JP2001272235A - リング型振動式角速度センサ - Google Patents

リング型振動式角速度センサ

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JP2001272235A
JP2001272235A JP2000085869A JP2000085869A JP2001272235A JP 2001272235 A JP2001272235 A JP 2001272235A JP 2000085869 A JP2000085869 A JP 2000085869A JP 2000085869 A JP2000085869 A JP 2000085869A JP 2001272235 A JP2001272235 A JP 2001272235A
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Hisashi Yabe
久 矢部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 励振部を支持するフレクチュアの個数を3個
とし、隣接フレクチュア間に定在波を1周期分存在せし
め、励振部全周で合計3周期分定在波を存在せしめる駆
動励振をする構成および制御回路の極く簡単廉価なリン
グ型振動式角速度センサを提供する。 【解決手段】 リング型の励振部80を径方向の振動の
定在波に励振し、入力角速度によるコリオリ力により生
ずる定在波より90゜位相を異にする出力振動成分を検
出するリング型振動式角速度センサにおいて、励振部8
0をそのリングの円周上の3箇所において3個のフレク
チュア83を介して台座82に取り付け固定し、隣接す
るフレクチュア83間に定在波を1周期分存在せしめ、
リングの全周で合計3周期分存在せしめたリング型振動
式角速度センサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、リング型振動式
角速度センサに関し、特に、振動体の薄肉円筒或いは薄
肉円環より成る励振部を3個所においてフレクチュアに
より支持するリング型振動式角速度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来例を図6を参照して説明する。図6
において、リング型振動式角速度センサはリング型の振
動体8を有している。このリング型の振動体8として
は、励振部80が図示される薄肉円筒に構成される振動
体の他に、薄肉半球或いは薄肉円環より成る振動体が使
用される。83は励振部80を支えるフレクチュアであ
り、82はフレクチュア83が取り付け固定される台座
である。励振部80は、結局、4本のフレクチュア83
により台座82上面に支持されている。リング型振動式
角速度センサの励振部80を構成する原材料として圧電
セラミックスを採用することができる。
【0003】図7をも参照して励振部80の振動につい
て説明するに、圧電セラミックスより成る薄肉円筒の励
振部80のA点の外表面および内表面に1対の電極を対
向して形成し、これら両電極間に交流電圧を印加して圧
電駆動することにより励振部80に振動モード1の振動
を生起することができる。即ち、励振部80の中心軸R
に直交すると共に互いに直交する2方向に励振部80を
屈曲振動させることができる。これを矢印により振動モ
ード1として図示している。
【0004】励振部80の振動モード1の振動状態にお
いて、励振部80に中心軸Rを入力軸とする円周方向の
角速度が入力されると、振動モード1と直交する方向に
コリオリ力が発生する結果、励振部80に対して励振部
80の励振位相と電気的に90゜位相を異にする駆動力
が与えられ、振動モード1の方向から機械的に45°回
転した角速度入力前は振動の節であったB点において矢
印で示される振動モード2の振動が発生する。ここで、
振動モード2の方向の力の大きさを知ることにより入力
角速度の値を検出することができる。以下、図8を参照
してリング型振動式角速度センサの動作を更に具体的に
説明する。
【0005】図8において、励振器4から供給される駆
動信号Vd は励振部80の1次の共振周波数に等しい周
波数を有する交流の駆動信号であり、励振部80の振動
の腹であるA点に設置される1対の駆動電極Ea に印加
される。その結果、励振部80は、先に述べた振動モー
ド1で振動するに到る。10は励振器4の発振周波数を
規定する発振回路である。A点と丁度180°回転した
振動の腹であるC点の両面に設置される1対の電極Ec
は静電容量式位置検出器2の一部を構成するモニタ電極
であり、振動モード1を検出する。このモニタ電極Ec
から得られる振動情報は直流信号Vp に変換され、差動
増幅器3において基準信号源52の出力する基準信号V
r と比較される。差動増幅器3より得られる差信号Ve
は積分器により構成されたループフイルタ31に入力さ
れる。ループフイルタ31より得られる出力Vcontは励
振器4に供給され、静電容量式位置検出器2から出力さ
れる直流信号Vp が基準信号Vr と等しくなって差動増
幅器3の差信号Ve をゼロとすべく、駆動信号Vd の振
幅を制御する。即ち、薄肉円筒の励振部80の駆動信号
Vd を一定に制御することにより、励振部80の振動振
幅を常時一定に保持している。
【0006】A点から45°回転した振動の節であるB
点に設置される電極Eb は、入力角速度ωにより発生す
る振動モード2を検出する出力信号検出用位置検出器5
の一部を構成し、この検出器5から得られる振動情報
は、同期検波回路6により振動の大きさに対応した直流
信号に変換される。同期検波回路6の出力をそのまま振
動の大きさの検出出力として使用すればオープンループ
信号処理の角速度センサが形成され、その出力はVO1に
なる。一方、クローズドループ信号処理の角速度センサ
は、点線で示される回路を付加することにより構成され
る。即ち、同期検波回路6の出力は積分器により構成さ
れる第2ループフイルタ32に供給され、第2ループフ
イルタ32から得られる出力はフィードバック信号発生
回路61に供給される。フィードバック信号発生回路6
1は、第2ループフイルタ32から得られる信号と発信
回路10から供給されるクロックCKが入力され、出力
信号検出用位置検出器5から得られる振動モード2の振
動とは周波数が同一で極性が逆の信号を発生する回路で
ある。このフィードバック信号発生回路61の出力はB
点に対して180°回転した位置に設置されるフイード
バック電極Edに印加され、振動モード2の動きを逆向
きに抑制する。その結果、角速度センサに角速度が入力
され、振動モード2が発生しても振動モード2は実質的
にゼロに抑制されるクローズドループ信号処理をしてい
ることになる。このクローズドループ信号処理における
角速度センサ出力としては、電圧Vf と比例関係にある
ループフイルタ32の直流出力を角速度センサ出力VO2
として使用する。
【0007】このリング型振動式角速度センサの従来例
の主要な特徴は以下の通りである。図7を参照するに、
リング型励振部80の1次の定在波或は1次の固有振動
数の波長は、励振部80の1次の固有振動数に等しい振
動数を有する交流の駆動信号により駆動して、リングの
円周長の1/2に設定している。そして、リング型励振
部80を支持するフレクチュア83はリングの円周上に
等間隔に4個所形成されており、各フレクチュア間には
定在波が半周期分で1つ、合計で2周期分の定在波が存
在している。また、リング型励振部80を支持するフレ
クチュア83は励振部80の定在波或いは固有振動数の
腹の部分或いは節の部分に位置決めされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した通り、リング
型振動式角速度センサは、フレクチュア83をリング型
励振部80の円周上に等間隔に4個所形成している。即
ち、リング型励振部80の振動周波数の波長がリングの
円周長の1/2であるので、支持構体であるフレクチュ
アを4個所としている。ここで、フレクチュア83を固
定支持する基台82が外部からから加えられる振動、衝
撃、温度変化の如き環境条件の変化に曝されると、4個
のフレクチュア83に不均等な応力が加え与えられる。
即ち、4個のフレクチュア83の形状、長さが不均等に
微妙に変化してリング型励振部80の振動特性が変動す
るに到る。このリング型励振部80の振動特性の変動は
角速度センサの性能、特に、バイアス安定性を低下する
要因となる。
【0009】以上のリング型振動式角速度センサは、励
振部80をセンサ内部において慣性空間的に安定に保持
する必要があるので、励振部80の支持部であるフレク
チュア83は柔軟に構成する必要がある一方、励振部8
0に対して外部から加えられる振動、衝撃の如き環境条
件に関してこの影響を蒙らないためには、フレクチュア
83を或る程度機械的に強固に構成する必要がある。更
に、励振部80の運動エネルギの外部への漏洩を遮断す
る必要もある。リング型振動式角速度センサにおいて
は、フレクチュア83に対するこの相矛盾した設計要求
を満足させる必要がある。従って、励振部80を支持す
るフレクチュア83を柔軟に構成しながら耐振動性、耐
衝撃性、励振部80の運動エネルギの漏洩遮断性能を満
足する対策を構ずることにより励振部80の支持部であ
るフレクチュア83は必然的に高価な構造を採用せざる
を得なくなる。
【0010】この発明は、リング型振動式角速度センサ
の励振部80を支持するフレクチュア83の個数を3個
とし、隣接フレクチュア83間に定在波を1周期分存在
せしめ、励振部80全周で合計3周期分定在波を存在せ
しめる駆動励振をすることにより、構成および制御回路
の極く簡単廉価な、上述の問題を解消したリング型振動
式角速度センサを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1:薄肉円筒或い
は薄肉円環より成るリング型の励振部80を径方向の振
動の定在波に励振し、入力角速度によるコリオリ力によ
り生ずる定在波より90゜位相を異にする出力振動成分
を検出するリング型振動式角速度センサにおいて、リン
グ型の励振部80をそのリングの円周上の3箇所におい
て3個のフレクチュア83を介して台座82に取り付け
固定し、隣接するフレクチュア83間に定在波を1周期
分存在せしめ、リングの全周で合計3周期分存在せしめ
たリング型振動式角速度センサを構成した。
【0012】そして、請求項2:請求項1に記載される
リング型振動式角速度センサにおいて、励振部80の2
次の共振周波数に等しい周波数を有する交流の駆動信号
を発生する励振器4を具備して励振部80を駆動励振す
るリング型振動式角速度センサを構成した。また、請求
項3:請求項1および請求項2の内の何れかに記載され
るリング型振動式角速度センサにおいて、フレクチュア
83は励振部80の振動の定在波の腹の部分に位置決め
したリング型振動式角速度センサを構成した。
【0013】更に、請求項4:請求項3に記載されるリ
ング型振動式角速度センサにおいて3個のフレクチュア
の設置位置を振動の腹の部分の1つおきに位置決めした
リング型振動式角速度センサを構成した。また、請求項
5:請求項1ないし請求項4の内の何れかに記載される
リング型振動式角速度センサにおいて、フレクチュア8
3は、小径の円柱、励振部80より厚さの薄い細長片或
は断面円弧状の板の内の何れかであるリング型振動式角
速度センサを構成した。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図1の実
施例を参照して説明する。図1はリング型振動体の斜視
図である。実施例において、従来例と共通する部材には
共通する参照符号を付与している。リング型振動体の励
振部80は薄肉円筒或いは薄肉円環より成る。励振部8
0を支える支持部を構成する薄肉のフレクチュア83は
台座82に一体的に取り付けられている。この実施例に
おいて、励振部80と、フレクチュア83と、台座82
の3者は同一の材料により一体に構成されている。図1
(a)におけるフレクチュア83は、径が励振部80を
構成するリングの厚さより小さい細径の円柱より成る。
図1(b)におけるフレクチュア83は、厚さが励振部
80を構成するリングの厚さより更に薄い細長片より成
る。図1(c)におけるフレクチュア83は、厚さが励
振部80を構成するリングの厚さより更に薄い断面円弧
状細長片より成る。
【0015】この実施例においては、リング型振動式角
速度センサの励振部80を支持する上述した単純な形状
構造のフレクチュア83の個数を3個とし、励振部80
の2次の共振周波数に等しい周波数を有する交流の駆動
信号により励振部80を駆動励振する。これにより、隣
接フレクチュア83間に2次の定在波或いは固有振動の
1周期分を存在せしめ、励振部80全周で合計3周期分
の定在波を存在せしめている。3個のフレクチュア83
は、後で説明される励振部80の3個の振動の腹の位置
に設置される。これにより、フレクチュア83は、直接
に台座82に固定した場合に生起する励振エネルギの漏
洩、外部から加えられる振動衝撃の影響の遮断、減少す
る効果を奏す。
【0016】図2および図3を参照して励振部の駆動励
振を具体的に説明する。圧電セラミックスより成る円筒
型の励振部80の振動の腹であるA0 点の外表面および
内表面に1対の電極Eaを対向して従来例と同様に形成
する。これら両電極間に励振部80の2次の共振周波数
に等しい周波数を有する交流電圧を印加して圧電駆動す
ることにより、励振部80に上述した2次の定在波或い
は固有振動を生起することができる。即ち、励振器4か
ら供給される駆動信号は、従来例においては励振部80
の1次の定在波或いは1次の固有振動に等しい周波数の
交流の駆動信号Vd であったが、この実施例においては
励振部80の2次の定在波或いは2次の固有振動に等し
い周波数の駆動信号Vd'である。円筒型の励振部80を
この駆動信号Vd'により駆動励振すると、図2(a)に
おいて太線により示される2次の固有振動モードの定在
波で振動する。なお、細線は駆動励振していない時の励
振部80の状態を示し、これは断面円形である。A
0 点、A120 点およびA240 点は励振部80の振動の腹
の位置である。励振部80の中心軸Rに関して、A0
から±30°、±90°、±150°回転したB30点、
90点、B 150 点、B210 点、B270 点、B330 点は励
振部80の振動の節である。図2(a)は励振部80の
0 点が中心軸Rからの距離最大に変位したときの状態
を示す図であり、図2(b)は励振部80のA0 点が中
心軸Rからの距離最小に変位したときの状態を示す図で
ある。即ち、励振部80は、これを先の駆動信号Vd'に
より駆動励振することにより、図2(a)の状態と図2
(b)の状態の間の変位を繰り返えす2次の固有振動モ
ードをとる。
【0017】2次の固有振動モードの基本波形を図4に
示しておく。図4(a)の状態は励振器4から供給され
る駆動信号Vd'の位相が0゜の時の状態を示し、励振器
4は変位のない中立の状態にある。図4(b)の状態は
励振器4から供給される駆動信号Vd'の位相が90゜の
時の状態を示し、励振器4は変位のない図4(a)の中
立の状態から徐々に変形して最大変位に達した状態にあ
る。図4(c)の状態は励振器4から供給される駆動信
号Vd'の位相が180゜の時の状態を示し、励振器4は
最大変位した図4(b)の状態から先とは逆向きに徐々
に変形して変位のない中立の状態に復帰した状態にあ
る。図4(d)の状態は励振器4から供給される駆動信
号Vd'の位相が270゜の時の状態を示し、励振器4は
変位のない図4(c)の中立の状態から徐々に逆向きに
変形して負の最大変位に達した状態にある。
【0018】図3をも参照して説明するに、励振器4か
ら供給される駆動信号Vd'は励振部80の2次の共振周
波数に等しい周波数を有する交流の駆動信号であり、励
振部80の振動の腹であるA0 点に設置される1対の駆
動電極Ea に印加される。その結果、励振部80は、先
に述べた2次の固有振動モードで振動するに到る。A0
点から120°回転した振動の腹であるA120 点の両面
に設置される1対の電極Ec は静電容量式位置検出器2
の一部を構成するモニタ電極であり、2次の固有振動モ
ードを検出する。電極Ec はA120 点以外の他の振動の
腹の位置であるA180 に設置することもできる。モニタ
電極Ec から得られる振動情報は直流信号Vp に変換さ
れ、差動増幅器3において基準信号源52の出力する基
準信号Vr と比較される。差動増幅器3より得られる差
信号Ve は積分器により構成されたループフイルタ31
に入力される。ループフイルタ31より得られる出力V
contは励振器4に供給され、静電容量式位置検出器2か
ら出力される直流信号Vp が基準信号Vr と等しくなっ
て差動増幅器3の差信号Ve をゼロとすべく、駆動信号
Vd'の振幅を制御する。即ち、励振部80の駆動信号V
d'を一定に制御することにより、励振部80の振動振幅
を常時一定に保持している。
【0019】A0 点から30°回転した振動の節である
30点に設置される電極Eb は、入力角速度ωにより発
生する振動情報を検出する出力信号検出用位置検出器5
の一部を構成し、この検出器5から得られる振動情報
は、同期検波回路6により振動の大きさに対応した直流
信号に変換される。同期検波回路6の出力をそのまま振
動の大きさの検出出力として使用すればオープンループ
信号処理の角速度センサが形成され、その出力はVO1に
なる。一方、クローズドループ信号処理の角速度センサ
は、点線で示される回路を付加することにより構成され
る。即ち、同期検波回路6の出力は積分器により構成さ
れる第2ループフイルタ32に供給され、第2ループフ
イルタ32から得られる出力はフィードバック信号発生
回路61に供給される。フィードバック信号発生回路6
1は、第2ループフイルタ32から得られる信号と発信
回路10から供給されるクロックCKが入力され、出力
信号検出用位置検出器5から得られる振動モード2の振
動とは周波数が同一で極性が逆の信号を発生する回路で
ある。このフィードバック信号発生回路61の出力はB
30点に対して180°回転した位置に設置されるフイー
ドバック電極Edに印加され、B30点に発生する振動を
逆向きに抑制する。その結果、角速度センサに角速度が
入力されて発生した振動は実質的にゼロに抑制されるク
ローズドループ信号処理をしていることになる。このク
ローズドループ信号処理における角速度センサ出力とし
ては、電圧Vf と比例関係にあるループフイルタ32の
直流出力を角速度センサ出力VO2として使用する。
【0020】コリオリ力が生ずると、図2において説明
した励振部80の振動の節の位置である励振部80を駆
動励振点であるA0 点からみて、±30°、±90°、
±150°回転したB30点、B90点、B150 点、B210
点、B270 点、B330 点に、定在波より±90°位相を
異にする出力振動成分が、入力角速度に比例した振幅で
発生する。図3の実施例はこの振動の節の位置の内から
選択されたB30点に電極Eb を設置し、これを出力信号
検出用静電容量式位置検出器5に接続して入力角速度に
比例して発生する振動成分を検出する。この検出振動成
分を同期検波回路6により励振周波数を基準として同期
検波処理し、入力角速度に比例した直流出力信号を得
る。
【0021】図5はリング型振動式角速度センサの励振
部80を先の駆動信号Vd'により駆動励振して図4に示
される2次の固有振動をしていて、励振部80の中心軸
Rを入力軸として角速度が入力された場合の励振部80
の振動状態を示す図である。図5(a)の状態は励振器
4から供給される駆動信号Vd'の位相が0゜の励振器4
が変位のない中立のところで角速度が入力されている時
の状態を示し、節点である各B点に出力振動成分が発生
しているところが示されている。
【0022】図5(b)の状態は、励振器4から供給さ
れる駆動信号Vd'の位相が90゜の励振器4が最大変位
に達したところで角速度が入力されている時の状態を示
す。図5(b)の状態は、図4(b)の最大変位の状態
と同様に図示されているが、これは励振器4の駆動励振
の振幅が最大の状態であり、駆動励振の速度は零の状態
であるので、この瞬間はコリオリ力による出力振動成分
は発生されていない状態をしている。
【0023】図5(c)の状態は励振器4から供給され
る駆動信号Vd'の位相が180゜の励振器4が変位のな
い中立の状態に復帰したところで角速度が入力されてい
る時の状態を示し、節点である各B点に出力振動成分が
発生しているところが示されている。出力振動成分は図
5(a)の出力振動成分とは逆の極性を示している。図
5(d)の状態は、励振器4から供給される駆動信号V
d'の位相が270゜の励振器4が最小の変位に達したと
ころで角速度が入力されている時の状態を示す。この状
態も、図5(b)の場合と同様に、コリオリ力による出
力振動成分が発生していない状態を示す。
【0024】
【発明の効果】以上の通りであって、この発明によれ
ば、振動する励振部80を支持するフレクチュア83を
3個とすることにより、フレクチュア83が外部から加
えられる振動、温度変化に起因して相互干渉して励振部
80の正常な振動に影響を与えることを防止すると共
に、これに伴ってリング型の励振部80の振動モードを
振動周波数の波長がリング型励振部80の円周長の1/
2である従来の1次固有振動モードから、振動周波数の
波長がリング型励振部80の円周長の1/3の2次の固
有振動モードにし、3個のフレクチュアの設置位置を振
動の腹の部分に1つおきに等間隔にすることにより、リ
ング型振動式角速度センサの励振部80の性能を向上し
ている。
【0025】物体を3次元空間に固定支持するに、4個
所以上の点で固定支持しようとすると、振動および温度
変化その他の外乱により固定支持部材に位置ずれが生じ
た場合に、固定支持部材から固定支持している物体に歪
み応力が付与されることになる。ここで、相異なる3個
所を固定支持すれば、物体に付与される歪み応力は3個
所の固定支持部材に吸収されて物体に加えられず、好適
であることは一般に良く知られている。これはリング型
振動式角速度センサの場合においても同様であり、リン
グ型励振部80を支持するフレクチュア83を従来の如
く4個所から3個所にすることは、リング型励振部80
を無理なく安定に支持する観点から妥当なことである。
この発明は、このリング型励振部80を3点支持するこ
とに対応して、リング型励振部80を2次の固有振動モ
ードで駆動励振してリング型励振部80内の定在波の波
長をリング円周長の1/3とし、定在波の振動の腹の部
分に等間隔にフレクチュア83を位置決めしている。
【0026】ここで、リング型励振部80の定在波の振
動の節の部分はコリオリ力が加わった場合に極く微弱な
加速度検出信号が現われてこれを検出する部分である。
この極く微弱な加速度検出信号を検出する定在波の振動
の節の位置にフレクチュア83を位置決め固定すること
は、フレクチュア83が加速度出力に影響を与えること
を防止する観点から、好ましいことではくなく、従っ
て、この発明はフレクチュア83をリング型励振部80
の定在波の振動の腹の部分に位置決め固定する。定在波
の振動の腹の数は励振部80の円周上に6個所等間隔に
存在するので、フレクチュア83を振動の腹の1つおき
に位置決めすると好適である。
【0027】以上の通り、フレクチュアをリング型の励
振部の定在波の腹の部分の3個所に円周方向に等間隔に
設定し、これに見合った励振周波数で駆動励振すること
により、リング型振動式角速度センサの励振を円滑にし
てバイアスの安定性を廉価に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リング型励振部の実施例の斜視図。
【図2】リング型励振部の振動状態を説明する図。
【図3】実施例の動作を説明する図。
【図4】2次の固有振動モードを示す図。
【図5】コリオリ力による振動が重畳し場合の振動モー
ドを示す図。
【図6】リング型励振部の従来例の斜視図。
【図7】1次の固有振動モードを説明する図。
【図8】従来例の動作を説明する図。
【符号の説明】
4 励振器 80 リング型の励振部 82 台座 83 フレクチュア

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄肉円筒或いは薄肉円環より成るリン
    グ型の励振部を径方向の振動の定在波に励振し、入力角
    速度によるコリオリ力により生ずる定在波より90゜位
    相を異にする出力振動成分を検出するリング型振動式角
    速度センサにおいて、 リング型の励振部をそのリングの円周上の3箇所におい
    て3個のフレクチュアを介して台座に取り付け固定し、
    隣接するフレクチュア間に定在波を1周期分存在せし
    め、リングの全周で合計3周期分存在せしめたことを特
    徴とするリング型振動式角速度センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されるリング型振動式
    角速度センサにおいて、 励振部の2次の共振周波数に等しい周波数を有する交流
    の駆動信号を発生する励振器を具備して励振部を駆動励
    振することを特徴とするリング型振動式角速度センサ。
  3. 【請求項3】 請求項1および請求項2の内の何れか
    に記載されるリング型振動式角速度センサにおいて、 フレクチュアは励振部の振動の定在波の腹の部分に位置
    決めしたことを特徴とするリング型振動式角速度セン
    サ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載されるリング型振動式
    角速度センサにおいて、 3個のフレクチュアの設置位置を振動の腹の部分の1つ
    おきに位置決めしたことを特徴とするリング型振動式角
    速度センサ。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4の内の何れか
    に記載されるリング型振動式角速度センサにおいて、 フレクチュアは、小径の円柱、励振部より厚さの薄い細
    長片或は断面円弧状の板の内の何れかであることを特徴
    とするリング型振動式角速度センサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007514947A (ja) * 2003-12-19 2007-06-07 コミサリア、ア、レネルジ、アトミク 微細加工振動構造及び関連するマイクロ・ジャイロスコープ

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