JP2001271221A - ポリビニルアルコール系繊維 - Google Patents

ポリビニルアルコール系繊維

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JP2001271221A
JP2001271221A JP2000082265A JP2000082265A JP2001271221A JP 2001271221 A JP2001271221 A JP 2001271221A JP 2000082265 A JP2000082265 A JP 2000082265A JP 2000082265 A JP2000082265 A JP 2000082265A JP 2001271221 A JP2001271221 A JP 2001271221A
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pva
fiber
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vinyl
spinning
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JP2000082265A
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Akio Omori
昭夫 大森
Shintaro Hikasa
慎太郎 日笠
Masahiro Sato
政弘 佐藤
Isao Tokunaga
勲 徳永
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的性能の改善されたポリビニルアルコー
ル系繊維を提供する。 【構成】 1,2グリコール結合量が1.8モル%以上
であるビニルアルコール系ポリマーを含むポリビニルア
ルコール系繊維とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的性能の改善され
たポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)系繊維
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PVA系繊維は、機械的性能、耐
候性、耐アルカリ性等の諸性能に優れることから、水硬
性材料、ゴム等の補強材等に代表される産業分野をはじ
めとして広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一層
機械的性能が改善されたPVA系繊維を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (1) 1,2グリコール結合量が1.8モル%以上で
あるビニルアルコール系ポリマーを含むポリビニルアル
コール系繊維、に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、特定のPVAを用いる
ことにより、繊維の機械的性能を改善できることを見出
したものである。これまで、PVAに存在する1,3−
グリコール結合の水酸基は分子間水素結合に寄与し、P
VAの強度、ヤング率、耐水性を向上させることから、
1,2GLY量を大きくすることは好ましくないとこれ
まで考えられていたが、本発明者等は、その理由は明ら
かではないものの、1,2GLY量を本発明で規定の範
囲とすることによりPVA繊維の機械的性能が顕著に向
上することを見出した。従って、同一重合度、同一ケン
化度を有するPVAであっても、1,2GLY量を増大
させることにより得られる繊維の性能を高めることがで
きる。一般にPVAの重合度が大きくなると機械的性能
が大きくなる反面、紡糸性が低下するために紡糸原液濃
度を低減させる必要が生じるが、本発明によれば紡糸性
を損うことなく繊維の機械的性能を高めることができ
る。
【0006】繊維の機械的性能を改善する点からは、
1,2GLY量は1.8モル%以上とする必要があり、
2.0モル%以上、さらに2.3モル%以上であるのが
好ましく、繊維の寸法安定性等の点からは5モル%以
下、特に4モル%以下、さらに3.5モル%以下である
のが好ましい。
【0007】本発明のPVA系繊維を構成するPVA
は、上記1,2GLY量を有しているものであれば特に
限定されない。しかしながら、機械的性能に優れた繊維
を得る点からは粘度平均重合度(PA)を400以上、
特に600以上、さらに1000以上、特に1200以
上とするのが好ましく、紡糸性、コスト等の点からはP
Aを10000以下、特に5000以下とするのが好ま
しい。本発明のPVA系繊維を構成するPVAのケン化
度(DS)は特に限定されないが、繊維化工程通過性の
点からは85モル%以上、特に93モル%以上、さらに
95モル%以上、またさらに98モル%以上とするのが
好ましく、繊維に耐熱水性を付与する点からは99モル
%以上、さらに99.5モル%以上であるのが好まし
い。
【0008】本発明のPVA系繊維を構成するPVAの
製造方法は特に限定されないが、ビニルエステルモノマ
ーをラジカル開始剤を用いて重合してポリビニルエステ
ルとし、これを鹸化して製造する方法が好ましい。ビニ
ルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、
安息香酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ルおよびバーサティック酸ビニルなどが好適であり、工
業的な生産性の点及び1,2−グリコール結合の生成の
容易さの点から酢酸ビニルが好ましい。該ポリビニルエ
ステルの重合法としては溶液重合法、塊状重合法、懸濁
重合法、乳化重合法等、従来公知の方法が適用できる。
重合触媒としては、重合方法に応じて、アゾ系触媒、過
酸化物系触媒、レドックス系触媒等が適宜選ばれる。ポ
リビニルエステルの重合度は、溶媒組成比、重合温度、
重合率、コモノマーの種類や変性量などにより制御する
ことができ、該ポリビニルエステルを鹸化して得られる
PVAの1,2GLY量及び好ましくは重合度やケン化
度が所望の範囲となるよう重合条件及びケン化条件を選
定する。
【0009】もちろん、本発明のPVAには変性ビニル
アルコール系ポリマーも包含され、本発明の主旨を損な
わない範囲で他の単量体単位を含有しても差し支えな
い。このようなコモノマーとして例えば、エチレン、プ
ロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、
アクリル酸及びその塩とアクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロ
ピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、
アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等の
アクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸
t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタク
リル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリ
ルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリ
ルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルア
ミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4
級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体
等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メ
チルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、
メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メ
タクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩ま
たはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよ
びその誘導体等のメタクリルアミド誘導体、N−ビニル
ピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセ
トアミド等のN−ビニルアミド類、ポリアルキレンオキ
シドを側鎖に有するアリルエーテル類、メチルビニルエ
ーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエ
ーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニ
ルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビ
ニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビ
ニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の
ハロゲン化ビニル、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル
化合物、マレイン酸およびその塩またはそのエステル、
ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢
酸イソプロペニル等が挙げられる。繊維強度の点からは
変性量は通常10モル%以下、特に5モル%以下とする
のが好ましい。変性ユニットの導入法は共重合による方
法でも、後反応による導入方法でもよい。また変性ユニ
ットのポリマー鎖内での分布はランダムでもブロックで
もグラフトでも特に限定はない。
【0010】本発明の特徴であるPVAの1,2GLY
量は、重合温度、モノマーおよびコモノマーの種類と濃
度などの重合条件によりほとんど決定される。たとえば
最も一般的な酢酸ビニルを通常の60℃で重合して得ら
れるPVAは、1,2GLY量が1.6モル%程度とな
る。所定量のビニレンカーボネートを共重合したり、重
合温度をさらに高くすることによりPVAの1,2GL
Y量をより大きくできる。好適な方法としては、重合温
度を85℃以上、特に90℃以上、さらに100℃以
上、またさらに120℃以上とする方法が挙げられる。
従来、60℃をこえる温度で重合するには、加圧下で行
うため特別な重合釜が必要であったが、技術の進歩によ
り比較的容易に加圧重合が実施可能となってきた。その
ためたとえばPVAの平均重合度を高めて繊維強度を向
上させるよりも、重合温度を変更することにより得られ
る1,2GLY量の大きいPVAを用いる方が工業的に
有利であり、効率的かつ低コストでPVA系繊維の強度
を高めることができる。熱分解等の副反応を抑制する点
からは、PVAの重合温度を180℃以下、特に160
℃以下とするのが好ましい。
【0011】かかる方法により得られたポリビニルエス
テルを鹸化してPVAを得ればよい。ポリビニルエステ
ルの鹸化反応は、従来公知のアルカリ触媒あるいは酸触
媒での加アルコール分解、加水分解等が適用できる。こ
のうちメタノールを溶剤とするNaOH触媒によるケン
化反応が簡便で最も好ましい。鹸化反応時使用する触媒
のアルカリ量などによってDSを制御できる。
【0012】本発明においては、繊維の水中溶解温度
(T℃)を100℃以上とすることにより優れた効果が
得られる。すなわち、本発明の繊維は機械的性能に優れ
ることから、繊維の耐熱水性が高いほど補強材等として
優れた性能が奏され、より広い分野に適用可能となる。
繊維の水中溶解温度は、繊維の重合度、ケン化度を高め
たり架橋処理を施すことにより高めることができる。ま
た繊維強度は強度5cN/dtex以上、さらに7cN
/dtex以上、特に8cN/dtex以上であるのが
好ましい。
【0013】本発明の繊維の繊度は特に限定されない
が、0.1〜1000dtex、特に0.2〜100d
tex、さらに0.5〜10dtex程度のものが広く
使用できる。繊維の繊維長は用途に応じて適宜設定すれ
ばよいが、たとえば補強材として水硬性材料等に添加す
る場合には繊維長を1〜30mm程度とするのが好まし
い。繊維の横断面形状に特別な限定はないが、複雑な形
状よりもシンプルな実質的に円形の繊維が製品の均質性
などの点から好ましい。
【0014】以下、本発明のPVA系繊維の好適な製造
方法について述べる。本発明においては、1,2GLY
量が特定範囲のPVAを用いた繊維とする必要がある
が、かかる特定のPVAのみから繊維を構成する必要は
ない。たとえば、1,2GLY量の小さいPVAや他の
ポリマーをブレンドしたり、また複合紡糸繊維(芯鞘型
繊維等)や混合紡糸繊維(海島構造繊維等)としてもか
まわない。しかしながら、本発明の効果を効率的に得る
点からは、1,2GLY量が特定範囲のPVAの含有量
が50質量%以上、さらに70質量%以上、特に90質
量%以上の繊維とするのが好ましい。
【0015】まず、かかるポリマーを用いて紡糸原液を
調製する。紡糸原液を構成する溶媒は水であってもかま
わないが、機械的性能及び寸法安定性が高く断面がほぼ
円形で均質な繊維が得られる点から紡糸原液構成溶媒を
有機溶媒とするのが好ましい。例えばジメチルスルフォ
キサイド(以下DMSOと略記)、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなど
の極性溶媒やグリセリン、エチレングリコールなどの多
価アルコール類、およびこれらとロダン塩、塩化リチウ
ム、塩化カルシウム、塩化亜鉛などの膨潤性金属塩の混
合物、更にはこれら溶媒同士、あるいはこれら溶媒と水
との混合物などが例示される。とりわけDMSOが低毒
性、低腐食性などの点で最も好ましい。
【0016】紡糸原液中のポリマー濃度は、組成、重合
度、溶媒によって異なるが、8〜40重量%の範囲が一
般的である。紡糸原液構成溶媒が有機溶媒の場合、溶解
は窒素置換後減圧下で撹拌しながら行うのが、酸化、分
解、架橋反応等の防止及び発泡抑制の点で好ましい。紡
糸原液の吐出時の液温としては50〜150℃の範囲
で、原液がゲル化したり分解・着色しない範囲とするこ
とが好ましい。
【0017】かかる紡糸原液を紡糸すればよいが、その
紡糸方法は特に限定されず、たとえば乾式紡糸法、湿式
紡糸法、乾湿式紡糸法により紡糸すればよい。なかでも
生産性が高いことなどから湿式紡糸又は乾湿式紡糸によ
り紡糸するのが好ましくPVAに対して固化能を有する
固化液に吐出すればよい。特に多ホールから紡糸原液を
吐出する場合には、吐出時の繊維同士の膠着を防ぐ点か
ら乾湿式紡糸方法よりも湿式紡糸方法の方が好ましい。
なお、湿式紡糸方法とは、紡糸口金から直接に固化浴に
紡糸原液を吐出する方法のことであり、一方乾湿式紡糸
方法とは、紡糸口金から一旦、空気や不活性ガス中に紡
糸原液を吐出し、それから固化浴に導入する方法のこと
である。なお、本発明でいう固化とは、流動性のある紡
糸原液が流動性のない固体に変化することをいい、原液
組成が変化せずに固化するゲル化と原液組成が変化して
固化する凝固の両方を包含する。
【0018】PVA水溶液を紡糸原液としている場合に
は、たとえば飽和芒硝水溶液を固化液として吐出すれば
よく、紡糸原液構成溶媒が有機溶媒である場合には、た
とえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチ
ル、酢酸エチルなどの脂肪酸エステル類、ベンゼン、ト
ルエンなどの芳香族類やこれらの2種以上の混合物を固
化液として吐出すればよい。繊維内部まで十分に固化さ
せるために、固化溶媒に紡糸原液構成溶媒を混合したも
のを用いるのが好ましく、固化溶媒/原液溶媒の混合重
量比95/5〜40/60、特に90/10〜50/5
0、さらに85/15〜55/45であると最も好まし
い。また固化浴に原液溶媒を混合することにより、固化
能を調整すると共に原液溶媒と固化溶媒の分離回収コス
トの低下をはかることができる。固化浴の温度に限定は
ないが、紡糸原液構成溶媒が有機溶媒の場合、通常−1
5〜30℃の間で行う。均一固化および省エネルギーの
点からは、固化浴温度を−10〜20℃、特に−5〜1
5℃、さらに0〜10℃とするのが好ましい。固化浴の
温度がこの温度範囲より高くても低くても、得られる繊
維の引張り強度が低下する。紡糸原液が高温に加熱され
ている場合には、固化浴温度を低く保つためには、固化
浴を冷却するのが好ましい。
【0019】次いで固化浴から離浴後の繊維を必要に応
じて湿延伸すればよい。繊維の機械的性能、膠着防止の
点からは1.5〜7.0倍、特に2.5〜5.5倍の湿
延伸を施すのが好ましく、糸篠の膠着抑制のため、毛羽
の出ない範囲で湿延伸倍率を大きくすることが好まし
い。湿延伸倍率を大きくするためには、抽出工程中にお
いて2段以上の多段に分けて湿延伸を行うことが有効で
ある。
【0020】なお紡糸原液構成溶媒が有機溶媒の場合、
固化溶媒を主体とする抽出浴に接触させて糸篠から原液
溶媒を抽出除去するのが好ましい。また湿延伸と抽出を
同工程で行ってもかまわない。この抽出処理は、純粋な
固化溶媒を糸篠の走行方向とは向流方向で連続的に流す
ことに抽出浴での滞留時間を短縮できる。この抽出処理
により、糸篠中に含まれている紡糸原液溶媒の量を糸篠
質量の1%以下、特に0.1%以下にするのが好まし
い。接触させる時間としては5秒以上、特に15秒以上
が好ましい。抽出速度を高め、抽出を向上させるために
は、抽出浴中で糸篠をばらけさせることが好ましい。
【0021】次いで、繊維を好ましくは200℃以下、
特に好ましくは180℃以下で乾燥すればよく、さらに
乾熱延伸することにより繊維の機械的性能を高めること
ができる。乾熱処理条件は原料PVAの性状等に応じて
適宜選定できるが、乾熱延伸の延伸倍率は1.1〜10
倍程度とするのが好ましく、乾熱延伸温度は120〜2
50℃とするのが好ましい。工程通過性と乾熱延伸およ
び/または乾熱処理の効果の点で140〜245℃、特
に160〜240℃であるとさらに好ましく、繊維強度
の点では全延伸倍率を6倍以上、特に10倍以上、さら
に13倍以上とするのが好ましい。
【0022】本発明のPVA系繊維は機械的性能に優れ
るものであり、該繊維を用いることによりあらゆる繊維
構造体が得られる。たとえば、カットファイバー、フィ
ラメント、紡績糸、布帛(織編物、乾式不織布、湿式不
織布)、ロープ、紐状物等の繊維構造体に加工できる。
このとき、他の繊維(水溶性繊維、非水溶性繊維)や他
の素材(金属、フィルム等)と併用してもよく、1,2
GLY量の低いPVAから構成されたPVA系繊維と併
用することも可能である。本発明の繊維はあらゆる分野
に使用できるが、機械的性能に優れることから、水硬性
材料、ゴム、樹脂等の補強材として特に好適に使用でき
る。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。なお、実施例中「部」および「%」は、特にこと
わらない限り「質量部」および「質量%」をそれぞれ意
味する。またPVAの諸性能については特に記載のない
限りはJIS K6726に従った。
【0024】[1,2GLY量(モル%)]試料PVA
をけん化度99.9モル%以上にけん化後、十分にメタ
ノール洗浄を行って90℃×2日間減圧乾燥し、これを
DMSO−d6に溶解後にトリフルオロ酢酸を数滴加
え、500MHzのプロトンNMR装置(JOEL G
X−500)を用いて80℃で測定した。次いで、ビニ
ルアルコール単位のメチン由来のピークは3.2〜4.
0ppm(積分値A)、1,2−グリコール結合の1つ
のメチン由来のピークは3.25ppm(積分値B)に
帰属されることから、次式により1,2−GLYを算出
した。 1,2GLY量=B/A×100
【0025】[水中溶解温度 (℃)]試長4cmの繊
維に2mg/dtexの荷重を吊り下げ、0℃の水に浸
漬し、水を2℃/minの速度で昇温したときに、繊維
が溶断する温度を水中溶解温度として測定した。 [繊維の強度 (cN/dtex]]JIS L101
5に準じて引張試験を行なって求めた。
【0026】[参考例1]攪拌機、窒素導入口、開始剤
導入口を備えた50リットルの加圧反応槽に酢酸ビニル
30kgおよび酒石酸0.90gを仕込み、室温下に窒
素ガスによるバブリングをしながら反応槽圧力を2.0
MPaまで昇圧して10分間放置した後、放圧するとい
う操作を3回繰り返して系中を窒素置換した。次いで開
始剤として2,2'−アゾビス(N-ブチル-2-メチルプ
ロピオンアミド)をメタノールに溶解した濃度0.1g
/リットル溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを
行って窒素置換した。さらに重合槽内温を150℃に昇
温し(このときの反応槽圧力は0.8MPa)、上記の
開始剤溶液80mlを注入し重合を開始した。重合中は
重合温度を150℃に維持し、上記の開始剤溶液を用い
て136ml/hrで2,2'−アゾビス(N-ブチル-2
-メチルプロピオンアミド)を連続添加して重合を実施
した。3時間後に冷却して重合を停止した。このときの
固形分濃度は25%であった。次いで30℃減圧下にメ
タノールを時々添加しながら未反応酢酸ビニルモノマー
の除去を行い、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液(濃度
33%)を得た。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタ
ノールを加えて濃度が25%となるように調整したポリ
酢酸ビニルのメタノール溶液4kg(溶液中のポリ酢酸
ビニル1kg)に、ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニ
ットに対してモル比(MR)0.1のアルカリ溶液(N
aOHの10%メタノール溶液)を添加して鹸化を行っ
た。アルカリ添加後約5分でゲル化したものを粉砕器に
て粉砕し、1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸
メチル10kgを加えて残存するアルカリを中和した。
フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認
後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1
0kgを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操
作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを
乾燥機中70℃で2日間放置してPVA(PVA−1)
を得た。得られたPVA(PVA−1)のDSは99.
5モル%、PAは1200、1,2GLY量は2.6モ
ル%であった。
【0027】[参考例2]重合温度を120℃、重合中
の圧力を0.4MPaに変更し、またPA1700とな
るように条件を設定した以外は参考例1と同様にPVA
を製造し、PA1700、DS99.5モル%、1,2
GLY2.2モル%のPVAを得た。 [比較例3]重合温度を市販PVAと同じ60℃として
参考例1と同様にPVAを製造し、PA1200,DS
99.5モル%,1,2GLY1.6モル%の完全ケン
化PVAを得た。
【0028】[実施例1]参考例1で得られたPVAと
DMSOを混合して窒素置換し、減圧下90℃で8時間
撹拌溶解し、その後同じ圧力下90℃で8時間脱泡し、
PVA濃度24質量%の紡糸原液を得た。この紡糸原液
を90℃に保ち、孔数1000、孔径0.07mmφの
ノズルを通して、メタノール/DMSOの混合重量比が
75/25の混合液よりなる3℃の固化浴中に湿式紡糸
した。次いで、得られた糸篠をメタノールと向流接触さ
せてDMSOを抽出除去するとともに抽出中に3.5倍
の湿延伸を施し、さらに油剤を0.5質量%/繊維付与
後、120℃熱風乾燥機で乾燥して紡糸原糸を得た。次
いで170℃−220℃の2セクションよりなる熱風炉
で総延伸倍率16倍の乾熱延伸処理を施した。得られた
繊維の強度は13.5cN/dtex、水中溶解温度は
105℃であった。
【0029】[実施例2]参考例2により得られたPV
Aを用い、紡糸原液濃度を21質量%とした以外は実施
例1と同様にPVA系繊維を紡糸した。得られた繊維の
強度は16.3cN/dtex、水中溶解温度は115
℃であった。 [実施例3]乾熱延伸条件を175℃―230℃の熱風
炉で総延伸倍率16倍の乾熱延伸に変更した以外は実施
例1と同様にPVA系繊維を製造した。得られた繊維の
強度は16cN/dtex、水中溶解温度は121℃で
あった。
【0030】[比較例1]PA1700,DS99.9
モル%,1,2GLY1.6モル%のPVA(株式会社
クラレ製「PVA−HC」)を用い、かつ紡糸原液濃度
を20質量%とした以外は実施例1と同様にPVA系繊
維を紡糸した。得られた繊維の水中溶解温度は119
℃、強度は14,2cN/dtexであり、同じ重合度
のPVAを用いた実施例2に比して低強度であった。 [比較例2]参考例3において得られたPVAを用いる
以外は実施例1と同様にPVA系繊維を製造した。得ら
れた繊維の水中溶解温度は102℃、強度は11.6c
N/dtexであり、同じ重合度のPVAを用いた実施
例1に比して低強度であった。
フロントページの続き (72)発明者 徳永 勲 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 藤原 直樹 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4J100 AD02P AG02P AG03P AG04P BA03H CA01 FA03 HA06 HA09 JA11 4L035 BB03 FF01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,2グリコール結合量が1.8モル%
    以上であるビニルアルコール系ポリマーを含むポリビニ
    ルアルコール系繊維。
JP2000082265A 2000-03-23 2000-03-23 ポリビニルアルコール系繊維 Pending JP2001271221A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007231484A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコール系繊維およびその製造方法

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