアクリレート
タイプのモノマー(ただし、Rは、水素と、1〜12個の
炭素原子を含むアルキル基からなる群の中から選択し、
R'は、水素とメチル基からなる群の中から選択する);
塩化ビニルと塩化ビニリデンのコポリマー、アクリロニ
トリルと塩化ビニルのコポリマー、臭化ビニルのコポリ
マー、一般式CH2=CH(O)CORで表わされるビニルエス
テル(ただし、Rは、2〜18個の炭素原子を含むアルキ
ル基である)のコポリマー;アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル
酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テレフタル酸、ジア
ルキルテレフタル酸塩、又はその誘導体でエステルを作
るものを、HO(CH2nOH(ただし、nは2〜10の整数で
あり、ポリマー分子の中に反応性のオレフィン結合を有
する)で表わされるグリコールと反応させることによっ
て調製される合成ポリエステル樹脂(上記のポリエステ
ルは、内部に、第2の酸又はそのエステルで反応性の不
飽和オレフィンを有するもの、又はこれらの混合物と、
ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸ジエチレングリコー
ル、フマル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、ならびにこ
れらの混合物からなる群の中から選択した架橋剤とを、
共重合された形態で20質量%まで含んでいる)である。
【0047】架橋ポリマーを製造するための代表的なモ
ノマーの具体例としては、スチレン、アクリル酸ブチ
ル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸
メチル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ビニルピ
リジン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、塩化ビニルベ
ンジル、塩化ビニリデン、アクリル酸、ジビニルベンゼ
ン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニル
トルエンなどが挙げられる。架橋ポリマーとしては、ポ
リスチレン又はポリ(メタクリル酸メチル)が好まし
い。最も好ましい架橋ポリマーはポリスチレンであり、
最も好ましい架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0048】従来技術で周知のプロセスにより、サイズ
が不揃いで、広いサイズ分布を特徴とする粒子が得られ
る。得られる粒子は、本来そのようにサイズが分布して
いる粒子をスクリーニングすることによって、分類する
ことができる。懸濁重合、制限つき融合などの別の方法
を用いると、サイズが非常によく揃った粒子を直接得る
ことができる。
【0049】空隙形成物質は、空隙形成を容易にするた
めの薬剤でコーティングしてもよい。好適な薬剤又は滑
剤としては、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナの
ほか、酸化スズ、酸化アルミニウムなどの金属酸化物が
挙げられる。好ましい薬剤は、コロイド状シリカとアル
ミナであるが、シリカが最も好ましい。薬剤でコーティ
ングされた架橋ポリマーは、従来技術で周知の方法で調
製することができる。例えば、薬剤を懸濁液に添加する
という従来の懸濁重合法が好ましい。薬剤としては、コ
ロイド状シリカが好ましい。
【0050】空隙形成物質は、無機の球体でもよい。例
えば、中身の詰まったガラス球、中空のガラス球、金属
又はセラミックからなるビーズのほか、粘土、タルク、
硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機粒子が挙げら
れる。重要なのは、材料がコアマトリックスとなるポリ
マーと化学的に反応して以下のような問題を1つ以上引
き起こすことがないという点である。すなわち問題点と
は、(a)マトリックスとなるポリマーが結晶化する際
のキネティックスが変化して延伸するのが困難になるこ
と、(b)コアマトリックスとなるポリマーが破壊され
ること、(c)空隙形成粒子が破壊されること、(d)
空隙形成粒子がマトリックスとなるポリマーに付着する
こと、(e)望ましくない反応生成物、例えば毒物や鮮
やかな色彩の生成物が発生すること、である。空隙形成
物質は、写真として活性があってはならず、二軸延伸ポ
リオレフィンシートを使用した写真要素の性能を低下さ
せてもならない。
【0051】別の態様では、補強材又は、画像形成要素
のポリマーシートにおいて、空隙を有するポリエステル
シートを用いることができる。空隙を有するポリエステ
ルシートは、層全体にわたって空隙があってもよいし、
層の一部だけに空隙があり、付加されている空隙のない
層が追加機能を持つようになっていてもよい。本発明の
支持体の材料として使われていてポリエステルベースシ
ートは、ガラス転移温度が約50℃〜約150℃、好ましく
は約60〜100℃であるのがよく、また、このポリエステ
ルシートは、延伸可能で、固有粘性率が少なくとも0.5
0、好ましくは0.6〜0.9になっているのがよい。好適な
ポリエステルとしては、炭素原子が4〜20個の芳香族、
脂肪族、環式脂肪族のジカルボン酸と、炭素原子が2〜
24個の脂肪族又は脂環式のグリコールとから製造したも
のが挙げられる。好適なジカルボン酸の具体例として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタ
コン酸、1, 4-シクロヘキサンジカルボン酸、ソディオ
スルホイソフタル酸、ならびにこれらの混合物が挙げら
れる。好適なグリコールの具体例としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペ
ンタンジオール、ヘキサンジオール、1, 4-シクロヘキ
サンジメタノール、ジエチレングリコール、その他のポ
リエチレングリコール、ならびにこれらの混合物が挙げ
られる。そのようなポリエステルは従来技術で周知であ
り、周知の技術、例えばアメリカ合衆国特許第2,465,31
9号、第2,901,466号に記載されている方法で製造するこ
とができる。好ましい連続マトリックスポリマーは、テ
レフタル酸又はナフタレンジカルボン酸からの繰り返し
単位と、エチレングリコール、1, 4-ブタンジオール、
1, 4-シクロヘキサンジメタノールの中から選択した少
なくとも1つのグリコールからの繰り返し単位を有する
ものである。ポリ(テレフタル酸エチレン)は、少量の
他のモノマーで変化させることができるので特に好まし
い。ポリプロピレンも有効である。他の好適なポリエス
テルとしては、スチルベンジカルボン酸などの共酸を適
量含むことによって形成された液晶コポリエステルがあ
る。そのような液晶コポリエステルの具体例としては、
アメリカ合衆国特許第4,420,607号、第4,459,402号、第
4,468,510号に開示されているものがある。
【0052】シート形成中に空隙を形成するのに用いる
とよいマイクロビーズ用の架橋ポリマーは、以下の群の
中から選択した重合可能な有機材料である。そのグルー
プは、一般式
【0053】
【化1】
【0054】で表わされるアルケニル芳香族化合物(た
だし、Arは、芳香族炭化水素基又はベンゼン系列の芳香
族ハロ炭化水素基を表わし、Rは、水素又はメチル基を
表わす);一般式
【0055】
【化2】
【0056】で表わされるモノマーを含むアクリレート
系モノマー(ただし、Rは、水素と、1〜12個の炭素原
子を含むアルキル基からなる群の中から選択し、R'は、
水素とメチル基からなる群の中から選択する);塩化ビ
ニルと塩化ビニリデンのコポリマー、アクリロニトリル
と塩化ビニルのコポリマー、臭化ビニルのコポリマー、
一般式
【0057】
【化3】
【0058】で表わされるビニルエステル(ただし、R
は、2〜18個の炭素原子を含むアルキル基である)のコ
ポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シ
トラコン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニ
ル安息香酸;テレフタル酸、ジアルキルテレフタル酸
塩、又はその誘導体でエステルを作るものを、HO(C
H2nOH(ただし、nは2〜10の整数であり、ポリマー分
子の中に反応性のオレフィン結合を有する)で表わされ
るグリコールと反応させることによって調製される合成
ポリエステル樹脂からなる。上記のポリエステルは、内
部に、第2の酸又はそのエステルで反応性の不飽和オレ
フィンを有するもの、又はこれらの混合物と、ジビニル
ベンゼン、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、フマ
ル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、ならびにこれらの混
合物からなる群の中から選択した架橋剤とを、共重合さ
れた形態で20質量%まで含んでいる。
【0059】架橋ポリマーを製造するための代表的なモ
ノマーの具体例としては、スチレン、アクリル酸ブチ
ル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸
メチル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ビニルピ
リジン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、塩化ビニルベ
ンジル、塩化ビニリデン、アクリル酸、ジビニルベンゼ
ン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニル
トルエンなどが挙げられる。架橋ポリマーとしては、ポ
リスチレン又はポリ(メタクリル酸メチル)が好まし
い。最も好ましい架橋ポリマーはポリスチレンであり、
最も好ましい架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0060】従来技術で周知のプロセスにより、サイズ
が不揃いで、広いサイズ分布を特徴とする粒子が得られ
る。得られる粒子は、本来そのようにサイズが分布して
いる粒子をスクリーニングすることによって、分類する
ことができる。懸濁重合、制限つき融合などの別の方法
を用いると、サイズが非常によく揃った粒子を直接得る
ことができる。好適な薬剤又は滑剤としては、コロイド
状シリカ、コロイド状アルミナのほか、酸化スズ、酸化
アルミニウムなどの金属酸化物が挙げられる。好ましい
薬剤は、コロイド状シリカとアルミナであるが、シリカ
が最も好ましい。薬剤でコーティングされた架橋ポリマ
ーは、従来技術で周知の方法で調製することができる。
例えば、薬剤を懸濁液に添加するという従来の懸濁重合
法が好ましい。薬剤としては、コロイド状シリカが好ま
しい。
【0061】“制限された融合”技術を利用して、コー
ティングされた架橋ポリマーマイクロビーズを製造する
ことが好ましい。この方法は、アメリカ合衆国特許第3,
615,972号に詳しく記載されている。しかし本発明で使
うためにコーティングされたマイクロビーズを調製する
際には、この特許に記載されている膨張剤は使用しな
い。
【0062】制限された融合技術においては、以下の一
般的な手順を用いる。 1.重合可能な液体を水性の非溶媒液体媒体の中に分散
させ、ポリマー粒子の望ましいサイズよりも大きくない
サイズの液滴が分散した分散液を形成する。
【0063】2.この分散液を放置し、しばらくの間、
わずかに撹拌するか、あるいはまったく撹拌せずにお
く。その間に分散した液滴の一部が融合して、より少数
のより大きな液滴が形成される。懸濁媒体の組成のため
に融合するのは一部だけであり、分散された液滴のサイ
ズは、著しく均一になるとともに、所望の大きさにな
る。
【0064】3.次に、分散された均一な液滴は、増粘
剤を添加することによって安定化させて水性懸濁媒体に
する。その結果、分散された均一なサイズの液滴がさら
に融合することはなくなる。また、分散相と連続相の密
度差のために、その液滴が分散液の中に集まるのが遅く
なる。
【0065】4.安定化したその分散液の中にある重合
可能な液体又は油を、重合条件下で重合する。その結
果、著しく均一で所望の大きさの球状ポリマー粒子が得
られる。そのサイズは、主として最初の水性懸濁媒体の
組成によってあらかじめ決まってしまう。
【0066】重合可能な液滴の直径、つまりポリマービ
ーズの直径は、水性懸濁媒体の組成をわざと変えること
によって、約0.5μmから約0.5cmの範囲で予測通りに変
えることができる。どのような操作を行なっても、液滴
の直径、したがってポリマービーズの直径の分布幅は最
小直径の約3倍以下という値であり、臨界的撹拌法を利
用した従来の懸濁重合法で調製された液滴及びビーズの
直径の場合の10倍以上という値と大きく異なる。本発明
の方法におけるビーズのサイズ、例えば直径は、主に、
水性分散液の組成によって決まるので、撹拌の程度、使
用する装置の大きさと設計、作業規模などの機械的条件
は、それほど重要ではない。さらに、同じ組成物を用い
ることにより、作業を繰り返したり作業規模を変えたり
して実質的に同じ結果を得ることができる。
【0067】本発明の方法は、1容積部の重合可能な液
体を、少なくとも0.5容積部、好ましくは0.5〜約10容積
部又はそれ以上の非溶媒水性媒体に分散させるというも
のである。この非溶媒水性媒体には、水と、以下の内容
物のうちの少なくとも第1番目のものが含まれている。
【0068】1.水に分散させることができるが水には
溶けない固体コロイド。水性分散液中のコロイド粒子
は、大きさが約0.008〜約50μmのオーダーであり、その
粒子は液−液界面に集まる傾向がある。あるいは、以下
のものの存在によって集まる傾向を持つようになる。
【0069】2.固体コロイド粒子の“親水性と疎水性
のバランス”に影響を与える水溶性の“促進剤”、及び
/又は、 3.電解質、及び/又は、 4.コロイドの活性を変化させる物質、例えばコロイド
分散剤や表面活性剤などと、通常は、 5.水溶性でモノマーに溶けない重合抑制剤。
【0070】水に分散させることができるが水には溶け
ない固体コロイドは、金属塩、水酸化物、粘土などの無
機材料でもよいし、生のデンプン、スルホン化した架橋
有機ハイポリマー、樹脂ポリマーなどの有機材料でもよ
い。
【0071】固体コロイド物質は、水に対して不溶性か
つ水に分散可能でなくてはならず、重合可能な液体で濡
らすことはできるが重合可能な液体には不溶性かつ非分
散性でなくてはならない。固体コロイドは、水性液体内
に完全に分散されたままになるためには、親油性よりも
親水性がはるかに大きくなくてはならない。限られた融
合を起こすのに用いる固体コロイドは、上記の制約の中
で、水性液体内で比較的固くて独立した形と大きさを保
持している粒子を有するコロイドである。この粒子は大
きく膨張することや非常によく水和することができる。
ただし、膨張した粒子は決まった形を維持していなくて
はならない。その場合、実効サイズは、膨張した粒子の
サイズとほぼ同じになる。粒子は、極端に分子量の大き
な架橋樹脂の場合のように本質的に単一の分子でもよけ
れば、多数の分子の集合体でもよい。水に分散されて本
当の溶液又はコロイド溶液を形成する物質、すなわち水
の中で粒子のサイズが上記の範囲よりも小さくなるか、
粒子が分散されすぎて形が見分けられなくなってしまう
ような物質は、限定された融合のための安定剤には適し
ていない。使用する固体コロイドの量は、通常は、重合
可能な液体100cm3につき、約0.01〜約10グラム又はそれ
以上である。
【0072】重合可能な液滴を限定的に融合させるため
の安定剤が機能するためには、固体コロイドが、水性液
体とともに液−液界面に、すなわち油滴の表面に集まる
傾向がなくてはならない。(“油”という用語は、この
明細書では、水に溶けない液体全般を意味することがあ
る。)多くの場合、水性組成物に“促進剤”を添加して
固体コロイド粒子を液−液界面に追いやることが望まし
い。この現象はエマルションにおいては周知であり、こ
こでは固体コロイド粒子に適用して、広い意味で“親水
性と疎水性のバランス”調節に含めることにする。
【0073】通常は、促進剤は、固体コロイドと油滴に
対する親和性を有すると同時に、固体コロイドをより親
油性にすることのできる有機材料である。油面に対する
親和性は、通常、促進剤分子の何らかの有機部分のため
に生じるが、固体コロイドに対する親和性は、通常、電
荷が逆であることによって生じる。例えば、正に帯電し
た金属錯体塩又は水酸化物、例えば水酸化アルミニウム
は、負に帯電した有機促進剤、例えば水溶性スルホン化
ポリスチレン、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロ
ースの存在により生成を促進することができる。ベント
ナイトなどの負に帯電したコロイドは、正に帯電した促
進剤であるテトラメチル水酸化アンモニウムやテトラメ
チル塩化アンモニウムなどによって、あるいは複合樹脂
アミン縮合生成物であるジエタノールアミンとアジピン
酸の水溶性縮合生成物、酸化エチレンと尿素とホルムア
ルデヒドの水溶性縮合生成物、ポリエチレンイミンなど
によって生成が促進される。両性物質であるゼラチン、
膠、カゼイン、アルブミン、グルテンなどのタンパク質
性物質は、さまざまな固体コロイドの促進剤として効果
的である。メトキシセルロースなどの非イオン性物質
も、場合によっては効果的である。通常は、促進剤は、
水性媒体に対してほんの数ppmの割合で使用する必要が
あるが、その割合はさらに多くても許される場合がしば
しばある。場合によっては、通常は乳化剤に分類される
イオン性物質、例えば、石鹸、長鎖の硫酸塩やスルホン
酸塩、長鎖の第4アンモニウム化合物なども、固体コロ
イドの促進剤として用いることができるが、重合可能な
液体と水性媒体の間で安定なコロイドエマルションが形
成されないよう注意する必要がある。
【0074】有機促進剤と同様の効果を得るのに、少量
の電解質、例えば、水溶性でイオン化可能なアルカリ、
酸、塩をしばしば用いる。中でも多価イオンを有するも
のを用いる。これらの物質は、コロイドが過剰に水和し
ていることが原因でコロイドの親水性が過剰になったり
親油性が不十分になったりしている場合に特に有効であ
る。例えば、適度に架橋したスルホン化スチレンのポリ
マーは、水中で大きく膨張し、水和する。このポリマー
は分子構造にベンゼン環を含んでいて、そのベンゼン環
が、コロイドに対し、分散液中の油相に対するいくぶん
かの親和性を与えているはずだとはいえ、水和の程度が
大きいために、コロイド粒子が、付随する大量の水に取
り囲まれる。可溶でイオン化可能で多価のカチオン化合
物であるアルミニウム塩やカルシウム塩などを水性組成
物に添加すると、付随している水の一部が膨張したコロ
イドから滲出してコロイドが大きく縮み、そのコロイド
粒子の有機部分が露出して、コロイドの親油性が向上す
る。
【0075】固体コロイド粒子は、親水性と親油性がバ
ランスしているために水相において油と水の界面に集ま
る傾向を持つが、そのコロイド粒子が油滴の表面に集ま
り、限定された融合の間、保護剤として機能する。
【0076】水性組成物のコロイド特性を変えるために
すでに知られているやり方で使用することのできる他の
試薬は、コロイド分散剤、凝集剤、解凝剤、増感剤、表
面活性剤などの従来から知られている物質である。
【0077】モノマー分子の重合を妨げるため、水溶性
で油には不溶性の重合抑制剤を水性液体に数ppm添加す
ることが望ましい場合がある。というのも、モノマー分
子は、水性液体中に拡散するか、コロイドミセルに吸収
されるかする可能性があり、水相で重合が許されるので
あれば、ビーズ又は真珠のような望ましいポリマーが得
られないから、あるいはそうしたポリマーに加えて、エ
マルションタイプのポリマーが得られる傾向が出てくる
だろうからである。
【0078】水に分散可能な固体コロイドを含む水性媒
体は、次に、重合可能な液体材料と混合して、その重合
可能な液体材料を水性媒体中で小さな液滴に分散させ
る。この分散液は、通常の手段により実現することがで
きる。例えば、機械的な撹拌器又はシェイカーによる
か、噴流を通じたポンピングによるか、衝撃によるか、
又は連続水性媒体中で重合可能な物質を液滴に分割する
他の方法によって、実現することができる。
【0079】分散の程度、例えば撹拌による分散の程度
は重要ではないが、分散された液滴のサイズが、安定な
分散液中で期待され、かつ望まれている安定な液滴のサ
イズよりも大きくない、好ましくはそれよりもはるかに
小さい必要があるという条件が満たされていなくてはな
らない。そのような条件が満たされている場合には、得
られる分散液を撹拌せずに放置するのが好ましい。たと
え撹拌することがあったにしても、ほんのわずかだけで
ある。そのような静かな条件では、分散された液相の中
で限定された融合が進行する。
【0080】“限定された融合”とは、ある種の水性懸
濁媒体中に分散された液滴が融合してより少数のより大
きな液滴を形成し、ついにはある限界のサイズにまで成
長することによって融合が実質的に終了する現象のこと
である。その結果生まれる分散された液滴は、直径が0.
3cm、場合によっては0.5cmにもなることがあり、安定で
それ以上は融合せず、サイズは非常に均一である。この
ように大きな分散液滴を激しく撹拌すると、小さな液滴
に分かれてしまう。分割されて小さくなった液滴は、静
置すると、再び同じ限度まで融合して、以前と同じ均一
なサイズの大きな安定した分散液滴を形成する。したが
って、限定された融合によって生まれる分散液は、実質
的に均一な直径の液滴を含んでおり、その液滴は安定で
それ以上融合することはない。
【0081】この現象の基礎となる原理を適用して限定
された融合を意図的かつ予測可能なやり方で起こし、重
合可能な液体の分散液を均一で所望のサイズの液滴にし
た。
【0082】限定された融合が起こっているときには、
小さな固体コロイド粒子は、液体と液体の界面、すなわ
ち油滴の表面に、水性液体とともに集まる傾向がある。
固体コロイドで実質的に覆われた液滴は融合に対して安
定であるのに対し、覆われていない液滴は安定ではない
と考えられる。重合可能な液体の分散液において、液滴
の全表面積は、液体の全体積と液滴の直径の関数であ
る。同様に、例えば1粒子分の厚さがある層の中の固体
コロイドによって何とか覆うことのできる全表面積は、
コロイドの量とコロイド粒子の大きさの関数である。例
えば撹拌によって最初に調製した分散液では、重合可能
な液滴の全表面積は、固体コロイドで覆うことができる
面積よりも大きい。静置しておくと、不安定な液滴が融
合を始める。融合する結果、油滴の数が減少するととも
に、油滴の全表面積が小さくなり、固体コロイドの量が
油滴の全表面積を実質的に覆うのにほぼ十分になった時
点で、融合が実質的に終了する。
【0083】固体コロイド粒子が互いにほぼ同じサイズ
でない場合には、統計的な方法によって平均実効サイズ
を推定することができる。例えば、球状粒子の平均実効
サイズは、代表的なサンプルに含まれる実際の粒子の直
径を二乗してから平均値を出し、その平均値の平方根を
求めることで、計算することができる。
【0084】一般に、上記のようにして均一な液滴懸濁
液を調製することでその懸濁液を油滴の凝集に対して安
定にすることは有利である。
【0085】さらに安定化させるには、均一な液滴分散
液に、水性液体の粘性を大きく増加させることのできる
薬剤をわずかに混合する。この目的で、油滴には溶け
ず、油と水の界面で油滴の表面を覆っている固体コロイ
ド粒子層を除去することもない、任意の水溶性増粘剤又
は水に分散可能な増粘剤を用いることができる。好適な
増粘剤としては、スルホン化ポリスチレン(水に分散可
能で増粘グレードのもの)、ベントナイトなどの親水性
粘土、消化されたデンプン、天然ゴム、カルボキシル基
が置換されたセルロースエーテルなどが挙げられる。増
粘剤としては揺変性ゲルが形成されるようなものを選択
し、その増粘剤を揺変性ゲルが形成されるのに必要な量
だけ用いることがしばしばある。このゲルの中に均一サ
イズの油滴を懸濁させる。言い換えるならば、粘性が増
した液体は、一般に、流体としての挙動が非ニュートン
的でなくてはならない。すなわち、相と相の密度差に起
因する重力の作用により、水性液体中に分散された液滴
が速く動くのが妨げられるような性質を持っていなくて
はならない。懸濁した液滴が周囲の媒体に及ぼす力は、
そのような非ニュートン型媒体の中で液滴に速い運動を
させるには十分ではない。通常は、増粘剤は、水性液体
に対し、粘性が増した水性液体の見かけの粘性率が少な
くとも500センチポアズのオーダー(通常は、ブルック
フィールド粘度計で第2番のスピンドルを用いて30rpm
にて測定する)になるような割合で使用する。増粘剤
は、独立した濃縮水性組成物として調製し、注意しなが
ら油滴分散液に混合することが好ましい。
【0086】その結果得られる粘性が増した分散液は、
例えばパイプを通すなどの取り扱いができるようにな
り、分散された油滴のサイズや形が物理的に変化するこ
とは実質的にない状態で重合条件にすることができる。
【0087】得られる分散液は、コイルやチューブで使
用するのに特に適しているほか、粘性が増した分散液を
一方の端から連続的に導入し、大量のポリマービーズを
他端から引き出すのに適した長い容器で実施することの
できる連続重合法において使用するのにも適している。
重合は、バッチ方式でも行なわれる。
【0088】重合のためにさまざまな物質を添加すると
きの順番は重要ではないが、好ましいのは、まず容器に
水と分散剤を添加し、油溶性の触媒をモノマー混合物に
入れ、その後、撹拌しながらモノマー相を水相に入れる
ことである。
【0089】以下に、スリップ剤でコーティングされた
架橋ポリマーマイクロビーズを調製する方法の一例を示
す。この例では、ポリマーはジビニルベンゼンと架橋し
たポリスチレンである。マイクロビーズはシリカでコー
ティングされている。マイクロビーズは、開始剤を含む
モノマーの液滴を分類し加熱して、モノマーの液滴と同
じサイズの固体ポリマー球にする方法で調製される。水
相は、蒸留水7リットル、重クロム酸カリウム(水相の
ための重合抑制剤)1.5g、アジピン酸ポリメチルアミノ
エタノール(促進剤)250g、LUDOX(デュポン社製で、
シリカを50%含むコロイド懸濁液)350gを混合すること
によって調製する。モノマー相は、スチレン3317g、ジ
ビニルベンゼン(55%が活性のある架橋剤;残りの45%
はエチルビニルベンゼンで、スチレンポリマー鎖の一部
を形成する)1421g、VAZO 52(デュポン社製で、モノマ
ーに溶ける開始剤)45gを混合することによって調製す
る。水相とモノマー相の混合物をホモジナイザーを通す
と5μmの液滴が得られる。この懸濁液を一晩52℃に加
熱すると、全体的に球形のマイクロビーズが4.3kg得ら
れる。このマイクロビーズは、平均直径が約5μmであ
り、サイズ分布は狭い(サイズ分布は約2〜10μm)。
ジビニルベンゼンに対するスチレンとエチルビニルベン
ゼンのモル比は、6.1%である。ジビニルベンゼンの割
合は、活性な架橋剤により約2.5〜50%(好ましくは10
〜40%)の架橋状態に調節することができる。もちろ
ん、スチレンとジビニルベンゼン以外のモノマーも、従
来技術で知られている同様の懸濁重合プロセスで用いる
ことができる。また、従来技術で知られているように、
他の開始剤と促進剤も用いることができる。さらに、シ
リカ以外のスリップ剤も用いることができる。例えば、
多数のLUDOXコロイド状シリカがデュポン社から販売さ
れている。LEPANDINコロイド状アルミナがデグサ社から
販売されている。NALCOAGコロイド状シリカがナルコ社
から、酸化スズと酸化チタンがやはりナルコ社から販売
されている。
【0090】一般に、ポリマーは、弾性などの好適な物
理的特性を持つようにするために架橋させる。スチレン
がジビニルベンゼンと架橋する場合には、2.5〜50%、
好ましくは20〜40%が架橋する。架橋した割合は、一次
ポリマーの量に対する架橋剤のモル%のことを意味す
る。このような限定された架橋により、十分に密着して
いて、連続ポリマーを方向づけしている間は元のままの
完全な状態にとどまるマイクロビーズが生まれる。この
ように架橋したビーズはやはり弾性があるため、マイク
ロビーズと対向しているマトリックスポリマーからの圧
力によって方向づけられる間は変形(平坦化)するが、
後で正常な球形に戻り、マイクロビーズの周囲に可能な
限り大きな空隙を生み出す。そのため密度がより小さく
なった製品が生まれる。
【0091】マイクロビーズは、この明細書では、“ス
リップ剤”でコーティングされているものとする。これ
は、マイクロビーズの表面における摩擦が大幅に減少す
ることを意味する。実際、そのようなことが、マイクロ
ビーズの表面でミニチュアの軸受として機能するシリカ
により起こっていると考えられている。スリップ剤は、
懸濁重合混合物の中に含めることにより、マイクロビー
ズを形成している間にその表面にコーティングすること
ができる。
【0092】マイクロビーズのサイズは、シリカとモノ
マーの比を変えて調節する。例えば、以下の比にする
と、左側の欄に示したサイズのマイクロビーズが得られ
る。
【0093】 マイクロビーズのサイズ モノマー スリップ剤(シリカ) μm 質量部 質量部 2 10.4 1 5 27.0 1 20 42.4 1
【0094】架橋ポリマーのマイクロビーズは、サイズ
が0.1〜50μmの範囲にあり、ポリエステルの質量に対し
て5〜50質量%含まれている。ポリスチレンマイクロビ
ーズは、Tgが、連続マトリックスポリマーのTgと比べて
少なくとも20℃高くなっているのがよい。また、ポリス
チレンマイクロビーズは、連続マトリックスポリマーよ
りも硬い。
【0095】マイクロビーズに弾性があるため、一般に
空隙が増加する。マイクロビーズのTgは、延伸の間にマ
イクロビーズが変形することを避けるため、マトリック
スポリマーのTgよりもできるだけ高いことが好ましい。
マイクロビーズの弾性点を超えた温度で架橋させること
に実際的な利点があるとは考えられていない。
【0096】架橋ポリマーのマイクロビーズは、少なく
とも一部が空隙と接している。支持体内で空隙の占める
空間は、支持体の体積に対して2〜60%、好ましくは30
〜50%である。支持体の製造方法の違いにより空隙とマ
イクロビーズの接し方が異なる。すなわち、空隙がドー
ナツ(又は平坦にしたドーナツ)の形をしていてマイク
ロビーズを取り囲む場合のように、空隙がマイクロビー
ズを完全に取り囲むこともあれば、一対の空隙がマイク
ロビーズの両側から接する場合のように、空隙のほんの
一部だけがマイクロビーズと接することもある。
【0097】ポリエステルベースシートの空隙は、引き
延ばされている間に特徴的な形をとり、紙のようにバラ
ンスのとれた二軸延伸から、微小な空隙を有する繊維/
サテン様の繊維のように一軸方向性へと変化する。バラ
ンスのとれた微小な空隙は、延伸平面の内部ではほとん
どが円形であるが、繊維の微小な空隙は、繊維の軸方向
に細長くなっている。微小な空隙のサイズと最終的な物
理的特性は、延伸の程度とバランス、温度と引き延ばし
率、結晶化のキネティックス、マイクロビーズのサイズ
分布などによって決まる。
【0098】本発明のポリエステルシートは、以下のよ
うにして製造する。
【0099】(a)溶融した連続マトリックスポリマー
と架橋したポリマーの混合物を作る。この混合物におけ
る架橋したポリマーは多数のマイクロビーズであり、そ
のマイクロビーズがマトリックスポリマー全体に均一に
分散されている。なお、マトリックスポリマーは、この
明細書にすでに記載したものであり、架橋したポリマー
のマイクロビーズも、この明細書にすでに記載したもの
である。
【0100】(b)押し出し又は成形により、この混合
物からポリエステルベースシートを作る。
【0101】(c)引き延ばすことによりこのポリエス
テルシートを延伸し、このポリエステルシート全体に均
一に分布した架橋ポリマーのマイクロビーズと空隙の関
係が、延伸された方向に沿って空隙の少なくとも一部が
マイクロビーズの両側で接しているようにする。
【0102】混合物は、マトリックスポリマーの溶融物
を作り、その中に架橋ポリマーを混合することによって
作ることができる。架橋ポリマーは、固体又は半固体の
マイクロビーズの形態にすることができる。マトリック
スポリマーと架橋ポリマーは相溶性がないため両者の間
に引力又は接着力は働かず、混合するとマトリックスポ
リマーの中にマイクロビーズが均一に分散する。
【0103】マイクロビーズをマトリックスポリマーの
中に均一に分散させ、押し出しやキャスティングなどの
方法によってベースを形成する。押し出し又はキャステ
ィングの例としては、シートの押し出し又はキャスティ
ングが挙げられよう。このような成形方法は、従来技術
において周知である。シートをキャストするか又は押し
出す場合には、製品を少なくとも一方向に引っ張って延
伸することが重要である。シートを一方向に、又は二方
向に延伸する方法は、従来技術において周知である。基
本的に、そうした方法は、シートキャスティング又は押
し出しの後に、元のサイズの約1.5〜10倍の量、機械方
向、すなわち長手方向に引っ張る操作を含んでいる。こ
のようなシートは、従来技術において周知の装置及び方
法で、横方向に、すなわち機械の横断方向に、一般に元
のサイズの約1.5〜10倍(通常は、ポリエステルの場合
は3〜4倍、ポリプロピレンの場合は6〜10倍)の量、
引っ張ることもできる。そうした装置及び方法は従来技
術において周知であり、例えばアメリカ合衆国特許第3,
903,234号に記載されている。
【0104】この明細書においては、マイクロビーズを
取り囲む空隙又は空き空間は、連続マトリックスポリマ
ーを、この連続マトリックスポリマーのTgよりも高い温
度で引っ張るときに形成される。架橋ポリマーのマイク
ロビーズは、連続マトリックスポリマーと比べて硬い。
また、マイクロビーズとマトリックスポリマーの相溶性
のなさ、混合性の悪さのために、連続マトリックスポリ
マーは、引っ張られるときにマイクロビーズの上を滑
る。そのため、引っ張り方向に沿った側に空隙が形成さ
れる。空隙は、マトリックスポリマーが引っ張られるに
つれて長く延びる。したがって、空隙の最終的なサイズ
と形は、引っ張りの方向と量によって決まる。もし引っ
張るのが一方向だけならば、微小な空隙は、引っ張り方
向に沿ってマイクロビーズの両側に形成される。もし引
っ張るのが二方向ならば(二方向の引っ張り)、そうし
た引っ張りは任意の位置から径方向に広がるベクトル成
分を持つため、それぞれのマイクロビーズを取り囲むド
ーナツ状の空隙が生まれる。
【0105】好ましいこの予備的な引っ張り操作によっ
て、微小な空隙ができると同時にマトリックス材料が延
伸される。最終製品の特性は、引っ張り時間と温度の関
係ならびに引っ張りのタイプと程度によって決まるた
め、これらの要素で最終製品の特性を制御することがで
きる。できるだけ不透明で最高の外観になるようにする
ためには、マトリックスポリマーのガラス転移温度より
ほんのわずかに高い温度で引っ張りを行なう。これより
も高い温度で引っ張ると、両方の相が一緒に引っ張られ
て不透明度が落ちる。前者は、材料が個別に引っ張られ
るという物理的な反融和プロセスである。実現方法を例
示するならば、回転結合生成物を形成するための、繊維
溶融高速回転法と、不織生成物を形成するための繊維及
びフィルムの吹きつけ法の2つの方法がある。要する
に、本発明には、今説明した形成操作がすべて含まれ
る。
【0106】一般に、空隙は、マトリックスポリマーの
結晶化方向とは無関係に形成され、マトリックスポリマ
ーの結晶化方向は必要とされない。不透明で微小な空隙
を有するシートは、完全にアモルファスで結晶化しない
コポリエステルをマトリックス相として用い、本発明の
方法に従って作る。引っ張り強さやガス透過バリア能力
などの特性を持たせるには、結晶化可能な/延伸可能な
(ひずみ硬化)マトリックス材料を使用することが好ま
しい。しかし、アモルファスなマトリックス材料には、
引き裂き抵抗性や熱安定性といった別の特徴がある。マ
トリックスの組成は、いろいろな製品の要求に合わせる
ことができる。結晶性マトリックスポリマーからアモル
ファスなマトリックスポリマーまでのすべてが、本発明
に含まれる。
【0107】空隙を有するポリスチレン又は発泡材を補
強材として用いる態様では、空隙は、二軸延伸のシート
の空隙とは構造が異なっていてもよい。空隙が化学反応
によって形成される場合、レンズよりも円形に近くなる
か、あるいは細長くなる。このタイプの材料は、丈夫で
触感がよいために好まれている。
【0108】物理的に組み立てた本発明のピクチャーで
は、画像が記録された薄いポリマーシートと平坦でない
補強材とを用いることもできる。この場合、透明なシー
トが画像を補強材に対して物理的に押しつける。従来の
写真その他の画像は、紙やポリエステルシートなどの平
坦な面に限定されている。画像を所定の位置に物理的に
保持する手段と、収縮可能な透明なシートとを用いるこ
とにより、上に被せる透明なシートが画像が記録された
薄いポリマーシートに対して力を加えるため、平面でな
い補強材又は曲線状の補強材に合った形になる。画像が
記録された薄いポリマーシートを用いることが重要であ
る。というのも、平面でない面の中には、ざらざらした
面や形やサイズが不規則な面があるからである。薄いポ
リマーシートを用いることにより、不規則な形により容
易に対応できるようになる。収縮可能な透明なシートを
用いて画像が記録されたシートを補強材に押しつけるこ
とにより、接着剤が不要になる。局所的に熱を加えるこ
とにより、画像をある特定の領域に合った状態にするこ
とができる。曲線状の補強材も用いることができる。一
般に、画像が記録された薄いポリマーシートは、曲線状
の補強材により適合した形に形成することができる。こ
の態様が好ましいのは、写真品質又はほぼ写真品質の画
像をさまざまな形や輪郭を持ったものに組み立てること
ができるからである。
【0109】物理的に組み立てたピクチャーの別の態様
では、画像を補強材のそれぞれの面に接触させることが
できる。補強材が平坦な場合には、画像は2つの面と接
触する。補強材が立方体又はピラミッド形の物体である
場合には、多数の画像を接触させることができる。
【0110】ピクチャーを物理的に組み立てる好ましい
方法は、画像要素と補強材を用意し、画像要素を補強材
と接触させ、透明なポリマーシートを画像要素と補強材
の上に被せ、透明なポリマーシートを処理して画像要素
が補強材と永久的に接触した状態を維持するようにする
ことからなる。ある態様では、透明なポリマーシート
は、熱によって収縮する材料である。透明なポリマーシ
ートが画像を補強材に押しつけるようにする1つの手段
は、その透明なポリマーシートで補強材と画像要素を覆
った後にその透明なポリマーシートを収縮させるという
方法である。透明なポリマーシートを収縮させる好まし
い方法は、その透明なポリマーシートに熱を加えるとい
う方法である。本発明の別の態様では、この透明なポリ
マーシートはパウチを有し、そのパウチに補強材と画像
要素を収容し、内部を真空にしてからシールする。
【0111】画像要素と補強材を用いてピクチャーを物
理的に組み立てる方法では、画像要素と補強材を互いに
接触させ、次に、透明なポリマーシートを画像要素と補
強材の上に被せ、熱収縮性のあるその透明なポリマーシ
ートに熱を加えて画像要素と補強材と透明なポリマーシ
ートとが光学的に優れた接触をするようにする。この態
様では、特定の領域に他の領域よりも多くの熱を加え、
平面でない面及び曲線状の面に合った状態にする。本発
明の方法の別の態様では、透明なポリマーシートよりも
下の部分を真空にする。この態様では、透明なポリマー
シートは熱収縮性でなくてもよい。真空にすることによ
り、優れた光学的接触が実現するとともに、物理的に組
み立てたピクチャーの中の酸素がかなり除去される。こ
うすることにより、酸素によって起こる色素の退色が最
少になる。
【0112】補強材を用いて画像を組み立てる別の好ま
しい方法は、帯電防止摩擦層を組み込む方法である。帯
電防止摩擦層は、導電路を提供して静電気そのものや静
電気によるまとわりつきを防止するとともに、画像要素
を物理的に組み立てるのに用いる装置における十分な滑
り摩擦を提供する。感光性画像の場合には、静電気は、
感光層と向かい合った薄いポリマーシートの側に発生す
ることがほとんどである。感光層を静電気放電から保護
し、早まった露光が起きないようにすることが重要であ
る。ピクチャーの高速組み立てプロセスでは、画像と補
強材に被せる透明なポリマーシートの搬送時に摩擦を与
え、かつ静電気を制御することがやはり重要である。上
から被せる透明なポリマーシートは、組み立てプロセス
において、さまざまな金属やプラスチックの面の上を滑
らせる可能性がある。物理的に組み立てた画像形成要素
が詰まったり積み重なったりするのを防止するため、画
像と補強材に被せるポリマーシートの外面の静電帯電と
滑り摩擦もやはり制御する必要がある。そのようにする
ための代表的な手段は、ポリマーシートをざらざらに
し、ポリマーそのものに、あるいはポリマーシートの上
から被せる層の中に導電性の塩や微粒子を混ぜることで
ある。従来技術として、さまざまな滑剤、スリップ剤、
ワックス、微粒子を用いて薄いポリマーシートの摩擦特
性を変える方法が知られている。
【0113】本発明の方法のさらに別の態様では、補強
材は、セルロース、紙、ボール紙、二軸延伸シート、ポ
リエステルシート、ポリアミドシート、ポリカーボネー
トシート、ポリオレフィンシート、布、ポリスチレン、
フォームボード、金属化ポリマーシート、層状の複合
材、木、金属、プラスチックのほか、これらの混合物や
組み合わせからなる群の中から選択することができる。
ピクチャーを物理的に組み立てる際には、画像形成要素
や透明なポリマーシートを手で取り扱うことによって目
に見えない指紋がついたり、引っかき傷が生じたり、そ
の他の不具合が起こったりすることがある。本発明の別
の態様では、透明なポリマーシートは、紫外線と指紋と
擦り傷に対する保護がなされている。画像用の色素又は
顔料の退色を防ぐには、紫外線吸収剤が必要であろう。
プリントを手に取って眺めたりすると、目に見えない指
紋がついたり、引っかき傷が生じたりする可能性があ
る。最終的に組み立てられたプリントが損なわれる可能
性を最小限にするためには、上から被せるポリマーシー
トの外面に、わずかにざらざらにした面を組み込んだ
り、ポリウレタンやアクリルラテックスなどの粘着性の
ある結合剤の中に微粒子を混ぜたりすることが重要であ
る。
【0114】画像は、感光性ハロゲン化銀材料、色素形
成カプラー、インクジェット、感熱昇華型色素、電子写
真法によって形成することができる。
【0115】本発明の色素受容要素の感熱色素画像受容
層に用いる物質としては、例えば、ポリカーボネート、
ポリウレタン、ポリエステル、塩化ポリビニル、ポリ
(スチレン-コ-アクリロニトリル)、ポリ(カプロラク
トン)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。色素受
容層は、目的を達成できるのであれば任意の量にするこ
とができる。一般に、約1〜約10g/m2の濃度のときによ
い結果が得られている。色素受容層の上にさらにオーバ
ーコート層を被せることもできる。これについては、ハ
リソン他のアメリカ合衆国特許第4,775,657号に記載さ
れている。
【0116】本発明の色素受容要素とともに用いられる
色素供与要素は、一般に、色素を含む層が載った支持体
を備えている。本発明では、色素供与要素として任意の
色素を用いることができるが、その色素は、熱の作用に
よって色素受容層に移動させることが可能でなくてはな
らない。昇華型色素の場合に特に優れた結果が得られ
た。本発明で使用できる色素供与体は、例えばアメリカ
合衆国特許第4,916,112号、第4,927,803号、第5,023,22
8号に記載されている。
【0117】すでに述べたように、色素供与要素は、色
素転写画像を形成するのに用いられる。そのためのプロ
セスは、色素供与要素を像様加熱し、上記のようにして
色素画像を色素受容要素に転写し、色素転写画像を形成
する操作を含んでいる。
【0118】色素を熱転写するというプリント法の好ま
しい態様では、同じ領域がシアン、マゼンタ、イエロー
の色素で順番に繰り返しコーティングされたポリ-(テ
レフタル酸エチレン)製支持体を備える色素供与要素を
利用し、色素の転写ステップをそれぞれの色彩について
順番に実施して、3色の色素が転写された画像を得る。
もちろん、一色だけを使ってこのステップを行なうので
あれば、モノクロ色素が転写された画像が得られる。
【0119】色素を本発明の色素供与要素から色素受容
要素に転写するのに利用できるサーマルプリンティング
ヘッドが市販されている。例えば、富士通のサーマルヘ
ッド(FTP-040 MCS001)、TDKのサーマルヘッド F415 H
H7-1089、ロームのサーマルヘッド KE 2008-F3を用いる
ことができる。また、色素を熱転写するためには、レー
ザーなど、公知の他のエネルギー源を用いることもでき
る。それについては、例えば、イギリス国特許第2,083,
726A号に記載されている。
【0120】本発明の感熱色素転写集合体は、(a)色
素供与要素と、(b)上記の色素受容要素とを備えてお
り、色素供与要素の色素層が色素受容要素の色素画像受
容層と接触するよう、色素受容要素が色素供与要素と重
ね合わされている。
【0121】3色画像を得る場合には、サーマルプリン
ティングヘッドで加熱している間に、上記の集合体を3
回にわたって形成する。最初の色素が転写された後、色
素供与要素と色素受容要素をはがす。次に、第2の色素
供与要素を色素受容要素と正確に重ね合わせ、同じプロ
セスを繰り返す。第3の色彩を同様にして得る。
【0122】電子製版や電子写真製版のプロセスとその
個々のステップは、多くの本や出版物に詳しく説明され
ている。このプロセスには、静電画像を作り、その画像
を荷電した着色粒子(トナー)で現像し、そうやって現
像された画像を必要に応じて第2の基板に移し、画像を
基板に固定させるという基本的なステップが含まれてい
る。このプロセスやステップには多くの変化形がある。
乾燥したトナーの代わりに液体トナーを用いるというの
が、そうした変化形の一例である。
【0123】静電画像を作るという第1の基本ステップ
は、いろいろな方法で実現することができる。コピー機
の電子写真製版プロセスでは、アナログ又はディジタル
な露光を通じ、均一に帯電した光伝導体を画像に沿って
光放電させる。光伝導体は、1回だけ使用する方式でも
よいし、セレンや有機光受容物質に基づいた方式のよう
に、再度帯電させて再度画像を形成させる方式でもよ
い。
【0124】コピー機の電子写真製版プロセスの一態様
では、均一に帯電した光伝導体を画像に沿って光放電さ
せる。光伝導体は、1回だけ使用する方式でもよいし、
セレンや有機光受容物質に基づいた方式のように、再度
帯電させて再度画像を形成させる方式でもよい。
【0125】電子写真製版プロセスの一態様では、感光
要素が永続性のある画像を作り、導電性の異なる領域が
形成される。まず静電気を均一に帯電させ、続いて放電
させると、感光要素の画像形成部とそれ以外の部分で異
なった放電が起こり、静電画像が生まれる。この感光要
素は、電子製版又はゼロプリンティングのマスターと呼
ばれる。というのも、マスターは、画像を1回露光した
後も、繰り返し帯電させ、現像することができるからで
ある。
【0126】電子製版プロセスの別の態様では、静電画
像が粒子線写真として生成される。潜像が、誘電(電荷
保持)媒体、すなわち紙又はフィルムの上に生成する。
この誘電媒体の幅全体にわたって分布した金属針(又は
ペン先)アレイの中の所定の金属針に電圧を印加し、そ
の所定の金属針と誘電媒体の間の空気に誘電破壊を起こ
させる。するとイオンが発生し、そのイオンが誘電媒体
上に潜像を形成する。
【0127】しかし、生成した静電画像は、反対の電荷
を有するトナー粒子で現像する。液体トナーで現像する
ため、現像液を静電画像に直接接触させる。通常は、流
れる液体を用い、十分な量のトナー粒子が現像に利用で
きるようにする。静電画像によって電場が発生するた
め、非導電性液体の中を漂っている帯電粒子が電気泳動
現象によって移動する。したがって、静電的な潜像の電
荷は、反対の電荷を有する粒子によって中和される。液
体トナーを用いた電気泳動による現像の理論と物理につ
いては、多くの本や出版物に詳しく記載されている。
【0128】再度画像を形成することが可能な光受容体
又は静電マスターを用いる場合には、色のついた画像は
紙(又は他の基板)に転写される。紙を静電的に帯電さ
せるが、その極性は、トナー粒子が紙に転写されるよう
に選択する。最終的に、色のついた画像が紙に定着す
る。自己定着式トナーの場合には、空気による乾燥又は
加熱により、残った液体を紙から除去する。溶媒を蒸発
させると、トナーが、紙と結合したフィルムを形成す
る。熱溶融性トナーの場合には、熱可塑性ポリマーをト
ナー粒子の一部として用いる。加熱することにより、残
った液体を除去するとともに、トナーを紙に定着させ
る。
【0129】IRLという用語は、画像又はインクを受容
する層のことを意味する。TLという用語は、結合層のこ
とを意味する。インクジェットによる画像形成のための
インク受容層すなわちIRLは、公知の任意の方法で付着
させることができる。例えば、溶媒コーティング法、溶
融押し出しコーティング法などがある。IRLは、TLの上
に、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの厚さでコーテ
ィングする。色素受容層として有用と思われる多くの組
成が知られている。第1の条件は、IRLとインクの相性
がよく、望ましい色帯域と色濃度になった画像が形成さ
れることである。インクの滴がIRLを通過するとき、色
素がIRLの中に保持される一方で、インクの溶媒はIRLを
自由に通過して、TLに素早く吸収される。さらに、IRL
組成物は、水から保護されていること、TLに対して十分
な接着力を示すこと、表面の光沢の制御が容易であるこ
とが好ましい。
【0130】例えば、ミスダ他のアメリカ合衆国特許第
4,879,166号、第5,264,275号、第5,104,730号、ならび
に日本国特許第1,095,091号、第2,276,671号、第2,276,
670号、第4,267,180号、第5,024,335号、第5,016,517号
には、擬ベーム石といくつかの水溶性樹脂の混合物を含
む水性IRL組成物が開示されている。ライトのアメリカ
合衆国特許第4,903,040号、第4,930,041号、第5,084,33
8号、第5,126,194号、第5,126,195号、第5,139,867号、
第5,147,717号には、ビニルピロリドンポリマーと、水
に分散可能な、及び/又は、水溶性のいくつかのポリエ
ステルの混合物のほか、それ以外のポリマーと添加物を
含む水性IRL組成物が開示されている。バターズ他のア
メリカ合衆国特許第4,857,386号、第5,102,717号には、
ビニルピロリドンポリマーと、アクリルポリマー又はメ
タクリルポリマーとの混合物を含むインク吸収性樹脂層
が開示されている。サトウ他のアメリカ合衆国特許第5,
194,317号と、ヒグマ他のアメリカ合衆国特許第5,059,9
83号には、水溶液としてコーティングすることのでき
る、ポリ(ビニルアルコール)に基づいた水性IRL組成
物が開示されている。イクバルのアメリカ合衆国特許第
5,208,092号には、架橋させるビニルコポリマーを含む
水性IRL組成物が開示されている。これらの具体例以外
にも、IRLに対する上記の第1と第2の条件を満たす公
知のIRL組成物や考慮すべきIRL組成物が存在している可
能性がある。そうしたIRL組成物もすべて、本発明の精
神及び範囲に含まれる。
【0131】好ましいIRLは、アルモキサン5部とポリ
(ビニルピロリドン)5部からなる水性分散液としてコ
ーティングされて厚さが0.1〜10μmになったIRLであ
る。IRLには、光沢、摩擦、及び/又は、指紋のつきに
くさを制御することを目的とした、さまざまな量とサイ
ズのつや消し剤と、表面をより均一にし、乾燥したコー
ティングの表面張力を調節するための表面活性剤と、媒
染剤と、抗酸化剤と、紫外線吸収化合物と、光安定化剤
なども含まれていてよい。
【0132】上記のインク受容要素を用いると本発明の
目的をうまく達成することができるとはいえ、画像形成
要素の耐久性を増大させるためにIRLをオーバーコート
することが望ましい。そうした被覆は、画像形成要素の
形成前にオーバーコートさせることも形成後に付着させ
ることもできる。例えば、IRLは、インクが自由に通過
するインク透過層と合わせてオーバーコートすることが
できる。このタイプの層は、アメリカ合衆国特許第4,68
6,118号、第5,027,131号、第5,102,717号に記載されて
いる。また、要素が画像形成されてからオーバーコート
させることもできる。この目的で、公知の任意の積層フ
ィルムや積層装置を用いることができる。上記の画像形
成プロセスで用いられるインクは周知である。インク組
成物は、特定のプロセス、すなわち連続プロセス、圧電
プロセス、熱プロセスと密接に関係していることがしば
しばある。したがって、特定のどのインクプロセスが利
用されるかに応じて、インクは、溶媒、着色剤、保恒
剤、表面活性剤、湿潤剤などを、極めて広い範囲の量と
組み合わせで含むことができる。本発明の画像記録要素
と組み合わせて用いることが好ましいインクは水性イン
クであり、例えば、ヒューレットパッカード社のDesk W
riter 560Cというプリンタ用に現在市販されているもの
が挙げられる。しかし、上記の画像記録要素の別の態
様、すなわち、所定のインク記録プロセス又は所定の販
売会社だけに合ったインクを用いるように開発した画像
記録要素も、本発明の範囲に含まれる。
【0133】写真要素は、単色写真要素でも多色写真要
素でもよい。多色写真要素は、色彩スペクトルの主要な
3つの領域のそれぞれに対して感受性のある複数の画像
色素形成ユニットを含んでいる。各ユニットは、色スペ
クトルの所定の領域に対して感受性のある単一又は複数
の乳剤層を含むことができる。画像形成ユニットの層も
含め、画像記録要素を構成している複数の層は、従来技
術で知られているように、さまざまな順序に配置するこ
とができる。別の構成として、色スペクトルの主要な3
つの領域のそれぞれに対して感受性のある乳剤は、単一
のセグメント層として配置することもできる。
【0134】本発明において有用な写真乳剤は、一般
に、従来の方法に従ってコロイドマトリックス内にハロ
ゲン化銀の結晶を析出させることによって調製する。コ
ロイドは、たいていの場合、ゼラチン、アルギン酸、又
はこれらの誘導体などの親水性フィルム形成剤である。
【0135】析出ステップにおいて形成される結晶は、
洗浄し、次に、分光増感色素と化学増感剤を添加して化
学増感、分光増感させ、加熱して乳剤の温度を典型的に
は40℃〜70℃に上昇させ、その温度を所定の時間にわた
って維持する。本発明で用いる乳剤を析出させる方法
と、乳剤を化学増感、分光増感させる方法は、従来技術
で知られている方法である。
【0136】乳剤を化学増感させる際には、代表的な増
感剤として、イソチアン酸アリル、チオ硫酸ナトリウ
ム、アリルチオ尿素などの硫黄含有化合物;ポリアミ
ン、第1スズ塩などの還元剤;金、白金などの貴金属化
合物;ポリアルキレンオキシドなどの重合剤などを用い
る。すでに説明したように、熱処理を行なって化学増感
を完了させる。分光増感は、可視光又は赤外線の波長範
囲内の目的とする波長域をターゲットとした色素を組み
合わせて行なう。そうした色素は熱処理の前と後の両方
にわたって添加することが知られている。
【0137】分光増感の後、支持体を乳剤で覆う。浸漬
コーティング、エアナイフコーティング、カーテンコー
ティング、押し出しコーティングなど、さまざまなコー
ティング法がある。
【0138】本発明で用いるハロゲン化銀乳剤は、任意
のハロゲン化物を含んでいてよい。したがって、ハロゲ
ン化銀乳剤は、塩化銀、塩ヨウ化銀、臭化銀、臭塩化
銀、塩臭化銀、ヨウ塩化銀、ヨウ臭化銀、臭ヨウ塩化
銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭塩化銀、ヨウ塩臭化銀の乳剤
を含むことができる。しかし乳剤は、塩化銀を圧倒的に
多く含んでいることが好ましい。塩化銀を圧倒的に多く
含むとは、乳剤粒子が、約50モル%を超える塩化銀を含
むことを意味する。乳剤粒子は、約90モル%を超える塩
化銀を含むことが好ましく、最適なのは約95モル%を超
える塩化銀を含むことである。
【0139】ハロゲン化銀乳剤は、任意のサイズ、任意
の形状の粒子を含むことができる。したがって、ハロゲ
ン化銀粒子の形状としては、立方体、八面体、立方八面
体、あるいは、天然に発生する立方格子タイプの任意の
他の形状が可能である。さらに、粒子は、丸い粒子や平
板状粒子などの不規則な形のものでもよい。粒子の形状
は、平板状形又は立方体であることが好ましい。
【0140】本発明の写真要素においては、『写真プロ
セスの理論』、第4版、T.H.ジェームズ、マクミラン出
版社、1977年、151〜152ページに記載されている乳剤を
用いることができる。ハロゲン化銀乳剤の写真感度を向
上させるため、還元増感という方法が知られている。還
元増感されたハロゲン化銀乳剤は、一般に、写真ができ
あがるまでの速さが優れているが、望ましからぬカブリ
が現われたり、保存安定性がよくないという問題があ
る。
【0141】還元増感は、還元増感剤を添加することに
よって、あるいは、pHを大きくする(水酸イオンを過剰
にする)、及び/又は、pAgを小さくする(銀イオン過
剰)などの還元環境を提供することによって、意図的に
実行することができる。なお、還元増感剤というのは、
銀イオンを還元して金属の銀原子にする化学薬品のこと
である。ハロゲン化銀乳剤が析出している間、意図的で
ない還元増感が起こる可能性がある。それは、例えば、
硝酸銀又はアルカリ溶液を急激に添加したとき、あるい
は、乳剤粒子を形成するための混合がうまくいかないと
きである。また、チオエーテル、セレノエーテル、チオ
尿素、アンモニアなどの熟成剤(粒子成長調節剤)の存
在下でハロゲン化銀乳剤を析出させると、還元増感が容
易になる傾向がある。
【0142】析出又は分光/化学増感時に乳剤を還元増
感するときに用いる還元増感剤と使用環境の具体例とし
ては、アスコルビン酸誘導体、スズ化合物、ポリアミン
化合物、二酸化チオ尿素をベースにした化合物などがあ
り、アメリカ合衆国特許第2,487,850号、第2,512,925
号、イギリス国特許第789,823号に記載されている。還
元増感剤と使用条件の具体例、例えば、ジメチルアミン
ボラン、塩化第一スズ、ヒドラジン、高pH(pH8〜11)
かつ低pAg(pAg1〜7)による成熟は、S.コリアーが、
Photographic Science and Engineering、第23巻、113
ページ、1979年に記載している。意図的に還元増感した
ハロゲン化銀乳剤を調製する方法の具体例は、EP 0 348
934 A1(ヤマシタ)、EP 0 369 491(ヤマシタ)、EP
0 371 388(オオハシ)、EP 0 396 424 A1(タカダ)、
EP 0 404 142 A1(ヤマダ)、EP 0435 355 A1(マキ
ノ)に記載されている。
【0143】本発明の写真要素においては、第VIII族の
金属であるイリジウム、ロジウム、オスミウム、鉄など
でドーピングした乳剤を用いることができる。それにつ
いては、ケネスマソン出版社(ダドレイアネックス、12
aノースストリート、エムズワース、ハンプシャー、PO1
0 7DQ、イギリス国)が発行したResearch Disclosure、
1996年9月、38957項、セクションIに記載されている。
さらに、ハロゲン化銀乳剤の増感にイリジウムを用いる
ことについての概論は、「イリジウム増感:文献調
査」、Photographic Science and Engineering、第24
巻、第6号、1980年に記載されている。イリジウム塩と
写真用の分光増感色素の存在下で乳剤を化学的に増感す
ることによってハロゲン化銀乳剤を製造する方法は、ア
メリカ合衆国特許第4,693,965号に記載されている。乳
剤が上記のようなドーパントを含んでいる場合には、カ
ラー反転E-6プロセスにおける処理の際に、乳剤にフレ
ッシュカブリが増え、コントラストの低い濃度曲線が得
られることになる。これについては、『イギリス写真年
鑑』、1982年、201〜203ページに記載されている。
【0144】本発明の代表的な多色写真要素は、少なく
とも1つのシアン色素形成カプラーを関連して有する少
なくとも1つの赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有するシア
ン色素画像形成ユニットと;少なくとも1つのマゼンタ
色素形成カプラーを関連して有する少なくとも1つの緑
感性ハロゲン化銀乳剤層を有するマゼンタ色素画像形成
ユニットと;少なくとも1つのイエロー色素形成カプラ
ーを関連して有する少なくとも1つの青感性ハロゲン化
銀乳剤層を有するイエロー色素画像形成ユニットとを載
せた本発明の積層支持体を備えている。この多色写真要
素は、フィルター層、中間層、オーバーコート層、ゼラ
チン下塗り層などの付加的な層を備えていてもよい。本
発明の支持体は、白黒写真プリント要素として使用する
こともできる。
【0145】写真要素は、透明な磁気記録層、例えば、
透明な支持体の裏側に磁性粒子を含む層を備えていても
よい。これについては、アメリカ合衆国特許第4,279,95
5号、第4,302,523号に記載されている。一般に、写真要
素は、全体の厚さが(支持体を除いて)約5〜約30μm
になる。
【0146】以下の表において、参照番号は以下の文献
を指す。すなわち、(1)ResearchDisclosure、1978年
12月、17643項、(2)Research Disclosure、1989年12
月、308119項、(3)Research Disclosure、1996年9
月、38957項であり、これらはすべて、ケネスマソン出
版社(ダドレイアネックス、12aノースストリート、エ
ムズワース、ハンプシャー、PO10 7DQ、イギリス国)か
ら発売された。この表と、表中の参照番号は、本発明の
要素において使用するのに適した個々の成分を表わして
いると理解する。この表と、表中の参照番号はまた、要
素を調製し、露出し、処理し、取り扱う好適な方法と、
要素の中に含まれる画像も示している。
【0147】 文献番号 セクション 主題 1 I,II 粒子組成、形態及び調製;硬膜 2 I,II,IX,X, 剤、塗布助剤、添加物等を含む XI,XII,XIV,XV 乳剤調製 3 I,II,III,IX A&B 1 III,IV 化学増感及び分光増感/減感 2 III,IV 3 IV,V 1 V UV色素、蛍光増白剤、 2 V 蛍光色素 3 VI 1 VI カブリ防止剤及び安定化剤 2 VI 3 VII 1 VIII 吸収及び散乱材料;帯電防止層 2 VIII,XIII,XVI ;艶消し剤 3 VIII,IX C&D 1 VII 画像カプラー及び画像改質カプ 2 VII ラー;色素安定化剤及び色相改 3 X 良剤 1 XVII 支持体 2 XVII 3 XV 3 XI 特定層配列 3 XII,XIII ネガ型乳剤;直接陽画乳剤 2 XVIII 露光 3 XVI 1 XIX,XX 化学処理;現像主薬 2 XIX,XX,XXII 3 XVIII,XIX,XX 3 XIV 走査及びディジタル処理方法
【0148】写真要素には、さまざまな形態のエネルギ
ーを当てることができる。エネルギー形態としては、例
えば、電磁波スペクトルの紫外線領域、可視光領域、赤
外線領域の光や、電子ビーム、β線、γ線、X線、α粒
子、中性子照射のほか、粒子形態又は波動形態で、非コ
ヒーレント(位相がランダム)な、又はレーザーのよう
にコヒーレント(位相が揃っている)なその他の放射エ
ネルギーが挙げられる。写真要素にX線を当てる場合に
は、この写真要素は、従来の放射線写真要素に見られる
特徴を備えることができる。
【0149】写真要素には、特に電磁波スペクトルの可
視光領域の化学線を当て、潜像を形成し、次に、好まし
くは熱処理以外の処理を行なって目に見える画像を形成
することが好ましい。処理は、公知のRA-4(商標)(イ
ーストマンコダック社)処理装置の中で、あるいは高塩
化物乳剤の現像に適した他の処理システムの中で行なう
ことが好ましい。
【0150】物理的に組み立てる本発明のピクチャー
は、アメリカ合衆国特許第5,752,152号、第5,919,730号
に開示されているように、コピーを制限するという特徴
を組み込むこともできる。これら特許には、文書の中に
目に見えないマイクロドットのパターンを埋め込むこと
により文書のコピーを制限する方法が開示されている。
しかし、マイクロドットは、ディジタル式文書コピー機
の電子光学的スキャニング装置で検出することができ
る。マイクロドットのパターンは、文書全体に組み込む
ことができる。そうした文書には、端部に色をつけたり
裏側に見えないマイクロドットのパターンを形成したり
して、ユーザー又は機械がそれを読んで同定できるよう
にすることも可能である。マイクロドットのパターン
は、画像を記録できるシートの形態にすることができ
る。代表的な材料は、ポリエチレン樹脂でコーティング
された紙、ポリエステル、(ポリ)エチレン、ナフタル
酸塩、トリ酢酸セルロースをベースとした物質などから
なる、写真ペーパー及び写真用フィルム材料である。
【0151】マイクロドットは、規則的な形でも不規則
な形でもよい。マイクロドットのサイズは、個々のマイ
クロドットが画像の有効性を低下させることが十分にわ
かるレベルが最大サイズであり、それよりも小さくす
る。なお最小レベルは、スキャニング装置の検出レベル
によって決まる。マイクロドットの分布は規則的でも不
規則でもよいが、文書のデータ密度が増加しないよう、
マイクロドットの中心と中心の距離を制御する。マイク
ロドットは、ちょっと見ただけでは検出できようならば
任意の色調、明るさ、飽和度にすることが可能である
が、肉眼ではなかなか見分けられない一方で文書スキャ
ニング装置による光学的検出の感度には合っている色調
であることが好ましい。
【0152】情報が記録された文書の一態様は、支持体
と、この支持体を被覆する画像形成層と、この支持体と
画像形成層の間に位置してコピーを制限する媒体となる
マイクロドットのパターンとからなる。マイクロドット
のパターンを文書に組み込むことは、元の文書を作る前
又は後に、さまざまな印刷技術を利用して実現すること
ができる。マイクロドットは、任意の着色物質で構成す
ることが可能であるが、文書の性質に応じて、着色剤
は、半透明、透明、不透明なものにすることができる。
支持層の上に保護層を付着させる前にマイクロドットの
パターンを配置することが好ましい。ただし、保護層が
光散乱顔料を含んでいる場合は別である。この場合に
は、マイクロドットは、支持層と保護層の上に位置さ
せ、その上から別の保護層で被覆することが好ましい。
マイクロドットを構成するには、写真技術において公知
の画像色素とフィルター色素の中から選択した着色剤
を、印刷インク又は感光媒体として使用される結合剤又
は担体の中に分散させて用いる。
【0153】好ましい態様では、潜像としてのマイクロ
ドットパターンは、感光材料を好適な場所で可視光又は
目に見えない光に好適な時間当てることによって生成さ
せることができる。潜像としてのマイクロドットパター
ンは、写真における標準的な化学処理法によって検出可
能になる。マイクロドットは、カラーと白黒の両方の画
像形成写真媒体にとって特に有効である。このような写
真媒体は、少なくとも1つのハロゲン化銀感光層を含ん
でいる。しかしたいていは、少なくとも3つのハロゲン
化銀感光層を含んでいる。このような写真媒体が同じ波
長領域の放射に感光する1つ以上の層を含むようにする
こともできる。層の構成は、Research Disclosure、199
5年2月、アイテム37038に記載されているように、当業
者に知られている任意の形態が可能である。その利点な
らびにその他の利点は、以下の詳細な説明から明らかに
なろう。
【0154】
【実施例】以下の例は、本発明を実際に実現した例を示
している。しかし、これらの例が本発明の可能なすべて
の変化形を尽くしているわけではない。部及びパーセン
トは、特に断らない限り、質量部及び質量パーセントを
意味する。
【0155】 例1 物理的に組み立てたピクチャー 熱収縮性透明なポリマーシート インクジェットによって形成した画像 青/赤着色料を有するポリエチレンスキン層 デュポン社ルチルR101二酸化チタンが24%含まれた、延伸ポリプロピレン 空隙を有するポリプロピレン デュポン社ルチルR101二酸化チタンが24%含まれた、延伸ポリプロピレン 透明ポリプロピレン 厚さ500 μmのボール紙補強材 熱収縮性透明なポリマーシート
【0156】画像形成要素を構成している薄いポリマー
シート この例で用いる薄いポリマーシートは、共押し出しされ
たものであり、二軸延伸である。以下の表1には、この
例で用いる二軸延伸の各層の特徴をリストにして示して
ある。このポリマーシートは5層からなり、それぞれL
1、L2、L3、L4、L5と名づける。L1は、二軸延伸ポリマ
ーシートの最上部に位置する薄い着色層であり、インク
ジェット色素受容層が被覆されている。L2は、蛍光増白
剤と二酸化チタンを添加した層である。使用した蛍光増
白剤は、チバ ガイギー社が製造しているHostalux KSで
ある。L2には、二酸化チタン(ルチル)をベースポリマ
ーの24質量%添加した。二酸化チタンは、デュポン社の
R104(粒子サイズが0.22μmの二酸化チタン)であっ
た。二軸延伸ポリマーシートのL3層は微小な空隙を含ん
でおり、表2に詳細が記載してある。この表2には、L3
層の一ヶ所だけで切断し、その切断面に沿って測定した
屈折率と厚さが示してある。測定結果から、連続的な層
にはなっていないことがわかる。別の位置で切断すれ
ば、値は異なるもののほぼ同じ厚さになるであろう。屈
折率が1.0の領域は空気で満たされた空隙であり、層の
それ以外の部分はポリプロピレンである。L3は、空隙形
成剤としてPBTを用いて空隙を設けたポリプロピレン層
である。PBTは、このL3層の約8質量%の量でこの層に
存在している。
【0157】 表1 層 物質 厚さ、μm L1 低密度ポリエチレン+色素濃縮物 0.75 L2 ポリプロピレン+二酸化チタン+蛍光増白剤 4.32 L3 空隙を有するポリプロピレン 24.9 L4 ポリプロピレン+二酸化チタン 4.32 L5 ポリプロピレン 0.762 L6 低密度ポリエチレン 11.4
【0158】表2 L3下びき層 屈折率 厚さ、μm 1 1.49 2.54 2 1 1.527 3 1.49 2.79 4 1 1.016 5 1.49 1.778 6 1 1.016 7 1.49 2.286 8 1 1.016 9 1.49 2.032 10 1 0.762 11 1.49 2.032 12 1 1.016 13 1.49 1.778 14 1 1.016 15 1.49 2.286
【0159】インクジェット画像受容層を利用して、こ
の例の半透明ディスプレイ材料を製造した。二軸延伸ポ
リマーシートの最上部に位置するポリエチレンシートL1
を、このインクジェット画像受容層で被覆した。インク
ジェット画像受容層は、押し出しホッパーを用いて、以
下の成分を含む分散液としてコーティングした。この分
散液に含まれるのは、ゼラチン326.2gと、BVSME硬化
剤、すなわち2%ビス(ビニルスルホニルメチル)エー
テル水溶液147gと、11.5μmのポリスチレンビーズ2.88g
を含む分散液7.38gと、Dispex(商標)(アライドコロ
イズ社から入手した40%水溶液)0.18gと、水4.32gと、
オリンマセソン社から入手した表面活性剤10G(ノニル
フェノキシポリグリシドール)の20%水溶液3.0gであ
る。厚さは約5μmであった(乾燥時の厚さ)。
【0160】この層を、押し出しホッパーを用いて、以
下の成分を含む水溶液としてコーティングした。この水
溶液に含まれるのは、ヒドロキシプロピルセルロース
(Methocel KLV100、ダウケミカル社)4.42gを水に溶か
した3%水溶液143.5gと、イーストマンコダック社から
入手した硫酸バナジル, 2-水和物0.075gと、オリンマセ
ソン社から入手した表面活性剤10G(ノニルフェノキシ
ポリグリシドール)の20%水溶液0.075gと、水145.4g
と;オリンマセソン社から入手した表面活性剤10G(ノ
ニルフェノキシポリグリシドール)の20%水溶液0.45g
と水79.5gである。厚さが約2μm(乾燥時の厚さ)のイ
ンク受容層が形成された。
【0161】市販されているインクジェットプリンタを
用いてインクジェット受容層に画像を印刷した。次に、
画像が記録された画像形成層を補強材材料の上に置い
た。この例では、補強材は厚さが500μmの滑らかなボー
ル紙であった。次に、画像が記録されたこのポリマーシ
ートと、滑らかなボール紙からなる補強材の両方を、厚
さが15μmの熱収縮性ポリオレフィンフィルムで覆っ
た。熱収縮性ポリオレフィンフィルムの端部を加熱して
シールし、トリミングした。次に、熱を均一に加えてポ
リオレフィンフィルムを収縮させ、画像が記録されたポ
リマーシートと補強材の周囲にぴったりとフィットする
ようにした。ポリオレフィンフィルムは、市販されてい
る収縮性フィルムである。使用したフィルムは、Cryvoc
D-955フィルムであった。画像が記録されたポリマーフ
ィルムを補強材に押しつけるのに接着剤は使わなかっ
た。次に、熱収縮性フィルムを約93℃(200°F)に加熱
して収縮させ、その熱収縮性フィルムが、画像が記録さ
れたポリマーフィルムと補強材をしっかりと包み込むよ
うにした。端部をトリミングすることにより、上部と底
部と端部が包まれた、物理的に組み立てたピクチャーを
完成させた。
【0162】例2 この例は、例1と同様であるが、厚さが500μmの滑らか
なボール紙の代わりに空隙を有する厚さが約800μmの硬
いスチレンフォームボードを用いた。
【0163】 例3 プリフォームされた加熱シール可能な透明ポリマーパウチ 感光済み/処理済みのカラー色素で形成した画像 透明なポリエステルシートの両側に50μm の厚さに下塗りされたゲル 導電性の帯電防止剤 坪量が75g/m2の白色紙ベース プリフォームされた加熱シール可能な透明ポリマーパウチ
【0164】写真グレードのポリエステルベース この例においてポリエステルベースは、厚さが50μmの
透明なテレフタル酸ポリエチレンベースであり、ハロゲ
ン化銀乳剤がよく付着するよう、表面にゼラチンがコー
ティングしてある。裏面には導電性の帯電防止剤がコー
ティングしてあり、コーティング及び仕上げのプロセス
において静電気の問題ができるだけ発生しないようにし
てある。この帯電防止層は、共役ポリマー、半導性のハ
ロゲン化金属塩、半導性の金属酸化物粒子を含んでい
る。この例では、スズ酸化物を主要な導電性粒子として
用い、さらにゼラチン系結合材とシリカ粒子を用いて、
層の摩擦特性を向上させた。
【0165】カラー色素形成層 ポリエステルベースを、感光性ハロゲン化銀カラー色素
を形成する乳剤でコーティングした。この乳剤の構成を
以下のフォーマット1に示す。イエロー乳剤YE1は、ゼ
ラチン解膠剤とチオエーテル熟成剤を入れてよく撹拌し
ている反応器の中に、硝酸銀溶液と塩化ナトリウム溶液
をほぼ等モル添加することによって調製した。ペンタク
ロロニトロシルオスミウム酸セシウムを製造工程の1%
〜70%まで添加し、ヨウ化カリウムを製造工程の93%の
ところで添加して、粒子中にヨウ化銀の帯を形成した。
得られた乳剤は、一辺の長さが0.60mmの立方体の形をし
た粒を含んでいた。この乳剤に硫化グルタルジアミノフ
ェニルを添加し、次いで硫化金のコロイド懸濁液を添加
してから60℃まで徐々に加熱し、加熱している間に、青
増感色素(色素1)、ヘキサクロロイリジウム酸カリウ
ム、リップマン臭化物、1-(3-アセトアミドフェニル)
-5-メルカプトテトラゾールを添加することによって、
最適に増感した。
【0166】マゼンタ乳剤ME1は、ゼラチン解膠剤とチ
オエーテル熟成剤を入れてよく撹拌している反応器の中
に、硝酸銀溶液と塩化ナトリウム溶液をほぼ等モル添加
することによって沈殿させた。得られた乳剤は、一辺の
長さが0.30mmの立方体の形をした粒を含んでいた。この
乳剤は、硫化金のコロイド懸濁液を添加して55℃に加熱
することにより、最適に増感した。次に、ヘキサクロロ
イリジウム酸カリウム、リップマン臭化物、緑増感色素
(色素2)を添加した。できあがった乳剤の冷却を開始
した後、この乳剤に1-(3-アセトアミドフェニル)-5-
メルカプトテトラゾールを数秒間にわたって添加した。
【0167】シアン乳剤CE1は、ゼラチン解膠剤とチオ
エーテル熟成剤を入れてよく撹拌している反応器の中
に、硝酸銀溶液と塩化ナトリウム溶液をほぼ等モル添加
することによって沈殿させた。さらに、製造中に水銀を
添加した。得られた乳剤は、一辺の長さが0.40mmの立方
体の形をした粒を含んでいた。この乳剤は、ビス(1,
4, 5-トリメチル-1, 2, 4-トリアゾリウム-3-チオラー
ト)金(I)フルオロホウ酸塩とチオ硫酸ナトリウムを
添加した後に65℃に加熱することにより、最適に増感し
た。次いで、1-(3-アセトアミドフェニル)-5-メルカ
プトテトラゾール、ヘキサクロロイリジウム酸カリウ
ム、臭化カリウムを添加した。乳剤を40℃に冷却し、赤
増感色素(色素3)を添加した。
【0168】乳剤YE1、ME1、CE1を、従来技術を利用し
てカプラーを含む分散液と合わせ、フォーマット1に示
した構造に従って、例1の積層ベースに適用させ、カー
ルが少なくて強度に優れた写真要素を製造した。
【0169】 フォーマット1 説明 塗布量 mg/m2 mg/ft2 層1 青感層 ゼラチン 1311 122 イエロー乳剤YE1(銀など) 215 20 Y-1 484 45 ST-1 484 45 S-1 215 20 層2 中間層 ゼラチン 753 70 SC-1 65 6 S-1 183 17
【0170】 層3 緑感層 ゼラチン 1258 117 マゼンタ乳剤ME1(銀など) 75 7 M-1 312 29 S-1 86 8 S-2 32 3 ST-2 26 2 ST-3 190 17.7 ST-4 618 57 PMT 108 10 層4 紫外線中間層 ゼラチン 736 68.44 UV-1 32 3 UV-2 183 17 SC-1 55 5.13 S-1 32 3 S-2 32 3 層5 赤感層 ゼラチン 1355 126 シアン乳剤CE1 183 17 C-1 419 39 S-1 419 39 UV-2 269 25 S-2 32 3 SC-1 3 0.3
【0171】 層6 紫外線オーバーコート ゼラチン 516 48 UV-1 22 2 UV-2 129 12 SC-1 43 4 S-1 22 2 S-3 22 2 層7 SOC ゼラチン 645 60 SC-1 22 2
【0172】使用した薬剤
【0173】
【化4】
【0174】ST-1=N-タート-ブチルアクリルアミド/n
-アクリル酸ブチルのコポリマー(50:50) S-1=フタル酸ジブチル
【0175】
【化5】
【0176】S-2=フタル酸ジウンデシル
【0177】
【化6】
【0178】PMT=1-フェニル-5-メルカプトテトラゾー
【0179】
【化7】
【0180】
【化8】
【0181】S-3=1, 4-シクロヘキシルジメチレンビス
(2-ヘキサン酸エチル)
【0182】
【化9】
【0183】S-4=2-(2-ブトキシエトキシ)酢酸エチ
【0184】
【化10】
【0185】カラーネガを用いて、可視光に露光させる
ことにより画像を形成した。次に、従来技術のRA-4化学
処理法に従って、露光した画像を処理した。次に、厚さ
50μmのポリエステルシートの上に形成された画像を紙
ベースの上に置いた。この例で用いた紙ベースは、ハン
マーミルペーパーズ社が製造して市販しているコピー機
グレードのセルロース紙であった。この紙の坪量は約75
g/m2であり、この会社からTidal DPという商品名で販売
されている。画像が記録されたポリエステルシートと紙
の補強材の両方を、あらかじめ三方をシールしてある透
明なポリマーからなるパウチの中に入れた。画像が記録
されたポリエステルシートと紙の補強材の大きさはポリ
マー製パウチよりもわずかに小さいので、開いている一
辺を加熱してシールし、トリミングすることにより、物
理的に組み立ててからシールしたピクチャーを完成させ
た。使用したポリマー製パウチは、三辺を加熱してから
物理的に重ね合わせてあらかじめシールした、ビニルの
パウチである。組み立てるピクチャーと紙の補強材を、
パウチの開いている一辺からパウチの中に入れ、真空装
置を用いて空気を除去し、ビニル製パウチの上下の面を
くっつけて圧力と熱を加え、それらの面の端部を融合さ
せて一体化し、トリミングして、物理的に組み立てられ
たピクチャーを完成させた。
【0186】例4 この例は例3と同様であるが、紙の補強材の代わりに青
色の二軸延伸ポリプロピレンシートを用いた。この例の
補強材部分は、以下のようになっている。
【0187】 L1 着色剤を含み、厚さが0.75μmで透明な中密度ポリエチレン L2 二酸化チタン24%を含む、厚さが7μmのポリプロピレン L3 PBT空隙生成剤を含む、空隙を有する厚さが20.3μmのポリプロピレン L4 二酸化チタン18%を含む、厚さが7μmのポリプロピレン L5 厚さが1.2μmの透明なポリプロピレン層 L6 厚さが12.5μmでメルトインデックスが10のポリエチレン L7 厚さが17.4μmのMobil Bicor 70MLT(艶消し層)
【0188】この例の補強材は、5層からなる二軸延伸
シートと、艶消しのコポリマー層を有する二軸延伸シー
トの間に、メルトインデックスが10のポリエチレンを挟
み、このポリエチレンを321℃(610°F)で溶かして押
し出すことにより、両方のシートを接着させるという方
法で製造した。
【0189】例5
【0190】物理的に組み立てた本発明のピクチャー
は、例3と同様にして製造したが、紙の補強材の代わり
に空隙を有するポリエステルシートを用いた。補強材と
して使用したポリエステルシートは以下のようなもので
ある。
【0191】 L1 デュポン社R-104二酸化チタンが40%含まれた厚さ8μmのポリエステル L2 空隙を有する厚さ75μmのポリエステル
【0192】この例の補強材は、共押し出しされたもの
で、二軸延伸であった。空隙を有するポリエステルシー
トは、この明細書の詳細な説明の項で説明した限定され
た融合を利用して製造した。この補強材のL1層は、二酸
化チタンをポリエステルポリマーに混合し、その混合物
を空隙を有する層とともに共押し出しすることにより形
成した。
【0193】本発明をいくつかの好ましい態様を引用し
ながら詳細に説明してきたが、本発明の精神ならびに範
囲に含まれる変化形や変更が可能であることが理解され
よう。
【0194】
【発明の効果】本発明により、画像の保護状態が改善さ
れる。本発明は、高価で手間のかかる接着剤を使用する
ことなく、ベース基板を、外部環境の影響から保護され
ていない画像と合体させる手段を含んでいる。本発明
は、消費者にとって満足のゆく画像にするための補強材
を有する画像形成要素を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、組み立て前の本発明の画像形成要素の
概略図である。
【図2】図2は、本発明の画像形成要素を組み立てた状
態を示す。
【図3】図3は、本発明の画像形成要素を組み立てシー
ルした状態を示す。
【図4】図4は、本発明の画像形成要素を組み立てシー
ルした状態を示す。
【符号の説明】
10…ポリマーシート 12…画像形成要素 13…薄いベースポリマーシート13 14…補強材 38…端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロバート ポール ボードレイス アメリカ合衆国,ニューヨーク 14534, ピッツフォード,オークシャー ウェイ 59 (72)発明者 アルフォンス ドミニク キャンプ アメリカ合衆国,ニューヨーク 14612, ロチェスター,ウィスパリング パインズ サークル 616

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄いポリマーシート上の画像と、補強材
    と、前記画像及び補強材を被覆する透明ポリマーシート
    とを有する少なくとも1つの画像要素を含む、物理的に
    組み立てられたピクチャーであって、前記透明シート
    が、前記補強材に前記画像を物理的に押しつけているピ
    クチャー。
  2. 【請求項2】 画像要素を用意すること、補強材を用意
    すること、前記画像要素を前記補強材と接触させて置
    き、前記画像要素及び補強材の上に透明ポリマーシート
    を置き、前記透明ポリマーシートを処理して、このポリ
    マーシートを前記画像要素を前記補強材と接触させて保
    持させること、を含んでなる物理的に組み立てられたピ
    クチャーの製造方法。
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