JP2001272400A - 吸着剤を用いた測定方法 - Google Patents

吸着剤を用いた測定方法

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JP2001272400A
JP2001272400A JP2000084491A JP2000084491A JP2001272400A JP 2001272400 A JP2001272400 A JP 2001272400A JP 2000084491 A JP2000084491 A JP 2000084491A JP 2000084491 A JP2000084491 A JP 2000084491A JP 2001272400 A JP2001272400 A JP 2001272400A
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JP2000084491A
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Masayuki Yokoi
正之 横井
Yasumasa Kijima
康雅 木島
Kazuyuki Oishi
和之 大石
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 一回の測定で二種以上の測定物質を検出
でき、かつ測定物質の濃縮を目的とする前処理を省略す
ることができる効率的な測定方法、および該方法を実施
するための装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 試料中の一または二種以上の測定物質を
測定する方法において、少なくとも下記の工程を含む測
定方法。 (a)測定物質の電荷または/および極性により一また
は二種以上の測定物質を吸着剤に吸着させる工程、
(b)測定物質と特異的な結合性を有する検出用物質一
又は二種以上と、吸着剤に吸着された測定物質とを反応
させる工程、(c)該検出用物質を検出する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学分析一般、特
に試料中のステロイドホルモン類およびホルモン様作用
物質類(以下、「ホルモン様作用物質」という)を測定
する方法および該方法を実施するための分析装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の分析方法では、例えば特開昭57
−74633号に記載されているように、測定物質(抗
原)に対する抗体を固定した固層に、測定物質を含む試
料を投入した後、さらにこれに酵素標識した抗体を作用
させる。これにより測定物質が存在する場合は、この測
定物質を介して酵素標識した抗体が固層と結合すること
になる。その後、固層に結合した標識抗体と遊離してい
る標識抗体を分離し、そのどちらかの標識抗体の酵素活
性を測定することにより、測定物質を検出するという方
法が採用されている(EIAサンドイッチ法)。
【0003】しかし、かかるEIAサンドイッチ法で
は、測定物質に対する抗体を固層に固定しなければなら
ないが、固定化条件が抗体の種類によってさまざまであ
るため、その条件設定が難しい。また、多項目を測定す
るために数種類の抗体を固層に固定しなくはならない場
合、抗体ごとに固定化条件が違うため同時に固定化する
ことが困難であった。このため、EIAサンドイッチ法
を用いて多項目の測定をすることは非常に困難であっ
た。
【0004】今日臨床検査をはじめ、環境分析および食
品分析の分野では、測定項目が多岐にわたっているが、
従来の分析方法では、抗体を固層に固定するための条件
設定が難しい場合は分析系を設計することが難しかっ
た。また、多岐にわたる測定項目を短時間で測定すると
いうニーズが年々高まってきている。しかし、従来の分
析方法では、同時多項目測定というニーズに答え難かっ
た。
【0005】一方、環境中に排出された生物由来のステ
ロイドホルモン類や一部の化学物質は、生体内に取り込
まれるとホルモン類似作用を示すものがあり、これらの
化学物質は内分泌攪乱物質と呼ばれ、動物の生殖機能等
に悪影響を及ぼすことがわかってきた。したがって、こ
れらの物質の正確な測定が極めて重要である。しかし、
これらのホルモン様作用物質は極めて微量であるため、
簡便で高精度な測定法の確立が必須である。従来からガ
スクロマトグラフィー(GC)法、液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)法、あるいはこれらの方法とマススペ
クトル(MS)分析法を組み合わせた方法、または抗原
抗体反応に基づく免疫方法などが知られている。
【0006】これらの高精度分析法は、ほぼ同様の前処
理により測定試料が調製される。この前処理は、混入物
が非常に多い環境水あるいは環境物質からの抽出水か
ら、測定の妨害となる物質を除去し、目的とするホルモ
ン様作用物質を効率よく抽出する目的で行われる。しか
し、測定可能な程度の量の測定物質を得るためには、1
0L以上の試料を処理することが必要で、これを処理す
るには大変多くの時間と人手がかかってしまっていた。
また、測定に際しても多成分を同時に測ることができ
ず、そのため上記前処理を何度も繰り返さないと多項目
を測定できなかった。そのため、例えば下水等の排水中
に含まれる成分を測定する際、何回もサンプルを採取し
測定する必要があり、また測定に時間もかかるため、す
ぐにフィードバックして汚染物質の排出をとめることが
難しいなどの問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一回の測定で二種以上
の測定物質を検出でき、かつ測定物質の濃縮を目的とす
る前処理を省略することができる効率的な測定方法、お
よび該方法を実施するための装置を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく鋭意検討した結果、測定物質の電荷または/
および極性により測定物質を吸着剤に吸着させる工程を
採用するという着想を得た。即ち、従来のEIAサンド
イッチ法においては、固層に固定した抗体により測定物
質を特異的に捕捉していたが、本発明では測定物質の電
荷または/および極性という性質を用いて測定物質を捕
捉しようとするものである。したがって、該吸着工程で
は、測定物質以外の物質も吸着剤に吸着される可能性は
ある。しかし、次の工程で、測定物質に特異的な結合性
を有する例えば発光物質などで標識された検出用物質を
吸着装置に加えれば、その標識による特定波長での吸光
度等を測定することにより、測定物質を特異的に検出で
きるようになる。
【0009】したがって、本発明によれば、電荷または
/および極性において類似の性質を有する測定物質であ
れば二種以上の測定物質を同時に吸着剤に吸着させるこ
とができる。そして、検出用物質の標識を検出用物質ご
とに変えておけば、二種以上の測定物質を同時に測定す
ることが可能になる。本発明により、従来のEIAサン
ドイッチ法において、数種類のリガンドを固層に同時に
固定化することが困難であるため、固層を用いて多項目
の測定をすることは非常に困難であったという問題点が
解決できる。また、一つの測定で用いる二種以上の検出
用物質のそれぞれの標識を、例えば波長を変えるという
簡便な操作ですべて検出できるようにしておけば、多項
目の測定が短時間で可能となる。これにより、臨床検査
をはじめ、環境分析および食品分析の分野における、多
項目を短時間で測定するというニーズに答えることがで
きる。また、排水中の汚染物質の測定において、多項目
を短時間で測定できるのですぐにフィードバックして汚
染物質の排出をとめることができる。
【0010】また、本発明に係る装置として、吸着剤を
充填させた吸着装置を採用すれば測定物質を濃縮するた
めの試料の前処理が省略できるという知見を得た。ま
た、吸着装置として例えばカラムを用いれば、大量の試
料の測定も短時間で簡便に行うことができるという知見
も得た。すなわち、本発明における吸着工程が大量の試
料から測定物質を濃縮する役目も果たし、同時に、その
吸着装置は測定にそのまま用いることができるため、前
処理が不要になる。また、例えば環境水中のホルモン様
作用物質のように、試料中に微量しか存在しないような
測定物質の場合では、測定可能な程度の量の測定物質を
得るために大量の試料を測定する必要があるが、この場
合吸着装置として例えばカラムを用いれば、連続的に試
料を通液させることにより、短時間で簡便に測定するこ
とができる。
【0011】すなわち、本発明は、(1)試料中の一ま
たは二種以上の測定物質を測定する方法において、少な
くとも下記の工程を含む測定方法、(a)測定物質の電
荷または/および極性により一または二種以上の測定物
質を吸着剤に吸着させる工程、(b)測定物質と特異的
な結合性を有する検出用物質一又は二種以上と、吸着剤
に吸着された測定物質とを反応させる工程、(c)該検
出用物質を検出する工程、(2)測定物質がステロイド
ホルモン類またはホルモン様作用物質である前記(1)
に記載の測定方法、(3)ステロイドホルモン類または
ホルモン様作用物質が、アルキルフェノール類、ビスフ
ェノールA、フタル酸エステル類、ダイオキシン類およ
びエストロジェン類からなる群から選ばれる1又は2種
以上である前記(2)に記載の測定方法、(4)吸着剤
が、アクリル酸エステルまたは/およびメタクリル酸エ
ステルである架橋性単量体を重合して得られる架橋重合
体である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の測定方
法、(5)架橋重合体の平均粒径が0.1μm〜1cm
でかつ比重が0.8〜3.0である前記(4)に記載の
測定方法、(6)検出用物質が抗体または抗原である前
記(1)〜(5)のいずれかに記載の測定方法、(7)
検出用物質が抗体または抗原で、該検出用物質を検出す
る工程が酵素を用いる酵素免疫法である前記(1)〜
(6)のいずれかに記載の測定方法、および(8)測定
物質の電荷または/および極性により一または二種以上
の測定物質を吸着できる吸着剤を有する吸着装置と、測
定物質と特異的な結合性を有する検出用物質とを備える
ことを特徴とする分析装置、に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の測定方法が適用できる測
定物質は、臨床検査、環境分析および食品分析において
検査対象となるものであればどのようなものでもよい。
試料としては、例えば、血液、血清、血漿、唾液、汗、
尿、乳汁、胸水、粘膜、髄液、腹腔液、羊水あるいは糞
便などのような生理学的な流体、発酵ブロス、細胞培
養、または化学反応混合物などから得たものであっても
よい。また、生物学的流体または生理学的流体の他に、
他の液体サンプル、例えば水あるいは食品の製造検定サ
ンプルまたは水質あるいは土壌検査サンプルなどであっ
てもよい。ただし、二種以上の測定物質の測定を同時に
行うのであれば、測定物質は電荷または/および疎水性
において類似の性質を有するものが好ましい。
【0013】本発明の測定方法が適用できる測定物質の
うち「ステロイドホルモン類またはホルモン様作用物質
類」とは、生物由来のステロイドホルモン類、および生
体内においてホルモン類似作用が報告されている物質あ
るいはホルモン類似作用が疑われる物質(以下、まとめ
てホルモン様作用物質という)であり、いわゆる内分泌
攪乱物質と呼ばれる物質を含む。例えば、ダイオキシン
類;ポリ塩化ビフェニール類;4−t−ブチルフェノー
ル、4−n−ヘプチルフェノール、ノニルフェノール、
4−t−オクチルフェノールなどのアルキルフェノール
類;ビスフェノールA;2,4−ジクロロフェノール;
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブ
チル、フタル酸ジエチルなどのフタル酸エステル類;ア
ジピン酸ジ−2−エチルヘキシル;ベンゾ(a)ピレ
ン、ベンゾフェノン、4−ニトロトルエン、スチレン、
スチレン2量体、スチレン3量体などの芳香族化合物;
エストラジオールなどのエストロジェン類などが挙げら
れる。特に、その中でもアルキルフェノール類、ビスフ
ェノールA、フタル酸エステル類、ダイオキシン類また
はエストロジェン類について好適に適用することが可能
である。
【0014】本発明における吸着剤は公知の吸着剤であ
ってよいが、有機溶媒に不溶で、表面積が大きく、適度
の極性を持ち、吸着力の再現性のよいものが好ましい。
例えば、アルミナ、ヒドロキシアパタイト、酸化マグネ
シウム、活性炭、シリカゲルまたはセルロースなどが挙
げられる。
【0015】吸着剤は、測定物質の電荷または/および
極性に基づいて適宜選択する。すなわち、測定物質が正
の電荷を有するものであれば、酸性の吸着剤を使用する
のが好ましい。逆に、負の電荷を有するものであれば、
塩基性の吸着剤を使用するのが好ましい。また、測定物
質が極性の強いものであれば吸着剤は極性の弱いもので
もよいが、測定物質が極性の弱いものであれば吸着剤は
極性の強いものであるのが好ましい。例えば、測定物質
がカルボン酸またはフェノール類のような酸であれば塩
基性の吸着剤であるアルミナなどを用いればよい。逆
に、測定物質が芳香族または脂肪族アミンのような塩基
性物質であれば、表面に酸性基、例えばケイ酸基を有す
るシリカゲルなどがよい。また、測定物質がタンパク質
の場合は、ヒドロキシアパタイトがよく用いられる。ヒ
ドロキシアパタイトはCa10(PO46(OH)2の結
晶であり、タンパク質が吸着する際にはヒドロキシアパ
タイトのカルシウムとリン酸に対するタンパク質のイオ
ン結合度の総和が利用される。ここで、吸着剤の極性の
大きいものから順に示すと、例えば、アルミナ、酸化マ
グネシウム、シリカゲル、炭酸マグネシウム、炭酸カル
シウム、でんぷん、セルロースの順になる。測定物質の
極性の大きいものから順に示すと、例えば、酸塩基類;
アルコール、アミン、ニトロ化合物;アルデヒド、ケト
ン、エステル類;ハロゲン化合物;不飽和炭化水素;飽
和炭化水素の順になる。
【0016】吸着剤の吸着力は吸着剤中の水分量に関係
しているので、含水量を加減することで吸着力を調整す
ることができる。一般に含水量が高いほど吸着力は低く
なる。
【0017】吸着剤は市販されたものを用いてもよい
し、また、公知の方法で製造することができる。
【0018】測定物質がホルモン様作用物質の場合は、
吸着剤はアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステ
ル(以下、「アクリル酸またはメタクリル酸」を「(メ
タ)アクリル酸」と記す)である架橋性単量体を重合し
て得られる架橋重合体よりなる吸着剤が好ましい。該吸
着剤を用いることにより疎水性物質、特にホルモン様作
用物質を効率よく吸着でき、該吸着剤がホルモン様作用
物質の測定時に妨害となるような成分を溶出せず、かつ
該吸着剤の吸着能をほとんど低下させることなく再利用
できるからである。(メタ)アクリル酸架橋重合体は、
(メタ)アクリル酸エステルである架橋性単量体を重合
開始剤の存在化において重合反応を行うことにより得ら
れる。
【0019】本発明方法において、測定物質がホルモン
様作用物質の場合の吸着剤を構成する(メタ)アクリル
酸エステルは、公知の(メタ)アクリル酸エステルを用
いてよい。例えば、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレング
リコールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリ
コールジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールエタ
ントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、テトラメチルロールメタン
トリ(メタ)アクリレート、テトラメチルロールメタン
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパ
ンテトラ(メタ)アクリレート;ヒドロキシピバリン酸
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,
3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9
−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2−ヒド
ロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパ
ン、ウレタン(メタ)ジアクリレート、グリセロールジ
(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタ
クリレート、1,10−ジ(メタ)アクリロシキ−4,
7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,10−ジ
(メタ)アクリロシキ−4,8−ジオキサウンデカン−
2,6,10−トリオールなどの(メタ)アクリル酸エ
ステルの架橋性単量体が挙げられる。これらは2種以上
混合して用いてもよい。
【0020】またこれらの架橋性単量体の他に、非架橋
性の(メタ)アクリル酸エステルを添加してもよい。例
えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)
アクリレート類;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシ
ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0021】これらの非架橋性(メタ)アクリル酸エス
テルを用いる場合の使用量は、上記架橋性(メタ)アク
リル酸エステル100重量部に対して約0〜20重量部
程度であることが好ましい。またこれらは2種以上混合
して用いてもよい。
【0022】本発明方法において、測定物質がホルモン
様作用物質の場合の吸着剤を構成する単量体としては、
上記(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体を(メ
タ)アクリル酸エステルに混合して用いてもよい。これ
らの単量体としては、例えばトリアリルシアヌレートま
たはトリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0023】(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体
を用いる場合の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル
単量体100重量部に対して約0〜20重量部程度であ
ることが好ましい。またこれらは2種以上混合して用い
てもよい。
【0024】本発明方法において、測定物質がホルモン
様作用物質の場合に用いられる吸着剤としては、(メ
タ)アクリル酸エステル単量体のみで構成されることが
好ましく、特に(メタ)アクリル酸エステルの架橋性単
量体のみで構成されることがより好ましく、その中でも
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのみで構
成されることが最も好ましい。
【0025】測定物質がホルモン様作用物質の場合に用
いられる吸着剤は、(メタ)アクリル酸である架橋性単
量体を重合して得られる架橋重合体のほかに、従来知ら
れている種々の高分子樹脂を適宜用いることができる。
例えば、以下に挙げるような単量体からなる高分子樹脂
を用いることができる。 (イ)スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼ
ンなどのスチレン系;エチレン、プロピレンなどのオレ
フィン系単量体;ブタジエンなどのジエン系単量体、フ
ェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、ジメチロールト
リシクロデジカンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)
アクリル酸エステル等の単量体からなる高分子樹脂。 (ロ)また(メタ)アクリル酸、イタコン酸、または2
−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのイ
オン交換性の官能基を有する単量体を使用する場合は、
官能基をエステル化する等して官能基の反応性を予めブ
ロックするのが好ましい。そうすることにより、これら
のイオン交換基によるホルモン様作用物質の吸着阻害を
防止することができる。 (ハ)さらにホルモン様作用物質と類似の構造を有する
単量体;例えばビスフェノールA構造を有する2,2−
ビス{4−[(メタ)アクリロキシエトキシ]フェニ
ル}プロパン、2,2−ビス{4−[(メタ)アクリロ
キシ・ジエトキシ]フェニル}プロパン、2,2−ビス
{4−[(メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ]フェニ
ル}プロパン、ノニルフェノキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレートなどは、ホルモン様作用物質の
混入が考えられるので、予めホルモン様作用物質の混入
を確認し、もし混入しておればこれを分析に先立って予
め除去しておく。このような留意事項は吸着剤のみなら
ず、あらゆる本発明に関する他の部材についても適用さ
れうる。
【0026】(イ)、(ロ)および(ハ)については、
その添加量は、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体
100重量部に対して約0〜10重量部程度であること
が好ましい。
【0027】本発明方法において測定物質がホルモン様
作用物質の場合に用いられる吸着剤は、上記単量体ある
いは単量体混合物が重合可能な公知の重合方法により調
製することができる。好ましくは分散媒中に単量体を分
散させ、重合開始剤存在下で重合する方法、例えば懸濁
重合法、分散重合法、または乳化重合法などの方法が挙
げられる。特に懸濁重合法が簡便で好ましい。懸濁重合
法で行う場合は、例えばポリビニルアルコールやポリビ
ニルピロリドンなどの分散剤が溶解した分散媒に上記単
量体を分散させ、重合開始剤存在下で撹拌しながら昇温
することにより、重合反応を行うことができる。但し、
分散剤として界面活性剤を使用する場合は、測定系に残
存しないように少量用いることが好ましい。界面活性剤
が残存していた場合は、吸着剤を測定に使用する際に界
面活性剤が溶出してくる可能性があり、その場合、吸着
剤へのホルモン様作用物質の吸着を阻害するからであ
る。また、製造設備が複雑で重合効率が低く、重合後の
測定を妨害する溶出物発生が考えられるエネルギー線重
合などは好ましくない。
【0028】上記重合時には、公知の添加剤を添加する
こともできる。例えば重合体を大孔径の多孔質体とする
ための多孔質化剤(相分離剤)、連鎖移動剤、またはp
H調節剤などである。このうち多孔質化剤としては公知
のものが採用されうるが、キシレンやトルエンなどの芳
香族系炭化水素およびカプリン酸メチル、ラウリン酸メ
チルあるいはアジピン酸ジイソブチルなどのアルキルエ
ステル類を使用する場合は、これらが残存することによ
り測定時に溶出し、測定の妨害となる可能性がある場合
は使用を避けるのが好ましい。上記物質よりも、例えば
イソアミルアルコールやオクタノールなどのアルコール
類やヘキサンなどの脂肪族系炭化水素などが好都合に用
いられる。
【0029】上記重合後、得られた架橋重合体を洗浄し
て乾燥することにより本発明方法に用いられる吸着剤が
得られる。洗浄は、有機溶媒で複数回洗浄することが好
ましい。また、好ましくは複数種の有機溶媒で複数回洗
浄する。洗浄に使用する有機溶媒は、用いた単量体によ
っても異なるが、例えば、メタノールあるいはエタノー
ルなどのアルコール類、アセトン、ヘキサンまたはジク
ロロエタンなどベンゼン環を含まない公知の有機溶媒が
用いられる。
【0030】また、本発明方法において測定物質がホル
モン様作用物質の場合に用いられるの吸着剤は、上記単
量体あるいは単量体混合物から重合された重合体を原料
として、公知の成形方法、例えば射出成形法、押出成形
法、あるいはブロー成形法などによっても調製すること
ができる。
【0031】本発明方法に用いられる吸着剤の形状は、
例えばフィルム状、膜状、フィルター状など、試料と接
触できる形状であれば特に制限されないが、粒子状が好
ましい。またその細孔分布の制限もなく、使用環境下で
形状が維持される強度があれば多孔性であってもよい
し、ミクロポア構造であってもよい。また発泡体であっ
てもよい。また、粒子状である場合、平均粒径が約0.
1μm〜1cm程度でかつ比重が約0.8〜3.0程度
であることが好ましい。これらの範囲内であれば取扱い
が容易だからである。
【0032】吸着剤は、アルミナ、シリカまたは(メ
タ)クリエート架橋重合体等が表面層を形成する被覆構
造体であってもよい。被覆されるコア部分の素材は特に
制限がないが、使用環境下で形状が保持される程度の強
度を有する物質で形成されていることが好ましい。ま
た、ホルモン様作用物質を測定する際には、被覆される
コア部分の素材は外部に疎水性物質、特にホルモン様作
用物質の溶出がない物質で構成されることが好ましい。
被覆構造体を有する吸収剤の場合においても、その形状
は特に制限はなく、例えば、粒子状、フィルム状、膜状
またはフィルター状など試料と接触できる形状であれば
よいが、粒子状が好ましい。
【0033】また、四三酸化鉄のような酸化鉄を表面も
しくは芯部分に混合させることにより、吸着剤を磁性粒
子化してもよい。この場合は、測定中において上清と吸
着剤を分離する際に磁力を用いて行うことが出来、利便
性が向上する。
【0034】本発明における吸着工程では、吸着剤に試
料を接触させて、試料中の測定物質をその電荷または/
および極性により吸着剤に吸着させる。吸着工程は特に
制限がなく、例えば試験管などの容器に収納された吸着
剤に試料を添加してもよいし、試料を入れた試験管など
の容器に吸着剤を添加してもよい。また、吸着工程を行
う際、一定時間放置したり、ミキサーや超音波処理など
に撹拌・混合を行ってもよい。さらに加温するなど温度
制御を行ってもよい。また、吸着工程に供される試料
は、あらかじめ濃縮・抽出・洗浄などの前処理操作を行
ったものでもよい。
【0035】また、本発明における吸着装置は、試験管
のような容器に吸着剤を充填したものが挙げられる。ま
た、吸着剤を充填したカラムであってもよい。特に、吸
着装置としてカラムを用いれば、大量の試料を連続的に
通液できるので、大量の試料を短時間に処理できる。
【0036】吸着装置として用いられるカラムは、吸着
剤を収納する容器であるカラム筐体と、吸着剤は通過し
ないが試料は通過するフィルターからなる、公知の構造
のものが用いられる。カラム筐体は、一つ以上の流入口
と、一つ以上の排出口を有し、その内部に吸着剤が収納
される構造であればよく、形状、大きさは特に制限がな
い。密閉構造であっても開放構造であってもよい。また
排出側にはフィルターが設置されるのが好ましい。フィ
ルターの構造、形状、大きさにも特に制限はない。ま
た、流入側にも同様のフィルターを設置してもよい。カ
ラム筐体は、金属製、樹脂製、セラミックス製、または
ガラス製など公知の材質でよい。また、フィルターは紙
製、布製、金属製、樹脂製、セラミックス製、またはガ
ラス製など公知の材質でよい。ただし、測定物質がホル
モン様作用物質である場合は、カラム筐体およびフィル
ターは測定条件下でホルモン様作用物質が溶出しないも
のが好ましい。
【0037】また試料のカラムへの流入・排出方法も特
に制限はなく、送液ポンプで通液しても重力を利用して
通液してもよい。さらに排出側より吸引したり、流入側
より加圧してもよい。試料は常に通液されていてもよい
し、カラムに導入後通液を停止して吸着工程を行った
後、再び通液を開始して処理済みの試料を排出してもよ
い。
【0038】本発明における反応工程では、吸着剤に吸
着された測定物質と、測定物質と特異的な結合性を有す
る検出用物質とを反応させる。反応工程を行う際、吸着
させた後の処理済みの試料と吸着剤を分離してもよい。
分離する方法は特に制限がなく、静置あるいは遠心処理
後デカンテーションを行ったり、吸引、加圧あるいは自
然濾過による濾過で分離してもよい。
【0039】濾過による分離を採用した場合、例えば、
吸着剤を含む試料を試料は通過するが吸着剤は通過しな
い濾過装置に導入し、吸着剤をトラップして試料を通過
させることにより分離を行うのが好ましい。濾過装置
は、特に制限がなく公知のものであれば何れでもよい
が、フィルター構造を有するものが好ましい。この場合
のフィルターの材質は、例えば、金属製、樹脂製、布
製、紙製またはセラミックス製など、十分な強度があれ
ば公知の材質を使用できる。但し、測定物質がホルモン
様作用物質の場合は、測定条件下でホルモン様作用物質
の溶出がないことが好ましい。またフィルターの構造、
形状、大きさにも特に制限がない。また通液方法にも特
に制限はない。
【0040】沈降による分離を採用した場合、試料中の
吸着剤を沈降させることにより、吸着剤と上清である処
理済みの試料を分離する。例えば吸着剤を含む試料を静
置させたり、遠心分離するという方法が挙げられる。
【0041】本発明の反応工程において、吸着剤に吸着
された測定物質と検出用物質とを接触させる方法は特に
制限がなく、好ましくは該吸着剤が充填された装置に検
出用物質を添加したり、該吸着剤が充填されたカラムに
検出用物質を通液させる等の方法で行うことができる。
また該反応工程においては、一定時間放置したりミキサ
ーや超音波処理などに撹拌・混合を行ってもよい。さら
に加温するなど温度制御を行ってもよい。
【0042】本発明における検出用物質は測定物質と特
異的に結合するものでなければならない。特異的な結合
として、抗原抗体結合や化学結合など公知のものが用い
てよい。検出用物質としては、例えば測定物質に対する
抗体あるいは抗原、またはホルモン様作用物質に対する
アビジンあるいはビオチン等の化合物などが挙げられ
る。好ましくは、測定物質に対する抗体がよい。検出用
物質は、検出工程によって検出できるものでなければな
らない。検出するためには、例えば、検出用物質そのも
のを酵素や発光物質などの標識微粒子に固定して標識す
る方法が挙げられる。また、該検出用物質に対して特異
的な結合性を有する物質、例えば検出用物質に対する抗
体などを、標識微粒子に固定して標識をしておいて、こ
の標識用物質を添加する方法もある。この方法であれ
ば、一つの検出用物質に対して複数の標識用物質が結合
することにより、標識による信号が増幅するという利点
がある。好ましくは、酵素により検出用物質そのものを
標識するのがよい。
【0043】標識微粒子としては金属コロイド、非金属
コロイド、染料コロイドまたはラテックス粒子などの着
色粒子が挙げられる。より具体的には、金、白金あるい
は銅などのコロイド状金属粒子、酸化鉄あるいは酸化チ
タンなどのコロイド状金属酸化物粒子、セレニウム、テ
ルリウムあるいは硫黄などのコロイド状非金属粒子、ま
たは、有機高分子粒子などが挙げられる。このうち、有
機高分子粒子としては、例えば不溶性アガロース、セル
ロースあるいは不溶性デキストランなどの天然高分子か
ら成る粒子や、ポリスチレン、スチレン−スルホン酸
(塩)共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ア
クリルニトリル−ブタジエン−スルホン酸共重合体、塩
化ビニル−アクリル酸エステル共重合体あるいは酢酸ビ
ニル−アクリル酸エステル共重合体から成る合成高分子
粒子が挙げられる。好ましくは、天然高分子から成る粒
子がよい。特に、好ましくは含有染料によって着色の種
類や度合いを調節できうる合成高分子ラテックス粒子を
用いるのがよい。
【0044】標識微粒子に公知の処理を行ってもよい。
すなわち、蛍光染料を染料として用いて粒子に蛍光物質
を含有させることもできるし、一般に使用されている検
出用標識試薬を用いて粒子を標識して粒子の捕捉を検出
することもできる。また、標識微粒子が合成高分子ラテ
ックス粒子の場合は、油溶性染料で染色されていること
が好ましい。油性染料としては、アゾ系染料が好まし
く、またキノン系染料なども用いることができる。
【0045】本発明における標識微粒子は、その粒子径
が約0.01μm〜5.0μm程度の範囲にあることが
好ましく、特に好ましくは、約0.02μm〜3.0μ
m程度の範囲である。また、標識微粒子が合成高分子ラ
テックス粒子の場合は、その表面荷電量が、負電荷で約
0.01〜0.5 meq/g程度であることが好まし
い。表面にスルホン酸基やカルボキシル基などを導入し
た粒子も適宜使用可能である。こうすることにより、標
識微粒子同士の非特異的凝集を防ぐことができる。
【0046】本発明における標識微粒子は、公知の方法
で製造してもよいし、また、市販されているものを用い
てもよい。例えば、合成高分子ラテックス粒子は公知の
染料エマルジョン法などによって作製することができ
る。
【0047】検出用物質または標識用物質を固定化する
標識微粒子としては、色素・酵素・微粒子・蛍光物質・
発光物質などが挙げられる。蛍光物質としては、例えば
フルオロセイン、ローダミンあるいはシアン化白等の蛍
光物質を含むポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重
合体、スチレン−アクリル酸共重合体、またはガラス等
の粒子を挙げることができる。
【0048】酵素としては、酵素免疫測定法に用いられ
る各種酵素を用いることができ、例えばアルカリフォス
ファターゼ、パーオキシターゼ、またはβ−D−ガラク
トシダーゼ等を用いることができる。
【0049】また、本発明において標識として酵素を用
いる場合、ポリスチレンやカーボン粒子等の不溶性担体
や他の水溶性タンパクを介して検出用物質または標識用
物質を酵素標識する方法をとってもよい。
【0050】不溶性担体を介する場合は、酵素と、検出
用物質または標識用物質とを別々に不溶性担体に物理吸
着もしくは化学結合で結合させればよい。この場合の不
溶性担体としては、一般的には、無機高分子粉末、有機
高分子粉末、微生物、血球、または細胞膜片等が挙げら
れる。無機高分子粉末としては、金コロイド、セレニウ
ムコロイド、または酸化チタンコロイドなどが挙げられ
る。有機高分子粉末としては、天然高分子粉末または合
成高分子粉末が挙げられる。天然高分子粉末としては、
例えば不溶性アガロース、セルロース、または不溶性デ
キストランなど、合成高分子粉末としてはポリスチレ
ン、スチレン−スルホン酸(塩)共重合体、スチレン−
メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
−スルホン酸共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステ
ル共重合体、または酢酸ビニル−アクリル酸エステル共
重合体などが挙げられる。
【0051】上記不溶性担体は、その使用目的・用途な
どにより異なるが、通常化学合成により製造するか、ま
たは市販されているものを使用する。また、表面にスル
ホン酸基やカルボキシル基を導入した不溶性担体も適宜
使用可能である。
【0052】上記不溶性担体の粒径は約1nm〜2μm
程度が好ましい。不溶性担体としてラテックス、金コロ
イド、またはセレニウムコロイドを用いる場合、その粒
径は金コロイド、またはセレニウムコロイドならば約5
nm〜0.5μm程度、ラテックスならば約50nm〜
1.5μm程度がより好ましい。
【0053】また水溶性タンパクを介する場合は、酵素
と、検出用物質または標識用物質とを別々に水溶性タン
パクに物理吸着もしくは化学結合で結合させればよい。
水溶性タンパクに官能基がある場合は化学結合で行って
もよい。例えばウシ血清アルブミンのように疎水部を有
する場合は、物理吸着で行っても良い。いずれの場合に
おいても、使用する水溶性タンパクは、例えばウシ血清
アルブミンやオブアルブミンなどの分子量2万以上のタ
ンパク質を用いることが好ましい。
【0054】本発明に用いる酵素に反応して発色する基
質としては、発色基質、蛍光基質、または発光基質をあ
げることができる。
【0055】発色基質としては、例えば、(パーオキシ
ダーゼ用)過酸化水素水と組み合わせた2,2’−アジ
ノービス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン
酸)(ABTS)、3,3’,5,5’−テトラメチル
ベンチジン(TMB)、ジアミノベンチジン(DA
B)、又は、(アルカリホォスファターゼ用)5−ブロ
モ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)等
が挙げられる。
【0056】蛍光基質としては 、例えば、(アルカリ
フォスファターゼ用)4−メチルウムベリフェニル−ホ
スフェート(4MUP)、又は、(β−D−ガラクトシ
ダーゼ用)4−メチルウムベリフェニル−β−D−ガラ
クトシド(4MUG)等が挙げられる。
【0057】発光基質としては、例えば、(アルカリフ
ォスファターゼ用)3−(2’−スピロアダマンタン)
−4−メトキシ−4−(3’’−ホスフォリルオキシ)
フェニル1−1,2−ジオキセタン・2ナトリウム塩
(AMPPD)、(β−D−ガラクトシダーゼ用)3−
(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−
(3’’−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル1−
1,2−ジオキセタン(AMGPD)、(パーオキシダ
ーゼ用)過酸化水素と組み合わせたルミノール、又はイ
ソルミノールが挙げられる。
【0058】標識微粒子の表面に検出用物質または標識
用物質を固定化させる手法は種々知られており、本発明
において適宜利用できる。例えば、標識微粒子表面に物
理的に吸着させる手法や、官能基を有する標識微粒子表
面に既知の方法で化学結合や共有結合させる方法により
効率的に固定化する手法が挙げられる。
【0059】標識微粒子として酵素を用いる場合の固定
化の方法は、公知の共有結合又は非共有結合を作る方法
を利用することができる。共有結合による方法では、官
能基を用いることができる。非共有結合によるものとし
ては物理吸着を挙げることができる。また、例えば、グ
ルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸法、マレイミド法、ピ
リジル・ジスルフィド法、又は、各種架橋剤を用いる方
法も挙げられる。架橋剤として例えばN−スクシンイミ
ジル−4−マレイミド酪酸(GMBS)、N−スクシイ
ミジル−6−マレイミドヘキサン酸、又は、N−スクシ
イミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサ
ン−1−カルボン酸等を用いることができる。
【0060】検出用物質または標識用物質を標識微粒子
の表面に固定させる量は特に限定されない。該物質が抗
体又は抗原である場合、過剰の抗原または抗体により抗
原または抗体自身を介した非特異凝集反応や血中の共存
物質との非特異凝集反応が起こらない程度であればよ
い。
【0061】検出用物質または標識用物質に、安定化・
感度向上のために以下のような物質を共存させてもかま
わない。例えば、ウシ血清アルブミン、カゼインまたは
カザミノ酸など抗原抗体反応に特異的な活性を示すもの
でなければ特に限定されない。検出用物質または標識用
物質と同一または他の動物種から得られたグロブリン、
またはその処理物でも良い。また、これら2種以上を共
存させてもよい。
【0062】本発明の検出工程においては、吸着剤に吸
着させた測定物質に結合した検出用物質の標識微粒子に
よる例えば特定の波長の吸光度等を検出する。また、さ
らに標識用物質を添加して標識用物質の標識微粒子によ
る信号を検出する。したがって、測定物質を介して吸着
剤に捕捉された検出用物質または標識用物質と、測定物
質に結合せず遊離している検出用物質または標識用物質
を分離しなければならない。該分離は公知の方法で行う
ことができる。しかし、吸着装置がカラムであれば、遊
離している検出用物質または標識用物質はカラムから排
出されることから分離の必要はない。
【0063】本発明における検出方法は、標識微粒子に
よりそれぞれ対応する目視、シンチレーションカウンタ
ー、比色計、蛍光光度計、フォトンカウンター、または
感光フィルム等の測定装置を用いて測定物質の検出を行
う。標識微粒子が酵素である場合は酵素と反応する基質
が必要である。該基質は、反応工程後に吸着装置に添加
してもよいし、予め吸着装置に含有させておいてもよ
い。また、試料に溶解または分散さてもよい。この場合
は、発色基質、蛍光基質または発光基質が酵素と反応す
ることにより生成する色素または蛍光等の有無をそれぞ
れ対応する目視、シンチレーションカウンター、比色
計、蛍光光度計、フォトンカウンター、または感光フィ
ルム等の測定装置を用いて行う。また、発色基質を用い
た場合、測定物質の量に対応した色票(カラーチャー
ト)を用いることにより半定量的な分析が可能となる。
【0064】二種以上の測定物質について同時に測定す
る場合は、それぞれの測定物質と結合性を有する検出用
物質を異なる標識微粒子に固定させなければならない。
好ましくは、波長を変更するなどの簡便な操作により、
これら二種以上の標識微粒子を測定できるのがよい。
【0065】
【実施例】なお、特に記載がない限り、%は重量%を示
す。 〔吸着剤1の調製〕トリエチレングリコールジメタクリ
レート(新中村化学工業株式会社製)500gに、過酸
化ベンゾイル(重合開始剤:キシダ化学株式会社製)
1.0gを溶解した。これを4%ポリビニルアルコール
水溶液2500mLに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲
気下で80℃に昇温させた。80℃で24時間重合した
後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1回、エ
タノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤1を得
た。平均粒径は30μm、比重は1.2であった。
【0066】〔吸着剤2の調製〕エチレングリコールジ
メタクリレート(新中村化学工業株式会社製)400g
及びテトラメチルロールメタントリアクリレート100
gの混合物に、過酸化ベンゾイル(重合開示剤:キシダ
化学株式会社製)1.0gを溶解した。これを2%ポリ
ビニルアルコール水溶液2500mLに撹拌しながら分
散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇温させた。80℃で
24時間重合した後、内容物をイオン交換水で3回、ア
セトンで1回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥
して吸着剤2を得た。平均粒径は10μm、比重は1.
2であった。
【0067】〔吸着剤3の調製〕テトラエチレングリコ
ールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)4
00g及びメチルメタントリアクリレート100gの混
合物に、過酸化ベンゾイル(重合開始剤:キシダ化学株
式会社製)1.0gを溶解した。これを1%ポリビニル
アルコール水溶液2500mLに撹拌しながら分散さ
せ、窒素雰囲気下で80℃に昇温させた。80℃で24
時間重合した後、内容物をイオン交換水で3回、アセト
ンで1回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して
吸着剤3を得た。平均粒径は100μm、比重は1.2
であった。
【0068】〔吸着剤4の調製〕スチレン(和光純薬株
式会社製)200gおよびジビニルベンゼン(キシダ化
学株式会社製)200gの混合物に、過酸化ベンゾイル
(重合開始剤:キシダ化学株式会社製)1.0gを溶解
した。これを4%ポリビニルアルコール水溶液2500
mLに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲気下で80℃に
昇温した。80℃で24時間重合した後、内容物をイオ
ン交換水で3回、アセトンで1回、エタノールで4回洗
浄した。洗浄後乾燥して吸着剤4を得た。平均粒径は1
00μm、比重は1.2であった。
【0069】〔検出用物質の調整〕リガンドとしてモノ
クローナル抗体を用いた。マウス腹水よりプロティンA
カラムを用いて精製した抗ビスフェノールA抗体と抗1
7−βエストラジオール抗体を100mMリン酸緩衝液
(pH7.4)に溶解し、抗体の濃度がそれぞれ1mg
/mLの溶液を作製した。上記抗体液1mLに、ジメチ
ルホルムアミドにSMCC(N−サクシイミジル−4−
(N−マレイミドメチル)−1−カルボキシレート)を
溶解してその濃度が4mg/mLとした溶液を100μ
Lずつ加え30℃で10分撹拌し、抗体にSMCCを結
合させ、マレイミド基を導入した。ついで、上記溶液を
透析膜(UC20−32−100:サイズ20/32
三光純薬株式会社製)を用い、生理食塩水(0.9%
NaCl)30Lでそれぞれ一昼夜透析した。その後上
記溶液を1mLずつ試験管に分注した。その後それぞれ
の試験管に、抗ビスフェノールA抗体には100mMリ
ン酸緩衝液(pH7.4)にβガラクトシダーゼを1m
g/mLの濃度になるように溶解した溶液を0.3mL
添加した。一方、抗17−βエストラジオール抗体に
は、100mMリン酸緩衝液(pH7.4)にペルオキ
シダーゼ1mg/mLの濃度になるように溶解した溶液
を0.1mL添加した。それぞれの溶液を25℃で1時
間撹拌した。ついで、上記溶液を透析膜(UC20−3
2−100:サイズ20/32 三光純薬株式会社製)
を用い、生理食塩水(0.9% NaCl)30Lでそ
れぞれ一昼夜透析した。その後上記溶液を1mLずつ試
験管に分注し、抗ビスフェノールAに酵素標識したもの
を酵素標識抗体液1とし、抗17−βエストラジオール
抗体に酵素標識にしたものを酵素標識抗体液2とした。
【0070】〔発色液の調製〕O−ニトロフェニル−β
−D−ガラクトピラノシド(以下、ONPGと略す)、
N−(2−ヒドロキシ−スルホプロピル)−3,5−ジ
メトキシアニリン(以下、HDAOSと略す)、4−ア
ミノピリン(以下、4−AAと略す)、および過酸化水
素を100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し発
色液とした。それぞれの濃度が、ONPGが1mM、H
DAOSが1mM、4−AAが4mM、過酸化水素が1
mMになるよう調製した。
【0071】〔測定〕上記吸着剤1〜4の調整で作製し
た吸着剤0.1gを試験管(口径13mm、長さ90m
m)に入れた。ビスフェノールA及びエストロジェンが
共に0ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、
2ng/mL、4ng/mL、8ng/mLの濃度にな
るように精製水に溶解した標準液を1mLずつ試験管に
入れた。その後25℃で30分インキュベートした。し
かる後、18000r.p.mで15分遠心し、上清を
除去し、吸着剤に吸着された物質と吸着されなかった物
質を分離した。その後、上記酵素標識抗体液1または2
を0.5mLずつそれぞれの試験管に入れ、37℃で6
0分インキュベートした。その後、18000r.p.
mで15分遠心し、上清を除去し結合した抗体と遊離し
ている抗体を分離した。さらに発色液を1mLずつそれ
ぞれの試験管に入れ、37℃で30分インキュベート
し、30分後に410nm及び580nmで吸光度測定
を行った。ここで、410nmの吸光度からビスフェノ
ールAの濃度がわかり、580nmの吸光度からエスト
ロジェンの濃度がわかる。
【0072】〔結果〕
【表1】
【0073】
【表2】 上記により、ビスフェノールA、エストロジェンそれぞ
れを簡易に測定することが出来た。
【0074】
【発明の効果】本発明にかかる測定方法および測定装置
によれば、一回の測定で二種以上の測定物質を検出でき
るので、臨床検査をはじめ、環境分析および食品分析の
分野における多項目を短時間で測定するというニーズに
答えることができるという効果を奏する。また、排水中
の汚染物質の測定において、多項目を短時間で測定でき
るのですぐにフィードバックして汚染物質の排出をとめ
ることができる。また、測定物質を微量にしか含有しな
い試料で、大量の試料を測定しなければならない場合で
も、前処理を省略することができるので、効率的な測定
が可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/545 G01N 33/545 A 33/566 33/566 // C12Q 1/28 C12Q 1/28 1/34 1/34 Fターム(参考) 4B063 QA01 QQ75 QQ94 QR02 QR15 QR56 QR58 QR82 QS33 QX02 4D017 AA01 AA11 BA04 BA07 CA13 CB01 DA07 4G066 AC17B BA20 BA38 CA20 CA33 CA52 CA54 FA03 FA07 FA37

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の一または二種以上の測定物質を
    測定する方法において、少なくとも下記の工程を含む測
    定方法。 (a)測定物質の電荷または/および極性により一また
    は二種以上の測定物質を吸着剤に吸着させる工程、
    (b)測定物質と特異的な結合性を有する検出用物質一
    又は二種以上と、吸着剤に吸着された測定物質とを反応
    させる工程、(c)該検出用物質を検出する工程。
  2. 【請求項2】 測定物質がステロイドホルモン類または
    ホルモン様作用物質である請求項1に記載の測定方法。
  3. 【請求項3】 ステロイドホルモン類またはホルモン様
    作用物質が、アルキルフェノール類、ビスフェノール
    A、フタル酸エステル類、ダイオキシン類およびエスト
    ロジェン類からなる群から選ばれる1又は2種以上であ
    る請求項2に記載の測定方法。
  4. 【請求項4】 吸着剤が、アクリル酸エステルまたは/
    およびメタクリル酸エステルである架橋性単量体を重合
    して得られる架橋重合体である請求項1〜3のいずれか
    に記載の測定方法。
  5. 【請求項5】 架橋重合体の平均粒径が0.1μm〜1
    cmでかつ比重が0.8〜3.0である請求項4に記載
    の測定方法。
  6. 【請求項6】 検出用物質が抗体または抗原である請求
    項1〜5のいずれかに記載の測定方法。
  7. 【請求項7】 検出用物質が抗体または抗原で、該検出
    用物質を検出する工程が酵素を用いる酵素免疫法である
    請求項1〜6のいずれかに記載の測定方法。
  8. 【請求項8】 測定物質の電荷または/および極性によ
    り一または二種以上の測定物質を吸着できる吸着剤を有
    する吸着装置と、測定物質と特異的な結合性を有する検
    出用物質とを備えることを特徴とする分析装置。
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