JP2001272673A - 反射型液晶表示装置 - Google Patents

反射型液晶表示装置

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JP2001272673A
JP2001272673A JP2000086549A JP2000086549A JP2001272673A JP 2001272673 A JP2001272673 A JP 2001272673A JP 2000086549 A JP2000086549 A JP 2000086549A JP 2000086549 A JP2000086549 A JP 2000086549A JP 2001272673 A JP2001272673 A JP 2001272673A
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reflection
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Yoshinori Hotta
吉則 堀田
Hiroshi Yoshimoto
洋 吉本
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 明るい画面で広い視野角を供する反射型液晶
表示装置を提供する。 【解決手段】 フィルターを配したアレイが透明電極を
有する基板上に一体的に形成されてなる電極構造体と、
表面が導電性を有する反射板と、液晶とからなる反射型
液晶表示装置であり、反射板と電極構造体が、電極構造
体のアレイ側が反射板と向かい合うように対峙して設け
られ、その間に液晶が封入された反射型液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バックライトに代
えて反射板を使用する、反射型液晶表示装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、液晶パネルにより画像を表示
する液晶表示装置は、ブラウン管(CRT)等を用いた
他の表示装置と比べて、低電圧駆動が可能であること、
LSI駆動に適すること、消費電力が低いこと、薄型化
や軽量化が可能であること等から、商品化されて種々の
機器に搭載されている。これら、液晶表示装置において
は、バックライトと呼ばれる光源の光を透過させること
で明るい画面を作りだしているが、このバックライト
は、液晶素子よりも多くの電力を必要とし、その寿命も
液晶そのものよりも短いために、大きなバッテリーを必
要とすることになり、特に携帯型のパーソナルコンピュ
ーターや携帯端末においては不都合である。
【0003】そこで、従来のバックライト構造を設けた
透過型液晶表示装置から、バックライトを用いる代わり
に反射板を用いた反射型液晶表示装置が提案され、一部
で実用化されている。この反射型液晶表装置をワープ
ロ、パソコン、携帯端末等に使用した場合、薄くて軽
く、見栄えがよく、しかも消費電力が低くてすむ利点が
あるが、その反面視野角が狭く、画面が暗く、表示性能
の点で不満足となる。そのため、白黒用の表示装置に用
いるのがせいぜいであり、カラー用表示装置に適用する
ことは困難であった。
【0004】このような、従来の反射型液晶表示装置に
係わる欠陥は、従来装置の典型的構造を示した図2に示
される通り、赤(R)、緑(G)及び青(B)の各色の
フィルター(以下、単にRGBと呼ぶ)と、各色の彩度
向上のために使用されるブラックマトリックスから構成
されるカラーフィルターアレイ構造体が、透明電極を有
するガラス基板とは液晶を挟んで対向して設けられお
り、更には反射板は、そのカラーフィルターの裏面に設
けられているために、開口率が小さくなって、反射光量
の損失が大きいのが大きな原因と考えられる。
【0005】また、この様な一般的なカラーフィルター
は、金属薄膜をフォトリソグラフ法によりエッチング処
理して、通常クロム薄膜からなるブラックマトリックス
を形成させ、一方RGBは顔料レジストを基板表面に塗
布した後、フォトリソグラフ法によってRGBの点状パ
ターンを形成させて、両者を組み合わせることによって
作成されているが、この様な作成方法は、非常に多くの
工程を必要とするだけでなく、寸法、形状、位置等につ
いて高い精度が要求され、高い製造コストが必要であっ
た。この問題を解決するものとして、カラーフィルター
がアレイ基板上に一体に形成されてなる構造体が提案さ
れているが(特開平9−312216号公報参照)、こ
の構造体により確かに、製造コスト、寸法や形状に精度
を要することなどの問題は解決されるものの、従来の反
射型液晶表示装置のカラーフィルターに変えたとして
も、依然として視野角の狭さ、画面の暗さにおいて未だ
満足のいくものではなく、このもいみみ面における更な
る改善が望めれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、バックライトに代えて反射板を使用する、反
射型液晶表示装置でありながら、明るい画面で、広い視
野角を供することのできる、液晶表示装置を提供するも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討の結
果、開口部を有しかつ該開口部にR、G、Bの画素に対
応するフィルターを配したアレイが、透明電極を有する
基板(以下、アレイ基板と呼ぶことがある)上に一体的
に形成されてなる電極構造体を用いること、及び、反射
板を対向電極として使用することによって、上記従来の
技術の欠点を克服できることを見出し、本発明を成すに
至った。即ち、本発明は、表面が導電性を有する反射板
と、開口部を有しかつ該開口部にR、G、Bの画素に対
応するフィルターを配したアレイが、透明電極を有する
基板上に一体的に形成されてなる電極構造体と、液晶と
からなる反射型液晶表示装置であって、反射板が電極の
一方を兼ねており、反射板と、RGBフィルターを有す
る電極構造体とが、電極構造体のアレイ側が反射板と向
かい合うように対峙して設けられ、かつその間に液晶が
封入されてなる前記反射型液晶表示装置である。
【0008】反射板は、アルミニウム又はアルミニウム
合金板であって、その液晶と接する側の表面に、粗面化
処理を行った後、化学的溶解処理をして、乱反射層が形
成させられているのが、広い視野角を高い反射率を維持
する点で好ましい。反射板の裏面に、電極構造体の基板
の材質と同じ材質からなる支持板を更に設けてなる構造
であるのが、歪みを防止して、長期使用中の表示装置の
寸法安定性を確保するので好ましい。更には、反射板
が、アルミニウム又はアルミニウム合金板であって、そ
の液晶と接する側の表面に、粗面化処理を行った後、化
学的溶解処理をして、乱反射層が形成させられており、
かつ、更にその表面に透明な樹脂層が設けられているこ
とが好ましい。電極構造体の基板の材質は、寸法安定性
と光透過性の両方を満たすことから、ガラスや、プラス
チックであることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の反射型液晶表示装置は、
反射板と、開口部を有しかつ該開口部にR、G、Bの画
素に対応するフィルターを配したアレイが、透明電極を
有する基板上に一体的に形成されてなる電極構造体と、
液晶とからなるが、図1を参照しながら説明する。図1
は、本発明の反射型液晶表示装置を示す図である。この
反射型液晶表示装置は、反射板1と、透明電極3を有す
る基板2が、対向して設けられており、その間に液晶
(相移転型液晶)5が封入されてなるが、基板2には、
本発明の特徴である、開口部を有する画素電極を形成す
るアレイ6と、その開口部に配されたRGBフィルター
4とが、透明電極3を担持した基板2の上に一体的に電
極構造体7を構成しており、また反射板1は、単に光を
反射させるだけでなく、透明電極3の対向電極となって
いる。このような反射型液晶表示装置8では、基板の側
から入射した光は液晶層を通過して反射板1で反射さ
れ、再び基板の側に出射されることになる。一方図2
は、公知の構造の反射型の液晶表示装置を示す図であ
る。この反射型液晶表示装置は、図1と同様に、反射板
1と、透明電極3を有する基板2が、対向して設けられ
ているが、RGBフィルター4は、基板2上ではなく、
基板2と対向した反射板1側に配され、その間に液晶
(相移転型液晶)5が封入されてなる。また、従来の反
射型の液晶表示装置では、反射板1は対向電極として使
用されておらず、電極10がRGBフィルターの裏面に
配され、そのRGBフィルターはブラックマトリックス
9を必要とするものであった。従って、本発明の装置よ
りも、かさばり、また開口率が小さく、その結果反射光
量の損失が大きくなり、画面が暗くなるという欠点を有
するものであった。
【0010】本発明において、反射板は対向電極として
使用されるので、表面が導電性を有する必要がある。そ
の材質等は、特に限定されるものではなく、後で詳述す
るが、例えば、アルミニウム板又はアルミニウム合金板
からなるものである。この反射板は、その液晶と接する
側の表面に、粗面化処理を行った後、化学的溶解処理を
して、乱反射層が形成させられているのが、反射輝度を
広い範囲において向上させることができるので好まし
い。
【0011】粗面化処理としては、機械的粗面化処理、
電気化学的粗面化処理、及び化学的粗面化処理が挙げら
れ、これらの内少なくともいずれかの処理が行なわれ
る。機械的粗面化処理の方法としては、炭化珪素、窒化
炭素、アルミナなどの研磨剤を含むスラリーをアルミニ
ウム板表面に供給しながらブラシで表面を研磨する、所
謂ブラシ研磨法や、ボール研磨法、ブラスト研磨法、バ
フ研磨法等の公知の方法が挙げられる。好ましい機械的
粗面化の程度は、表面荒さがRa値で0.2〜1.0ミク
ロンの程度である。化学的溶解処理によって、アルミニ
ウム基板は、アルカリエッチングされる。好ましいアル
カリ剤は、NaOH、KOH、メタ珪酸ナトリウム、炭
酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、グルコン酸ナト
リウムなどである。このエッチングの条件は、濃度が
0.01から20質量%、温度が20から90度度(摂
氏)、時間が5秒から5分の範囲から選択するのが適当
であり、好ましいエッチング量は0.1〜15g/m2
である。
【0012】また、電気化学的粗面化処理の方法として
は、例えば、アルミニウム板又はアルミニウム合金板を
電極の一方として、不溶性の対極との間に交番波形(交
流、三角波、矩形波などで、直流電流を重畳してもよ
い)の電流を流して、電気化学的に板表面を溶解させ
る、すなわち交流電解エッチングによって行われるが、
この方法にのみ限定されるものではなく、用いるアルミ
ニウム板の種類等によって方法や条件が決められる。
尚、この方法は、平版印刷版用支持体の製造分野におい
て行われる電気化学的粗面化方法と同様であり、電解温
度が20から80度、好ましくは40から60度Cの硝
酸、塩酸、又は他の適当な酸の3〜150g/l、好まし
くは5から50g/lで、アルミニウムの溶解量が50g/l
以下、好ましくは2から20g/lの酸性溶液中で実施さ
れるのが一般的である。電流密度は5から100A/dm2,
好ましくは10から80A/dm2であり、通電量は、陽極
電気量として30から400C/dm2,好ましくは80から
300C/dm2である。
【0013】この機械的粗面化、電気化学的粗面化、又
は化学的粗面化処理のうちいずれか1つの処理を施すこ
とが好ましく、またそれらを組み合わせてもよく、特に
は機械的処理と電気化学的処理の組み合わせが、粗さの
分布を広範囲にして反射角を広げることができるので、
とくに好ましい。また、2種類以上の処理を行う場合、
その順番はいずれであってもよいが、機械的粗面化、電
気化学的粗面化、化学的粗面化の3種類をこの順番で組
み合わせたり,あるいは化学的粗面化処理をまず前処理
を兼ねて行い、次いで他の粗面化処理のいずれか又は両
方を行っても良い。また、機械的粗面化処理と電気化学
的粗面化処理を組み合わせる場合には、この順番で行な
うのが好ましい。
【0014】このように、機械的粗面化処理を行った表
面には、一見平滑であっても、微視的に観察すれば深い
くぼみができており、この凹凸によって光の散乱が大き
くなって好ましい反面、このままで反射版として使用す
ると、反射率が低下することになるので、この後に化学
的溶解処理が必要となる。また、電気化学的粗面化を行
った表面には、反応によってスマットと呼ばれる酸に不
溶解性の生成物が付着しており、これにより反射板表面
の白色度が低下し、その反射板を用いた液晶表示装置の
画面が暗くなることになるので、それを除去するために
も、化学的溶解処理が必要となる。
【0015】反射板に施される化学的溶解処理について
述べる。アルミニウム基板を処理する溶液は、アルカリ
剤を含んだ水溶液である。好ましいアルカリ剤は、Na
OH、KOH、メタ珪酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、
アルミン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウムなどであ
る。この溶解処理条件は、pHが10以上、多くの場合1
0から13で、温度が25から60度度(摂氏)、時間
が1から10秒の短時間で行うのが適当である。アルカ
リエッチングしたアルミニウム板の表面にはアルカリに
不要な物質(スマット)が残存するので、必要に応じて
それを除去するデスマット処理を行っても良い。デスマ
ット処理は、硫酸主体の浸漬して行う。酸の黄土は50
から400g/l、温度25から65度(摂氏)の範囲か
ら選ぶのが好ましい。
【0016】反射板は、更に陽極酸化処理を施して、酸
化皮膜層を設けることが好ましい。それによって、反射
板の輝度及び表面硬度が高められ、反射板表面を保護す
ることができるようなるだけでなく、実際に液晶表示装
置を組み立てる際の、取り扱い性を向上させることにも
なる。陽極酸化処理の方法としては、本発明の反射板を
陽極として、酸性溶液中で、直流電解を行う方法等が挙
げられる。 酸性溶液としては、例えばリン酸、クロム
酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは蓚酸、スルファミ
ン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液または非水溶
液が挙げられ、単独または2種類以上の酸を組み合わせ
た溶液でもよいが、特に硫酸水溶液が好ましい。陽極酸
化処理で施される皮膜の厚みは、特に限定されるもので
はないが、皮膜量として0.1g/m2 〜5g/m2
相当する厚みが好ましい。0.1g/m2未満では、表
面保護効果が低く、また5g/m2を超えると皮膜自身
が光学的な吸収層となり得るために反射光量の低減を招
く傾向がある。
【0017】また、反射板の表面上に、表面層の保護及
び強度を高めることを目的として、可視光領域に吸収を
もたない透明な有機樹脂皮膜が設けられるのが好まし
い。この有機樹脂皮膜により、導電性のあるアルミニウ
ム又はアルミニウム合金が、直接液晶面と接触すること
によって生じる可能性ののある、例えば液晶の劣化など
の問題も解決することができる。そのような有機樹脂皮
膜としては、メタクリル酸エステル樹脂、ポリスチレ
ン、ポリカーボネートなどの薄膜が好ましく用いられ
る。薄膜の厚みは、0.02〜2.0ミクロン、好ましくは
0.1から1.0ミクロンである。厚みが0.02ミクロンより
も薄いと干渉を起こすおそれがあり、また2ミクロンを
超えるようであれば反射率に影響するおそれがある。
【0018】更には同様の目的で、反射板の表面上に、
ゾルゲル法を用いてガラス質の皮膜を設けるのが好まし
い。このガラス質の皮膜は、透明であるので反射特性を
損なうことなく表面の保護が図れ、前記有機樹脂皮膜よ
りも表面硬度を高くすることができるので、耐傷性の向
上が高く、またガラス質皮膜自身は導電性が低いため
に、絶縁層としての効果も有する。反射板は、陽極酸化
処理で設けられる皮膜、有機樹脂皮膜、及び、ゾルゲル
法によるガラス質の皮膜を適宜組み合わせて設けられる
が、連続して設けられているのが最も好ましい。
【0019】本発明で用いられる反射板の材料として
は、金属が好ましく、特にアルミニウム板又はアルミニ
ウム合金板が好ましい。またこのアルミニウム板又はア
ルミニウム合金板の材質としては、強度が求められる場
合にはマンガン系のアルミニウム合金(例えばJIS A3
003に規定された3S材)や、マグネシウムを含有す
るアルミニウム合金(例えばJIS A5052に規定され
た5S材)等を適宜選択することができる。また、これ
らの板の厚みも限定されるものではないが、できるだけ
薄いのが望ましく、より好ましくは10〜100μmで
ある。薄すぎると、粗面化処理の際にピット(穴)が開
いてしまう可能性があり、逆に厚すぎると板自身の熱膨
張率や重力の影響が大きくなりすぎ、形状や寸法の歪み
が無視できなくなる。特に、反射板表面に透明樹脂等の
他の層を設ける場合には、形状や寸法の歪みが大きくな
りやすいので、反射板を充分薄くして、それを支持板に
貼りあわせて使用することで抑制するのが望ましい。
【0020】本発明において、反射板はそのままでも使
用できるのは勿論であるが、上記した通りの粗面化処理
及び化学的溶解処理を組み合わせた処理を施すことが好
ましい。図5は、粗面化処理と化学的溶解処理を組み合
わせて作られた本発明の好ましい反射板の表面形状を示
す断面であり、図6は、その反射板の光反射強度の視野
角依存性を示す図である。反射板の表面に、図5に示さ
れるような、不規則な深さや大きさを有する、半球状等
の凹部(図中符号13で示される)が形成され、その凹
凸のパターンが適切な冗長性を有し、完全には均一では
なく、それぞれの凹凸形状、深さ及び周期の分布が拡が
った状態になっていると考えられ、そのために、何も処
理を施さない反射板よりも、良好な乱反射が生じるた
め、広範囲に渡って反射輝度が高くなり、その反射特性
は図6に示されるように、正面からでも斜め方向からで
もほぼ同様な高い反射強度を有するので望ましい。従っ
て、上記した様な処理を施された反射板を用いた液晶表
示装置は、紙の表面反射(乱反射)に類似した見栄えを
確保でき、白色で、視認性がよく、広範囲に渡って、正
面からでも、斜め方向からでもほぼ同様な明るさを供す
ることができる。更には、適切な冗長性の存在により、
形状の規則性のために生じるモアレパターン等の発生を
抑制できる効果も大きくなることとなる。なお、図7
は、反射板材料に上記の各粗面化手段のいずれをも施さ
ない反射板の表面部分の形状を示す断面図であり、図8
は、その反射板材料の視野角依存性を示す図であるが、
一般的には粗面化処理を行わなければ、図7が示すよう
に、その表面には規則的な凹凸が形成されており、その
反射板の反射特性は図8に示すように顕著な視野角依存
性が存在している。このような来用いられていた粗面化
されていない、又は凹凸周期が規則的な粗面化がなされ
た反射板も、本発明に用いることができるが、本発明の
効果を充分発揮するには、不規則で粗さ範囲の広い粗面
化された板が本発明の目的である明るくかつ視野角に依
存しない見え方をよりよく具現して好ましい。
【0021】本発明で使用される電極構造体は、図1に
示すように透明電極3を有する基板2(即ち、アレイ基
板)上に、開口部12を有しかつその開口部12にR、
G、Bの画素に対応するフィルター4が配されたアレイ
6が一体的に形成されていればよく、その方法は限定さ
れるものではないが、一例を図3及び図4を参照しなが
ら以下に述べる。図3は、本発明の電極構造体の各部分
の配置を示す平面図であり、アレイ開口部12を有する
アレイに、RGBフィルター4が形成されているところ
を示している。また、図4は、本発明の電極構造体の断
面を表わす図であり、透明電極3を有する基板2上に、
アレイ開口部12にRGBフィルターが形成されている
アレイ6が設けられて、電極構造体7をなしている。積
層したアレイ構造により回路を形成しているアレイ基板
(図示せず)上に、開口部12を有するアレイ6を設
け、その後、光反応性の樹脂中に色剤を分散したフォト
レジストを用いて、印刷法によって赤・緑・青の色を提
供するRGB線条4を形成する。次いで、前記アレイ基
板の裏面から光反応性樹脂の感光波長を含む光を照射し
て、RGB線条4のうちアレイ開口部12内の感光部分
のRGBのみを光反応させた後、開口部12周辺のアレ
イ上の非感光部分に印刷された余分のRGBフィルター
形成材料を現像溶解して、所望にRGBを配置させるこ
とによって形成される。尚、RGB線条の印刷・現像溶
解方法は、限定されるものではなく、RGBを順次に印
刷して、次いで同時に現像溶解形成してもよいし、第1
色目にR線条を印刷した後、R線条の現像溶解を行なう
方法で、順次GB線条の印刷、現像溶解を行なう方法で
形成してもよく、R、G、B線条の順序を変えても、性
能形状への影響はない。
【0022】この電極構造体では、アレイ開口部(1
2)が液晶用カラーフィルターの開口率を律するので、
高い開口率が得られる、即ち明るい画面を供することの
できるものとなるのである。また、一体となった単一構
成であることも、光量の確保に有利に働くこととなる。
また、この電極構造体では、カラーフィルターがアレイ
基板上に形成されることにより、このアレイがブラック
マトリックスに代用されるので、従来必要であったブラ
ックマトリックスの形成を省略できることになり、それ
によって有効反射面積が増加して画面の明るさを向上さ
せ、コストも大幅に削減させることができる。また、R
GBのパターンニングに際して、アレイ形状をフォトマ
スクとして用いるから、フォトリソグラフ法を用いるに
も関わらず、フォトマスクの使用が省略できために、こ
の点からもコストを削減可能なのである。また、RGB
を印刷法で設ける場合、カラーフィルター用のフォトレ
ジスト材料の使用量は、印刷される部分に必要な量だけ
でよいので、従来から使用されているスピンナー方法等
の塗布方法に比べて、1/10〜1/20と、大幅に減
らすことができ、コスト低減効果が顕著になる。更に
は、印刷線条の作成法によっては、デルタ(トライアン
グル)、斜め(ダイゴナル)、モザイク配列等も容易に
作成が可能である。またアレイとRGBの厚みを同一に
することができ、図4に示される通り、表面段差の小さ
い平滑性に優れたカラーフィルターを作ることができ
る。
【0023】なお、アレイ基板を構成する基板の材質
は、光透過性であって、かつ、透明電極及びアレイと充
分な寸法安定性と密着性を維持して担持することのでき
る材料であるかぎり、特に限定されるものではないが、
ガラスや、プラスチック材料であることが好ましい、と
くにソーダガラスやポリカーボネートが好ましい。ま
た、開口部を有する画素電極を形成するアレイの材質
も、透明電極及び基板と充分な寸法安定性と密着性を有
する材料であるかぎり、限定されるものではないが、ミ
クロフォトリソグラフィの手法で作るのに適した材料で
かつブラックマトリックスを兼ねる非透過性(それ自体
又は添加物により)となし得る材料であることから、金
属、ガラス又はプラスチックが好ましく、特に無機顔料
含有ガラスが好ましい。これらの材料を用いて液晶表示
装置を作成する詳細は、基本的には例えば岡野他による
「液晶基礎編(1992年第7版培風館刊行)などに記
載の公知のミクロフォトリソグラフィの手法に従って作
製することができる。
【0024】また、本発明の上記構成に加えて、更に反
射板の裏面に、アレイ基板の基板材質と同じ物質を設け
ると、熱によるずれを抑制できるので好ましい。この設
け方としては、公知の接着を用いることができる。尚、
液晶としては、従来一般的に使用されているものを、本
発明においても使用することができる。
【0025】
【実施例】以下の実施例によって、本発明のさらに具体
的に説明するが、本発明は以下に限定されるものではな
い。 [反射板の製造例] 反射板の製造例1 基材として厚み 0.3 mmのアルミニウム板(材質1
S)を用い、機械的粗面化処理、化学的粗面化処理
(1)、電気化学的粗面化処理、化学的溶解処理(2)
をこの順番で行って、反射板を製造した。なお、機械的
粗面化処理としては、8号ナイロンと800メッシュの
パミストンの水懸濁液を用いてその表面の砂目立てを行
った。化学的粗面化処理(1)は、10重量%水酸化ナ
トリウムを用いて、70 ℃で60秒間エッチングした
のち、流水で水洗し、20重量%硝酸で中和洗浄して、
さに水洗した。電気化学的粗面化処理は、VA=12.
7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、濃度1
%の硝酸水溶液中で、温度45℃で、電解電気量300
c/dm2で、鉄板を対極として交流電流を用いて行っ
た。表面粗さを測定したところ0.45ミクロン(Ra
表示)であった。引き続いて30%硫酸水溶液に55度
Cで2分間のデスマット処理を行った。化学的溶解処理
(2)は、上記の化学的粗面化処理に用いた水溶液を用
いて処理時間を30秒として溶解量を減らして行った。
さらに、15%硫酸水溶液中で5A/dm2で45秒間
の直流電解によって陽極酸化被膜の形成を行った。
【0026】反射板の性能を、表面の光学濃度と視野角
を測定することによって、評価した。表面の光学濃度
は、国際規格ISO−5に準拠した反射光学系を有す
る、いわゆるマクベス型反射濃度計を用いて測定した。
視野角は、反射測定装置を使用して、ハロゲンランプ光
を、反射板表面に45°で入射させて、反射光の角度を
10〜100°の間で変えて反射光量を測定した。この
際、反射光量の最大値の90%以上の光量が維持できる
角度範囲を視野角とした。表1に結果を示す。
【0027】反射板製造例2〜6 反射板の製造例1に述べた、機械的粗面化処理、化学的
溶解処理(1)、電気化学的粗面化処理、化学的溶解処
理(2)を表1に示したような組み合わせ方で5種の反
射板を製造し、反射板製造例2とし、製造例1とともに
その反射特性の性能を評価した。なお、参考例として上
記のアルミニウム板材料に粗面化処理を施さない反射板
についての反射特性の評価結果も表1に示した。表1に
示されるように製造例1〜6のいずれもその表面の光学
濃度は0.2以下、すなわち反射率にして64%以上で
あり、また視野角は60度以上という値であった。参考
例の反射板も本発明に用いることができるが、本発明の
好ましい態様の製造例1〜6の粗面化した反射板は視野
角依存性が少ないことが判る。
【0028】
【表1】
【0029】[電極構造体の製造例]厚さ1.1ミリで、
縦横が300×300ミリのソーダガラス基板上に、ネ
ザガラス透明電極を設け、アレイ基板を作成し、その上
に更に横方向ピッチが100ミクロン、縦方向ピッチが
250ミクロン、幅及び長さがそれぞれ50ミクロン及
び120ミクロンである、多数の開口部を有するアレイ
を設置した。このアレイ上に、光硬化性樹脂にRGB色
剤を分散したフォトレジスト組成物を、オフセット印刷
方法により、幅85ミクロンで、基板の上端から下端ま
で連続した形状に形成した。1色のピッチは、300ミ
クロンであり、RGB3色が形成できた状態で、各色間
のピッチは100ミクロンであった。次いで、基板の裏
面方向から、365nmを中心波長とする光を照射し
た。尚、この時の照射エネルギーは100mJ/平方c
mであった。この照射によって、RGB線条のうち、ア
レイ開口部分(図2の12)ののRGB線条は硬化する
が、開口部分(図2の12)周辺のアレイ(図1の6)
上のRGB線条は隆起して、未硬化のまま残るので、次
いで、現像(現像条件:水1L中に、リン酸三ナトリウ
ム20g、リン酸二ナトリウム3g、D,L−ソルビッ
ト20gを含み、KOHでpH12.5に調節した水溶
液で、40℃、20秒処理)を行ない、未反応の状態の
アレイ6上のRGB線条を現像溶解し、反応硬化状態の
アレイ開口部部分(図2の12)上のRGB線条は残し
た。現像前に生じていた未反応状態のアレイ構造体上の
RGB線条の隆起した余分のレジストは、この現像時に
溶解除去されて、図3に示した断面と形状を持つRGB
画素の厚み2.0ミクロンの、ほぼ平坦な段差の小さい
平面の電極構造体を製造した。
【0030】[液晶表示板の作製] 実施例1〜6 上記した反射板製造例1〜6の各反射板と、電極構造体
の製造例で製造された電極構造体とを、スペーサーを介
して密着させて、その間に液晶を封入して、反射型液晶
表示装置を製造した。得られた装置を用いて、入射光量
に対する反射光量の比率(%)と、上記したのと同様に
して測定された視野角とを用いて、評価した。結果を表
2に示す。
【0031】実施例7 処理を全く施さなかった、反射板(参考例1として前記
下した反射板)を用いた以外は、実施例1と同様に反射
型液晶表示装置を製造し、同様に評価を行なった。この
結果も表2に示す。
【0032】比較例1 処理を全く施さなかった反射板を用い、アレイ基板とカ
ラーフィルターが一体となっていない従来のものを、図
2に示した構成に組み合わせて、反射型液晶表示装置を
製造し、実施例1〜7と同様に評価を行なった。この結
果も表2に併せて示す。表2の結果は、従来の反射型表
示板である比較例1に比べて実施例1〜7の反射型液晶
表示板はいずれも大きな反射光量(反射率)と広い視野
角を持っており、視野角に依存することなく明るい表示
装置が得られたことを示している。とくに反射板の表面
に粗面化処理を施した実施例1〜6の液晶表示装置は、
その効果が大きいことが示された。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明の反射型液晶表示装置は、本明細
書中に詳記した構成をとることによって、反射光量を比
較例と比べて高くすることができ、視野角も広くするこ
とができる。即ち、明るく広い視野角を有する反射型液
晶表示装置とすることができる。また、反射板を粗面化
することによって発明の効果が更に高められる。また、
本発明においては、RGBフィルターがアレイ基板に一
体的に形成されてなる電極構造体を用いたため、従来よ
りも安価に製造可能であり、かつ反射板を対向電極とし
たことにより、更に軽量で小型化することが可能であ
る。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の反射型液晶表示装置の構成を表わす
模式図である。
【図2】 従来の反射型液晶表示装置の構成を表わす模
式図である。
【図3】 本発明の電極構造体の各部分の配置を示す平
面図である。
【図4】 本発明の電極構造体の断面を表わす模式図で
ある。
【図5】 本発明の好ましい粗面を有する反射板の表面
層の断面拡大図の一例である。
【図6】 図5に示した反射板の反射光強度の視野角依
存性を表わす図である。
【図7】 処理を施されていない反射板の表面層の断面
拡大図の一例である。
【図8】 図7に示した反射板の反射光強度の視野角依
存性を表わす図である。
【符号の説明】
1 反射板 2 ガラス基板 3 透明電極 4 RGBフィルター 5 液晶 6 アレイ 7 電極構造体 8 液晶表示装置 9 ブラックマトリックス 10 電極 11 液晶表示装置 12 アレイ開口部 14 反射面の表面凹凸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H090 JB02 JB03 LA15 LA20 2H091 FA02Y FA16Y FA35Y FB08 FC25 GA01 GA03 LA16 LA19 5G435 AA03 BB12 BB16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開口部を有しかつ該開口部にR、G、B
    の画素に対応するフィルターを配したアレイが透明電極
    を有する基板上に一体的に形成されてなる電極構造体
    と、表面が導電性を有する反射板と、液晶とからなる反
    射型液晶表示装置であって、該反射板と電極構造体が、
    電極構造体のアレイ側が反射板と向かい合うように対峙
    して設けられ、かつその間に液晶が封入されてなる前記
    反射型液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 該反射板が、アルミニウム又はアルミニ
    ウム合金板であって、その液晶と接する側の表面に、粗
    面化処理を行った後、化学的溶解処理を施すことによっ
    て、乱反射層が形成されていることを特徴とする、請求
    項1に記載の反射型液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 該反射板の裏面に、電極構造体の基板と
    同じ材質の支持板を設けたことを特徴とする、請求項1
    又は2に記載の反射型液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 該電極構造体の基板の材質がガラスであ
    ることを特徴とする、請求項1〜3のいづれか1項に記
    載の反射型液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 該電極構造体の基板の材質がプラスチッ
    クであることを特徴とする、請求項1〜3のいづれか1
    項に記載の反射型液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 該反射板が、アルミニウム又はアルミニ
    ウム合金板であって、その液晶と接する側の表面に粗面
    化処理を行った後、化学的溶解処理を施して乱反射層が
    形成されており、かつ、更にその表面に透明な樹脂層が
    設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の反射型液晶表示装置。
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